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明細書 :葯と花粉で発現するプロモーター配列

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3665813号 (P3665813)
登録日 平成17年4月15日(2005.4.15)
発行日 平成17年6月29日(2005.6.29)
発明の名称または考案の名称 葯と花粉で発現するプロモーター配列
国際特許分類 C12N 15/09      
A01H  5/00      
C12N  5/10      
FI C12N 15/00 ZNAA
A01H 5/00 A
C12N 5/00 C
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2000-608735 (P2000-608735)
出願日 平成11年3月26日(1999.3.26)
国際出願番号 PCT/JP1999/001551
国際公開番号 WO2000/058454
国際公開日 平成12年10月5日(2000.10.5)
審査請求日 平成12年7月7日(2000.7.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
発明者または考案者 【氏名】肥後 健一
【氏名】岩本 政雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100078282、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 秀策
審査官 【審査官】小暮 道明
参考文献・文献 国際公開第92/013956(WO,A1)
Plant Molecular Biology,1996年,Vol.30,p.505-521
Nature,1990年,Vol.347,p.737-741
Plant Molecular Biology,1999年 1月,Vol.39, No.1,p.35-44
調査した分野 C12N 15/00-15/90
A01H 5/00
C12N 5/00-5/14
BIOSIS/WPI(DIALOG)
PubMed
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
SwissProt/PIR/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
葯において異種遺伝子を特異的に発現させるための方法であって:
配列番号1で示される配列からなるDNAを有するイネCatA遺伝子プロモーター;および
異種遺伝子が該プロモーターと発現可能に接続されるように、該異種遺伝子を挿入するための部位、
を含む、植物発現用カセットを提供する工程;
該異種遺伝子を該挿入部位に挿入して、組換え発現ベクターを形成する工程;
植物細胞を、該組換え発現ベクターで形質転換する工程;ならびに
該形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程
を包含し、
ここで、該異種遺伝子は葯において、同じ植物体の他の組織または器官の少なくとも1種におけるよりも多く発現する、
方法。
【請求項2】
前記植物細胞が単子葉植物細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物細胞が双子葉植物細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
花粉において異種遺伝子を特異的に発現させるための方法であって:
配列番号1で示される配列からなるDNA;および
異種遺伝子が該プロモーターと発現可能に接続されるように、該異種遺伝子を挿入するための部位、
を含む、植物発現用カセットを提供する工程;
該異種遺伝子を該挿入部位に挿入して、組換え発現ベクターを形成する工程;
植物細胞を、該組換え発現ベクターで形質転換する工程;ならびに
該形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程
ここで、該異種遺伝子は花粉において、同じ植物体の他の組織または器官の少なくとも1種におけるよりも多く発現する、
を包含する、方法。
【請求項5】
前記植物細胞が単子葉植物細胞である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記植物細胞が双子葉植物細胞である、請求項4に記載の方法。
発明の詳細な説明 技術分野
本願発明は、植物遺伝子のプロモーターを用いる、有用植物の育種に関する。さらに詳しくは、イネのカタラーゼ遺伝子A(以下、CatAという)のプロモーター遺伝子を用いる有用植物の育種に関する。
背景技術
品種間の交配で生じるF1ハイブリッド(雑種第一代)が両親よりも優れた特性を示すことがあることが知られており、作物の品種改良の方法として従来から注目されていた。イネなどの自家受粉を行う作物においては、この性質を利用するための必要な技術の一つとして、花粉が稔性を持たない雄性不稔系統の作出方法が研究されている。従来は、植物遺伝資源の中から雄性不稔系統を探したり、突然変異を誘発して雄性不稔系統を選抜したりしていたが、実用品種にその遺伝子を導入するのは容易ではなく、利用は限られていた。
