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明細書 :複合機能マトリクスアレイ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4018070号 (P4018070)
公開番号 特開2005-268354 (P2005-268354A)
登録日 平成19年9月28日(2007.9.28)
発行日 平成19年12月5日(2007.12.5)
公開日 平成17年9月29日(2005.9.29)
発明の名称または考案の名称 複合機能マトリクスアレイ
国際特許分類 H01L  51/42        (2006.01)
H01L  31/0232      (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI H01L 31/08 T
H01L 31/02 D
H05B 33/14 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2004-075572 (P2004-075572)
出願日 平成16年3月17日(2004.3.17)
審査請求日 平成16年3月17日(2004.3.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】岡田 裕之
【氏名】中 茂樹
【氏名】女川 博義
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】前川 慎喜
参考文献・文献 特開昭58-084474(JP,A)
実開平02-104649(JP,U)
特開昭63-205724(JP,A)
調査した分野 H01L 31/00 - 31/119
H01L 51/42
H01L 51/50
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)透明電極(4)と、
(b)該透明電極(4)上に形成される有機発光素子(1)と、
(c)該有機発光素子(1)上に形成される中間電極としての透明電極(3)と、
(d)該透明電極(3)上に形成される有機フォトダイオード素子(2)と、
(e)該有機フォトダイオード素子(2)上に形成される不透明電極(5)とを備え、
(f)多層化された前記有機発光素子(1)と前記有機フォトダイオード素子(2)により、前記透明電極(4)側からのみ発光と受光動作が独立に行えるように構成するとともに、発光時にセンシングは行わず、センシング時には発光させないように発光部とセンシング部が独立に動作し、前記有機発光素子(1)による発光機能と前記有機フォトダイオード素子(2)によるスキャナ機能との複合機能を有することを特徴とする複合機能マトリクスアレイ。
【請求項2】
(a)透明電極(14)と、
(b)該透明電極(14)上に形成される有機フォトダイオード素子(11)と、
(c)該有機フォトダイオード素子(11)上に形成される中間電極としての透明電極(13)と、
(d)該透明電極(13)上に形成される発光エレクトロルミネッセンス素子(12)と、
(e)該発光エレクトロルミネッセンス素子(12)上に形成される不透明電極(15)とを備え、
(f)多層化された前記発光エレクトロルミネッセンス素子(12)と前記有機フォトダイオード素子(11)により、前記透明電極(14)側からのみ発光と受光動作が独立に行えるように構成するとともに、発光時にセンシングは行わず、センシング時には発光させないように発光部とセンシング部が独立に動作し、前記発光エレクトロルミネッセンス素子(12)による発光機能と前記有機フォトダイオード素子(11)によるスキャナ機能との複合機能を有することを特徴とする複合機能マトリクスアレイ。
【請求項3】
(a)透明電極(24)と、
(b)該透明電極(24)上に形成される透過有機発光素子(21)と、
(c)該透過有機発光素子(21)上に形成される中間電極としての透明電極(23)と、
(d)該透明電極(23)上に形成される有機フォトダイオード素子(22)と、
(e)該有機フォトダイオード素子(22)上に形成される透明電極(25)とを備え、
(f)多層化された前記透過有機発光素子(21)と前記有機フォトダイオード素子(22)により、前記透明電極(24)側より発光を、前記透明電極(25)側より受光を行い、発光と受光動作が独立に行えるように構成するとともに、発光時にセンシングは行わず、センシング時には発光させないように発光部とセンシング部が独立に動作し、前記透過有機発光素子(21)による発光機能と前記有機フォトダイオード素子(22)によるスキャナ機能との複合機能を有することを特徴とする複合機能マトリクスアレイ。
【請求項4】
請求項1~の何れか一項記載の複合機能マトリクスアレイにおいて、前記中間電極は走査用電極であることを特徴とする複合機能マトリクスアレイ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機能マトリクスアレイに関するものであり、詳細には、有機ELディスプレイによる発光と有機フォトダイオードによるスキャナの複合機能を有するマトリクスアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機素子を多層化した高性能デバイスの開発が相次いでいる。
【0003】
例えば、有機EL素子を多層化することで、一デバイスとして実効的に効率向上可能なマルチフォトンエミッション素子(下記非特許文献1)が報告されている。また、太陽電池の効率向上の試みとして、有機タンデム形太陽電池により3%の効率を有する太陽電池(下記非特許文献2)が報告されている。
【0004】
