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明細書 :測量システムとその測量システムを用いた測量方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3590833号 (P3590833)
公開番号 特開平10-300467 (P1998-300467A)
登録日 平成16年9月3日(2004.9.3)
発行日 平成16年11月17日(2004.11.17)
公開日 平成10年11月13日(1998.11.13)
発明の名称または考案の名称 測量システムとその測量システムを用いた測量方法
国際特許分類 G01C 15/00      
G01C 13/00      
G01S  5/14      
FI G01C 15/00 A
G01C 13/00 E
G01S 5/14
請求項の数または発明の数 7
全頁数 13
出願番号 特願平09-117595 (P1997-117595)
出願日 平成9年4月21日(1997.4.21)
審判番号 不服 2001-001945(P2001-001945/J1)
審査請求日 平成9年4月21日(1997.4.21)
審判請求日 平成13年2月14日(2001.2.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301035976
【氏名又は名称】独立行政法人農業工学研究所
発明者または考案者 【氏名】奥島 修二
【氏名】樽屋 啓之
【氏名】藤井 秀人
参考文献・文献 特開平06-51060(JP,A)
特開平03-214012(JP,A)
特開平08-152324(JP,A)
特開昭63-75611(JP,A)
特開昭63-196808(JP,A)
特開平09-61509(JP,A)
調査した分野 G01C 15/00 ~ 15/14
G01C 13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
地上側に設置され、所定の軌道上を回る衛星から発信される信号を受信し位置を検出するとともに、設置位置と信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力する固定側位置検出手段と、制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動する無人船舶と、上記無人船舶に設けられ上記衛星からの信号を受信し位置を検出する移動側位置検出手段と、上記固定側位置検出手段と移動側位置検出手段とを無線により連絡し固定側位置検出手段で検出した位置補正データを移動側位置検出手段側に送信する位置補正情報伝達手段と、上記無人船舶に設けられ上記水域で水深を測定する測定手段と、上記移動側位置検出手段と測定手段とに電気的に接続され、上記移動側位置検出手段により上記衛星からの信号に基づいて検出した原位置データおよび上記固定側位置検出手段から上記位置補正情報伝達手段を介して上記移動側位置検出手段に転送された位置補正データが入力され、これら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データおよび測定手段により上記各所定時刻の間に所定回数測定された測定データをそれぞれ時刻に対応させて記憶する演算記憶手段とを備えたことを特徴とする測量システム。
【請求項2】
地上側に設置され、所定の軌道上を回るGPS衛星から発信される信号を受信し位置を検出するとともに、設置位置と信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力する基地局と、制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を自走する無人船舶と、この無人船舶に設けられ上記衛星からの信号を受信し位置を検出する移動局と、基地局で検出した位置補正データを移動局に無線により送信する無線伝送装置と、上記無人船舶に設けられ水深を測定する測定装置と、上記移動局と測定装置とに電気的に接続され、上記移動局により上記衛星からの信号に基づいて検出した原位置データおよび上記基地局から上記無線伝送装置を介して上記移動局に転送された位置補正データが入力され、これら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データと、測定装置により上記各所定時刻の間に所定回数測定された測定データとをそれぞれ時刻に対応させて記憶媒体に記憶するコンピュータとを備えたことを特徴とする測量システム。
【請求項3】
船は外部から遠隔操縦により走行されることを特徴とする請求項2に記載の測量システム。
【請求項4】
