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明細書 :磁性体を用いた分離浄化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4288555号 (P4288555)
公開番号 特開2003-326191 (P2003-326191A)
登録日 平成21年4月10日(2009.4.10)
発行日 平成21年7月1日(2009.7.1)
公開日 平成15年11月18日(2003.11.18)
発明の名称または考案の名称 磁性体を用いた分離浄化装置
国際特許分類 B03C   1/025       (2006.01)
B01D  21/01        (2006.01)
B03C   1/00        (2006.01)
C02F   1/52        (2006.01)
FI B01D 35/06 H
B01D 21/01 101A
B03C 1/00 A
C02F 1/52 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2002-133856 (P2002-133856)
出願日 平成14年5月9日(2002.5.9)
審査請求日 平成17年2月10日(2005.2.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
発明者または考案者 【氏名】岡 徹 雄
【氏名】岡 田 秀 彦
【氏名】横 山 和 哉
個別代理人の代理人 【識別番号】110000051、【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
【識別番号】110000051、【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
審査官 【審査官】三崎 仁
参考文献・文献 特開2000-000573(JP,A)
調査した分野 B01D35/06,21/01
B03C1/00-1/32
C02F1/52,1/48
特許請求の範囲 【請求項1】
磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物或いは、希少金属又は有用金属を含む溶質を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する分離浄化装置において、
非磁性材料からなる扁平な槽を介して、被処理水を流し、該槽内で形成される短い流れの両端に異極を対向させた状態で、前記流れに沿った磁場を形成するように、前記槽に対して接近させた状態で高温超伝導体よりなるバルク磁石を配置し、前記槽内を流れる前記浮遊固形物を分離回収するため、前記磁場を横切って前記槽内の流れの途中に、磁性体よりなるフィルターを備えた浮遊固形物回収領域を設けてあることを特徴とする、磁性体を用いた分離浄化装置。
【請求項2】
前記浮遊固形物回収領域に装備したフィルターが所要のメッシュで編組された構成になっていることを特徴とする、請求項1に記載の磁性体を用いた分離浄化装置。
【請求項3】
前記槽内の流れの断面積が、前記浮遊固形物回収領域での滞留時間が長くなるように、前記槽の、前記フィルターで区分された両端部に各々備えた前記被処理水の導入路及び導出路の断面積のいずれよりも大きく設定してあることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁性体を用いた分離浄化装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物あるいは溶質を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する分離浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、浄水(上水、下水、産業廃水)の処理、特に、被処理水中から富栄養化した汚泥(主として、燐含有物)を分離する際に、高勾配磁場を利用して生成された、例えば、マグネタイトなどのフェライト(粉状あるいは粒状の強磁性体:以下、磁性体微粒子と称す)を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物或いは溶質を、予め、磁性を持った浮遊固形物(フロック)としている。
【0003】
そして、この状態の被処理水を、超伝導ソレノイドコイルを外側に巻回した非磁性材料からなる導管内に導き、前記超伝導ソレノイドコイルの付勢により導管内に磁場を発生し、この磁場の中に置かれたフィルターを介して、被処理水を濾過すると共に、その後、フィルターから、これに付着した浮遊固形物を除去・回収する分離浄化装置が提唱されている。
【0004】
この分離浄化装置は、被処理水の流れに平行な方向の磁場を発生させ、フィルターによる浮遊固形物の分離効率がよい点で優れているが、反面その欠点は超伝導ソレノイドコイルを用いた場合、装置が高価となること、特に、それが低温超伝導ソレノイドであると、励磁・消磁に長時間(通常、各30分)を要するので、浮遊固形物の分離作業において、フィルター洗浄に、かなり長い中断を余儀なくされ、経済的な効率が下がる点である。
【0005】
