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明細書 :回路定数解析プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4302479号 (P4302479)
公開番号 特開2005-122638 (P2005-122638A)
登録日 平成21年5月1日(2009.5.1)
発行日 平成21年7月29日(2009.7.29)
公開日 平成17年5月12日(2005.5.12)
発明の名称または考案の名称 回路定数解析プログラム
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
FI G06F 17/50 662G
G06F 17/50 666V
請求項の数または発明の数 1
全頁数 44
出願番号 特願2003-359567 (P2003-359567)
出願日 平成15年10月20日(2003.10.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 特許法第30条第1項適用、電子情報通信学会技術研究報告,Vol.103,No.287(2003年8月27日),社団法人電子情報通信学会発行,第35-41頁に発表
審査請求日 平成18年10月18日(2006.10.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】高田 政明
【氏名】飯田 幸雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100074332、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昇
【識別番号】100114421、【弁理士】、【氏名又は名称】薬丸 誠一
【識別番号】100114432、【弁理士】、【氏名又は名称】中谷 寛昭
審査官 【審査官】平野 崇
参考文献・文献 高田政明、飯田幸雄,FDTD法における集中定数回路を用いた広帯域導体境界処理法,電子情報通信学会2003年総合大会講演論文集 エレクトロニクス1,日本,社団法人電子情報通信学会,2003年 4月 1日,p.84
調査した分野 G06F 17/50
IEEE Xplore
CiNii
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似すべく、単位等価回路を複数段(p段)接続して等価回路を構成し、前記等価回路の等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))における回路定数(R、L)を演算すべく、コンピュータを機能させる回路定数解析プログラムであって、
コンピュータを、
予め前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))およびこの導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))、ならびに前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))およびこの等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))についての関数を記録しておく記録手段、
予め前記単位等価回路の接続段数に対応した、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)についての関数を記録しておく記録手段、
導体の導電率(σ)と、導体表面インピーダンスを等価近似したい周波数帯域の中心周波数(f0=ω0/2π)と、等価近似したい周波数帯域の下限周波数(fL)と、等価近似したい周波数帯域の上限周波数(fH)とを入力する入力手段、
前記入力したデータを用いて、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))と、前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))とを演算し、これらの値の差が極小となる条件において、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との値の差が所定の範囲内であることを判断した際に、そのときの回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)を出力する出力手段、
として機能させ
さらに、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))およびこの導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))が以下の関数
JP0004302479B2_000070t.gif(ここで、ωは角周波数、μは透磁率、σは導電率である。)
で定義され、
前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))およびこの等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))が以下の関数
JP0004302479B2_000071t.gifで定義され、
前記単位等価回路を2段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000072t.gifで定義され、
前記単位等価回路を3段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000073t.gifで定義され、
前記単位等価回路を4段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000074t.gifで定義され、
前記単位等価回路を5段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000075t.gifで定義されており、
前記α,β,γ,およびδの少なくとも一つの係数を変化させつつ、入力された前記下限周波数(fL)から前記上限周波数(fH)の範囲内で周波数を変化させて、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))と前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))とを演算し、これらの値の差が極小となる条件において、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との値の差が所定の範囲内であることを判断した際に、そのときの回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)を出力すべく、コンピュータを機能させることを特徴とする回路定数解析プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似すべく、単位等価回路を複数接続して等価回路を構成し、この等価回路の等価回路インピーダンス(Zin(ω))における回路定数(L、R)を高精度に演算し、解析対象とする周波数帯域の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を広帯域にわたって近似精度を高く維持可能な、回路定数解析プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
時間領域の電磁界解析法である差分時間領域法(FDTD法)(例えば、非特許文献1参照。)、伝送線路行列法(TLM法)(例えば、非特許文献2参照。)、あるいは空間回路網法(SNM)(例えば、非特許文献3参照。)等は、電磁波回路の設計・開発における重要なツールとして注目されている。近年の無線通信における使用周波数帯域の高周波化・広帯域化に伴い、回路に用いる金属の有限な導電率に起因する損失およびその周波数分散は無視することができなくなっており、電磁界解析でそれらを考慮できる導体処理がいくつか提案されてきた。
【0003】
FDTD法には、Frequency Dependent FDTD法(例えば、非特許文献4,5参照。)がある。この方法は、周波数分散性媒質の内部の電磁界を計算するものであるが、金属内部では電磁波が急激に減衰するため、内部の格子間隔を導体外部に比べ非常に細かく設定しなければならず、膨大な計算機メモリおよび計算時間が伴うという問題があった。
【0004】
そこで、表面インピーダンス境界条件(Surface Impedance Boundary Condition:SIBC)を用いた処理法が提案されている。これは、電磁波が金属表面のごく浅いところまでしか浸透せず、金属表面のごく近い電磁界だけが外部の電磁界に影響することを考慮して、金属表面の電磁界のみ計算するものである。本来、表面インピーダンスは周波数領域の概念である。導体の表面インピーダンスは周波数の関数であり、時間領域では導体表面の電磁界と導体表面インピーダンスとの関係は畳み込み積分となる。これは、導体表面の過去の電磁界を全て蓄積しておかなければならず、さらに計算時間も著しく増加する(例えば、非特許文献6参照。)。
【0005】
時間領域においてProny近似を用いる方法(例えば、非特許文献7,8参照。)があるが、時間領域での近似誤差がどの周波数成分にどれくらいの影響を与えるのかが容易に把握できない。そのため、解析の対象として考えている周波数帯域内で近似誤差の影響を少なくするのが難しい。また、非特許文献8で述べられているSIBCを実用的観点から検討した結果、FDTD法の時間ステップ数が増加するにつれ、精度の良い近似式を得ることが急速に困難となることが確認されている(例えば、非特許文献9参照。)。
【0006】
さらに、周波数領域で近似を用いる方法もある(例えば、非特許文献10~15参照。)。これらは、近似に用いる独自の係数(例えば、近似の次数等)を変えることによって特定の誤差範囲で周波数分散性表面インピーダンスを広帯域近似可能であるが、その中で高精度近似できる周波数帯域は方法独自の係数によって自動的に決まる。つまり、ユーザは解析対象とする周波数帯域の導体表面インピーダンスを高精度近似したくてもできない場合が生じるという問題があった。

