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明細書 :ラドン検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3673832号 (P3673832)
公開番号 特開2005-024291 (P2005-024291A)
登録日 平成17年5月13日(2005.5.13)
発行日 平成17年7月20日(2005.7.20)
公開日 平成17年1月27日(2005.1.27)
発明の名称または考案の名称 ラドン検出器
国際特許分類 G01T  7/02      
G01T  1/167     
FI G01T 7/02 B
G01T 1/167 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2003-187232 (P2003-187232)
出願日 平成15年6月30日(2003.6.30)
審査請求日 平成15年6月30日(2003.6.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】田阪 茂樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
審査官 【審査官】中塚 直樹
調査した分野 G01T 1/167
G01T 7/02
特許請求の範囲 【請求項1】
検出容器本体と、該検出容器本体の上部に設けられるフランジ部材と、該フランジ部材に着脱可能に設けられる蓋体と、前記検出容器本体の内部に設けられ検出容器本体内部のラドンを検出する検出手段とを備えたラドン検出器であって、前記検出容器本体の内面全体は曲面状かつ鏡面状に形成されていることを特徴とするラドン検出器。
【請求項2】
前記検出容器本体の内面における最大高さRmaxは0.8μm未満である請求項1に記載のラドン検出器。
【請求項3】
前記検出手段として受光素子が設けられ、該受光素子における半導体支持部材はウラン-ラジウム崩壊系列における放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下である材料から形成される請求項1又は請求項2に記載のラドン検出器。
【請求項4】
前記蓋体には、前記受光素子の外部電極を支持するとともに該外部電極を前記検出容器本体の内部からその外部に密閉状態で導出する電極支持部材が設けられ、該電極支持部材はウラン-ラジウム崩壊系列における放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下である材料から構成される請求項3に記載のラドン検出器。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体中のラドンを検出するラドン検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のラドン検出器としては、図5に示す静電捕集型高感度空気中ラドン検出器41が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この静電捕集型高感度空気中ラドン検出器41(以下、ラドン検出器41という。)は、空気中のラドン濃度、例えば、神岡宇宙素粒子研究施設の大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置(スーパーカミオカンデ)内における空気中のラドン濃度を監視することが可能である。ここで、スーパーカミオカンデ内における空気中のラドンは、スーパーカミオカンデにおける太陽ニュートリノの観測の際にバックグラウンドノイズの発生源となる。従って、ラドン検出器41によってラドン濃度を監視することは、太陽ニュートリノの観測においてその精度を向上させために重要な役割を果たしている。
【0003】
このラドン検出器41は有底円筒状の検出容器本体42と、この検出容器本体42の開口部43を閉塞する蓋体44と、検出容器本体42内部に設けられるとともに検出容器本体42内部のラドンを検出するPINフォトダイオード45とを備えている。検出容器本体42は円板状の底部46と、円筒状の胴部47と、円環板状の天井部48とから構成されている。検出容器本体42は金属材料から形成され、底部46の外周縁と胴部47の下端周縁及び胴部47の上端周縁と天井部48の外周縁はそれぞれアーク溶接によって接合されている。そして、アーク溶接による接合部分には、凸状の溶接部49が形成されている。
【0004】
このラドン検出器41によってラドンを検出する際、検出容器本体42の内部に塵等の微粒子が残存すると、その微粒子がラドン発生源となり、高精度のラドン検出の弊害となる。そこで、この検出容器本体42の内面は電解研磨が施されることにより、容器本体の内面の大部分は平滑面となっている。そして、容器本体の内面に塵等の微粒子が付着することを抑制することにより、検出容器本体42の内部に残存する微粒子を低減させ、低濃度ラドンの検出が可能になっている。
【0005】
【非特許文献1】