そこで、先に、磁力による浮遊固形物の捕捉を行う際、バルク磁石により、被処理水の流れに対して平行な磁場を発生させることで、比較的簡易で低コストの装置でありながら、フィルターによる高い分離効率を発揮でき、しかも、作業を中断することなくフィルター交換が可能な、磁性体を用いた浄化装置が提唱されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非磁性材料からなる槽内を介して、被処理水を流し、該槽内での流れの両端に異極を対向させた状態で、バルク磁石により、前記流れに沿った磁場を形成する場合において、浮遊固形物回収領域での高勾配の磁場を形成し、更には、被処理水の滞留時間を長くして、前記磁場による浮遊固形物の回収効率を向上した、磁性体を用いた浄化装置あるいは分離装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明による磁性体を用いた分離浄化装置は、磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物或いは、希少金属又は有用金属を含む溶質を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する分離浄化装置において、
非磁性材料からなる扁平な槽を介して、被処理水を流し、該槽内で形成される短い流れの両端に異極を対向させた状態で、前記流れに沿った磁場を形成するように、前記槽に対して接近させた状態で高温超伝導体よりなるバルク磁石を配置し、前記槽内を流れる前記浮遊固形物を分離回収するため、前記磁場を横切って前記槽内の流れの途中に、磁性体よりなるフィルターを備えた浮遊固形物回収領域を設けてあることを特徴とする。
【0008】
このような構成では、前記バルク磁石による高勾配の磁場が得られ、しかも、磁場の方向が、被処理水の流れに沿っていて、フィルターを用いた前記浮遊固形物回収領域を通る被処理水の全量に対して、全ての浮遊固形物の捕捉機能を十分に発揮できるので、超伝導ソレノイドを用いる場合に比較して、簡易で低コストの装置を提供できる。その上、被処理水の処理作業をバルク磁石で行うので、フィルター交換の際でも、従来の、励消磁に時間のかかる低温超伝導ソレノイドを用いる場合のように、相当時間、運転を中断する必要がなく、稼働率を低下させることなく経済的に向上させるメリットが得られる。
【0009】
この場合、本発明の実施の形態として、前記浮遊固形物回収領域に装備したフィルターが所要のメッシュで編組された構成になっていることが好ましく、また、前記槽内の流れの断面積が、前記浮遊固形物回収領域での滞留時間が長くなるように、前記槽の、前記フィルターで区分された両端部に各々備えた前記被処理水の導入路及び導出路の断面積のいずれよりも大きく設定してあることが好ましく、これらは、回収効率を向上する上で効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して、具体的に説明する。なお、図1は、本発明に係る第1の実施形態を示す概略側面図、図2は、第2の実施形態を示す概略側面図、図3は、浮遊固形物回収作業を継続する過程でのフィルター交換を可能にした、浄化装置の概略平面図、図4は、同じく概略端面図である。
【0011】
本発明に係る浄化装置は、磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、磁性を持った浮遊固形物Sとし、被処理水Wの流れの中で、磁力により、浮遊固形物Sを被処理水Wから分離するものである。ここでは、非磁性材料(例えば、硬質合成樹脂)からなる扁平な槽1内の、被処理水の短い流れを挟んで、異極を対向させた状態で、前記流れに沿った磁場(磁力線Mで示す)を形成するように、槽1の短寸方向(扁平な間隔)に対してバルク磁石2、2’を配置している(図1および図2を参照)。なお、図1に示す実施形態では、被処理水を上部から槽1内に導入し、フィルター3のある浮遊固形物回収領域4を経由して、下部から導出しているが、図2に示す実施形態では、バルク磁石2、2’(例えば、円柱形)を囲むような円筒状の導入路1a、導出路1bを介して、被処理水を槽1に導入、導出する構成になっている。
【0012】
なお、バルク磁石2、2’とは、例えば、1~3テスラに磁化された酸化物超電導体(高温超伝導バルク材としての、各種金属酸化物を焼き固めたセラミックス)のことである。そして、バルク磁石2、2’を槽1に接近させた状態(バルク磁石2相互間での磁場強度として1.7テスラ以上が得られる)で、槽1内を流れる前記浮遊固形物Sを、槽1内に設けられたフィルター3のある浮遊固形物回収領域4で捕捉するように構成している。この場合、浮遊固形物回収領域4での被処理水の滞留時間を十分確保するために、流れの断面積を大きくした構成にするのがよい。
【0013】
この実施の形態において、フィルター3は、例えば、フェライトなどの磁性体からなる細かいメッシュの編組部材で構成され、バルク磁石2、2’と共同して、浮遊固形物回収領域4で、被処理水の流れの方向に平行な高勾配の磁場を形成している。なお、槽1を挟んで対向するバルク磁石2(あるいは2’)は、真空容器2a(あるいは2’a)内に収容されている。
【0014】
このような構成では、扁平な槽1を採用することで、バルク磁石2、2’の相対間隔を短くでき、高勾配の磁場が得られる。また、槽1内の浮遊固形物回収領域での、流れの断面積が大きくしてあることで、浮遊固形物の回収効率が向上できる。また、超伝導ソレノイドコイルを用いる場合のように、導管1内の被処理水の流れに沿って、十分な磁場を発生でき、しかも、バルク磁石を用いることで、超伝導ソレノイドを用いる設備に比較して、その設備を大幅に簡素化でき、低コストで提供できるメリットが得られる。
