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明細書 :イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片としてのポリヌクレオチド、イソキノリンアルカロイド生合成に関与する全長遺伝子とタンパク質、並びにその形質転換体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3987931号 (P3987931)
公開番号 特開2004-121233 (P2004-121233A)
登録日 平成19年7月27日(2007.7.27)
発行日 平成19年10月10日(2007.10.10)
公開日 平成16年4月22日(2004.4.22)
発明の名称または考案の名称 イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片としてのポリヌクレオチド、イソキノリンアルカロイド生合成に関与する全長遺伝子とタンパク質、並びにその形質転換体
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12N   9/00        (2006.01)
C12P  17/18        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 5/00 C
C12N 9/00
C12P 17/18 C
請求項の数または発明の数 11
全頁数 34
出願番号 特願2003-310660 (P2003-310660)
出願日 平成15年9月2日(2003.9.2)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 第20回 日本植物細胞分子生物学会 奈良大会・シンポジウム講演要旨集(2002年7月29日発行)第28頁に発表
特許法第30条第1項適用 日本農芸化学会大会講演要旨集(平成14年3月5日発行)第139、140頁に発表
優先権出願番号 2002260642
優先日 平成14年9月5日(2002.9.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成15年9月2日(2003.9.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】佐藤 文彦
【氏名】エミリン ゴウ デュブゼイ
【氏名】森重 敬
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
審査官 【審査官】中野 あい
参考文献・文献 The Journal of Biological Chemistry,2002年 1月,vol. 277, no. 1,p. 830-835
日本植物生理学会年会およびシンポジウム講演要旨集,1997年 3月,vol. 37,p.98(3aB09)
J. Biol. Chem.,2002年,vol. 277, no.37,p. 33878-33883
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C12N 9/00
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
SwissProt/PIR/Geneseq
PubMed
JMEDPlus/JST7580/JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(c)又は(d)のタンパク質をコードする遺伝子。
(c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(d)配列番号56に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつノルコクラウリン合成酵素としての活性を持つタンパク質。
【請求項2】
上記遺伝子は、オウレン由来であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項3】
配列番号55に示す塩基配列からなるイソキノリンアルカロイドの生合成に関与する全長遺伝子。
【請求項4】
配列番号55に示す塩基配列の第22番目~1077番目の塩基配列をオープンリーディングフレームとして含む遺伝子。
【請求項5】
以下の(c)又は(d)のタンパク質。
(c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(d)配列番号56に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつノルコクラウリン合成酵素としての活性を持つタンパク質。
【請求項6】
上記タンパク質は、オウレン由来であることを特徴とする請求項5に記載のタンパク質。
【請求項7】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の遺伝子または全長遺伝子が組み込まれたベクター。
【請求項8】
請求項7記載のベクターが導入された形質転換体。
【請求項9】
前記ベクターが植物に導入されることを特徴とする請求項8記載の形質転換体。
【請求項10】
前記植物はイソキノリンアルカロイドを生産する植物であることを特徴とする請求項9記載の形質転換体。
【請求項11】
請求項5または6に記載のタンパク質、および請求項8~10に記載の形質転換体のうち、少なくとも1つを用いて、イソキノリンアルカロイドを生産する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の二次代謝産物の一つであり、医薬品として利用度の高いイソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片としてのポリヌクレオチド、及びそのポリヌクレオチドを含むcDNAライブラリーに関するものあり、さらに、そのポリヌクレオチドを用いて単離されたイソキノリンアルカロイド生合成に関与する全長遺伝子とタンパク質、その単離方法、並びにそのポリヌクレオチドあるいはその全長遺伝子が導入された形質転換体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物細胞が生産する様々な二次代謝産物は、香辛料、染料として利用されるばかりでなく、有用医薬品としても利用されている。これらの植物は天然から採取されたり、栽培されたりしているが、多くの植物は生育が遅く、培養細胞など他の方法による生産方法が模索されている。
【0003】
このような植物の二次代謝産物の一つであるアルカロイドは、少量投与でヒト、動物などに顕著な生理活性を示すものが多い。アルカロイドの中でも、イソキノリン誘導体及び生合成的にこれに由来するイソキノリン系アルカロイドには、ベルベリン、モルフィン、パパベリンなど強い生理活性を有するものが多く、現在でも多くの有用医薬品に使用されている。このイソキノリンアルカロイドの生合成系の前半部分は、各種化合物で共通しているため、上記イソキノリンアルカロイドの生合成を効率よく行う方法として、その生合成に関わる遺伝子を利用する方法が挙げられる。これら遺伝子を利用してイソキノリンアルカロイドの生合成を行うためには、当該遺伝子の単離と同定が不可欠である。
【0004】
ベンジルイソキノリンアルカロイドであるベルベリンは、図1に示すように、アミノ酸であるチロシン2分子から13段階の酵素反応によって生合成される。これまでに、ベルベリン生産性の高い細胞を材料として生合成酵素を精製し、それぞれの酵素に対する遺伝子が単離・同定されている。
【0005】
具体的には、ベルベリンを高生産するオウレン培養細胞等を素材として、コクラウリン N-メチルトランスフェラーゼ(CNMT)(非特許文献1参照)、N-メチル-コクラウリン 3’-ヒドロキシラーゼ(非特許文献2参照)、ベルベリンブリッジエンザイム(BBE)(非特許文献3参照)、スコウレリン 9-O-メチルトランスフェラーゼ(SMT)(非特許文献4参照)などのcDNAが単離されている。
【0006】
また、上記ベルベリン生合成関連遺伝子の一例として、特許文献1には、ノルコクラウリン 6-O-メチルトランスフェラーゼ(6OMT)をコードする遺伝子について、特許文献2には、(S)-3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ(4OMT)をコードする遺伝子について記載されている。
【0007】
また、イソキノリンアルカロイドの初発酵素であるnorcoclaurine synthaseは、例えば、図1に示すベルベリン生合成経路の初期反応である、ドーパミン(Dopamine)と4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド(4-Hydroxyphenylacetaldehyde)との縮合反応を触媒する酵素であり、イソキノリンアルカロイドの生合成にとって非常に重要な酵素であるため、遺伝子の単離と同定は長く希求されていた。しかし、そのタンパク質精製の困難さから、研究が遅れており、近年になって、やっとその精製が報告されるに至っている(非特許文献6、7参照)。しかし、遺伝子の単離・同定には、至っていない。

【特許文献1】特開平11-178577号公報(公開日:平成11年7月6日)
【特許文献2】特開平11-178570号公報(公開日:平成11年7月6日)
【非特許文献1】Choi, K.-B., Morishige, T., Shitan. N., Yazaki, K., and Sato, F., Molecular cloning and characterization of coclaurine N-methyltransferase from cultured cells of Coptis japonica. J. Biol. Chem., 277:830-835(2002)
【非特許文献2】Pauli HH, Kutchan TM. 1998. Molecular cloning and functional heterologous expression of two alleles encoding (S)-N-methylcoclaurine 3’-hydroxylase (CYP80B1), a new methyl jasmonate-inducible cytochrome-p450-dependent mono-oxygenase of benzylisoquinoline alkaline biosynthesis. Plant J. 13, 793-801
【非特許文献3】Dittrich H, Kutchan TM.1991. Molecular cloning, expression, and induction of berberine bridge enzyme, an enzyme essential to the formation of benzophenantrhidine alkaloids in the response of plants to pathogen attack. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9969-9973
