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明細書 :セリン/スレオニンキナーゼをコードするDNA

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3816644号 (P3816644)
公開番号 特開平11-098984 (P1999-098984A)
登録日 平成18年6月16日(2006.6.16)
発行日 平成18年8月30日(2006.8.30)
公開日 平成11年4月13日(1999.4.13)
発明の名称または考案の名称 セリン/スレオニンキナーゼをコードするDNA
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   9/12        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
A61K  38/00        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 9/12
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/00 A
A61K 37/02
請求項の数または発明の数 10
微生物の受託番号 FERM BP-6487
FERM BP-6488
全頁数 30
出願番号 特願平09-261589 (P1997-261589)
出願日 平成9年9月26日(1997.9.26)
審査請求日 平成15年5月9日(2003.5.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】審良 静男
【氏名】河合 太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100120905、【弁理士】、【氏名又は名称】深見 伸子
審査官 【審査官】中村 正展
参考文献・文献 EMBO J.,1997年 3月,Vol. 16,998-1008
Genes Dev.,1995年,Vol. 9,15-30
Genes Dev.,1993年,Vol. 7,1047-1058
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1991年,Vol. 88,3720-3724
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1992年,Vol. 89,5789-5793
Genes Dev.,1989年,Vol. 3,2083-2090
J. Biol. Chem.,1994年,Vol. 269,30808-30817
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/00-5/10
C12N 9/12
A61K 38/00
JSTPlus(JDream2)
PubMed
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
SwissProt/PIR/Geneseq
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質。
(a)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
【請求項2】
以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質。
(a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
【請求項3】
以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードするDNA。
(a)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
【請求項4】
以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードするDNA。
(a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
【請求項5】
配列番号3で表わされる塩基配列を含む、請求項3記載のDNA。
【請求項6】
配列番号4で表わされる塩基配列を含む、請求項4記載のDNA。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか1項に記載のDNAを含む組換えベクター。
【請求項8】
請求項7記載の組換えベクターによって形質転換された形質転換体。
【請求項9】
請求項8記載の形質転換体を培地に培養し、得られる培養物からアポトーシス誘導活性を有するタンパク質を採取することを特徴とするアポトーシス誘導活性を有するタンパク質の製造方法。
【請求項10】
以下の(a)~(i)の少なくとも1つを含むアポトーシス誘導剤。
(a)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
(c)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
