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明細書 :インデン誘導体の製造方法。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4695843号 (P4695843)
公開番号 特開2005-247717 (P2005-247717A)
登録日 平成23年3月4日(2011.3.4)
発行日 平成23年6月8日(2011.6.8)
公開日 平成17年9月15日(2005.9.15)
発明の名称または考案の名称 インデン誘導体の製造方法。
国際特許分類 C07C   2/86        (2006.01)
C07C  13/465       (2006.01)
FI C07C 2/86
C07C 13/465
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願2004-057577 (P2004-057577)
出願日 平成16年3月2日(2004.3.2)
審査請求日 平成18年10月2日(2006.10.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
【氏名】席 振峰
【氏名】孔 凡志
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100093676、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 純子
【識別番号】100112726、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 薫
審査官 【審査官】大熊 幸治
参考文献・文献 特開2001-233805(JP,A)
特開2003-261466(JP,A)
調査した分野 C07C 2/86
C07C 13/465
CAplus(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で示されるインデン誘導体の製造方法であって、
【化1】
JP0004695843B2_000013t.gif
[式中、R1、R2、R3、R4、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又はC1~C20炭化水素基である。]
下記式(2)で示される有機金属化合物に還元剤を反応させ、第1の反応混合物を得る工程と、
【化2】
JP0004695843B2_000014t.gif
[式中、A1及びA2は、上記と同義である。
Mは、チタンを示し、
Lは、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、n-ブチルシクロペンタジエニル基、t-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、ジエチルシクロペンタジエニル基、ジイソプロピルシクロペンタジエニル基、ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、2-メチルインデニル基、2-メチル-4-フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基からなる群から選ばれる非局在化環状η5-配位系配位子を示す。
1及びX2は、ハロゲン原子である。]
得られた第1の反応混合物に、下記式(3a)で示されるアセチレン誘導体、及び
【化3】
JP0004695843B2_000015t.gif
[式中、R1及びR2は、上記と同義である。]
下記式(3b)で示されるアセチレン誘導体
【化4】
JP0004695843B2_000016t.gif
[式中、R3及びR4は、上記と同義である。]
を反応させ、第2の反応混合物を得る工程と、
得られた第2の反応混合物に酸化剤を反応させる工程とを含むことを特徴とするインデン誘導体の製造方法。
【請求項2】
1、R2、R3及びR4が、C1~C20炭化水素基である、請求項に記載のインデン誘導体の製造方法。
【請求項3】
1及びA2が、水素原子である、請求項1又は2に記載のインデン誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記酸化剤が空気である、請求項1~のいずれかに記載のインデン誘導体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、インデン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インデン誘導体は、触媒の配位子の合成や医薬・農薬合成の中間体として有用であり、選択的に置換基を導入することにより、その機能、物性を制御することができる。このため、所望の置換基を導入したインデン誘導体の製造法が所望されていた。
【0003】
従来、置換基を有するインデン誘導体の製造方法として、少なくともひとつの置換シクロペンタジエニル基を配位子として持つメタロセンとアセチレン誘導体を反応させて得られるメタラシクロペンタジエン誘導体に、金属化合物を反応させる手法が知られていた(特許文献1:特開2001-233805号公報)。この方法によれば、アセチレン誘導体の有する置換基がインデン誘導体の6員環部分に導入され、配位子である置換シクロペンタジエニル基の有する置換基がインデン誘導体の5員環部分に導入されることになる。当該方法で、収率を上げるためには、両端に同一の置換基を有する対称なアセチレン誘導体と対称な置換シクロペンタジエニル配位子を用いる必要があり、この結果、得られるインデン誘導体は置換基を対称に有するものに限られてしまい、5員環部分と6員環部分にそれぞれ非対称に置換基を導入したインデン誘導体を選択的に得ることができなかった。

【特許文献1】特開2001-233805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、所望の非対称な置換基を選択的に導入できるインデン誘導体の製造方法が所望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明では、下記式(1)で示されるインデン誘導体の製造方法であって、
【化5】