最近になって、バイオテクノロジーを利用した方法として、葯および/または花粉で発現するプロモーターにこれらの器官の形成を阻害する機能を持つ遺伝子(例えば、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、グルカナーゼ等をコードする遺伝子)をつなげて植物に導入し、稔性のある花粉形成を阻止する方法が提案されている(例えば、Marianiら,Nature 347:737-741(1990))。あるいは、葯および/または花粉で発現するプロモーターを利用して、これらの器官の形成時に発現する遺伝子のアンチセンスRNAを転写させたり、これらのmRNAを分解するリボザイムを導入する方法が有望視されている。
葯および/または花粉で発現する遺伝子のプロモーターは、トマト,シロイヌナズナ、トウモロコシなどで数種類が知られている(例えば、Twellら,Plant Physiol. 91:1270-1274(1989);Paulら,Plant Molecular Biology 19:611-622(1992);Guerreroら,Mol.Gen.Genet. 224:161-168(1990))。しかし、その活性は、実用的に用いられるには低いという問題点がある。さらに、葯および/または花粉の形成を人為的に制御するためには、これらの器官の各発生段階のいずれかで機能するプロモーターを単離し、それぞれの特徴を明らかにした上で、高い活性を持ったプロモーター含有カセットを作成できれば、非常に有用である。
従って、イネの遺伝子から、活性が高く、実用的にも使用され得る葯および/または花粉用のプロモーターが取得できれば、イネ等の作物を含む有用植物の品種改良に大いに貢献できる。
発明の開示
本願発明は、遺伝子工学的手法による植物の育種に関し、その目的は、葯および/または花粉で高い活性を有する植物遺伝子プロモーターを含有する、植物発現用カセットおよび組換えプラスミド、ならびにその利用方法を提供することにある。
本願発明者らは、イネのカタラーゼA(CatA)遺伝子が葯および花粉で高いプロモーター活性を示すことを見いだし、この知見に基づいて本願発明を完成したものである。
本願発明は、葯および/または花粉において異種遺伝子を特異的に発現させるための植物発現用カセットを提供する。この発現用カセットは、配列番号1で示される配列、またはその一部を有する配列であって配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する、イネCatA遺伝子プロモーターを含み、さらに、異種遺伝子がこのプロモーターと発現可能に接続されるように、異種遺伝子を挿入するための部位を含む。ここで、配列番号1で示される配列は、イネCatA構造遺伝子の5’上流域および第1イントロンを含む配列である。
本願発明はまた、葯および/または花粉において異種遺伝子を特異的に発現させるための組換えプラスミドを提供する。この組換えプラスミドは、配列番号1で示される配列、またはその一部を有する配列であって配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する、イネCatA遺伝子プロモーターを含み、さらに、このプロモーターと発現可能に接続された異種遺伝子を含む。
本願発明はさらに、葯および/または花粉における特異的な発現が所望される異種遺伝子を植物に導入する方法を提供する。この方法は、上記の組換えプラスミドで植物細胞を形質転換する工程、および形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程を包含する。
上記の異種遺伝子は、葯および/または花粉の形成を阻害する機能を持つ遺伝子であり得る。このような遺伝子を上記方法において使用することにより、雄生不稔植物を作製し得る。また、上記方法において、植物細胞は、単子葉植物細胞または双子葉植物細胞のいずれかであり得る。
【図面の簡単な説明】
図1は、プラスミドCatA-GUS-Δ0の作製を示す模式図である。
図2は、各プロモーターの活性を比較した図である。
図3は、葯のGUS組織染色の結果を示す写真である。
図4は、花粉のGUS組織染色の結果を示す写真である。
発明を実施するための最良の形態
本願発明について、以下に、より詳細に説明する。
(イネCatA遺伝子プロモーターの単離)
イネのカタラーゼA(CatA)遺伝子の単離方法、および本願発明のプロモーター領域を含むゲノミックCatA遺伝子の塩基配列は、本願発明者らにより日本農芸化学会1992年大会講演要旨集:日本農芸化学会誌66(3),488(1992)、およびHigoら,Plant Molecular Biology 30:505-521(1996)で発表されている。ただし、葯および花粉でのCatA遺伝子発現の有無、及び形質転換イネの解析については、発表されていない。