(e)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(f)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質をコードするDNA
(g)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(h)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘導活性を有するタンパク質をコードするDNA
(i)上記(e)~(h)のいずれかのDNAを含む組換えベクター
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セリン/スレオニンキナーゼ、該キナーゼをコードするDNA、該DNAを含む組換えベクター、該ベクターによって形質転換された形質転換体及びセリン/スレオニンキナーゼの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞外からの様々なシグナルは細胞表面の受容体を介して細胞内へ伝えられ、最終的に核内に伝達される。核内に伝達されたシグナルは転写因子を活性化し、その結果、一群の遺伝子の発現が誘導又は抑制され、細胞増殖、分化、さらには細胞死といった表現形が現れる。これまでに多くの転写因子がクローニングされ、機能ドメインの構造等が明らかにされている(MOLECULAR BIOLOGY OF THE CELL THIRD EDITION, pp401-469)。これらの機能ドメインの構造としては、ロイシンジッパー構造、ヘリックス・ループ・ヘリックス構造、亜鉛フィンガー構造等が知られている。その中でもロイシンジッパー構造はJun / Fos、ATF / CREB、又はC/EBPファミリー等の転写因子に共通してみられるモチーフであり、これら転写因子は互いのロイシンジッパー構造を介してホモ又はヘテロ二量体を形成し、特異的遺伝子の転写を制御することが多数報告されている(Hai, T. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,88:3720-3724,1991)。
【0003】
さらに、最近ではロイシンジッパー構造が転写因子以外の機能分子にも認められることが報告され(Holzman, L.B. et al., J. Biol. Chem. 269: 30808-30817, 1994)、ロイシンジッパー構造が転写因子同士の結合のみならず、広くタンパク-タンパク間相互作用ドメインとして細胞内で機能していることが示唆されている。
したがって、ロイシンジッパードメインと相互作用する分子の同定は転写因子のもつ新たな機能のみならず、転写因子以外の分子におけるロイシンジッパー構造の機能を解析する上で有用であると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セリン/スレオニンキナーゼ、該キナーゼをコードするDNA、該DNAを含む組換えベクター、該ベクターによって形質転換された形質転換体及びセリン/スレオニンキナーゼの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に基づいて鋭意研究を行った結果、ヒト胎盤及びマウス脳から調製したcDNAライブラリーからセリン/スレオニンキナーゼをコードするDNAを単離することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質である。
(a)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつセリン/スレオニンキナーゼ活性を有するタンパク質
さらに、本発明は、以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質である。
(a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつセリン/スレオニンキナーゼ活性を有するタンパク質
さらに、本発明は、前記タンパク質をコードするDNAである。該DNAとしては、例えば配列番号3又は4で表わされる塩基配列を含むものが挙げられる。
さらに、本発明は、前記DNAを含む組換えベクターである。
【0007】
さらに、本発明は、組換えベクターによって形質転換された形質転換体である。
さらに、本発明は、請求項8記載の形質転換体を培地に培養し、得られる培養物からセリン/スレオニンキナーゼを採取することを特徴とするセリン/スレオニンキナーゼの製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の組換えタンパク質(以下「ZIP-キナーゼ」ともいう)は、ATF4と呼ばれる転写因子のロイシンジッパードメインと結合するタンパク質分子であり、セリン/スレオニンキナーゼ活性を有するものである。また、ZIP-キナーゼはロイシンジッパー構造を有する新規の核内セリン/スレオニンキナーゼであり、アポトーシスを誘導する活性を有する。なお、ATF4とは、cAMP反応要素(cAMP response element )(CRE)に結合し、ATF/CREBファミリーに属するロイシンジッパー型転写因子である。