JP0004695843B2_000002t.gif
[式中、R1、R2、R3、R4、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;又は置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基であり、ただし、R1及びR2、R2及びR3、並びに、R3及びR4は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。]
下記式(2)で示される有機金属化合物に還元剤を反応させ、第1の反応混合物を得る工程と、
【化6】
JP0004695843B2_000003t.gif
[式中、A1及びA2は、上記と同義である。Mは、遷移金属を示し、Lは、アニオン性配位子を示す。X1及びX2は、脱離基である。]
得られた第1の反応混合物に、下記式(3a)で示されるアセチレン誘導体、及び
【化7】
JP0004695843B2_000004t.gif
[式中、R1及びR2は、上記と同義である。]
下記式(3b)で示されるアセチレン誘導体
【化8】
JP0004695843B2_000005t.gif
[式中、R3及びR4は、上記と同義である。]
を反応させ、第2の反応混合物を得る工程と、得られた第2の反応混合物に酸化剤を反応させる工程とを含むことを特徴とするインデン誘導体の製造方法が提供される。
【0006】
本発明において、Mが、周期表第4族から第6族の遷移金属であることが好ましく、Mが、チタンであることがより好ましい。
【0007】
本発明において、前記アニオン性配位子が、非局在化環状η5-配位系配位子であって、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基であることが好ましい。
【0008】
また、本発明において、R1、R2、R3及びR4が、C1~C20炭化水素基であることが好ましい。
【0009】
また、本発明において、A1及びA2が、水素原子であることが好ましい。
【0010】
また、本発明において、前記酸化剤が空気であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法により、所望の非対称な置換基が導入されたインデン誘導体を選択的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明では、下記式(2)で示される有機金属化合物に還元剤を反応させ、第1の反応混合物を得る工程と、得られた第1の反応混合物に、下記式(3a)で示されるアセチレン誘導体、及び、下記式(3b)で示されるアセチレン誘導体を反応させ、第2の反応混合物を得る工程と、得られた第2の反応混合物に酸化剤を反応させる工程とを含むことを特徴とする下記式(1)で示されるインデン誘導体の製造方法が提供される。
【0013】
【化9】
JP0004695843B2_000006t.gif
[式中、R1、R2、R3、R4、A1、A2、L、X1、X2及びMは、上記の意味を有する。]
【0014】
上記式(1)中、R1、R2、R3、R4、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;又は置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基である。
【0015】
本明細書において、「C1~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1~C20炭化水素基」には、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C4~C20アルキルジエニル基、C6~C18アリール基、C7~C20アルキルアリール基、C7~C20アリールアルキル基、C4~C20シクロアルキル基、C4~C20シクロアルケニル基、(C3~C10シクロアルキル)C1~C10アルキル基などが含まれる。
【0016】
本明細書において、「C1~C20アルキル基」は、C1~C10アルキル基であることが好ましく、C1~C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0017】
本明細書において、「C2~C20アルケニル基」は、C2~C10アルケニル基であることが好ましく、C2~C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
【0018】
本明細書において、「C2~C20アルキニル基」は、C2~C10アルキニル基であることが好ましく、C2~C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「C4~C20アルキルジエニル基」は、C4~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4~C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「C6~C18アリール基」は、C6~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C7~C20アルキルアリール基」は、C7~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「C7~C20アリールアルキル基」は、C7~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「C4~C20シクロアルキル基」は、C4~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「C4~C20シクロアルケニル基」は、C4~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C1~C20アルコキシ基」は、C1~C10アルコキシ基であることが好ましく、C1~C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0026】
