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明細書 :AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3840542号 (P3840542)
公開番号 特開2005-082473 (P2005-082473A)
登録日 平成18年8月18日(2006.8.18)
発行日 平成18年11月1日(2006.11.1)
公開日 平成17年3月31日(2005.3.31)
発明の名称または考案の名称 AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートの製造方法
国際特許分類 C01B  39/48        (2006.01)
FI C01B 39/48
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2003-320126 (P2003-320126)
出願日 平成15年9月11日(2003.9.11)
審査請求日 平成15年9月11日(2003.9.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】杉 義弘
【氏名】窪田 好浩
【氏名】前川 弘吉
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開2002-241126(JP,A)
特開2002-249314(JP,A)
調査した分野 C01B 39/48
特許請求の範囲 【請求項1】
AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートの製造方法において、(i)ベータゼオライト、(ii)アルカリ金属源、(iii)ケイ素源、(iv)アルミニウム源、(v)構造規制有機物質及び(vi)水からなる混合物を、50~200℃の温度で加圧下で反応させることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
該ベータゼオライトに含まれるケイ素[(Si(β)]と、該ケイ素源に含まれるケイ素(Si)との原子比[Si(β)]/[Si]が0.02以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートにおいて、そのアルミニウムとケイ素との原子比[Al]/[Si]が0.0025~0.05であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートの製造方法に関するものである。
なお、前記AFI構造とは、国際ゼオライト協会のFramework Type Code(FTC)がAFIに相当する骨格トポロジーを持つ構造、すなわち、ユニットセル(単位胞)の結晶系はヘキサゴナル(六方)で、直径0.73nmの12員環1次元細孔を持つ構造を意味する。
【背景技術】
【0002】
AFI構造を有する結晶性アルミノシリケート(以下、単に[Al]-AFI-ゼオライトとも言う)を製造する方法としては、先ず、ベータ型のボロシリケートを種結晶として用いる水熱合成により、AFI構造の結晶性ボロシリケートを作り、次いで、このシリケート中のホウ素原子(B)をアルミニウム原子(Al)に置換する2段階法が知られている。
しかしながら、この方法は、2段階法であることから、工業的方法としては不満足のものであるし、シリケート中のホウ素原子をアルミニウム原子で置換する方法であるので、分子中へのアルミニウム原子の導入量が不十分であった。
【0003】

【非特許文献1】Atlas of Zeolite Framework Types,Fifth Revised Edition 2001,Elsevier
【非特許文献2】Microporous Materials,3,61(1994).
【特許文献1】米国特許第3308069号明細書
【特許文献2】米国特許第4642226号明細書
【特許文献3】特開平5-201722号公報
【特許文献4】特開平6-91174号公報
【特許文献5】特表平8-509452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートを1段階法で製造する方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、以下に示す[Al]-AFI-ゼオライトの製造方法が提供される。
(1)AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートの製造方法において、(i)ベータゼオライト、(ii)アルカリ金属源、(iii)ケイ素源、(iv)アルミニウム源、(v)構造規制有機物質及び(vi)水からなる混合物を、50~200℃の温度で加圧下で反応させることを特徴とする前記方法。
(2)該ベータゼオライトに含まれるケイ素[(Si(β)]と、該ケイ素源に含まれるケイ素(Si)との原子比[Si(β)]/[Si]が0.02以上であることを特徴とする前記(1)に記載の方法。
(3)該AFI構造を有する結晶性アルミノシリケートにおいて、そのアルミニウムとケイ素との原子比[Al]/[Si]が0.0025~0.05であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、工業的に有用なAFI構造を有する高純度の[Al]-ゼオライトを1段階により容易に製造することができる。
本発明により得られる[Al]-AFI-ゼオライトは、触媒や吸着剤等として有利に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においては、[Al]-AFI-ゼオライトは、(i)ベータゼオライト、(ii)アルカリ金属源、(iii)ケイ素源、(iv)アルミニウム源、(v)構造規制有機物質(SDA)及び(vi)水を用いることによって合成することができる。
【0008】
本発明で用いるベータゼオライトは、三次元の12員環細孔からなるアルミノシリケートであり、その結晶構造、化学組成については非特許文献1に記されている。ベータゼオライトの製造方法については、例えば、米国特許第3308069号明細書(特許文献1)や、米国特許第4642226号明細書(特許文献2)、特開平5-201722号公報(特許文献3)、特開平6-91174号公報(特許文献4)、特表平8-509452号公報(特許文献5)等に記載されている。
【0009】
このベータゼオライトにおいて、そのケイ素(Si)とアルミニウム(Al)との原子比[Si]/[Al]は、通常、10~∞、好ましくは12~100、より好ましくは20~60である。
このベータゼオライトは、水素(H)型のものであってもよいし、アルカリ金属塩型やアンモニウム塩型のものであってもよい。
本発明においては、該ベータゼオライトは、平均粒径が0.2~1.0μm、好ましくは0.25~0.5μmの粉末状で反応に供される。
【0010】