【0009】
一方、本発明のDNAは、ヒト胎盤及びマウス脳から調製されたcDNAライブラリーから、いわゆる酵母2-ハイブリッドシステム(酵母 two-hybrid system)を用いたスクリーニングを行うことにより得られるものであり、ZIP-キナーゼをコードするものである(以下「ZIP-キナーゼDNA」ともいう)。
本発明のDNAは、以下のようにしてクローニングすることができる。
【0010】
1.ZIP-キナーゼDNAのクローニング
(1) ヒト胎盤及びマウス脳のcDNAライブラリーの作製
mRNAの供給源としては、ヒト胎盤又はマウス脳などの組織が挙げられる。また、これらの組織由来の樹立した細胞株を供給源としてもよい。
mRNAの調製は、通常行われる手法により行うことができる。例えば、上記組織又は細胞を、グアジニン試薬を用いて処理することにより全RNAを得、次いでオリゴdT-セルロースやセファロース2Bを担体とするポリU-セファロース等を用いたアフィニティーカラム法、あるいはバッチ法によりポリ(A+)RNA(mRNA)を得る。さらに、ショ糖密度勾配遠心法等によりポリ(A+)RNAをさらに分画することもできる。
【0011】
このようにして得られたmRNAを鋳型として一本鎖cDNAを合成した後、この一本鎖cDNAから二本鎖cDNAを合成し、適当なベクターDNAとの組換えプラスミドを作製する。これを用いて大腸菌等を形質転換することにより、cDNAのライブラリーを得る。
あるいは、cDNAのライブラリーとして市販のもの(CLONETCH社)を用いてもよい。
【0012】
(2)プラスミドpAS2-1の構築
前記(1) のようにして得られたcDNAライブラリーから目的のクローンをスクリーニングするためのプラスミドを調製する。
プラスミドは、マウスATF4のロイシンジッパードメイン(ATF4のアミノ酸配列の第298-349番目)をコードするDNAを、GAL4 DNA結合ドメインをコードするDNAに連結することによりキメラDNAを作製し、このキメラDNAをバイトプラスミド(bait plasmid)pAS2-1に連結することにより得ることができる。
【0013】
(3)スクリーニング
続いて上記プラスミドを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングする。スクリーニングには、酵母2-ハイブリッドシステム (酵母 two-hybrid system)を用いることができる。酵母2-ハイブリッドシステムとは、タンパク質間相互作用を酵母内で検出できる実験系であり、目的のタンパク質(バイト)に相互作用するタンパク質のcDNAをライブラリーよりスクリーニングすることが可能である。陽性クローンは、ヒスチジン、トリプトファン及びロイシンを含まない選択培地における増殖及びβ-ガラクトシダーゼの活性を指標として選出することができる。
【0014】
(4)塩基配列の決定
得られたクローンについて塩基配列の決定を行う。塩基配列の決定はマキサム-ギルバート法、ジデオキシ法等の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定装置を用いて配列決定が行われる。
配列番号2に本発明のZIP-キナーゼDNAの塩基配列を、配列番号1に本発明のZIP-キナーゼのアミノ酸配列を例示するが、このアミノ酸配列からなるタンパク質がセリン/スレオニンキナーゼとしての活性を有する限り、当該アミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。例えば、配列番号1で表わされるアミノ酸配列の第1番目のメチオニンが欠失した配列を有するものなども、本発明のタンパク質に含まれる。
【0015】
ここで、セリン/スレオニンキナーゼ活性とは、ATPの末端リン酸基をタンパク質の特定のアミノ酸(セリン又はスレオニン)に移す活性を意味する。なお、変異の導入は、公知の手法により(Deng,W.P. et al., Anal. Biochem. 200: 81, 1992)、あるいは市販のキット(CLONETECH社のSite-Directed Mutagenesis Kit)を用いて行うことができる。
【0016】
一旦本発明のZIP-キナーゼDNAの塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又は種々の組織由来のcDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、本発明のZIP-キナーゼDNAを得ることができる。
【0017】
2.組換えベクター及び形質転換体の作製
(1)組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明のZIP-キナーゼDNAを連結(挿入)することにより得ることができる。本発明のZIP-キナーゼDNAを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド DNA、ファージ DNA等が挙げられる。プラスミド DNAは、大腸菌やアグロバクテリウムからアルカリ抽出法(Birnboim,H.C. & Doly,J.(1979) Nucleic acid Res 7: 1513)又はその変法等により調製することができる。また、市販のプラスミドとして例えばpUC118(宝酒造社製)、pUC119 (宝酒造社製)、pBluescript SK+ (Stratagene 社製)、pGEM-T (Promega 社製)、pT7Blue(Novagen社)、pBR322(宝酒造社)等を用いてもよい。