【非特許文献1】K.S.Yee, "Numerical solution of initial boundary value problems involving Maxwell's equations in isotropic media," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.AP-14, no.3, pp.302-307, May 1966.
【非特許文献2】S.Akhtarzad and P.B.Johns, "Solution of Maxwall's equations in three space dimensions and time by the t.l.m.method of numerical analysis," IEE Proc., vod.122, no.12, pp.1344-13348, Dec.1975.
【非特許文献3】吉田則信,深井一郎,福岡醇一,“電磁界の節点方程式による過渡解析”,信学論(B),vol.J63-B, no.9, pp.876-883, Sept. 1980.
【非特許文献4】R. J. Luebbers, F. Hunsberger, K. S. Kunz, R. B. Standler, M. Schneider, "A frequency-dependent finite-difference time-domain formulation for dispersive materials," IEEE Trans. Electromagnetic Compatibility, vol.32, pp.222-227, Aug. 1990.
【非特許文献5】R. J. Luebbers, F. Hunsberger, K. S. Kunz, "A frequency-dependent finite-difference time-domain formulation for transient propagation in plasma," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.39, no.1, pp.29-34, Jan. 1991.
【非特許文献6】F. M. Tesche, "On the inclusion of loss in time-domain solutions of electromagnetic interaction problem," IEEE Trans. Electromagnetic. Compat., vol.32, pp.1-4, Feb. 1990.
【非特許文献7】J. G. Maloney, G. S. Smith, "The use of surface impedance concepts in the finite-difference time-domain method," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.40, no.1, pp.38-48, Jan. 1992.
【非特許文献8】J. H. Beggs, R. J. Luebbers, K. S. Yee, K. S. Kunz, "Finite-difference time-domain implementation of surface impedance boundary conditions," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.40, no.1, pp.49-56, Jan. 1992. See also "Corrections," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.41, no.1, pp.118, Jan. 1993.
【非特許文献9】高田政明,飯田幸雄,“FDTD法における導体表面インピーダンス境界条件についての検討”,信学技報,MW2002-13,April 2002.
【非特許文献10】C. F. Lee, R. T. Shin, J. A. Kong, "Time domain modeling of impedance boundary conditions," IEEE Trans. Microwave Theory & Tech., vol.40, no.9, pp.1847-1850, Sept. 1992.
【非特許文献11】K. S. Oh, J. E. Schutt-Aine, "An efficient implementation of surface impedance boundary conditions for the finite-difference time-domain method," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.43, no.7, pp.660-666, July 1995.
【非特許文献12】Y. Nishioka, O. Maeshima, T. Uno, S. Adachi, "Fdtd implementation of surface impedance boundary condition for dispersive layer backed by perfect conductor," IEICE Trans. Electron., vol.E81-C, no.12, pp.1902-1904, Dec. 1998.
【非特許文献13】C. W. Penney, R. J. Luebbers, J. W. Schuster, "Scattering from coated targets using a frequency-dependent, surface impedance boundary condition in fdtd," IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.44, no.4, pp.434-443, April 1996.
【非特許文献14】M. C. Marcysiak, W. Gwarek, M. Sypniewski, "A simple and effective approach to fd-td modeling of structures including lossy metals," APMC'98, pp.991-993, 1998.
