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明細書 :イチゴの品種識別方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4065951号 (P4065951)
公開番号 特開2005-102535 (P2005-102535A)
登録日 平成20年1月18日(2008.1.18)
発行日 平成20年3月26日(2008.3.26)
公開日 平成17年4月21日(2005.4.21)
発明の名称または考案の名称 イチゴの品種識別方法
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/42        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/42
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 21
全頁数 36
出願番号 特願2003-337714 (P2003-337714)
出願日 平成15年9月29日(2003.9.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成15年9月19日神戸大学において開催された日本育種学会第104回講演会において、育種学研究第5巻別冊2号(日本育種学会第104回講演会要旨集、平成15年9月19日)日本育種学会発行第74ページをもって発表
審査請求日 平成15年9月29日(2003.9.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】國久 美由紀
【氏名】松元 哲
【氏名】吹野 伸子
個別代理人の代理人 【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
審査官 【審査官】田中 耕一郎
参考文献・文献 特開2003-339399(JP,A)
今月の農業、47巻、1月号(2003年)51-53頁
Techno Innovation, Vol.13, No.1 (2003, April) p.29-32
野菜茶業研究成果情報、2002巻(2003年8月)11-12頁
園芸学会雑誌、第72巻、別冊2(2003年9月20日)86-87頁
調査した分野 C12N 15/00 - C12N 15/90
MEDLINE(STN)
PubMed
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号1記載の塩基配列からなるAPXFw2と配列番号2記載の塩基配列からなるAPXRv2をプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号37又は38記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPXを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX中の配列番号39で表されるMlu I認識配列を認識する制限酵素Mlu Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項2】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号3記載の塩基配列からなるCHIFwと配列番号4記載の塩基配列からなるCHIRv2をプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号40記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCHIを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCHI中の配列番号41で表されるPvu II認識配列を認識する制限酵素Pvu IIによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項3】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号5記載の塩基配列からなるF3H2Fwと配列番号6記載の塩基配列からなるF3HRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号42記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドF3H2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したF3H2中の配列番号43で表されるAcc I認識配列を認識する制限酵素Acc Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項4】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号7記載の塩基配列からなるDFRFwと配列番号8記載の塩基配列からなるDFRRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号44記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドDFRを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したDFR中の配列番号45で表されるHha I認識配列を認識する制限酵素Hha Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項5】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号9記載の塩基配列からなるCTI1Fwと配列番号10記載の塩基配列からなるCTI1Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号46記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCTI1を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCTI1中の配列番号47で表されるHinf I認識配列を認識する制限酵素Hinf Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項6】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号11記載の塩基配列からなるMSRFwと配列番号12記載の塩基配列からなるMSRRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号48記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドMSRを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したMSR中の配列番号49で表されるAlu I認識配列を認識する制限酵素Alu Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項7】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号13記載の塩基配列からなるPGPFwと配列番号14記載の塩基配列からなるPGPRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号50記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPGPを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPGP中の配列番号43で表されるAcc I認識配列を認識する制限酵素Acc Iによる消化で生じる多型、および/または増幅したPGP中の配列番号51で表されるRsa I認識配列を認識する制限酵素Rsa Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項8】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号15記載の塩基配列からなるPGP2Fwと配列番号16記載の塩基配列からなるPGP2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号52記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPGP2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPGP中の配列番号51で表されるRsa I認識配列を認識する制限酵素Rsa Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項9】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号17記載の塩基配列からなるAPX2Fwと配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号53記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPX2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX2中の配列番号54で表されるDra I認識配列を認識する制限酵素Dra Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項10】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号19記載の塩基配列からなるAPX3Fwと配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号55記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPX3を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX3中の配列番号54で表されるDra I認識配列を認識する制限酵素Dra Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項11】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号20記載の塩基配列からなるAPX4Fwと配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号56記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPX4を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX4中の配列番号57で表されるTaq I認識配列を認識する制限酵素Taq Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項12】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号21記載の塩基配列からなるAUBFwと配列番号22記載の塩基配列からなるAUBRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号58記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAUBを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAUB中の配列番号45で表されるHha I認識配列を認識する制限酵素Hha Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項13】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号23記載の塩基配列からなるOLPFwと配列番号24記載の塩基配列からなるOLPRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号59記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドOLPを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したOLP中の配列番号60で表されるDde I認識配列を認識する制限酵素Dde Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項14】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号25記載の塩基配列からなるCTI2Fwと配列番号26記載の塩基配列からなるCTI2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号61記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCTI2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCTI2中の配列番号62で表されるMbo I認識配列を認識する制限酵素Mbo Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項15】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号27記載の塩基配列からなるCYTFwと配列番号28記載の塩基配列からなるCYTRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号63記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCYTを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCYT中の配列番号64で表されるBsaB I認識配列を認識する制限酵素BsaB Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項16】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号29記載の塩基配列からなるtRNAFwと配列番号30記載の塩基配列からなるtRNARvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号65記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドtRNAを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したtRNA中の配列番号66で表されるFok I認識配列を認識する制限酵素Fok Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項17】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号31記載の塩基配列からなるPYDFwと配列番号32記載の塩基配列からなるPYDRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号67記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPYDを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPYD中の配列番号68で表されるHae III認識配列を認識する制限酵素Hae IIIによる消化で生じる多型、および/または増幅したPYD中の配列番号69で表されるCfr13 I認識配列を認識する制限酵素Cfr13 Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項18】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号33記載の塩基配列からなるPYD2Fwと配列番号34記載の塩基配列からなるPYD2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号70記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPYD2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPYD2中の配列番号68で表されるHae III認識配列を認識する制限酵素Hae IIIによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項19】
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号35記載の塩基配列からなるPYD3Fwと配列番号36記載の塩基配列からなるPYD3Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号71記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPYD3を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPYD3中の配列番号72で表されるHga I認識配列を認識する制限酵素Hga Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法。
【請求項20】
とよのか、女峰、とちおとめ、章姫、さちのか、アイベリー、レッドパール、濃姫、サンチーゴ、ピーストロ、アイストロ、紅ほっぺ、けいきわせ、久留米IH-1号、久留米IH-2号、久留米9323号、セセナ、栃の峰、とちひめ、さがほのか、系統A-17、福岡S6号および宝交早生を対象品種とする、請求項1~19のいずれかに記載のイチゴの品種識別方法。
【請求項21】
配列番号1記載の塩基配列からなるAPXFw2、配列番号2記載の塩基配列からなるAPXRv2、配列番号3記載の塩基配列からなるCHIFw、配列番号4記載の塩基配列からなるCHIRv2、配列番号5記載の塩基配列からなるF3H2Fw、配列番号6記載の塩基配列からなるF3HRv、配列番号7記載の塩基配列からなるDFRFw、配列番号8記載の塩基配列からなるDFRRv、配列番号9記載の塩基配列からなるCTI1Fw、配列番号10記載の塩基配列からなるCTI1Rv、配列番号11記載の塩基配列からなるMSRFw、配列番号12記載の塩基配列からなるMSRRv、配列番号13記載の塩基配列からなるPGPFw、配列番号14記載の塩基配列からなるPGPRv、配列番号15記載の塩基配列からなるPGP2Fw、配列番号16記載の塩基配列からなるPGP2Rv、配列番号17記載の塩基配列からなるAPX2Fw、配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rv、配列番号19記載の塩基配列からなるAPX3Fw、配列番号20記載の塩基配列からなるAPX4Fw、配列番号21記載の塩基配列からなるAUBFw、配列番号22記載の塩基配列からなるAUBRv、配列番号23記載の塩基配列からなるOLPFw、配列番号24記載の塩基配列からなるOLPRv、配列番号25記載の塩基配列からなるCTI2Fw、配列番号26記載の塩基配列からなるCTI2Rv、配列番号27記載の塩基配列からなるCYTFw、配列番号28記載の塩基配列からなるCYTRv、配列番号29記載の塩基配列からなるtRNAFw、配列番号30記載の塩基配列からなるtRNARv、配列番号31記載の塩基配列からなるPYDFw、配列番号32記載の塩基配列からなるPYDRv、配列番号33記載の塩基配列からなるPYD2Fw、配列番号34記載の塩基配列からなるPYD2Rv、配列番号35記載の塩基配列からなるPYD3Fw、および、配列番号36記載の塩基配列からなるPYD3Rvの中から選ばれた少なくとも1種である、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するイチゴの品種識別用プライマー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はイチゴの品種識別方法に関し、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より抽出したDNAを鋳型として、イチゴ品種間で相違性のある塩基配列を標的にしたPCR法によってDNAを増幅し、得られた増幅産物を制限酵素処理して得られるDNAの多型を検出し、これを識別することによってイチゴの品種を識別する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イチゴの品種識別は、果実の形や大きさ、葉の形や大きさ、草型等の形質の比較により行われてきたが、この方法では正確な判断が極めて困難である上に、苗の大きさや生育状態等を揃えて同一の条件下で栽培した場合には有効であるが、果実のない苗では品種を識別することは事実上できないという問題があった。また、市場に流通しているイチゴは、多様な条件の下で栽培されているため、上記の従来方法では品種を識別することは困難であった。
【0003】
このような問題点を解決すべく、本発明者らは、イチゴのガクを含む果実及び/又は葉より抽出したDNAを鋳型として、イチゴ品種間で異なる塩基配列を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したDNAの制限酵素による消化で生じる多型(DNA断片の長さの差異)を識別することを特徴とするイチゴの品種識別方法を開発した(特許文献1)。
特許文献1記載の識別方法では、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、APX-MluI、CHI-PvuII、F3H-NcoI、F3H-HpaII、F3H2-AccI、F3H-DdeI及びF3H-RsaIの7つのうち少なくとも1種を識別用DNAマーカーとして用い、DNA多型部分を検出することにより品種の識別を行う。しかし、7種のマーカーの全てを用いたとしても、識別可能な品種に限界があった。例えば、「女峰」と「アスカルビー」、「レッドパール」と「さつまおとめ」、および、「とよのか」と「はるのか」は、識別することができない。
昨今は、新品種の育種が活発であり、市場に流通する品種も多様化しているが、このように既存の品種の識別に限界がある特許文献1記載の方法は、このような状況に柔軟に対応することが困難である。
【0004】
また、イチゴが遺伝的に8倍体であることに起因して、特許文献1で挙げられている7つの識別用DNAマーカーにより検出されるDNA多型断片は、視覚的に薄く、非常に見えにくい。そのため、PCRによるDNAの増幅が不十分であると、多型の判断に間違いが生ずる可能性があり、品種識別の正確性に問題があった。
このような状況下、識別可能な品種が限定されず、しかも多様化する市場において次々と生み出される新品種に柔軟に対応できる、イチゴの品種識別方法の開発が望まれていた。
【0005】

