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明細書 :有機発光材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4000379号 (P4000379)
公開番号 特開2005-281185 (P2005-281185A)
登録日 平成19年8月24日(2007.8.24)
発行日 平成19年10月31日(2007.10.31)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
発明の名称または考案の名称 有機発光材料
国際特許分類 C07F   5/02        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
H01S   3/16        (2006.01)
FI C07F 5/02 A
C09K 11/06
H01S 3/16
請求項の数または発明の数 13
全頁数 13
出願番号 特願2004-097164 (P2004-097164)
出願日 平成16年3月29日(2004.3.29)
審査請求日 平成18年10月25日(2006.10.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】続木 武男
【氏名】伊藤 恵啓
【氏名】藤本 哲也
【氏名】山本 巌
【氏名】谷口 彬雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100074675、【弁理士】、【氏名又は名称】柳川 泰男
審査官 【審査官】本堂 裕司
参考文献・文献 特開2000-294373(JP,A)
米国特許第03758412(US,A)
国際公開第2005/061562(WO,A1)
Organic Letters (2004), 6(17), p.2933-2936
調査した分野 C07F 5/02
C09K 11/06
H01S 3/16
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式(I):
【化1】
JP0004000379B2_000008t.gif

[但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、互いに独立に、水素原子もしくは置換基を表わし、Q1、Q2、Q3、およびQ4は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数5以上で、異種原子を含んでいてもよい脂肪族基、脂環族基、もしくは芳香族基を表わし、そしてnは0~4の整数である]
で表わされるホウ素含有スチルベン系化合物からなる発光材料。
【請求項2】
式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、互いに独立に、水素原子、炭化水素基もしくはアルコキシ基である請求項1に記載の発光材料。
【請求項3】
式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基もしくは炭素原子数1乃至3のアルコキシ基である請求項2に記載の発光材料。
【請求項4】
式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、全て水素原子である請求項3に記載の発光材料。
【請求項5】
式(I)のQ1、Q2、Q3、およびQ4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数5以上の芳香族炭化水素基を表わす請求項1に記載の発光材料。
【請求項6】
式(I)のQ1、Q2、Q3、およびQ4が、互いに独立に、炭素原子数1乃至6のアルキル基を置換基として有していてもよいアリール基もしくはアリールアルキル基を表わす請求項1に記載の発光材料。
【請求項7】
下記の式(I)で表わされるホウ素含有スチルベン系化合物:
【化2】
JP0004000379B2_000009t.gif
[但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、
互いに独立に、水素原子もしくは炭素原子数1~6のアルキル基を表わし、Q1、Q2、Q3、およびQ4は、互いに独立に、置換基として炭素原子数1~6のアルキル基を1乃至5個有するフェニル基もしくはナフチル基を表わし、そしてnは0~4の整数である]。
【請求項8】
発光材料として、下記の式(I)で表わされるホウ素含有スチルベン系化合物を含むことを特徴とする有機固体レーザ:
【化3】
JP0004000379B2_000010t.gif

[但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、互いに独立に、水素原子もしくは置換基を表わし、Q1、Q2、Q3、およびQ4は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数5以上で、異種原子を含んでいてもよい脂肪族基、脂環族基、もしくは芳香族基を表わし、そしてnは0~4の整数である]。
【請求項9】
式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、互いに独立に、水素原子、炭化水素基もしくはアルコキシ基である請求項8に記載の有機固体レーザ。
【請求項10】
式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基もしくは炭素原子数1乃至3のアルコキシ基である請求項9に記載の有機固体レーザ。
【請求項11】
式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、全て水素原子である請求項10に記載の有機固体レーザ。
【請求項12】
式(I)のQ1、Q2、Q3、およびQ4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数5以上の芳香族炭化水素基を表わす請求項8に記載の有機固体レーザ。
【請求項13】
式(I)のQ1、Q2、Q3、およびQ4が、互いに独立に、炭素原子数1乃至6のアルキル基を置換基として有していてもよいアリール基もしくはアリールアルキル基を表わす請求項8に記載の有機固体レーザ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機発光材料に関し、特に、有機固体レーザの有機発光材料として有用性が高いスチルベン系化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンスや有機固体レーザの開発が進んでいるが、発光材料を含めて、さらなる改良が望まれる課題が多い。
【0003】
発光材料の問題に関しては、有機エレクトロルミネッセンス発光材料としてこれまでに多数の化合物が提案されているが、有機固体レーザ用の発光材料として必要な低い閾値でのレーザ発光の発生やレーザ発光強度の高さを考慮すると、有機固体レーザ(有機固体レーザ発光素子)用の発光材料としては、未だ充分な特性を有する発光材料が見いだされていない。
【0004】
特許文献1には、有機固体レーザの発光材料として用いることのできる化合物として、パラ-ポリフェニレン系化合物、ベンゾチアゾール系化合部、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フェノラート配位子と置換キノリラート配位子が結合したアルミニウム錯体、スチリルアミン誘導体などが記載されている。
【0005】
非特許文献1には、有機固体用発光材料(レーザ色素)として、線状構造の蛍光色素が記載されている。
【0006】
非特許文献2には、有機固体用発光材料(レーザ色素)として、対称もしくは非対称構造の蛍光色素が記載されている。
【0007】
特許文献2には、シンチレーションカウンタ用の色素としてトリアリールホウ素化合物が記載されている。

