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明細書 :まろやかな健康食酢及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3811712号 (P3811712)
公開番号 特開2005-027535 (P2005-027535A)
登録日 平成18年6月9日(2006.6.9)
発行日 平成18年8月23日(2006.8.23)
公開日 平成17年2月3日(2005.2.3)
発明の名称または考案の名称 まろやかな健康食酢及びその製造方法
国際特許分類 C12J   1/00        (2006.01)
FI C12J 1/00 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2003-194290 (P2003-194290)
出願日 平成15年7月9日(2003.7.9)
審査請求日 平成16年5月31日(2004.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】391016082
【氏名又は名称】山口県
【識別番号】595058532
【氏名又は名称】三井ヘルプ株式会社
発明者または考案者 【氏名】佐伯 明比古
【氏名】渡辺 最昭
【氏名】渡辺 博敏
個別代理人の代理人 【識別番号】100096415、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 大
審査官 【審査官】中島 庸子
参考文献・文献 特開平08-294379(JP,A)
特開平10-298009(JP,A)
特開2003-047456(JP,A)
特開2003-192603(JP,A)
特開2004-321051(JP,A)
「北海道立食品加工研究センター平成7年度事業報告平成8年度事業計画」,日本,1996年,第31-32頁(1996)
調査した分野 C12J 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ヤーコン塊根部の搾汁を用いて発酵により製造された酢であって、該酢の成分中に、前記搾汁に由来するフラクトオリゴ糖を1重量%以上及びポリフェノール類を0.1重量%以上含有することを特徴とするまろやかな健康食酢。
【請求項2】
前記酢は、酢酸濃度が1~6重量%であることを特徴とする請求項1記載のまろやかな健康食酢。
【請求項3】
皮付きのヤーコン塊根部を、80℃を超える温度で、5~60分の時間をかけて熱処理した後、破砕及び圧搾して得た搾汁を、65~80℃の温度で10~30分の時間をかけて熱処理して滅菌搾汁を得、該滅菌搾汁にエタノールを添加して酢酸発酵することを特徴とするまろやかな健康食酢の製造方法。
【請求項4】
皮付きのヤーコン塊根部を、80℃を超える温度で、5~60分の時間をかけて熱処理した後、破砕及び圧搾して得た搾汁を、65~80℃の温度で10~30分の時間をかけて熱処理して滅菌搾汁を得、該滅菌搾汁をアルコール発酵した後、酢酸発酵することを特徴とするまろやかな健康食酢の製造方法。
【請求項5】
前記酢酸発酵は、アルコール発酵の前又は後にエタノールを添加して行うことを特徴とする請求項4記載のまろやかな健康食酢の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な健康食酢に係り、特に、家庭用、業務用及び各種食品加工用に好適なまろやかな健康食酢とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
日本食品科学工学会誌 第47巻 第10号 P803(2000年)
食酢は、米酢のように主食の米を利用して古くから製造されてきた。今日では、原料によって食酢は多様化しているが、基本的には、JASにより分類されている。即ち、食酢は、醸造酢と合成酢に大別され、前者は、穀物酢(穀物酢、米酢)、果実酢(果実酢、リンゴ酢、ブドウ酢)、及び穀物酢と果実酢以外の醸造酢に分類されている。醸造酢は、微生物を利用して作られるが、微生物の参加様式から次の1~3段型に分類される。
【0003】
1段型は、含有アルコールを酢酸菌の働きで酢酸に変える型であり、アルコール酢、粕酢がこれに該当する。2段型は、発酵性糖類(グルコース、フラクトース、マルトース、シュクロース等)を含む原料に酵母を加えてアルコールを造り、これに酢酸菌を加えて、酢酸に変える型であり、糖蜜酢、果実酢がこれにあたる。3段型は、でん粉、穀類、イモ類を糊化して粉砕し麦芽とまぜるか、麹カビをまぜて、でん粉を発酵性糖類に分解し、酵母を加えてアルコールとし、ついで酢酸菌を働かせて酢酸に変える型であり、例えば米酢、麦芽酢がこれに該当する。醸造酢による食酢は、合成酢酸を含まず、原料によって酢に含まれる微量成分は異なることになる。食酢の原料は、糖類が重要な役割をしており、これが甘味と風味、それに健康機能性を与える。