【特許文献1】特願2002-155547号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多様なイチゴ品種を正確に識別することが可能であり、しかも、柔軟に対応できるとともに、イチゴの種苗、果実等を試料として、栽培条件や保存条件などに左右されずに、イチゴ品種を正確に識別することが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、PCR法に用いるプライマーの塩基配列に改変を加えることにより、多型検出マーカーのより明瞭な検出を可能とするとともに、新たな多型検出マーカーを加え従来法では不明確であったイチゴ品種を明瞭に識別可能な多型検出マーカーを新たに見出した。本発明は係る知見に基づくものである。
【0008】
すなわち従来のマーカーは、イチゴの保有する対立遺伝子全てをPCR法で増幅していたため、目的の多型マーカーが不要な対立遺伝子に妨害され不明瞭となったが、イチゴ遺伝子の塩基配列情報を元にプライマー配列を改変することで、多型マーカーを含む必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅し、明確なマーカーに改良できることを見出した。
【0009】
また、プライマーを構成する塩基配列に改変を施すことにより、多型検出に必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅させることで、副次的効果として、従来法と同様の操作手順で、従来法よりも多くの多型を得られることを見出した。
【0010】
また本発明者らは、イチゴ品種間で塩基配列が異なり、かつその差が制限酵素で処理することにより検出可能となる遺伝子を、従来のAPX、CHI、F3Hの他に複数探索した。これらを利用すると、従来法では識別不可能であった品種が識別できるようになることを確認し、本発明に至った。
【0011】
即ち、請求項1記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号1記載の塩基配列からなるAPXFw2と配列番号2記載の塩基配列からなるAPXRv2をプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号37又は38記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPXを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX中の配列番号39で表されるMlu I認識配列を認識する制限酵素Mlu Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項2記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号3記載の塩基配列からなるCHIFwと配列番号4記載の塩基配列からなるCHIRv2をプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号40記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCHIを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCHI中の配列番号41で表されるPvu II認識配列を認識する制限酵素Pvu IIによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項3記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号5記載の塩基配列からなるF3H2Fwと配列番号6記載の塩基配列からなるF3HRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号42記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドF3H2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したF3H2中の配列番号43で表されるAcc I認識配列を認識する制限酵素Acc Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
【0012】
請求項記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号7記載の塩基配列からなるDFRFwと配列番号8記載の塩基配列からなるDFRRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号44記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドDFRを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したDFR中の配列番号45で表されるHha I認識配列を認識する制限酵素Hha Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号9記載の塩基配列からなるCTI1Fwと配列番号10記載の塩基配列からなるCTI1Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号46記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCTI1を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCTI1中の配列番号47で表されるHinf I認識配列を認識する制限酵素Hinf Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号11記載の塩基配列からなるMSRFwと配列番号12記載の塩基配列からなるMSRRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号48記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドMSRを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したMSR中の配列番号49で表されるAlu I認識配列を認識する制限酵素Alu Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
【0013】
請求項記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号13記載の塩基配列からなるPGPFwと配列番号14記載の塩基配列からなるPGPRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号50記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPGPを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPGP中の配列番号43で表されるAcc I認識配列を認識する制限酵素Acc Iによる消化で生じる多型、および/または増幅したPGP中の配列番号51で表されるRsa I認識配列を認識する制限酵素Rsa Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号15記載の塩基配列からなるPGP2Fwと配列番号16記載の塩基配列からなるPGP2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号52記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPGP2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPGP中の配列番号51で表されるRsa I認識配列を認識する制限酵素Rsa Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号17記載の塩基配列からなるAPX2Fwと配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号53記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPX2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX2中の配列番号54で表されるDra I認識配列を認識する制限酵素Dra Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
【0014】
請求項10記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号19記載の塩基配列からなるAPX3Fwと配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号55記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPX3を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX3中の配列番号54で表されるDra I認識配列を認識する制限酵素Dra Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項11記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号20記載の塩基配列からなるAPX4Fwと配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号56記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAPX4を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAPX4中の配列番号57で表されるTaq I認識配列を認識する制限酵素Taq Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項12記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号21記載の塩基配列からなるAUBFwと配列番号22記載の塩基配列からなるAUBRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号58記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドAUBを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したAUB中の配列番号45で表されるHha I認識配列を認識する制限酵素Hha Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
【0015】
請求項13記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号23記載の塩基配列からなるOLPFwと配列番号24記載の塩基配列からなるOLPRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号59記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドOLPを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したOLP中の配列番号60で表されるDde I認識配列を認識する制限酵素Dde Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項14記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号25記載の塩基配列からなるCTI2Fwと配列番号26記載の塩基配列からなるCTI2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号61記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCTI2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCTI2中の配列番号62で表されるMbo I認識配列を認識する制限酵素Mbo Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項15記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号27記載の塩基配列からなるCYTFwと配列番号28記載の塩基配列からなるCYTRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号63記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドCYTを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したCYT中の配列番号64で表されるBsaB I認識配列を認識する制限酵素BsaB Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
【0016】
請求項16記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号29記載の塩基配列からなるtRNAFwと配列番号30記載の塩基配列からなるtRNARvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号65記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドtRNAを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したtRNA中の配列番号66で表されるFok I認識配列を認識する制限酵素Fok Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項17記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号31記載の塩基配列からなるPYDFwと配列番号32記載の塩基配列からなるPYDRvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号67記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPYDを標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPYD中の配列番号68で表されるHae III認識配列を認識する制限酵素Hae IIIによる消化で生じる多型、および/または増幅したPYD中の配列番号69で表されるCfr13 I認識配列を認識する制限酵素Cfr13 Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項18記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号33記載の塩基配列からなるPYD2Fwと配列番号34記載の塩基配列からなるPYD2Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号70記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPYD2を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPYD2中の配列番号68で表されるHae III認識配列を認識する制限酵素Hae IIIによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
【0017】
請求項19記載の本発明は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するプライマーである、配列番号35記載の塩基配列からなるPYD3Fwと配列番号36記載の塩基配列からなるPYD3Rvをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種より抽出したDNAを鋳型として、配列番号71記載の塩基配列からなるイチゴ品種間で異なるポリヌクレオチドPYD3を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したPYD3中の配列番号72で表されるHga I認識配列を認識する制限酵素Hga Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とするイチゴの品種識別方法である。
請求項20記載の本発明は、とよのか、女峰、とちおとめ、章姫、さちのか、アイベリー、レッドパール、濃姫、サンチーゴ、ピーストロ、アイストロ、紅ほっぺ、けいきわせ、久留米IH-1号、久留米IH-2号、久留米9323号、セセナ、栃の峰、とちひめ、さがほのか、系統A-17、福岡S6号および宝交早生を対象品種とする、請求項1~19のいずれかに記載のイチゴの品種識別方法である。
【0018】
請求項21記載の本発明は、配列番号1記載の塩基配列からなるAPXFw2、配列番号2記載の塩基配列からなるAPXRv2、配列番号3記載の塩基配列からなるCHIFw、配列番号4記載の塩基配列からなるCHIRv2、配列番号5記載の塩基配列からなるF3H2Fw、配列番号6記載の塩基配列からなるF3HRv、配列番号7記載の塩基配列からなるDFRFw、配列番号8記載の塩基配列からなるDFRRv、配列番号9記載の塩基配列からなるCTI1Fw、配列番号10記載の塩基配列からなるCTI1Rv、配列番号11記載の塩基配列からなるMSRFw、配列番号12記載の塩基配列からなるMSRRv、配列番号13記載の塩基配列からなるPGPFw、配列番号14記載の塩基配列からなるPGPRv、配列番号15記載の塩基配列からなるPGP2Fw、配列番号16記載の塩基配列からなるPGP2Rv、配列番号17記載の塩基配列からなるAPX2Fw、配列番号18記載の塩基配列からなるAPX2Rv、配列番号19記載の塩基配列からなるAPX3Fw、配列番号20記載の塩基配列からなるAPX4Fw、配列番号21記載の塩基配列からなるAUBFw、配列番号22記載の塩基配列からなるAUBRv、配列番号23記載の塩基配列からなるOLPFw、配列番号24記載の塩基配列からなるOLPRv、配列番号25記載の塩基配列からなるCTI2Fw、配列番号26記載の塩基配列からなるCTI2Rv、配列番号27記載の塩基配列からなるCYTFw、配列番号28記載の塩基配列からなるCYTRv、配列番号29記載の塩基配列からなるtRNAFw、配列番号30記載の塩基配列からなるtRNARv、配列番号31記載の塩基配列からなるPYDFw、配列番号32記載の塩基配列からなるPYDRv、配列番号33記載の塩基配列からなるPYD2Fw、配列番号34記載の塩基配列からなるPYD2Rv、配列番号35記載の塩基配列からなるPYD3Fw、および、配列番号36記載の塩基配列からなるPYD3Rvの中から選ばれた少なくとも1種である、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅するイチゴの品種識別用プライマーである。
【発明の効果】
【0019】
本発明におけるプライマー改良により、従来法では明確には検出できなかったイチゴ品種識別用マーカーの多型DNA断片を明確に検出することが可能となることに加え、1つのマーカーで得られる多型パターンが増加する。
また、本発明における新たなマーカーを従来法のものと併用することにより、市場流通しているほぼ全ての品種を識別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のイチゴの品種識別方法は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅する19組のプライマー対のうちのいずれかをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より抽出したDNAを鋳型として、イチゴ品種間で異なる塩基配列を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したDNAの制限酵素による消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
即ち、本発明のイチゴの識別方法は、必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅する19組のプライマー対のいずれかをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より抽出したDNAを鋳型として、PCR法を行うと、増幅した配列中に、イチゴ品種間で異なる塩基配列が存在すること、および制限酵素によりその配列を認識できることを組み合わせることによってイチゴの品種識別を行う方法に基づいている。
必要な対立遺伝子のみを選択的に増幅する19組のプライマー対とは、以下に示すようなものである。
【0021】
(1)APXFw2とAPXRv2
APXFw2とAPXRv2は、それぞれ配列表の配列番号1および2に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、DNAデータベースからアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(EC.1.11.1.11)をコードする遺伝子(APX)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0022】
(2)CHIFwとCHIRv2
CHIFwとCHIRv2は、それぞれ配列表の配列番号3および4に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、DNAデータベースからカルコン酸シンターゼによって合成されたカルコンを異性化する酵素をコードする遺伝子(CHI)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0023】
(3)F3H2FwとF3HRv
F3H2FwとF3HRvは、それぞれ配列表の配列番号5および6に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、DNAデータベースから植物に含まれる天然色素であるアントシアニンの生合成経路を触媒する酵素をコードする遺伝子(F3H)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0024】
(4)DFRFwとDFRRv
DFRFwとDFRRvは、それぞれ配列表の配列番号7および8に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、ジヒドロフラボノール4-レダクターゼ(EC.1.1.1.219)をコードする遺伝子(DFR)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0025】
(5)CTI1FwとCTI1Rv
CTI1FwとCTI1Rvは、それぞれ配列表の配列番号9および10に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、キチナーゼ2-1(EC.3.2.1.14)をコードする遺伝子(CTI1)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0026】
(6)MSRFwとMSRRv
MSRFwとMSRRvは、それぞれ配列表の配列番号11および12に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、メチオニンスルホキシドレダクターゼ(EC.1.8.4.5)をコードする遺伝子(MSR)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0027】
(7)PGPFwとPGPRv
PGPFwとPGPRvは、それぞれ配列表の配列番号13および14に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、ポリガラクツロナーゼインヒビター蛋白質(PGP)をコードする遺伝子(PGP)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0028】
(8)PGP2FwとPGP2Rv
PGP2FwとPGP2Rvは、それぞれ配列表の配列番号15および16に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、PGPの別の対立遺伝子(PGP2)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0029】
(9)APX2FwとAPX2Rv
APX2FwとAPX2Rvは、それぞれ配列表の配列番号17および18に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、APXの別の対立遺伝子(APX2)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0030】
(10)APX3FwとAPX2Rv
APX3FwとAPX2Rvは、それぞれ配列表の配列番号19および18に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、APXおよびAPX2の別の対立遺伝子(APX3)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものであり、リバースプライマーは、先のプライマー対(9)で用いるリバースプライマーと同じものである。
【0031】
(11)APX4FwとAPX2Rv
APX4FwとAPX2Rvは、それぞれ配列表の配列番号20および18に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、APX、APX2およびAPX3の別の対立遺伝子(APX4)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものであり、リバースプライマーは、先のプライマー対(9)および(10)で用いるリバースプライマーと同じものである。
【0032】
(12)AUBFwとAUBRv
AUBFwとAUBRvは、それぞれ配列表の配列番号21および22に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、オーキシン結合蛋白質をコードする遺伝子(AUB)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0033】
(13)OLPFwとOLPRv
OLPFwとOLPRvは、それぞれ配列表の配列番号23および24に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、オスモチン様蛋白質をコードする遺伝子(OLP)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0034】
(14)CTI2FwとCTI2Rv
CTI2FwとCTI2Rvは、それぞれ配列表の配列番号25および26に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、キチナーゼ2-2(EC.3.2.1.14)をコードする遺伝子(CTI2)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0035】
(15)CYTFwとCYTRv
CYTFwとCYTRvは、それぞれ配列表の配列番号27および28に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、シスタチオニンガンマシンターゼ(EC.2.5.1.48)をコードする遺伝子(CYT)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0036】
(16)tRNAFwとtRNARv
tRNAFwとtRNARvは、それぞれ配列表の配列番号29および30に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、tRNA-LeuおよびtRNA-Pheをコードする遺伝子(tRNA)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0037】
(17)PYDFwとPYDRv
PYDFwとPYDRvは、それぞれ配列表の配列番号31および32に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(EC.4.1.1.1)をコードする遺伝子(PYD)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0038】
(18)PYD2FwとPYD2Rv
PYD2FwとPYD2Rvは、それぞれ配列表の配列番号33および34に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、PYDの別の対立遺伝子(PYD2)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0039】
(19)PYD3FwとPYD3Rv
PYD3FwとPYD3Rvは、それぞれ配列表の配列番号35および36に記載の塩基配列からなるプライマーである。
本プライマー対は、PYDおよびPYD2の別の対立遺伝子(PYD3)のDNA配列を選択し、このDNA配列情報を参考にして設計されたものである。
【0040】
本発明のイチゴの品種識別方法は、まず、上記19組のプライマー対のうちのいずれかをプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より抽出したDNAを鋳型として、イチゴ品種間で異なる塩基配列を標的としたPCR法によってDNAを増幅する。
【0041】
鋳型として用いるDNAは、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より以下の方法により抽出して得ることができる。
DNAの抽出は、QIAGEN社のDNeasy Plant Mini kit等のDNA抽出キットを用いそのプロトコルに従う方法で行うことができる。