【特許文献1】特開2000-156536号公報
【特許文献2】米国特許第3758412明細書
【非特許文献1】Chemistry Letters vol.32, No.10(2003), 968-969
【非特許文献2】Journal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 158(2003), 219-221
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特に有機固体レーザ用の発光材料として優れた特性を示す新規なスチルベン系化合物を探索する過程で完成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者の研究により下記の式(I)で表わされる特定の化学構造を有する新規なホウ素含有スチルベン系化合物が、特に有機固体レーザ用の発光材料として優れた特性を示すことが見いだされた。
【0010】
【化1】
JP0004000379B2_000002t.gif

[但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、互いに独立に、水素原子もしくは置換基を表わし、Q1、Q2、Q3、およびQ4は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数5以上で、異種原子を含んでいてもよい脂肪族基、脂環族基、もしくは芳香族基を表わし、そしてnは0~4の整数である]
【発明の効果】
【0011】
本発明のホウ素含有スチルベン系化合物は、優れたレーザ発光特性(低い閾値及び/又は高い発光強度、そして発光スペクトルの半値幅の好ましい狭さ)を示すため、特に有機固体レーザ用の発光材料として効果的に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の発光材料として有用なホウ素含有スチルベン系化合物として好ましい化合物は次の通りである。
【0013】
(1)式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、互いに独立に、水素原子、炭化水素基もしくはアルコキシ基である。
(2)式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基もしくは炭素原子数1乃至3のアルコキシ基である。
(3)式(I)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12が、全て水素原子である。
(4)式(I)のQ1、Q2、Q3、およびQ4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数5以上の芳香族炭化水素基を表わす。
(5)式(I)のQ1、Q2、Q3、およびQ4が、互いに独立に、炭素原子数1乃至6のアルキル基を置換基として有していてもよいアリール基もしくはアリールアルキル基を表わす。
(6)R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基もしくは炭素原子数1乃至6のアルコキシ基を表わし、Q1、Q2、Q3、およびQ4は、互いに独立に、置換基として炭素原子数1~6のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)を1乃至5個(好ましくは3個)有するフェニル基もしくはナフチル基を表わす。
【0014】
本発明のホウ素含有スチルベン系化合物は、例えば、既知化合物であるトランス-ジブロモスチルベンをn-ブチルリチウムで処理した後、ジメシチルフルオロボランを反応させる方法により得ることができる。なお、トランス-ジブロモスチルベンは、ホーナー・ワドワース・エモンス(Horner-Wadsworth-Emmons)反応を利用して、対応するホスホナートとアルデヒドから合成することができる。この反応のスキームの例を下記に示す。
【0015】
【化2】
JP0004000379B2_000003t.gif

【0016】
【化3】
JP0004000379B2_000004t.gif

【0017】
なお、式(I)において、nが1の化合物は、p-ブロモベンズアルデヒドをジエチルアセタールに変換し、このジエチルアセタールをn-ブチルリチウム及びジメシチルフルオロボランを作用させた後、塩化アンモニウム水溶液で処理してアルデヒド化合物を得て、これをビスホスホナートとホーナー・ワドワース・エモンス(Horner-Wadsworth-Emmons)反応させることにより高い収率で合成することができる。この反応のスキームを下記に示す。
【0018】
【化4】
JP0004000379B2_000005t.gif