【0004】
また、中南米原産でキク料の根菜であるヤーコン塊根は、多汁であり、この中にフラクトオリゴ糖が多量含まれており、フラクトオリゴ糖などの非発酵性糖類と共に、発酵性糖類であるグルコース、フラクトース、シュクロース等も多く含み、糖類からできた塊根である。このヤーコン塊根は、食酢原料として適し、フラクトオリゴ糖を含有するヤーコン酢の製造が報告されている〔日本食品科学工学会誌 第47巻 第10号P803(2000年)〕。この報告では、発酵原料として使用するヤーコン塊根は、皮をむき、内部果肉部分を破砕し圧搾して得た搾汁である。一方、オリゴ糖酢としては、大豆オリゴ糖酢〔日本農芸化学会誌第66巻、第4号、p.727(1992年)〕、イソマルトオリゴ糖酢(特開平5-23162号公報)〕などがある。
これらは、いずれもオリゴ糖を含有する酢であり、体調調節機能性をもち、特に整腸作用や血清脂質改善作用があるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、ヤーコン塊根中に含まれる有用成分であるフラクトオリゴ糖やポリフェノール類等を最大限に活用したまろやかな健康食酢とその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、ヤーコン塊根部の搾汁を用いて発酵により製造された酢であって、該酢の成分中に前記搾汁に由来するフラクトオリゴ糖を1重量%以上及びポリフェノール類を0.1重量%以上含有することを特徴とするまろやかな健康食酢としたものである。
前記健康食酢は、酢酸濃度が1~6重量%であるのがよい。
また、本発明では、前記まろやかな健康食酢は、皮付きのヤーコン塊根部を、80℃を超える温度で、5~60分の時間をかけて熱処理した後、破砕及び圧搾して得た搾汁を、65~80℃の温度で10~30分の時間をかけて熱処理して滅菌搾汁を得、該滅菌搾汁にエタノールを添加して酢酸発酵して製造するか、又は、皮付きのヤーコン塊根部を、80℃を超える温度で、5~60分の時間をかけて熱処理した後、破砕及び圧搾して得た搾汁を、65~80℃の温度で10~30分の時間をかけて熱処理して滅菌搾汁を得、該滅菌搾汁をアルコール発酵した後、酢酸発酵して製造することができる。
前記製造方法において、アルコール発酵する場合は、その前、又は後にエタノールを添加することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、ヤーコン塊根のもつ健康機能性成分を最大限に活用した健康食酢及びその製造方法である。即ち、本発明の食酢は、ヤーコン塊根中の発酵性糖類をアルコール発酵によりアルコールに変えるか、又は食酢製造用アルコールを添加混合した後、酢酸発酵することにより得ることができる。しかも、ヤーコン塊根は、皮付のまま、高温で殺菌し、ついで破砕し圧搾して得られる搾汁を発酵原料として用いることで、本発明の目的が達成できる。
本発明の健康食酢は、1段型及び2段型の食酢に属するものであるが、非発酵性糖類であるフラクトオリゴ糖などを多量に含み、ポリフェノール類、ビタミン類、ミネラル類をを多く含む健康機能性に富んだ、まろやかな酸味と風味を有する新規な食酢である。
【0008】
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の食酢原料として用いるヤーコン塊根は、最近健康野菜として注目され、認知度も高まってきており、本発明者らも早くから着目して製品開発を進めており、既に、ジュースを始め、多くの製品を上市している。
ヤーコン塊根は、栄養成分として、でん粉を含まず、大部分が糖質からなる根菜である。その糖質は、発酵性糖類(グルコース、フラクトース、シュクロースなど)と非発酵性糖類(フラクトオリゴ糖及びグルコースとフラクトースからなる長鎖化合物を多数含む)からなっている。ヤーコン塊根を発酵原料として用いる場合、多くの問題があり、その克服が重要である。ヤーコン塊根のもつ機能性成分を最大限に活用した食酢の提供が、本発明の最大の課題である。
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ヤーコン塊根を水洗いし、皮付きのまま発酵原料として用いることが、その成分を最大限に活用した食酢に有効であることを見出した。ヤーコンは、ポリフェノールを多く含有することが知られているが、ポリフェノールの多くは皮の部分に含まれており、それを発酵した食酢に取り込むことが有効である。皮付きのままでかつ、芋の形状のままで搾汁することにより、ポリフェノールのみならず、フラクトオリゴ糖やビタミン類を高度に利用できることが明らかになった。恐らく、これらの成分は、ブランチング等の通常の前処理工程で溶出し、損失するものと考えられる。
