TOP > 国内特許検索 > アセナフチレン誘導体及びその製造方法 > 明細書

明細書 :アセナフチレン誘導体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4695845号 (P4695845)
公開番号 特開2005-255547 (P2005-255547A)
登録日 平成23年3月4日(2011.3.4)
発行日 平成23年6月8日(2011.6.8)
公開日 平成17年9月22日(2005.9.22)
発明の名称または考案の名称 アセナフチレン誘導体及びその製造方法
国際特許分類 C07C  13/547       (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
FI C07C 13/547
C07F 7/08 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 14
出願番号 特願2004-065824 (P2004-065824)
出願日 平成16年3月9日(2004.3.9)
審査請求日 平成18年10月2日(2006.10.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
【氏名】菅野 研一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100093676、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 純子
【識別番号】100112726、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 薫
審査官 【審査官】大熊 幸治
参考文献・文献 欧州特許出願公開第1386904(EP,A1)
特開2002-20454(JP,A)
特開2003-327549(JP,A)
特開平11-255676(JP,A)
J. Org. Chem. 1993, 58, 234-238
調査した分野 C07C 13/547
C07F 7/08
CAplus(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体の製造方法であって、
【化1】
JP0004695845B2_000013t.gif
[式中、R1及びR2、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;1~C20アルキル基;アルキル基で置換されていてもよいシリル基であり
1、A2、A3、A4、A5及びA6は水素原子であり、nは、1又は2である。]
パラジウム又はニッケルを含む遷移金属触媒及び銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含む金属塩の存在下、下記式(2)で示される芳香族化合物と、
【化2】
JP0004695845B2_000014t.gif
[式中、A1、A2、A3、A4、A5及びA6は、上記の意味を有する。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]
下記式(3)で示される化合物と
【化3】
JP0004695845B2_000015t.gif
[式中、R1、R2及びnは、上記の意味を有する。]
を反応させることを特徴とするアセナフチレン誘導体の製造方法。
【請求項2】
1及びX2が、それぞれ、互いに独立して、同一または異なって、ヨウ素又は臭素である、請求項に記載のアセナフチレン誘導体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アセナフチレン誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アセナフチレン誘導体等の多環縮合型芳香族は、有機機能性材料として有用であり、置換基を導入することにより、その機能、物性を制御することができる。このため、所望の置換基を導入した多置換多環縮合型芳香族が所望されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アセナフチレン誘導体を合成する効率的な方法がこれまでに存在しなかった。
従って、多置換多環縮合型芳香族、および、より簡便に多置換多環縮合型芳香族を製造する方法が所望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様では、下記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体が提供される。
【化5】
JP0004695845B2_000002t.gif
[式中、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC6~C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、ただし、A1及びA2、A2及びA3、A3及びA4、A4及びA5、A5及びA6、R1及びR2は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。nは、1以上の整数である。
ただし、nが1の場合には、下記(1)及び(2)の場合を除く。
(1) A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、水素原子であり、且つ、R1及びR2が、置換基を有していてもよいC6~C20アリール基である場合、
(2) A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、水素原子であり、且つ、R1及びR2が、置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基である場合。]
【0005】
本発明の第1態様において、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基、又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましい。
【0006】
本発明の第2態様では、下記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体の製造方法であって、
【化6】
JP0004695845B2_000003t.gif
[式中、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC6~C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、ただし、A1及びA2、A2及びA3、A3及びA4、A4及びA5、A5及びA6、R1及びR2は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。nは、1以上の整数である。]
遷移金属触媒及び金属塩の存在下、下記式(2)で示される芳香族化合物と、
【化7】
JP0004695845B2_000004t.gif
[式中、A1、A2、A3、A4、A5及びA6は、上記の意味を有する。X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]
下記式(3)で示される化合物と
【化8】
JP0004695845B2_000005t.gif
[式中、R1、R2及びnは、上記の意味を有する。]
