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明細書 :画像再構成方法及び装置、画像再構成プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4137822号 (P4137822)
公開番号 特開2005-253702 (P2005-253702A)
登録日 平成20年6月13日(2008.6.13)
発行日 平成20年8月20日(2008.8.20)
公開日 平成17年9月22日(2005.9.22)
発明の名称または考案の名称 画像再構成方法及び装置、画像再構成プログラム
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
G01R  33/54        (2006.01)
FI A61B 5/05 380
G01N 24/02 530Y
請求項の数または発明の数 12
全頁数 22
出願番号 特願2004-069949 (P2004-069949)
出願日 平成16年3月12日(2004.3.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2003年9月22日 日本磁気共鳴医学会発行の「日本磁気共鳴医学会雑誌 Vol.23 SUPPLEMENT 2003」に発表
審査請求日 平成18年5月23日(2006.5.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】伊藤 聡志
【氏名】山田 芳文
個別代理人の代理人 【識別番号】100107010、【弁理士】、【氏名又は名称】橋爪 健
審査官 【審査官】右▲高▼ 孝幸
参考文献・文献 伊藤聡志、小野晃和、上村佳嗣、山田芳文,NMRフレネル回折型映像法による映像再構成,Medical Imaging Technology,日本医学画像工学会,2000年11月25日,Vol.18 No.6,817-827
伊藤聡志他,フレネル変換信号の帯域分割効果を用いたMR画像の反復的SNR改善法,MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,日本,日本医用画像工学会,2002年 5月25日,Vol.20,No.3,p.212-226
調査した分野 JSTPlus(JDreamII)
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
A61B 5/055
特許請求の範囲 【請求項1】
処理部は、磁気共鳴映像法よる測定において被写体の各断面の情報が重なって映像化された2次元の測定画像信号と、その測定についての所定のパラメータとを、記憶部又は測定装置又は入力部から入力するステップと、
処理部は、入力された測定画像信号に基づき、2次元の測定画像信号に対して奥行き方向の所望の奥行き位置座標を焦点面とする第1の合焦像を求め、及び、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像を求めるステップと、
処理部は、焦点面以外の映像成分が合焦像へ重畳するぼけ効果を示す点像分布関数を、入力された所定のパラメータに基づいて求め、及び、求められた点像分布関数の絶対値像を求めるステップと、
処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像及び求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換して比を取りさらに逆フーリエ変換する逆フィルタリングにより、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されたインコヒーレント結像近似像を求めるステップと、
処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像と点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求め、第1の合焦像及び第2の合焦像の比と、点像分布関数とを相関演算して修正関数を求め、求められた修正関数に従いインコヒーレント結像近似像を修正して焦点面以外の映像成分がさらに除去された再構成画像を求めるステップと、
処理部は、求められた再構成画像及び/又はインコヒーレント結像近似像を記憶部に記憶する、又は、表示部に表示する、又は、出力部に出力するステップと
を含む画像再構成方法。
【請求項2】
処理部は、複数の奥行き位置座標を順次設定するステップと、
処理部は、設定された奥行き位置座標のそれぞれについて再構成画像を求めることを繰り返すステップと
をさらに含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【請求項3】
処理部は、複数の奥行き位置座標を順次設定するステップと、
処理部は、設定された奥行き位置座標のそれぞれについて再構成画像を求めることを繰り返すステップと、
処理部は、求められた複数の再構成画像に基づいて、被写体に応じた3次元画像を構成するステップと、
処理部は、構成された3次元画像を記憶部に記憶する、又は、表示部に表示する、又は、出力部に出力するステップと
をさらに含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【請求項4】
前記インコヒーレント結像近似像を求めるステップは、
処理部は、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換するステップと、
処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像をフーリエ変換するステップと、
処理部は、変換された第1の合焦像の絶対値振幅画像を、変換された点像分布関数の絶対値像で除算するステップと、
処理部は、除算結果を逆フーリエ変換して、インコヒーレント結像近似像を求めるステップと
を含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【請求項5】
前記インコヒーレント結像近似像を求めるステップは、処理部が、次式に従いインコヒーレント結像近似像を求める請求項1に記載の画像再構成方法。
【数1】
JP0004137822B2_000007t.gif
:点像分布関数、Pabs:点像分布関数の絶対値像、ρ’:第1の合焦像、ρinc:インコヒーレント結像近似像、F:フーリエ変換、F-1:逆フーリエ変換、z:奥行き位置座標
【請求項6】
前記点像分布関数の絶対値像を求めるステップは、処理部が、次式に従い点像分布関数を求めることを含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【数2】
JP0004137822B2_000008t.gif
ここで、b:z=0面の2次関数状に強度が変化する磁界の係数、τ:その磁界の印加時間、γ:核に固有の定数(核磁気回転比)、β:定数、z:奥行き位置座標
【請求項7】
前記再構成画像を求めるステップは、