また、Laurence Marechal-Drourard et.al.(Plant Molecular Biology Reporter,1995,vol.13(1),p.26-30)の方法を改変して行うこともできる。具体的には、すりつぶした試料にDNA抽出溶液を加えて保温・冷却処理したのち、遠心して得た上清にイソプロパノールなどの溶媒を加えてDNAを沈殿させ、必要に応じて遠心してDNAを分離する。次いで、TEとリボヌクレアーゼ溶液を加えてRNAを分解する。このRNase処理後の溶液にDEAEセファデックス混液を添加し、再度遠心して得た固形物に溶出バッファーを加えてDNAを溶出させ、これを常法により精製して行うことができる。
【0042】
PCR法は、上記19組のプライマー対のうちのいずれかをプライマーとして用い、上述のようにしてイチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より抽出したDNAを鋳型とするのであれば、常法に従って行うことができる。
即ち、抽出DNAに、上記19組のプライマー対のうちの一組、Taqポリメラーゼ等の耐熱性DNAポリメラーゼ、反応用緩衝液およびdNTPsを加えた状態で、常法に従い約90~100℃の高温処理過程(変性)、約30~75℃のプライマー・DNA結合過程(アニーリング)、約70~75℃のDNA複製過程(伸長)の3過程を1サイクルとする反応を30~40サイクル行ってDNAを増幅する。
【0043】
次に、本発明のイチゴの品種識別方法においては、PCRにより増幅したDNAの制限酵素による消化で生じる多型を検出する。
PCR法により増幅したDNAの制限酵素による消化は、増幅したDNAに適切な制限酵素4~5ユニットを常法に従って、作用させることにより行う。制限酵素としては、例えば、Mlu I、Pvu II、Acc I、Hha I、Hinf I、Rsa I、Dra I、Taq I、Dde I、Mbo I、BsaB I、Fok I、Hae III、Cfr13 I、Hga I等を挙げることができる。
【0044】
多型の検出は、アガロースゲル電気泳動による分離等DNA断片長(分子量の差)によりDNAを分離する方法を利用して行うことができる。
例えば、アガロースゲルを用いる場合、アガロースゲル中のPCRにより増幅したDNAの制限酵素による消化産物は、その断片長により直流電荷に引かれて移動する距離が相違するので、これを臭化エチジウムブロマイド等により染色して得られるバンドは、DNA断片長によりバンドを検出することができるので、バンドの有無により多型を識別することができる。
【0045】
本発明の識別方法において、イチゴ品種間で異なる塩基配列とは、複数のイチゴの品種間で1塩基以上の特異的な変異が1箇所以上存在する塩基配列のことを意味し、例えば以下のような手順で解明することができる。
イチゴ各品種から得られたDNA断片をアガロースゲルごと切り出してDNAを回収し、これをEasy T Vectorシステム(プロメガ社)等を用いてクローニングを行う。まず、DNAをプラスミドに組み込み、大腸菌に導入する。次いで、大腸菌を増殖させた後、プラスミドを取り出して精製し、DNAシーケンサーを用いてクローンの塩基配列を決定する。イチゴ各品種からのプラスミドの解析結果や公開されている配列情報を比較することによって、標的とした塩基配列中に品種間で特異的に変異しており、かつその差を制限酵素処理と電気泳動により検出できる部位が存在するかを調べ、品種識別用マーカーとする。
【0046】
このような本発明は、例えば以下に説明するような請求項1~19に係る本発明の識別方法により、実施することが可能である。
【0047】
〔1〕APX-MluI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、APX(配列表の配列番号37および38記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したAPX中のMlu I認識配列(配列表の配列番号39参照)を認識する制限酵素Mlu Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、APXは、前述のAPXFw2およびAPXRv2をプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0048】
このAPXは、特願2002-155547号明細書に記載されているように、プライマーとしてのAPXFPおよびAPXRV、並びに制限酵素Mlu Iを用いても、多型を生じる識別用マーカーである。しかしながら、後述の実施例1に示すように4種類にしか分類できず、更に、多型マーカー以外のバンドが多数検出され不明瞭であることから、多型の正確な検出が困難である(図1(a)参照)。
【0049】
一方、APXFw2およびAPXRv2をプライマーとして用いることにより、後述の実施例1(図1参照)に示すように6種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図1(b)参照)。
このように、本発明のように、APXFw2およびAPXRv2をプライマーとして用いることにより、従来法では識別できなかった「女峰」(レーン2)と「とちおとめ」(レーン3)の識別をも行うことが可能である。
【0050】
〔2〕CHI-PvuII(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、CHI(配列表の配列番号40記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したCHI中のPvu II認識配列(配列表の配列番号41参照)を認識する制限酵素Pvu IIによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、CHIは、前述のCHIFwおよびCHIRv2をプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0051】
このCHIは、特願2002-155547号明細書に記載されているように、プライマーとしてのCHIFPおよびCHIRV、並びに制限酵素Pvu IIを用いても、多型を生じる識別用マーカーである。しかしながら、後述の実施例2に示すように2種類にしか分類できず、更に、多型マーカー以外のバンドが多数検出され不明瞭であることから、多型の正確な検出が困難である(図2(a)参照)。
【0052】
一方、CHIFwおよびCHIRv2をプライマーとして用いることにより、後述の実施例1に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図2(b)参照)。
このように、本発明のように、CHIFwおよびCHIRv2をプライマーとして用いることにより、従来法では識別できなかった「紅ほっぺ」の識別をも行うことが可能である。
【0053】
〔3〕F3H2-AccI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、F3H2(配列表の配列番号42記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したF3H2中のAcc I認識配列(配列表の配列番号43参照)を認識する制限酵素Acc Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、F3H2は、前述のF3H2FwおよびF3HRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0054】
このF3H2は、特願2002-155547号明細書に記載されているように、プライマーとしてのF3HFP、F3HFP2、およびF3HRV、並びに制限酵素AccIを用いても、多型を生じる識別用マーカーである。しかしながら、後述の実施例3に示すように2種類にしか分類できず、更に、多型マーカー以外のバンドが多数検出され不明瞭であることから、多型の正確な検出が困難である(図3(a)参照)。
【0055】
一方、F3H2FwおよびF3HRvをプライマーとして用いることにより、後述の実施例3に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図3(b)参照)。
このように、本発明のように、F3H2FwおよびF3HRvをプライマーとして用いることにより、従来法では識別できなかったイチゴ品種の識別をも行うことが可能である。
【0056】
〔4〕DFR-HhaI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、DFR(配列表の配列番号44記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したDFR中のHha I認識配列(配列表の配列番号45参照)を認識する制限酵素Hha Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、DFRは、前述のDFRFwおよびDFRRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0057】
請求項に係る本発明の方法によれば、後述の実施例4に示すように2種類に分類することが可能であり、正確な識別が可能である(図4参照)。
【0058】
〔5〕CTI1-HinfI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、CTI1(配列表の配列番号46記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したCTI1中のHinf I認識配列(配列表の配列番号47参照)を認識する制限酵素Hinf Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、CTI1は、前述のCTI1FwおよびCTI1Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0059】
請求項に係る本発明の方法によれば、後述の実施例5に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図5参照)。
【0060】
〔6〕MSR-AluI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、MSR(配列表の配列番号48記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したMSR中のAlu I認識配列(配列表の配列番号49参照)を認識する制限酵素Alu Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、MSRは、前述のMSRFwおよびMSRRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0061】
請求項に係る本発明により、後述の実施例6に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図6参照)。
【0062】
〔7〕PGP-AccIおよびPGP-RsaI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、PGP(配列表の配列番号50記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したPGP中のAcc I認識配列(配列表の配列番号43参照)を認識する制限酵素Acc Iによる消化で生じる多型、および/またはPCRにより増幅したPGP中のRsa I認識配列(配列表の配列番号51参照)を認識する制限酵素Rsa Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、PGPは、前述のPGPFwおよびPGPRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0063】
請求項に係る本発明の識別方法により、後述の実施例7および8に示すように3種類および2種類ずつに分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図7および8参照)。
【0064】
〔8〕PGP2-RsaI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、PGP2(配列表の配列番号52記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したPGP2中のRsa I認識配列(配列表の配列番号51参照)を認識する制限酵素Rsa Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、PGP2は、前述のPGP2FwおよびPGP2Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0065】
請求項に係る本発明の識別方法により、後述の実施例9に示すように2種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図9参照)。
【0066】
〔9〕APX2-DraI(請求項に係る本発明)
請求項に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、APX2(配列表の配列番号53記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したAPX2中のDra I認識配列(配列表の配列番号54参照)を認識する制限酵素Dra Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、APX2は、前記のAPX2FwおよびAPX2Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0067】
請求項に係る本発明の識別方法により、後述の実施例10に示すように2種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図10参照)。
【0068】
〔10〕APX3-DraI(請求項10に係る本発明)
請求項10に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、APX3(配列表の配列番号55記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したAPX3中のDra I認識配列(配列表の配列番号54参照)を認識する制限酵素Dra Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、APX3は、前記のAPX3FwおよびAPX2Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0069】
請求項10に係る本発明の識別方法により、後述の実施例11に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図11参照)。
【0070】
〔11〕APX4-TaqI(請求項11に係る本発明)
請求項11に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、APX4(配列表の配列番号56記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したAPX4中のTaq I認識配列(配列表の配列番号57参照)を認識する制限酵素Taq Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、APX4は、前記のAPX4FwおよびAPX2Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0071】
請求項11に係る本発明の識別方法により、後述の実施例12に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図12参照)。
【0072】
〔12〕AUB-HhaI(請求項12に係る本発明)
請求項12に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、AUB(配列表の配列番号58記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したAUB中のHha I認識配列(配列表の配列番号45参照)を認識する制限酵素Hha Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、AUBは、前記のAUBFwおよびAUBRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0073】
請求項12に係る本発明の識別方法により、後述の実施例13に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図13参照)。
【0074】
〔13〕OLP-DdeI(請求項13に係る本発明)
請求項13に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、OLP(配列表の配列番号59記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したOLP中のDde I認識配列(配列表の配列番号60参照)を認識する制限酵素Dde Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、OLPは、前記のOLPFwおよびOLPRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0075】
請求項13に係る本発明の識別方法により、後述の実施例14に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図14参照)。
【0076】
〔14〕CTI2-MboI(請求項14に係る本発明)
請求項14に係る本発明のイチゴの品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、CTI2(配列表の配列番号61記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したCTI2中のMbo I認識配列(配列表の配列番号62参照)を認識する制限酵素Mbo Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、CTI2は、前記のCTI2FwおよびCTI2Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0077】
請求項14に係る本発明の識別方法により、後述の実施例15に示すように3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図15参照)。
【0078】
〔15〕CYT-BsaBI(請求項15に係る本発明)
請求項15に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、CYT(配列表の配列番号63記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したCYT中のBsaB I認識配列(配列表の配列番号64参照)を認識する制限酵素BsaB Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、CYTは、前記のCYTFwおよびCYTRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0079】
請求項15に係る本発明の識別方法により、後述の実施例16に示すように2種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図16参照)。
【0080】
〔16〕tRNA-FokI(請求項16に係る本発明)
請求項16に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、tRNA(配列表の配列番号65記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したtRNA中のFok I認識配列(配列表の配列番号66参照)を認識する制限酵素Fok Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、tRNAは、前記のtRNAFwおよびtRNARvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0081】
請求項16に係る本発明の識別方法により、後述の実施例17に示すように2種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図17参照)。
【0082】
〔17〕PYD-HaeIIIおよびPYD-Cfr13I(請求項17に係る本発明)
請求項17に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、PYD(配列表の配列番号67記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したPYD中のHae III認識配列(配列表の配列番号68参照)を認識する制限酵素Hae IIIによる消化で生じる多型、および/またはPCRにより増幅したPYD中のCfr13 I認識配列(配列表の配列番号69参照)を認識する制限酵素Cfr13 Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、PYDは、前記のPYDFwおよびPYDRvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0083】
請求項17に係る本発明の識別方法により、後述の実施例18および19に示すように、それぞれ3種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図18および19参照)。
【0084】
〔18〕PYD2-HaeIII(請求項18に係る本発明)
請求項18に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、PYD2(配列表の配列番号70記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したPYD2中のHae III認識配列(配列表の配列番号68参照)を認識する制限酵素Hae IIIによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、PYD2は、前記のPYD2FwおよびPYD2Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0085】
請求項18に係る本発明の識別方法により、後述の実施例20に示すように、2種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図20参照)。
【0086】
〔19〕PYD3-HgaI(請求項19に係る本発明)
請求項19に係る本発明の品種識別方法は、イチゴ品種間で異なる塩基配列として、PYD3(配列表の配列番号71記載の塩基配列参照)を利用し、PCRにより増幅したPYD3中のHga I認識配列(配列表の配列番号72参照)を認識する制限酵素Hga Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
尚、PYD3は、前記のPYD3FwおよびPYD3Rvをプライマーとして用いたPCRにより増幅される。
【0087】
請求項19に係る本発明の識別方法により、後述の実施例21に示すように、2種類に分類することが可能であり、更に、多型マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能である(図21参照)。
【0088】
〔22〕F3H-EarI
F3H-EarIによるイチゴの品種識別方法は、F3HFw(配列表の配列番号73記載の塩基配列参照)とF3HRv(配列表の配列番号6記載の塩基配列参照)をプライマーとして用い、イチゴの果実、ガク、葉および茎の中から選ばれた少なくとも1種類より抽出したDNAを鋳型として、イチゴ品種間で異なる塩基配列F3H(配列表の配列番号74記載の塩基配列参照)を標的としたPCR法によってDNAを増幅し、増幅したF3H中のEar I認識配列(配列表の配列番号75参照)を認識する制限酵素Ear Iによる消化で生じる多型を検出することを特徴とする。
即ち、F3H-EarIによるイチゴの品種識別方法は、プライマー対として、F3HFwおよびF3HRvを用いる他は、本発明と同様にして行うものである。
このプライマー対F3HFwおよびF3HRvは、特願2002-155547号明細書に記載されたプライマー対(F3HFPおよびF3HRV)であるが、これらのプライマーを用いて増幅したF3H中のEar I認識配列(配列表の配列番号75参照)を認識する制限酵素Ear Iによる消化で生じる多型を検出すること、については、上記先願明細書には全く記載されていない。
【0089】
上記のF3H-EarIによる識別方法により、後述の参考例1に示すように、2種類に分類することが可能であり、正確な識別が可能である(図22参照)。
【0090】
本発明の識別方法によれば、種々のプライマー対を組み合わせることにより、多種多様なイチゴ品種を正確に識別することができる。
特に、請求項に係る本発明のイチゴ品種間で異なる各塩基配列、即ち多型識別マーカーを、特願2002-155547号明細書に記載の識別用マーカー(改良したものを含む)と併用することにより、アイストロ、アイベリー、あかしゃのみつこ、あかねっ娘、章姫、アスカウェイブ、アスカルビー、越後姫、エバーベリー、大石四季成2号、きたえくぼ、北の輝、久能早生、けいきわせ、紅寿、さがほのか、さちのか、さつまおとめ、サマーベリー、沢ベリー、サンチーゴ、しずたから、しずちから、しずのか、しゅうこう、スルガエース、セレナータ、ダナー、とちおとめ、栃の峰、とちひめ、とねほっぺ、とよのか、女峰、濃姫、はつくに、はるのか、はるよい、ピーストロ、ひのみね、ひみこ、媛育、福岡S6号、福羽、ペチカ、紅ほっぺ、ベリースター、ベルルージュ、芳玉、宝交早生、堀田ワンダー、マラー、みよし、明宝、八雲、リンダモール、麗紅、レッドパール、苺香、および早紅の60品種全てを識別することができる。
【実施例】
【0091】
以下に、本発明の実施例を詳しく説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
以下の実施例においては、サンプルとしてとよのか、女峰、とちおとめ、章姫、さちのか、アイベリー、レッドパール、濃姫、サンチーゴ、ピーストロ、アイストロ、紅ほっぺ、けいきわせ、久留米IH-1号、久留米IH-2号、久留米9323号、セセナ、栃の峰、とちひめ、さがほのか、系統A-17、福岡S6号および宝交早生の各イチゴ品種を用いて、各プライマー対を用いた品種識別を行った。
【0092】
実施例1(APX-MluIによる品種識別)
サンプルからのDNAの抽出には、QIAGEN社のDNeasy Plant Mini kitを利用し、その操作はプロトコルに従った。各品種のイチゴ果実のガク部位または葉を1/2~1/3程度(50mg以下)エッペンドルフチューブに入れ、消泡剤一滴と400μLのキット付属AP1 bufferおよび4μlのRNaseを加えQIAGEN社のMM-300細胞破砕機で破砕した。
これを65℃で10分間保温した後、130μlのAP2 bufferを加え氷上で5分間置いて、遠心し(15000rpm、5分間)、その上清をQIA shredderに移した。これを更に遠心し(15000rpm、2分間)、下層を新しいエッペンドルフチューブに移してその1.5倍量のAP3/Ethanol bufferを加えて混合した。これをspin columnに移して遠心し(15000rpm、1分間)、更にカラムに500μlのAW bufferを2度通すことでDNA以外の吸着物を洗浄した。
最後に100μlのAE bufferでカラムからDNAを溶出させ、これを2度繰り返すことで計200μlとなった抽出液をPCR反応の鋳型として用いた。
【0093】
こうして得られたDNA抽出液を10倍に希釈して、5μl(DNA約1~10ng)を反応に用いた。PCR反応液の組成は、鋳型DNA溶液5μl、Taqポリメラーゼ(宝酒造、5units/μl)0.5μl、反応用緩衝液(100mMトリス酢酸、500mM KCl、15mM MgCl、pH8.3)5μl、dNTPs(100μM)4μlおよびAPXFw2プライマーとAPXRv2プライマーそれぞれ50pmolに、滅菌水を加えて反応量50μlとした。
反応液にミネラルオイルを重ね、ABI(Applied Biosystems Instrument)社製のGene Amp PCR System 9700を使用して94℃5分後、94℃30秒-55℃30秒-72℃30秒の反応を35サイクル繰り返し、72℃5分間の伸長反応を補足してPCR反応によるAPXの増幅を行った。
【0094】
増幅したAPXのDNA溶液50μl中、5μlを制限酵素処理に用いた。反応溶液の組成は、5μlのDNA増幅液、制限酵素Mlu I 0.4μl(NEB社製・10units/μl)、酵素添付の反応緩衝液1μlに滅菌水を加えて10μlとした。これを37℃で1時間処理した後、反応液全量を用いてエチジウムブロマイドを含有する1.5%のアガロースゲルで電気泳動分離を行い、紫外線照射によりDNAを検出した。
結果を図1(b)に示す。図1(b)中Aの矢印はマーカーAを示し、Bの矢印はマーカーBを示し、Xの矢印は共通バンドXを示す。また、レーン1~24は、1:とよのか、2:女峰、3:とちおとめ、4:章姫、5:さちのか、6:アイベリー、7:レッドパール、8:濃姫、9:サンチーゴ、10:ピーストロ、11:アイストロ、12:紅ほっぺ、13:けいきわせ、14:久留米IH-1号、15:久留米IH-2号、16:久留米9323号、17:同16、18:セセナ、19:栃の峰、20:とちひめ、21:さがほのか、22:系統A-17、23:福岡S6号、24:宝交早生を示す。
尚、レーン1~24の各イチゴ品種については、以下の図においても同様である。
また、多型の出現パターンを表1(改良法)に示す。
【0095】
一方、特願2002-155547号明細書に記載の識別方法により、プライマーとしてAPXFP(配列表の配列番号76参照)およびAPXRV(配列表の配列番号77参照)を用いた他は上記と同様の手順で多型を検出した。
結果を図1(a)に示す。図1(a)中、Aの矢印はマーカーAを示し、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、多型の出現パターンを表1(従来法)に示す。
【0096】
【表1】
JP0004065951B2_000002t.gif