【0019】
なお、本発明のホウ素含有スチルベン系化合物の二重結合部位の幾何構造は、類似構造を有する下記の化合物との1H-NMRスペクトルにおける化学シフト及び結合定数の値の比較により確認できる。
【0020】
【化5】
JP0004000379B2_000006t.gif

【実施例】
【0021】
[実施例1]トランス-4,4’-ビス(ジメシチルボリル)スチルベンの合成
(1)p-ブロモベンジルホスホン酸ジエチルの合成
p-ブロモベンジルブロミド(24.99g、100ミリモル)および亜リン酸トリエチル(16.62g、100ミリモル)の混合溶液を、油浴温度170℃にて18時間攪拌した。次いで、得られた反応混合物を減圧蒸留して、p-ブロモベンジルホスホン酸ジエチル(25.13g、収率:82%、沸点:157~160℃/4mmHg)を無色液体として得た。
【0022】
IR(neat、cm-1):1492、1408、1394、1250、1054、1036、970、856、766
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:7.34(2H,d,J=8.5Hz)、7.09(2H,dd,J=8.5,2.5Hz)、3.94(4H,m)、3.01(2H,d,J=21.5Hz)、1.17(6H,t,J=7.0Hz)
EI-MS m/z:308(M+),306(M+
【0023】
(2)トランス-4,4’-ジブロモスチルベンの合成
アルゴン雰囲気下、ドライアイス-アセトン浴中でジイソプロピルアミン(3.04g、30.0ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(100mL)溶液に、n-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.58M、16.5mL、26.1ミリモル)を3分間かけて滴下し、氷浴中で30分間攪拌した。得られた反応混合物をドライアイス-アセトン浴中で、上記(1)で得たp-ブロモベンジルホスホン酸ジエチル(7.99g、26.0ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(50mL)溶液を15分間かけて滴下し、30分間攪拌した。ここにp-ブロモベンズアルデヒド(3.70g、20.0ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(50mL)溶液を10分間かけて滴下し、室温で12時間攪拌した。得られた反応混合物に水(100mL)を加えて、減圧濃縮し、析出した固体を吸引濾過し集め、次いで、順に水とメタノールにて洗浄して、トランス-4,4’-ジブロモスチルベン(5.28g、収率:78%、融点:214~215℃)を白色固体として得た。
【0024】
IR(KBr、cm-1):1584、1490、1402、1074、1006、970、820
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:7.48(4H,d,J=8.5Hz)、7.36(2H,d,J=8.5Hz)、7.02(2H,s)
EI-MS m/z:340(M+),338(M+),336(M+
【0025】
(3)(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ブロモフェニル)エテニル]ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、ドライアイス-アセトン浴中でジイソプロピルアミン(3.04g、30.0ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(100mL)溶液にn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.58M、15.8mL、25.0ミリモル)を3分間かけて滴下し、氷浴中で30分間攪拌した。得られた反応混合物にドライアイス-アセトン浴中で上記(1)で得たp-ブロモベンジルホスホン酸ジエチル(7.68g、25.0ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(50mL)溶液を15分間かけて滴下し、30分間攪拌した。これにテレフタルアルデヒド(0.81g、6.0ミリモル)の無水テトラヒドルフラン(50mL)溶液を10分間かけて滴下し、室温で12時間攪拌した。得られた反応混合物に水(20mL)を加え、析出した固体を吸引濾過により集め、順に水とメタノールとで洗浄し、(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ブロモフェニル)エテニル]ベンゼン(2.41g、収率:91%、融点:>300℃)を黄色固体として得た。
【0026】
IR(KBr、cm-1):1580、1510、1484、1418、1398、1076、1008、970、828
1H-NMR(DMSO-d6、400MHz)δ:7.62(4H,s)、7.56(8H,s)、7.30(2H,d,J=16.5Hz)、7.27(2H,d,J=16.5Hz)
【0027】
(4)トランス-4,4’-ビス(ジメシチルボリル)スチルベンの合成