処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像を第1の画像とするステップと、
処理部は、第1の画像と、求められた点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求めるステップと、
処理部は、第1の合焦像を、第2の合焦像で除算するステップと、
処理部は、前記除算するステップの除算結果と、求められた点像分布関数とを相関演算して修正関数を求めるステップと、
処理部は、第1の画像と修正関数を乗算して、再構成画像を求めるステップと、
処理部は、再構成画像及び第1の画像の差分が予め定められた値以下に収束するまで、又は、予め定められた回数繰り返すまで、求められた再構成画像を第1の画像として、新たな第1の画像に基づいて再度再構成画像を求めることを繰り返すステップと
を含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【請求項8】
前記再構成画像を求めるステップは、
処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像を第1の画像とするステップと、
処理部は、第1の画像に基づき、次式に従い再構成画像を求めるステップと、
処理部は、再構成画像及び第1の画像の差分が予め定められた値以下に収束するまで、又は、予め定められた回数繰り返すまで、求められた再構成画像を第1の画像として、新たな第1の画像に基づいて再度再構成画像を求めることを繰り返すステップと
を含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【数3】
JP0004137822B2_000009t.gif
また、ρ’:第1の合焦像、P:点像分布関数、ρold:第1の画像、ρnew:再構成画像、z:奥行き位置座標
【請求項9】
前記測定画像信号は、NMR信号、又は、フレネル回折式を利用した磁気共鳴映像法による測定画像信号、又は、3次元回折分布を利用した磁気共鳴映像法による測定画像信号である請求項1に記載の画像再構成方法。
【請求項10】
前記第1の合焦像の絶対値振幅画像を求めるステップは、処理部が、次式に従い第1の合焦像を求めることを含む請求項1に記載の画像再構成方法。
【数4】
JP0004137822B2_000010t.gif
ここで、ρ’(x、y、z):第1の合焦像、υ(x’、y’):測定画像信号、K’:定数、b:z=0面の2次関数状に強度が変化する磁界の係数、τ:その磁界の印加時間、α:磁界のz方向変化率、(x’、y’):2次関数状磁界の中心座標、γ:核に固有の定数(核磁気回転比)、z:奥行き位置座標、k、k:フーリエ空間における座標、Fxy:xとyに関するフーリエ変換、Fxy-1:xとyに関する逆フーリエ変換
【請求項11】
処理部は、磁気共鳴映像法よる測定において被写体の各断面の情報が重なって映像化された2次元の測定画像信号と、その測定についての所定のパラメータとを、記憶部又は測定装置又は入力部から入力するステップと、
処理部は、入力された測定画像信号に基づき、2次元の測定画像信号に対して奥行き方向の所望の奥行き位置座標を焦点面とする第1の合焦像を求め、及び、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像を求めるステップと、
処理部は、焦点面以外の映像成分が合焦像へ重畳するぼけ効果を示す点像分布関数を、入力された所定のパラメータに基づいて求め、及び、求められた点像分布関数の絶対値像を求めるステップと、
処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像及び求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換して比を取りさらに逆フーリエ変換する逆フィルタリングにより、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されたインコヒーレント結像近似像を求めるステップと、
処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像と点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求め、第1の合焦像及び第2の合焦像の比と、点像分布関数とを相関演算して修正関数を求め、求められた修正関数に従いインコヒーレント結像近似像を修正して焦点面以外の映像成分がさらに除去された再構成画像を求めるステップと、
処理部は、求められた再構成画像及び/又はインコヒーレント結像近似像を記憶部に記憶する、又は、表示部に表示する、又は、出力部に出力するステップと
をコンピュータに実行させるための画像再構成プログラム。
【請求項12】
磁気共鳴映像法よる測定において被写体の各断面の情報が重なって映像化された2次元の測定画像信号と、その測定についての所定のパラメータとが記憶される記憶部と、
求められた所定の画像又は情報を表示又は出力するための表示部及び/又は出力部と、
入力された測定画像信号に基づく第1の合焦像から焦点面以外の映像成分を除去する処理部と
を備え、
前記処理部は、測定画像信号とその測定についての所定のパラメータとを前記記憶部から入力し、
前記処理部は、入力された測定画像信号に基づき、2次元の測定画像信号に対して奥行き方向の所望の奥行き位置座標を焦点面とする第1の合焦像を求め、及び、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像を求め、
前記処理部は、焦点面以外の映像成分が合焦像へ重畳するぼけ効果を示す点像分布関数を、入力された所定のパラメータに基づいて求め、及び、求められた点像分布関数の絶対値像を求め、
前記処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像及び求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換して比を取りさらに逆フーリエ変換する逆フィルタリングにより、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されたインコヒーレント結像近似像を求め、
前記処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像と点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求め、第1の合焦像及び第2の合焦像の比と、点像分布関数とを相関演算して修正関数を求め、及び、求められた修正関数に従いインコヒーレント結像近似像を修正して焦点面以外の映像成分がさらに除去された再構成画像を求め、
