TOP > 国内特許検索 > 体外循環装置用の訓練装置、およびそのプログラム > 明細書

明細書 :体外循環装置用の訓練装置、およびそのプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3774769号 (P3774769)
公開番号 特開2005-114764 (P2005-114764A)
登録日 平成18年3月3日(2006.3.3)
発行日 平成18年5月17日(2006.5.17)
公開日 平成17年4月28日(2005.4.28)
発明の名称または考案の名称 体外循環装置用の訓練装置、およびそのプログラム
国際特許分類 G09B   9/00        (2006.01)
G09B  23/28        (2006.01)
FI G09B 9/00 Z
G09B 23/28
請求項の数または発明の数 10
全頁数 10
出願番号 特願2003-344804 (P2003-344804)
出願日 平成15年10月2日(2003.10.2)
審査請求日 平成15年10月2日(2003.10.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】末田 泰二郎
【氏名】二宮 伸治
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】松川 直樹
参考文献・文献 特開2004-321357(JP,A)
特開2002-325839(JP,A)
特開平09-171348(JP,A)
特開平08-030185(JP,A)
特開平06-000219(JP,A)
特開平01-207035(JP,A)
救命救急のための呼吸・循環動態シミュレータ シム・クール(SIM COEUR),医療とコンピュータ 1999年7月号,日本,株式会社日本電子出版,1999年 7月20日,第10巻 第7号,p.74~77
調査した分野 G09B 9/00
G09B 23/28-23/34
A61M 1/10
A61M 1/14
特許請求の範囲 【請求項1】
体外循環装置用の訓練装置であって、
血液循環に関する操作情報を入力する入力部と、
前記操作情報に基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出するリアルタイム数値シミュレーション部と、
前記シミュレーション生体情報を提示するモニタ部と、
前記操作情報に基づき模擬血液を循環するように体外循環装置を制御する制御部と、
前記体外循環装置と接続されこれによって供給される前記模擬血液を流す流路と、この循環によって発生する物理情報を測定する測定部とを含む、生体の血行動態を模擬する模擬循環ユニットとを具え、
前記リアルタイム数値シミュレーション部が、
前記模擬循環ユニットで測定された物理情報も加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する、
ことを特徴とする訓練装置。
【請求項2】
請求項1に記載の訓練装置において、
前記リアルタイム数値シミュレーション部は、
イベント入力、或いは、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する、
ことを特徴とする訓練装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の訓練装置において、
模擬循環ユニットで測定される物理情報は、送血量、脱血量、血液温度、および血圧のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする訓練装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の訓練装置において、
前記操作情報は、
体外循環開始前には、体重、心拍数、血圧、および体温を含み、体外循環開始後には、ポンプ血流量、脱血量、および目標体温をも含む、
ことを特徴とする訓練装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の訓練装置において、
前記シミュレーション生体情報は、
血圧、循環血液流量、心拍数、不整脈、心拍出量、末梢血管抵抗、体温、および血漿中電解質情報のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする訓練装置。
【請求項6】
体外循環装置用の訓練方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
血系循環に関する操作情報を入力する入力ステップと、
前記操作情報に基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出するリアルタイム数値シミュレーションステップと、
前記シミュレーション生体情報を提示する情報提示ステップと、
前記操作情報に基づき模擬血液を循環するように体外循環装置を制御する制御ステップと、
前記模擬血液の循環によって発生する物理情報を測定するよう前記模擬循環ユニットを制御するステップとを含み、
前記リアルタイム数値シミュレーションステップが、