アルゴン雰囲気下、ドライアイス-アセトン浴中で、上記(2)で得たトランス-4,4’-ジブロモスチルベン(1.86g、5.5ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(100mL)溶液にn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.58M、9.1mL、14.4ミリモル)を5分間かけて滴下し、1時間攪拌した。得られた反応混合物にジメシチルフルオロボラン(90%、4.95g、16.6ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液を10分間かけて滴下し、30分間攪拌した後、室温で12時間攪拌した。得られた反応混合物に水(100mL)を加えて、減圧濃縮し、残留物にクロロホルム(200mL)を加えて、有機層を分離した。水層をクロロホルム(3×50mL)で抽出し、有機層と抽出液とを合せ、ついで順に水と飽和食塩水とで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別して、濾液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン=1/3)で分離したのち、クロロホルム-エタノールから再結晶して、トランス-4,4’-ビス(ジメシチルボリル)スチルベン(1.97g、収率:53%、融点:262~264℃)を無色針状結晶として得た。
【0028】
IR(KBr、cm-1):1598、1420、1240、1218、1176、844
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:7.51(4H,d,J=8.0Hz)、7.48(4H,d,J=8.0Hz)、7.22(2H,s)、6.82(8H,s)、2.31(12H,s)、2.02(24H,s)
13C-NMR(CDCl3、100MHz)δ:145.6、141.7、140.8、140.5、138.6、137.0、130.2、128.2、126.2、23.4、21.2
HR-MS:676.4443(測定値)[計算値(C50542):676.4412
【0029】
[実施例2](E,E)-1,4-ビス[2-(p-ジメシチルボリルフェニル)エテニル]ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、ドライアイス-アセトン浴中で、実施例1の(3)で得た(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ブロモフェニル)エテニル]ベンゼン
(2.38g、5.4ミリモル)及び無水テトラヒドロフラン(100mL)の混合物にn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.58M、8.9mL、14.1ミリモル)を5分間かけて滴下し、1時間攪拌した。得られた反応混合物にジメシチルフルオロボラン(90%、4.81g、16.1ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液を10分間かけて滴下し、30分間攪拌した後、室温で12時間攪拌した。得られた反応混合物に水(100mL)を加えて減圧濃縮し、残留物にクロロホルム(200mL)を加え、不溶物を濾別した。有機層を分離した後、水層をクロロホルム(3×50mL)で抽出し、有機層と抽出液とを合せ、順に水および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次に、硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を減圧濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー)(シリカゲル、トルエン/ヘキサン=1/3)で分離した後、クロロホルム-エタノールから再結晶して、(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ジメシチルボリルフェニル)エテニル]ベンゼン(0.05g、収率:1%、融点:299~301℃)を黄色針状結晶として得た。
【0030】
IR(KBr、cm-1):1590、1418、1240、1220、1170、842
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:7.53(4H,s)、7.51(4H,d,J=8.0Hz)、7.48(4H,d,J=8.0Hz)、7.20(2H,d,J=16.5Hz)、7.15(2H,d,J=16.5Hz)、6.83(8H,s)、2.31(12H,s)、2.02(24H,s)
13C-NMR(CDCl3、100MHz)δ:145.4、141.8、140.8、140.7、138.6、137.0、136.8、129.8、128.7、128.2、127.1、126.1、23.4、21.2
HR-MS:778.4857(測定値)、計算値(C58602):778.4881
【0031】
[実施例3](E,E)-1,4-ビス[2-(p-ジメシチルボリルフェニル)エテニル]ベンゼンの合成
(1)1-ブロモ-4-(ジエトキシメチル)ベンゼンの合成
p-ブロモベンズアルデヒド(33.61g、182ミリモル)、オルトギ酸エチル(29.61g、200ミリモル)、アンバーリスト(Amberlyst)-15(10g)、および無水エタノール(200mL)の混合物を室温で24時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物を次いで減圧蒸留することにより、1-ブロモ-4-(ジエトキシメチル)ベンゼン(45.28g、収率:96%、沸点:90~91℃/0.6mmHg)を無色液体として得た。
【0032】
IR(KBr、cm-1):1714、1592、1488、1396、1336、1272、1204、1112、1052、1014、798
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:7.48(2H,d,J=8.5Hz)、7.35(2H,d,J=8.5Hz)、5.46(1H,s)、3.56(4H,m)、1.23(6H,t,J=7.0Hz)
EI-MS m/z:260(M+)、258(M+
【0033】
(2)p-(ジメシチルボリル)ベンズアルデヒドの合成