前記処理部は、求められた再構成画像及び/又はインコヒーレント結像近似像を前記記憶部に記憶する、又は、前記表示部に表示する、又は、前記出力部に出力する画像再構成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再構成方法及び装置、画像再構成プログラムに係り、特に、フレネル回折式を利用した磁気共鳴映像法、その他の画像センシング法において、信号から再構成した1枚又は数枚の画像(合焦像)から焦点面以外の像成分を除去し、焦点面映像成分のみを抽出する、3次元回折分布を利用した磁気共鳴映像法における画像再構成方法及び装置、画像再構成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴映像法(MRI、Magnetic Resonance Imaging)において3次元の画像を取得するには、通常、3次元のデータ収集が行われる。そのために一般に長大な撮像時間が必要となる。それに対し、3次元回折分布と同形の信号を得る又はフレネル回折式を利用した磁気共鳴映像法(以後、フレネル回折型映像法と称する)では、2次元的に走査した信号からでも画像再構成時に使用する遠近パラメータにより任意の奥行き深さに焦点を合わせた画像を得ることができる。これは、丁度、カメラなどでレンズの焦点距離調整により任意の位置に合焦させた映像を取得できる原理に類似している。3次元の情報を2次元のデータ収集走査で得ることができれば、長い時間を要するMRI撮像時間の短縮、RF(Radio Frequency)による生理的影響の軽減、被検者の精神的負担を軽減でき、その効用は極めて大きいものがある。
【0003】
また、X線による被写体の任意の深さにおける面の像を得る装置において、被写体に対しX線を照射し、被写体を透過したX線を撮像する手段として機能する受光素子で検出し、被写体の任意の深さにおける面の像を得るようにしたX線撮像装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、距離調整手段により集光手段と被写体の距離を調整して、被写体の任意の深さにおける面の像を得ることが記載されている。また、特許文献1には、立体画像を抽出するために、xy平面に平行な断層面をある間隔でz軸に沿って相対的にずらしながらデータを抽出して、平面のデータを連続的又は断続的に測定し、コンピュータ上で重畳していくことにより立体画像を計算に頼らず直接測定できることが記載されている。
【0004】
また、本発明者らの文献には、2次元のデータ収集で奥行き方向の情報を有する映像を取得できるNMR(Nuclear Magnetic Resonance)フレネル回折型映像法について記載されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法は、MRI測定時に与える磁場形状を工夫することで光の3次元回折分布と同形の信号を得ることができ、ホログラフィの原理を応用して2次元走査した信号から任意の奥行きに焦点を合わせた画像を得ることができるが、得られた画像には焦点外のぼけた映像が重畳されることが記載されている。
また、ベイズ理論に基づいた逆畳み込み積分の反復式が記載された文献がある(非特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2000-135211号公報
【非特許文献1】伊藤聡志、小野晃和、上村佳嗣、山田芳文、「NMRフレネル回折型映像法による映像再構成」、MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY vol.18、No.6、2000年11月、pp.817-827
【非特許文献2】F.Tsumuraya、“Deconvolution based on the Wiener-Lucy chain algorithm: an approach to recover local information losses in the deconvolution procedure”、J.Opt.Soc.Am.A, Vol.13, No.7, pp.1532-1536(1996).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3次元の画像を取得するには、通常3次元のデータ収集が行われるため、一般に撮像時間が長くなる。例えば、特許文献1に記載の装置等のように、複数の2次元画像から被写体の3次元画像を得るためには、各2次元画像をそれぞれ取得するための計測時間がかかる。
【0006】
NMRイメージングは物体の内部の情報を取得する、いわば“透視”であるために、光学ホログラフィで扱う自然界の物体のように表面上からの光の反射だけでなく、物体の内部からも光が放出される形式となる。そのために奥行き方向の各断面の情報が重なって映像化される。すなわち再構成画像では焦点面映像は鮮明になるが、その前後の断面映像成分も焦点面位置からの距離に応じてぼけた形で重畳するという課題がある。例えば、画像診断においては、このような背景映像の存在は、正常部位と異常部位の識別を困難にする場合がある。このため、可能な限り焦点面映像のみを抽出し、焦点面以外の像情報成分は除去することが望まれる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、フレネル回折型映像法において得られた焦点面映像群から焦点面映像に重畳した背景映像成分を除去する画像再構成方法及び画像再構成プログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、焦点面以外の像情報成分は除去することで、一層鮮明な画像を得て、例えば画像診断における正常部位と異常部位の識別を容易にすることを目的とする。
【0008】
また、本発明は、MRIの計測時間を大幅に短縮することを目的とする。より具体的には、3次元の情報を2次元のデータ収集走査で行うことを可能とし、長い時間を要するMRI撮像時間の短縮することを目的とする。これにより、本発明は、1日あたりのMRI受診者数が増えることによるスループット改善、受診費用の低減、閉塞的環境に置かれる被検者の精神的苦痛の緩和を図ることも目的のひとつである。また、本発明は、被検者の、RFによる生理的影響(生体内の渦電流発生による神経刺激、生体温度上昇)を軽減することも目的のひとつである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光学ホログラフィにおいて2次元的に波面を記録しているホログラムから立体映像を再生する原理をNMR映像法に応用したものである。本発明は、フレネル回折型映像法において得られた焦点面映像群から、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリング、および最尤法により焦点面映像に重畳した背景映像成分を除去する。
【0010】
具体的には、まず、フレネル回折型映像法で得られるぼけが重畳した焦点面映像にたいし、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングを施すことで、画質を改善した焦点面画像を得る。次に、この画像を初期値として最尤法を適用することで、ぼけのない焦点面画像を得る。インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングにより得られる画像を初期値として用いることで最尤法の収束時間を早めることもできる。これにより、例えば脳内の血管に焦点を合わせた画像再構成を行うことができる。内部が充填していない血管のような管状物のMRI画像再構成には、特に有効である。
