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明細書 :畝内帯状攪拌施用機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3806735号 (P3806735)
公開番号 特開2005-006550 (P2005-006550A)
登録日 平成18年5月26日(2006.5.26)
発行日 平成18年8月9日(2006.8.9)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
発明の名称または考案の名称 畝内帯状攪拌施用機
国際特許分類 A01B  49/06        (2006.01)
A01B  13/02        (2006.01)
A01C   5/06        (2006.01)
A01C  15/00        (2006.01)
FI A01B 49/06
A01B 13/02 A
A01C 5/06 K
A01C 15/00 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2003-174525 (P2003-174525)
出願日 平成15年6月19日(2003.6.19)
審査請求日 平成15年6月19日(2003.6.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】屋代 幹雄
【氏名】佐藤 剛
【氏名】宍戸 良洋
【氏名】古谷 茂貴
【氏名】村上 弘治
【氏名】對馬 誠也
【氏名】松尾 健太郎
【氏名】安場 健一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
【識別番号】100118898、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 立昌
審査官 【審査官】中村 圭伸
参考文献・文献 実公昭44-024492(JP,Y1)
特開2002-345301(JP,A)
実開昭59-191104(JP,U)
調査した分野 A01B 13/02
A01B 49/06
A01C 5/06
A01C 15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
水平方向に延びる耕耘ロータリと、この耕耘ロータリの後方に設けられ、耕耘ロータリにより耕耘された土壌を畝に成形する対をなす畝成形板とを備え、
前記耕耘ロータリのロータリ軸に、一対の前記畝成形板に対応して一対の円盤を装着し、この一対の円盤間に、肥料や農薬が繰り出される排出管を臨ませ、前記一対の円盤間に、耕耘ロータリの耕耘爪を介在させ、円盤間に排出された肥料や農薬を土壌と攪拌し、
前記一対の円盤間に形成される攪拌領域が前記一対の畝成形板間に形成される畝高さを有する畝の畝幅中央になるように、前記畝形成板に対して前記円盤を配置したことを特徴とする畝内帯状攪拌施用機。
【請求項2】
前記円盤の直径を、耕耘ロータリの回転外周の径より大きくしたことを特徴とする請求項1記載の畝内帯状攪拌施用機。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畝を立てて栽培する作物の根域に、肥料または農薬を集中して施用し、肥料または農薬と土壌を攪拌して、肥料または農薬が無駄なく活用されるようにした畝内帯状攪拌施用機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水平方向に延びる耕耘ロータリと、この耕耘ロータリの後方に設けられ、耕耘ロータリにより耕耘された土壌を畝に成形する対をなす畝成形板とを備えた畝立て装置が周知である。この畝立て装置を用いて図7に示すように、畝19を立てて栽培する作物18への基肥や土壌殺菌剤等の農薬を施用するときは、圃場を耕耘する前に地表全面にばら播いて、その後、耕耘ロータリで耕耘し、畝立てを行っているため、肥料や農薬の攪拌域20は畝19の全体に分散している。
【0003】
このような施用法では、施用する肥料や農薬は畝全体に分散しているため、作物18の根圏18aにあるもののみが利用され、それ以外に分布する肥料や農薬は利用されなかったり、雨で流出したりするため、肥料や農薬の効果は必ずしも高くない。これにより肥料や農薬の施用コストの増大や地下水及び河川、湖沼の汚染等、環境問題の原因となっている。
【0004】
このため、作物の根圏に集中して肥料や農薬を施用することにより、肥料や農薬の効果を高めるとともに使用量を削減するための機械が求められている。このような目的を持つ施肥機として、肥料を土中の局所に施用する各種の技術が開示されている(例えば、特許文献1~8参照)。これら先行技術のものでは、肥料を土中の局所に施用するのみであり、野菜作では初期生育が遅れる、という問題があった。
【0005】
また、平地に肥料を攪拌しながら施用する装置についての先行技術もある(例えば、特許文献9~10参照)。これら先行技術に記載された技術では、平地に肥料を攪拌しながら施用するのみであり、その攪拌深さは一定であって、畝の中、即ち、作物の根圏に施用することはできない、という問題があった。