イネCatA遺伝子プロモーターは、イネのゲノミックライブラリーからスクリーニングされ得る。米国クローンテック社(CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, CA)が市販しているイネのゲノミックDNAライブラリー(Rice Genomic Library)が用いられ得る。
スクリーニング用のプローブとしては、本願発明者らが単離したイネCatA cDNAが用いられ得る。イネCatA cDNAの単離方法および塩基配列は、本願発明者らにより既に発表されている(Moriら,Plant Molecular Biology 18:973-976(1992))。
まず、ファージλを用いて作成されたイネゲノミック遺伝子ライブラリーを大腸菌に感染させてプラークを形成させる。このプラークを常法に従って、ニトロセルロース等のメンブレンに移し、標識したスクリーニング用プローブでハイブリダイズさせる。ハイブリダイズ終了後、洗浄し、オートラジオグラフィーにかけ、ハイブリダイズすることが確認されたファージからDNAを調製する。
調製したファージDNAを、適当な制限酵素を組み合わせて消化し、その消化物をアガロースゲル電気泳動で分離する。分離したDNA断片をナイロンメンブレンに移して、上記のスクリーニング用プローブをハイブリダイズさせ、シグナルの強さとバンドパターンの相違に基づいて、スクリーニングする。
最もシグナルの強いクローンはCatA遺伝子を含み、弱いシグナルのクローンはCatAに類似しているがCatAではない遺伝子を含んでいると考えられる。また、バンドパターンの比較により、遺伝子の一部を欠損したクローンを識別できる。さらに、バンドパターンに基づく各クローンの物理地図を作製することにより、プロモーターを構成すると推定される、構造遺伝子の5’上流域の長さが約1.5Kbp程度あるクローンを特定できる。
以上の様にして、完全なCatAゲノミック遺伝子が、単離され得る。
CatAゲノミック遺伝子の塩基配列をCatA cDNAの塩基配列と比較することにより、プロモーター領域が特定され得る。プロモーター配列としては、ゲノミック遺伝子がイントロンを有する場合は、構造遺伝子の5’上流域だけではなく、第1イントロン等の領域をも含み得る。
(GUS活性の測定によるプロモーター活性部分の特定)
CatA遺伝子のプロモーター領域が特定されると、その配列を切り出して、植物発現用ベクターにつなぎ込み得る。つなぎ込まれたプロモーターの活性を評価するために、そのプロモーターの下流にレポーター遺伝子、例えば、適当な酵素をコードする遺伝子を連結したプラスミドを作成し得る。このプラスミドを植物細胞中に導入し、遺伝子の発現を、例えば、酵素活性を測定して、観察する。植物を宿主とする場合には、例えば、pBI221等のようなプラスミドを用いて、β-グルクロニダーゼ(GUS)の発現を指標として測定するのが一般的であり、本願明細書においても、GUSの発現で測定する方法が適用され得る。
GUS活性は、Jeffersonらの方法(EMBO J 6:3901-3907(1987))に基本的に従って測定され得る。すなわち、タンパク質量にして50μg相当のプロトプラスト抽出液と25μlの20mM 4-methyl umbelliferryl glucuronide(4MUG)、それに抽出バッファー、さらに植物組織内在性のGUS様活性を抑制するために100μlメタノール(Kosugiら,Plant Science 70:133-140(1990))を加えてから全量を500μlとし、37℃でインキュベートする。2時間後に反応液から200μlを採取し、0.2M Na2CO3を0.8mL加えて反応を停止させる。蛍光分光光度計により、365nmの励起光で455nmの蛍光を測定する。酵素活性を4-MU pmol/min/mg proteinで表示する。
CatA遺伝子のプロモーター領域の様々な欠失体、例えば、5’上流側から様々な長さに欠損させたCatA遺伝子のプロモーター領域をGUS遺伝子と融合させたプラスミドを用いてプロモーター活性を測定し、その活性に必須な部分等を特定し得る。このような活性部分の特定のための手法は、当業者には公知である。従って、例えば、CatA遺伝子のプロモーター領域に不要な配列を除去して得られる、CatA遺伝子のプロモーターと同等の活性を有する配列も本願発明の範囲内にある。
いったんCatA遺伝子のプロモーター領域およびその活性部分が特定されると、さらにその配列を改変して、プロモーター活性を高めたり、発現する組織について特異性を変更させることも可能である。例えば、CatA遺伝子のプロモーター領域またはその活性部分を一部改変して得られる、改変前と同等の活性を有する配列も本願発明の範囲内にある。
配列番号1の配列を有するプロモーター領域は、葯および/または花粉において特異的にその活性を発現する。従って、本願明細書において、プロモーター活性について「同等」であるとは、活性の強度が、少なくとも、基準となるプロモーター領域の活性の強度と同程度であると共に、活性の特異性も、少なくとも、基準となるプロモーター領域の活性の特異性と同程度であることをいう。用語「同等」は、活性の強度および活性の特異性が、基準となるプロモーター領域と比較して、明らかに高い場合を除外する意図ではないことに留意すべきである。「配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する」とは、例えば、本願明細書の下記実施例と同様の条件でプロトプラストにおいてGUS遺伝子を発現させたとき、そのGUS活性が、配列番号1の配列についてのGUS活性の約50%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約90%以上であり、かつ、葯および/または花粉において特異的にその活性を発現することをいう。