【0011】
本発明の第1の解決手段によると、
処理部は、磁気共鳴映像法よる測定において被写体の各断面の情報が重なって映像化された2次元の測定画像信号と、その測定についての所定のパラメータとを、記憶部又は測定装置又は入力部から入力するステップと、
処理部は、入力された測定画像信号に基づき、2次元の測定画像信号に対して奥行き方向の所望の奥行き位置座標を焦点面とする第1の合焦像を求め、及び、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像を求めるステップと、
処理部は、焦点面以外の映像成分が合焦像へ重畳するぼけ効果を示す点像分布関数を、入力された所定のパラメータに基づいて求め、及び、求められた点像分布関数の絶対値像を求めるステップと、
処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像及び求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換して比を取りさらに逆フーリエ変換する逆フィルタリングにより、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されたインコヒーレント結像近似像を求めるステップと、
処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像と点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求め、第1の合焦像及び第2の合焦像の比と、点像分布関数とを相関演算して修正関数を求め、求められた修正関数に従いインコヒーレント結像近似像を修正して焦点面以外の映像成分がさらに除去された再構成画像を求めるステップと、
処理部は、求められた再構成画像及び/又はインコヒーレント結像近似像を記憶部に記憶する、又は、表示部に表示する、又は、出力部に出力するステップと
を含む磁気共鳴映像法における画像再構成方法が提供される。
【0012】
本発明の第2の解決手段によると、
処理部は、磁気共鳴映像法よる測定において被写体の各断面の情報が重なって映像化された2次元の測定画像信号と、その測定についての所定のパラメータとを、記憶部又は測定装置又は入力部から入力するステップと、
処理部は、入力された測定画像信号に基づき、2次元の測定画像信号に対して奥行き方向の所望の奥行き位置座標を焦点面とする第1の合焦像を求め、及び、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像を求めるステップと、
処理部は、焦点面以外の映像成分が合焦像へ重畳するぼけ効果を示す点像分布関数を、入力された所定のパラメータに基づいて求め、及び、求められた点像分布関数の絶対値像を求めるステップと、
処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像及び求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換して比を取りさらに逆フーリエ変換する逆フィルタリングにより、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されたインコヒーレント結像近似像を求めるステップと、
処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像と点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求め、第1の合焦像及び第2の合焦像の比と、点像分布関数とを相関演算して修正関数を求め、求められた修正関数に従いインコヒーレント結像近似像を修正して焦点面以外の映像成分がさらに除去された再構成画像を求めるステップと、
処理部は、求められた再構成画像及び/又はインコヒーレント結像近似像を記憶部に記憶する、又は、表示部に表示する、又は、出力部に出力するステップと
をコンピュータに実行させるための画像再構成プログラムが提供される。
【0013】
本発明の第3の解決手段によると、
磁気共鳴映像法よる測定において被写体の各断面の情報が重なって映像化された2次元の測定画像信号と、その測定についての所定のパラメータとが記憶される記憶部と、
求められた所定の画像又は情報を表示又は出力するための表示部及び/又は出力部と、
入力された測定画像信号に基づく第1の合焦像から焦点面以外の映像成分を除去する処理部と
を備え、
前記処理部は、測定画像信号とその測定についての所定のパラメータとを前記記憶部から入力し、
前記処理部は、入力された測定画像信号に基づき、2次元の測定画像信号に対して奥行き方向の所望の奥行き位置座標を焦点面とする第1の合焦像を求め、及び、求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像を求め、
前記処理部は、焦点面以外の映像成分が合焦像へ重畳するぼけ効果を示す点像分布関数を、入力された所定のパラメータに基づいて求め、及び、求められた点像分布関数の絶対値像を求め、
前記処理部は、求められた点像分布関数の絶対値像及び求められた第1の合焦像の絶対値振幅画像をフーリエ変換して比を取りさらに逆フーリエ変換する逆フィルタリングにより、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されたインコヒーレント結像近似像を求め、
前記処理部は、求められたインコヒーレント結像近似像と点像分布関数とを畳み込み積分して第2の合焦像を求め、第1の合焦像及び第2の合焦像の比と、点像分布関数とを相関演算して修正関数を求め、及び、求められた修正関数に従いインコヒーレント結像近似像を修正して焦点面以外の映像成分がさらに除去された再構成画像を求め、
前記処理部は、求められた再構成画像及び/又はインコヒーレント結像近似像を前記記憶部に記憶する、又は、前記表示部に表示する、又は、前記出力部に出力する画像再構成装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、フレネル回折型映像法(例えば、非特許文献1参照)において得られた焦点面映像群から焦点面映像に重畳した背景映像成分を除去する画像再構成方法及び画像再構成プログラムを提供することができる。また、本発明によると、焦点面以外の像情報成分は除去することで、例えば画像診断における正常部位と異常部位の識別を容易にすることができる。
【0015】