【0018】
ファージ DNAとしては、例えば M13mp18、M13mp19 、λgt10、λgt11等が挙げられる。
ベクターに本発明のDNAを挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
【0019】
本発明のDNAは、そのDNAの機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、本発明のDNAのほか、ターミネーター、リボソーム結合配列等を組み込んでもよい。この場合、ターミネーターとしてはストップコドン(TGA、TAG、TAA)が挙げられ、リボソーム結合配列としてはリーダー配列が挙げられる。
【0020】
(3)形質転換体の作製
本発明の形質転換体は、本発明の発現用組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。
ここで、宿主としては、本発明のDNAを発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のエッシェリヒア属、バチルス属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)等の酵母、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞、あるいは昆虫細胞(Sf9)等が挙げられる。
【0021】
大腸菌等の細菌を宿主とする場合は、本発明の組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、例えばpET、pGEX(Pharmacia社製)等が用いられる。
【0022】
プロモーターとしては、大腸菌等の宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来するプロモーターが用いられる。T7、T3などのように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。
【0023】
細菌への組換えベクターの導入方法としては、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されない。例えばカルシウムイオンを用いる方法(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69,2110-2114(1972))、エレクトロポレーション法等が挙げられる。酵母を宿主として用いる場合は、発現ベクターとして例えばYEp13、YEp24、YCp50等が用いられる。この場合のプロモーターとしては、酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、SV40プロモーター等が挙げられる。
【0024】
酵母への組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法(Methods.Enzymol.,194,182-187(1990))、スフェロプラスト法(Proc. Natl.Acad.Sci.,USA,84,1929-1933(1978)、酢酸リチウム法(J. Bacteriol., 153,163-168(1983))等が挙げられる。
【0025】
動物細胞を宿主として用いる場合は、発現ベクターとして例えばpcDNAI/Amp、pcDNAI(いずれもInvitrogen社)等が用いられる。この場合、プロモーターとしてヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子プロモーター等を用いてもよい。
動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
【0026】
なお、本発明の組換えベクター(ヒト胎盤からのZIP-キナーゼDNAを含むベクター及びマウス脳からのZIP-キナーゼDNAを含むベクター)は、それぞれ大腸菌DH5に導入され(それぞれE.coli(hZIP-kinase)DH5、E.coli(mZIP-kinase)DH5)、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成9年9月25日(原寄託日)に、E.coli(hZIP-kinase)DH5についてはFERM BP-6487、E.coli(mZIP-kinase)DH5についてはFERM BP-6488として寄託されている。
【0027】
3.ZIP-キナーゼの生産
本発明のZIP-キナーゼは、前記形質転換体を培地に培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。
本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
【0028】