【0097】
図1(a)から、特願2002-155547号明細書に記載の識別方法によれば、マーカーA保有グループ(表1(従来法)のA)、マーカーB保有ブループ(表1(従来法)のB)、マーカーAおよびB保有グループ(表1(従来法)のC)およびマーカーのないグループ(表1(従来法)のX)の4種類しか分類できないことが明らかである。この点については、表1(従来法)にも示すとおりである。
更に、図1(a)から、多型マーカー以外のバンドが多数検出され、一方多型検出マーカーは不明瞭であることから、多型の正確な検出が困難であることが分かる。
【0098】
図1(b)から明らかなように、本発明の識別方法におけるAPX-MluIによる多型の出現パターンは、マーカーA、マーカーBおよび共通バンドXの出現の有無により、6種類に分類される。即ち、表1(改良法)に示すように、マーカーA保有グループ(表1のA)、マーカーB保有グループ(表1(改良法)のB)、マーカーAおよびB保有グループ(表1(改良法)のC)、マーカーAをホモで保有するグループ(表1(改良法)のa)、マーカーBをホモで保有するグループ(表1(改良法)のb)、およびマーカーを保有しないグループ(表1(改良法)のX)に分類できる。特に、従来法ではイチゴ品種「女峰」と「とちおとめ」を識別できなかったが、「女峰」(図1(b)のレーン2)はAタイプ、「とちおとめ」(図1(b)のレーン3)はaタイプ、「とよのか」(図1(b)のレーン1)はBタイプ、「章姫」(図1(b)のレーン4)はXタイプを示すため、それぞれを識別することが可能である。
また、図1(b)と(a)とを比較しても明らかなように、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
このように、APXFPおよびAPXRVをプライマーとして用いる特願2002-155547号明細書に記載の識別方法によれば、識別できる品種に制限があると共に、正確な検出が困難なものであったが、本発明の識別方法によれば、APXFw2およびAPXRv2をプライマーとして用いることにより、従来法よりも多くのイチゴの品種の識別が可能であるとともに、マーカーの明瞭性の改善が見られ、イチゴの品種識別が正確に行えることが分かる。例えば、従来法では識別できなかった「女峰」(レーン2)と「とちおとめ」(レーン3)の識別を行うことが可能である。
【0099】
実施例2(CHI-PvuIIによる品種識別)
実施例1において、CHIFwおよびCHIRv2をプライマーとして用いて、PvuIIを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図2(b)に示す。図2(b)中、Aの矢印はマーカーAを示し、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、多型の出現パターンを表2(改良法)に示す。
【0100】
一方、特願2002-155547号明細書に記載の識別方法により、プライマーとしてCHIFP(配列表の配列番号3参照)およびCHIRV(配列表の配列番号78参照)を用いた他は上記と同様の手順で多型を検出した。
結果を図2(a)に示す。図2(a)中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、多型の出現パターンを表2(従来法)に示す。
【0101】
【表2】
JP0004065951B2_000003t.gif