【0010】
本発明では、ヤーコン塊根のもつ機能性成分を高度に利用する目的で、皮付きのままでかつ、塊根の形状を保持したまま、原料として用いるために、新しい課題に直面する。それは、耐熱性菌として知られる芽胞菌の殺菌・除去が、重要な課題となる。本発明者の研究によれば、栽培地、栽培条件によって、これらの耐熱性菌である芽胞菌の存在を確認している。
従来は、ヤーコン塊根を水洗いし、ついで脱皮して使われることが常であり、皮付きのままで使われる例はあり得なかった。本発明者らも、今までは、常に脱皮後、加熱処理してジュース化してきた。
【0011】
芽胞菌の完全除去に関して研究を重ねた結果、次の第一段から第三段の加熱で耐熱性菌を完全に除去できることを見出した。まず、第一段で、皮付きのままのヤーコン芋を80℃以上、好ましくは85℃以上の温度で5~60分の時間をかけて熱処理することが必要であり、この段階で、ほとんどの芽胞菌は除去できた。第二段で、既に熱処理をすませたヤーコン芋を破砕及び圧搾し、更に搾汁を65℃~80℃の温度で10~20分の時間をかけて熱処理を行うことで、滅菌できていることが判明した。次いで、第二段を経て得た搾汁を原料として、酵母を加え、アルコール発酵するか、或いは、搾汁に直接、醸造アルコールを加え、そのいずれかに、酢酸菌を添加して、酢酸発酵を行い、発酵終了液を珪藻土を用いてろ過する。このろ液をタンクに入れ、70℃、30分間殺菌し、容器に充填する。この三段目の加熱処理で、すべての耐熱性菌も完全に除去できることが明らかになった。
【0012】
第三の課題として、ヤーコン塊根につきものの褐変問題がある。ヤーコン芋は空気酸化により徐々に褐変し、黒く変質する。本発明者らは、ヤーコン芋の褐変現象については、既にメカニズムを解明し、解決策を提案している(特許第3044337号)。
褐変問題のために、滅菌した典型的な2つのヤーコン搾汁を用いて酢酸発酵を行った。一つは、酸化して緑色を呈したヤーコンジュース、今一つは、ビタミンCを加えて黄色を呈したヤーコンジュースを発酵原料として用いた。結果としてヤーコンジュースとして商品化する場合は、褐変現象によって商品価値を失うことになるが、発酵後酢酸に変わった時点で、いずれの場合も赤みを帯びた食酢となり、酢酸発酵工程を経ることで、褐変問題は解決できた。
【0013】
本発明の食酢の製造方法について、発酵条件及び菌株の種類は、特に限定されるものではない。
本発明で使用するヤーコン塊根搾汁の製造に関しては、いくつか留意する点がある。即ち、ヤーコン塊根は、芋洗機などで水洗いし、所定の加熱処理を行い、次いで、破砕機で破砕するが、その際、決して水を加えないことである。水を加えると、ヤーコン塊根中に含まれる機能成分が希釈されることになる。従って、水を加えないでも根菜が破砕できる型の破砕機を選別する。次いで、破砕物を固液分離するが、スクリュー式の固液分離機を用いると、連続的に搾汁を得ることができるので便利である。
【0014】
本発明のアルコール発酵処理条件については、特に限定されるものではない。有用な酵母をあげると、例えば、Saccharomyces cerevisiae AKU4100、 Saccharomyces sake AKU4111、Schizosaccharomyces pombe AKU4220、Saccharomycodes Iudwigii AKU4400などである。
アルコール発酵は、30℃で時々撹拌して行い、3~4日で発酵を完了することができる。
【0015】
本発明の酢酸発酵条件についても、特に限定されるものではない。検討した有用な酢酸菌をあげると、Acetobacter aceti IFO3283、Acetobacter rances IFO3298、Acetobacter methanolicus JCM6891、Acetobacter pasteurianus IFO3222、Acetobacter aceti IFO3299、Acetobacter lovaniensis SKU1108などである。
酢酸発酵は、30℃で撹拌下、深部発酵法で行い、24~48時間で発酵を完了することができる。
【0016】