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養効率的に行える培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン、デキストロース等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。
【0029】
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、酵母エキス等が用いられる。
【0030】
無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸第二ナトリウム等が用いられる。
【0031】
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、37℃で12~18時間行う。培養期間中、pHは7.0~7.5に保持する。pHの調整は、無機又は有機の酸、アルカリ溶液、炭酸ガス等を用いて行う。
培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0032】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加してもよい。
【0033】
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。
培養は、通常、5%CO2存在下、37℃で1~3日行う。
培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0034】
培養後、本発明のZIP-キナーゼが菌体内又は細胞内に生産される場合には菌体又は細胞を破砕等によりZIP-キナーゼを抽出する。また、本発明のZIP-キナーゼが菌体外又は細胞外に生産される場合には培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去した後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、培養物中から本発明のZIP-キナーゼを単離精製することができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
〔実施例1〕ZIP-キナーゼDNAのクローニング
(1)cDNAライブラリーの作製
本発明では、cDNAとして市販のもの(CLONETECH社)を用いた。
(2) プラスミドの調製
マウスATFのロイシンジッパードメインをコードするDNAをPCR法により得た。
【0036】
JP0003816644B2_000002t.gif【0037】
プライマーとして以下のものを用いた。
センスプライマー:5'-GGGAATTCGCGGAGCAGGAGGCT-3'(配列番号5)
アンチセンスプライマー:5'-GGGGATCCCTAGGGGACCCTTTTCTA-3'(配列番号6)
PCRは、まず94℃で1分反応を行い、次に、94℃で20秒、56℃で20秒及び72℃で30秒の反応を1サイクルとしてこれを25サイクル行い、最後に72℃で10分の反応を行った。
【0038】
PCR産物をEcoRI/BamHIで切断し、pAS2-1ベクターのEcoRI/BamHIサイトへ挿入した。プラスミドを大腸菌DH5αへ形質転換し、これよりアルカリ-SDS法に基づいた市販のキット(Wizard miniprep:プロメガ社)により精製を行った。このプラスミドは酵母内でGAL4 DNA結合ドメインの融合タンパク質を発現することができ、バイトとして使用した。
【0039】
(3)スクリーニング
バイトとなるプラスミドを酵母Y190株に形質転換した。形質転換は、CLONETCH社のMATCHMAKER Two-Hybrid System kitを用いて行った。形質転換体は、トリプトファン(-)の培地での生育が可能となるため、これを指標に選別した。さらにGAL4転写活性化ドメインとの融合タンパク質として発現が可能なcDNAライブラリー(CLONETECH社のマウス脳及びヒト胎盤MATCHMAKER cDNAライブラリー)を形質転換した。形質転換体はトリプトファン(-)、ロイシン(-)の培地で生育可能となる。また、バイトと、ライブラリー由来のタンパク質をコードするDNAとが結合すればレポーター遺伝子のHIS3遺伝子及びLacZ遺伝子が転写されるため、陽性クローンは、トリプトファン(-)、ロイシン(-)、ヒスチジン(-)の培地で生育可能になり、さらにβ-ガラクトシダーゼ活性を有するため、X-gal存在下で青色を呈する。陽性クローンよりプラスミドを精製し(CLONETCH社のMATCHMAKER Two-Hybrid System kitを用いて行った)、大腸菌へ形質転換し、これよりプラスミドを精製し、塩基配列を決定した(ABI model 377)。得られた塩基配列を、GenBank、EMBL、DDBJデータベースを利用してホモロジー検索を行った。
【0040】
その結果、既に報告されているC/EBPファミリーやAP-1ファミリーの他にロイシンジッパー構造を有する遺伝子とホモロジーの高いもの(ホモロジー20%以上)を新規遺伝子とした。この新規遺伝子は、マウス脳cDNAライブラリーより7クローン、ヒト胎盤からは2クローン得られた。これらクローンはすべて同一遺伝子由来であった。