本発明によると、MRIの計測時間を大幅に短縮することができる。本発明によると、3次元の情報を2次元のデータ収集走査で行うことにより、長い時間を要するMRI撮像時間の短縮することが可能である。また、本発明によると、1日あたりのMRI受診者数が増えることによるスループット改善、受診費用の低減、閉塞的環境におかれる被検者の精神的苦痛を緩和することが達成される。また、本発明によると、被検者の、RFによる生理的影響(生体内の渦電流発生による神経刺激、生体温度上昇)の軽減が図られ、その効用は極めて大きいものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.概要
フレネル回折型映像法における信号(NMR信号)の信号記述式は、3次元の回折波面分布を近似した式であり、以下の式で与えられる。
【0017】
【数1】
JP0004137822B2_000002t.gif

【0018】
ここで、υ(x’、y’)は測定されるNMR信号、K’は定数、ρ(x、y、z)は被写体分布関数、bはz=0面の2次関数状に強度が変化する磁界の係数で、τはその磁界の印加時間、αは磁界のz方向変化率、(x’、y’)は2次関数状磁界の中心座標、γは核に固有の定数(核磁気回転比)である。
【0019】
式(1)の信号は2次元的な信号収集であるが、指数項の肩に存在するzの項(1+αz)により奥行き方向の情報も信号にエンコードされている。式(1)のフレネル積分は、次式で示される逆伝播処理(逆フィルタリング)により奥行き方向の任意の面(z’)に焦点を合わせた映像(第1の合焦像)ρ’(x、y、z)を計算再構成できる。
【0020】
【数2】
JP0004137822B2_000003t.gif

【0021】
式(2)においてFxy及びFxy-1は、x、yに関するフーリエ変換及びフーリエ逆変換、k、kはフーリエ空間における座標を示す。計算再構成時に使用する奥行き位置座標zを所望の位置座標z’を設定する(z=z’)ことにより、任意のz’面に焦点を合わせた映像を得ることができる。すなわち、2次元的に収集した信号から奥行き方向に焦点面を順次変えて画像を再構成すれば、3次元的に被写体の分布を知ることができる。これは丁度、カメラで撮影時にレンズの焦点距離を変えて焦点調整を行う過程に似ている。なお、撮像は2次元であるので、極めて短時間に被写体の3次元分布を知ることが可能となる。
【0022】
しかしながら、この場合に得られる映像は、焦点面映像は鮮明であるが、焦点面以外の映像成分も焦点面からの距離に応じてぼけた形で映像に重畳する。これは、遠近感を得るにはよいが、焦点面の映像か焦点面以外の映像か区別できない場合もある。本実施の形態は、このようなフレネル回折型映像法において、焦点面映像から焦点面外映像成分を除去する方法等に関するものである。
【0023】
式(2)の合焦像は、近似的に以下のように畳み込み積分で表現することができる。
【数3】
JP0004137822B2_000004t.gif

【0024】
ここで、βは定数、p(x、y、z)は、焦点面以外の像が焦点面映像への重畳する場合に、ぼけ効果(回折効果)を決定する関数であり、点像分布関数(PSF:Point Spread Function)に相当する関数である(以下、pを点像分布関数と記す)。焦点外映像の除去は、式(3)から被写体分布関数ρ(x、y、z)を求めることである。なお、所望の位置座標z’における被写体分布関数は、その位置座標における被写体の断面像を示す。
【0025】
図1は、複素数演算による、一般的な逆フィルタリングの説明図である。式(3)のような畳み込み積分からρ(x、y、z)(図1(a))を求める場合、逆フィルタリングによって画像再構成を行う手法が一般的に知られている。すなわち、次式のように、合焦像ρ’(x、y、z)の周波数スペクトラム(図1(c)に相当)を点像分布関数p(x、y、z)の周波数スペクトラム(図1(b))で除した後に、逆フーリエ変換を行う方法である。
-1[F[ρ’(x、y、z)]/F[p(x、y、z)]]
【0026】
図1(b)に示すように、式(4)の点像分布関数p(x、y、z)は、周波数空間の全域に分布する関数ではなく、周波数空間に情報が存在しない遮断帯域が存在する。もともと情報のないところから情報を復元することはできず、一般的な逆フィルタリングによっては、被写体分布関数ρ(x、y、z)のスペクトラムを復元することは難しく、焦点外映像成分を除去することは困難である。例えば、図1(c)のスペクトル(実線)から求めたいスペクトル(破線)を復元することは困難である。
【0027】
そこで、本実施の形態では、主に2通りの方法を併用して焦点面映像成分を抽出する。まず、第1の方法は、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングである。フレネル回折型映像法で合焦像を計算する過程は、光学的には波面の位相情報を利用する点でコヒーレント結像に相当する。なお、この結像では、前述のような一般的な逆フィルタリングでは焦点面映像成分を求めることはできない。
【0028】
図2は、本実施の形態の絶対値画像による逆フィルタリング(インコヒーレント結像近似の逆フィルタリング)の説明図である。
【0029】
図2に示すように、合焦像の位相情報を捨てて実数部と虚数部の振幅から計算した絶対値振幅画像とした場合を考える。絶対値振幅画像は、式(2)で表されるρ’(x、y、z)の実数部と虚数部の二乗和の平方根により求めることができる。
√((ρ’の実数部)+(ρ’の虚数部)
なお、式(2)では実数部と虚数部を個別には示していないが、複素数の関数であるので実数部及び虚数部が得られる。
【0030】
合焦像の絶対値振幅画像は、被写体関数ρ(図2(a))と点像分布関数pの絶対値像pabs(x、y、z)(図2(b))との畳み込み積分に近似することができる。
|ρ’(x、y、z)|≒1/K’(ρ(x、y、z)*|p(x、y、z)|)
例えば、被写体が血管のように平面上及び奥行き方向に像の重なりが小さい場合は、合焦像の絶対値画像は上記畳み込み積分に近似する。図2(b)に示すように、この点像分布関数の絶対値像pabs(x、y、z)のフーリエ変換関数は、p(x、y、z)のフーリエ変換(図1(b))とは異なり、周波数空間において広く分布する関数となる。このことから、近似が成立する範囲において、逆フィルタリングにより被写体分布関数ρのスペクトラムを復元することができ、焦点外映像成分を除去することができる。この合焦像の絶対値画像変換による逆フィルタリングは、波面の強度分布のみを測定するインコヒーレント結像に類似しているので、本実施の形態では、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングと称する。
【0031】
このインコヒーレント結像近似の逆フィルタリングは、次式で表すことができる。
【数4】
JP0004137822B2_000005t.gif
なお、ここで得られるρincを、本実施の形態ではインコヒーレント結像近似像と称する。
【0032】
次に、第2の方法として、最尤法(Maximum Likelihood Method)により画像の推定を行う。なお、以下に示す最尤法の反復式が画像の推定(焦点外成分の除去)に有効であり、第2の方法のみで画像を推定することもできるが、上述の第1の方法の後に第2の方法を行うとさらに効果的である。例えば、最尤法の演算時間を短くすることができ、全体としても演算時間を短くできる。