根本、田阪ら、静電捕集型超高感度空気中ラドン検出器の開発、RADIOISOTOPES、社団法人日本アイソトープ協会、46、p.710-719(1997)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スーパーカミオカンデにおいて、太陽ニュートリノの観測精度を向上させるためには、さらに低濃度のラドンを検出し、その影響を解明することが重要となっている。ところが、上記従来技術におけるラドン検出器では、溶接部及びその周囲は、凹凸形状となっている。そのため、溶接部及びその周囲には微粒子が残存し易く、その残存微粒子から発生するラドンの影響によって、ラドン検出精度をさらに向上させることが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ラドンの検出精度をさらに向上させることができるラドン検出器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明のラドン検出器は、検出容器本体と、該検出容器本体の上部に設けられるフランジ部材と、該フランジ部材に着脱可能に設けられる蓋体と、前記検出容器本体の内部に設けられ検出容器本体内部のラドンを検出する検出手段とを備えたラドン検出器であって、前記検出容器本体の内面全体は曲面状かつ鏡面状に形成されているものである。
【0009】
請求項2に記載の発明のラドン検出器は、請求項1に記載の発明において、前記検出容器本体の内面における最大高さRmaxは0.8μm未満であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明のラドン検出器は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記検出手段として受光素子が設けられ、該受光素子における半導体支持部材はウラン-ラジウム崩壊系列における放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下である材料から形成されるものである。
【0011】
請求項4に記載の発明のラドン検出器は、請求項3に記載の発明において、前記蓋体には、前記受光素子の外部電極を支持するとともに該外部電極を前記検出容器本体の内部からその外部に密閉状態で導出する電極支持部材が設けられ、該電極支持部材はウラン-ラジウム崩壊系列における放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下である材料から構成されるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を、図1~図4に従って説明する。
図1及び図2に示すように、ラドン検出器11は有底円筒状の検出容器本体12と、検出容器本体12の上部に設けられるフランジ部材13と、フランジ部材13に着脱可能に設けられる蓋体14とを備えている。そして、フランジ部材13の開口部15が蓋体14によって閉塞されることにより、検出容器本体12は密閉されるようになっている。また、検出容器本体12の内部には、検出手段としてのPINフォトダイオード16が設けられ、検出容器本体12の内部におけるラドン(Rn)を検出できるようになっている。このラドン検出器11における検出容器本体12の内面は、曲面状かつ鏡面状に形成されている。
【0013】
ここで、ウラン-ラジウム崩壊系列における222Rnは、218Po、214Pb、214Bi、214Po及び210Pbの順にα崩壊又はβ崩壊することが知られ、ラドンの娘核種である218Poは、正に帯電する性質がある。一方、PINフォトダイオード16のP層には、負の電圧が印加される。検出容器本体12の内部に存在する218Poは正に帯電しているため、218PoをP層表面に静電捕集することが可能である。このラドン検出器11は、静電捕集された218Poから及び214Poがα崩壊する際、放出されるα線をPINフォトダイオード16によって検出することにより、空気中のラドン濃度が測定可能となっている。
【0014】
検出容器本体12は曲面状の底部17と円筒状の胴部18と曲面状の天井部19とから構成されている。底部17は円板状のステンレス鋼板を下方に向かって膨出形成され、その内面は曲面状をなしている。胴部18は長四角板状のステンレス鋼板を湾曲させて図1に破線で示す第1接合部20で接合されることにより円筒状に形成され、その内面は曲面状をなしている。天井部19は長四角板状のステンレス鋼板を湾曲させ、図1に破線で示す第2接合部21で接合されることにより、開口を有するドーム状に形成され、その内面は曲面状をなしている。
【0015】
底部17の外周縁には、胴部18の下端周縁が図1に破線で示す第3接合部22によって接合されている。また、胴部18の上端周縁には、天井部19の下端周縁が図1に破線で示す第4接合部23によって接合されている。第1接合部20、第2接合部21、第3接合部22及び第4接合部23における接合は、いずれもアルゴン溶接(TIG溶接)によって接合され、各接合部の内面が荒れることが抑制されている。
【0016】
検出容器本体12の内面は、第1接合部20、第2接合部21、第3接合部22及び第4接合部23の内面を含めて曲面状に形成されている。検出容器本体12の内面における曲率半径は好ましくは30mm以上、より好ましくは50mm以上、さらに好ましくは100mm以上である。この曲率半径が30mm未満であると、検出容器本体12の内面を鏡面状に形成することが困難となるおそれがある。