さらに、有機EL素子と有機感光体を組み合わせたデバイス(下記非特許文献3)の報告や、有機EL素子とフォトダイオードを組み合わせた光応答型有機EL素子(下記非特許文献4)の報告がされている。後者では、光入射に対しフォトダイオードを光検出に用い有機EL素子を発光させている。

【非特許文献1】城戸他 第49回春季応用物理学関係連合講演会講演予稿集、27p-YL-3(2002)
【非特許文献2】K.Triyana,T.Yasuda,K.Fujita and T.Tsutsui;Ext.Abstract of SSDM,pp.784-785(2003)
【非特許文献3】J.Xue and S.R.Forrest;Appl.Phys.Lett.,82(1)pp.136-138(2003)
【非特許文献4】近松、吉田、八瀬 電子情報通信学会技術報告OME2003-97(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、多層化した素子により、有機EL素子による発光と、有機フォトダイオードによるセンシングを行うことができる複合デバイスの提案はなされていない。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、多層化した素子により、有機EL素子による発光と、有機フォトダイオードによるセンシングを行うことができる複合機能マトリクスアレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕複合機能マトリクスアレイにおいて、透明電極(4)と、この透明電極(4)上に形成される有機発光素子(1)と、この有機発光素子(1)上に形成される中間電極としての透明電極(3)と、この透明電極(3)上に形成される有機フォトダイオード素子(2)と、この有機フォトダイオード素子(2)上に形成される不透明電極(5)とを備え、多層化された前記有機発光素子(1)と前記有機フォトダイオード素子(2)により、前記透明電極(4)側からのみ発光と受光動作が独立に行えるように構成するとともに、発光時にセンシングは行わず、センシング時には発光させないように発光部とセンシング部が独立に動作し、前記有機発光素子(1)による発光機能と前記有機フォトダイオード素子(2)によるスキャナ機能との複合機能を有することを特徴とする。
【0008】
〔2〕複合機能マトリクスアレイにおいて、透明電極(14)と、この透明電極(14)上に形成される有機フォトダイオード素子(11)と、この有機フォトダイオード素子(11)上に形成される中間電極としての透明電極(13)と、この透明電極(13)上に形成される発光エレクトロルミネッセンス素子(12)と、この発光エレクトロルミネッセンス素子(12)上に形成される不透明電極(15)とを備え、多層化された前記発光エレクトロルミネッセンス素子(12)と前記有機フォトダイオード素子(11)により、前記透明電極(14)側からのみ発光と受光動作が独立に行えるように構成するとともに、発光時にセンシングは行わず、センシング時には発光させないように発光部とセンシング部が独立に動作し、前記発光エレクトロルミネッセンス素子(12)による発光機能と前記有機フォトダイオード素子(11)によるスキャナ機能との複合機能を有することを特徴とする。
【0009】
〔3〕複合機能マトリクスアレイにおいて、透明電極(24)と、この透明電極(24)上に形成される透過有機発光素子(21)と、この透過有機発光素子(21)上に形成される中間電極としての透明電極(23)と、この透明電極(23)上に形成される有機フォトダイオード素子(22)と、この有機フォトダイオード素子(22)上に形成される透明電極(25)とを備え、多層化された前記透過有機発光素子(21)と前記有機フォトダイオード素子(22)により、前記透明電極(24)側より発光を、前記透明電極(25)側より受光を行い、発光と受光動作が独立に行えるように構成するとともに、発光時にセンシングは行わず、センシング時には発光させないように発光部とセンシング部が独立に動作し、前記透過有機発光素子(21)による発光機能と前記有機フォトダイオード素子(22)によるスキャナ機能との複合機能を有することを特徴とする。
【0010】
〕上記〔1〕~〔〕の何れか一項記載の複合機能マトリクスアレイにおいて、前記中間電極は走査用電極であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有機ELディスプレイによる発光と有機フォトダイオードによるセンシング(スキャナ)の複合機能を有するマトリクスアレイを提供することができる。
【0012】
すなわち、異なる機能を有する素子を多層化することにより発光と受光動作が独立に行え、応用上、超軽量携帯スキャナ機能付き発光パネルが実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
有機ELディスプレイによる発光機能と有機フォトダイオードによるセンシング(スキャナ)機能との複合機能を有するマトリクスアレイであり、コンパクトな超軽量携帯スキャナ機能付き発光パネルを構成する。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施例を示す複合マトリクスアレイの模式図である。この実施例では一方の側から発光及び受光が可能な複合素子について説明する。
【0016】
この図において、1は有機EL部(下部)、2は受光部(上部)、3は中間電極、4は下部電極、5は上部電極、6は発光、7は受光(光吸収)を示している。
【0017】
このように、この実施例では、下部電極4側からのみ発光6及び受光7ができる複合マトリクスアレイが提供されている。
【0018】