【非特許文献4】Takeshita, N., Fujiwara, H., Mimura, H., Fitchen, J.H., Yamada, Y. and Sato, F., 1995. Molecular cloning and characterization of S-adenosyl--methionine: scoulerine-9-O-methyltransferase from cultured cells of Coptis japonica. Plant Cell Physiol36 1, pp. 29-36
【非特許文献5】Lange, BM, Wildung MR, Stauber, EJ, Sanchez, C, Pouchnik, D, Croteau, R. 2000. Probing essential oil biosynthesis and secretion by functional evaluation of expressed sequence tags from mint glandular trichomes. Proc. Nat’l Acad Sci (USA) 97:2934-2939
【非特許文献6】Samanani N, Facchini PJ., Purification and Characterization of Norcoclaurine : The first committed enzyme in benzylisoquinoline alkaloid biosynthesis in plants. J. Biol. Chem., Vol. 277, 33878-33883, 2002
【非特許文献7】Samanani N, Facchini PJ., Isolation and partial characterization of norcoclaurine synthase, the first committed step in benzylisoquinoline alkaloid biosynthesis, from opium poppy. Planta. 2001 Oct;213(6):898-906.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来においては、上述のアルカロイドのような有用物質生産に関連する遺伝子の単離には、まずその翻訳産物である酵素を精製した後、目的とする遺伝子を単離するという手法を採用していた。しかしながら、植物細胞における酵素の生産量は限られており、酵素の精製は極めて煩雑であり、時間と労力とを要するものであった。このため、例えば、norcoclaurine synthase遺伝子などは、未だ単離・同定されていない。
【0009】
その一つの解決策として、代謝産物を蓄積する細胞で発現している遺伝子の網羅的解析が考えられていたが、実際には多くの細胞における物質生産性は極めて低く、このような解析は困難であるというのが現状である。また、非特許文献5には、ペパーミントの精油腺のcDNAの解析から、これら細胞におけるESTの中に精油であるモノテルペンの生合成遺伝子が多く含まれていることが記載されている。しかしながら、どのような細胞であれば、このような手法が適用できるかは明らかとなっていない。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、イソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子断片及びそれを高頻度に含むcDNAライブラリー、並びに、それを用いてイソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子を効率よく、包括的に単離できる方法を提供し、さらに単離された遺伝子を用いて様々なイソキノリンアルカロイドの生合成を効率よく行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者等は、上述のように、これまでに多くの労力を払いながら、イソキノリンアルカロイド生産性の高い細胞を確立し、この細胞を材料として生合成酵素を精製し、それぞれの酵素に対する遺伝子を単離・同定してきた。そして、単離した遺伝子を用いたアルカロイド高生産性細胞の解析から、選抜した高生産性細胞では、その生合成活性が極めて促進されていることが明確になり、従来困難であると考えられていたアルカロイド生産細胞において発現している遺伝子解析からの生合成関連遺伝子の単離が可能であることが示唆された。このような研究背景のもとで鋭意検討した結果、アルカロイド高生産性オウレン培養細胞から単離したEST(発現cDNAクローン)を利用することで、イソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子を単離することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号1ないし52に示す塩基配列のうちの何れか一つからなるポリヌクレオチドである。
【0013】
上記配列番号1ないし52に示す塩基配列は、キンポウゲ科のセリバオウレン(Coptis japonica)の培養細胞から得られたcDNAライブラリーに含まれるEST(発現している遺伝子断片)として、本願発明者等によって配列決定されたものである。そして、これらの塩基配列を有するESTは、データベース上の配列情報に基づいた相同性の解析から、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片であることが示唆された。それゆえ、本発明に係るポリヌクレオチドは、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片であってもよく、また、オウレン培養細胞由来のものであってもよい。
【0014】
上記ポリヌクレオチドは、上述のように、医薬品として有用であるベルベリン、モルフィンなどのイソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片である。それゆえ、従来その単離が困難であったイソキノリンアルカロイド生合成系の酵素をコードする全長遺伝子(全長cDNA)を容易かつ効率的に単離するためのプローブとして利用することができる。なお、上記ポリヌクレオチドをプローブとして使用する場合には、上記配列番号1ないし52に示す各塩基配列中から、その配列の一部分の配列のみを使用してもよい。この場合、ポリアデニル酸(poly A)を除く配列を使用することが好ましい。
【0015】
本発明に係るcDNAライブラリーは、上述の配列番号1ないし52に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドのうちの少なくとも一つを含んでいることを特徴としている。上記cDNAライブラリーは、オウレン培養細胞由来であることが好ましく、さらに、オウレン培養細胞の中でもベルベリンを高生産するものであることが好ましい。これによれば、上記cDNAライブラリーにイソキノリンアルカロイド合成関連遺伝子のESTが多数含まれることが期待できる。
【0016】
上記cDNAライブラリーとして、具体的には、実施例にて説明するベルベリンを高生産するオウレン培養細胞156-1SMT株由来のものを挙げることができる。上記156-1SMT株由来のcDNAライブラリーは、アルカロイド生合成関連遺伝子を高い割合(約4%)で含むことが確認されており、未知のアルカロイド生合成関連遺伝子の同定に有効に利用することができる。なお、上記156-1SMT株由来のcDNAライブラリーには、配列番号1ないし52に示す各塩基配列からなるポリヌクレオチドが全て含まれている。
【0017】
しかしながら、本発明に係るcDNAライブラリーはこれに限定されることなく、好ましくは上記ポリヌクレオチドを複数、より好ましくは上記ポリヌクレオチドなどのイソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子を全遺伝子の1%以上含んでいればよい。これによれば、さらに未知のアルカロイド合成関連遺伝子を同定できる可能性がある。
【0018】
また、本発明に係るポリヌクレオチド、あるいは、本発明に係るcDNAライブラリーに含まれる遺伝子(遺伝子断片)を用いて、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する全長遺伝子を単離することもできる。従って、本発明に係る遺伝子の単離方法は、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する全長遺伝子を単離する方法、あるいは、上記cDNAライブラリーに含まれる遺伝子(遺伝子断片)をプローブとして用いて、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する全長遺伝子を単離する方法である。なお、上記「全長遺伝子」とは、その遺伝子がコードしているタンパク質のアミノ酸配列に相当する塩基配列の全て(開始コドンから終止コドンまで)を含む遺伝子のことを意味する。
【0019】
上記の方法によれば、従来は、イソキノリンアルカロイド生合成系の酵素を植物などから精製した後、それをコードする遺伝子を単離するという煩雑な作業を行わずに、容易に遺伝子の単離を行うことができる。
【0020】
さらに、本発明には、配列番号1ないし52あるいは55に示す塩基は配列のうちの何れか一つを含んでおり、かつ、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する全長遺伝子も含まれる。上記全長遺伝子として具体的には、配列番号53または55に示す塩基配列からなるものを挙げることができる。この配列番号53に示す塩基配列は、後述するベルベリン生合成関与遺伝子CjEST64の全長cDNAであり、上記cDNAライブラリーに含まれるESTをプローブとして単離されたものである。上記CjEST64の全長cDNAは、コロンバミン7-O-メチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であることが確認されている。また、配列番号55に示す塩基配列からなるものは、後述するように、ノルコクラウリン合成酵素(norcoclaurine synthase)としての活性を持つタンパク質をコードする遺伝子であることが確認されている。
【0021】
また、本発明に係る遺伝子は、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子である。
【0022】
(a)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
【0023】
(b)配列番号54に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつコロンバミン7-O-メチルトランスフェラーゼとしての活性を持つタンパク質。なお、上述の配列番号53に示す塩基配列からなる遺伝子は、配列表に示すように、その配列中の第57番目~1109番目の塩基配列をオープンリーディングフレームとして有し、その翻訳産物が上記(a)のタンパク質であることから、上記遺伝子の一つであると言える。
【0024】