【0015】
また、図3及び図4に示す第3の実施形態では、図2に示すように、フィルター3が、複数組が、交換用支持体5に着脱可能にセットされ、それぞれ、前記交換用支持体の操作で、その1組が選択的に浮遊固形物回収領域4に挿入される。交換用支持体5は、槽1外に支軸5aを備えた円盤状回転部材であり、その一部が、例えば、O-リング6を介して、浮遊固形物回収領域4に液密に挿入される構造になっている。
【0016】
なお、ここでは、前記真空ポンプの働きで、断熱性を高めるため、真空容器内を真空状態にすると共に、前記小型冷凍機の働きで、真空容器中において、バルク磁石を、ヘリウムガスなどの冷媒を用いて、超低温(好ましくは、絶対温度4~77度)に維持する。
【0017】
また、図中、符号7、8は、槽1の、被処理水の導入側および導出側に、それぞれ、装備したゲートバルブである。
【0018】
このような構成では、ゲートバルブ7、8を開放した状態で、槽1に被処理水を流すと、前述のような、フィルター3による浮遊固形物の分離・回収を行うことができ、また、適時に、交換用支持体5を回転して、当該フィルター3を槽1外に導出すると共に、新たなフィルター3を浮遊固形物回収領域4に対応させることができる。
【0019】
従って、超伝導ソレノイドコイルを用いる場合のように、槽1内の被処理水の流れに沿って、十分な磁場を発生でき、しかも、バルク磁石を用いることで、超伝導ソレノイドを用いる設備に比較して、その設備を大幅に簡素化でき、低コストで提供できるメリットが得られる。しかも、運転を中断することなく、フィルター交換ができ、運転状態を実質的に継続することができ、稼働率を向上できる。
【0020】
なお、この実施の形態では、バルク磁石による磁場の発生、フィルターに捕捉した浮遊固形物の除去を簡潔に説明するために、単列の槽1での被処理水からの浮遊固形物の回収について、その構成および作用効果を示しているが、規模の大型化や補修などを配慮して、浮遊固形物の連続除去作業を維持するために、実際には、槽1を複列(少なくとも、2列)とし、そこに、それぞれ、浮遊固形物回収領域およびこれに対応するバルク磁石、支持部材による交換可能なフィルターなどを設けることが望ましい。
【0021】
また、槽1を複列とし、これらへの、被処理水の導入、導出を切り替えるバルブ及び配管を設備して、一方の槽で被処理水の処理を行い、他方の槽で、フィルターの洗浄を行うようなシステム構成にしてもよい。この場合、各列に対して、共通するバルク磁石の対を、適当な手段で移動するような構成にしてもよい。この場合も、被処理水の実質的な処理作業の継続性が得られる。
【0022】
本発明で分離される固形物は汚濁物のみならず、希少金属や有用な金属などのの分離抽出を行なうことができる。また形態が、酸化物、有機物、無機物或いはこれらの複合物質であっても十分に経済的な分離抽出を行なうことができる。従って、本発明の効果は単に分離浄化に留まるものではない。
【0023】
さらに、高温超電導バルク磁石に代えて、銅コイル、低温超電導線材あるいは高温超電導線材によるコイルを用いて磁場を発生させ、本発明の技術的思想の範囲で分離浄化装置を構成することもできる。同様に高温超電導バルク磁石に代えて希土類永久磁石又はフェライト永久磁石を用いる構成で本発明を実施することもできる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上詳述したように、磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物又は溶質を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する分離浄化装置において、非磁性材料からなる扁平な槽を介して、被処理水を流し、該槽内で形成される短い流れの両端に異極を対向させた状態で、前記流れに沿った磁場を形成するように、前記槽に対して接近させた状態で高温超伝導体よりなるバルク磁石を配置し、前記槽内を流れる前記浮遊固形物を回収するため、前記磁場を横切って前記槽内の流れの途中に、フィルターを備えた浮遊固形物回収領域を設けていることを特徴とする。
【0025】
従って、バルク磁石の相互間を短くできるので、高い勾配の磁場が形成でき、フィルターを用いた前記浮遊固形物回収領域を通る被処理水の全量に対して、全ての浮遊固形物の捕捉機能を十分に発揮できる上、超伝導ソレノイドを用いた磁場発生装置に比較して、簡易な構成で、低コストの装置として提供できるメリットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態を示す概略側面図である。
【図2】同じく、第2の実施の形態を示す概略側面図である。
【図3】同じく、第3の実施の形態を示す概略平面図である。
【図4】同じく、概略端面図である。
【符号の説明】
1 扁平な槽
1a 導入路
1b 導出路
2、2’ バルク磁石
3 フィルター
4 浮遊固形物回収領域
5 交換用支持体
6 O-リング
7、8 ゲートバルブ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3