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明細書 :マグネシウムシリサイドの合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3882047号 (P3882047)
公開番号 特開2005-112653 (P2005-112653A)
登録日 平成18年11月24日(2006.11.24)
発行日 平成19年2月14日(2007.2.14)
公開日 平成17年4月28日(2005.4.28)
発明の名称または考案の名称 マグネシウムシリサイドの合成方法
国際特許分類 C01B  33/06        (2006.01)
H01L  35/14        (2006.01)
H01L  35/34        (2006.01)
FI C01B 33/06
H01L 35/14
H01L 35/34
請求項の数または発明の数 6
全頁数 6
出願番号 特願2003-347150 (P2003-347150)
出願日 平成15年10月6日(2003.10.6)
審査請求日 平成15年10月6日(2003.10.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】稲葉 崇
【氏名】大石 琢也
【氏名】水由 雄介
【氏名】高木 教行
【氏名】佐藤 由成
【氏名】立岡 浩一
【氏名】桑原 弘
【氏名】松山 剛
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100108855、【弁理士】、【氏名又は名称】蔵田 昌俊
【識別番号】100075672、【弁理士】、【氏名又は名称】峰 隆司
【識別番号】100109830、【弁理士】、【氏名又は名称】福原 淑弘
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 特開平05-294608(JP,A)
特開昭63-179028(JP,A)
特開2000-247624(JP,A)
特開2002-289627(JP,A)
調査した分野 C01B 33/00-33/193
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
液状MgCl2中、Si塊と金属Mgとを常圧で加熱する工程を具備することを特徴とするマグネシウムシリサイドの合成方法。
【請求項2】
前記加熱に先立って、前記Si塊を所望の形状に加工する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムシリサイドの合成方法。
【請求項3】
前記液状MgCl2は、るつぼに収容された固体状のMgCl2を融点以上に加熱することにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウムシリサイドの合成方法。
【請求項4】
前記MgCl2の加熱は、714℃以上1102℃以下の温度で行なわれることを特徴とする請求項3に記載のマグネシウムシリサイドの合成方法。
【請求項5】
前記Si塊と金属Mgとは、2:1のモル比で用いられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマグネシウムシリサイドの合成方法。
【請求項6】
前記Si塊は、Geを含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマグネシウムシリサイドの合成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウムシリサイドの合成方法に係り、特に所望の形状を有するマグネシウムシリサイドを合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体熱電変換デバイスに使用されているビスマステルル系材料は、熱的に不安定であり、使用可能な温度が200℃前後以下と限られるため、高温の熱源を用いた廃熱発電には利用することができない。一方、鉄シリサイドおよびマンガンシリサイド系材料は、熱的に安定であるものの熱電変換効率が低く、実用的でない。マグネシウムシリサイド系材料は、熱的にも安定で熱電変換効率も高く、期待される材料である。
【0003】
マグネシウムシリサイド系材料の製造方法としては、粉末材料を用いたメカニカルアロイング法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、材料の生成・加工が困難であることに加え、活性なMgを含むために発火のおそれがあることから、その実用化が進んでいない。
【0004】
エネルギー枯渇、地球温暖化防止、オゾン層破壊防止対策として高効率の熱電変換デバイスの開発が急がれているにもかかわらず、高温の熱源を用いた廃熱発電用材料開発およびプロセス開発がなされていないのが現状である。

【特許文献1】特開2000-277815号公報
【特許文献2】特開平11-323405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安価で簡便にマグネシウムシリサイドを合成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかるマグネシウムシリサイドの合成方法は、液状MgCl2中、Si塊と金属Mgとを常圧で加熱する工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、安価で簡便にマグネシウムシリサイドを合成する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の実施形態にかかるマグネシウムシリサイドの合成方法においては、Si塊と金属Mgとが、液体状のMgCl2中で加熱される。液体状のMgCl2は、固体状のMgCl2を融点以上に加熱することにより形成することができる。具体的には、加熱温度は、MgCl2の融点(714℃)以上であって、Mg2Siの融点(1102℃)以下の任意の温度とすることができる。