また、本発明に係る遺伝子は、以下の(c)又は(d)のタンパク質をコードする遺伝子である。
【0025】
(c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
【0026】
(d)配列番号56に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつノルコクラウリン合成酵素(norcoclaurine synthase)としての活性を持つタンパク質。なお、上述の配列番号55に示す塩基配列からなる遺伝子は、配列表に示すように、その配列中の第22番目~1077番目の塩基配列をオープンリーディングフレームとして有し、その翻訳産物が上記(c)のタンパク質であることから、上記遺伝子の一つであると言える。
【0027】
なお、上記遺伝子は、オウレン由来であることが好ましい。
【0028】
また、本発明に係るタンパク質は、以下の(a)又は(b)のタンパク質である。
【0029】
(a)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
【0030】
(b)配列番号54に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつコロンバミン7-O-メチルトランスフェラーゼとしての活性を持つタンパク質。
【0031】
また、本発明に係るタンパク質は、以下の(c)又は(d)のタンパク質である。
【0032】
(c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
【0033】
(d)配列番号56に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつノルコクラウリン合成酵素としての活性を持つタンパク質。
【0034】
なお、上記タンパク質は、オウレン由来であることが好ましい。
【0035】
本発明に係るベクターは、上記ポリヌクレオチド、あるいは、上記全長遺伝子が組み込まれたものである。上記ベクターは、公知の形質転換方法によって植物や微生物などの宿主に発現可能に導入されることによって、当該宿主において組み込まれた遺伝子あるいは遺伝子断片を発現させることができる。
【0036】
また、本発明に係る形質転換体は、上記ベクターが導入された形質転換体である。より具体的に言えば、本発明に係る形質転換体は、アルカロイド生合成関連遺伝子、あるいはその遺伝子断片が導入された形質転換体である。ここで、「バクターが導入された」とは、公知の遺伝子工学的手法(遺伝子操作技術)により、宿主内にベクター内に組み込まれた遺伝子が発現可能に導入されることを意味する。
【0037】
上記形質転換体は、自身の体内において、アルカロイド生合成関連遺伝子を発現させることができる。それゆえ、植物あるいは微生物などの適当な細胞を宿主として、大量発現するようなプロモーターを含む上記ベクターが導入された形質転換体を作製すれば、結果として、アルカロイド生合成系の酵素を大量生産することができる。
【0038】
上記ベクターは、植物に分類されるイソキノリンアルカロイド生産細胞由来の遺伝子(又は遺伝子断片)であることから、上記形質転換体における宿主としては、植物であることが好ましく、また、イソキノリンアルカロイドを生産する植物であることがさらに好ましい。このイソキノリンアルカロイドを生産する植物としては、例えば、オウレン属植物、ケシ、ハナビシソウなどを挙げることができる。
【0039】
上記植物には、完全な植物のみならず、その一部、例えば、葉、種子、塊茎、挿木等も含まれるものとする。さらに、上記植物には、予め形質転換された遺伝子組み換え植物やその子孫を起源とする植物組織、プロトプラスト、細胞、カルス、器官、植物種子、胚芽、花粉、卵細胞、接合子などの増殖可能な植物材料;花、茎、実、葉、根などを含む植物の一部;等も含まれるものとする。
【0040】
また、本発明には、上記のタンパク質、および上記の形質転換体の少なくとも1つを用いて、イソキノリンアルカロイドを生産する方法も含まれる。上記の方法によれば、効率的かつ簡便に、イソキノリンアルカロイドを合成することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号1ないし52に示す各塩基配列からなり、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与する遺伝子断片である。また、本発明に係るcDNAライブラリーは、上記ポリヌクレオチドを高い割合で含むものである。従って、上記ポリヌクレオチドあるいは上記cDNAライブラリーに含まれる遺伝子断片は、オウレンあるいはその他の植物におけるイソキノリンアルカロイドの生合成系の全長遺伝子を単離するためのプローブとして有用であり、この全長遺伝子を包括的に単離することが期待できる。
【0042】
そして、植物の二次代謝産物であるイソキノリンアルカロイドの生合成遺伝子が包括的に単離されれば、医薬品原料として有用なイソキノリンアルカロイドを工業的に大量生産する手段が確保されることになり、医薬品産業へ大きく貢献できる可能性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、発明の実施の形態として、本発明をより具体的に説明するが、本発明は特にこの記載に限定されるものではない。
【0044】
(1)本発明に係るポリヌクレオチドについて
本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号1ないし52に示す52個の塩基配列のうちの何れか一つからなるポリヌクレオチドである。上記配列番号1ないし52に示す各塩基配列からなるポリヌクレオチドは、イソキノリンアルカロイドであるベルベリンを高生産するオウレン培養細胞から従来公知の方法によって調整したcDNAライブラリー(本発明に係るcDNAライブラリー)に含まれるものである。そして、上記ポリヌクレオチドは、上記cDNAライブラリー内のESTの中からランダムに配列決定した1014クローンの塩基配列を相同検索した結果、ベルベリン生合成系に関与する遺伝子と推測されたものである。
【0045】
なお、上記cDNAライブラリーは、病原菌感染誘導性タンパク質遺伝子が多く含まれる一方、これまでに同定されているアルカロイド生合成遺伝子が13クローン(約1%、関連する機能が推定される遺伝子を含めると45クローン(約4%))含まれることを認めた。この頻度は、これらの遺伝子をもとに生合成関連遺伝子の検索を行うに十分高いものであった。
【0046】
続いて、配列番号1から52に示す各塩基配列からなるそれぞれのポリヌクレオチドについて、図2、図5、図6及び図8から図59を用いて順に説明する。なお、図5、6は、後述の実施例において配列決定されたEST(遺伝子断片)のうち、アルカロイド合成関連遺伝子と推定された遺伝子を示す表である。この表には、既に同定されているアルカロイド合成関連遺伝子も含まれている。また、図8から図59は、順に配列番号1から52に示す塩基配列と同じ塩基配列を示したものであり、また、各図の最上段には、各配列を識別するためのシークエンスID(SEQ.I.D.)を示している。また、図2は、後述の実施例において配列決定されたESTのうち、これまでに同定されているアルカロイド合成関連遺伝子と相同性を示した遺伝子を示す表である。
【0047】
配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図8に示すように、シークエンスIDが010425seq1a02であり、270bpの塩基配列である。また、上記010425seq1a02は、図5、6の表においてNo.16に示すESTに相当する。
【0048】
配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図9に示すように、シークエンスIDが010425seq1e07であり、828bpの塩基配列である。また、上記010425seq1e07は、図5、6の表においてNo.24に示すESTに相当する。
【0049】
配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図10に示すように、シークエンスIDが010425seq1d03であり、106bpの塩基配列である。また、上記010425seq1d03は、図5、6の表においてNo.32に示すESTに相当する。
【0050】
配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図11に示すように、シークエンスIDが010512seq2e12であり、217bpの塩基配列である。また、上記010512seq2e12は、図5、6の表においてNo.35に示すESTに相当する。
【0051】
配列番号5に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図12に示すように、シークエンスIDが010512seq2f08であり、548bpの塩基配列である。また、上記010512seq2f08は、図5、6の表においてNo.41に示すESTに相当する。
【0052】
配列番号6に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図13に示すように、シークエンスIDが010512seq2e10であり、549bpの塩基配列である。また、上記010512seq2e10は、図5、6の表においてNo.42に示すESTに相当する。
【0053】
配列番号7に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図14に示すように、シークエンスIDが010512seq2b10であり、265bpの塩基配列である。また、上記010512seq2b10は、図5、6の表においてNo.11に示すESTに相当する。
【0054】
配列番号8に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図15に示すように、シークエンスIDが010511seq1c10であり、553bpの塩基配列である。また、上記010511seq1c10は、図5、6の表においてNo.1に示すESTに相当する。
【0055】
配列番号9に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図16に示すように、シークエンスIDが010511seq1h09であり、177bpの塩基配列である。また、上記010511seq1h09は、図5、6の表においてNo.6に示すESTに相当する。
【0056】
配列番号10に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図17に示すように、シークエンスIDが010511seq1d11であり、151bpの塩基配列である。また、上記010511seq1d11は、図5、6の表においてNo.14に示すESTに相当する。
【0057】
配列番号10に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図17に示すように、シークエンスIDが010511seq1d11であり、151bpの塩基配列である。また、上記010511seq1d11は、図5、6の表においてNo.14に示すESTに相当する。