【0017】
検出容器本体12の内面は、バフ研磨と電解研磨とからなる複合研磨によって鏡面状に形成されている。この検出容器本体12の内面における最大高さRmaxは、好ましくは0.8μm未満、より好ましくは0.7μm未満、さらに好ましくは0.5μm未満、最も好ましくは0.4μm未満である。この最大高さRmaxが0.8μmを超えると、検出容器本体12の内面にラドン検出の妨げとなる微粒子が付着し易くなり、ラドンの検出精度を一層向上することができなくなるおそれがある。また、この検出容器本体12の内面における平均粗さRaは、好ましくは0.4μm未満、より好ましくは0.3μm未満、さらに好ましくは0.25μm未満、最も好ましくは0.20μm未満である。この平均粗さが0.4μmを超えると、検出容器本体12の内面に微粒子が付着し易くなり、ラドンの検出精度を一層向上させることができなくなるおそれがある。また、検出容器本体12の内面における最大高さRmaxを0.4μm未満、かつ平均粗さRaを0.20μm未満にすることにより、ラドンの検出精度をさらに一層向上させることができる。なお、ここでいう最大高さ及び平均粗さは、JIS B 0601-1982により定義される。
【0018】
天井部19の上部内周縁には、円環板状のフランジ部材13がアルゴン溶接によって接合されている。このフランジ部材13及び天井部19の接続部分における内面も複合研磨が施され、曲面状かつ鏡面状に形成されることが好ましく、その曲率半径、最大高さRmax及び平均粗さRaは上記の範囲に設定されることが好ましい。また、フランジ部材13の内面も複合研磨が施され、鏡面状に形成されることが好ましく、その最大高さRmax及び平均粗さRaは上記の範囲に設定されることが好ましい。
【0019】
フランジ部材13の内側には、図示しないシールリングを介して円板状の蓋体14が嵌合されている。この蓋体14は透明なアクリル樹脂から形成され、検出容器本体12の内部が視認できるようになっている。蓋体14の外周縁には、断面逆L字状の係合凹部14aが全周に渡って凹設され、この係合凹部14aは開口部15の周縁に係合するようになっている。また、蓋体14の内面とフランジ部材13との内面は面一に構成され、蓋体14とフランジ部材13との境目における微粒子の付着が抑制されている。この蓋体14は、円環状の蓋体固定具24及び締付部材としてのボルト25によってフランジ部材13に密着固定されている。
【0020】
蓋体14の中央には、PINフォトダイオード16の外部電極26を支持する電極支持部材としてのフィードスルー27が嵌合されている。このフィードスルー27には、外部電極26が貫通され、外部電極26が検出容器本体12の内部から外部に密閉状態で導出されるようになっている。このフィードスルー27の材料は、それから発生するα線によってラドンの検出精度が低下するのを抑制するために、ウラン-ラジウム崩壊系列における放射性核種の含有量が好ましくは0.01Bq/g以下の材料、より好ましくは0.008Bq/g以下の材料、さらに好ましくは0.005Bq/g以下の材料である。このような材料としては、ポリエチレン等が挙げられる。
【0021】
図3に示すように、PINフォトダイオード16は基体28、一対の外部電極26、半導体支持部材としてのパッケージ29等を備えている。基体28は図示しないP層、I層、N層等を備えた半導体であって、この基体28からはアノード及びカソードとなる外部電極26が導出されている。パッケージ29は額縁状に形成され、このパッケージ29に基体28が支持される。このパッケージ29の材料は、それから発生するα線によってラドンの検出精度を低下させないために、ウラン-ラジウム崩壊系列における放射性核種の含有量が好ましくは0.01Bq/g以下の材料、より好ましくは0.008Bq/g以下の材料、さらに好ましくは0.005Bq/g以下の材料である。このような材料としては、各種セラミック、合成樹脂等が挙げられるが、高い絶縁性を有することから、好ましくはセラミックである。放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下のセラミックとしては、エンジニアリングセラミック(三井鉱山マテリアル(株)、型番MA960、アルミナ含有量96%)等が挙げられる。
【0022】
また、基体28及び外部電極26の周辺部は、図示しないパッシベーション処理(絶縁材料で被覆する処理)が施され、基体28及び外部電極26の周辺部における微粒子の付着によって暗電流が増加することが抑制されている。このパッシベーション処理に用いる絶縁材料としては、ポリイミド樹脂等の合成樹脂、セラミック、合成樹脂とセラミックの複合材料等が挙げられる。
【0023】