前記模擬循環ユニットで測定された物理情報も加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項に記載のプログラムにおいて、
前記リアルタイム数値シミュレーションステップは、
イベント入力、或いは、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項6または7に記載のプログラムにおいて、
模擬循環ユニットで測定される物理情報は、送血量、脱血量、血液温度、および血圧のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記操作情報は、
体外循環開始前には、体重、心拍数、血圧、および体温を含み、体外循環開始後には、ポンプ血流量、脱血量、および目標体温をも含む、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記シミュレーション生体情報は、
血圧、循環血液流量、心拍数、不整脈、心拍出量、末梢血管抵抗、体温、および血漿中電解質情報のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、体外循環装置用の訓練装置およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
重症心疾患の開心術治療において体外循環装置の信頼性は大変重要であり、さらにそれを操作する医療従事者の技能も高度のものが求められている。従って、体外循環装置のような生命維持管理装置の操作に従事する臨床工学技士の技能の習得および維持のため、臨床の実際に則した体外循環技術教育の重要性が増している。このような体外循環装置は多数実用化されており、本願発明者も体外循環装置に関連する人工肺装置(特許文献1を参照されたい。)を開発している。臨床工学技士の体外循環技術の実技指導においては、装置の組立と準備を中心とした構造の理解および病院実習における臨床現場の見学に始まる現場での実技指導が主体となっている。

【特許文献1】特開平06-000219号公報(段落0008-0011、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、体外循環装置は今後自動化が進められつつあり、自動化に伴ってトラブル発生時の対処方法の習得が重要となっているが、臨床の現場でこれらのトラブルに遭遇する機会が少なく、時間と症例数に限りの有る臨床実習では充分な実地修練ができないのが実状であった。そしてこのようなトラブル発生時の対処ができないために、体外循環中に最悪の結果を招いたとの報告も散見される。かかる観点から、不測のトラブルを再現しそれに迅速に対処するような体外循環装置のシミュレーションによるトレーニングは重要である。なお、いくつかの臨床工学技士養成校では、学内実習のためのシミュレーションソフトウェアおよびシミュレーション装置の構築に取り組んでいる。しかし、これらの従来のシミュレーションソフトウェアなどは、いずれも体外循環装置の組立手順と、原理および構造の理解に重点を置いており、臨床現場で発生する様々な事態に対して即応するためのシミュレーション装置およびシミュレーションソフトウェアには成り得ていないのが現状であった。
【0004】
本発明は、上述した諸課題を解決したシミュレーション装置(訓練装置)およびシミュレーションソフトウェア(訓練用プログラム)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による体外循環装置用の訓練装置は、
血液循環に関する操作情報を入力する入力部(操作コンソール)と、
前記操作情報に基づき、少なくとも血行動態情報(例えば血圧、循環血液量など)を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出するリアルタイム数値シミュレーション部と、
前記シミュレーション生体情報を提示する情報提示モニタ部と、
を具えることを特徴とする。
本発明によれば、医療従事者が心臓手術時に必要な人工心肺の運転の練習を行うことが可能となり、技能の向上を図ることができる。人工心肺などの体外循環装置は、極めて重篤な患者に使用されたり、生死に関わる手術などで使用されたりするため、装置を操作する者は、極度のストレスを強いられる。従って、実際に人工心肺の運転を行う前に、本発明による装置を用いて、体外循環中の血行動態についてシミュレーシヨン学習し、体外循環に関する理解を深めることによって、操作者の技能を向上させるととも、操作経験不足や操作の不慣れによるストレスを低減することができ、これによって操作上のミスの低減を図ることができる。
【0006】
また、本発明による訓練装置は、
前記リアルタイム数値シミュレーション部は、
指導者や訓練者自身などのユーザによるイベント入力、或いは、コンピュータによる自動的なイベント入力(病態変化、出血量の増減、血圧の増減、心拍数の変化、不整脈、体温の上昇下降、事故など)を受け、或いは、予め記憶装置に格納され用意されている複数のシナリオ(前記イベントが時系列で発生する状況)から選択(指導者や訓練者による手動選択、或いはコンピュータによる自動選択)されたシナリオを読み出し、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出することを特徴とする。