【0058】
配列番号11に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図18に示すように、シークエンスIDが010511seq1c07であり、211bpの塩基配列である。また、上記010511seq1c07は、図5、6の表においてNo.38に示すESTに相当する。
【0059】
配列番号12に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図19に示すように、シークエンスIDが010516seq5g11であり、659bpの塩基配列である。また、上記010516seq5g11は、図5、6の表においてNo.4に示すESTに相当する。
【0060】
配列番号13に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図20に示すように、シークエンスIDが010516seq5h09であり、407bpの塩基配列である。また、上記010516seq5h09は、図5、6の表においてNo.8に示すESTに相当する。
【0061】
配列番号14に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図21に示すように、シークエンスIDが010516seq5g04であり、420bpの塩基配列である。また、上記010516seq5g04は、図5、6の表においてNo.17に示すESTに相当する。
【0062】
配列番号15に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図22に示すように、シークエンスIDが010516seq5d01であり、644bpの塩基配列である。また、上記010516seq5d01は、図5、6の表においてNo.21に示すESTに相当する。
【0063】
配列番号16に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図23に示すように、シークエンスIDが010516seq5b04であり、114bpの塩基配列である。また、上記010516seq5b04は、図5、6の表においてNo.34に示すESTに相当する。
【0064】
配列番号17に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図24に示すように、シークエンスIDが010516seq5d10であり、570bpの塩基配列である。また、上記010516seq5d10は、図5、6の表においてNo.37に示すESTに相当する。
【0065】
配列番号18に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図25に示すように、シークエンスIDが010516seq5c09であり、239bpの塩基配列である。また、上記010516seq5c09は、図5、6の表においてNo.44に示すESTに相当する。
【0066】
配列番号19に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図26に示すように、シークエンスIDが010523seq2g11であり、458bpの塩基配列である。また、上記010523seq2g11は、図5、6の表においてNo.39に示すESTに相当する。
【0067】
配列番号20に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図27に示すように、シークエンスIDが010523seq2c09であり、128bpの塩基配列である。また、上記010523seq2c09は、図5、6の表においてNo.5に示すESTに相当する。
【0068】
配列番号21に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図28に示すように、シークエンスIDが010523seq2b10であり、170bpの塩基配列である。また、上記010523seq2b10は、図5、6の表においてNo.9に示すESTに相当する。
【0069】
配列番号22に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図29に示すように、シークエンスIDが010523seq1c02であり、217bpの塩基配列である。また、上記010523seq1c02は、図5、6の表においてNo.13に示すESTに相当する。
【0070】
配列番号23に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図30に示すように、シークエンスIDが010523seq1g12であり、669bpの塩基配列である。また、上記010523seq1g12は、図5、6の表においてNo.2に示すESTに相当する。
【0071】
配列番号24に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図31に示すように、シークエンスIDが010523seq1c08であり、553bpの塩基配列である。また、上記010523seq1c08は、図5、6の表においてNo.26に示すESTに相当する。
【0072】
配列番号25に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図32に示すように、シークエンスIDが010512seq2b07であり、123bpの塩基配列である。また、上記010512seq2b07は、図5、6の表においてNo.15に示すESTに相当する。
【0073】
配列番号26に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図33に示すように、シークエンスIDが010525seq1d03であり、312bpの塩基配列である。また、上記010525seq1d03は、図5、6の表においてNo.10に示すESTに相当する。
【0074】
配列番号27に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図34に示すように、シークエンスIDが010502seq1e07であり、596bpの塩基配列である。また、上記010502seq1e07は、図5、6の表においてNo.3に示すESTに相当する。
【0075】
配列番号28に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図35に示すように、シークエンスIDが010501seq2f10であり、479bpの塩基配列である。また、上記010501seq2f10は、図5、6の表においてNo.20に示すESTに相当する。
【0076】
配列番号29に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図36に示すように、シークエンスIDが010518seq4e10であり、578bpの塩基配列である。また、上記010518seq4e10は、図5、6の表においてNo.22に示すESTに相当する。
【0077】
配列番号30に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図37に示すように、シークエンスIDが010518seq4c09であり、226bpの塩基配列である。また、上記010518seq4c09は、図5、6の表においてNo.23に示すESTに相当する。
【0078】
配列番号31に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図38に示すように、シークエンスIDが010518seq4d05であり、509bpの塩基配列である。また、上記010518seq4d05は、図5、6の表においてNo.25に示すESTに相当する。
【0079】
配列番号32に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図39に示すように、シークエンスIDが010518seq4d08であり、294bpの塩基配列である。また、上記010518seq4d08は、図5、6の表においてNo.30に示すESTに相当する。
【0080】
配列番号33に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図40に示すように、シークエンスIDが010501seq2h11であり、376bpの塩基配列である。また、上記010501seq2h11は、図5、6の表においてNo.27に示すESTに相当する。
【0081】
配列番号34及び図41に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、シークエンスIDが010511seq1g03(図41においては、CjEST731と示す)であり、596bpの塩基配列である。また、上記010511seq1g03は、図5、6の表においてNo.29に示すESTに相当し、図7の表においてEST番号が731のESTに相当する。
【0082】
配列番号35及び図42に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図42に示すように識別名がCjEST179であり、523bpの塩基配列である。また、上記CjEST179は、図7の表においてEST番号が179のESTに相当する。
【0083】
配列番号36及び図43に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図43に示すように識別名がCjEST502であり、393bpの塩基配列である。また、上記CjEST502は、図7の表においてEST番号が502のESTに相当する。
【0084】
配列番号37及び図44に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図44に示すように識別名がCjEST558であり、553bpの塩基配列である。また、上記CjEST558は、図7の表においてEST番号が558のESTに相当する。
【0085】
配列番号38及び図45に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図45に示すように識別名がCjEST1013であり、385bpの塩基配列である。また、上記CjEST1013は、図7の表においてEST番号が385のESTに相当する。
【0086】
配列番号39に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図46に示すように、シークエンスIDが010509seq2c01であり、665bpの塩基配列である。また、上記010509seq2c01は、図5、6の表においてNo.7に示すESTに相当する。
【0087】
配列番号40に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図47に示すように、シークエンスIDが010501seq2e02であり、341bpの塩基配列である。また、上記010501seq2e02は、図5、6の表においてNo.19に示すESTに相当するが、これはまた、図2の表においてNo.10に示すESTに相当する。