図1に示すように、蓋体14の上方には回路基板30が設けられ、この回路基板30には外部電極26が接続されている。この回路基板30には、図4に示すように高電圧分割回路及びアンプ回路が実装されている。また、この回路基板30には図示しない電力供給用の高電圧電源装置が接続されている。高電圧分割回路及びアンプ回路は、それぞれモジュール化されており、簡単に交換することができるようになっている。高電圧分割回路は、PINフォトダイオード16の逆バイアス電圧(<150V)及び静電捕集用の高電圧(≦1500V)に抵抗分割し、それぞれの電圧を印加することができるものである。アンプ回路は、PINフォトダイオード16によって検出したα線の信号を増幅する回路であって、プリアンプ、リニアアンプ及びケーブルドライバから構成されている。ここで、プリアンプにおける入力FET(電界効果トランジスタ、2SK508)の相互コンダクタンスは定格で26mS、ゲートソース間容量は4.8pFである。また、回路の浮遊容量を小さくするためにFETはチップ型、PINフォトダイオード16(PD)はモジュールに直接取り付けられるようになっている。プリアンプの出力パルスの立上り時間は30nsである。また、リニアアンプの時定数は1μsである。なお、RR1には抵抗とコンデンサを外付けして倍率を調節することが可能である。アンプ回路によって増幅されたα線による信号は、図示しない記録装置によってAD変換され、計算機で解析が行われる。
【0024】
図1及び図2に示すように、蓋体固定具24の上部には有蓋円筒状の保護カバー31が締付部材としてのボルト25によって固定され、回路基板30等が保護されるようになっている。
【0025】
天井部19の両肩部分には、純空気(ラドンフリーエアー)や被検気体等の気体を検出容器本体12の内部に流入する流入管32及び検出容器本体12の内部における気体を流出する流出管33が接続されている。流入管32の基端面及び流出管33の基端面は、天井部19の内面と面一に構成され、流入管32及び流出管33の基端部分における微粒子の付着が抑制されている。また、流入管32及び流出管33には、図示しないバルブが装着され、検出容器本体12の内部が密閉できるようになっている。
【0026】
さて、このラドン検出器11を製造するには、まず底部17、胴部18、天井部19、フランジ部材13、流入管32及び流出管33をアルゴン溶接によって接合し、フランジ部材13、流入管32及び流出管33が接合された検出容器本体12を組み立てる。次に、検出容器本体12の内面にバフ研磨を施す。このとき、検出容器本体12の内面は曲面状に形成されているため、検出容器本体12の内面全体におけるバフ研磨加工を十分に行うことができる。その後、検出容器本体12の内面に電解研磨を施すことにより検出容器本体12の内面が仕上げられる。このとき、検出容器本体12の内面は、バフ研磨加工が十分に施されているため、その内面全体は確実に鏡面状に形成される。
【0027】
次に、このラドン検出器11によってラドンを検出するには、まずフランジ部材13等が設けられた検出容器本体12に、蓋体14、PINフォトダイオード16、回路基板30等を装着する。続いて、流入管32から被検気体を流入させるとともに、流出管33から被検気体を流出させ、検出容器本体12の内部に被検気体を充填させる。続いて、PINフォトダイオード16に電圧を印加し、被検気体中のラドンを検出する。このとき、検出容器本体12の内面は曲面状かつ鏡面状に形成されている。従って、検出容器本体12の内面を清浄に保つことができるため、検出容器本体12の内部において、ラドン発生源となる微粒子の残存量を極めて少なくすることができる。従って、被検体のラドン濃度を高精度で検出することが可能となる。
【0028】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ この実施形態のラドン検出器11においては、検出容器本体12の内面は曲面状かつ鏡面状に形成されている。従って、検出容器本体12の内部において、ラドン発生源となる微粒子の残存量を極めて少なくすることができ、ラドンの検出精度をさらに向上させることができる。
【0029】
・ この実施形態のラドン検出器11においては、検出容器本体12の内面における最大高さRmaxは0.8μm未満であることが好ましい。このように構成した場合、ラドン検出精度を一層向上させることができる。
【0030】
・ この実施形態のラドン検出器11においては、PINフォトダイオード16のパッケージ29は、ウラン-ラジウム崩壊系列の放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下である材料から形成されている。このように構成した場合、検出容器本体12の内部におけるラドン発生量をさらに低減させることができ、ラドン検出精度を一層向上させることができる。
【0031】
・ この実施形態のラドン検出器11においては、フィードスルー27はウラン-ラジウム崩壊系列の放射性核種の含有量が0.01Bq/g以下である材料から形成されている。このように構成した場合、フィードスルー27から発生するラドンを低減させることができ、ラドン検出精度を一層向上させることができる。
【0032】
・ この実施形態のラドン検出器11においては、検出容器本体12は底部17、胴部18及び天井部19に分割構成され、それらを接合することによって形成されている。このように構成した場合、検出容器本体12の内面を曲面状に形成し易く、検出容器本体12を容易に製造することができる。
【0033】