【非特許文献15】本谷智宏,並木武文,伊藤公一,“導体損失を考慮したFDTD法による伝送線路の解析”,信学技報,MW99-215, Feb. 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、FDTD法等における表面インピーダンス境界条件を用いた実用的な導体境界処理に適用可能なように、対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似すべく、単位等価回路を複数接続して等価回路を構成し、この等価回路のインピーダンス(Zin(ω))と導体表面インピーダンス(Zs(ω))とが広帯域にわたって高精度近似し得るように等価回路における回路定数(L、R)を解析可能な、回路定数解析プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、
対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似すべく、単位等価回路を複数段(p段)接続して等価回路を構成し、前記等価回路の等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))における回路定数(R、L)を演算すべく、コンピュータを機能させる回路定数解析プログラムであって、
コンピュータを、
予め前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))およびこの導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))、ならびに前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))およびこの等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))についての関数を記録しておく記録手段、
予め前記単位等価回路の接続段数に対応した、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)についての関数を記録しておく記録手段、
導体の導電率(σ)と、導体表面インピーダンスを等価近似したい周波数帯域の中心周波数(f0=ω0/2π)と、等価近似したい周波数帯域の下限周波数(fL)と、等価近似したい周波数帯域の上限周波数(fH)とを入力する入力手段、
前記入力したデータを用いて、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))と、前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))とを演算し、これらの値の差が極小となる条件において、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との値の差が所定の範囲内であることを判断した際に、そのときの回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)を出力する出力手段、
として機能させ
さらに、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))およびこの導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))が以下の関数
JP0004302479B2_000002t.gif(ここで、ωは角周波数、μは透磁率、σは導電率である。)
で定義され、
前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))およびこの等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))が以下の関数
JP0004302479B2_000003t.gifで定義され、
前記単位等価回路を2段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000004t.gifで定義され、
前記単位等価回路を3段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000005t.gifで定義され、
前記単位等価回路を4段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000006t.gifで定義され、
前記単位等価回路を5段接続して前記等価回路を構成した場合には、回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)が以下の関数
JP0004302479B2_000007t.gifで定義されており、
前記α,β,γ,およびδの少なくとも一つの係数を変化させつつ、入力された前記下限周波数(fL)から前記上限周波数(fH)の範囲内で周波数を変化させて、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部の角周波数に対する微係数(Ss(ω))と前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部の角周波数に対する微係数(Sin(ω,p))とを演算し、これらの値の差が極小となる条件において、前記導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、前記等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との値の差が所定の範囲内であることを判断した際に、そのときの回路定数であるレジスタンス(R)およびリアクタンス(L)を出力すべく、コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、FDTD法等における表面インピーダンス境界条件を用いた実用的な導体境界処理に適用可能なように、対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似すべく、単位等価回路を複数接続して等価回路を構成し、この等価回路のインピーダンス(Zin(ω))と導体表面インピーダンス(Zs(ω))とが広帯域にわたって高精度近似し得るように等価回路における回路定数(L、R)を演算する、回路定数解析プログラムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下においては、具体的な回路定数解析プログラムの説明(フローチャート等を用いた説明)の前に、解析原理を成す各種関数の定義式、仮定の定め方等について説明する。
【0012】
周波数領域において、磁気損失の無い導体の表面インピーダンス(Zs(ω))は、一般に以下の数1にて定義される。数1において、ωは角周波数、εは導体の誘電率、μは導体の透磁率、σは導体の導電率である。
【0013】
【数1】
JP0004302479B2_000008t.gif