【0088】
配列番号41に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図48に示すように、シークエンスIDが010516seq5h08であり、595bpの塩基配列である。また、上記010516seq5h08は、図5、6の表においてNo.28に示すESTに相当するが、これはまた、図2の表においてNo.3に示すESTに相当する。
【0089】
配列番号42に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図49に示すように、シークエンスIDが010516seq6g12であり、642bpの塩基配列である。また、上記010516seq6g12は、図5、6の表においてNo.33に示すESTに相当するが、これはまた、図2の表においてNo.2に示すESTに相当する。
【0090】
配列番号43に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図50に示すように、シークエンスIDが010425~27f09であり、788bpの塩基配列である。また、上記010425~27f09は、図2の表においてNo.1に示すESTに相当する。
【0091】
配列番号44に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図51に示すように、シークエンスIDが010425~27c07であり、596bpの塩基配列である。また、上記010425~27c07は、図5、6の表においてNo.36に示すESTに相当するが、これはまた、図2の表においてNo.6に示すESTに相当する。
【0092】
配列番号45に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図52に示すように、シークエンスIDが010502seq1h06であり、252bpの塩基配列である。また、上記010502seq1h06は、図2の表においてNo.4に示すESTに相当する。
【0093】
配列番号46に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図53に示すように、シークエンスIDが010511seq1b11であり、289bpの塩基配列である。また、上記010511seq1b11は、図2の表においてNo.4に示すESTに相当する。
【0094】
配列番号47に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図54に示すように、シークエンスIDが010511seq1F03であり、159bpの塩基配列である。また、上記010511seq1F03は、図2の表においてNo.4に示すESTに相当する。
【0095】
配列番号48に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図55に示すように、シークエンスIDが010525seq1F08であり、350bpの塩基配列である。また、上記010525seq1F08は、図2の表においてNo.4に示すESTに相当する。
【0096】
配列番号49に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図56に示すように、シークエンスIDが010516seq5f03であり、314bpの塩基配列である。また、上記010516seq5f03は、図2の表においてNo.5に示すESTに相当する。
【0097】
配列番号50に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図57に示すように、シークエンスIDが010518seq3A06であり、591bpの塩基配列である。また、上記010518seq3A06は、図2の表においてNo.7に示すESTに相当する。
【0098】
配列番号51に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図58に示すように、シークエンスIDが010501seq2f03であり、158bpの塩基配列である。また、上記010501seq2f03は、図2の表においてNo.9に示すESTに相当する。
【0099】
配列番号52に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、図59に示すように、シークエンスIDが010516seq5c04であり、607bpの塩基配列である。また、上記010516seq5c04は、図2の表においてNo11に示すESTに相当する。
【0100】
なお、上記配列番号34ないし38に示す塩基配列からなる各ポリヌクレオチドは、転写因子と考えられる遺伝子断片である。これら転写因子と考えられるもののうち、配列番号34に示すものだけが正の調節因子であり、それ以外は全て負の調節因子である。なお、上記配列番号34に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドは、Cj-ring-H2 フィンガータンパク質のホモログであると推測されるが、これは、これまでにアルカロイド生合成系の転写因子としては全く知られておらず、その利用によって、生合成系の遺伝子の包括的誘導が期待できるものである。
【0101】
上記ポリヌクレオチドを獲得する方法は特に限定されるものではなく、一般的な方法が採用される。例えば、当該ポリヌクレオチドを、それを有する生物のゲノムDNA、cDNAライブラリーなどから適切な制限酵素で切り出し、精製すればよい。なお、上記ポリヌクレオチドを有する生物としては、オウレン培養細胞を挙げることができる。そして、上記オウレン培養細胞の中でも特に、ベルベリン生産性の高い培養細胞を用いて精製を行えば、より確実に目的のポリヌクレオチドを単離することができる。また、適当なプライマーを用いて、上記生物のゲノムDNA、cDNAを鋳型として増幅反応を行うことで、上記ポリヌクレオチドを単離してもよい。
【0102】
(2)イソキノリンアルカロイド生合成遺伝子の全長cDNAの単離方法
続いて、即ち、本発明に係る遺伝子断片(EST)としてのポリヌクレオチドをプローブとして、その全長遺伝子(全長cDNA)を単離する方法について説明する。
【0103】
本発明に係るポリヌクレオチドは、オウレン培養細胞由来のイソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子のESTであるため、それを用いて、オウレン属植物(オウレン培養細胞を含む)、あるいはその他の植物から上記イソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子の全長cDNAをクローニングすることが可能である。この場合のクローニング方法としても、従来公知の方法を利用することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0104】
具体的には、ゲノムの少なくとも一部がデータベース化されている植物の場合には、上記ポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて相同性のある塩基配列をデータベース中から検索すればよい。例えば、汎用されている相同性検索アルゴリズムであるBLASTによる塩基配列の相同性検索を好適に用いることができる。
【0105】
また、ゲノムがデータベース化されていない植物の場合には、例えば、従来公知のDNAライブラリーを用いたハイブリダイゼーション法を用いることもできる。具体的には、適切なクローニング・ベクターを使用して対象となる植物からゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーを調製するステップと、上記ポリヌクレオチドの少なくとも一部をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行い、ライブラリーから上記プローブにポジティブの断片を検出するステップとを含む方法を用いることができる。このように、本発明に係るポリヌクレオチドはプローブとして有用である。プローブに用いる領域には、目的とする遺伝子に特異的な配列が含まれることが好ましい。また、プローブとして使用されるポリヌクレオチドの長さは、100bp以上が好ましい。
【0106】
上述の方法を用いれば、オウレンひいてはその他種々の植物(例えば、ケシやハナビシソウ、エンゴサクのようなケシ科植物、タマサキツヅラフジのようなツヅラフジ科植物、メギのようなメギ科植物など)から、ベルベリン、マグノフロリン、モルフィン、パパベリン、サングイナリン、コリダリン、セファランチンなどといったイソキノリン系のアルカロイド生合成に関わる全長遺伝子を容易に単離することができる。
【0107】
(3)形質転換体の作製方法
本発明に係る形質転換体は、上記ポリヌクレオチド、あるいは、上記ポリヌクレオチドをプローブとして使用して単離されたその全長遺伝子が組み込まれたベクターを宿主に導入したものである。上記宿主は、特に限定されるものではないが、例えば、酵母、大腸菌などの微生物、あるいは、植物、動物などを挙げることができる。しかしながら、上記ベクターに組み込まれた遺伝子(遺伝子断片)が、植物の一種であるオウレン培養細胞由来のものであることから、上記宿主ととしては、植物が好ましく、植物の中でもオウレン属植物、ケシやハナビシソウのようなイソキノリンアルカロイドを生産する植物が特に好ましい。なお、上記植物の範疇には、上述のように、個体としての植物のみならず、植物の器官、組織、細胞なども含まれる。
【0108】
上記形質転換体を作製する方法としては、具体的には、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、弾道粒子加速法、プロトプラスト形質転換/再生法、アグロバクテリウムによる形質転換法などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。また、上記形質転換方法は、宿主となる植物などの種類(例えば、単子葉植物・双子葉植物)に応じて適宜選択されることが好ましい。
【0109】
本発明において使用することができるベクターとしては、従来から微生物や植物、植物細胞などの形質転換に使用されているベクターを挙げることができる。そして、上記ベクターは、上記ポリヌクレオチド、あるいは、上記全長遺伝子の他に、従来公知の遺伝子を発現させるための恒常発現型または発現制御型のプロモーター、形質転換体の選抜を容易にする薬剤耐性遺伝子、アグロバクテリウムのバイナリ-ベクター系を使用するためのバイナリ-ベクター系を使用するための複製開始点などを含んでいてもよい。
【0110】
より具体的には、大腸菌などの微生物へ導入される場合には、pBluescript Iiskベクターや、pETベクターなどを使用することができる。植物細胞へ導入される場合には、アグロバクテリウムによる導入に適したものとしてpBI101やpBI121などを挙げることができる。エレクトロポレーション法を用いて植物細胞への導入を図る場合には、ベクターに特に制限はない。また、上記薬剤耐性遺伝子としてはアンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などを挙げることができる。上記プロモーターとしては、カリフラワーモザイクウィルス由来の35Sプロモーター(恒常発現型)や熱ショック誘導タンパク質のプロモーター(発現制御型)を挙げることができる。複製開始点としては、Ti又はRiプラスミド由来の複製開始点などを挙げることができる。