本願明細書において、葯および/または花粉において「特異的に」発現するとは、目的とする遺伝子産物を葯および花粉の少なくとも一方において、同じ植物体の他の組織または器官の少なくとも1種におけるよりも多く発現することをいう。例えば、遺伝子産物を、葯および花粉において、同じ植物体の任意の部位の葉身におけるよりも多く発現することをいう。このような発現の特異性は、本願明細書の下記実施例と同様の条件で形質転換植物を作製することにより評価し得る。
(発現カセットおよび組換えプラスミドの構築およびその利用)
活性が確認されたCatA遺伝子のプロモーター領域またはその活性部分を有する配列は、適当な植物発現ベクターに組み込まれ得る。この植物発現用ベクターに組み込まれた配列の3’末端側に、適当なリンカー配列、例えばマルチプルクローニングサイトを有するリンカーを導入して、植物宿主に適した発現カセットが作成され得る。従って、本願明細書において「異種遺伝子を挿入するための部位」とは、リンカーまたはリンカーと同様に作用する配列に含まれる部位をいう。この発現カセットには、所望により他の調節エレメントが含まれ得る。例えば、発現効率を向上させるため等の目的で、ターミネーター配列が含まれ得る。このターミネーター配列は、上記マルチプルクローニングサイトを有するリンカー配列を介して、プロモーター配列と結合され得る。
上記植物発現用カセットのプロモーターの3’下流、例えばマルチプルクローニングサイトに、発現が意図される異種遺伝子が発現可能に接続されて、組換えプラスミドを生じる。本願明細書において「異種遺伝子」とは、CatA遺伝子以外のイネまたは他の植物において内因性の遺伝子、または植物に対して外来の遺伝子であって、その遺伝子産物の発現が葯および/または花粉において所望される任意の遺伝子をいう。
このようにして生じた組換えプラスミドを用いて、植物細胞が形質転換され得る。植物細胞の形質転換は、アグロバクテリウムを用いる方法、プロトプラストへのエレクトロポレーションによる方法など、当業者に公知の任意の方法によって行い得る。例えば、植物細胞のプロトプラストの作成は、Kyozukaら,Mol.Gen.Genet. 246:408-413(1987)に記載の方法に従って行い得る。
形質転換された植物細胞を常法により再分化させて、形質転換された植物組織とし、さらに植物体とすることができる。形質転換のための組換えプラスミドの作成にあたって、CatA遺伝子プロモーターは、例えば、細菌と植物の両宿主で発現可能なバイナリーベクターに組み込むことが可能である。このようなバイナリーベクターは当業者に周知である。例えば、アグロバクテリウムの発現系を含む、pBI系などのベクターを用いると、微生物による植物への感染のシステムを利用し得る。適切な組換えプラスミドを用いることにより、イネ等の単子葉植物およびタバコ等の双子葉植物を含む任意の形質転換可能な植物に目的の異種遺伝子を導入し得る。
上述のように、CatA遺伝子プロモーターは、葯および/または花粉において特異的に発現し得る。従って、異種遺伝子として、葯および/または花粉の形成を阻害する機能を持つ遺伝子を利用することにより、雄性不稔植物を作製することができる。本願明細書において「葯および/または花粉の形成を阻害する機能を持つ遺伝子」とは、その遺伝子産物が稔性のある花粉の形成を阻止し得るもの(例えば、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、グルカナーゼ等をコードする遺伝子)と、その遺伝子自体が葯および/または花粉の形成を阻害する機能を示すもの(例えば、葯および/または花粉の形成時に発現する内因性遺伝子のアンチセンスRNA、およびそのような内因性遺伝子を分解し得るリボザイム)とを含んでいう。雄性不稔植物の選抜およびそれを用いる植物の品種改良のための手法は、当業者に周知である。
上記の形質転換植物の作製はまた、雄性不稔以外の形質を植物に付与するためにも利用し得る。例えば、毒性タンパク質をコードする異種遺伝子を用いることにより、花粉を摂食する害虫などの制御を図ることができる。あるいは、栄養素となり得るタンパク質をコードする異種遺伝子を用いることにより、作物の栄養価を高めることができる。葯および/または花粉での特異的な遺伝子発現を利用する、任意の有用植物の作製が、本願発明の範囲内にある。
本願発明により、イネの遺伝子から、葯および/または花粉で活性が高い、実用的なプロモーターの使用が提供される。従って、本願発明は、イネの品種改良のみならず、他の種々の植物の品種改良に利用され得る。
(実施例)
以下に、実施例に基づいて本願発明を説明するが、本願発明の範囲は、実施例のみに限定されるものではない。