【0041】
(4)塩基配列の決定
前記のようにして得られた遺伝子はキナーゼをコードするものと考えられ、本発明者はこの新規キナーゼをコードするDNAをZIP-キナーゼDNA (Zipper Interacting Protein Kinase DNA)と名付けた。そして、ZIP-キナーゼDNAについて、全長の塩基配列を決定した。
【0042】
ヒト胎盤から得られたZIP-キナーゼDNAの塩基配列を配列番号3に、マウス脳から得られたZIP-キナーゼDNAの塩基配列を配列番号4に示す。また、配列番号3、4で表わされる塩基配列によりコードされるアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1、2に示す。
【0043】
ヒト胎盤から得られたZIP-キナーゼDNAによりコードされるアミノ酸配列(ヒトZIP-キナーゼ)とマウス脳から得られたZIP-キナーゼDNAによりコードされるアミノ酸配列(マウスZIP-キナーゼ)との間でホモロジー検索を行ったところ、それぞれのアミノ酸配列のC末端にはロイシンジッパードメインが、N末端側にはセリン/スレオニンキナーゼドメインが認められた(図1)。また、マウス及びヒトZIP-キナーゼはそれぞれ448および454アミノ酸からなっており、マウス-ヒト間の相同性はアミノ酸レベルで84.9%であった。
【0044】
さらに、ZIP-キナーゼのキナーゼドメインは、IFN-γによるアポトーシスを正に制御するDAP-キナーゼと高い相同性を示し、これらキナーゼが新たなファミリーを形成していることが示唆された(図2)。
【0045】
〔実施例2〕組換えベクターの構築及び形質転換体の作製
ZIP-キナーゼDNAの組換えベクターを作製するため、ZIP-キナーゼをコードするcDNAをPCR法により合成した。
PCR反応液及びプライマーは下記のものを用いた。
【0046】
JP0003816644B2_000003t.gif【0047】
センスプライマー: 5'-GGGTCGACCAC CATGGCTTAC CCATACGATG TTCCAGATTA CGCTATGTCC ACATTCAGGC AA-3'(配列番号7)
アンチセンスプライマー:5'-GGGTCGACTA GCGCACGCCG CACTCAGCCT GC-3'(配列番号8)
PCRは、まず96℃で1分反応を行い、次に、96℃で30秒、56℃で30秒及び72℃で1分の反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行い、最後に72℃で10分の反応を行った。
得られたPCR産物をSalIで切断し、発現ベクターpEF-BOSへ挿入した(TaKaRa社のLigationキット)。さらに、大腸菌DH5(TOYOBO社)へ形質転換を行った。この大腸菌よりプラスミドを精製し(Promega社のWizard miniprep)、DNAシーケンス(ABI社model 377)で確認を行った。
【0048】
なお、ZIP-キナーゼの変異体(配列番号2で表わされるアミノ酸配列の第42番目のアミノ酸リジンをアラニンに変異させたもの;以下、「ZIP-キナーゼK42A」という)をコードするDNAを、CLONETECH社のSite-Directed Mutagenesis Kitを用いて作製した。また、配列番号2で表わされるアミノ酸配列の第422及び429番目のアミノ酸バリン並びに第436番目のロイシンをそれぞれアラニンに変異させたもの;以下、「ZIP-キナーゼLA」という)をコードするDNAも同様に作製した。
【0049】
〔実施例3〕本発明のDNAの機能
(1)細胞内におけるZIP-キナーゼとATF4の結合
ZIP-キナーゼとATF4が細胞内においても結合しているかどうかを調べた。
まず、マウスZIP-キナーゼ(配列番号2で表わされるアミノ酸配列の第309-448番目)をコードするDNAを発現ベクターpEF-BOSへ挿入した。このとき、ZIP-キナーゼのN末端側に転写因子Mycのタグを施して、これがエピトープとなるようにしたMyc-ZIP-キナーゼ複合体をコードするDNAを設計し、ベクターを構築した(pEF-BOS-Myc-ZIP-キナーゼ)。また、ヒトATF4のN末端にFLAGエピトープが付加されたヒトATF4(全長)- FLAG複合体をコードするDNAを含む発現ベクターも作成した(pEF-BOS-FLAG-ATF4)。
【0050】
これらを、COS-7細胞株へリポフェクション法を用いて一過性に導入し、発現させた(図3 レーン1、4、7、10;FLAG-ATF4、レーン2、5、8、11;Myc-ZIP-キナーゼ、レーン3、6、9、12;FLAG-ATF4とMyc-ZIP-キナーゼ)。導入後36時間で細胞を回収し、0.5 % Nonidet P-40溶解バッファーで可溶化し、細胞可溶化物(WCE ; whole cell extract)を得た。WCEをSDS-PAGEで展開後、ニトロセルロース膜へ転写し、抗FLAGモノクローナル抗体(図3 レーン1、2、3)及び抗Mycモノクローナル抗体(レーン7、8、9)を用いてウェスタンブロット解析を行い、Myc-ZIP-キナーゼ及びFLAG-ATF4の発現を確認した。
【0051】