コンピュータには、予め決められた目標走行コースが入力されるとともに、無人船舶には、コンピュータからの制御指令信号に基づいて走行を制御する走行制御装置を設け、船の走行時、コンピュータにより上記目標走行コースと算出された船舶位置データとを比較し、船の位置が目標走行コースからずれた場合、ずれ量を算出しずれ量のデータに基づいて走行方向を補正し船を目標走行コースに復帰させ、目標走行コースに沿って無人船舶を走行させることを特徴とする請求項2に記載の測量システム。
【請求項5】
無人船舶は分解可能な無人双胴船から構成されることを特徴とする請求項3または4に記載の測量システム。
【請求項6】
基地局側と移動局側とのそれぞれに設けられ、算出された船舶位置データ、または、この船舶位置データとこの船舶位置データに対応する測定データとの両データを基地局に転送する無線伝送装置と、基地局側に設けられ、無線伝送装置を介して転送されたこれらデータが表示されるモニタ装置とを備えて構成したことを特徴とする請求項2に記載の測量システム。
【請求項7】
地上側に固定側位置検出手段を設置し、無人船舶に移動側位置検出手段と測定手段とこれら移動側位置検出手段および測定手段にそれぞれ電気的に接続される演算記憶手段とを搭載し、上記固定側位置検出手段と移動側位置検出手段とにそれぞれ、これら両位置検出手段間を無線により連絡する位置補正情報伝達手段を設け、この無人船舶を制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動させ、固定側位置検出手段により所定の軌道上を回る衛星から発信される信号を受信して位置を検出し、設置位置と上記信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力し、この位置補正データを位置補正情報伝達手段により移動側位置検出手段に転送し、この移動側位置検出手段により上記衛星からの信号を受信して無人船舶の位置を検出し、検出された原位置データおよび転送された位置補正データを演算記憶手段に入力し、演算記憶手段によりこれら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データを時刻に対応させて演算記憶手段に記憶させるとともに、測定手段により上記水域で水深を上記各所定時刻の間に所定回数測定し、測定された測定データを時刻に対応させて演算記憶手段に記憶させ、無人船舶を移動させつつ船舶位置データとこの船舶位置データに時間的に対応する測定データとをそれぞれ繰り返し記憶させて収集することを特徴とする測量システムを用いた測量方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は測量システムとその測量システムを用いた測量方法に関し、特に、海、湖沼、ため池、河川等の深浅測量を行う測量システムとその測量システムを用いた測量方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、海岸地形の堆積・侵食状況、構造物による局所洗掘、ダム推砂などの調査では、地形変化のデータの蓄積が欠かせない。従来、海底、湖底等の深浅測量は、小型船舶に音響測深機を搭載して、作業員が乗り込み、音響測深機により測深を行うと同時に、船の位置を割り出す測位をトランシットや光波測距儀により船上または陸上から行っている。音響測深機は、超音波発信器から発射された超音波ビームが水底に反射して受信器に戻るまでの往復時間から測深を行いアナログ記録紙に出力される。水深はこのアナログ記録紙から読み取るようにしている。このようにして、船の測定時の位置(測位)と水深(測深)とを、船を移動させながら繰り返し測定し、所定の測定範囲における等深線図等を図表化するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の測量システムおよびその測量システムを用いた測量方法では、多くの人手、費用、時間を要し、準備や測定作業が大掛かりになるという問題がある。また、船に乗り込んで作業するため、天候に左右されたり、危険が伴うという問題がある。また、小型船舶での測定は、測定ルートに沿って移動しながら小型船舶の位置割り出しを行うため、光学的な手法では、移動する船の位置を精密に割り出すことが困難であるという問題がある。また、レーザー追尾式の光波測距儀による測定では、構造物や地形などにより見通しがきかない範囲に船が進入した場合、船の位置を割り出すことができなくなるという問題がある。さらに、測深データはアナログによる記録であるため、解析処理作業が煩雑で結果を得るまでに時間がかかるという問題がある。また、所定の大きさを有し作業員が乗り込むことができる船舶を用意してその船舶を所定の測量場所まで運び込まなければならず、また、狭隘な場所では船舶が進入できないこともあり、測量可能な対象(場所)が限定されるという問題がある。