本発明で得られる食酢は、さわやかな酸味と風味を持ち、直接食しても美味しく飲むことができる。栄養成分の分析結果から、あたかもヤーコン搾汁に市販の醸造酢酸を添加した組成に近い。しかしながら、添加混合系のものが、酢酸特有の刺激臭と強い酸味を呈するので、直接飲むことができないのに対し、酢酸菌を用いた発酵工程を経て得た食酢は、本当にまろやかで直接飲んで、その違いを100パーセント感じとることができる。この違いの理由は明らかではないが、醸造酢の酸味が酢酸によるものであるのに対して、発酵工程を経たものは、酢酸以外の有機酸を含み、食酢の香味とまろやかさを与えているものと推測される。事実、クエン酸やグルコン酸などの有機酸が生成しており、また、同時に酢酸発酵により、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類や、そのほかの香気成分も生成するとの研究もあるので、これらの副産物が、食酢のまろやかさを醸成しているものと考えられる。
【0017】
本発明の食酢は、酢の効能に加えて、フラクトオリゴ糖に由来する整腸機能(腸内の有用菌の代表であるビフィズス菌の栄養源となり、顕著な腸内菌改善効果がある)、コレステロールの低下による血清脂質改善作用、便秘改善効果などの体調調節機能を併せもつ食酢となる。また、ポリフェノールを多量に含有しており、抗酸化機能、活性酸素消去機構を併せもつ食酢である。また、ミネラル類も豊富に含み、酢の作用と相乗的に酸性体質の改善に役立つ食酢でもある。
本発明で得られる食酢は、酢酸発酵条件によっても異なるが、酢酸濃度2~10%、フラクトオリゴ糖濃度1.5%以上、ポリフェノール0.1から0.3%である。また、ミネラル類を代表して、例えばカリウムは0.2~0.4%を含有する食酢が得られる。
【0018】
分析方法は下記の通りである。
(1)糖類の分析:グルコース、フラクトース、シュクロース、フラクトオリゴ糖などの糖類の分析は、DIONEX社製の液体クロマトグラフにより行った。定量は、標準試薬を用い検量線を作成して行った。
(2)ポリフェノールの分析:全ポリフェノール含量の測定はSigleton & Rassiらの報告を一部改良した米山らの方法によった〔日食工誌 第26巻 38頁(1979)〕。即ち、純水で2倍に希釈したフェノール試薬0.5mlに試料0.5ml、0.4M炭酸ナトリウム溶液2.5mlを加え、50℃、5分間反応させた後、直ちに流水中で冷却し、765nmの吸光度を測定した。標準物質に没食子酸を用いた検量線より、全ポリフェノールを定量した。
【0019】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
ヤーコン塊根を芋洗機で水洗する。水洗したヤーコンを皮付きのままで且つ、芋をまるごとのままカゴに入れ、85℃、15分間、熱水処理する。加熱処理したヤーコン芋を破砕機で細かく破砕した後、これをスクリュープレス機で圧搾を行い、ヤーコン搾汁を得た。次いで、70℃、15分間、タンクにて熱処理を行い、殺菌搾汁とし、発酵原料とした、芽胞菌などの耐熱性菌は、全く存在しないことを確認できた。
酢酸菌として、Acetobacter lovaniensis SKU1108 を用い、前培養は、グルコース0.5%、グリセロール0.5%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.5%、エタノール2%、酢酸1%からなる培地で30℃、48時間振盪培養したものを使用した。
【0020】
ヤーコン搾汁900ml、エタノール55mlに酢酸菌前培養液100mlを接種して、ジャーファーメンター(30℃、1000rpm、0.2vvm)で培養行った。初発酢酸濃度は0.2%、初発エタノール濃度は3.8%、初発pHは4.3であった。46時間の発酵で、総酸4.92%、酢酸4.38%、クエン0.02%、グルコン酸0.3%、pHは3.3となった。発酵終了後、珪藻士を用いてろ過して菌体などを除き、70℃、30分間、火入れして殺菌した。透明度良好な食酢が得られた。得られ食酢中に、フラクトオリゴ糖1.67%、果糖4.13%、ブドウ糖0.55%、イヌリン2.4%、ポリフェノール0.18%、カリウム0.22%及びたんぱく質も0.3%を含有していた。
この食酢は、まろやかな酸味と風味をもち、直接飲んでも美味しいものであった。
【0021】
実施例2
実施例1で得たヤーコン搾汁を発酵原料として使用した。酵母として、Schizosaccharomyces pombe AKU4220を用い、前培養は、グルコース1%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%からなる培地で、30℃、2日間培養したものを使用した。
ヤーコン搾汁500ml、酢酸1.25mlに、酵母前培養液25mlを接種して、30℃、5日間培養した。その結果、発酵の立ち上がりが早く、3~4日間で、発酵は完了した。そして、生成エタノールは4.4%であった。
本例で使用した酢酸菌は、Acetobacter lovaniensis SKU1108であった。