図2は本発明の第2実施例を示す複合マトリクスアレイの模式図である。この実施例でも一方の側から発光及び受光が可能な複合素子について説明する。
【0019】
この図において、11は受光部(下部)、12は有機EL部(上部)、13は中間電極、14は下部電極、15は上部電極、16は発光、17は受光(光吸収)を示している。
【0020】
このように、この実施例でも、下部電極14側からのみ発光16及び受光17ができる複合マトリクスアレイが示されている。
【0021】
なお、図1、図2に示した複合マトリクスアレイは下部より発光、受光(光吸収)を行う構造としているが、上部より発光、受光(光吸収)を行う構造にすることも可能である。
【0022】
図3は本発明の第3実施例を示す複合マトリクスアレイの模式図である。この実施例では一方の側から発光、他方の側から受光(光吸収)が行われる複合素子について説明する。
【0023】
この図において、21は有機EL部(発光部)(下部)、22は受光部(上部)、23は中間電極、24は下部電極、25は上部電極、26は発光、27は受光(光吸収)を示している。
【0024】
なお、図3に示した複合マトリクスアレイは上部より受光し、下部より発光するようにしているが、これとは逆に下部より受光し、上部より発光を行う構造とすることも可能である。
【0025】
ここで、図1、図2に代表される構造で、発光部を光源とし、中間走査電極を透明化し、受光部を異なる平面位置に一体形成すれば、光源一体型密着二次元センサアレイが構成できる。
【0026】
ここで、その実施例と特性について説明する。
【0027】
ここでは、複合マトリクスアレイの基本動作を示すために、図1に示す構造となる素子を製造した。
【0028】
図4は本発明の具体例としての複合マトリクスアレイの断面図である。
【0029】
この図に示すように、ガラス基板31上にインジュウム-スズ酸化物電極(ITO)32/銅フタロシアニン(CuPc)(5nm)33/4,4′-bis〔N-(1-naphtyl)-N-phenyl-amino〕biphenyl(α-NPD)(50nm)34/tris-(8-hydroxyquinoline)aluminum(Alq3 )(50nm)35/CuPc(5nm)36/中間電極としてのインジュウム-亜鉛酸化物(IZO)電極41/N,N′-bis(3-methylphenyl)-(1,1′-biphenyl)4,4′-diamine(TPD)(50nm)51/N,N′-Ditridecyl-3,4,9,10-perylene-tetracarboxylic diimide(td-PTC)(ペリレン誘導体、50nm)52/Al膜(反射膜)61の積層構造を作製し、ガラス基板31側より発光71・受光(光吸収)72させた。中間IZO電極41は透明電極とし、スパッタにより形成した。
【0030】
図5に、積層作製したEL素子の電圧-輝度特性を示す。この図において、横軸は電圧〔V〕、縦軸は輝度〔cd/m2 〕を示している。
【0031】
ここで用いた発光EL素子は、上下電極とも透明となる所謂「透明EL素子」であるが、輝度1,290cd/m2 (J=234mA/cm2 )を得た。
【0032】
図6に、積層作製したフォトダイオードの特性を示す。この図において、横軸は電圧〔V〕、縦軸は電流〔A〕を示している。
【0033】
この図において、●が暗状態、○が光量33mW/cm2 下での明状態での電流を示す。受光フォトダイオードとして、導電率比103 (-2V)を得た。
【0034】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の複合機能マトリクスアレイは、多層化された素子により発光と受光動作が独立に行え、超軽量携帯スキャナ機能付発光パネルとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施例を示す複合マトリクスアレイの模式図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す複合マトリクスアレイの模式図である。
【図3】本発明の第3実施例を示す複合マトリクスアレイの模式図である。
【図4】本発明の具体例としての複合マトリクスアレイの断面図である。
【図5】本発明の積層作製したEL素子の電圧-輝度特性を示す図である。
【図6】本発明の積層作製したフォトダイオードの特性を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 有機EL部(下部)
2,22 受光部(上部)
3,13,23 中間電極
4,14,24 下部電極
5,15,25 上部電極
6,16,26,71 発光
7,17,27,72 受光(光吸収)
11 受光部(下部)
12 有機EL部(上部)
21 有機EL部(発光部)(下部)
31 ガラス基板
32 インジュウム-スズ酸化物電極(ITO)
33,36 銅フタロシアニン(CuPc)(5nm)
34 4,4′-bis〔N-(1-naphtyl)-N-phenyl-amino〕biphenyl(α-NPD)(50nm)
35 tris-(8-hydroxyquinoline)aluminum(Alq3 )(50nm)
41 中間電極としてのインジュウム-亜鉛酸化物(IZO)電極
51 N,N′-bis(3-methylphenyl)-(1,1′-biphenyl)4,4′-diamine(TPD)(50nm)
52 N,N′-Ditridecyl-3,4,9,10-perylene-tetracarboxylic diimide(td-PTC)(ペリレン誘導体、50nm)
61 Al膜(反射膜)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5