本発明によれば、体外循環中に起こりうる血圧変動などの体外循環中の様々なイベントやシナリオ即ち異常事態をシミュレーションすることができ、さらには合併症の対処法も学習することが可能となる。
【0007】
さらにまた、本発明による訓練装置は、
さらに、前記操作情報に基づき模擬血液を循環するように体外循環装置を制御する制御部と、
前記体外循環装置と接続されこれによって供給される前記模擬血液を流す流路と、この循環によって発生する物理情報を測定する測定部とを含む、生体の血行動態を模擬する模擬循環ユニットとをも具え、
前記リアルタイム数値シミュレーション部は、
前記模擬循環ユニットで測定された物理情報も加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する、
ことを特徴とする。
本発明によれば、模擬血液を実際に流すことによって、より実際の生体に近い条件でシミュレーションを行うことができるようになる。従って、よりリアルなシミュレーション訓練を行うことが可能となる。
【0008】
さらにまた、本発明による訓練装置は、
模擬循環ユニットで測定される物理情報は、送血量、脱血量、血液温度、血圧のうちの少なくとも1つを含み、
前記操作情報は、
体外循環開始前には、体重、心拍数、血圧、および体温を含み、体外循環開始後には、ポンプ血流量(或いは、ポンプ回転数、リザーバタンク液量、リザーバタンク陰圧など)、脱血量、および目標体温をも含み、
前記シミュレーション生体情報は、
血圧、循環血液流量、心拍数、不整脈、心拍出量、末梢血管抵抗、体温、および血漿中電解質情報(成分、濃度など)のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする。
【0009】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現され得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、本発明によるプログラムは、
体外循環装置用の訓練方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
血系循環に関する操作情報を入力する入力ステップと、
前記操作情報に基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出するリアルタイム数値シミュレーションステップと、
前記シミュレーション生体情報を提示する情報提示ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明によるプログラムは、
前記リアルタイム数値シミュレーションステップは、
指導者によるイベント入力、或いは、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出することを特徴とする。
【0011】
さらにまた、本発明によるプログラムは、
さらに、前記操作情報に基づき模擬血液を循環させるよう、生体の血行動態を模擬する模擬循環ユニットを制御するステップと、
前記模擬血液の循環によって発生する物理情報を測定するよう前記模擬循環ユニットを制御するステップとをも含み、
前記リアルタイム数値シミュレーションステップは、
前記模擬循環ユニットで測定された物理情報も加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する、
ことを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明によるプログラムは、
模擬循環ユニットで測定される物理情報は、送血量、脱血量、血液温度、血圧のうちの少なくとも1つを含み、
前記操作情報は、
体外循環開始前には、体重、心拍数、血圧、および体温を含み、体外循環開始後には、ポンプ血流量(或いは、ポンプ回転数、リザーバタンク液量、リザーバタンク陰圧など)、脱血量、および目標体温をも含み、
前記シミュレーション生体情報は、
血圧、循環血液流量、心拍数、不整脈、心拍出量、末梢血管抵抗、体温、および血漿中電解質情報(成分、濃度など)のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、諸図面を参照しつつ本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、本発明による体外循環装置用の訓練装置の一例を示すブロック図である。図に示すように、本発明による訓練装置100は、入力部110、模擬循環ユニット120、シミュレーション部130、記憶部(ハードディスクなど)140、およびモニタ部(音声、映像、文字などを提示する装置)150を具える。そして、模擬循環ユニット120は、模擬血液を流す流路122および測定部124を具える。