【0014】
導体は、実用上の周波数においては、σ/ωε≫1の条件を満たすため、上記数1は、以下の数2のように置き換えることができる。
【0015】
【数2】
JP0004302479B2_000009t.gif

【0016】
さて、図1は、本実施形態にて導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似するRL等価回路1(本発明の「等価回路」に相当。)の概略図を示したものである。本実施形態においては、図1に示すように、一つの抵抗11と一つのコイル12とを並列接続した回路(本発明の「単位等価回路」に相当、以下「単位等価回路」という。)を複数段(p段)接続して、RL等価回路1が構成されている。
そして、このRL等価回路1の等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))は、以下の数3にて定義される。
【0017】
【数3】
JP0004302479B2_000010t.gif

【0018】
ここで、未知数Ri,Li(i=1,2,…,p)は、Ri>0,Li>0であり、広帯域周波数において、以下の数4の関係を満たすものとする。
【0019】
【数4】
JP0004302479B2_000011t.gif

【0020】
本実施形態における上記未知数Ri,Li値の導出手順は、p≧2の場合、全て同様の手順である。そこで、ここでは、p=5の場合を例にして導出手順を説明する。
【0021】
まず、任意の角周波数ω0>0において、以下の数5が成り立つための関係式(以下「RL関係式」という。)を求める。
【0022】
【数5】
JP0004302479B2_000012t.gif

【0023】
上記数5は、すなわち、以下の数6に置き換えられる。
【0024】
【数6】
JP0004302479B2_000013t.gif

【0025】
さて、上記数6を成立させるためのRL関係式を導出するためには、この数6の左辺は実部と虚部が等しいため、まず、右辺の実部と虚部を等しくするための条件を求める。数6の右辺を実部と虚部とに整理すると、以下の数7となる。
【0026】
【数7】
JP0004302479B2_000014t.gif

【0027】
ここで、上記数7の実部と虚部とを等しくするための一条件は、以下の数8~数12である。
【0028】
【数8】
JP0004302479B2_000015t.gif

【0029】
【数9】
JP0004302479B2_000016t.gif

【0030】
【数10】
JP0004302479B2_000017t.gif

【0031】
【数11】
JP0004302479B2_000018t.gif

【0032】
【数12】
JP0004302479B2_000019t.gif

【0033】
そして、上記数8を展開して整理すると、以下の数13となる。
【0034】
【数13】
JP0004302479B2_000020t.gif

【0035】
本実施形態においては、ω0>0,Ri>0,Li>0(i=1,2,…,p)と定義していることもあり、上式を満たす以下の数14の条件を用いることとする。
【0036】
【数14】
JP0004302479B2_000021t.gif

【0037】
よって、以下の数15が得られる。
【0038】
【数15】
JP0004302479B2_000022t.gif

【0039】
さらに、上記数15は数12を満足する。同様に、上記数9からは、以下の数16が得られる。そして、この数16は、数11を満足する。
【0040】
【数16】
JP0004302479B2_000023t.gif

【0041】
同様に、上記数10からは、以下の数17が得られる。
【0042】
【数17】
JP0004302479B2_000024t.gif

【0043】
以上のことより、上記数7の実部と虚部とを等しくする条件である数15~数17が得られる。ここでは、これらの条件(数15~数17)を、以下の数18にまとめることとする。
【0044】
【数18】
JP0004302479B2_000025t.gif

【0045】
次に、上記数6の左辺と右辺を等しくする。上記数7に数18を代入すると、以下の数19となり、実部と虚部とが等しい。
【0046】
【数19】
JP0004302479B2_000026t.gif

【0047】
したがって、上記数6を成り立たせるためには、以下の数20の関係を維持すればよい。
【0048】
【数20】
JP0004302479B2_000027t.gif

【0049】
そして、本実施形態においては、未知数α,β,γ,δを用いて、R1~R5を以下の数21のように定義した。
【0050】
【数21】
JP0004302479B2_000028t.gif

【0051】
ここで、未知数α,β,γ,δは、Ri>0(i=1,2,…,5)となる値、すなわち、α>0,β>0,γ>0,δ>0の値にする必要がある。上記数20に数21を適用すると、数20の左辺はR1と未知数α,β,γ,δで表現でき、以下の数22となる。
【0052】
【数22】
JP0004302479B2_000029t.gif

【0053】
以上の手順により、p=5(単位等価回路を5段接続した場合)において、上記数6を成り立たせるRL関係式、数18,数21,数22が得られる。なお、必要に応じて、上記数8~数12,数14,数21の条件を変えることで、上記数18,数21,数22とは異なるRL関係式を得ることも可能である。
【0054】
つまり、上述した導出手順によれば、単位等価回路を5段接続して構成された等価回路におけるRL関係式が以下の数23および数24(数18と同様)のように求められる。
【0055】
【数23】
JP0004302479B2_000030t.gif

【0056】
【数24】
JP0004302479B2_000031t.gif

【0057】
同様の導出手順によれば、単位等価回路を2段接続して構成された等価回路(p=2)におけるRL関係式は、以下の数25および数26のように求められる。
【0058】
【数25】
JP0004302479B2_000032t.gif

【0059】
【数26】
JP0004302479B2_000033t.gif

【0060】
また、単位等価回路を3段接続して構成された等価回路(p=3)におけるRL関係式は、以下の数27および数28のように求められる。
【0061】
【数27】
JP0004302479B2_000034t.gif