本明細書において、「C6~C20アリールオキシ基」は、C6~C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「C1~C20アルコキシカルボニル基」は、C1~C10アルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「C6~C20アリールオキシカルボニル基」は、C6~C12アリールオキシカルボニル基であることが好ましい。アリールオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニル等を挙げることができる。
【0029】
1、R2、R3、R4、A1及びA2で示される「C1~C20炭化水素基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「C1~C20アルコキシカルボニル基」、「C6~C20アリールオキシカルボニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0031】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0032】
本発明において、R1及びR2、R2及びR3、並びに、R3及びR4は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これらの置換基が形成する環は、4員環~16員環であることが好ましく、4員環~12員環であることが更に好ましい。この環は、ベンゼン環等の芳香族環あってもよいし、脂肪族環であってもよい。また、これらの置換基が形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていてもよい。
【0033】
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式—N(B)—で示される基(式中、Bは水素原子またはC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0034】
Bは,水素原子またはC1~C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1~C7炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1~C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
【0035】
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0036】
本発明において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、C1~C20炭化水素基であることが好ましく、C1~C20アルキル基、又はC6~C18アリール基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、又はフェニル基であることが更に好ましい。
【0037】
本発明において、A1およびA2は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子、又はC1~C20炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0038】
本発明にかかるインデン誘導体の製造方法では、下記式(2)で示されるメタラシクロペンタジエンが用いられる。
【0039】
【化10】
JP0004695843B2_000007t.gif
[式中、A1及びA2は、上記と同義である。]
【0040】
上記式(2)中、Mは、遷移金属を示す。Mとしては、周期表第4族~第6族の遷移金属であることが好ましく、周期表第4族の金属、即ち、チタン、ジルコニウム及びハフニウムであることがより好ましく、チタンであることが特に好ましい。
【0041】
上記式(2)中、Lは、アニオン性配位子を示す。
前記アニオン性配位子は、非局在化環状η5-配位系配位子、C1~C20アルコキシ基、C6~C20アリールオキシ基又はジアルキルアミド基であることが好ましく、非局在化環状η5-配位系配位子であることが更に好ましい。非局在化環状η5-配位系配位子としては、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基を挙げることができ、無置換のシクロペンタジエニル基、及び置換されたシクロペンタジエニル基であることが好ましい。
【0042】
この置換シクロペンタジエニル基は、例えば、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n-ブチルシクロペンタジエニル、t-ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、ジエチルシクロペンタジエニル、ジイソプロピルシクロペンタジエニル、ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル基、2-メチルインデニル基、2-メチル-4-フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基である。
【0043】
非局在化環状η5-配位系配位子は、非局在化環状π系の1個以上の原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。水素の他に、周期表第14族の元素及び/又は周期表第15、16及び17族の元素のような1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0044】
非局在化環状η5-配位系配位子、例えば、シクロペンタジエニル基は、中心金属と、環状であってもよい、一つの又は複数の架橋配位子により架橋されていてもよい。架橋配位子としては、例えば、CH2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、(CH32Ge、(CH32Sn、(C652Si、(C65)(CH3)Si、(C652Ge、(C652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32、o-C64又は2、2'-(C642が挙げられる。
【0045】
上記式(2)中、X1及びX2は、脱離基である。