【0111】
(4)単離したアルカロイド生合成遺伝子を利用したアルカロイド生産
本願発明者等は、本発明以前に単離・同定されたアルカロイド生合成関連遺伝子を用いて、ハナビシソウのアルカロイド生合成活性を分子変換できること、あるいは、オウレンの生合成活性を向上できること(Sato F, Hashimoto T, Hachiya A, Tamura K, Choi K-B, Morishige T, Fujimoto H, Yamada Y. 2001. Metabolic engineering of plant alkaloid biosynthesis. Proc Nat’l Acad Sci (USA) 98: 367-372)を示している。また、大腸菌での発現によりより人工的な基質である6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンのN-メチル化が可能であることを示している。
【0112】
このような結果から、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いてアルカロイド生合成に関与する全長遺伝子を単離し、単離されたこれらの遺伝子を用いて植物や微生物を宿主とした上述のような形質転換体を作製すれば、容易に植物の二次代謝機能を変換/向上できるとともに、微生物細胞系を用いた物質変換も可能となる。さらに、これらの遺伝子が過剰発現するようなプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウィルス由来の35Sプロモーターなど)を含むベクターに組み込んで、上記形質転換体を作製すれば、アルカロイド生合成系の酵素を大量生産することができる。
【0113】
(5)本発明に係るタンパク質、それをコードする遺伝子およびその利用法
本発明に係るタンパク質は、上述の(a)、(b)、(c)、(d)のタンパク質であればよい。ここで、(a)のタンパク質は、後述の実施例に示すように、コロンバミン 7-O-メチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質であり、(b)は、その変異タンパク質であるといえる。
【0114】
また、(c)のタンパク質は、後述する実施例に示すように、ノルコクラウリン合成活性(norcoclaurine synthase活性)を有するタンパク質であり、(d)は、その変異タンパク質であるといえる。
【0115】
ここで、「1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法により置換、欠失、挿入、及び/または付加できる程度の数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/または付加されることを意味する。また、ここにいう「変異」は、主として公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異タンパク質を単離精製したものであってもよい。
【0116】
上記変異タンパク質には、野生型の活性に異常を持つ変異タンパク質(機能欠失型の変異タンパク質と称する)が含まれていてもよい。このような機能欠失型の変異タンパク質は、例えば、野生型タンパク質と構造を比較することにより、その構造の中で活性に必須な領域が明らかになるという、タンパク質の機能解析において有用である。また、本発明に係る遺伝子には、上記機能欠失型の変異タンパク質をコードする遺伝子が含まれても良い。このような遺伝子は、例えば、新たな形質転換体の作出に有用である。
【0117】
また、本発明に係るタンパク質は、タンパク質の精製や検出等を容易に行うために、公知のHAやFlag等の付加配列を末端に含ませてもよいし、融合タンパク質であってもよい。また、N-glycosylationなどの各種修飾を受けていてもよいし、二量体以上の多量体を形成するものであってもよい。
【0118】
さらに、上記(a)~(d)のタンパク質をコードする遺伝子も本発明に含まれる。本発明に係る遺伝子としては、例えば、配列番号53または配列番号55に示す塩基配列からなるものを挙げることができる。
【0119】
これらのタンパク質および遺伝子は、イソキノリンアルカロイド生合成に関与するものであり、それ自体非常に有用なものである。さらに、これらのタンパク質およびこれらタンパク質をコードする遺伝子を用いて、アルカロイド生合成系の改変に利用することができる。また、本発明に係る形質転換体、または上記タンパク質を用いることで、in vivo、in vitroを問わず、イソキノリンアルカロイドを生産することもできる。すなわち、このイソキノリンアルカロイドの生産方法は、少なくとも上記タンパク質または形質転換体を用いていればよく、その他の具体的な方法、条件、材料(基質など)、酵素、緩衝液、pH、温度、反応時間などは、適宜設定可能であり、限定されるものではない。例えば、上記タンパク質以外の従来公知のイソキノリンアルカロイド生合成に関与する酵素、例えば、コクラウリン N-メチルトランスフェラーゼ(CNMT)(非特許文献1参照)、N-メチル-コクラウリン 3’-ヒドロキシラーゼ(非特許文献2参照)、ベルベリンブリッジエンザイム(BBE)(非特許文献3参照)、スコウレリン 9-O-メチルトランスフェラーゼ(SMT)(非特許文献4参照)、ノルコクラウリン 6-O-メチルトランスフェラーゼ(6OMT)(特許文献1参照)、(S)-3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ(4OMT)(特許文献2参照)などを用いてもよい。
【0120】
これにより、染料、香辛料、および有用医薬品に利用可能なイソキノリンアルカロイドを効率的に生産することができる。
【実施例】
【0121】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0122】
(1)ESTの単離と網羅的塩基配列決定
京都大学大学院生命科学研究科全能性統御機構学研究室で確立され、長年維持培養されてきたオウレン(Coptis japonica)培養細胞のベルベリン高生産株156-1株(選抜株)から、上述の従来文献(Choi, et al., 2001)に記載の方法によってmRNAを抽出した。なお、上記オウレンのベルベリン高生産株156-1は、特開平11-178579号公報、特開平11-178579号公報、非特許文献:F. Sato, and Y. Tamada, (1984) High berberine-producing cultures of Coptis japonica cells. Phytochemistry, 23(2):281-385などに記載の方法によって作製・選抜することも可能である。そして、そのcDNAをpDR196ベクターにサブクローニングした後、ランダムに選抜した2016クローンの5’側塩基をMegabase system(Amersham Pharmacia)で決定した。
【0123】
そのうち、100塩基以上配列決定できた1014クローンの配列を、NCBlデータベースでtBLASTxにより相同検索し、その遺伝子機能を推定した。その結果、図2の表に示すように、相同性の高さから、これまでに同定されている11個のアルカロイド生合成遺伝子と推定される遺伝子が含まれていることが確認された。図2の表では、左から順に、各遺伝子の識別番号(No.)、EST配列から推定される機能(推定された遺伝子の起源、EST番号)、推定される遺伝子との相同性、EST配列長、単離されたESTの数を示す。このように、本実験において得られたオウレン培養細胞のcDNAライブラリーには、配列決定できた1014ESTのうちの約1%に相当する13クローンが、既に同定されているアルカロイド生合成関連遺伝子であると推定された。また、同定はされていないが、関連する機能が推定される遺伝子を含めると、上記1014ESTのうちの約4%に相当する45クローンがアルカロイド生合成関連遺伝子であると推定された。
【0124】
このように、上記選抜株においては、アルカロイド生合成関連遺伝子の発現が、非選抜株及びオウレン個体おけるアルカロイド生合成部位である根をはるかに上回って発現しているという結果が得られた。
【0125】
また、上記1014ESTのうち、相同検索の結果、機能未知、未同定とされたESTは、約40%を占めており、これらの中に、アルカロイド生合成関連遺伝子が含まれることが期待できた。
【0126】
(2)ESTマクロアレーをもとにしたベルベリン生合成関連遺伝子の選択
EST解析に用いたクローンをPCR増幅した後、Biomek 2000ロボットを用いて0.38mm間隔で、Biodyne ATM(Pall)膜にブロットしたものをマクロアレーとした。マクロアレーに対して、異なるアルカロイド生産性を有するオウレン培養細胞株(高生産株として156-1SMT、低生産株としてCJY及びCJ8)から抽出したmRNAをSuperscript II reverse transcriptase(Gibco BRL)によって、逆転写し、32P標識したものをプローブとしてそれぞれの細胞における遺伝子発現量を定量化した。
【0127】
マクロアレーにおける検出では、先ず、室温で0.5%SDS処理を5分間行い、弱く結合したDNAを除き、milliQ水で洗浄した。その後、100μg/ml ssDNAを含むExpressHyb(Clontech)溶液にて60℃、5-6時間プレハイブリダイゼーションを行った後、プローブを添加し、60℃で最低16時間ハイブリダイゼーションした。その後、60℃、30分間の2×SSC、1%SDS処理を4回、60℃。30分間の0.1×SSC、0.5%SDSと室温で2×SSC処理を一度づつ行い、Phosphor imaging plates(Fujix BAS2000)を用いて定量化した。データは、ArrayVisionTM(Imaging Research Inc.、Canada)で解析した。
【0128】
マクロアレー解析の結果、図3のグラフに示すように、明らかにベルベリン生産性の低いCJYと生産性の高い156-SMTでは、生合成遺伝子発現に大きな違いがあることが見出された。即ち、各遺伝子によって、ベルベリンの生産性が異なる2つの株における発現比が異なり、これまでに同定されているアルカロイド関連遺伝子(SMT、4’OMT、SAMsynthetase、6OMTなど)は、ベルベリン高生産株においてより多く発現していることが図3のグラフから確認された。なお、図3は、ベルベリン低生産性CJY細胞株(横軸)に対するベルベリン高生産性156-1SMT細胞株(縦軸)遺伝子発現量を示すグラフである。
【0129】
この結果は、細胞選抜によってアルカロイド生合成関連遺伝子の発現の高い細胞が選抜され、それが、156-1SMTの発現につながっていることを示唆していた。即ち、CJYに対する156-1SMTの発現比が大きい遺伝子は、ベルベリンの生合成に関与している可能性が高いことが推測された。
