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明細書 :動物の血管透過性の高感度迅速測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4119981号 (P4119981)
公開番号 特開2005-055344 (P2005-055344A)
登録日 平成20年5月9日(2008.5.9)
発行日 平成20年7月16日(2008.7.16)
公開日 平成17年3月3日(2005.3.3)
発明の名称または考案の名称 動物の血管透過性の高感度迅速測定方法
国際特許分類 G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/483       (2006.01)
FI G01N 33/50 Q
G01N 33/483 C
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願2003-287673 (P2003-287673)
出願日 平成15年8月6日(2003.8.6)
審判番号 不服 2006-014350(P2006-014350/J1)
審査請求日 平成15年8月6日(2003.8.6)
審判請求日 平成18年7月6日(2006.7.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】八巻 幸二
【氏名】石川 祐子
個別代理人の代理人 【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
参考文献・文献 特表平4-503055(JP,A)
特表2001-510569(JP,A)
特開平11-346800(JP,A)
調査した分野 G01N33/50
特許請求の範囲 【請求項1】
蛍光色素でラベルした血清アルブミンを血漿成分の血管外透過の指標として用い、これを動物(但し、ヒトを除く)に投与した後、測定部の皮膚を採取し、次いで、採取した測定部の皮膚からなる試験片を培養プレートの底に貼り付け、ホルムアミドを加えて加温浸漬した後、蛍光プレートリーダーを用いて、前記培養プレートの底に貼り付けられた前記試験片の蛍光値を直接測定することを特徴とする、動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性を高感度かつ迅速に測定する方法。
【請求項2】
ホルムアミドでの加温浸漬を、0.5~2mlのホルムアミドを加え、40~60℃で1~3時間程度浸漬することにより行う請求項1記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性を高感度かつ迅速に測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品のアレルギー・炎症の抑制効果を明らかにするにあたり、炎症によって惹き起こされる血漿成分の血管外漏出を測定し、血管透過性の多寡を検討することは効果的な手法である。
【0003】
従来、例えば齧歯類の血管透過性の測定は、一般に図1に示すような手順で、染色色素を用いて行われていた(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
即ち、まずダイレクトブルー(もしくはエバンスブルー)色素を齧歯類の尾静脈より投与する。
次いで、予め剃毛した背部皮膚に起炎剤を皮内投与する。
30分ほど経過し、齧歯類を屠殺した後、血液及び起炎剤等を投与した部分の皮膚を切り取り採取する。切り取り採取した皮膚からなる試験片を細断し、ガラス試験管にとり、アルカリで加水分解する。
一晩放置後、リン酸でアルカリを中和し、アセトンで色素を抽出する。血液及び皮膚から抽出した色素量を分光光度計により測定し、血漿漏出量として算出する。
【0005】
しかしながら、これまで齧歯類の血管透過性を測定するために用いられてきた、このような染色色素による方法は、ダイレクトブルー(もしくはエバンスブルー)色素を皮膚から抽出する操作に時間がかかり、さらに色素抽出用に大量のアセトンを必要とし、色素が希釈されてしまうことから、感度が低いものであった。
また、加水分解のためと、その中和にアルカリ及び酸を使用するため、取扱いに注意が必要であると共に、有機溶媒の使用量が多いため、環境負荷が高いという問題があった。
さらに、指標として用いるダイレクトブルー色素は、強度の変異原性があるとして、第二種指定化学物質に指定されているものであり、保管・使用に制限がある。
【0006】
このように、これまで動物(但し、ヒトを除く)、特に齧歯類の血管透過性を測定するために用いられてきた染色色素による方法は、感度が低く、また多くの時間を必要としたため、より感度が高く、かつ迅速な測定法の開発が求められていた。さらに、有害な物質の使用を最低限に抑えた測定法の開発が求められていた。
【0007】