・ この実施形態のラドン検出器11において、検出容器本体12の内面はバフ研磨及び電解研磨によって鏡面状に形成されている。このように構成した場合、検出容器本体12の内面を鏡面状に形成し易く、検出容器本体12を容易に製造することができる。
【0034】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態では、検出手段としてPINフォトダイオード16を採用しているが、それ以外の半導体検出器や光電子増倍管等の他の検出手段を用いてもよい。これらの中でも、構成が簡単であるとともにα線の分解能に優れることからPINフォトダイオード16が好ましい。
【0035】
・ 前記実施形態では、検出容器本体12は底部17、胴部18及び天井部19に分割構成され、それらを接合することによって形成されている。この他に、検出容器本体12をプレス加工により一体に構成してもよい。また、検出容器本体12は、ステンレス鋼以外の金属材料を用いてもよい。
【0036】
・ 前記実施形態では、流入管32から被検気体を流入させ、被検気体中に含まれるラドン濃度を測定している。この他に、検出容器本体12内に木材等の被検体を投入し、被検体から空気中に放出する微量のラドンについて、その濃度を測定することもできる。
【0037】
・ 前記実施形態における検出容器本体12の内面に、ニッケル、クロム、銅等の金属及び合金によって電気メッキ、無電解メッキ等のメッキを施してもよい。この場合、検出容器本体12の内面の平滑性をさらに高めることができ、検出容器本体12の内部をさらに清浄に保つことができる。従って、ラドン検出精度を一層向上させることができる。
【0038】
・ 前記実施形態におけるラドン検出器11は、ウラン-ラジウム崩壊系列における222Rnを検出しているが、このラドン検出器11はトリウム崩壊系列における220Rnを検出することも可能である。
【0039】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例)
図1及び図2に示すラドン検出器11(容量70リットル)を用いて、検出容器本体12の内部から発生するラドンを検出した。まず、流入管32から純空気(ラドンフリーエアー)を流入させるとともに、流出管33から検出容器本体12の内部の空気を流出させ、検出容器本体12の内部の空気を純空気によって置換した。次に、流入管32及び流出管33のバルブを閉めることにより、検出容器本体12を密閉した。この状態で、ラドン検出器11を1ヶ月間放置し、検出容器本体12の内部から発生するラドンを平衡状態とした。続いて、PINフォトダイオード16(検出サイズ16×16mm、有効厚さ500μm、逆バイアス電圧最高値150Vにおける暗電流15nA、端子間容量80pF、浜松ホトニクス(株)製)のP層に-1500Vの電圧を印加し、4ヶ月間にわたって214Poの放出するα線をカウントした。ここで、222Rnの原子1個から214Po原子1個が生成されるため、214Poの放出するα線をカウントすることにより、検出容器本体12の内部から発生する222Rnをカウントしたことになる。その結果、一日当たりの214Poのカウント数は、6個/日であった。このラドン検出器11のラドン濃度検出限界値は0.004Bq/m3となる。
(比較例)
図4に示す従来のラドン検出器41を用いて、実施例と同一条件で214Poの放出するα線をカウントした。一日当たりの214Poのカウント数は、23個/日であった。このラドン検出器41のラドン濃度検出限界値は0.013Bq/m3であった。
(実施例及び比較例の考察)
実施例における一日当たりの214Poのカウント数は、比較例の1/3以下となったことから、検出容器本体12の内部におけるラドン発生量を低減させることができ、さらに低濃度のラドンを検出することができることがわかる。
【0040】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記検出容器本体には、気体を検出容器本体の内部に流入する流入管及び検出容器本体の内部から気体を流出する流出管が設けられ、前記流入管及び流出管の基端面は、検出容器本体の内面と面一に構成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のラドン検出器。この場合、ラドンの検出精度を一層向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項4に記載のラドン検出器によれば、ラドンの検出精度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態におけるラドン検出器を示す正断面図。
【図2】 ラドン検出器を示す斜視図。
【図3】 PINフォトダイオードの拡大断面図。
【図4】 高電圧分割回路及びアンプ回路を示す電気回路図。
【図5】 従来のラドン検出器を示す断面図。
【符号の説明】
11…ラドン検出器、12…検出容器本体、13…フランジ部材、14…蓋体、16…検出手段(受光素子)としてのPINフォトダイオード、26…外部電極、27…電極支持部材としてのフィードスルー、29…半導体支持部材としてのパッケージ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4