さらに、海浜変形やダム推砂調査では、台風や洪水前後といった短期的な地形変化の調査が求められ、かつ高い精度の深浅測量が必要とされるにもかかわらず、上記構成に係る従来の測量システムおよびその測量システムを用いた測量方法では、短時間で効率よく高精度の測定ができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記問題点を除くためになされたもので、簡素な構成で高精度の測定を行うことができ、しかも、短時間で効率よくデータの収集を行うことができる測量システムとその測量システムを用いた測量方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る測量システムは、地上側に設置され、所定の軌道上を回る衛星から発信される信号を受信し位置を検出するとともに、設置位置と信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力する固定側位置検出手段と、制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動する無人船舶と、上記無人船舶に設けられ上記衛星からの信号を受信し位置を検出する移動側位置検出手段と、上記固定側位置検出手段と移動側位置検出手段とを無線により連絡し固定側位置検出手段で検出した位置補正データを移動側位置検出手段側に送信する位置補正情報伝達手段と、上記無人船舶に設けられ上記水域で水深を測定する測定手段と、上記移動側位置検出手段と測定手段とに電気的に接続され、上記移動側位置検出手段により上記衛星からの信号に基づいて検出した原位置データおよび上記固定側位置検出手段から上記位置補正情報伝達手段を介して上記移動側位置検出手段に転送された位置補正データが入力され、これら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データおよび測定手段により上記各所定時刻の間に所定回数測定された測定データをそれぞれ時刻に対応させて記憶する演算記憶手段とを備えるようにしたものである。
【0006】
本発明に係る測量システムでは、制御指令信号により無人船舶水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動させつつ、測定手段により上記水域で水深を測定する際に、演算記憶手段に、移動側位置検出手段からの原位置データおよび固定側位置検出手段から位置補正情報伝達手段を介して転送された位置補正データが入力されると、これら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、所定時刻ごとの船舶位置データが記憶される。また、測定手段により上記各所定時刻の間に所定回数測定された測定データは船舶位置データの所定時刻に対応して演算記憶手段に記憶される。このため、無人船舶の位置を正確に割り出すことができるとともに、船舶位置データとその船舶位置データに対応する測定データとを、時間的に対応させてデータ処理すると、その位置に対応した測定データを得ることができる。このため、効率よくしかも高精度のデータを収集することができる。
【0007】
また、本発明に係る測量システムを用いた測量方法は、地上側に固定側位置検出手段を設置し、無人船舶に移動側位置検出手段と測定手段とこれら移動側位置検出手段および測定手段にそれぞれ電気的に接続される演算記憶手段とを搭載し、上記固定側位置検出手段と移動側位置検出手段とにそれぞれ、これら両位置検出手段間を無線により連絡する位置補正情報伝達手段を設け、この無人船舶を制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動させ、固定側位置検出手段により所定の軌道上を回る衛星から発信される信号を受信して位置を検出し、設置位置と上記信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力し、この位置補正データを位置補正情報伝達手段により移動側位置検出手段に転送し、この移動側位置検出手段により上記衛星からの信号を受信して無人船舶の位置を検出し、検出された原位置データおよび転送された位置補正データを演算記憶手段に入力し、演算記憶手段によりこれら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データを時刻に対応させて演算記憶手段に記憶させるとともに、測定手段により上記水域で水深を上記各所定時刻の間に所定回数測定し、測定された測定データを時刻に対応させて演算記憶手段に記憶させ、無人船舶を移動させつつ船舶位置データとこの船舶位置データに時間的に対応する測定データとをそれぞれ繰り返し記憶させて収集するようにしたものである。
【0008】