アルゴン雰囲気下、ドライアイス-アセトン浴中で、上記(1)で得た1-ブロモ-4-(ジエトキシメチル)ベンゼン(31.10g、120ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(150mL)溶液にn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.59M、83mL、132ミリモル)を20分間かけて滴下し、1時間攪拌した。得られた反応混合物にジメシチルフルオロボラン(90%、29.80g、100ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(100mL)溶液を20分間かけて滴下し、30分間攪拌し、その後、室温にて16時間攪拌した。得られた反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えて減圧濃縮し、残留物をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。抽出液を、順に水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を減圧下濃縮した。残留物を2-プロパノールから再結晶して、p-(ジメシチルボリル)ベンズアルデヒド(31.18g、収率:88%、融点:175~176℃)を無色板状結晶として得た。
【0034】
IR(KBr、cm-1):1708、1604、1550、1420、1240、1210、850、814、720
1H-NMR(CDCl3、400MHz)δ:10.07(1H,s)、7.83(2H,d,J=8.0Hz)、7.65(2H,d,J=8.0Hz)、6.83(8H,s)、2.32(6H,s)、1.97(12H,s)
13C-NMR(CDCl3、100MHz)δ:192.6、152.8、141.4、140.8、139.4、138.0、135.9、129.0、128.4、23.4、21.2
EI-MS m/z:354(M+
【0035】
(3)(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ジメシチルボリルフェニル)エテニル]ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、p-(ジメシチルボリル)ベンズアルデヒド(7.79g、22.0ミリモル)、p-キシリレンジホスホン酸テトラエチル(3.78g、10.0ミリモル)、および無水ジメチルホルムアミド(80mL)の混合溶液にカリウム・tert-ブトキシド(4.49g、40.0ミリモル)の無水ジメチルホルムアミド(30mL)溶液を20分間かけて滴下し、室温で24時間攪拌した。得られた反応混合物にメタノール(2000mL)を加えて、室温で1時間攪拌し、析出した固体を吸引濾過した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン=1/3)で分離した後、クロロホルム-エタノールから再結晶して、(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ジメシチルボリルフェニル)エテニル]ベンゼン(7.16g、収率:92%、融点:301.0~302.5℃)を黄色針状結晶として得た。
【0036】
[実施例4]レーザ発光の確認
(1)実施例1で合成したトランス-4,4’-ビス(ジメシチルボリル)スチルベン
(以下、本発明化合物1という)、および実施例3で合成した(E,E)-1,4-ビス[2-(p-ジメシチルボリルフェニル)エテニル]ベンゼン(以下、本発明化合物2という)のそれぞれをポリカーボネート(PC-BisZ)に対して4.8質量%の比率でドープし、石英ガラス基板上に膜厚が約200mmとなるようにスピンコート製膜した。次いで、この膜付き石英ガラスに対して垂直な方向からN2ガスレーザ光を照射して、石英ガラスの端面からの光の放出を検出した。
【0037】
石英ガラスの端面から放出された光の吸収スペクトル、蛍光スペクトル、およびASE(増幅自然放出光)スペクトルの結果を第1表に示す。また、本発明化合物1と2とにそれぞれ基本骨格が一致し、ホウ素原子の代わりに窒素原子が挿入されている比較化合物1と比較化合物2(化学構造式は第1表の下に記載)のレーザ光の吸収スペクトル、蛍光スペクトル、およびASEスペクトルの結果も併せて第1表に示す。
【0038】
第1表
────────────────────────────────────
化合物 吸収・蛍光スペクトル ASEスペクトル
Abs PL 閾値 λmax FWHM 発光強度
max nm) (λmax nm) (μJ/cm2) (nm) (nm) (x104 cnt.)
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本発明1 374 412 8 433 2.0 27
比較1 392 442 11 463 5.4 35
────────────────────────────────────
本発明2 400 449 18 472 2.0 116
比較2 418 484 16 507 6.0 60
────────────────────────────────────
【0039】
【化6】
JP0004000379B2_000007t.gif




【0040】
第1表の結果から、本発明のホウ素含有スチルベン系化合物は、低い閾値で、高いレーザ発光強度を示すことが分る。また、本発明のホウ素含有スチルベン系化合物は非常に小さい半値幅(FWHM)を示すことも確認された。すなわち、本発明のホウ素含有スチルベン系化合物は、公知の窒素含有スチルベン系化合物に匹敵する低い閾値で高いレーザ発光強度を示すレーザ発光を示し、その発光スペクトルは、公知の窒素含有スチルベン系化合物に比較して明らかに小さい値を示す。