上記いずれの先行技術においても、肥料の施用のみであり、土壌殺菌剤等の農薬の攪拌施用には触れられていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5-15220号公報
【特許文献2】
特開平5-84006号号公報
【特許文献3】
特開平4-356120号公報
【特許文献4】
特開2001-69814号公報
【特許文献5】
特公昭36-23665号公報
【特許文献6】
特開平11-28008号公報
【特許文献7】
特開2001-352804号公報
【特許文献8】
特開平9-205811号公報
【特許文献9】
特開平5-304801号公報
【特許文献10】
実開平6-13404号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため、構造が簡単で、粒状肥料や粉状の土壌殺菌剤等の農薬を畝の中へ集中的に施用し、帯状に攪拌して肥料や農薬を作物に対して効果的に利用できる帯状攪拌施用機が求められている。本発明はこのような課題を解決することを目的になされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、周知の畝立て機のロータリ軸に左右一対の円盤を取付け、この円盤間に肥料や農薬を散布し、円盤間において耕耘爪により攪拌し、その後、畝立て成形板により畝を立てることにより、簡単な構造でありながら、粒状肥料や粉状農薬を畝の中へ、帯状に攪拌施用を行うことができる装置を開発する。
【0009】
本発明の特徴は、以下の通りである。一つには、水平方向に延びる耕耘ロータリと、この耕耘ロータリの後方に設けられ、耕耘ロータリにより耕耘された土壌を畝に成形する対をなす畝成形板とを備え、前記耕耘ロータリのロータリ軸に、一対の前記畝成形板に対応して一対の円盤を装着し、この一対の円盤間に、肥料や農薬が繰り出される排出管を臨ませ、前記一対の円盤間に、耕耘ロータリの耕耘爪を介在させ、円盤間に排出された肥料や農薬を土壌と攪拌し、前記一対の円盤間に形成される攪拌領域が前記一対の畝成形板間に形成される畝高さを有する畝の畝幅中央になるように、前記畝形成板に対して前記円盤を配置したことを特徴とする。また一つには、前述した特徴に加えて、前記円盤の直径を、耕耘ロータリの回転外周の径より大きくしたことを特徴とする。
【0010】
【作用】
上記の構成により本発明の畝内帯状攪拌施用機は、以下の作用をする。
a.耕耘ロータリのロータリ軸に、一対の畝成形板の間隔に対応して一対の円盤を装着し、この一対の円盤間に、肥料や農薬が繰り出される排出管を臨ませることで、円盤間に排出管を介して繰り出された肥料や農薬を、円盤間において帯状に攪拌し、その後方において一対の畝成形板により畝を形成する。
b.一対の円盤間に、耕耘ロータリの耕耘爪を介在させ、円盤間に排出された肥料や農薬を土壌と攪拌することで、円盤間にすじ状に排出された肥料や農薬を耕耘爪により円盤間で帯状に攪拌し、土壌と混合させる。
c.円盤の直径を、耕耘ロータリの回転外周の径よりやや大きくすることで、円盤間に排出された肥料や農薬を耕耘爪により円盤間で帯状に攪拌して土壌と混合させる際、肥料や農薬が円盤の外側の土壌に混ざることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1及び図2において、符号1は従来周知の畝立て機が備えているロータリ耕耘装置と同様の水平方向に延びる耕耘ロータリで、この耕耘ロータリ1は、ヒッチ部2を介して乗用管理機(トラクタ)3に昇降可能に装着される。該耕耘ロータリ1にはロータリ軸4が回転自在に横架されており、このロータリ軸4の外周に、多数の耕耘爪5が放射状に、かつ長さ方向に所定の配列で突設されている。
【0012】
前記ヒッチ部2にはトランスミッション6が設けられ、このトランスミッション6から入力軸が前方に向け回転自在に突設され、この入力軸に、乗用管理機3のPTO軸からユニバーサルジョイント、プロペラシャフトを介し動力が伝達される。トランスミッション6内で変速された動力は、チェーンケース7内のチェーン伝動系を介してロータリ軸4に伝達され、ロータリ軸4を所定方向に回転させて耕耘爪5により圃場の土壌を耕耘する。
【0013】
耕耘ロータリ1の主枠8には連結フレーム9が固着されており、該連結フレーム9には、支柱10が下向きに固定され、この支柱10の下端に、耕耘ロータリ1により耕耘された土壌を後方から畝立てする畝成形板11が固着されている。この畝成形板11は左右一対のものからなり、畝立て高さの調節は支柱10を上下して行うために、連結フレーム9と支柱10とをボルト等によって固定し、その締め付け解除、締め付けにより、容易に位置が変えられる構造になっている。
【0014】
前記耕耘ロータリ1の主枠8の左右に位置してホッパ支柱12が立設され、このホッパ支柱12の上端部に、粒状や粉状の肥料または農薬を収容するホッパ13が取付けられている。このホッパ13の下端部には、モータにより駆動される繰り出し部14が設けられている。該繰り出し部14には、排出管であるホース15の上端が連通接続され、繰り出された肥料や農薬は自重によりホース15内を通って落下し、散布口16へ導かれる。この散布口16から土壌に排出される肥料や農薬は、管理機3が前進することによって圃場面に順次すじ状に散布される。