【0033】
式(6)は、ベイズ理論に基づいた逆畳み込み積分の反復式である(非特許文献2参照)。各ステップにおいて尤度を最大にする効果により画像修正を行い、漸近的に元の画像成分を推定する。
【0034】
【数5】
JP0004137822B2_000006t.gif

【0035】
例えば、画像修復処理の計算手順として、まず、初期画像として、式(5)に従いインコヒーレント結像近似の逆フィルタリングをして求められたインコヒーレント結像近似像ρincを、式(6)のρold(第1の画像)に代入する。次に、第1の画像ρoldから求められる合焦像(第2の合焦像)ρold*p(x、y、z)を計算する。そして、求められた第2の合焦像と、測定画像信号に基づいて式(2)に従い求められた第1の合焦像ρ’(x、y、z)(真値)を比較して、画像を修正する。第1の画像には誤差があるため、第1の画像から計算した合焦像ρold*p(x、y、z)と、測定画像信号から求められた合焦像ρ’(x、y、z)との間には誤差がある。例えば、第1の画像から計算した合焦像ρold*p(x、y、z)と、測定画像信号から求められた合焦像ρ’(x、y、z)との誤差をもとに修正関数を計算し(式(6)の括弧内の計算)、これをρoldに乗じてρnew(第2の画像)を求める(画像修正処理)。第1の画像ρoldに修正関数が乗じられると、第1の画像ρoldの誤差分が減少する。この乗算が画像を修正する処理になる。
【0036】
以降は、求められた第2の画像ρnewを第1の画像ρoldに代入して、上述の合焦像ρold*p(x、y、z)の計算以降の処理を繰り返す。例えば、ρoldとρnewとの差分が、予め定められた閾値以下に収束するまで繰り返す、又は、所定回数繰り返すことができる。
【0037】
(フレネル回折型映像法による測定画像の取得)
ここで、フレネル回折型映像法によるNMR信号の測定の概略について述べる。本実施の形態における測定画像信号(NMR信号)は、例えば、3次元回折分布を利用したMRI画像を用いることができる。例えば、非特許文献1に記載のNMRフレネル回折型映像法に基づき、以下のようにして得られたNMR信号を用いることができる。なお、この測定は例えばMRI装置などの適宜の測定装置で行われるものであり、インタフェース等を介して測定信号を入力できる。
【0038】
図10に、NMRフレネル回折型映像法によるイメージングのためのパルスシーケンスを示す。2次関数状磁界、2次関数状磁界走査用磁界、掃引磁界、勾配磁界をそれぞれ以下のように変化させる。
(a)2次関数状磁界:Δb(x、y、z)=b(1+αz)(x+y
(b)2次関数状磁界走査用磁界:Δb0x(z)=(√(1+αz))box
(c)掃引磁界:Δb0y(z)=(1+αz)boy
(d)勾配磁界:ΔGyz(y、z)=(1+αz)×G
【0039】
励起パルスによるスピン系の励起後に、上記(a)の2次関数状磁界と(b)の2次関数状磁界走査用磁界(以下、走査用磁界と略す)を位相エンコード方向(例えば、x方向)に時間τだけ印加する。走査用磁界は、2次関数状磁界の中心位置を走査させるために使用する磁界で、走査量をx’とすると走査後の2次関数状磁界は、
Δb=b(1+αz)((x’-x)+y
とx’だけ中心位置が移動する。次いで、上記(c)の磁界を掃引パルスにより印加し、掃引磁界と同期して上記(d)の勾配磁界を反転パルスにより印加する。このとき得られるエコー信号が、式(1)で表される信号である。
【0040】
2.ハード構成
図3は、本実施の形態に関するハードウェアの構成図である。
このハードウェアは、中央処理装置(CPU)である処理部1、入力部2、出力部3、表示部4及び記憶部5を有する。さらに、例えば測定装置と接続されるためのインタフェース6を有してもよい。処理部1、入力部2、出力部3、表示部4、記憶部5及びインタフェース6は、スター又はバス等の適宜の接続手段で接続されている。
【0041】
記憶部5は、パラメータファイル51、測定画像(NMR信号)ファイル52、合焦像ファイル53、点像分布関数ファイル54、インコヒーレント結像近似像ファイル55、再構成画像ファイル56を含む。また、記憶部5は、3次元再構成画像ファイル57を含むこともできる。なお、上述のファイルは、適宜省略してもよい。
【0042】
パラメータファイル51は、例えば、定数K’及びβ、z=0面の2次関数状に強度が変化する磁界の係数b、磁界の印加時間τ、磁界のz方向変化率α、核に固有の定数(核磁気回転比)γ等が記憶される。これらパラメータは、予め記憶しておくことができる。また、NMR信号の測定についてのパラメータ(例えばτ等)を入力部から又はインタフェースを介して測定装置から適宜入力し、パラメータファイル51に記憶するようにしてもよい。
【0043】
測定画像ファイル52は、測定装置等からインタフェースを介して入力された、又は、入力部から入力されたNMR信号νが記憶される。合焦像ファイル53、点像分布関数ファイル54は、それぞれ、NMR信号に基づいて得られた合焦像ρ’、点像分布関数pが記憶される。インコヒーレント結像近似像ファイル55は、本実施の形態に係るインコヒーレント結像近似の逆フィルタリングにより得られたインコヒーレント結像近似像ρincが記憶される。
【0044】
再構成画像ファイル56は、ぼけが除去された再構成画像ρnewが記憶される。また、3次元再構成画像ファイル57は、2次元の再構成画像群から構成された3次元画像が記憶される。
【0045】
3.フローチャート
(画像再構成)
図4は、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングを含む本実施の形態のフローチャート(1)である。図5は、最尤法の計算アルゴリズムを含む本実施の形態のフローチャート(2)である。
【0046】
まず、処理部1は、NMR信号(測定画像信号)υ(x’、y’)及び所定のパラメータを測定画像ファイル52及びパラメータファイル51から入力する(S100)。なお、処理部1は、インタフェース6を介して適宜の測定装置からNMR信号を入力してもよい。入力されるパラメータは、例えば、定数K’及びβ、z=0面の2次関数状に強度が変化する磁界の係数b、磁界の印加時間τ、磁界のz方向変化率α、核に固有の定数(核磁気回転比)γ等である。
【0047】
また、処理部1は、奥行き位置座標zを所望の座標z’に設定する(S101)。例えば、処理部1は、予め定められた座標z’をパラメータファイル51から読み出してもよいし、入力部2から入力してもよい。また、予め定められた初期値と刻み幅に従い、奥行き位置座標zを設定してもよい。なお、奥行き位置座標zを順次変えて複数の再構成画像を得ることもできるが、これについては後述する。
【0048】
処理部1は、入力したNMR信号に基づき、設定された奥行き位置座標zに焦点を合わせた合焦像ρ’を求める(S102)。例えば、処理部1は、上述の式(2)に従い合焦像ρ’を求めることができる。また、処理部1は、求められた合焦像を奥行き位置座標に対応して合焦像ファイル53に記憶してもよい。