脱離基としては、ハロゲン原子、C1~C20アルキル基、C1~C20アルコキシ基、又はC6~C20アリールオキシ基を挙げることができる。
本発明において、X1及びX2は、ハロゲン原子、又はC1~C6アルキル基であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
【0046】
上記式(2)としては、例えば、
ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;又は
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン
を挙げることができる。
【0047】
本発明では、まず、上記式(2)で示される有機金属化合物に還元剤を反応させ、第1の反応混合物を得る(第1工程)。
還元剤としては、リチウム試薬;グリニャール試薬;アルカリ金属アルコキシド;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属等が挙げられる。
リチウム試薬としては、n-BuLi等のアルキルリチウム、フェニルリチウム等のアリールリチウムが用いられる。
【0048】
本発明の第1工程において、還元剤の量は、上記式(2)で示される有機金属化合物1モルに対し、0.1モル~100モルであり、好ましくは1モル~5モルであり、更に好ましくは2モル~4モルであり、特に好ましくは2モル~3モルである。
【0049】
本発明の第1工程において、典型的には、上記式(2)で示される有機金属化合物の溶液に、還元剤を添加し、攪拌する。
【0050】
本発明の第1工程において、反応は、好ましくは-100℃~100℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは-80℃~0℃の温度範囲、更に好ましくは-80℃~-70℃の温度範囲で行われる。
本発明の第1工程において、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0051】
本発明の第1工程において、溶媒としては、上記式(2)で示される有機金属化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0052】
本発明にかかるインデン誘導体の製造方法において、第1工程で得られた第1の反応混合物に、下記式(3a)及び下記式(3b)で示されるアセチレン誘導体を反応させ、第2の反応混合物を得る(第2工程)。
【化11】
JP0004695843B2_000008t.gif
[式中、R1及びR2は、上記と同義である。]
【化12】
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[式中、R3及びR4は、上記と同義である。]
【0053】
本発明の第2工程において、上記式(3a)及び上記式(3b)で示されるアセチレン誘導体の量は、それぞれ、上記式(2)で示される有機金属化合物1モルに対し、0.1モル~100モルであり、好ましくは0.5モル~3モルであり、更に好ましくは0.8モル~1.5モルであり、特に好ましくは約1モルである。
【0054】
本発明の第2工程において、典型的には、第1の反応混合物の溶液に、上記式(3a)及び上記式(3b)で示されるアセチレン誘導体を添加し、攪拌する。第1の反応混合物は単離されたものを用いる必要はなく、第1工程で調製されたものをそのまま用いても良い。
【0055】
本発明の第2工程において、反応は、好ましくは-100℃~100℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは-50℃~10℃の温度範囲、更に好ましくは-20℃~0℃の温度範囲で行われる。
本発明の第2工程において、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0056】
本発明の第2工程において、溶媒としては、上記式(2)で示される有機金属化合物及び第2の反応混合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0057】
本発明にかかるインデン誘導体の製造方法において、第2工程で得られた第2の反応混合物に酸化剤を反応させ、上記式(1)で示されるインデン誘導体を得る(第3工程)。酸化剤としては、一般的な酸化剤でよいが、好ましくは空気である。
本発明の第3工程において、典型的には、第2の反応混合物を分離することなく、そのまま空気と接触させる。たとえば、第2の反応混合物は典型的には溶液中に溶存しているが、この雰囲気中に空気を導入してもよい。あるいは、第2の反応混合物が溶存している溶液中に、空気を導入して、バブリングさせてもよい。
【0058】
本発明の第3工程において、好ましくは30℃~100℃の温度範囲、特に好ましくは約50℃に昇温し、次いで、酸化剤との反応を、好ましくは0℃~100℃の温度範囲、特に好ましくは10℃~40℃の温度範囲、更に好ましくは15℃~35℃の温度範囲で行う。
本発明の第3工程において、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0059】
本発明の第3工程において、溶媒としては、上記式(2)で示される有機金属化合物及び第2の反応混合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0060】
本発明において、第1工程において、上記式(2)で示される有機金属化合物に還元剤を反応させ、得られた第1の反応混合物に、上記式(3a)及び上記式(3b)で示されるアセチレン誘導体を反応させることにより、下記式で示されるメタラシクロペンタジエンが得られる。
【化13】
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[式中、R1、R2、R3、R4、A1、A2、M及びLは、上記と同義である。]
このチタナシクロペンタジエンに酸化剤を反応させることで、シクロヘキサジエンがベンゼン環に芳香化され、それによって置換基R1が5員環に移動することにより、上記式(1)で示されるインデン誘導体が得られると考えられる。