【0102】
図2(a)から、特願2002-155547号明細書に記載の識別方法によれば、マーカーA保有グループ(表2(従来法)のA)およびマーカーを保有しないグループ(表2(従来法)のX)の2種類しか分類できないことが明らかである。この点については、表2(従来法)にも示すとおりである。
更に、図2(a)から、多型マーカー以外のバンドが多数検出され、一方多型検出マーカーは不明瞭であることから、多型の正確な検出が困難であることが分かる。
【0103】
図2(b)から明らかなように、本発明の識別方法におけるCHI-PvuIIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表1(改良法)に示すように、マーカーA保有グループ(表2(改良法)のA)、マーカーB保有グループ(表2(改良法)のB)およびマーカーAおよびB保有グループ(表2(改良法)のC)に分類できる。特に、イチゴ品種「紅ほっぺ」(図2(b)のレーン12)はBタイプを示すことから、これらの品種を他の品種から識別することが可能である。
また、図2(b)と(a)とを比較しても明らかなように、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
このように、CHIFPおよびCHIRVをプライマーとして用いる特願2002-155547号明細書に記載の識別方法によれば、識別できる品種に制限があると共に、正確な検出が困難なものであったが、本発明の識別方法によれば、CHIFwおよびCHIRv2をプライマーとして用いることにより、従来法よりも多くのイチゴの品種の識別が可能であるとともに、マーカーの明瞭性の改善が見られ、イチゴの品種識別が正確に行えることが分かる。
【0104】
実施例3(F3H2-AccIによる品種識別)
実施例1において、F3H2FwおよびF3HRvをプライマーとして用いて、Acc Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図3(b)に示す。図3(b)中、Aの矢印はマーカーAを示し、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、多型の出現パターンを表3(改良法)に示す。
【0105】
一方、特願2002-155547号明細書に記載の識別方法により、プライマーとしてF3HFP(配列表の配列番号73参照)、F3HFP2(配列表の配列番号79参照)、およびF3HRV(配列表の配列番号6参照)を用いた他は上記と同様の手順で多型を検出した。
結果を図3(a)に示す。図3(a)中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、多型の出現パターンを表3(従来法)に示す。
【0106】
【表3】
JP0004065951B2_000004t.gif