を反応させることを特徴とするアセナフチレン誘導体の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の第2態様において、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子,置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基、又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の第2態様において、前記遷移金属触媒が、後周期遷移金属を含むことが好ましく、前記後周期遷移金属が、パラジウム又はニッケルであることがより好ましい。
【0009】
また、本発明の第2態様において、前記金属塩が、銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明の第2態様において、X1及びX2が、それぞれ、互いに独立して、同一または異なって、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、所望の置換基を導入した多置換多環縮合型芳香族が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1態様では、下記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体が提供される。
【化9】
JP0004695845B2_000006t.gif

【0013】
上記式(1)中、nは、1以上の整数である。
本発明の第1態様において、nは1~10の整数であり、1~8であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。
【0014】
上記式(1)中、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC6~C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
【0015】
本明細書において、「C1~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1~C20炭化水素基」には、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C4~C20アルキルジエニル基、C6~C18アリール基、C7~C20アルキルアリール基、C7~C20アリールアルキル基、C4~C20シクロアルキル基、C4~C20シクロアルケニル基、(C3~C10シクロアルキル)C1~C10アルキル基などが含まれる。
【0016】
本明細書において、「C1~C20アルキル基」は、C1~C10アルキル基であることが好ましく、C1~C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0017】
本明細書において、「C2~C20アルケニル基」は、C2~C10アルケニル基であることが好ましく、C2~C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
【0018】
本明細書において、「C2~C20アルキニル基」は、C2~C10アルキニル基であることが好ましく、C2~C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「C4~C20アルキルジエニル基」は、C4~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4~C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「C6~C18アリール基」は、C6~C12アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C7~C20アルキルアリール基」は、C7~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「C7~C20アリールアルキル基」は、C7~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「C4~C20シクロアルキル基」は、C4~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「C4~C20シクロアルケニル基」は、C4~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C1~C20アルコキシ基」は、C1~C10アルコキシ基であることが好ましく、C1~C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0026】
本明細書において、「C6~C20アリールオキシ基」は、C6~C12アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「C6~C20アルキルアリールオキシ基」は、C7~C12アルキルアリールオキシ基であることが好ましい。アルキルアリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、メチルフェニルオキシ、エチルフェニルオキシ、プロピルフェニルオキシ、ブチルフェニルオキシ、ジメチルフェニルオキシ、ジエチルフェニルオキシ、ジプロピルフェニルオキシ、ジブチルフェニルオキシ、メチルエチルフェニルオキシ、メチルプロピルフェニルオキシ、エチルプロピルフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「C1~C20アルコキシカルボニル基」は、C1~C10アルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「C6~C20アリールオキシカルボニル基」は、C6~C12アリールオキシカルボニル基であることが好ましい。アリールオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニル等を挙げることができる。
【0030】
本発明の第1態様において、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6で示される「C1~C20炭化水素基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「C6~C20アルキルアリールオキシ基」、「C1~C20アルコキシカルボニル基」、「C6~C20アリールオキシカルボニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C12アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0032】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0033】
本発明の第1態様において、A1及びA2、A2及びA3、A3及びA4、A4及びA5、A5及びA6、R1及びR2は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。
【0034】
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式—N(B)—で示される基(式中、Bは水素原子またはC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0035】