入力部110は、血液循環に関する操作情報を入力する。操作情報は、想定体重、体外循環前の血圧や心拍数、体温を入力する。その後、体外循環が開始されると、脱血量、送血量、ポンプ流量、血液冷却温、リザーバタンク液量、およびリザーバタンク陰圧などを入力し、それに従って、生体内での血圧、末梢血管抵抗、血液温がシミュレーションされて加工されて、出力されることとなる。入力されなかった情報はデフォルト値が自動的に設定される。制御部115は、この操作情報に基づき模擬血液を循環するように体外循環装置160を制御する制御信号を体外循環装置160へ送信する。血液循環装置160は、この制御信号に基づき模擬血液を模擬循環ユニット120へ送液する。
模擬循環ユニット120は、静脈コンプライアンス等の生体(人、動物など)の血行動態を模擬するように構成されている。即ち、模擬循環ユニット120は、血液循環装置160から送血された模擬血液(生体の血液と同様の粘度、温度などの諸特性を持つ液体)を受け、この模擬血液は血管を模した流路122に流され、最終的に模擬血液は血液循環装置160へ戻される。流路122では模擬血液が循環しており、測定部124は、模擬血液の循環によって発生する物理情報を測定する。模擬循環ユニット120で測定される物理情報は、送血量、脱血量、温度、および血圧などである。
【0014】
リアルタイム数値シミュレーション部130は、前記操作情報および前記模擬循環ユニットで測定された物理情報に基づき、少なくとも血行動態情報を含むシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する。モニタ部140は、算出された前記シミュレーション生体情報を操作者(訓練受講者)に提示する。なお、操作者は、インターネットなどのネットワークを介してユーザPCなどから本システム100にアクセスして訓練を受けることも可能である。同様に、指導者もネットワークを介して通信端末などから本システム100にアクセスすることが可能である。そして、入力されたデータ、測定されたデータ、および算出されたデータなどは、記憶部140に格納される。
前記リアルタイム数値シミュレーション部130は、指導者によるイベント入力、或いは、予め用意されている複数のシナリオから選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する。
【0015】
図2は、本発明による訓練方法のフローチャートの一例である。図に示すように、ステップS110では、操作者が体外術環装置の操作コンソールを用いて操作情報を入力し、その情報は電気信号としてリアルタイム数値シミュレーション部に送信される。ステップS115では、体外循環ユニットは、操作コンソールから入力された操作情報に基づき、模擬血液を模擬循環ユニットへ流す。S120では、この血液循環により発生する物理情報(送血量、脱血量、温度等)を測定し、測定結果は、A/Dコンバータでデジタル値に変換されてリアルタイム数値シミュレーション部に送信される。S130では、指導者は、リアルタイム数値シミュレーション部に対して、病態変化、事故等を模擬するイベントまたはシナリオの選択を行う。S140では、イベント入力、或いは、選択されたシナリオを受け、これをも加味してシミュレーション生体情報をリアルタイムで算出する。S150では、操作者は、自己の操作および、イベントの発生による生体情報の変化を情報提示モニタで視認することで、適切な操作を行う。訓練の段階に応じて、操作コンソールとリアルタイム数値シミュレーション装置のみを用いた訓練、或いは、実際の体外循環装置を用いた訓練を選択することができる。また、リアルタイム数値シミュレーション装置内の既定のプログラムを指導者の代替として用いることで、操作者のみによる反復訓練も可能である。
【0016】
ここで上述したシミュレーションの演算アルゴリズムの詳細を説明する。入力情報となるのは、体外循環前では、患者の想定体重、心拍数、血圧、体温である。体外循環開始後は、ポンプ血流量(一回拍出量30ml/min x回転数で得ることができる)、脱血量(ml/min)、目標体温(通常は低下目標体温)を入力すると、それに合わせて、ポンプ内の残血量、患者の心拍出量、心拍数、血圧、体温などの各値がシミュレーションされて表示される。そして、大動脈遮断後に、心停止液を注入(ml/min)すると、心停止が起こり、その後、シミュレーション上の血圧や血管抵抗などは、すべて体外循環のポンプ血流に依存する。注入した心停止液量を加えた全体の循環血液量から、ポンプ内の脱血量を引いて、生体内の血管内血液量がシミュレーション計算されて、血圧、血管抵抗などが表示されることとなる。
本発明でシミュレーションされる各生体情報値は相互に依存関係がある。例えば、血圧は、大まかには、以下の式のように末梢血管抵抗および心拍出量のファクターで決定される。
血圧= 係数×(心拍出量×末梢血管抵抗)
逆に、血圧と心拍出量がわかれば、末梢血管抵抗をシミュレーションで求めることができる。なお、血圧には、上記以外に循環血液量、中心静脈圧、血液粘度、血管壁弾力性(即ち、血管緊張度の増減によって流路の断面積が変化し、循環血液量などが変化する。)なども関連する。さらに、心拍出量は、心拍数、1回心拍出量、体表面積(想定体重から換算可能)に依存する。
従って、本発明による装置は、入力された操作情報や模擬循環ユニットで測定された物理情報、およびデフォルト値などに基づき、上記の式などを用いて血圧、末梢血管抵抗、心拍出量などの生体情報値をシミュレーションで求めることが可能である。