続いて同WCEを抗Mycモノクローナル抗体で免疫沈降し、沈降物を抗FLAGモノクローナル抗体でウェスタンブロット解析を行い、Myc-ZIP-キナーゼとFLAG-ATF4との共免疫沈降の検出を試みた(図3、レーン4~6)。
その結果、レーン6においてFLAG-ATF4のバンドが検出された(図3)。さらに確信を得るため、次に同WCEを抗FLAGモノクローナル抗体で免疫沈降し、沈降物を抗Mycモノクローナル抗体でウェスタンブロット解析を行った(レーン10、11、12)。このときレーン12においてのみFLAG-ATF4と共免疫沈降しているMyc-ZIP-キナーゼのバンドが認められた。
【0052】
したがって、細胞内においてもZIP-キナーゼとATF4は相互に結合していることが示された。
このことから、ZIP-キナーゼとATF4とが相互に結合していることは、
ZIP-キナーゼの活性をATF4が制御している可能性があることが考えられる。
【0053】
(2)ZIP-キナーゼとATF4との結合に必要なドメインの決定
ZIP-キナーゼとATF4が結合する部位を酵母 two-hybrid systemを用いて決定した。まず、マウスZIP-キナーゼの変異体として、1)ZIP-キナーゼアミノ酸278-448番目(ZIP-キナーゼ 278-448)、2)ZIP-キナーゼロイシンジッパードメイン(アミノ酸398-448番目)(ZIP-キナーゼ LZ)、3)ZIP-キナーゼのロイシンジッパードメインのバリン及びロイシンをアラニンに置換した変異体(ZIP-キナーゼ LA)、を作成した。これらをGAL4トランス活性化ドメインとのキメラタンパクになるようにし、該キメラタンパク質をコードするDNAをpACT2へ挿入し、pAS2-1-ATF4 LZと共に酵母細胞株であるY190へ導入した。導入株をヒスチジン+、トリプトファン-、ロイシン-、及びヒスチジン-、トリプトファン-、ロイシン-の選択培地上で培養を行った。
【0054】
ZIP-キナーゼ 278-448をコードするDNAを含む酵母、及びZIP-キナーゼ LZをコードするDNAを含む酵母は、ヒスチジン-、トリプトファン-、ロイシン-の培地上でコロニーを形成できることから、ZIP-キナーゼはC末端に存在するロイシンジッパードメインを介してATF4と結合することが示された(図4)。さらに、このときロイシンジッパー構造内のバリン、ロイシンをアラニンに置換すると、もはやATF4との結合は認められなくなる。
以上のことからZIP-キナーゼとATF4とは、互いのロイシンジッパードメインを介して結合することが明らかとなった。
【0055】
(3)ZIP-キナーゼの各組織における発現
ZIP-キナーゼの各組織での発現を調べるためにノーザンブロット解析を行った。
図5に示すように、ZIP-キナーゼのmRNAは約1.4 kbであり、調べた限りのほぼ全ての組織に分布していた。ただし、脾臓においては少量の発現を示すのみであった。
【0056】
(4)ZIP-キナーゼのホモ二量体形成の確認
ZIP-キナーゼのC末端に存在するロイシンジッパードメインはタンパク質同士が結合するドメインと考えられる。そこで、ZIP-キナーゼがホモ二量体を形成するかどうか検討を行った。ZIP-キナーゼのロイシン・ジッパードメインをコードするDNAをpAS2-1へ挿入したプラスミドと、ZIP-キナーゼのロイシンジッパードメイン及び同ドメイン内のバリン、ロイシンをアラニンに置換した変異体をコードするDNAをpACT2に挿入したプラスミドとを酵母に共導入し、選択培地でのコロニー形成を観察した。
【0057】
図6に示すようにZIP-キナーゼのロイシンジッパードメインを共発現させた酵母のみ、ヒスチジン-、トリプトファン-、ロイシン-の培地で生育可能であった。したがって、ZIP-キナーゼはそのロイシンジッパー構造を介して互いにホモ二量体を形成することが明らかとなった。
【0058】
(5)ZIP-キナーゼによるアポトーシスの誘導
ZIP-キナーゼのキナーゼ・ドメインと高い相同性を示すDAP-キナーゼはHeLa細胞においてアポトーシスを誘導することが示されている。そこでZIP-キナーゼがアポトーシス活性を有するか検討した。
HAでタグを施したRNA野生型 ZIP-キナーゼ(pEF-BOS-HA-ZIP-キナーゼ)、ZIP-キナーゼサブドメインII内に存在し、他のキナーゼにおいても保存されているリジン(アミノ酸42番目)をアラニンに置換した変異体(pEF-BOS-HA-ZIP-キナーゼ K42A)及びロイシンジッパードメイン内のバリン、ロイシンをアラニンに置換した変異体(pEF-BOS-HA-ZIP-キナーゼ LA)を作成し、これらの各タンパク質をコードするDNAを、LacZ発現ベクター(pEF-BOS-LacZ)とともにNIH 3T3細胞に一過性に導入した。導入してから36時間後にX-gal染色を行った。
【0059】
その結果、顕微鏡下で青く染色されている細胞の形態を観察した(図7)。対照であるpEF-BOS-mock(図7、左上)と比べて、野生型ZIP-キナーゼを導入した細胞(図7、右上)では核の凝集を伴う典型的なアポトーシスの形態を示した。この時のアポトーシス形態を示すLacZ発現細胞の割合を計測したところ44.9%であった(図8)。
【0060】