【非特許文献1】Ishida H. et al.;Br. J. Pharmacol. 130, 1235(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような要望に応えたものであって、動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性を高感度かつ迅速に測定する方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、有機溶媒の使用量が少なく、また、保管・使用に制限のある物質を使用することのない、動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性の測定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は、蛍光色素でラベルした血清アルブミンを血漿成分の血管外透過の指標として用い、これを動物(但し、ヒトを除く)に投与した後、測定部の皮膚を採取し、次いで、採取した測定部の皮膚からなる試験片を培養プレートの底に貼り付け、ホルムアミドを加えて加温浸漬した後、蛍光プレートリーダーを用いて、前記培養プレートの底に貼り付けられた前記試験片の蛍光値を直接測定することを特徴とする、動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性を高感度かつ迅速に測定する方法を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、ホルムアミドでの加温浸漬を、0.5~2mlのホルムアミドを加え、40~60℃で1~3時間程度浸漬することにより行う請求項1記載の方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加水分解を必要とせず、有機溶媒使用量が少なく、さらには短時間で、かつ高感度に動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性を測定することができる。
即ち、本発明においては、アルカリ加水分解及びその中和操作が不要になるため、アルカリ及び酸を使用しない。しかも有機溶媒使用量も約10分の1で済むため、環境負荷が低い。さらに、変異原性を有する色素に代えて、蛍光ラベルした血清アルブミンを用いることから、安全であり、かつ感度が高い。また、皮膚を直接測定するため、色素抽出操作を必要としない。
従って、本発明の方法は、測定時間も短く、感度が飛躍的に向上した測定方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。図2は、本発明による動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性の測定手順の一例を示す説明図である。
【0012】
請求項1に係る本発明においては、従来のダイレクトブルー色素に代えて、蛍光色素(FITC:Fluorescein isothiocyanate )でラベルした血清アルブミン、好ましくは牛血清アルブミンを血漿成分の血管外透過の指標として用い、これを投与する。従って、例えば齧歯類の場合には、蛍光色素でラベルした血清アルブミン(好ましくは牛血清アルブミン)を、齧歯類の尾静脈より投与する。蛍光色素でラベルした血清アルブミンの投与量としては、標準的には約100mg/kg・body weight程度であるが、これに制限されるものではなく、適宜調節可能である。
【0013】
本発明の対象となるのは、ヒトを除く動物、特に齧歯類などの実験動物である。ここで齧歯類とは、齧歯目に属する動物を指し、具体的には例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモットなどを挙げることができる。
【0014】
次に、従来方法の第2番目の手順と同様に、例えば齧歯類の場合には、予め剃毛した背部皮膚にヒスタミンやセロトニンなどの起炎剤を皮内投与する。必要に応じて、起炎剤の他に抗原(アレルゲン)を併用することもできる。
【0015】
30分ほど経過し、動物(但し、ヒトを除く)、例えば齧歯類を屠殺した後、血液及び起炎剤等を投与した部分の皮膚を切り取り採取する。ここまでの手順は、従来方法の採取手順と同様であるが、従来方法のように切り取り採取した皮膚からなる試験片を細断し、ガラス試験管にとり、アルカリで加水分解する代わりに、本発明では切り取り採取した測定部の皮膚をホルムアミドで加温浸漬する。具体的には、本発明では、切り取り採取した皮膚からなる試験片を培養プレート、例えば24well細胞培養プレートの底に貼り付け、請求項2に記載したように、0.5~2ml、好ましくは1ml程度のホルムアミドを加え、40~60℃で1~3時間程度、好ましくは50℃で2時間程度浸漬する。これにより、皮膚の光透過性が高められる。
【0016】
最後に、このプレートを蛍光プレートリーダーで測定する。即ち、蛍光プレートリーダーで蛍光値を直接測定する。蛍光プレートリーダーとしては、公知のものを用いればよい。
このとき予め血清サンプルを測定しておき、得られた蛍光値から血漿漏出量として算出する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によれば、炎症によって惹き起こされる血漿成分の血管外漏出を測定し、血管透過性を高感度かつ迅速に測定することができることから、食品のアレルギー・炎症の抑制効果の解明に極めて有効であり、食品産業分野などにおいて広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来法による動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性の測定手順の一例を示す説明図である。
【図2】本発明による動物(但し、ヒトを除く)の血管透過性の測定手順の一例を示す説明図である。
図面
【図1】
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【図2】
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