【0049】
また、処理部1は、設定された奥行き位置座標z及び入力されたパラメータに基づき、点像分布関数pを求める(S103)。例えば、処理部1は、上述の式(4)に従い点像分布関数を求めることができる。処理部1は、求められた点像分布関数を点像分布関数ファイル54に記憶してもよい。次に、処理部1は、求められた点像分布関数の絶対値像pabsを求める(S104)。
【0050】
処理部1は、被写体分布関数ρと求められた点像分布関数の絶対値像pabsとの畳み込み積分が、合焦像ρ’の絶対値であるとして、求められた点像分布関数の絶対値像pabs及び求められた合焦像ρ’の絶対値振幅画像に基づいて逆フィルタリングすることで、被写体分布関数ρに応じたインコヒーレント結像近似像ρincを求める(上述の第1の方法に相当)。たとえば、処理部1は、上述の式(4)に従いインコヒーレント結像近似像を求めることができる。
【0051】
具体的な手順として、まず、処理部1は、求められた合焦像ρ’の絶対値振幅画像を求め、求められた絶対値振幅画像をフーリエ変換する(S105)。例えば、処理部1は、合焦像ρ’の実数部と虚数部の二乗和の平方根を計算することにより絶対値振幅画像を求めることができる。また、処理部1は、点像分布関数の絶対値像pabsをフーリエ変換する(S107)。
【0052】
次に、処理部1は、ステップS105でフーリエ変換された絶対値振幅画像を、ステップS107でフーリエ変換された点像分布関数の絶対値像で除算する(S109)。さらに、処理部1は、ステップS109で除算された結果を逆フーリエ変換することにより、インコヒーレント結像近似像ρincを求める(S111)。ここで得られるインコヒーレント結像近似像ρincでは、焦点面以外の映像成分の一部又は全部が除去されている。
【0053】
なお、本実施の形態は、例えば、点像分布関数pを使用するのではなくその絶対値像pabsを使用する点で、位相情報を有していない光の強度像から逆フィルタリングを行なう手法である。
【0054】
処理部1は、求められたインコヒーレント結像近似像ρincをインコヒーレント結像近似像ファイル55に記憶し、又は、表示部4に表示、出力部3に出力等する(S113)。処理部1は、設定された奥行き位置座標zに対応してインコヒーレント結像近似像を記憶するようにしてもよい。なお、ステップS113の処理は省略することもできる。また、ステップS103~S113の処理を省略することも可能であるが、これら各ステップを実行することで後に実行する反復処理の収束を早めることができる。
【0055】
図5に移り、処理部1は、求められたインコヒーレント結像近似像ρincを第1の画像ρoldとする(S201)。なお、例えば、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングをしない場合(ステップS103~S113を省略する場合)には、処理部1は、ステップS102で求められた合焦像ρ’を第1の画像ρoldとすることができる。
【0056】
処理部1は、第1の画像ρoldと、点像分布関数ファイル54に記憶された点像分布関数pと、合焦像ファイル53に記憶された合焦像ρ’とに基づいて、最尤法により第2の画像ρnewを求める。例えば、処理部1は、上述の式(6)に従い第2の画像ρnewを求めることができる。
【0057】
具体的な手順として、まず処理部1は、点像分布関数ファイル54から点像分布関数pを読み出し、第1の画像ρoldと点像分布関数pを畳み込み積分する(S203)。なお、処理部1は、点像分布関数pを読み出す代わりに、再度計算してもよい。次に、処理部1は、合焦像ファイル53から合焦像ρ’を読み出し、合焦像ρ’をステップS203の積分結果(第2の合焦像)で除算する(S205)。なお、処理部1は、合焦像ρ’を読み出す代わりに、NMR信号に基づいて再度計算してもよい。処理部1は、ステップS205で得られた除算結果と、点像分布関数pとを相関演算することで修正関数を求める(S207)。さらに、処理部1は、第1の画像ρoldと、ステップS207で求められた修正関数とを乗算して、第2の画像ρnewを求める(S209)。
【0058】
次に処理部1は、収束判定をする(S213)。例えば、処理部1は、求められた第2の画像ρnew及び第1の画像ρoldの差分を求め、求められた差分と予め定められた値とを比較して、収束判定することができる。例えば、処理部1は、求められた差分が予め定められた値以下(又はそれよりも小さい)時に収束したと判定することができる。また、処理部1は、収束判定する代わりに、所定回数(例えば20回等)計算したか判断し、計算を終了するか判定してもよい。
【0059】
処理部1は、収束していない(又は計算を終了しない)と判定した場合に(S213)、求められた第2の画像ρnewを第1の画像ρoldと設定する(S215)。また、処理部1は、設定された新たな第1の画像ρoldに基づいて、上述のステップS203以降の処理を繰り返す。
【0060】
一方、処理部1は、収束している(又は計算を終了する)と判定した場合(S213)、求められた第2の画像ρnewを、再構成画像ファイル56に記憶し、及び/又は、表示部4に表示、出力部3に出力等する(S217)。ここで得られる画像が、焦点面以外の画像成分が除去された再構成画像である。なお、処理部1は、設定された奥行き位置座標に対応して再構成画像を再構成画像ファイル56に記憶するようにしてもよい。処理部1は、求められた中間結果、最終結果を適宜記憶部5に記憶してもよいし、適宜読み出してもよい。
【0061】
(奥行き位置座標を変化させた複数枚の画像再構成)
図6は、複数の再構成画像を得るためのフローチャートである。まず、処理部1は、上述と同様にNMR信号(測定画像信号)及び所定のパラメータをパラメータファイル51及び測定画像ファイル52から入力する(S100)。次に、処理部1は、奥行き位置座標zを設定する(S301)。例えば、処理部1は、パラメータファイル51に予め記憶された複数の座標のうちのひとつを、奥行き位置座標zに設定することができる。また、予め定められた初期値と刻み幅に基づいて、奥行き位置座標zを順次刻み幅だけ増加又は減少させるようにしてもよい。なお、奥行き位置座標zの設定については、これ以外にも適宜の方法により複数の座標のひとつを設定することができる。
【0062】
処理部1は、上述と同様にステップS102の処理を実行する。また、処理部1は、点像分布関数p及びその絶対値像pabsを求める(S302)。なお、ステップS302の処理は、上述のステップS103及びS104と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0063】
次に、処理部1は、逆フィルタリング処理により、インコヒーレント結像近似像を求める(S303)。なお、ステップS303の詳細は、上述のステップS105~S111と同様である。次に、処理部1は、最尤法により、再構成画像ρnewを求める(S305)。なお、ステップS305は、上述のステップS201~S215と同様であるので、その説明を省略する。また、処理部1は、設定された奥行き位置座標zに対応して、得られた再構成画像ρnewを再構成画像ファイル56に記憶する(S307)。
