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明細書 :水素吸蔵・放出制御法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4222932号 (P4222932)
公開番号 特開2005-187307 (P2005-187307A)
登録日 平成20年11月28日(2008.11.28)
発行日 平成21年2月12日(2009.2.12)
公開日 平成17年7月14日(2005.7.14)
発明の名称または考案の名称 水素吸蔵・放出制御法
国際特許分類 C01B   3/00        (2006.01)
FI C01B 3/00 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 5
出願番号 特願2003-434765 (P2003-434765)
出願日 平成15年12月26日(2003.12.26)
審査請求日 平成17年11月21日(2005.11.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】笠井 秀明
【氏名】中西 寛
【氏名】信原 邦啓
【氏名】ディニョ・ウイルソン・アジェリコ・タン
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開平04-160001(JP,A)
特開2000-264602(JP,A)
特開2003-230832(JP,A)
国際公開第00/077266(WO,A1)
特開平03-205301(JP,A)
特開2004-237232(JP,A)
特開2004-136146(JP,A)
信原邦啓 外,Pd(111)表面における水素原子の吸放出ダイナミクス,2003年春季第50回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,2003年 3月27日,第2分冊,p.702,28a-YD-10
K. NOBUHARA, et al.,Coverage dependence of hydrogen absorption into Pd(111),Journal of Applied Physics,2002年,vol.92,no.10,p.5704-5706
調査した分野 C01B 3/00
H01M 8/04-8/06
特許請求の範囲 【請求項1】
水素吸蔵する金属に水素を吸蔵させる際に、表面格子振動における特性振動数の振動を加えることを特徴とする水素吸蔵制御法。
【請求項2】
水素吸蔵する金属に吸蔵された水素を放出させる際に、表面格子振動における特性振動数の振動を加えることを特徴とする水素放出制御法。
【請求項3】
水素を吸蔵する金属がパラジウムであることを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵制御法
【請求項4】
水素を吸蔵する金属がパラジウムであることを特徴とする請求項2に記載の水素放出制御法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、水素吸蔵・放出制御法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、比較的低い圧力領域かつ室温付近での水素の速やかな吸蔵・放出を可能にする水素吸蔵・放出制御法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属、合金等の水素吸蔵材料に水素を吸蔵させる際には、反応が発熱反応であることから、水素圧を上げ、水素吸蔵材料の温度を下げている。一方、水素を放出させる際には、反応が吸熱反応であることから、水素圧を下げ、水素吸蔵材料の温度を上げている(たとえば、非特許文献1参照)。

【非特許文献1】若尾慎二郎著、「新技術シリーズ(6)水素吸蔵合金」、パワー社、1993年7月、p.7-36
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実用的な水素吸蔵材料には、水素の吸蔵及び放出を比較的低い圧力領域かつ室温付近で速やかに行えることが要求される。
【0004】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、比較的低い圧力領域かつ室温付近での水素の速やかな吸蔵・放出を可能にする水素吸蔵・放出制御法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には水素吸蔵する金属に水素を吸蔵させる際に、表面格子振動における特性振動数の振動を加えることを特徴とする水素吸蔵制御法を提供する。
【0006】
この出願の発明は、第2には、水素吸蔵する金属に吸蔵された水素を放出させる際に、表面格子振動における特性振動数の振動を加えることを特徴とする水素放出制御法を提供する。
【0007】
この出願の発明は、第3および第4には、各々、水素吸蔵する金属がパラジウムである前記第1および第2の制御法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この出願の発明の水素吸蔵・放出制御法によれば、比較的低い圧力領域かつ室温付近での水素の速やかな吸蔵・放出が可能となる。表面反応を活性にするために行われていたパラジウムメッキ等の処理が省略可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この出願の発明の発明者らは、前記課題の解決のために鋭意検討したところ、水素吸蔵材料が水素を吸蔵・放出する際、表面格子が歪むことを見出し、また、水素が吸蔵・放出されるとき、水素吸蔵材料の表面の格子振動に特定の振動数があることを見出した。この出願の発明の水素吸蔵・放出制御法は、これらの知見に基づいて完成された。
【0010】
すなわち、金属、合金等の水素吸蔵材料に水素を吸蔵させる際に、水素吸蔵材料の表面格子にあらかじめ歪を加え、水素吸蔵を促進させる。また、水素吸蔵材料に吸蔵された水素を放出させる際にも、水素吸蔵材料の表面格子にあらかじめ歪を加え、水素放出を促進させる。表面格子の歪の誘起は、格子振動における特性振動数の振動を水素吸蔵材料に加えるにより行うことができる。
【0011】
この出願の発明の水素吸蔵・放出制御法では、水素吸蔵材料に所定の振動数の振動を付与することのできる振動供給手段は、特に制限されない。水素吸蔵材料の種類に応じてその材料の主要構成原子の固有振動数は異なる。たとえば種々のトランスデューサを使用することにより、水素吸蔵材料の固有振動数に相当する所定の振動数の弾性波を水素吸蔵材料に付与することができる。また、種々のレーザ照射装置を使用することにより、所定の振動数の電磁波を電磁波—弾性波変換トランスデューサに付与し、発生する所定の振動数の弾性波を水素吸蔵材料に付与することができる。さらに、所定の振動数の電磁波を直接水素吸蔵材料に照射することにより、水素の吸収・放出を効率化させる振動を起こさせることができる。
【実施例】
【0012】
水素吸蔵合金の一つであるパラジウムの水素吸放出に関わる表面格子振動の特性振動数の一つωPdは、密度汎関数理論に基づいた一般的な第一原理計算から7.7×1012[Hz]と算出される。この特性振動数の振動をパラジウムに加え、水素の吸収確率、放出確率を、振動を加えない場合と比較した。その結果を示したのが図1及び図2である。
【0013】
図1から確認されるように、水素の吸収が低エネルギー領域から起こっている。このことは、水素吸蔵時の圧力の低減が可能であることを意味している。図2からは、水素の放出が低エネルギー領域から起こっていることが確認される。このことは、水素放出時の温度の低減が可能であることを意味している。
【0014】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施例によって限定されるものではない。水素吸蔵材料の種類等の細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、比較的低い圧力領域かつ室温付近での水素の速やかな吸蔵・放出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パラジウムの水素吸収確率を水素原子の運動エネルギーとの関係において示した相関図である。
【図2】パラジウムの水素放出確率を水素原子の運動エネルギーとの関係において示した相関図である。
図面
【図1】
0
【図2】
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