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明細書 :磁性体を用いた浄化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4009699号 (P4009699)
公開番号 特開2003-334564 (P2003-334564A)
登録日 平成19年9月14日(2007.9.14)
発行日 平成19年11月21日(2007.11.21)
公開日 平成15年11月25日(2003.11.25)
発明の名称または考案の名称 磁性体を用いた浄化装置
国際特許分類 C02F   1/52        (2006.01)
B01D  21/01        (2006.01)
B01D  35/06        (2006.01)
B03C   1/027       (2006.01)
B03C   1/029       (2006.01)
B03C   1/03        (2006.01)
B03C   1/033       (2006.01)
FI C02F 1/52 Z
B01D 21/01 101A
B01D 35/06 A
B01D 35/06 K
B01D 35/06 L
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2002-141865 (P2002-141865)
出願日 平成14年5月16日(2002.5.16)
審査請求日 平成17年3月2日(2005.3.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
発明者または考案者 【氏名】能 登 宏 七
【氏名】岡 徹 雄
【氏名】横 山 和 哉
【氏名】岡 田 秀 彦
個別代理人の代理人 【識別番号】110000051、【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
【識別番号】110000051、【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
審査官 【審査官】伊藤 紀史
参考文献・文献 特開2000-005526(JP,A)
特開2002-008917(JP,A)
特開平06-047794(JP,A)
特開平10-118424(JP,A)
特開2000-262925(JP,A)
特開2000-312838(JP,A)
特開2001-096188(JP,A)
特開2002-119887(JP,A)
特開2003-080108(JP,A)
横山和哉,冷凍機冷却した捕捉磁場マグネットによる固液磁気分離(2),電気学会全国大会講演論文集,日本,電気学会,2002年 3月,p.69
村上雅人,バルク超伝導磁石応用 磁気分離装置,応用物理学連合講演会講演予稿集,日本,社団法人 応用物理学会,2002年 3月27日,p.62
調査した分野 C02F 1/52
B01D 21/01
B01D 35/06
B03C 1/027
B03C 1/029
B03C 1/03
B03C 1/033
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する浄化装置において、
(2)非磁性材料からな直進する導管であって、その内部に前記被処理水す導管に対して、前記導管の外部に近接して前記導管を挟んで、同一極性の磁極面を対向させた状態で前記磁極面が前記導管の直進方向に平行になるように一対のバルク磁石が配置されて、前記導管の直進方向に平行な部分を含む磁場が前記導管の内部に形成され
(3)前記導管内を流れる前記浮遊固形物を、前記磁場を横切って前記導管の途中に設けられた浮遊固形物回収領域で捕捉するように、前記浮遊固形物回収領域に挿入されるフィルターを備えており、
(4)該フィルターは、複数組が交換用支持体に着脱可能にセットされ、前記交換用支持体の操作で、その1組が選択的に前記浮遊固形物回収領域に挿入され、
(5)前記バルク磁石の対は複数対あり、前記導管の直進方向に沿って間隙を保って配置され、それぞれの前記対向する同一極性の磁極面の極性が隣接する対とは反対となるように配置され、
(6)前記交換用支持体が前記隣接する複数のバルク磁石の対の間隙に介挿されて、前記浮遊固形物回収領域が、前記隣接する複数のバルク磁石の対の間隙に対応する前記導管の内部領域になることを特徴とする、磁性体を用いた浄化装置。
【請求項2】
前記フィルターの材料には、感磁性体が用いられ、それが所要のメッシュで編組された構成になっていることを特徴とする、請求項1に記載の磁性体を用いた浄化装置。
【請求項3】