1.イネCatAゲノミック遺伝子の単離:ゲノミックライブラリーからのスクリーニング
CatA cDNA(Moriら,(1992;前出)の一部を、CatAゲノミック遺伝子のクローニングに用いた。CatA cDNAのクローニングの過程で得られた不完全長cDNA(全長1.8kbpのうち、5’非翻訳領域及び若干のコード領域の合計約0.45Kbpを欠損する3’末端側の1.35Kbp)を含むラムダファージ(クローンNo.51)のインサート部分をPCRで増幅した。同ファージよりDNAを調製してこれをテンプレートとし、プライマーとしてλgt11-Forward Primer及びλgtll-Reverse Primer(東洋紡)を用いた。生成物をセントリコン-100(Amicon)で精製し、濃度を25ng/10μlにして、マルチプライムラベル法(Amersham)のプローブとした。
米国クローンテック社(CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, CA)から購入したイネのゲノミックDNAライブラリー(Rice Genomic Library)を用いてCatA遺伝子をスクリーニングした。ゲノミックライブラリーを構成するファージλEMBL-3を常法に従って、E.coli NM538株に感染させ、ファージプラークを形成させた。このファージプラークをナイロンメンブレンに移し、下記の標準的条件で上記プローブとハイブリダイズさせた。なお、プローブは32Pで標識した。
ハイブリダイズ溶液:6x SSC-0.1% SDS, 5x Denhardt's, 100 microgram/ml salmon sperm DNA;ハイブリダイズ温度:65℃;ハイブリダイズ時間:一晩
次に、メンブレンを、以下の条件で洗浄した。洗浄条件:2x SSC-0.1% SDS室温5分プラス30分;1x SSC-0.1% SDS;68℃、1時間
洗浄後、常法に従って、ナイロンメンブレンをオートラジオグラフィーにかけ、プローブとハイブリダイズしたクローンを検出した。ハイブリダイズすることが確認されたファージからそれぞれDNAを調製した。
上記ファージのDNAをSalIとScaIなどの2、3種類の制限酵素を組み合わせて消化し、その消化物をアガロースゲル電気泳動で分離した。分離したDNA断片をナイロンメンブレンに移して、上述のCatA cDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせた。ハイブリダイズの条件は上記と同じであり、メンブレン洗浄は以下の条件で行った。洗浄条件:2x SSC室温5~10分2回;2x SSC-0.1% SDS 65℃、30分
洗浄後、常法に従って、ナイロンメンブレンをオートラジオグラフィーにかけ、プローブとハイブリダイズしたDNA断片を検出した。
シグナルの強さとバンドのパターンがほぼ同一の、従って同じ構造を持つと推定される一群のクローンと、バンドパターンが一部しか一致しないクローンがある。
シグナルの強さとバンドのパターンがほぼ一致するクローンは、CatA遺伝子に対応する考えられる。バンドのパターンの一部が欠落しているクローンは、CatA遺伝子の一部が欠損しているクローンと考えられる。また、シグナルが弱いクローンは、CatAに類似した構造を持つ別のカタラーゼ(アイソザイム)の遺伝子と考えられる。
詳細なサザン分析、部分塩基配列の解析、CatA cDNA塩基配列に基づくPCR解析などから、CatA cDNAに対応する遺伝子と、その5’上流にプロモーター領域と推定される約1.5Kbpからなる配列を含むクローンλEM74/81を得た。
クローンλEM74/81の挿入部分をHindIII及びEcoRI消化で切り出し、シーケンス解析用のベクターpBluescript II KS+あるいはSK+(Stratagene,CA)に挿入した。5’側からおよび3’側側から段階的欠損プラスミドを多数作成し、塩基配列決定を行った。4,670bpの配列が決定された。配列番号2にその全配列を示す。
ゲノミックCatA遺伝子の塩基配列は、本願発明者らにより発表されている(日本農芸化学会誌(1992;前出))、およびHigoら(1996;前出)。国際DNA塩基配列データベースDDBJには、図1に示したと同じく、HindIII切断部位からEcoRI切断部位までの4,670塩基の配列を登録した(アクセッション番号D29966)。Higoら(1996;前出)には、HindIII認識配列とEcoRI認識配列を前後に加えて、4,676塩基の配列を発表した
2.CatA遺伝子プロモーターを有する組換えプラスミドの作成
上記1.で得られたCatA遺伝子は、4,670bpであった。そして、配列番号2の1,560番目から1,605番目に第1エクソン、1,894番目から2,694番目に第2エクソン、2,781番目から3,380番目に第3エクソン、3,730番目から4,117番目に第4エクソンが存在すること、および、それぞれのエクソンの間に、第1から第3イントロンが存在することがわかった。
この配列情報に基づいて、プロモーターと推定される領域を切り出すことができる。
イネCatA遺伝子プロモーターを有するプラスミド、CatA-GUS-Δ0の作製を図1に示す。