本発明に係る測量システムを用いた測量方法では、制御指令信号により無人船舶水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動させつつ、測定手段により所定の被測定対象を測定する際に、演算記憶手段に、移動側位置検出手段からの原位置データおよび固定側位置検出手段から位置補正情報伝達手段を介して転送された位置補正データが入力されると、これら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、所定時刻ごとの船舶位置データが時刻に対応して記憶される。また、測定手段により上記水域で水深を上記各所定時刻の間に所定回数測定すると、測定された測定データが時刻に対応して演算記憶手段に記憶される。そして、無人船舶を移動させつつ、船舶位置データとこの船舶位置データに時間的に対応する測定データとをそれぞれ繰り返し記憶させて収集しているので、所望の測定範囲を短時間できめ細かくかつ高精度に測定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る測量システムの概要を示す説明図、図2は図1の測量システムに用いられる探査船の装備を示す説明図である。本発明に係る測量システムは、図1に示すように、湖10の水底の地形を測量するもので、地上側に設置された基地局(固定側位置検出手段)2と、湖10の水上を自走する探査船(移動体)3と、この探査船3に搭載された移動局(移動側位置検出手段)4と、基地局2と移動局4とにそれぞれ接続されこれら両局2、4を無線で連絡する無線送受信装置(位置補正情報伝達手段)5A、5Bと、探査船3に設けられ水面から水底までの距離を測る音響測深機(測定手段)6と、移動局4と音響測深機6とに電気的に接続されたノート型パーソナルコンピュータ(演算記憶手段)7とから構成される。
【0010】
基地局2は、所定の軌道上を回る複数のGPS衛星8A、8B、8C、8D、・・・から発信されるGPS信号を所定時刻t 、t ・・・t ごとに受信し位置を検出するとともに、予め定められた設置位置と上記GPS信号により検出された位置との誤差に基づいて位置補正データPm、Pm、・・・Pmをワイヤレスモデム9Aを介して無線発信装置5Aにより外部に出力するようになっている。GPSシステム(Global Positioning System )は、高度2万Km上空の6軌道に各4個、合計24個の人工衛星から発信される電波を用いてリアルタイムで地球上の3次元位置座標を求めるシステムである。汎地球測位システムとも呼ばれ、単独測位の場合、3個以上の衛星8A、8B、8C、・・・からの電波を受け、それらに含まれている信号を解析することで受信位置が求められる。この場合、得られる位置精度は数10~100m程度であり、精度が低い。このため、後述するように、固定側と移動側の2局のGPSを用いて精度の向上を図るようにしている。符号2Aは、基地局2のGPSアンテナである。
【0011】
探査船3は、図3および図4に示すように、分解可能な小型の無人双胴船から構成され、図2に示すように、バッテリ12とリモートコントロール受信機13とにそれぞれ電気的に接続された推進モータ11を備えている。推進モータ11は、リモートコントロール受信機13を介して外部の無線遠隔操縦装置14からの指令信号に応じて制御されるようになっている。すなわち、探査船3は、外部の無線遠隔操縦装置14からの指令信号に応じて前進、後進、速度および操舵が制御されるようになっている。
【0012】
移動局4は、基地局2と同時に所定の軌道上を回る複数のGPS衛星8A、8B、8C、8D、・・・から発信されるGPS信号を所定時刻t 、t ・・・t ごとに受信し位置を検出する(原位置データP ・・・P )とともに、無線受信装置5Bからワイヤレスモデム9B(図2参照)を介して基地局2から上記所定時刻t 、t ・・・t に対応した位置補正データPm、Pm、・・・Pmが転送される。すなわち、移動局4は、ある時刻t にGPS衛星8A、8B、8C、8DからのGPS信号に基づいて検出した原位置データP と、上記時刻t に基地局2で検出され基地局2から無線送受信装置5A、5Bおよびワイヤレスモデム9Bを介して転送された上記時刻t の位置補正データPmとをパーソナルコンピュータ7に入力するようになっている。符号4Aは、移動局4のGPSアンテナである。探査船3の位置割り出し(測位)には、これら基地局2と移動局4とのGPSを用いて精度の向上を図るようにしている。すなわち、GPS信号による位置割り出しだけでは、GPS信号の精度が低いため、誤差が生じるので、基地局2の設置位置を確定した後、この設置位置と基地局2でGPS信号により検出した位置との差を位置補正データとして移動局4側に転送し、移動局4でGPS信号により検出した移動局4の位置を転送された位置補正データにより補正することにより、移動局4の正確な位置を割り出すようにしている。このような固定側と移動側とのGPSを用いて移動側の位置を割り出すシステムを以下DGPS(Differential Global Positioning System)と称す。