前記交換用支持体は、前記導管外に支軸を備えた円盤状回転部材であり、その一部が前記浮遊固形物回収領域に液密に挿入される構造になっていることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁性体を用いた浄化装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、浄水(上水、下水、産業廃水)の処理、特に、被処理水中から富栄養化した汚泥(主として、燐含有物)を分離する際に、高勾配磁場を利用して生成された、例えば、マグネタイトなどのフェライト(粉状あるいは粒状の強磁性体:以下、磁性体微粒子と称す)を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、予め、磁性を持った浮遊固形物(フロック)としている。
【0003】
そして、この状態の被処理水を、超伝導ソレノイドコイルを外側に巻回した非磁性材料からなる導管内に導き、前記超伝導ソレノイドコイルの付勢により導管内に磁場を発生し、この磁場の中に置かれたフィルターを介して、被処理水を濾過すると共に、その後、フィルターから、これに付着した浮遊固形物を除去・回収する浄化装置が提唱されている。
【0004】
この浄化装置は、被処理水の流れに平行な方向の磁場を発生させて、フィルターによる浮遊固形物の分離効率がよい点で優れているが、固液の磁気分離では、被処理水中の磁性粒子を捕捉すると同時に、フィルターを洗浄する必要があり、その間、磁場を切らなければならない。
【0005】
ここでの問題点は、超伝導ソレノイドコイルを用いた場合、装置が高価となること、特に、それが低温超伝導ソレノイドであると、励磁・消磁に長時間(通常、各30分)を要するので、浮遊固形物の分離作業において、フィルター洗浄に、かなり長い中断を余儀なくされる点である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、磁力による浮遊固形物の捕捉を行う際、被処理水の流れに対して平行な磁場を発生させることで、フィルターによる高い分離効率を発揮でき、しかも、作業を中断することなくフィルター交換が可能な、磁性体を用いた浄化装置を安価に提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明による磁性体を用いた浄化装置は、 (1)磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、磁性を持った浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により、前記浮遊固形物を被処理水から分離する浄化装置において、 (2)非磁性材料からな直進する導管であって、その内部に前記被処理水す導管に対して、前記導管の外部に近接して前記導管を挟んで、同一極性の磁極面を対向させた状態で前記磁極面が前記導管の直進方向に平行になるように一対のバルク磁石が配置されて、前記導管の直進方向に平行な部分を含む磁場が前記導管の内部に形成され (3)前記導管内を流れる前記浮遊固形物を、前記磁場を横切って前記導管の途中に設けられた浮遊固形物回収領域で捕捉するように、前記浮遊固形物回収領域に挿入されるフィルターを備えており、 (4)該フィルターは、複数組が交換用支持体に着脱可能にセットされ、前記交換用支持体の操作で、その1組が選択的に前記浮遊固形物回収領域に挿入され、 (5)前記バルク磁石の対は複数対あり、前記導管の直進方向に沿って間隙を保って配置され、それぞれの前記対向する同一極性の磁極面の極性が隣接する対とは反対となるように配置され、 (6)前記交換用支持体が前記隣接する複数のバルク磁石の対の間隙に介挿されて、前記浮遊固形物回収領域が、前記隣接する複数のバルク磁石の対の間隙に対応する前記導管の内部領域になることを特徴とする。
【0008】
このような構成では、前記磁石による磁場の方向が、被処理水の流れに沿っていて、フィルターを用いた前記浮遊固形物回収領域を通る被処理水の全量に対して、全ての浮遊固形物の捕捉機能を十分に発揮できる上、前記フィルター交換を瞬時に行えるので、バルク磁石による被処理水の処理作業を実質的に中断することなく、継続的に行えるから、超伝導ソレノイドを用いる場合、特に、励消磁に時間の掛かる低温超伝導ソレノイドを用いる場合のように、相当時間、運転を中断する必要がなく、継続運転が可能となり、稼働率を向上するメリットが得られる。
【0009】
この場合、本発明の実施の形態として、前記フィルターの材料には、感磁性体が用いられ、それが所要のメッシュで編組された構成になっていることが好ましく、また、前記バルク磁石の対は複数対あり、隣接する対とは、それぞれに対向する同磁極の向きが反対となるように、配置されていることが実施の形態を拡大した事例として、有効である。
【0010】
しかも、前記交換用支持体は、前記導管外に支軸を備えた円盤状回転部材であり、その一部が前記浮遊固形物回収領域に液密に挿入される構造になっていることも、好ましい実施の形態である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して、具体的に説明する。なお、図1は、概略構成を示す平面図、図2は、フィルターを装備した円盤状回転部材を示す正面図である。
【0012】