【0015】
一方、ロータリ軸4には、左右一対の円盤17,17が所定の間隔をあけて左右対称に2組固設されている。これら円盤17,17間には、前記ホース15の散布口16を臨ませており、また、耕耘ロータリ1の耕耘爪5を介在させており、円盤17,17間に排出された肥料や農薬を円盤17,17内において土壌と攪拌するようにしている。該円盤17の直径は、耕耘ロータリ1の回転外周の径Rよりやや大きくなるように設定されている。円盤17,17の間隔調節は、ロータリ軸4に対する取付け位置を軸方向に移動させて行うが、このため円盤17とロータリ軸4とはボルト等によって固定され、容易に間隔調節が行えるようにしている。円盤17,17の後方には、前記左右一対の畝成形板11,11が配設されている。本発明の畝内帯状攪拌施用機は、以上のように構成されている。
【0016】
そして、乗用管理機3が前進走行することによって、一対の円盤17,17間に散布口16からすじ状に散布された肥料または農薬は、円盤17,17間において耕耘爪5によって攪拌される。その後、図3に示すように。円盤17,17後方の、必要な畝幅、畝高さに調整された畝成形板11,11により畝19が成形される。土壌と攪拌された肥料または農薬は、肥料・農薬攪拌域20として畝19の中央にくるよう畝立てが行われる。この肥料・農薬攪拌域20に作物18が栽培され、その根圏18aから肥料が吸収され、また、農薬が作物の根圏18aに作用する。
【0017】
本発明による畝内帯状攪拌施用機を試作して乗用管理機3に装着し、畑地において施肥または施薬同時畝立て作業を行ったところ、畝19の中の任意な深さで幅15mmから30mmの帯状に施肥または施薬ができ、肥料・農薬攪拌域20が形成されることが確認され、目的(肥料・農薬攪拌域20)以外の土壌中への肥料や農薬の分散はほとんど見られなかった。
【0018】
本発明の畝内帯状攪拌施用機を用いて肥料局所施用を行い、夏作キャベツを栽培したときの収量(効果)のグラフを図4に、また、夏作ハクサイを栽培したときの収量(効果)を図5に示す。さらに、本発明の畝内帯状攪拌施用機を用いて農薬(ネビジン)局所施用を行いキャベツを栽培したときの効果のグラフ図6に示す。
【0019】
従来の畝19全体に肥料を攪拌施用する施肥法(図7参照)と本発明による畝内帯状攪拌施肥法(図3参照)の2つの施肥法によりキャベツ及びハクサイを栽培したところ、両施肥法ともに標準的な施肥量であれば畝内条施肥の方が統計的に明らかに収量が多くなった(図4及び図5参照)。畝内帯状攪拌施肥であれば標準的な施肥量より50%肥料を少なくしても従来の施肥法で標準的な施肥量を与えた場合と収量に統計的な差はなかった。
【0020】
また、従来の畝19全体に土壌殺菌剤を攪拌施用する施薬法と本発明による畝内帯状攪拌施薬法の2つの施薬法によりキャベツを栽培したところ、両施薬法ともに規定された基準の濃度の施薬量であれば、土壌病害に対する効果の差はなかった(図6参照)。本発明による畝内帯状攪拌施薬法よると帯状に攪拌施薬する範囲は小さいので、圃場全体の農薬使用量は1/3~1/4に削減されることが判明した。なお、上記実施例では、畝19に対して1条の肥料・農薬攪拌域20を形成しただけであるが、これを畝19に対して複数条の肥料・農薬攪拌域20を形成するようにしても良いものである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の畝内帯状攪拌施用機は、請求項1~3に記載の構成を有するので、少ない肥料を有効に作物に吸収させることができる。また、少ない農薬で土壌病害を抑えることができる。これにより、肥料コストまたは農薬コストを削減することができ、肥料の流亡が少なく、農薬使用量を抑えた環境保全型の農業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による畝内帯状攪拌施用機の側面図である。
【図2】同背面図である。
【図3】本発明の畝内帯状攪拌施用法による畝断面の肥料・農薬の分布状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の畝内帯状攪拌施用機を用いて肥料局所施用を行い夏作キャベツを栽培したときの収量(効果)を示すグラフである。
【図5】本発明の畝内帯状攪拌施用機を用いて肥料局所施用を行い夏作ハクサイを栽培したときの収量(効果)を示すグラフである。
【図6】本発明の畝内帯状攪拌施用機を用いて農薬(ネビジン)局所施用を行いキャベツを栽培したときの効果を示すグラフである。
【図7】従来の施肥・施薬法による畝断面の肥料・農薬の分布状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 耕耘ロータリ R 耕耘ロータリの回転外周の径
2 ヒッチ部
3 乗用管理機(トラクタ)
4 ロータリ軸
5 耕耘爪
6 トランスミッション
7 チェーンケース
8 主枠
9 連結フレーム
10 支柱
11 畝成形板
12 ホッパ支柱
13 ホッパ
14 繰り出し部
15 ホース(排出管)
16 散布口
17 円盤
18 作物 18a 作物の根圏
19 畝
20 肥料・農薬攪拌域
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6