【0013】
音響測深機6は、超音波発信器と超音波受信器とこの超音波発信器から発射された超音波ビームが水底に反射して超音波受信器に戻るまでの往復時間を計測する計測器とからなっており、この計測器のデータに基づいて水面から水底までの距離を測るようになっている。音響測深機6は所定の測定時刻T 、T 、・・・T ごとに測定された測定データD 、D 、・・・D を測定時刻T 、T 、・・・T のデータとともにパーソナルコンピュータ7に入力するようになっている。
【0014】
パーソナルコンピュータ7は、移動局4によりGPS衛星8A、8B、8C、8D、・・・からのGPS信号に基づいて検出した所定時刻t の原位置データP と、基地局2から無線送受信装置5A、5Bを介して移動局4に転送された所定時刻t の位置補正データPmとが入力されると、これら所定時刻t における原位置データP と位置補正データPmとに基づいて、所定時刻t における探査船3の位置を算出し、算出された所定時刻t における船舶位置データ(移動体位置データ)Pxを所定時刻t のデータとともにフロッピーディスクまたはハードディスク等の記憶媒体に記憶するようになっている。そして、パーソナルコンピュータ7の記憶媒体には、所定の時刻t 、t 、・・・t ごとにそれぞれ順次検出される原位置データP 、P 、・・・P と位置補正データPm、Pm、・・・Pmとに基づいて、各所定時刻t 、t 、・・・t における探査船3の位置を算出した船舶位置データPx、Px、・・・Pxが所定時刻t 、t 、・・・t とともに連続的に記憶されるようになっている。所定の時刻t 、t 、・・・t は、本実施例では、基地局2と移動局4との時計を同一時刻に合わせた後、所定の時間間隔(例えば1秒経過後)ごとに時刻データt 、t 、・・・t を得るようになっている。
【0015】
また、パーソナルコンピュータ7には、音響測深機6により所定の測定時刻T 、T 、・・・T ごとに測定された測定データD 、D 、・・・D を測定時刻T 、T 、・・・T のデータとともに入力するようになっている。測定時刻T 、T 、・・・T は、所定の時間間隔(例えば1秒間に3回または4回)ごとに測定時刻データT 、T 、・・・T を得るようになっている。パーソナルコンピュータ7の記憶媒体には、所定時刻t 、t 、・・・t と、各所定時刻t 、t 、・・・t ごとの船舶位置データPx、Px、・・・Pxと、測定時刻T 、T 、・・・T と、測定時刻T 、T 、・・・T ごとの測定データD 、D 、・・・D とが連続的に記憶される。
【0016】
次に、本発明に係る測量システムを用いた測量方法について、上記測量システムの作用に基づいて説明する。まず、分解されて測量場所の近くに運ばれてきた探査船3を組み立て、この探査船3に移動局4、無線受信装置5B、音響測深機6、パーソナルコンピュータ7をそれぞれ積み込む。このとき、測量場所に運び込む前に、予め探査船3を組み立て、組み立てられた探査船3に各装置4、5B、6、7をセットし、その後、測量場所に運び込むようにしてもよい。また、基地局2を、測定すべき湖10近傍の地上側に設置する。基地局2は予め設置位置が定められた場所に設置してもよいし、設置した後、正確な設置位置を割り出すようにしてもよい。次に、各装置4、5B、6、7が搭載された探査船3を、測量すべき湖10に浮かべる。そして、無線遠隔操縦装置14により探査船3を所定の測深範囲M(図5参照)内に導き、湖10上の測深範囲M内の予定したルート(図6の探査船3の走行軌跡R参照)に沿って走行を開始させる。
【0017】
探査船3が走行を始めると、基地局2では、予め定められた設置位置とGPS信号により検出された位置との誤差に基づいて求められた位置補正データPmを、予め決められた所定時刻t ごとにワイヤレスモデム9Aを介して無線発信装置5Aにより出力する。また、移動局4では、予め決められた所定時刻t ごとにGPS信号により原位置データP を検出し、検出された原位置データP と、無線装置5A、5Bを介して転送された位置補正データPmとをそれぞれパーソナルコンピュータ7に入力する。パーソナルコンピュータ7は、入力された原位置データP と位置補正データPmとに基づいて、所定時刻t ごとの船舶位置データPxを算出しこれら船舶位置データPxとその所定時刻t を記憶媒体に連続的に記憶する。ところで、探査船3が走行を始めると、探査船3の位置が時刻とともに記録される一方、音響測深機6により水面から水底までの距離を計測し、測定された測定データD とその測定時刻T が、パーソナルコンピュータ7に所定の時間間隔ごとに連続的に入力される。