本発明に係る浄化装置は、磁性体微粒子を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、磁性を持った浮遊固形物Sとし、被処理水Wの流れの中で、磁力により、浮遊固形物Sを被処理水Wから分離するものである。ここでは、非磁性材料(例えば、硬質合成樹脂)からなる導管1(配管)内の被処理水の流れを挟んで同極を対向させた状態で、前記流れに沿った磁場(磁力線Mで示す)を形成するように、導管1に対してバルク磁石2、2’、2”を配置している(図1を参照)。
【0013】
なお、バルク磁石2、2’、2”とは、例えば、1~5テスラに磁化されたバルク材(高温超伝導バルク材としての、各種金属酸化物を焼き固めたセラミックスの酸化物超伝導体)のことである。そして、バルク磁石2、2’、2”を導管1に接近させた状態(バルク磁石2相互間での磁場強度として1テスラ程度が得られる)で、導管1内を流れる前記浮遊固形物Sを、導管1内に設けられたフィルター3のある浮遊固形物回収領域4、4’で捕捉するように構成している。
【0014】
この実施の形態において、フィルター3は、例えば、フェライトなどの感磁性体からなる細かいメッシュの編組部材で構成され、バルク磁石2、2’、2”と共同して、浮遊固形物回収領域4、4’でも、被処理水の流れの方向に平行な磁場を形成している。
【0015】
また、この実施の形態では、複数対のバルク磁石2、2’、2”が、導管1の長手方向に配置されるが、この場合、フィルター3の在る位置で、被処理水の流れに平行な磁場を形成するため、隣接する各対のバルク磁石2、2’および2’、2”は、それぞれの対向する磁極が、隣接する対に関して、異極となるように配列している。例えば、バルク磁石2の対向磁極をそれぞれN極とした場合、隣接するバルク磁石2’の対向磁極をそれぞれS極、次のバルク磁石2”の対向磁極をそれぞれN極とするのである。
【0016】
図2に示すように、フィルター3は、複数組が、交換用支持体5、5’に着脱可能にセットされ、それぞれ、前記交換用支持体の操作で、その1組が選択的に浮遊固形物回収領域4あるいは4’に挿入される。交換用支持体5、5’は、導管1外に支軸5a、5a’を備えた円盤状回転部材であり、その一部が、例えば、O-リング6を介して、浮遊固形物回収領域4、4’に液密に挿入される構造になっている。なお、管1を挟んで対向するバルク磁石2(あるいは2’、2”)は、真空容器(図示せず)内に収容されている。
【0017】
なお、ここでは、前記真空ポンプの働きで、断熱性を高めるため、真空容器内を真空状態にすると共に、前記小型冷凍機の働きで、真空容器中において、バルク磁石を、ヘリウムガスなどの冷媒を用いて、超低温(好ましくは、絶対温度4~100度)に維持する。
【0018】
なお、図中、符号7、8は、導管1の、被処理水の導入側および導出側に、それぞれ、装備したゲートバルブである。
【0019】
このような構成では、ゲートバルブ7、8を開放した状態で、導管1に被処理水を流すと、前述のような、フィルター3による浮遊固形物の分離・回収を行うことができ、また、適時に、交換用支持体5、5’を回転して、当該フィルター3を導管1外に導出すると共に、新たなフィルター3を浮遊固形物回収領域4、4’に対応させることができる。
【0020】
従って、超伝導ソレノイドコイルを用いる場合のように、導管1内の被処理水の流れに沿って、十分な磁場を発生させることができ、しかも、バルク磁石を用いることで、超伝導ソレノイドを用いる設備に比較して、その設備を大幅に簡素化でき、低コストで提供できるメリットが得られる。しかも、運転を中断することなく、フィルター交換ができ、運転状態を実質的に継続することができ、稼働率を向上できる。
【0021】
なお、この実施の形態では、バルク磁石による磁場の発生、フィルターに捕捉した浮遊固形物の除去を簡潔に説明するために、単列の導管1での被処理水からの浮遊固形物の回収について、その構成および作用効果を示しているが、規模の大型化や補修などを配慮して、浮遊固形物の連続除去作業を維持するために、実際には、導管1を複列(少なくとも、2列)とし、そこに、それぞれ、浮遊固形物回収領域およびこれに対応するバルク磁石、支持部材による交換可能なフィルターなどを設けることが望ましい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルターを用いた前記浮遊固形物回収領域を通る被処理水の全量に対して、全ての浮遊固形物の捕捉機能を十分に発揮できる上、前記フィルターの交換操作で、前記回収領域での磁場の発生、消滅を行わずに、実質的に継続作業を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態を示す概略平面図である。
【図2】同じく、フィルターの交換を可能とする交換用支持体の構成を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 導管(配管)
2、2’、2” バルク磁石
3 フィルター
4、4’ 浮遊固形物回収領域
5 交換用支持体
6 O-リング
7、8 ゲートバルブ
図面
【図1】
0
【図2】
1