アルカリ金属源は、水中でナトリウムカチオンやカリウムカチオン等のアルカリ金属イオンを生成する化合物である。このようなものとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等が用いられる。
【0011】
アルミニウム源としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミナ等が用いられる。
ケイ素源としては、コロイド状シリカ、シリカヒドロゾル、ケイ酸、ケイ酸塩、ケイ酸水酸化物、シリカゲル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸メチル等が挙げられる。
【0012】
構造規制有機物質(SDA)としては、AFI-構造のゼオライトを与えるものであればよく、従来公知の各種の窒素又は燐を含む各種の有機化合物が用いられる。
このようなものには、第1級~第3級アミン化合物や第4級アンモニウム化合物が包含される。アミン化合物の具体例としては、スパルテイン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ベンジルアミン、ピリジン、ピペリジン等が挙げられる。アンモニウム化合物の具体例としては、メチルスパルテイニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウム等の水酸化物又は各種塩(塩化物、臭化物等)が挙げられる。
【0013】
本発明で用いる反応原料混合物において、その組成モル比は、以下の通りである。
SiO/Al:20~400、好ましくは100~250
HO/SiO:0.05~1.0、好ましくは0.1~0.5
O/SiO:10~100、好ましくは30~60
M/SiO:0.02~1.0、好ましくは0.05~0.5
R/SiO:0.05~0.5、好ましくは0.1~0.3
前記において、Mはアルカリ金属イオンを示し、RはSDAを示す。
なお、ベータゼオライトに含まれるSiやAl等の金属成分は、前記SiOやAlに換算される。
【0014】
本発明においては、ベータゼオライトは外部から添加されるコロイド状シリカ等のケイ素源とともに使用されるが、この場合、ベータゼオライト中のケイ素[Si(β)]とケイ素源のケイ素(Si)との原子比[Si(β)]/[Si]は、0.02以上、好ましくは0.5以上である。その上限値は特に制約されないが、通常、200程度である。本発明では、一般的には、0.5~2.0の範囲である。
【0015】
本発明においては、[Al]-AFI-ゼオライトは、水熱合成法により製造される。
即ち、オートクレーブに前記した成分組成の反応原料を加え、水熱合成反応を行う。反応温度は、100~200℃、好ましくは150~190℃、より好ましくは170~180℃である。反応圧力は、その反応温度に対応する水蒸気圧又はそれ以上の圧力である。反応時間は通常12~96時間、好ましくは24~48時間である。
【0016】
本発明により[Al]-AFI-ゼオライトを合成する場合、反応時間の経過とともに、ベータゼオライトの崩壊が起り、このベータゼオライトの崩壊とともに、[Al]-AFI-ゼオライトの生成が起る。
【0017】
前記水熱合成反応により得られた[Al]-AFI-ゼオライトは、構造規制有機物質(SDA)を含むが、このSDAは、該ゼオライトを500~900℃好ましくは600~800℃で焼成することにより除去することができる。この場合、焼成雰囲気は空気であってもよく、酸素分圧5%以下の酸素・窒素混合ガス等であってもよい。
【0018】
本発明により得られる[Al]-AFI-ゼオライトは、純度90%以上、特に95%以上の高純度のものであり、その分子中に含まれるアルミニウムとケイ素との原子比[Al]/[Si]は、0.0025~0.05、好ましくは0.005~0.025である。また、その組成は、一般的には下記式(1)で表される。
(SiO)n(Al) (1)
(式中、nは20~400の数を示す)
【0019】
本発明により得られる[Al]-AFI-ゼオライトは0.73nm×0.73nmの一次元細孔を有するものであり、各種触媒、例えば、石油精製触媒、特にアルカリの異性化触媒や、分子素子用のホスト等として有利に用いられる。
これらの用途に供される[Al]-AFI-ゼオライトは、水素型や、アルカリ金属塩型、アンモニウム塩型等の形態であることができる。
【実施例】
【0020】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0021】
参考例1
(ベータゼオライトの合成)
テフロン(商標)製容器に構造規制有機物質(SDA)としてテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(35wt%)9.4665gと、9.457gのテトラエチルアンモニウムブロマイドを入れ、アルミ源として0.138gのNaAlOを加えて10分間程撹拌した。その後、ケイ素源としてLudoxHS-40(コロイダルシリカ)を11.265g加えてさらに10分間撹拌し、2.512gのトリエタノールアミンを加えて3時間撹拌してゲルを得た。ゲル中の組成モル比は、1SiO:0.3TEAOH:0.6EtBr:0.0084Al:0.02NaOH:15HO:0.22TEAである。得られたゲルをオートクレーブに移し、150℃のオーブンで7日間静置して合成を行った。得られた生成物を室温まで冷却した後、濾過し、蒸留水で洗浄して乾燥させた。
このようにして、SiO/Alモル比=100のベータゼオライトを得た。
【0022】
実施例1
アルカリ金属源としてのNaOH(6.297mmol/g水溶液)を0.157g、参考例1で得たベータゼオライト(H型、ケイ素源とアルミ源を兼ねる)0.301g、Cab-O-Sil(フュームドシリカ)0.298g、SDAとしてのメチルスパルテイニウムヒドロキシド(0.606mmol/g水溶液)を2.482g、水5.764gをオートクレーブに入れ、反応温度175℃で水熱合成反応を行った。24時間の反応で純度95%以上の純粋な[Al]-AFI-ゼオライト(AFI構造を有する結晶性アルミノシリケート)([Al]-SSZ-24)0.501g(収率70%)を得た。
このゼオライトは、次の組成式(2)で表されるものであった。
(SiO200(Al) (2)
【0023】
この反応においては、ベータゼオライトが崩壊しつつ[Al]-AFI-ゼオライトが生成する。このことは、生成ゼオライトの粉末×線回析パターンの経時変化から確認された。
【0024】
実施例2
実施例1において、ベータゼオライトとしてNa塩型のものを用いた以外は同様にして実験を行った。この場合にも、24時間の反応で純粋な[Al]-AFI-ゼオライトが得られた。
【0025】
参考例2
実施例1で得た[Al]-AFI-ゼオライトを空気中で650℃で4時間焼成した。
この焼成ゼオライトの性状を以下に示す。
(1)比表面積(BET) :423.6m/g
(2)比表面積(t-plot):632.8m/g
(3)外部比表面積 :48.7m/g
(4)細孔容積 :144.0mm/g