【0018】
パーソナルコンピュータ7の記憶媒体には、所定時刻t 、t 、・・・t と、各所定時刻t 、t 、・・・t ごとの船舶位置データPx、Px、・・・Pxと、測定時刻T 、T 、・・・T と、測定時刻T 、T 、・・・T ごとの測定データD 、D 、・・・D とが連続的に記憶される。このため、データ処理により、各所定時刻t 、t 、・・・t と測定時刻T 、T 、・・・T とを経時的に対応させると、船舶位置データPx、Px、・・・Pxに対応した測定データD 、D 、・・・D を得ることができるようになっている。
【0019】
このようにして、探査船3を無線遠隔操縦装置14により測深範囲M内のほぼ全域を網羅するルートRに沿って走行させつつ、走行中に、パーソナルコンピュータ7により、各データの収録を経時的に自動化し、探査船3の走行軌跡Rに対応した測定データD ~D を得ることができるので、探査船3が測深範囲Mのほぼ全域を走行し終ると、パーソナルコンピュータ7の記憶媒体から収集したデータを処理することにより、図7に示すような等深線図や図8に示すような鳥瞰図のコンピュータグラフィックスの表示を容易にかつ短時間で作成することができる。このように、本発明に係る測量システムでは、探査船3の測定時の位置を正確に割り出すことができ、その位置に対応した測定データを得ることができる。このため、効率よくしかも高精度のデータを収集することができる。また、本発明に係る測量システムを用いた測量方法では、所望の測定範囲Mを短時間できめ細かくかつ高精度に測定することができる。
【0020】
【実施例】
次に、上記構成に係る測量システムを用いた測量方法を使用して実際に新潟県のSダム(図5参照)で深浅測量を行った実施例の実験結果を示す。
(A)実験機材
(1)基地局2および移動局4:DGPSとして、基地局2にトリンブル社製の4000DS受信機、移動局4に同社製の4000RS受信機を用いた。基地局2から移動局4への位置補正データの転送には、特定小電力無線モデム5A、5Bを用いた。転送速度は4800BPSである。データ通信距離を延ばすため、受信側無線モデム5Bにはプリアンプを付加し、見通し距離2Kmまでの間でデータの転送が行える。
(2)音響測深機6:デジタル出力を有する精密音響測深機(カイジョー社製PS-20R型)を用いた。超音波の周波数は、200KHzを使用した。測深精度は、底質状況にもよるが±(3+深度/1000)cmである。例えば、深度20mの場合±5cm,深度40mの場合±7cmの精度を有する。測深範囲はデジタル計測時に1m~200mである。
(3)データのノート型パーソナルコンピュータ7への取り込み:移動局4による船舶位置データPxと船舶位置データPxに対応する測定データD は、2組のRC-232C回線を介して1台のノート型パソコン7に取り込まれ、フロッピーまたはハードディスクに保存される。測位データPxは1回/秒、測深データD は3~4回/秒の割で出力される。これらは時間タグt 、T とともに保存される。測位データPxは、GPSよりWGS84座標値として出力されるが、日本の平面直角座標系に変換しテキスト形式でファイルに保存される。測深データD も同様に測深値をテキスト形式でファイルに保存される。このため、時間タグt 、T を指標に測位データPxと測深データD とを結合することで、水底の座標(x,y,z)が連続的に求められる。
(4)自走可能な専用無人探査船3の製作:図3および図4に示すように、上記計測機材4、5B、6、7を搭載し、無線による遠隔操縦可能な自走型の探査船を開発した。探査船3の主要寸法は、全長2850mm、最大幅1540mm、排水量(最大荷重)280Kgである。図2には、探査船3に搭載される装備を示す。探査船3は耐波性、安定性を高めるため、双胴船タイプとした。ワンボックスタイプの車に積載可能な範囲で大型化した。軽量化を図るため、ガラス強化プラスチック(GFRP)製とした。探査船3の前進・後進・方向転換は、陸上より無線操縦により電動船外機(推進モータ11)のスクリューの正逆回転、回転数、推進方向を制御して行うようにした。双胴船3の上部に、計測機材、電源部およびアンテナ等を搭載し、測深用の送受波器は船内部に格納する。探査船3は持ち運びが容易に行えるように、分解可能となっている。
【0021】
(B)実験手順
(1)実際に新潟県のSダム(図5参照)で深浅測量を行った。上記(1)~(4)に記載した機材をワンボックスタイプの車に搭載して運搬した後、現地で探査船3の組立を行い、DGPSの基地局2をダムサイトに設置した。ダムサイトから概ね400×400mの範囲で深浅測量を行った。図6はDGPSシステムから得られる1秒毎の探査船3の走行軌跡Rを示したものであり、測深データD を有する測量コースを示している。