【0107】
図3(a)から、特願2002-155547号明細書に記載の識別方法によれば、マーカーA保有グループ(表3(従来法)のA)およびマーカーのないグループ(表3(従来法)のX)の2種類しか分類できないことが明らかである。この点については、表3(従来法)にも示すとおりである。
更に、図3(a)から、多型マーカー以外のバンドが多数検出され、一方多型検出マーカーは不明瞭であることから、多型の正確な検出が困難であることが分かる。
【0108】
図3(b)から明らかなように、本発明の識別方法におけるF3H2-AccIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表3(改良法)に示すように、マーカーA保有グループ(表3(改良法)のA)、マーカーB保有グループ(表3(改良法)のB)およびマーカーAおよびB保有グループ(表3(改良法)のC)に分類できる。
また、図3(b)と(a)とを比較しても明らかなように、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
このように、F3HFP、F3HFP2、およびF3HRVをプライマーとして用いる特願2002-155547号明細書に記載の識別方法によれば、識別できる品種に制限があると共に、正確な検出が困難なものであったが、本発明の識別方法によれば、F3H2FwおよびF3HRvをプライマーとして用いることにより、従来法よりも多くのイチゴの品種の識別が可能であるとともに、マーカーの明瞭性の改善が見られ、イチゴの品種識別が正確に行えることが分かる。