一方、ZIP-キナーゼ-K42A変異株(図7、左下)ではこのような形態変化は認められず、アポトーシスの割合も対照と変化は認められなかった。また、ZIP-キナーゼ-LA(図7、右下)においてはアポトーシスを起こしている細胞が存在するものの、野生型と比べると、その割合は有意に減少していた。
【0061】
以上の結果から、ZIP-キナーゼの発現によるアポトーシスの誘導にはZIP-キナーゼのキナーゼ活性が必須であると考えられる。さらにZIP-キナーゼ同士のホモ二量体を阻害するような変異においてアポトーシスが抑制されることから、ZIP-キナーゼはホモ二量体を形成して活性化型になることが示唆される。
【0062】
(6)ZIP-キナーゼのキナーゼ活性
ZIP-キナーゼが実際にキナーゼとしての活性を有するかどうか検討を行った。 pEF-BOS-HA-ZIP-キナーゼ、pEF-BOS-HA-ZIP-キナーゼ K42A、及びpEF-BOS-HA-ZIP-キナーゼ LAをそれぞれCOS-7細胞へ一過性に導入し、36時間後に細胞を回収した後、0.5 % Nonidet P-40溶解バッファーで可溶化した。可溶化物を抗HAモノクローナル抗体で免疫沈降を行い、沈降物中のキナーゼ活性をin vitroキナーゼアッセイで検出した(図9A)。
【0063】
その結果、野生型ZIP-キナーゼには約50kDaにZIP-キナーゼのリン酸化のバンドが認められた(図9A, HA-ZIP-キナーゼのレーン)。一方、ZIP-キナーゼ K42Aにおいてはこれに相当するバンドは認められなかった。またZIP-キナーゼ LAにおいては、リン酸化のバンドが認められた。しかしながら、同可溶化物におけるHA-ZIP-キナーゼおよびその変異体の発現を抗HAモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロットで確認したところ、HA-ZIP-キナーゼの発現量が他の2つの変異体と比べると顕著に減少していた(図9B)。この結果から、ZIP-キナーゼ LAで認められるキナーゼ活性は野生型のそれと比べると非常に弱いものと考えられる。
また、野生型ZIP-キナーゼの発現量がCOS-7細胞において低いことは、ZIP-キナーゼがCOS-7細胞に対して何らかの致死的な作用(例えばアポトーシス)を及ぼした結果と考えられる。
【0064】
(7)ZIP-キナーゼの細胞内局在
ZIP-キナーゼの細胞内局在を知ることはZIP-キナーゼの機能を解析する上で、大きな手がかりとなると考えられる。そこで本発明者は、ZIP-キナーゼの局在を共焦点レーザー顕微鏡を用いて調べた。
FLAGでタグをしたATF4をコードするDNAを含む発現ベクター(pEF-BOS-FLAG-ATF4)及びFLAGでタグを施したZIP-キナーゼ K42AをコードするDNA (pEF-BOS-FLAG-ZIP-キナーゼ K42A)を、それぞれCOS-7細胞に一過性に導入た。36時間後、細胞を固定し、抗FLAGモノクローナル抗体と反応させ、二次抗体としてFITC標識抗マウスイムノグロブリン抗体を用いて染色した。
【0065】
共焦点レーザー顕微鏡下で観察したところ、FLAG-ATF4を導入した細胞では細胞質が染色されておらず、核が染色されていた(図10 A)。同様にしてFLAG-ZIP-キナーゼの局在を調べたところ、ATF4の場合と同じ染色パターンが示され、核での局在が確認された(図10 B)。
従って、ZIP-キナーゼは新規の核内セリン/スレオニンキナーゼであると結論づけることができた。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、セリン/スレオニンキナーゼ、該キナーゼをコードするDNA、該DNAを含む組換えベクター、該ベクターによって形質転換された形質転換体及びセリン/スレオニンキナーゼの製造方法が提供される。
ZIP-キナーゼはアポトーシスを誘導する機能を有するため、ZIP-キナーゼ及び該キナーゼをコードするDNAは癌に対する遺伝子治療剤及び抗癌剤等として利用できる点で有用である。
【0067】
【配列表】
JP0003816644B2_000004t.gifJP0003816644B2_000005t.gifJP0003816644B2_000006t.gif【0068】
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【図面の簡単な説明】
【図1】アミノ酸配列のホモロジー検索結果を示す図である。
【図2】アミノ酸配列のホモロジー検索結果を示す図である。
【図3】ウエスタンブロットの結果を示す電気泳動写真である。
【図4】選択培地でのコロニー形成結果を示す写真である(生物の形態) 。
【図5】ノーザンブロットの結果を示す電気泳動写真である。
【図6】選択培地でのコロニー形成結果を示す写真である(生物の形態) 。
【図7】アポトーシスの形態を示すNIH3T3細胞の写真である(生物の形態) 。
【図8】アポトーシスの形態を示すLacZ発現細胞の割合を示す図である。
【図9】 ZIP-キナーゼのキナーゼ活性を示す電気泳動写真である。
【図10】 ZIP-キナーゼの細胞内局在を示す写真である(生物の形態) 。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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