【0017】
ここで、ユーザやコンピュータによって入力されるイベントやシナリオの例を幾つか挙げる。
例1
体外循環開始後、脱血量が少ないのに送血量が多いと、人工心肺装置内の血液レベルが急速に低下してレベルセンサーが鳴り、送血量を落とすか、脱血量を減らすかを行うよう訓練者に警告する。訓練者はこれに応じて適切に操作情報を入力する。その後、あまりに体外循環のレベルが低下すると空気を送る危険をアラームが知らせ、ポンプは自動的にストップするという動作がシミュレーションされる。
例2
心臓手術を修了後に、大動脈遮断を解除して、自己心拍が再開した後、心拍出が不良で、充分な血圧や心拍出量が維持できない状況を作り出す。このとき自己心臓の心拍出量の回復を計るための処置を訓練者に実施させる。模範的な処置は、訓練者が操作情報として、心拍出を高めるための強心剤投与を入力する。この投与が功を奏するパターンの場合は、心拍出シミュレーション値が改善される。この投与が功を奏しないパターン、或いは訓練者が適切に投与しなかったパターンの場合は、訓練者が操作情報として、体外循環のポンプ血流量を一時的に増加させ、その後ゆっくりと減らすという情報を入力する。この操作によって、自己心臓を一時的に休ませて、その後、ゆっくりと心拍出の回復を計ることが可能となる。
例3
大動脈遮断を解除した後、不整脈が頻発して血行動態が安定せず体外循環を終了できない状況を作り出す。このとき血行動態を安定させるための処置を訓練者に実施させる。模範的な処置は、血漿中の電解質の中でカリウムの値をチェックし、訓練者が操作情報として、カリウム値が適正になるような情報を入力する。その後、抗不整脈剤を投与して不整脈を抑える。それでも不整脈が治まらない場合は、致死的な頻脈性不整脈には電気的除細動を行うという操作情報を入力すると、不整脈がおさまるというシミュレーション値となる。
【0018】
図3は、本発明による体外循環装置用の訓練装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。図に示すように、本システム200は、実際の体外循環装置210、または、操作コンソール(入力部)と、血行動態の部分的な特性を模擬したモック部220(模擬循環装置)と、リアルタイム数値シミュレーション装置230、画像生成・提示部250を持つ。リアルタイム数値シミュレーション装置230は、集中定数回路による血行動態の等価回路シミュレーション技術を利用したものである。提示部250は、コンピュータによるグラフィカルユーザインターフェースを具える。本システム200は、これら諸コンポーネントや諸機能による入出力を統合し、これまで臨床現場以外では困難であった体外術環装置操作技術の習得を容易にするトレーニング環境を提供する。臨床工学技師が人工心肺を運転する前にイメージ練習できるソフトを提供する点で広く活用され得るものである。
【0019】
臨床現場での実習は、臨床工学技士の絶対数の不足および体外循環装置を用いる症例が必ずしも多くないことから、時間コストと人的コストについて厳しい制限のもと行われている。本発明により、現場における実習の前段階として系統的に体外循環装置の操作を習得することができることから、現場における実習の効果を最大限に発揮することができる。また、実際の臨床現場では極めて希少な事故例についても、イベントやシナリオを通じて模擬体験することが可能であり、医療事故減少のための安全教育として大きな効果が期待される。また、本発明による装置やプログラムは、臨床工学技士の資格試験や心肺装置の操作認定試験などへの応用も期待される。
【0020】
また、演算手段を搭載したパソコンと体外循環の模型があれば、本願発明による装置は容易に作製可能である。また、本発明による装置は、臨床工学技士以外の医療従事者、例えば看護婦、医療系の学生、さらには医師などの訓練にも利用することができる。また、本発明は、血圧、循環血液量以外に、心拍数、不整脈、心拍出量、体温、末梢血管抵抗、或いは血漿中電解質など様々な生体情報をシミュレーションすることができ、医療分野で広く利用され得るものである。
【0021】
本明細書では、様々な実施態様で本発明の原理を説明してきたが、本発明は上述した実施例に限定されず幾多の変形および修正を施すことが可能であり、これら変形および修正されたものも本発明に含まれることを理解されたい。例えば、イベント入力やシナリオの選択は、指導者によって実施されることが望ましいが、コンピュータによってランダム或いは所定のパターンで入力・選択することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による体外循環装置用の訓練装置の一例を示すブロック図である。図である。
【図2】本発明による訓練方法のフローチャートの一例である。
【図3】本発明による体外循環装置用の訓練装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
100 訓練装置
110 入力部
120 模擬循環ユニット
122 運転部
124 測定部
130 シミュレーション部
140 記憶部
150 モニタ部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2