【0130】
また、図4には、ベルベリン低生産性CJ8細胞株(横軸)に対するベルベリン高生産性156-1SMT細胞株(縦軸)遺伝子の発現量を調査した結果を示す。図4に示すように、興味深いことに、ベルベリン生合成関連遺伝子の発現は、ベルベリン生産性の低いCJ8においても高いことが確認された。このことは、CJ8の選抜履歴からみて次のように考えられた。即ち、CJ8は156-1SMTと同様に、細胞選抜によってベルベリン生産性の高い株として生産されてきたが、その維持管理が不十分であったために生産性が低下した株である。従って、多くのアルカロイド生合成遺伝子は高い発現をしているが、特定の遺伝子の発現が低下したために、全体の生産性が低下していると推定された。このことは、生合成系の4’OMTやSAM合成酵素の発現が156-1SMTに比べて低いことから妥当な推測と考えられる。なお、図3及び図4の各グラフ内には、これまでに同定されているアルカロイド生合成遺伝子(SMT、4’OMT、SAMsynthetase、6OMT)と機能未知の遺伝子(unknown)の各発現比を矢印で示している。また、括弧内の数値は発現比である。
【0131】
以上のような推論をもとに、156-1SMT及びCJ8において高い発現を示し、CJYにおいて発現の低い遺伝子がベルベリン生合成関連遺伝子としての可能性が高いと判断された。図5および図6には、上記ベルベリン生合成候補遺伝子の一覧を示す。図5及び図6の表では、左から順に、ESTを識別するための番号(No.)、各ベルベリン生産株間の発現比(左から順に、SMT(156-1SMT)/CJY、SMT(156-1SMT)/CJ8、CJ8/CJY)、シークエンスID(sequence i. d.)、EST配列長(bp)、相同遺伝子のジーンバンクアクセション番号(GenBank Acc)、推定される機能(Notes)を示している。
【0132】
図5及び図6に示すように、各株間の発現比の結果から、No.1~3のEST(順に配列番号8、23、27に示す塩基配列からなるESTに相当する)は、アルカロイド生合成を抑制する候補遺伝子と考えられ、それ以外のものについては、アルカロイド生合成を促進する候補遺伝子と考えられた。また、No.12、18、28、33、36、40、43、45、46に示すESTは、同定されている既知遺伝子のものであるが、これらは何れもSMT/CJY及びCJ8/CJYが高い値を示した。また、No.19に示すESTは、O-メチルトランスフェラーゼと相同性を示したものであるが、これについても、SMT/CJY及びCJ8/CJYが高い値を示し、イソキノリンアルカロイドの生合成に関与していることが考えられた。なお、このNo.19のESTについては、後述するように、当該ESTをプローブとして用いて、その全長cDNAを単離している。
【0133】
また、図7には、配列決定された上述の1014ESTのうちで、転写因子としての機能を果たすと推定されたものを示す。これは、各ベルベリン生産株156-1SMT、CJ8、CJYにおける発現を調べた結果、各株間で発現の有無に相違が確認されたことから、二次代謝関連遺伝子発現の調節因子と考えられたものである。図7の表では、左から順に、EST番号、推定された遺伝機能とその起源、相同性、EST配列長、そして、各株(156-1SMT/CJ8/CJY)における発現の有無(+:発現あり、-:発現なし)の結果を示す。この各株間における発現の有無の観察結果より、EST番号731の遺伝子のみが、正の調節因子であり、図7に示すそれ以外の遺伝子は負の調節因子と考えられた。なお、この正の調節因子と見られるEST番号731の遺伝子は、図5のN0.29の遺伝子(Ring-H2 finger protein RHC1a homolog)に相当し、転写因子としてアルカロイド生合成の制御に関わっていることが期待される。そして、このN0.29に示す遺伝子は、配列番号34及び図41に示す塩基配列からなる遺伝子である。また、図7に示す負の調節因子と考えられる遺伝子のうちで、EST番号179の遺伝子は配列番号35及び図42に示す塩基配列からなり、EST番号502の遺伝子は配列番号36及び図43に示す塩基配列からなり、EST番号558の遺伝子は配列番号37及び図44に示す塩基配列からなり、EST番号1013の遺伝子は配列番号38及び図45に示す塩基配列からなる。
【0134】
(3)ノザン解析によるベルベリン関連遺伝子の選別
生産性の異なる培養細胞株の1週間目の細胞より抽出したトータルRNAをフォルムアルデヒドを含むゲルで電気泳動し、Biodyne ATM(Pall)メンブレンにブロッティングした。単離された生合成遺伝子cDNAをPCRで増幅後、各々の細胞における発現を、従来文献(Hibi N., Higashiguchi S., Hashimoto T., Yamada Y., 1994, Plant Cell 6: 723-735)に記載の方法に従って確認した。
【0135】
RNAの抽出は、TRIzolを用いたTIGR植物RNA抽出法(http://www.powow.com/akatlab/tigr.html)に従って行った。
【0136】
(4)選択された候補遺伝子を用いた遺伝子機能解析
マクロアレー解析によってベルベリン生合成に関与することが期待された遺伝子の一つとして、CjEST64の機能解析を行った。この遺伝子は、図5のNo.19に示すESTを含む遺伝子であり、このESTがO-メチルトランスフェラーゼと相同性を示したことより、ベルベリンの類縁体であるパルマチンの生合成に関与することが期待された。
【0137】
この遺伝子の機能を解明するために、Marathon cDNA Amplification Kit(Clontech)を用いて全長cDNAを単離し、その塩基配列決定を行った。決定されたその塩基配列は、配列番号53及び図60に示すものである。
【0138】
単離されたcDNAは、発現ベクター:pET-21d vector(Novagen)に組み込まれた後、大腸菌に投入された。そして、組換え酵素を常法により発現させ、コロンバミン(columbamine)を基質として反応を行った。LC-MSによる解析の結果、明らかにコロンバミン 7-O-メチルトランスフェラーゼ活性を示すことが明らかとなった。即ち、上記cDNAの翻訳産物である配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、コロンバミン 7-O-メチルトランスフェラーゼ活性を示すものであることが確認された。これによって、本方法による遺伝子選抜の妥当性が立証された。
【0139】
(5)norcoclaurine synthaseの単離・同定
本法では、全く、タンパク質の精製を行わず、上述の(1)、(2)欄に記載の方法よって該当遺伝子の絞り込みを行い、異種発現系を用いて、norcoclaurine synthase遺伝子を単離・同定することに成功した。
【0140】
具体的には、以下の通りである。当初、得られた該当遺伝子候補の塩基配列の発現レベルが、比較的低く、上述のマクロアレーでは検出できなかったものであり、そのため、配列番号1~52には記載されていなかったものである。しかし、予備的に塩基配列の相同性検索を行ったところ、該当遺伝子候補として得られた塩基配列とdioxygenase遺伝子との相同性が示された。このことから、該当遺伝子候補として得られた塩基配列がアルカロイド生合成系との関連すると予測された。
【0141】
そこで、上記(3)欄に記述のノザン法により、該当遺伝子候補として得られた塩基配列とアルカロイド生合成活性との相関を確認した。具体的には、該当遺伝子候補として得られた塩基配列(dioxygenase遺伝子と相同性を有する塩基配列)について、ベルべリン高生産株SMT株(培養1,2,3週)、低生産株CJY株(培養1,2週)、ならびに生産性は低いが生合成酵素遺伝子の発現が高いCJ8株(培養1,2,3週)における発現を、ノザン解析により調べた。その結果を図64に示す。なお、図64(a)は、ノザン解析においてmRNA量を調べたゲルを示し、図64(b)は、その結果をCJY株の値をもとに相対評価した結果を示す図である。なお、図中、SMT1wとはSMT株の培養1週目を示し、SMT2wとはSMT株の培養2週目を示し、SMT3wとはSMT株の培養3週目を示す。以下、CJY1w、CJY2w、CJ81w、CJ82w、CJ83wも同様である。
【0142】
同図に示すように、B. CJYの発現量と比較して、SMT1wは約11倍、SMT2wは約13倍、CJ81wは約6倍、CJ82wは約8倍多く発現していることがわかった。この結果から、該当遺伝子候補として得られた塩基配列の発現量と、アルカロイド生産性またはベルベリン生合成酵素遺伝子の発現量との間によい相関があることが認められた。
【0143】
そこで、上記(4)欄に示す方法と同様に、該当遺伝子候補として得られた塩基配列の全長のcDNAを単離し、塩基配列の決定を行った。決定された塩基配列は、配列番号55および図62に示すものである。
【0144】
次に、得られた全長cDNAの塩基配列をもとに、再度相同性検索した結果、全長cDNAは、2-オキソグルタル酸/Fe(II)依存型dioxygenaseと相同性を有することがわかった。しかし、この配列情報からだけでは、機能が推定できず、推定される反応特性と生合成系を検討し、生合成の初発段階にあたるnorcoclaurine synthaseとしての可能性があると考え、大腸菌内での発現および粗酵素液の調製をおこなった。
【0145】
(5-1)大腸菌での発現と酵素液の調製
まず、大腸菌発現ベクター、pET-41a(+)(Novagen)に、上記全長cDNAの塩基配列のうち、dioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする領域を含む、NdeI-XhoI fragment(1056bp)を組み込んだ。得られたプラスミドを、大腸菌DH5αに形質転換し、LB培地で培養した。10mlのLB培地で前培養後、1リッター培地で本培養を行った。16℃、150rpmで振とう培養し、OD600が0.5になった時点で、IPTGを最終濃度が1mMになるように添加し、さらに16℃で48時間振とう培養した。
【0146】
上記ベクターを導入した大腸菌を、4℃、1,500 g で20分間遠心し、集菌した後、25mlの抽出緩衝液(100 mM Tris-HCl (pH 8)、5 mM EDTA、20 mM 2-mercaptoethanol、10% glycerol)に懸濁した。菌体を超音波破砕後、4℃、12,000 g で20分間遠心し、得られた上清を可溶性画分とした。この上清を30~60%の硫安にて分画した後、脱塩し、DEAE Sepharose Fast Flow column (2.5 cm × 16 cm) (Pharmacia) にて分離した。具体的には、まず、抽出緩衝液で非吸着タンパク質を溶出させた後、0~0.5MのNaClの濃度勾配(500ml)によりタンパク質を溶出した。
【0147】
その後、SDS-PAGE により各フラクションを確認したところ、非吸着タンパク質画分に目的タンパク質が主要タンパク質として含まれていたため、この非吸着タンパク質画分を粗酵素液として以下の実験に用いた。
【0148】