クローンλEM74/81をEco521で消化し、平滑末端化処理し、次いでHindIIIで消化し、アガロース電気泳動により約1.9Kbpの断片を回収した。クローンλEM74/81挿入配列の1番目から1,901番目までの配列を有する断片が得られた。この断片には、第1エクソンの上流側の配列、第1イントロン、第2エクソンの一部が含まれていた。断片の5’末端側は、HindIII部位であり、3’末端は平滑末端である。
植物細胞用発現ベクターpBI221(CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, CA)は、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、β-グルクロニダーゼ(GUS)コーディング領域およびノパリンシンターゼのターミネーター(NOS-T)を有している。このpBI221をHindIIIおよびSmaIで消化し、大断片を回収した。この大断片は、pBI221からCaMVの35Sプロモーター領域が削除された断片である。この断片と、上記クローンλEM74/81挿入配列の1番目から1901番目までの配列を有する断片を連結させ、CatA-GUS-Δ0を作製した。この方法は、CatA遺伝子の塩基配列とともに、既に本願発明者によって公表されている(Higoら(1996;前出))。
3.イネ培養細胞プロトプラストの形質転換とGUS遺伝子の発現
上記2.において得られたプラスミドを、Higoら(1996;前出)に記載されているように、イネ培養細胞(Oc細胞)のプロトプラストに導入した。コントロールとして、pBI221を用いた。
イネ培養細胞(Oc細胞)からのプロトプラスト調製方法、エレクトロポレーションによるプロトプラストの形質転換、およびプロトプラスト抽出液を用いてのGUS遺伝子の発現の測定は、Higoら(1996;前出)に記載されている方法で実施した。
結果を図2に示す。この結果は、CatA遺伝子のプロモーターが、コントロールであるCaMVの35Sプロモーターの約1.5倍の高い活性を示した。
4.形質転換イネ(T0世代)の作成
上記3.において、イネ培養細胞(Oc細胞)プロトプラストで高い活性を持つことが確認されたCatA-GUS-Δ0プラスミドを用いて、以下のようにイネを形質転換した。
赤木らの方法(Mol. Gen. Genet. 215:501-506(1989))に準じて、イネ(品種:キヌヒカリ)から懸濁細胞を確立し、次いでこの懸濁細胞を用いてプロトプラストを調製し、エレクトロポレーション法(Tadaら,Theor. Appl. Genet. 80:475-480(1990)に準ずる)でプラスミドを導入し、再分化(Fujimuraら., Plant Tissue Culture Lett. 2:74-75(1985)に準ずる)させ、GUS染色により選抜して形質転換イネを得た。詳細を、下記に示す。
1)イネ胚盤からのカルス誘導
1.1)培地を以下のように調製した:
▲1▼MS基本培地に2ppm 2,4-D、0.1%カゼイン加水分解物、3%ショ糖を添加し、pH5.5に調整する。▲2▼培地に1%寒天を加え、オートクレーブする。▲3▼クリーンベンチ内で深型のφ9cmシャーレに分注する(約40ml/シャーレ)。
1.2)種子の殺菌を以下のように行った:
▲1▼キヌヒカリの種子を剥皮し、玄米を取り出す。▲2▼玄米を50mLビーカーに入れ、70%エタノールに30秒間浸す。▲3▼水道水で3回すすぐ。▲4▼5%次亜鉛素酸ソーダ(Tween20を数滴添加)で20分間殺菌する。▲5▼滅菌水で3回すすぐ。▲6▼ピンセットを用いて、寒天培地に置床する(9粒/φ9cmシャーレ)。▲7▼約300lux、26℃で約1カ月間培養する。
2)サスペンションの確立
2.1)培地を以下のように調製した:
▲1▼R2無機塩とB5ビタミンの基本培地に、1ppm 2,4-D、3%ショ糖、0.3%カゼイン加水分解物を添加し、pHを5.5に調整する。▲2▼100ml培養フラスコに20mlの培地を分注、オートクレーブで滅菌する。
2.2)サスペンションの確立を以下のように行った:
▲1▼完熟種子の胚盤由来のフライブルなカルスを液体培地に移植する。▲2▼移植したフラスコを、26℃、弱光下、80rpmで旋回培養する。▲3▼移植後3日目に、新鮮な培地に交換する。▲4▼さらに4日間培養を続ける。▲5▼カルス培養ピペットを用いて、カルスを分散させ、カルス部分のみを移植する。▲6▼1週間毎に新鮮な培地に移植する。
3)プロトプラストへの遺伝子導入
3.1)酵素液を以下のように調製した:
▲1▼Cellulase onozuka RS 4g、Macerozyme R-10 1g、CaCl2・2H2O 0.5g、Mannitol 7.28gを100mLビーカーに入れ混和する。水を加え、スターラーで攪拌、溶解する。▲2▼pH5.5に調整し、100mLにメスアップする。▲3▼37℃で20分間放置した後、12000rpmで15分間遠心する。▲4▼上清を10mLづつ遠心管に分注。パラフィルムでシールし、冷凍保存する。▲5▼湯浴で溶解し、濾過滅菌する。
3.2)プロトプラストの単離を以下のように行った:
▲1▼培養4日目のサスペンションセルを用いる。▲2▼カルス培養ピペットでサスペンションセルのみを10mLの酵素液の入った100mLフラスコに移す。(約10g)▲3▼27℃のインキュベータで5時間静置する。
3.3)プロトプラストの精製を以下のように行った:
▲1▼フラスコを軽く廻し、底に沈んだセルを浮遊される。▲2▼浮遊させたセルを素早く155μmのメッシュにデカントする。▲3▼メッシュを軽く上下させ、酵素液が完全に落ちるのを待つ。▲4▼濾過した酵素液を77μmのメッシュにビーカーから直接デカント。▲5▼メッシュを軽く引き上げ、酵素液を落とす。▲6▼濾過した酵素液を、さらに31μmのメッシュにデカント。▲7▼メッシュを軽く引き上げ、酵素液を落とす。▲8▼酵素液をビーカーから遠心管にデカントで移す。▲9▼600rpmで1分間遠心。▲10▼ディスポピペットで上清を新しい遠心管に移す。▲11▼900rpmで3分間遠心。上清を捨てる。▲12▼0.4Mグルコースを遠心管の壁面に沿って入れ、プロトプラストを懸濁。▲13▼900rpmで3分間遠心。上清を捨てる。▲14▼AAバッファーを遠心管の壁面に沿って入れ、プロトプラストを懸濁。▲15▼900rpmで3分間遠心。上清を捨てる。▲16▼少量のAAバッファーを壁面を這わせて入れる。▲17▼血球計算盤を用いて、プロトプラストをカウントする。▲18▼プロトプラスト懸濁液の液量を計る。▲19▼AAバッファーを用いてプロトプラスト密度を1×107個/mLに調整。ここで、AAバッファーは:35mM K-Asparatic acid, 5mM Ca-Gluconate, 5mM Mg-Asparatic acid, 5mM MES, 0.4M mannitol, pH5.8(調整不要)である。
3.4)遺伝子導入を以下のように行った:
▲1▼エレクトロポレーション用チャンバーを70%エタノールで滅菌する。▲2▼プロトプラスト懸濁液にTEに溶解したプラスミド(1μg/μL)を添加する。ここで、添加したプラスミドの最終濃度は、HPT2(ハイグロ)が50μg/mL;CatA-GUS-Δ0が100μg/mLである。ハイグロマイシン選抜用プラスミドHPTの構造は報告されている(Tadaら,Theor. Appl. Genet. 80:475-480(1990))。▲3▼試験管を氷上に立て、20分間放置する。▲4▼チャンバーに移す。▲5▼コンデンサーに充電した電気を放電する。ここで、放電条件は:880μF、475V/cm、時定数は約30msecである。▲6▼10秒以上放置後、遠心管に回収する。▲7▼室温で20分間放置する。
3.5)プロトプラスト培養を以下のように行った:
▲1▼900rpmで3分間遠心。上清を捨てる。▲2▼c-medを遠心管の壁面に沿って入れ、プロトプラストを懸濁する。c-medで1×106個/mLに調整する。c-medは培養後3日目のサスペンションから培地のみを回収し、12000rpmで浮遊物を除去する。培地40mLに対して、2,4-D(100ppm)を200μL、B5 vitaminsを400μL、sucroseを5.46g添加し、pH4.3に調整する。冷凍して保存。使用直前に融解、濾過滅菌する。▲3▼コーティングシャーレ(Falcon #3002)に750μLを分注する。▲4▼コンラージ棒を用いてシャーレ全体に拡げる。▲5▼パラフィルムでシールする。▲6▼シャーレをタッパウエアに入れる。ここで、乾燥防止のため、水を入れたビーカー等を入れておく。▲7▼27℃、暗所で培養する。
4)形質転換植物の再生
4.1)形質転換細胞の選抜・増殖を以下のように行った:
▲1▼培養14日後にGI培地を600μL添加する。ここで、GI培地は、R2培地に2ppm 2,4-D、0.4Mグルコースを添加し、pH4.9に調整したものである。▲2▼ハイグロマイシン耐性カルスを選抜するために、GI培地にハイグロマイシン50μg/mLを添加する。▲3▼GI培地添加2週間後、増殖してきたカルスをGII寒天培地上に移植する。ここで、GII寒天培地は、R2培地に2ppm 2,4-D、3%ショ糖を添加し、pH4.9に調整した後、1%寒天を添加し、オートクレーブし、φ9cm×10mmシャーレに10mLづつ分注したものである。
4.2)形質転換植物の再生を以下のように行った:
▲1▼N6無機塩、B5ビタミン、3%ショ糖、NAA 1ppm、カイネチン4ppm、3%ソルビトール、0.03%カゼイン加水分解物を含む培地のpHを5.8に調整し、1.5%寒天を添加してオートクレーブする。▲2▼クリーンベンチ内でφ90mm×20mmの深型プラスチックシャーレに培地を分注する(40~50mL/シャーレ)。▲3▼直径が3mm程度に増殖したカルスを寒天培地上に移植する。▲4▼シャーレ当たり20個程度のカルスを置床する。▲5▼27℃、3000luxの連続光下で培養する。4週間程度で植物体が再生してくる。▲6▼分化培地上で分化した植物体で、シュートの長さが3cm程度に成長したものを根が付いた状態で、マジェンダボックスに移植する。ボックス当たり9本のシュートを移植する。培地は、1/2MS培地に1%ショ糖を添加し、pHを5.8に調整する。0.15%ゲルライトを添加、加熱溶解後、マジェンダボックスに50mLづつ分注してオートクレーブする。▲7▼27℃、10000lux連続光下で培養する。▲8▼1週間程度で、先端が完全に蓋で頭打ちとなる。場合により、培地中の2価カチオンが奪われ、培地が液状化することがある。