【0010】
Si塊は、予め所望の形状に加工しておいてもよい。例えば、長さが数mmから数cm程度の棒状やU字状などとすることができ、加工に当たっては、Si塊を所望の形状に切断し得る任意の手法を用いることができる。例えば、ワイヤーソウ、デスクカッター、通常のカッターナイフなどを用いることができる。所望される形状に曲線部がなく、Si塊が薄い場合には、半導体基板のカットに使用されるダイサーを用いてもよい。こうして所望の形状に加工されたSi塊を用いることによって、所望形状のマグネシウムシリサイドを合成することができる。
【0011】
また、Geを含有するSi塊を用いることもでき、この場合には、Mg2SiGeが合成される。
【0012】
マグネシウムシリサイドの合成反応は、液状のMgCl2中で進行するので、本発明の実施形態にかかる方法は、常圧の比較的簡易な条件下で行なうことができる。図1には、反応装置の一例を示す。
【0013】
図1に示すように、Si塊および金属MgをMgCl2とともに磁性るつぼ1内に収容して、電気炉2中に配置する。電気炉2内壁には、セラミックス管3が設けられており、熱電対4により温度を検知しつつ加熱する。このように、反応容器としては耐久性の優れたセラミック製等の任意の容器を用いることができ、真空容器とする必要はない。反応雰囲気は、不活性ガス雰囲気に限らず、大気中、窒素ガス雰囲気中など任意とすることができる。
【0014】
Si塊と金属Mgとは、マグネシウムシリサイドの化学量論比(Mg2Si)にしたがって、モル比で2:1となるような比率で用いることが望まれる。また、MgCl2は、熱処理中、蒸発により減少した場合でも、SiおよびMgが溶融したMgCl2中に存在している程度の量であることが好ましい。
【0015】
加熱温度は、MgCl2が溶融する714℃付近から、Mg2Siの融解温度である1102℃程度までの範囲内とすることができる。加熱時間は、加熱温度や目的とするMg2Siの膜厚に応じて適宜決定することができ、例えば1mm程度の厚さのMg2Siを得るには、900℃で10時間程度の加熱を行なえばよい。なお、加熱時間が長いほど、より多くのMg2Siが成長するので、実用的な範囲で決定することが望まれる。
【0016】
本発明の実施形態にかかる方法を用いることによって、真空装置を用いることなくマグネシウムシリサイドを合成することが可能となる。このため、高性能マグネシウムシリサイド熱電素子を安価に作製することができる。しかも、予め加工されたSi塊の形状のまま、Mg2Siを作製することが可能であることから、通常の焼成工程を行なうことなく、所望の複雑な形状のMg2Siを容易に作製することができる。
【0017】
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
Si塊としてSi基板(厚さ520μm)を用い、金属MgとしてはMgリボン(厚さ240μm)を準備した。これらを、Mg:Si=2:1のモル比となるよう秤量して、以下のような条件でマグネシウムシリサイドを合成した。
【0019】
0.036gのSi基板と0.062gのMgリボンとを、3.8gのMgCl2とともに磁性るつぼに収容し、図1に示したような電気炉内に配置した。これを、900℃で1.5時間加熱して、(サンプルa)のマグネシウムシリサイドを得た。
【0020】
さらに、Si基板およびMgリボンの重量、加熱時間を以下のように変更して、サンプルbおよびcのマグネシウムシリサイドを得た。
【0021】
(b)Si基板:0.036g, Mgリボン:0.063g, 4時間
(c)Si基板:0.031g, Mgリボン:0.054g, 8時間
得られたマグネシウムシリサイドのX線回折スペクトルの結果を、図2(a)~(c)に示す。観察される回折ピークは、全てMg2Siに起因するものである。このように、多結晶ではあるがMg2Siのみ成長しており、他の組成比を有する化合物の存在は認められない。
【0022】
さらに、各サンプルのマグネシウムシリサイドの断面を光学顕微鏡により観察し、その断面写真を図3(a)~(c)に示す。図3(a)から明らかなように、900℃で1.5時間の加熱を行なった場合には、100μm程度の膜厚でMg2Siが成長している。加熱時間が長くなるにしたがって、Mg2Siの膜厚は増大し、8時間の加熱を行なった場合には平均して400μm程度の膜厚のMg2Siが得られる。さらに長時間の加熱を行なうことによって、より膜厚の大きなMg2Siを合成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の実施形態にかかる方法により合成されたマグネシウムシリサイドは、n型またはp型に導電型を制御して、固体冷却器、廃熱発電機などの熱電変換素子に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかるマグネシウムシリサイドの合成方法に用いられる装置を示す概略図。
【図2】本発明の実施形態にかかる方法により合成されたマグネシウムシリサイドのX線回折スペクトル図。
【図3】本発明の実施形態にかかる方法により合成されたマグネシウムシリサイドの断面SEM写真。
【符号の説明】
【0025】
1…磁性るつぼ,2…電気炉,3…セラミック管,4…熱電対。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2