もっとも、この反応機構は仮説に過ぎず、本発明はこの反応機構に限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0062】
全ての反応は特に記載の無い限り、窒素雰囲気下、無水溶媒を用いて行った。
THF、エーテルはナトリウム/ベンゾフェノン系を用いて脱水したものを使用した。
試薬は特に記載のない限り、市販品を精製せずにそのまま用いた。
【0063】
NMRは以下の機種を用いた。
NMR - JEOL JNM-AL300、Bruker ARX-400
NMRデータは、以下の表記方法に従い記載した。
1H NMR (400 MHz および 300MHz):
各試料の化学シフトはテトラメチルシランを内部標準としたときのδ値 (ppm) で示した。スピン結合定数はJ値 (Hz) で示した。カップリングパターンは singlet (s), doublet (d), triplet (t), quartet (q), multiplet (m), broad (br)と略した。また、NMR収率はメシチレンを内部標準として決定した。
13C NMR (100 MHzおよび 75 MHz):
各試料の化学シフト値は、クロロホルム(77.00 ppm)を内部標準とした時のδ値(ppm)で示した。
【0064】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、Merck silica gel 60 (230-400 mesh ASTM)、関東化学シリカゲル60 N(球状, 中性, 40-100 μm)もしくは関東化学シリカゲル60(40-63 μm)を充填剤として使用した。また、分析用薄層クロマトグラフィーにはKiesel gel 60 PF254 を使用した。
【0065】
実施例1
1,5,6,7-テトラエチルインデンの調製
【化14】
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【0066】
チタノセンジクロリド(598.0 mg, 2.4 mmol)のTHF溶液(5 ml)にn-BuLi(3.1 ml, 1.59 Mヘキサン溶液, 4.8 mmol)を-78 ℃にて滴下して加え、1時間攪拌した。この後、3-ヘキシン (460 μl)を加え、-10 ℃にて3時間反応させ、チタナシクロペンタジエンを合成した。この反応溶液を50℃に昇温し12時間攪拌させ、さらに室温にて空気中で24時間攪拌した。3規定塩酸で反応を処理し有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗い、Na2SO4で乾燥させた。綿栓ろ過、溶媒除去後、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行ったところ、表題化合物 (126.9 mg, 28%)が得られた。無色液体。
【0067】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ 0.84 (t, J = 7.5 Hz, 3 H), 1.14-1.29 (m, 9 H), 1.56 (m, 1 H), 2.18 (m, 1 H), 2.65-2.86 (m, 6 H), 3.53 (m, 1 H), 6.44 (d, J = 5.4 Hz, 1 H), 6.71 (d, J = 5.4 Hz, 1 H), 7.06 (s, 1 H); 13C NMR (CDCl3, CHCl3) δ 11.06, 15.47, 15.74, 15.97, 21.11, 22.87, 23.83, 25.85, 51.36, 119.14, 130.88, 136.61, 137.58, 138.47, 140.78, 142.69, 142.75. LRMS (EI) m/z 228 (M+), 213, 199, 171, 143. HRMS (EI) 計算値 C17H24 228.1878 実測値 228.1868.
【0068】
参考例1
2-ブロモ-3,4,5,6-テトラエチル-インデン-1-オール
【化15】
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実施例1で得られた1,5,6,7-テトラエチルインデン(0.23 mmol, 53.3 mg)のエーテル溶液(5 ml)にBr2 (0.31 mmol , 16 μl)を0 ℃にて滴下して加え、5時間攪拌した。反応溶液を3規定塩酸水溶液にて処理した後、ヘキサンにて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗い、Na2SO4で乾燥させた。綿栓ろ過、溶媒除去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を行い、さらにヘキサンで再結晶を行ったところ無色の結晶が得られた (52.3 mg, 単離収率68%)。このものについてX線結晶構造分析を行った。結果を図1に示す。
【0069】
無色固体。1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ 1.08-1.28 (m, 12 H), 1.64 (m, 1 H), 1.91 (m, 1 H), 2.11 (bs, 1 H), 2.60-2.74 (m, 6 H), 3.39 (m, 1 H), 4.32 (s, 1 H), 5.22 (s, 1 H), 7.15 (s, 1 H); 13C NMR (CDCl3, CHCl3) δ 12.55, 15.30, 15.48, 15.60, 21.42, 22.49, 25.78, 29.27, 56.36, 57.86, 83.59, 122.89, 138.13, 138.64, 141.01, 141.60, 142.31. LRMS (EI) m/z 324(M+), 295, 245, 215, 187. HRMS (EI) 計算値 C17H25BrO 324.1088 実測値 324.1079.
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】参考例1で得られた生成物のX線構造分析の結果を示す。
図面
【図1】
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