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明細書 :単層カーボンナノホーン吸着材およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4394383号 (P4394383)
公開番号 特開2005-007281 (P2005-007281A)
登録日 平成21年10月23日(2009.10.23)
発行日 平成22年1月6日(2010.1.6)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
発明の名称または考案の名称 単層カーボンナノホーン吸着材およびその製造方法
国際特許分類 B01J  20/20        (2006.01)
B01J  20/30        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
C01B  31/02        (2006.01)
FI B01J 20/20 ZNMD
B01J 20/30
B82B 1/00
B82B 3/00
C01B 31/02 101F
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2003-174016 (P2003-174016)
出願日 平成15年6月18日(2003.6.18)
審査請求日 平成18年2月23日(2006.2.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
発明者または考案者 【氏名】飯島 澄男
【氏名】村田 克之
【氏名】金子 克美
【氏名】湯田坂 雅子
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】樺澤 朝美
参考文献・文献 特開2003-025297(JP,A)
特開2001-212453(JP,A)
特開2001-064004(JP,A)
特開2002-326032(JP,A)
調査した分野 B01J 20/00-20/34
B82B 1/00
B82B 3/00
C01B 31/02
特許請求の範囲 【請求項1】
単層カーボンナノホーンに、La、Eu、Er、およびLuから選ばれる少なくとも1種のランタニド金属が単層カーボンナノホーン1g当たり0.01mmol以上5mmol以下の担持量で担持されており、メタン吸着性を有することを特徴とする単層カーボンナノホーン吸着材。
【請求項2】
単層カーボンナノホーンをエタノールに懸濁させ、次いで所定量の硝酸ランタニドエタノール溶液を加え、さらに超音波処理を行った後、蒸発乾固させることでランタニド金属を単層カーボンナノホーンに担持させることを特徴とする単層カーボンナノホーン吸着材の製造方法。
【請求項3】
単層カーボンナノホーンを、エタノールに懸濁させる前に加熱して酸素気流下で酸化させることを特徴とする請求項2記載の単層カーボンナノホーン吸着材の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、単層カーボンナノホーン吸着材およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、メタンの吸着量が多く、メタン吸着材として有効な単層カーボンナノホーン吸着材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
単層カーボンナノホーンは管状の単層カーボンナノチューブの先端部が角(ホーン)状に尖った円錐形状を有し、カーボンナノチューブと同様に主にグラファイト構造の炭素原子面から構成されている。この単層カーボンナノホーンは、一般に、多数の単層カーボンナノホーンが角状の先端部を外にして直径80~100nm程度の球状に集合した、いわゆるダリヤ状カーボンナノホーン集合体として製造され、そのカーボンナノホーン集合体は、表面積が非常に大きく、高純度での大量合成が容易であることなどから、軽量で低コストな吸着材料等としての利用が期待されている(特許文献1および2)。
【0003】
一方で、近年エネルギー問題や環境問題を解決するため、天然ガスの原料であるメタンが、石炭や石油などの燃料の代替として期待されており、種々のメタンの貯蔵方法が提案されており、たとえば、活性炭や活性炭素繊維や高比表面積活性炭素などの種々の炭素系吸着材や金属錯体などがメタン吸着材として期待されている。
【0004】
メタン吸着用の炭素系吸着材として、単層カーボンナノホーン(SWNH:single walled carbon nanohorn)は前述のような特徴を有しており、SWNHは他の炭素材料と比較して高密度でメタンを吸着させることができ、優れたメタン吸着材として期待できるが、現在では実用化の目標(アメリカエネルギー省:35気圧、150v/v)をやや下回る、または同程度の性能を有するに留まっている。なお図6に示すように、SWNHを加熱することで(図6の□(693Kに加熱))加熱していないSWNH(図6中の○(303K))に比べてメタンの吸着量を増加させることは可能であるが、その場合においても図6の△(A20:活性炭素繊維(303K))や▽(AX21:高比表面積活性炭素(303K))と比べるとメタン吸着量は多いが、◇(A5:活性炭素繊維(303K))とはメタン吸着量の顕著な違いは見られず、さらなるメタン吸着量の向上が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002-159851