【0022】
(C)実験結果
(1)探査船3が走行軌跡Rの始点から終点までの間で測定に要した時間は5時間で、探査船3の走行距離は13000mであった。走行後、測深データ等の異常値を取り除き、これらをもとに図7に示す等深線図と図8に示す鳥瞰図を作成した。
(2)得られた湖底地形は、既知の余水吐エプロンの形状やエプロン上の水深と比較して十分な精度を有すると判断できた。また、ダム施工時に残された旧堤体の形状も計測できた。
【0023】
(D)結論
地形の起伏など詳細な地形変化を得るためには、より多くの水底座標が必要であるが、本発明では、連続して水底の座標が得られるため、精密な深浅測量が可能である。走行開始時から測位データPxおよび測深データD は連続的に時間タグt 、T とともにノート型パソコンに保存されるので、探査船3を回収後、鳥瞰図などの解析作業を容易に行うことができる。また、測量結果の検討が短時間で行えるため、再調査、詳細調査を引き続き行うことができる。更に、既存(前回)の地形データと比較することにより、侵食、堆積量、局所洗掘状況、貯水量などの定量的な評価が行える。
【0024】
なお、音響測深機6には、探査船3の傾きに関係なく真下に向ける鉛直制御装置を取り付け、精度の向上を図るようにしてもよい。また、測量時の水面の高さは、ダム等であれば測量の日の水位がわかっているので、得られた水深を測量時の水位により補正すれば正確な水底の標高が得られる。さらに、上記構成では、測量対象を湖沼としているがこれに限られるものではなく、波が小さく水面が静穏であれば、海(内海、湾内)を測量対象とすることもできる。その場合、時間の経過に応じた潮位変動のデータをパーソナルコンピュータ7に入力して測量データを補正すればよい。さらに、上述の基地局2と移動局4とにより移動局2の水平方向の位置Pxを割り出すDGPSシステムでは、水平方向の精度を向上させるようにしているが、これに限られるものではなく、基地局2と移動局4のGPS信号の検出精度を向上させることにより、水平方向だけでなく高さ方向の位置を割り出すようにすることもできる。その場合、水位の補正を後処理する必要がなく、測量作業がより効率化される。
【0025】
また、上記構成では、測位データPxおよび測深データD は探査船3側のパーソナルコンピュータ7に取り込まれているが、これらデータPx、D をワイヤレスモデムにより基地局2に送り、モニタ装置に表示してモニタリングを行うようにしてもよい。その場合、探査船3の軌跡Rを見ながら探査船3の操縦を行うことができ、無駄な走行がなく、より精度の高い測量を行うことができる。
【0026】
さらに、上記実施例では、探査船3を外部の無線遠隔操縦装置14からの指令信号により制御するようにしているが、これに限られるものではなく、探査船3にコンピュータ7からの制御指令信号に基づいて走行を制御する走行制御装置を設け、自動走行させるようにしてもよい。この場合、コンピュータ7には、予め測定範囲M内の目標走行コースRのデータが入力される。そして、コンピュータ7は、探査船3の走行時、算出された船舶位置データPxと目標走行コースRとを比較し、探査船3の位置が目標走行コースRからずれていると判定した場合、ずれ位置を算出し、ずれ位置のデータに基づいて走行方向を補正し、探査船3を目標走行コースRに復帰させ、ほぼ目標走行コースRに沿って探査船3を走行させるようになっている。このため、探査船3は作業員が遠隔操縦しなくても、測定範囲M内を勝手に走り回って自動的に測定データを収集できるので、作業員を減らすことができる。
【0027】
また、上記実施例では、推進モータを12Vバッテリに接続した電気モータから構成しているが、これに限られるものではなく、ガソリンエンジンの駆動による推進モータとしてもよい。さらに、上記実施例では、水底の地形の計測を行うようにしているがこれに限られるものではなく、地質や水温など他の測定対象にも適用可能であることは言うまでもない。すなわち、探査船3には、音響測深機6だけでなく、底質探査用の測定装置26(図1参照)を搭載してもよい。音響測深機6は200KHzの周波数の超音波を用いているが、底質探査測定装置26は、2~12KHzの周波数と大出力の超音波を使用し、水底より深いところの地質を調査するようにしている。また、超音波の代わりに電磁波等を使うこともでき、電気探査を行ったり地下レーダによる測定も可能である。また、水温センサや塩分濃度センサを探査船3の鉛直方向に複数個取り付け、3次元的な分布を得ることも可能である。