Bは,水素原子またはC1~C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1~C6炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1~C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
【0036】
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0037】
本発明の第1態様において、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基、又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましく、R1、R2、A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、水素原子、C1~C10アルキル基、又はトリアルキルシリル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はトリメチルシリル基であることが更に好ましい。
【0038】
なお、本発明の第1態様にかかるアセナフチレン誘導体において、nが1の場合には、下記(1)及び(2)の場合は除かれる。
(1) A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、水素原子であり、且つ、R1及びR2が、置換基を有していてもよいC6~C20アリール基である場合、
(2) A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、水素原子であり、且つ、R1及びR2が、置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基である場合。
【0039】
本発明の第2態様では、本発明の第1態様を一態様として含むアセナフチレン誘導体の製造方法の一態様が提供される。具体的には、遷移金属触媒及び金属塩の存在下、下記式(2)で示される芳香族化合物と、下記式(3)で示される化合物とを反応させることを特徴とする、下記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体の製造方法が提供される。
【化10】
JP0004695845B2_000007t.gif

【0040】
本発明の第2態様では、下記式(2)で示される芳香族化合物が用いられる。
【化11】
JP0004695845B2_000008t.gif

【0041】
上記式(2)中、A1、A2、A3、A4、A5及びA6は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC6~C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
【0042】
本発明の第2態様において、A1、A2、A3、A4、A5及びA6で示される「C1~C20炭化水素基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「C6~C20アルキルアリールオキシ基」、「C1~C20アルコキシカルボニル基」、「C6~C20アリールオキシカルボニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C12アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0043】
本発明の第2態様において、A1及びA2、A2及びA3、A3及びA4、A4及びA5、A5及びA6は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。
【0044】
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式—N(B)—で示される基(式中、Bは水素原子またはC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0045】
Bは,水素原子またはC1~C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1~C6炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1~C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
【0046】
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0047】
本発明の第2態様において、上記式(2)中、A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基、又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましく、A1、A2、A3、A4、A5及びA6が、水素原子、C1~C10アルキル基、又はトリアルキルシリル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はトリメチルシリル基であることが更に好ましい。
【0048】
本発明の第2態様において、上記式(2)中、X1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。
本発明の第2態様において、X1及びX2は、ヨウ素又は臭素であることが好ましく、ヨウ素であることが特に好ましい。
【0049】
本発明の第2態様では、上記式(2)で示される芳香族化合物と、下記式(3)で示される化合物を反応させる。
【化12】
JP0004695845B2_000009t.gif

【0050】
上記式(3)中、nは、1以上の整数である。
本発明の第2態様において、nは1~10の整数であり、1~8であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。
上記式(3)中、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;水酸基;置換基を有していてもよいC6~C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
【0051】
本発明の第2態様において、R1及びR2で示される「C1~C20炭化水素基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「C6~C20アルキルアリールオキシ基」、「C1~C20アルコキシカルボニル基」、「C6~C20アリールオキシカルボニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C12アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
本発明の第2態様において、R1及びR2は、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。
【0053】
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式—N(B)—で示される基(式中、Bは水素原子またはC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0054】