【特許文献2】
特開2002-326032
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、メタンの吸着量が多く、メタンの貯蔵を可能とする新しいメタン吸着材として有用な、単層カーボンナノホーン吸着材を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、単層カーボンナノホーンに、La、Eu、Er、およびLuから選ばれる少なくとも1種のランタニド金属が単層カーボンナノホーン1g当たり0.01mmol以上5mmol以下の担持量で担持されており、メタン吸着性を有することを特徴とする単層カーボンナノホーン吸着材を提供する。
【0010】
第2には、単層カーボンナノホーンをエタノールに懸濁させ、次いで所定量の硝酸ランタニドエタノール溶液を加え、さらに超音波処理を行った後、蒸発乾固させることでランタニド金属を単層カーボンナノホーンに担持させることを特徴とする単層カーボンナノホーン吸着材の製造方法を提供する。
【0011】
第3には、第2の発明において、単層カーボンナノホーンを、エタノールに懸濁させる前に加熱して酸素気流下で酸化させることを特徴とする単層カーボンナノホーン吸着材の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0013】
この出願の発明の単層カーボンナノホーン吸着材は、単層カーボンナノホーンにランタニド金属が担持されており、メタン吸着性を有することを大きな特徴としている。このような単層カーボンナノホーン吸着材は、メタンの吸着量を通常の単層カーボンナノホーンと比較して大幅に増加させることができ、とくに、単層カーボンナノホーン1g当たり0.01mmol以上5mmol以下の担持量とするのが好ましく、このような担持量で単層カーボンナノホーンにランタニド金属を担持させることで、その単層カーボンナノホーン吸着材のメタン吸着量をさらに向上させることが可能となる。
【0014】
このとき、他のランタニド金属を用いることももちろん可能であるが、とくに、ランタニド金属としてLa、Eu、Er、およびLuから選ばれる少なくとも1種を好適に選択することができ、これらのランタニド金属が担持された単層カーボンナノホーン吸着材は 図1に示すようにメタンをとくに高効率で吸着させることができ、メタン吸着材として極めて有用なものとすることができる。なお 図1の横軸はランタニド金属の原子番号を示しており、縦軸はランタニド金属を担持した単層カーボンナノホーン吸着材のメタン吸着密度を示している。
【0015】
なお、ランタニド金属が担持された単層カーボンナノホーン吸着材に吸着させたメタンは、減圧するだけで簡単かつ速やかに単層カーボンナノホーン吸着材から離脱させることができる。
【0016】
またこの出願の発明の単層カーボンナノホーン吸着材は、単層カーボンナノホーンをエタノールに懸濁させ、次いで所定量の硝酸ランタニドエタノール溶液を加え、超音波処理を行った後、蒸発乾固させることでランタニド金属を単層カーボンナノホーンに担持させる方法により好適に製造することができ、さらに、単層カーボンナノホーンをエタノールに懸濁させる前に加熱して酸素気流下で酸化させることで、単層カーボンナノホーンの細孔容量を増大させることができることから、加熱・酸化させてランタニド金属を担持させた単層カーボンナノホーンは、吸着メタン密度は加熱・酸化させずにランタニド金属を担持させた単層カーボンナノホーンに比べて小さくなるが、全体としてのメタンの吸着量については増大させることが可能となる。
【0017】
そして、この出願の発明における単層カーボンナノホーン(SWNH)は、通常、集合体として生成されることから、ランタニド金属はこの集合組織体の単層カーボンナノホーンに担持されていてもよいし、各々単一のカーボンナノホーンに担持されていてもよい。
【0018】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0019】
【実施例】
<実施例1>
固体状炭素単体物質に対し、不活性ガス雰囲気中で、レーザ光を照射して炭素レーザ蒸発させる、いわゆるレーザアブレーション法で調製された単層カーボンナノホーン(SWNH)をエタノールに懸濁させ、次いで所定量の硝酸ランタニドエタノール溶液を加え、5分間ソニケーション(超音波処理)を行った後に、蒸発乾固させ、ランタニド金属が担持された単層カーボンナノホーン吸着材を得た。用いたランタニドはLa、Eu、ErおよびLuであり、担持量はそれぞれSWNH1g当たり0.1mmolであった。なお比較のため、上記と同様の方法で活性炭素繊維A10に同じ処理を施しランタニド金属を担持させた。なお、活性炭素繊維A10に担持させたランタニドはEuであり、ランタニド金属の担持量は1gのA10当たり、0.1mmolであった。