【0064】
次に、処理部1は、所定数の再構成画像が得られたか判断する(S309)。また、所定数の再構成画像が得られたか判断する以外にも、パラメータファイル51に予め記憶されている複数の座標の全てについて処理したか、又は、奥行き位置座標が所定値以上(又は以下)になったかなどを判断してもよい。また、これ以外にも適宜の判断基準により、処理を終了するか判断してもよい。処理部1は、所定数の再構成画像が得られていないと判断した場合(S309)、ステップS301へ戻り、ステップS301以降の処理を実行して新たな再構成画像ρnewを求める。なお、ステップS301では、前回の処理と異なる奥行き位置座標を設定する。一方、処理部1は、所定数の再構成画像が得られていると判断した場合(S309)、処理を終了する。なお、処理部1は、適宜のタイミングで合焦像ρ’、インコヒーレント結像近似像ρincを表示部4に表示、出力部3に出力等してもよい。
【0065】
(3次元画像再生)
図7は、2次元のNMR信号に基づき、3次元画像を再生するフローチャートである。なお、上述と同符号のものは上述と同様の処理を示す。
【0066】
まず、処理部1は、上述と同様にステップS100、S301、S102、S302~S309の処理を実行する。なお、各ステップの処理は、上述と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0067】
処理部1は、所定数の再構成画像が得られていないと判断した場合(S309)、上述と同様にステップS301へ戻り、以降の処理を実行する。一方、処理部1は、所定数の再構成画像が得られていると判断した場合(S309)、再構成画像ファイル56に記憶された複数の再構成画像に基づいて、3次元画像を構成する(S311)。なお、処理部1は、適宜の手法により、3次元画像を構成することができる。また、処理部1は、得られた3次元画像を3次元再構成画像ファイル57に記憶し、及び/又は、表示部4に表示、出力部3に出力等する(S313)。なお、処理部1は、適宜のタイミングで合焦像ρ’、インコヒーレント結像近似像ρincを表示部4に表示、出力部3に出力等してもよい。
このように、実施の形態では、ひとつの2次元の測定画像に基づいて3次元画像を再構成することができる。
【0068】
4.シミュレーション結果
図8は、ワイヤーフレームを用いた数値シミュレーションの結果である。この例では、3次元の被写体モデルは、128×128×8画素から構成されている。例えば、図示の3次元被写体モデル(撮像モデル)に対して、モデルの背面、中央面、前面の各面に合焦するように奥行き位置情報zを設定し、合焦像、インコヒーレント結像近似像、再構成画像を計算した結果を図8に示す。
【0069】
図8(a)は、それぞれ、モデルの背面、中央面、前面の各面に合焦させた映像(合焦像)である。焦点面映像は鮮明となっているが、焦点面前後の面の映像がぼけて重畳された像となっている。
【0070】
図8(b)は、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリング像である。焦点外映像がある程度は除去されているが、完全にインコヒーレント結像近似が成立していないので誤差が残留している。
【0071】
図8(c)は、最尤法による画像推定像である。画像が良好に回復していることがわかる。なお、図示の画像は20回反復処理したものである。この図ではモデル画像強度が一定であるが、中間調の像でも同様に回復可能である。第1の方法として行うインコヒーレント結像近似の逆フィルタリングは、殆どの場合は実施しなくても画像推定が可能であるが、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリングを併用すると収束を早める効果があり、反復処理時間を短縮できる。
【0072】
図9は、血管を模擬したモデル(血管模擬数値モデル)の3次元画像再構成シミュレーション結果である。図9(a)の3次元モデルを模擬的にイメージングし、得られた信号から各断面に合焦させた像を図9(b)に示す。図9(b)に示すように、焦点面外の映像がぼけて重畳している。なお、図9には、合焦像、インコヒーレント結像近似像、再構成画像のそれぞれについて、断面像を4枚ずつ示しているが、シミュレーションでは32枚の断面像を推定し、3次元画像を再構成した。
【0073】
図9(c)は、インコヒーレント結像近似の逆フィルタリング像である。また、この逆フィルタリング像を初期画像として最尤法に適用した結果が図9(d)の画像である。さらに、ここで得られた断面像群から3次元像を構築した結果が図9(e)である。3次元画像の構築は、得られた断面像群に基づいて、適宜の手法により構築できる。再構成した3次元血管画像(図9(e))が、モデルに設定した画像(図9(a))と極めて高い精度で一致していることがわかる。
【0074】
5.付記
本発明の画像再構成方法は、その各手順をコンピュータに実行させるための画像再構成プログラム、画像再構成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、画像再構成プログラムを含みコンピュータの内部メモリーにロード可能なプログラム製品、そのプログラムを含むサーバ等のコンピュータ、等により提供されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、フレネル回折式を利用した磁気共鳴映像法を利用した装置を製造する産業、その他画像センシングに関する産業に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】複素数演算による、一般的な逆フィルタリングの説明図。
【図2】本実施の形態の絶対値画像による逆フィルタリング(インコヒーレント結像近似逆フィルタリング)の説明図。
【図3】本実施の形態に関するハードウェアの構成図。
【図4】インコヒーレント結像近似逆フィルタリングを含む本実施の形態のフローチャート(1)。
【図5】最尤法の計算アルゴリズムを含む本実施の形態のフローチャート(2)。
【図6】複数の再構成画像を得るためのフローチャート
【図7】2次元のNMR信号に基づき、3次元画像を再生するフローチャート。
【図8】ワイヤーフレームを用いた数値シミュレーションの結果。
【図9】血管を模擬したモデルのシミュレーション結果。
【図10】NMRフレネル回折型映像法によるイメージングのためのパルスシーケンス。
【符号の説明】
【0077】
1 処理部
2 入力部
3 出力部
4 表示部
5 記憶部
6 インタフェース
51 パラメータファイル
52 測定画像(NMR信号)ファイル
53 合焦像ファイル
54 点像分布関数ファイル
55 インコヒーレント結像近似像ファイル
56 再構成画像ファイル
57 3次元再構築画像ファイル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図10】
7
【図8】
8
【図9】
9