【0109】
実施例4(DFRFwおよびDFRRvを用いたDFR-HhaIによる品種識別)
実施例1において、DFRFwおよびDFRRvをプライマーとして用いて、Hha Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図4に示す。図4中Aの矢印はマーカーAを示す。
また、DFR-HhaIによる多型の出現パターンを表4に示す。
【0110】
【表4】
JP0004065951B2_000005t.gif

【0111】
図4から明らかなように、DFR-HhaIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表4に示すように、マーカーA保有グループ(表4のA)およびマーカーを保有しないグループ(表4のX)に分類できることが分かる。
【0112】
実施例5(CTI1FwおよびCTI1Rvを用いたCTI1-HinfIによる品種識別)
実施例1において、CTI1FwおよびCTI1Rvをプライマーとして用いて、Hinf Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。

結果を図5に示す。図5中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、CTI1-HinfIによる多型の出現パターンを表5に示す。
【0113】
【表5】
JP0004065951B2_000006t.gif

【0114】
図5から明らかなように、CTI1-HinfIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよび共通バンドX(図5中、マーカーAの上部に観察されるバンド)の出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表5に示すように、マーカーA保有グループ(表5のA)、マーカーAをホモで保有するグループ(表5のa)、マーカーAを保有しないグループ(表5のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0115】
実施例6(MSRFwおよびMSRRvを用いたMSR-AluIによる品種識別)
実施例1において、MSRFwおよびMSRRvをプライマーとして用いて、Alu Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図6に示す。図6中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、MSR-AluIによる多型の出現パターンを表6に示す。
【0116】
【表6】
JP0004065951B2_000007t.gif

【0117】
図6から明らかなように、MSR-AluIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表6に示すように、マーカーA保有グループ(表6のA)、マーカーB保有グループ(表6のB)、マーカーAおよびB保有グループ(表6のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0118】
実施例7(PGPFwおよびPGPRvを用いたPGP-AccIによる品種識別)
実施例1において、PGPFwおよびPGPRvをプライマーとして用いて、Acc Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図7に示す。図7中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、PGP-AccIによる多型の出現パターンを表7に示す。
【0119】
【表7】
JP0004065951B2_000008t.gif

【0120】
図7から明らかなように、PGP-AccIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表7に示すように、マーカーA保有グループ(表7のA)、マーカーB保有グループ(表7のB)、マーカーAおよびB保有グループ(表7のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0121】
実施例8(PGPFwおよびPGPRvを用いたPGP‐RsaIによる品種識別)
実施例1において、PGPFwおよびPGPRvをプライマーとして用いて、Rsa Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図8に示す。図8中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、PGP-RsaIによる多型の出現パターンを表8に示す。
【0122】
【表8】
JP0004065951B2_000009t.gif

【0123】
図8から明らかなように、PGP-RsaIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表8に示すように、マーカーA保有グループ(表8のA)およびマーカーAを保有しないグループ(表8のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0124】
実施例9(PGP2FwおよびPGP2Rvを用いたPGP2-RsaIによる品種識別)
実施例1において、PGP2FwおよびPGP2Rvをプライマーとして用いて、Rsa Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図9に示す。図9中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、PGP2-RsaIによる多型の出現パターンを表9に示す。
【0125】
【表9】
JP0004065951B2_000010t.gif

【0126】
図9から明らかなように、本発明の識別方法によるPGP2‐RsaIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表9に示すように、マーカーA保有グループ(表9のA)およびマーカーAおよびBを保有するグループ(表9のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0127】
実施例10(APX2FwおよびAPX2Rvを用いたAPX2-DraIによる品種識別)
実施例1において、APX2FwおよびAPX2Rvをプライマーとして用いて、Dra Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図10に示す。図10中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、APX2-DraIによる多型の出現パターンを表10に示す。
【0128】
【表10】
JP0004065951B2_000011t.gif

【0129】
図10から明らかなように、APX2-DraIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表10に示すように、マーカーAを保有するグループ(表10のA)およびマーカーAを保有しないグループ(表10のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0130】
実施例11(APX3FwおよびAPX2Rvを用いたAPX3-DraIによる品種識別)
実施例1において、APX3FwおよびAPX2Rvをプライマーとして用いて、Dra Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図11に示す。図11中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、APX3-DraIによる多型の出現パターンを表11に示す。
【0131】
【表11】
JP0004065951B2_000012t.gif

【0132】
図11から明らかなように、APX3-DraIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよび共通バンドX(図11においてマーカーAの上部に観察されるバンド)の出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表11に示すように、マーカーA保有グループ(表11のA)、マーカーAをホモで保有するグループ(表11のa)、およびマーカーAを保有しないグループ(表11のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0133】
実施例12(APX4FwおよびAPX2Rvを用いたAPX4-TaqIによる品種識別)
実施例1において、APX4FwおよびAPX2Rvをプライマーとして用いて、Taq Iを制限酵素として用いたこと、ならびに、制限酵素処理を65℃で行ったことの他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図12に示す。図12中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、APX4-TaqIによる多型の出現パターンを表12に示す。
【0134】
【表12】
JP0004065951B2_000013t.gif