酢酸菌の前培養は、グルコース0.5%、グリセロール0.5%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.5%、エタノール2%、酢酸1%からなる培地で、30℃、29時間振盪培養したものを使用し、上に得たアルコール発酵ヤーコン搾汁に酢酸菌用培養液50mlを接種した。ついで、30℃、43時間、回転振盪培養(160rpm)を行った。初発酢酸濃度は0.5%、初発エタノール濃度は3.9%、初発pHは4.0であった。
【0022】
43時間の発酵で、酢酸5.0%の食酢が製造できた。発酵終了後、珪藻土を用いてろ過して菌体を除き、70℃、30分間火入れして殺菌した。得られた食酢は、透明度良好であった。この食酢は、まろやかで直接飲んでも美味しいものであった。
食酢中の栄養成分は、総酸5.14%、酢酸4.81%、グルコン酸0.1%、クエン酸0.03%、pH3.1であった。また、フラクトオリゴ糖1.55%、果糖0.8%、ブドウ糖0.2%、イヌリンなど2.3%、ポリフェノール0.16%、カリウム0.3%、たんぱく質0.2%の含有率であった。得られた食酢の抗酸化性(リノール酸の酸化を指標に検定した)は、1mMアスコルビン酸と同程度であった。また、活性酸素消去効果は、スーパーオキシドアニオンラジカルに対し、1mMアスコルビン酸と1mMトコフェロールの中間的な補足効果を示した。
【0023】
比較例1
実施例1において、ヤーコン塊根を水洗いし、皮むき器を用いて完全脱皮する。これをかごに人れ、75℃、15分間熱水処理する。これ以外は、実施例1と同じ操作により、食酢を得た。総酸5.1%、酢酸4.8%、pHは3.1であった。得られた食酢中に、フラクトオリゴ糖0.78%、果糖4.4%、ブドウ糖1.4%、ポリフェノール0.08%、カリウム0.16%であった。実施例1と比較して分かるように、フラクトオリゴ糖は皮をむくことで溶出し、ポリフェノールは半分以下の含有量となった。
芽胞菌は産地により異なり、検出されるものもあった。
【0024】
参考例1
実施例1で得たヤーコン搾汁に、醸造酢を加え、酸度4.5に調整した。
実施例1の食酢と前記参考例1の食酢を15名のモニターにて官能検査を実施した。15名のすべての人が両食酢の違いを明確に認め、実施例1をおいしくて、まろやかで好ましいと評価した。
【0025】
参考例2
実施例1で得たヤーコン搾汁に、醸造酢を加え、酸度5.0%に調整した。
実施例2の食酢と前記参考例2の食酢を15名のモニターにて官能検査を実施した。15名のすべての人が両食酢の明らかな違いを認め、実施例2をまろやかで美味しいと評価した。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、ヤーコン塊根のもつ機能性成分を最大限に活用した健康食酢であり、ヤーコン中の発酵性糖類をアルコールに変えるか、又は、食酢製造用アルコールを混合して酢酸発酵して得られる。本発明により得られる食酢は、ヤーコン塊根部を皮付きのまま搾汁したものを発酵原料として用いた結果、フラクトオリゴ糖などの非発酵性糖類を損失させることなく含有し、かつ、皮の周辺に集中するポリフェノール類を含有するほか、ビタミンC、B1、B2、カロチンなども含有し、カリウム等のミネラル類を多く含み、酢酸以外の有機酸も含有するため、健康機能性に富んだ、まろやかな酸味と風味をもった食酢である。抗酸化機能は、1mMアスコルビン酸に相当し、活性酸素消去搬能は、スーパーオキシドアニオンラジカルに対して1mMアスコルビン酸と1mMトコフェロールの中間的な補足効果を示した。また、整腸作用、コレステロールの低下による血清脂質作用も期待できる。フラクトオリゴ糖による家庭用、業務用、加工食品副原料、調味料、飲料、健康食品、機能性食品、医薬など多分野の利用に好適な新規な食酢である。
【0027】
本発明は、まろやかな酸味と風味を持ち、そのまま飲んでも美味しい食酢であり、酢の効能に加えて、フラクトオリゴ糖、ポリフェノール類、ビタミン類、ミネラル類を含有する健康機能性を併せ持つ食酢であり、家庭用、業務用における食酢としての利用、及びポン酢、すし酢などの加工酢として利用でき、また、サラダドレッシング、味噌、醤油、つゆ、タレ、ダシの素、複合調味料、発酵調味料などの調味料用として利用でき、更にまた、食酢飲料、スポーツ飲料、健康飲料、果汁飲料、炭酸飲料、発酵飲料などの飲料として利用、健康食品や機能性食品としての利用、菓子パン、缶詰、びん詰、チューブ詰用や、乳製品、畜肉加工品、食品、食品加工品、珍味品、ジャム、佃煮、惣菜、調理済食材、即席食品などの各種食物用としての利用、餌料、飼料、ペットフード等の家畜用及び飼育用としての利用、口内清涼剤、うがい薬、内服薬など医薬用としての利用、歯磨き、洗髪料、洗剤、入浴剤等の各種日用品として利用できる新規な健康食酢である。