さらに、上記実施例では、船舶位置データPxを検出する所定時刻t を1秒刻みの時間間隔とし、音響測深機6による測定時刻T の時間間隔を3または4回/秒としているがこれに限られるものではなく、求められる精度に応じてそれぞれ適宜設定することができることはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の測量システムによれば、地上側に設置され、所定の軌道上を回る衛星から発信される信号を受信し位置を検出するとともに、設置位置と信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力する固定側位置検出手段と、制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動する無人船舶と、上記無人船舶に設けられ上記衛星からの信号を受信し位置を検出する移動側位置検出手段と、上記固定側位置検出手段と移動側位置検出手段とを無線により連絡し固定側位置検出手段で検出した位置補正データを移動側位置検出手段側に送信する位置補正情報伝達手段と、上記無人船舶に設けられ上記水域で水深を測定する測定手段と、上記移動側位置検出手段と測定手段とに電気的に接続され、上記移動側位置検出手段により上記衛星からの信号に基づいて検出した原位置データおよび上記固定側位置検出手段から上記位置補正情報伝達手段を介して上記移動側位置検出手段に転送された位置補正データが入力され、これら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データおよび測定手段により上記各所定時刻の間に所定回数測定された測定データをそれぞれ時刻に対応させて記憶する演算記憶手段とを備えるようにしたので、無人船舶の測定時の位置を正確に割り出すことができるとともに、その位置に対応した測定データを得ることができる。このため、効率よくしかも高精度のデータを収集することができる効果がある。
【0029】
また、本発明の測量システムを用いた測量方法によれば、地上側に固定側位置検出手段を設置し、無人船舶に移動側位置検出手段と測定手段とこれら移動側位置検出手段および測定手段にそれぞれ電気的に接続される演算記憶手段とを搭載し、上記固定側位置検出手段と移動側位置検出手段とにそれぞれ、これら両位置検出手段間を無線により連絡する位置補正情報伝達手段を設け、この無人船舶を制御指令信号に基づいて水域の静穏な水面上で所定の測定範囲を移動させ、固定側位置検出手段により所定の軌道上を回る衛星から発信される信号を受信して位置を検出し、設置位置と上記信号から検出された位置との誤差に基づいて位置補正データを出力し、この位置補正データを位置補正情報伝達手段により移動側位置検出手段に転送し、この移動側位置検出手段により上記衛星からの信号を受信して無人船舶の位置を検出し、検出された原位置データおよび転送された位置補正データを演算記憶手段に入力し、演算記憶手段によりこれら原位置データおよび位置補正データに基づいて所定時刻ごとに無人船舶の位置を算出し、算出された所定時刻ごとの船舶位置データを時刻に対応させて演算記憶手段に記憶させるとともに、測定手段により上記水域で水深を上記各所定時刻の間に所定回数測定し、測定された測定データを時刻に対応させて演算記憶手段に記憶させ、無人船舶を移動させつつ船舶位置データとこの船舶位置データに時間的に対応する測定データとをそれぞれ繰り返し記憶させて収集するようにしたので、無人船舶を移動させつつ、船舶位置データとこれら船舶位置データにそれぞれ時間的に対応する測定データとをそれぞれ繰り返し記憶させて収集しているので、所望の測定範囲を短時間できめ細かくかつ高精度に測定することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る測量システムの構成を示す説明図である。
【図2】図1の測量システムに用いられる探査船の装備を示す説明図である。
【図3】図1の探査船の平面図である。
【図4】図1の探査船の正面図である。
【図5】図1の測量システムを用いて実験を行った測量場所の地図である。
【図6】探査船の走行軌跡を示す説明図である。
【図7】図1の測量システムを用いて行った実験の測量結果をデータ処理して作成した等深線図である。
【図8】図1の測量システムを用いて行った実験の測量結果をデータ処理して作成した鳥瞰図である。
【符号の説明】
2 基地局(固定側位置検出手段)
3 探査船(移動体)
4 移動局(移動側位置検出手段)
5A 無線送信装置(位置補正情報伝達手段)
5B 無線受信装置(位置補正情報伝達手段)
6 音響測深機(測定手段)
7 パーソナルコンピュータ(演算記憶手段)
8A~8D GPS衛星(衛星)
M 測定範囲
~D 測定データ
~P 原位置データ
Pm~Pm 位置補正データ
Px~Px 船舶位置データ(移動体位置データ)
~t 所定時刻
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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