Bは,水素原子またはC1~C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1~C6炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1~C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
【0055】
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0056】
本発明の第2態様において、R1及びR2が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基、又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましく、R1及びR2が、水素原子、C1~C10アルキル基、又はトリアルキルシリル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はトリメチルシリル基であることが更に好ましい。
【0057】
本発明の第2態様において、上記式(2)で示される芳香族化合物の量は、製造したい上記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体のnの数によって異なる。即ち、用いられる上記式(2)で示される芳香族化合物の量は、上記式(3)で示される化合物1モルに対して、0.1×nモル~10×nモルであることが好ましく、0.5×nモル~3×nモルであることがより好ましく、0.5×nモル~1.2×nモルであることが特に好ましい。
【0058】
本発明の第2態様において、上記式(2)で示される芳香族化合物と上記式(3)で示される化合物との反応は、遷移金属触媒及び金属塩存在下にて行われる。
【0059】
本発明の第2態様で用いられる遷移金属触媒は、金属塩であってもよいし、金属錯体であってもよい。
金属塩の場合には、例えば、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、又はロジウムのような後周期遷移金属と、塩酸、硫酸等の無機酸又はカルボン酸のような有機酸の塩であってもよい。例えば、ハロゲン化ニッケル(II)、ハロゲン化パラジウム(II)、ハロゲン化ルテニウム(III)、ハロゲン化ロジウム(III)、酢酸ニッケル(II)、酢酸パラジウム(II)、酢酸ルテニウム(III)、又は酢酸ロジウム(III)のような金属塩であってもよく、特に、酢酸パラジウム(II)等が好ましく、用いられる。
【0060】
本発明の第2態様において、遷移金属触媒が金属錯体の場合には、4配位又は6配位であることが好ましい。配位子としては、ホスフィン、ホスファイト、アミン、ニトリル、又は、ハロゲン原子等が好ましい。配位子は、1座であってもよいし、2座、3座、又は、4座であってもよい。
【0061】
本明細書において、ホスフィンは、ジフェニルホスフィンのようなジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン、トリエチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンのようなα,ω-ビス(ジアリールホスフィノ)アルカン、P,P,P',P',P",P"-ヘキサフェニル-トリスエチレンテトラホスフィンのようなP,P,P',P',P",P"-六置換-トリスアルキレンテトラホスフィン等であってもよい。ホスファイトは、ホスフィンと同様である。
【0062】
本明細書において、アミンは、配位子としては、ピリジン、ビピリジン、キノリン等の芳香族アミンであってもよいし、エチレンジアミンのようなアルキレンジアミン、N,N,N',N'-テトラアルキルエチレンジアミンのようなN,N,N',N'-四置換アルキレンジアミン、トリスエチレンジアミンのようなトリスアルキレンジアミン等の脂肪族アミンであってもよい。
【0063】
本発明の第2態様において、遷移金属触媒は、後周期遷移金属を含むことが好ましく、パラジウム又はニッケルを含むことがより好ましく、酢酸パラジウムであることが更に好ましい。
【0064】
本発明の第2態様において、遷移金属触媒の量は、上記式(3)で示される化合物1モルに対して、0.001モル~1モルであることが好ましく、0.01モル~0.5モルであることがより好ましく、0.03モル~0.08モルであることが更に好ましく、約0.05モルであることが特に好ましい。
【0065】
また、本発明の第2態様で用いられる金属塩は、金属と、塩酸、硫酸等の無機酸の塩、あるいは、金属と、カルボン酸等の有機酸の塩である場合を挙げることができる。
本発明の第2態様において、金属塩は、例えば、銀イオン、銅イオン、タリウムイオン、金イオン又はマンガンイオンを含むものであることが好ましく、銀イオンを含むことがより好ましく、酢酸銀であることが特に好ましい。
【0066】
本発明の第2態様において、金属塩の量は、製造したい上記式(1)で示されるアセナフチレン誘導体のnの数によって異なる。即ち、用いられる金属塩の量は、上記式(3)で示される化合物1モルに対して、0.1×nモル~10×nモルであることが好ましく、1×nモル~5×nモルであることがより好ましく、1×nモル~3×nモルであることが更に好ましく、約2×nモルであることが特に好ましい。
【0067】
本発明の第2態様において、典型的には、上記式(2)で示される芳香族化合物の溶液に、上記式(3)で示される化合物、遷移金属触媒及び金属塩を添加し、攪拌する。
【0068】
本発明の第2態様において、反応は、好ましくは0℃~300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは50℃~200℃の温度範囲、更に好ましくは100℃~150℃の温度範囲で行われる。
本発明の第2態様において、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0069】
本発明の第2態様において、溶媒としては、上記式(2)で示される芳香族化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0070】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0071】
すべての反応は、特に言及しない限り、乾燥した窒素雰囲気下のもとで行われた。溶媒として用いたテトラヒドロフラン(THF)は窒素気流下、ナトリウム金属、ベンゾフェノンで蒸留して無水とした。試薬は市販品を購入し、そのまま用いた。
【実施例1】
【0072】
1,2-ジプロピルアセナフチレン
【化13】
JP0004695845B2_000010t.gif
1,8-ジヨードナフタレン1mmolの5mLトルエン溶液に4-オクチン1mmolを加え、5mol%の酢酸パラジウムと2mmolの酢酸銀を加え、110℃、12時間攪拌した。表題化合物を99%の収率で得た。
【実施例2】
【0073】
1-ブチル-2-トリメチルシリルアセナフチレン
【化14】
JP0004695845B2_000011t.gif
実施例1と同様の手順を行った。但し、4-オクチンの代わりに1-トリメチルシリルヘキシンを用いた。表題化合物を62%の収率で得た。
【実施例3】
【0074】
【化15】
JP0004695845B2_000012t.gif
1,8-ジヨードナフタレン2 mmolの5mLトルエン溶液に、ジメチル-1,3-ジイン1 mmolを加え、5 mol%の酢酸パラジウムと4 mmolの酢酸銀を加え、110℃、12時間攪拌した。表題化合物を収率58%で得た。