以上のようにして得られた、再分化した個体(T0世代イネ)をポットに移植した。成長した個体の中から、葉をGUS組織染色し、GUSが発現している個体を選抜した。
形質転換植物の選抜のためのGUS染色は、次の手順で行った:▲1▼1mM X-Gluc, 50mM sodium phosphate buffer(pH7.0), 10% Me-OHの染色液を調製する。▲2▼▲1▼の染色液500μLを2mLのマイクロチューブに分注する。▲3▼再生した植物の葉の切片を入れる。▲4▼37℃で24時間インキュベート。▲5▼70%Et-OHでクロロフィルを除去する。▲6▼GUS染色されたイネを選抜する。
このようにしてGUSが葉で発現しているT0世代イネ15個体を選び、その種子(T1世代種子)を採取した。
5.T1世代イネのPCRによる選抜
上記4.において得られた15系統のうち、10系統のT1種子の籾を1%アンチホルミンで1時間処理後、2日間水道水に浸漬し、粒状培土(ボンソル1号、住友化学)に播種した。幼苗の葉身からISOPLANT(ニッポンジーン)を用いてDNAを抽出した。抽出されたDNAをテンプレートとして、プライマーF1813(5’-CATGGCTGGTTGATTCAGC-3’;CatA第1イントロン内の配列)とプライマーR2368(5’-CGTCGGTAATCACCATTCC-3’;GUS遺伝子コード領域内の配列)とを用いてPCRを行い、導入したDNA配列を含んでいるかどうか調べた。DNAポリメラーゼであるAmpliTaq Gold(Perkin Elmer)を用いてPCRを行った。反応条件は94℃・12分の処理後、94℃・1分、55℃・2分、72℃・3分の処理を35サイクル行った。反応液を1%アガロース中で電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色して紫外線で照射してPCR産物の有無とそのサイズを調べ、遺伝子が導入されているT1世代の植物体を選んだ。
導入したGUS遺伝子が発現しているか確認するために、下記のGUS組織染色法でT1植物の葉身のGUS活性を調べた。
GUS活性の観察のためのイネの葉身のGUS組織染色法として、「植物の細胞を観る実験プロトコール:遺伝子発現から細胞内構造・機能まで」;細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ62-3;細胞レベルでGUS活性を観る方法(高橋美佐、森川弘道)pp. 71-79(監修 福田裕穂、西村幹夫、中村研三)に記載の方法をもとに、一部改変した方法で行った。
その手順は次の通り:▲1▼X-Gluc溶液[100mMリン酸バッファー(pH7.0)、1mM X-Gluc, 0.3mMフェリシアン化カリウム、0.3mMフェロシアン化カリウム、0.2%Triton-X100]を調製する。▲2▼X-Gluc溶液500μLを24穴タイタープレートの各ウエルに分注する。▲3▼イネの各組織あるいは切片をウエルに入れ、28℃、16時間処理する。▲3▼X-Gluc溶液を除去し、70%エタノールを加えて脱色する。▲4▼70%エタノールを除去し、組織・切片を50%グリセロール溶液に浸す。▲5▼顕微鏡あるいは実体顕微鏡で観察する。
T1世代植物を、葉におけるGUS遺伝子の発現の高さによりグループ分けし、高度に葉で発現している植物から種子(T2世代種子)を採取した。
6.T2種子の播種、形質転換体のPCRによる選抜とGUS組織染色
T2形質転換体の籾を上述のように処理し、播種した。幼苗の葉身から上述のようにDNAを抽出し、PCRを行い、導入したDNA配列を含んでいるかどうか調べた。調べたT2植物のうち約半数が導入したGUS遺伝子を持つ形質転換体であることがわかった。
また、導入したGUS遺伝子が発現しているか確認するために、上記の方法でT2植物の幼苗の葉身のGUS活性を調べた。PCRでGUS遺伝子の存在が確認されたすべてのT2形質転換体において、葉身でのGUS活性が観察された。葉身でGUS遺伝子の発現が確認された植物体は引き続き生育させ、開花期に葯を採集して、葯および花粉でのGUS活性を調べた。
結果を図3および図4に示す。開花期に葯を採集してGUS活性を調べた結果、葉身よりも高いGUS活性がみられた。葯および花粉を顕微鏡で観察したところ、葯壁(図3)および花粉外殻の内部(図4)がGUS活性によって青く染色されていた。
産業上の利用可能性
本願発明におけるCatA遺伝子プロモーターは、葯および花粉で非常に高い活性を有している。従って、本願発明は、葯および/または花粉の遺伝子操作による、イネ等の植物の品種改良のために有用である。
【配列表】
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図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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