【0135】
図12から明らかなように、APX4-TaqIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表12に示すように、マーカーA保有グループ(表12のA)、マーカーB保有グループ(表12のB)、およびマーカーAおよびB保有グループ(表12のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0136】
実施例13(AUBFwおよびAUBRvを用いたAUB-HhaIによる品種識別)
実施例1において、AUBFwおよびAUBRvをプライマーとして用いて、Hha Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図13に示す。図13中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、AUB-HhaIによる多型の出現パターンを表13に示す。
【0137】
【表13】
JP0004065951B2_000014t.gif

【0138】
図13から明らかなように、AUB-HhaIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよび共通バンドX(図13中、マーカーAの下部に観察されるバンド)の出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表13に示すように、マーカーA保有グループ(表13のA)、マーカーAをホモで保有するグループ(表13のa)、およびマーカーを保有しないグループ(表13のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0139】
実施例14(OLPFwおよびOLPRvを用いたOLP-DdeIによる品種識別)
実施例1において、OLPFwおよびOLPRvをプライマーとして用いて、Dde Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図14に示す。図14中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、OLP-DdeIによる多型の出現パターンを表14に示す。
【0140】
【表14】
JP0004065951B2_000015t.gif

【0141】
図14から明らかなように、OLP-DdeIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表14に示すように、マーカーA保有グループ(表14のA)、マーカーB保有グループ(表14のB)、およびマーカーAおよびB保有グループ(表14のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0142】
実施例15(CTI2FwおよびCTI2Rvを用いたCTI2-MboIによる品種識別)
実施例1において、CTI2FwおよびCTI2Rvをプライマーとして用いて、Mbo Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図15に示す。図15中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、CTI2-MboIによる多型の出現パターンを表15に示す。
【0143】
【表15】
JP0004065951B2_000016t.gif

【0144】
図15から明らかなように、CTI2-MboIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表15に示すように、マーカーA保有グループ(表15のA)、マーカーB保有グループ(表15のB)、およびマーカーAおよびB保有グループ(表15のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0145】
実施例16(CYTFwおよびCYTRvを用いたCYT-BsaBIによる品種識別)
実施例1において、CYTFwおよびCYTRvをプライマーとして用いて、BsaB Iを制限酵素として用いたこと、ならびに、制限酵素処理を60℃で行ったことの他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図16に示す。図16中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、CYT-BsaBIによる多型の出現パターンを表16に示す。
【0146】
【表16】
JP0004065951B2_000017t.gif

【0147】
図16から明らかなように、CYT-BsaBIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表16に示すように、マーカーA保有グループ(表16のA)およびマーカーを保有しないグループ(表16のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0148】
実施例17(tRNAFwおよびtRNARvを用いたtRNA-FokIによる品種識別)
実施例1において、tRNAFwおよびtRNARvをプライマーとして用いて、Fok Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図17に示す。図17中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、tRNA-FokIによる多型の出現パターンを表17に示す。
【0149】
【表17】
JP0004065951B2_000018t.gif

【0150】
図17から明らかなように、tRNA-FokIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表17に示すように、マーカーA保有グループ(表17のA)およびマーカーを保有しないグループ(表17のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0151】
実施例18(PYDFwおよびPYDRvを用いたPYD-HaeIIIによる品種識別)
実施例1において、PYDFwおよびPYDRvをプライマーとして用いて、Hae IIIを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図18に示す。図18中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、PYD-HaeIIIによる多型の出現パターンを表18に示す。
【0152】
【表18】
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【0153】
図18から明らかなように、PYD-HaeIIIによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表18に示すように、マーカーA保有グループ(表18のA)、マーカーB保有グループ(表18のB)、およびマーカーAおよびB保有グループ(表18のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0154】
実施例19(PYDFwおよびPYDRvを用いたPYD-Cfr13Iによる品種識別)
実施例1において、PYDFwおよびPYDRvをプライマーとして用いて、Cfr13 Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図19に示す。図19中、Aの矢印はマーカーAを、Bの矢印はマーカーBを示す。
また、PYD-Cfr13Iによる多型の出現パターンを表19に示す。
【0155】
【表19】
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【0156】
図19から明らかなように、PYD-Cfr13Iによる多型の出現パターンは、マーカーAおよびマーカーBの出現の有無により、3種類に分類される。即ち、表19に示すように、マーカーA保有グループ(表19のA)、マーカーB保有グループ(表19のB)、およびマーカーAおよびB保有グループ(表19のC)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0157】
実施例20(PYD2FwおよびPYD2Rvを用いたPYD2-HaeIIIによる品種識別)
実施例1において、PYD2FwおよびPYD2Rvをプライマーとして用いて、Hae IIIを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図20に示す。図20中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、PYD2-HaeIIIによる多型の出現パターンを表20に示す。
【0158】
【表20】
JP0004065951B2_000021t.gif

【0159】
図20から明らかなように、PYD2-HaeIIIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表20に示すように、マーカーA保有グループ(表20のA)およびマーカーを保有しないグループ(表20のX)に分類できる。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0160】
実施例21(PYD3FwおよびPYD3Rvを用いたPYD3-HgaIによる品種識別)
実施例1において、PYD3FwおよびPYD3Rvをプライマーとして用いて、Hga Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図21に示す。図21中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、PYD3-HgaIによる多型の出現パターンを表21に示す。
【0161】
【表21】
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【0162】
図21から明らかなように、PYD3-HgaIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表21に示すように、マーカーA保有グループ(表21のA)およびマーカーを保有しないグループ(表21のX)に分類できる(22、23はデータなし)。
また、本マーカー以外のDNAがほとんど検出されていないことから、マーカーが顕著に明瞭化され、多型検出が妨害されずに済み、正確な識別が可能となることが分かる。
【0163】
参考例1(F3HFwおよびF3HRvを用いたF3H-EarIによる品種識別)
実施例1において、F3HFwおよびF3HRvをプライマーとして用いて、Ear Iを制限酵素として用いた他は、実施例1と同様にして行った。
結果を図22に示す。図22中、Aの矢印はマーカーAを示す。
また、F3H-EarIによる多型の出現パターンを表22に示す。

【0164】
【表22】
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【0165】
図22から明らかなように、F3H-EarIによる多型の出現パターンは、マーカーAの出現の有無により、2種類に分類される。即ち、表22に示すように、マーカーA保有グループ(表22のA)およびマーカーを保有しないグループ(表22のX)に分類できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明におけるプライマー改良により、従来法では明確には検出できなかったイチゴ品種識別用マーカーの多型DNA断片を明確に検出することが可能となることに加え、1つのマーカーで得られる多型パターンが増加する。
また、本発明における新たなマーカーを従来法のものと併用することにより、市場流通しているほぼ全ての品種を識別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】実施例1の結果を示す写真図である。
【図2】実施例2の結果を示す写真図である。
【図3】実施例3の結果を示す写真図である。
【図4】実施例4の結果を示す写真図である。
【図5】実施例5の結果を示す写真図である。
【図6】実施例6の結果を示す写真図である。
【図7】実施例7の結果を示す写真図である。
【図8】実施例8の結果を示す写真図である。
【図9】実施例9の結果を示す写真図である。
【図10】実施例10の結果を示す写真図である。
【図11】実施例11の結果を示す写真図である。
【図12】実施例12の結果を示す写真図である。
【図13】実施例13の結果を示す写真図である。
【図14】実施例14の結果を示す写真図である。
【図15】実施例15の結果を示す写真図である。
【図16】実施例16の結果を示す写真図である。
【図17】実施例17の結果を示す写真図である。
【図18】実施例18の結果を示す写真図である。
【図19】実施例19の結果を示す写真図である。
【図20】実施例20の結果を示す写真図である。
【図21】実施例21の結果を示す写真図である。
【図22】実施例22の結果を示す写真図である。
【符号の説明】
【0168】
図1~24中、レーン1~24は、それぞれ、とよのか、女峰、とちおとめ、章姫、さちのか、アイベリー、レッドパール、濃姫、サンチーゴ、ピーストロ、アイストロ、紅ほっぺ、けいきわせ、久留米IH-1号、久留米IH-2号、久留米9323号、久留米9323号、Cesena、栃の峰、とちひめ、さがほのか、系統A-17、福岡S6号、宝交早生の各品種の結果をそれぞれ示す。
また、図1~24中、右側のA、BおよびXは、それぞれマーカーA、マーカーBおよび共通バンドXの位置を示す。
更に、図1~3中、(a)は従来法による結果を、(b)は本発明の識別方法による結果を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21