【0020】
77Kでの窒素吸着測定にてそれぞれの炭素材料の細孔構造を確認したところ、表1に示すようにランタニド金属担持での細孔容量の変化はほとんど見られなかった。また、表面積もほとんど変化していなかった。
【0021】
【表1】
JP0004394383B2_000002t.gif
【0022】
次いで303K、35気圧でそれぞれの炭素材料のメタン吸着測定を行ったところ、図2に示すように、ランタニド金属が担持された単層カーボンナノホーン(図2中、黒丸:La/SWNH、黒四角:Eu/SWNH、黒菱形:Er/SWNH、黒三角:Lu/SWNH)はランタニド金属が担持されていない単層カーボンナノホーン(図2中の白丸)に比べて吸着メタン密度が約1.5倍に増加した。とくに、EuおよびLaを担持した炭素カーボンナノホーンは、ErやLuを担持した炭素カーボンナノホーンよりもさらにメタンを高効率で吸着できたことがわかる。一方、A10(図2中の白逆三角)ではランタニド金属(Eu)担持させても吸着メタン密度の増加の効果は見られなかった(図2中の黒逆三角)。
【0023】
また図3の棒グラフに、SWNH、SWNHを高温で酸化させたもの(図3中のSWNH-ox)、ランタニド金属を担持したSWNH(図3中の La/SWNH、Eu/SWNH、Er/SWNH、Lu/SWNH)、ランタニド金属を担持させて高温で酸化させたもの(Eu/SWNH-ox)の吸着メタン密度の測定結果を示す。なお比較としてメタン吸着材としてA5(活性炭素繊維)、A10(活性炭素繊維)、A20(活性炭素繊維)、AX21(高比表面積活性炭)およびMCMB(活性化メソカーボンマイクロビーズ)の吸着メタン密度の測定も行った。
【0024】
図3より、ランタニド金属を担持したSWNHに吸着した吸着メタン密度は他の炭素材料の吸着メタン密度に比べて大きいことが分かった。
<実施例2>
次に、レーザアブレーション法で調製された単層カーボンナノホーン(SWNH)を酸素気流下693Kで酸化させた後、エタノールに懸濁させ、次いで所定量の硝酸ランタニドエタノール溶液を加え、5分間ソニケーション(超音波処理)を行った後に、蒸発乾固させた。用いたランタニドはEuであり、担持量はSWNH1g当たり0.1mmolである。比較のため、SWNHを酸素気流下693Kで酸化させたものの吸着メタン密度も測定した。その結果を表2および図4に示す。
【0025】
【表2】
JP0004394383B2_000003t.gif
【0026】
この場合、表2に示すようにEu担持によって細孔容量は若干減少したが、図4より吸着メタンの密度は増大したことが分かる。
【0027】
また、表2より明らかなように加熱・酸化させたSWNHの細孔容量は表1の加熱・酸化させていないSWNHの細孔容量に比べて大きくなっている。
<実施例3>
レーザアブレーション法で調製されたSWNHをエタノールに懸濁させ、所定量の硝酸ランタニドエタノール溶液を加え、5分間ソニケーション(超音波処理)した後に乾固蒸発させた。その後その試料をペレット形成器でペレット化した。用いたランタニドはEuであり、担持量はSWNH1g当たり0.1mmolである。それらのメタンの吸着量を測定した結果を図5に示す。また比較のため、レーザアブレーション法で調製されたSWNHをエタノールに懸濁させ、ペレット形成器でペレット化したサンプルを調製した。図5より、この場合にもEu担持されたSWNHペレットのメタン吸着量は通常のSWNHペレットの場合と比べて約1.5倍に増加したことが分かる。
【0028】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、メタンの吸着量が多く、メタン吸着材として有効な単層カーボンナノホーン吸着材およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の単層カーボンナノホーン吸着材のランタニド金属の原子番号によるメタン吸着密度の違いを示すグラフである。
【図2】この出願の発明の単層カーボンナノホーン吸着材、通常の単層カーボンナノホーンおよび活性炭素繊維の吸着メタン密度を測定した結果を示すグラフである。
【図3】この出願の発明の単層カーボンナノホーン吸着材、通常の単層カーボンナノホーンおよび活性炭素繊維、その他の炭素材料の吸着メタン密度を測定した結果を示す棒グラフである。
【図4】この発明の実施例におけるSWNHとEu/SWNH-oxの吸着メタン密度を示したグラフである。
【図5】この発明の実施例におけるSWNHペレットとEu/SWNH-oxペレットのメタンの吸着量を示したグラフである。
【図6】従来のSWNH(加熱・非加熱)、活性炭素繊維、活性炭素のメタンの吸着量を示したグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5