(5-2)粗酵素液を用いたnorcoclaurine synthase 反応
上記の粗酵素液を用いて、norcoclaurine synthase 反応を行った。反応液組成は以下の表1に示すとおりで、37℃で30分~2時間反応を行った。等量のメタノールを加えて反応を停止させた後、12,000 g、4℃で5分間遠心し、その上清をHPLC分析した。
【0149】
【表1】
JP0003987931B2_000002t.gif

【0150】
なお、基質である4-HPAA(4-hydroxyphenylacetaldehyde)は以下の表2に示す、tyramine oxidaseによる tyramine の酸化的脱アミノ反応(30℃、2時間反応)により調製した。反応後、3分間煮沸し、tyramine oxidaseを失活させたのち、上記の反応に用いた。
【0151】
【表2】
JP0003987931B2_000003t.gif

【0152】
(5-3)HPLCによるnorcoclaurine synthase 活性の測定
HPLC分析には、SHIMADZU社製のSCL-10A(プログラム装置)、LC-10AD(ポンプ)、SPD-M10A(光学検出器)、DGU-12A(脱気装置)、CTO-10A(試料注入装置、カラム恒温槽)を用い、CLASS-VP でデータ処理を行った。カラムは、TOSOH製のODS-80TMを用い、40℃、流速0.25 ml/min で 280 nm の吸収を測定した。移動相には、H2O:acetonitrile:methanol (125:25:25), 1% acetic acid を使用した。
【0153】
その結果を図65(a)(b)に示す。(a)は、反応液のみ、(b)は、dioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を発現させた大腸菌粗酵素液による反応後の生成物をHPLC分析した結果を示す。同図に示すように、dioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を発現させた粗酵素液の場合では、反応時間の経過と共に、約14分の保持時間を示すピークの増加が見られた。ピークの増加は、コントロールの大腸菌抽出液や緩衝液のみを用いた場合にも認められたが、その増加量はdioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を発現させた粗酵素液の場合より明らかに低かった。このピークの増加は、基質であるdopamineと4-hydroxyphenylacetaldehydeの非酵素的な反応によって生じることが知られている。
【0154】
したがって、dioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を発現させることにより、酵素的な反応によってnorcoclaurineが生成すると考えられる。このため、上記のdioxygenaseと相同性を有するタンパク質は、norcoclaurine synthase活性を有すると考えられる。
【0155】
(5-4)LC-MS による反応産物の同定
次に、HPLC分析で見られた約14分の保持時間を示すピークが、norcoclaurine であることを確認するために、LC-MSによる同定を行った。解析には、SHIMADZU 社製 LCMA-2010A を用い、前述のHPLC解析に用いたカラムと移動相により、流速 0.25 ml/min で分離を行った。
【0156】
その結果、図66に示されるように、dioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を発現した大腸菌粗酵素液による反応生成物が、norcoclaurine に相当するm/z値(マススペクトル)である、m/z272を示すことが明らかとなった。
【0157】
以上のHPLCおよびLC-MS分析の結果より、単離したdioxygenaseと相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子産物による反応生成物が norcoclaurine であり、本酵素(遺伝子産物)がnorcoclaurine synthase 活性を有することが明らかとなった。このため、本酵素をnorcoclaurine synthaseと称することとする。なお、本酵素のアミノ酸配列は、配列番号56および図63に示す。
【0158】
以上のように、本手法により、今まで未同定であったnorcoclaurine synthaseの遺伝子を同定することができた。本遺伝子はイソキノリンアルカロイドの初発反応を担うことより、同遺伝子の同定により、イソキノリンアルカロイド生合成系の分子育種の道が大きく開かれたといえる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明によれば、イソキノリンアルカロイド生合成関連遺伝子を効率よく、包括的に単離することができる。そして、植物の二次代謝産物であるイソキノリンアルカロイドの生合成遺伝子が包括的に単離されれば、医薬品原料として有用なイソキノリンアルカロイドを工業的に大量生産する手段が確保されることになり、医薬品産業へ大きく貢献できる可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】ベルベリンの生合成経路を示す図である。
【図2】本実施例において配列決定された1014ESTの相同検索の結果、これまでに同定されているアルカロイド合成遺伝子と相同性を示した遺伝子を示す表である。
【図3】ベルベリン低生産性CJY細胞株(横軸)に対するベルベリン高生産性156-1SMT細胞株(縦軸)遺伝子発現量を示すグラフである。
【図4】ベルベリン低生産性CJ8細胞株(横軸)に対するベルベリン高生産性156-1SMT細胞株(縦軸)遺伝子発現量を示すグラフである。
【図5】本実施例において配列決定されたESTのうち、ベルベリン生合成候補遺伝子と判断された遺伝子を示す表である。
【図6】本実施例において配列決定されたESTのうち、ベルベリン生合成候補遺伝子と判断された遺伝子を示す表であり、図5に示す表の続きである。
【図7】本実施例において配列決定されたESTのうち、転写因子と考えられる因子と考えられる遺伝子を示す表である。
【図8】配列番号1に示す塩基配列を示す図である。
【図9】配列番号2に示す塩基配列を示す図である。
【図10】配列番号3に示す塩基配列を示す図である。
【図11】配列番号4に示す塩基配列を示す図である。
【図12】配列番号5に示す塩基配列を示す図である。
【図13】配列番号6に示す塩基配列を示す図である。
【図14】配列番号7に示す塩基配列を示す図である。
【図15】配列番号8に示す塩基配列を示す図である。
【図16】配列番号9に示す塩基配列を示す図である。
【図17】配列番号10に示す塩基配列を示す図である。
【図18】配列番号11に示す塩基配列を示す図である。
【図19】配列番号12に示す塩基配列を示す図である。
【図20】配列番号13に示す塩基配列を示す図である。
【図21】配列番号14に示す塩基配列を示す図である。
【図22】配列番号15に示す塩基配列を示す図である。
【図23】配列番号16に示す塩基配列を示す図である。
【図24】配列番号17に示す塩基配列を示す図である。
【図25】配列番号18に示す塩基配列を示す図である。
【図26】配列番号19に示す塩基配列を示す図である。
【図27】配列番号20に示す塩基配列を示す図である。
【図28】配列番号21に示す塩基配列を示す図である。
【図29】配列番号22に示す塩基配列を示す図である。
【図30】配列番号23に示す塩基配列を示す図である。
【図31】配列番号24に示す塩基配列を示す図である。
【図32】配列番号25に示す塩基配列を示す図である。
【図33】配列番号26に示す塩基配列を示す図である。
【図34】配列番号27に示す塩基配列を示す図である。
【図35】配列番号28に示す塩基配列を示す図である。
【図36】配列番号29に示す塩基配列を示す図である。
【図37】配列番号30に示す塩基配列を示す図である。
【図38】配列番号31に示す塩基配列を示す図である。
【図39】配列番号32に示す塩基配列を示す図である。
【図40】配列番号33に示す塩基配列を示す図である。
【図41】配列番号34に示す塩基配列を示す図である。
【図42】配列番号35に示す塩基配列を示す図である。
【図43】配列番号36に示す塩基配列を示す図である。
【図44】配列番号37に示す塩基配列を示す図である。
【図45】配列番号38に示す塩基配列を示す図である。
【図46】配列番号39に示す塩基配列を示す図である。
【図47】配列番号40に示す塩基配列を示す図である。
【図48】配列番号41に示す塩基配列を示す図である。
【図49】配列番号42に示す塩基配列を示す図である。
【図50】配列番号43に示す塩基配列を示す図である。
【図51】配列番号44に示す塩基配列を示す図である。
【図52】配列番号45に示す塩基配列を示す図である。
【図53】配列番号46に示す塩基配列を示す図である。
【図54】配列番号47に示す塩基配列を示す図である。
【図55】配列番号48に示す塩基配列を示す図である。
【図56】配列番号49に示す塩基配列を示す図である。
【図57】配列番号50に示す塩基配列を示す図である。
【図58】配列番号51に示す塩基配列を示す図である。
【図59】配列番号52に示す塩基配列を示す図である。
【図60】配列番号53に示す塩基配列を示す図である。
【図61】配列番号54に示すアミノ酸配列を示す図である。
【図62】配列番号55に示す塩基配列を示す図である。
【図63】配列番号56に示すアミノ酸配列を示す図である。
【図64】(a)は、ベルべリン高生産株SMT株(培養1,2,3週)、低生産株CJY株(培養1,2週)、ならびに生産性は低いが生合成酵素遺伝子の発現が高いCJ8株(培養1,2,3週)における、norcoclaurine synthase遺伝子の発現をノザン解析によって調べた結果を示す図であり、(b)は(a)の結果をもとに、CJY株の値を基礎として相対評価した結果を示す図である。
【図65】norcoclaurine synthase活性のHPLCによる測定結果を示す図である。
【図66】norcoclaurine synthase反応によって生成した反応産物のLC-MS分析の結果を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
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【図45】
44
【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
49
【図51】
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【図52】
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【図53】
52
【図54】
53
【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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