【0062】
【数28】
JP0004302479B2_000035t.gif

【0063】
さらに、単位等価回路を4段接続して構成された等価回路(p=4)におけるRL関係式は、以下の数29および数30のように求められる。
【0064】
【数29】
JP0004302479B2_000036t.gif

【0065】
【数30】
JP0004302479B2_000037t.gif

【0066】
以上のようにして導出されて定義されたRL関係式を利用して、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムは構成されており、これによって、図1に示すように、対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似すべく等価回路を構成して、この等価回路のインピーダンス(Zin(ω))と導体表面インピーダンス(Zs(ω))とを広帯域にわたって高精度近似させることができる。
以下、具体的に、フローチャートを用いて、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムについて説明する。
【0067】
図2は、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムのメインルーチンのフローチャートを示したものである。
【0068】
本実施形態にかかる回路定数解析プログラムにおいては、まず、対象とする金属の導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似するために単位等価回路10(図1参照)を2段接続した等価回路を用いての解析処理が行われる。そして、予め与えられた許容範囲内にて導体表面インピーダンス(Zs(ω))が近似されているか否かが判断される(ステップS201~S208)。2段接続した等価回路にて、許容範囲内での近似が行われている場合には、その際の回路定数であるレジスタンス(R)とリアクタンス(L)とが出力される。
一方、2段接続された等価回路を用いた解析の結果、許容範囲内での近似がなされていない場合には、3段以上に接続された等価回路を用いての解析処理(ステップS212~S218(3段),ステップS222~S228(4段),ステップS232~S238(5段))が行われることとなる。
【0069】
本実施形態においては、2段接続にて近似できなかった場合には3段接続にて解析を行い、3段接続にて近似できなかった場合には4段接続にて解析を行い、4段接続にて近似できなかった場合には5段接続にて解析を行う。つまり、本実施形態においては、等価回路の段数pを増やすことで、より高精度に広帯域近似を行うことができることとなる。ただし、段数が増えることで処理時間も増えるため、本実施形態においては、処理効率を図るため、より少ない段数から解析を開始すべく構成されている。
【0070】
図2に示すように、本実施形態においては、まず、コンピュータのキーボードあるいはマウス等の入力手段を用いて、データの入力処理が行われる(ステップS201)。このステップS201では、具体的に、導体の導電率(σ)と、導体表面インピーダンスを等価近似したい周波数帯域の中心周波数(f0=ω0/2π)と、等価近似したい周波数帯域の下限周波数(fL)と、等価近似したい周波数帯域の上限周波数(fH)と、許容範囲を指定する変数(ΔR%)が入力される。この「ΔR」は、p段等価回路の入力インピーダンスの実部(Zin(ω,p))と、導体表面インピーダンスの実部(Zs(ω))との差の近似したい周波数帯域内(fLからfH)における許容最大値を示したものである。なお、この中心周波数(f0=ω0/2π)において、導体表面インピーダンス(Zs(ω))とp段の等価回路の入力インピーダンス(Zin(ω,p))とが等しくなる。
また、それぞれの実部の角周波数に対する微係数は、以下の数31および数32にて定義される。
【0071】
【数31】
JP0004302479B2_000038t.gif

【0072】
【数32】
JP0004302479B2_000039t.gif

【0073】
また、本実施形態においては、RL関係式を構成する係数(α等)をある範囲内にわたってあるステップで変化させて解析を行う必要があり、さらに、近似したい周波数帯域内(fLからfH)も、いくつかに等分して解析を行う必要がある。そこで、本実施形態においては、上記入力データとは別に、以下の数式(数33,数34)の値がコンピュータ内に設定されている。なお、これらの値は、予め設定される場合に限定されず、必要に応じて、先のステップS201で入力されるように構成してもよい。
【0074】
【数33】
JP0004302479B2_000040t.gif
(ここで、「Na」は、係数(α等)をあるステップで変化させる際の範囲を示す。また、「a1」および「a2」は、係数(α等)を変化させる際のステップを定めるために用いられるものである。)
【0075】
【数34】
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(ここで、「Nf」は、近似したい周波数帯域内(fLからfH)の分割数を示す。また、「fS」は、分割された各角周波数を示す。)
【0076】
データ入力(S201)が行われると、次いで、サブルーチン21の処理が行われる(ステップS202)。図3は、サブルーチン21のフローチャートを示したものである。
【0077】
図3によれば、2段接続の等価回路についての解析処理を行うべく、先に述べたRL関係式である数25,数26、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)の演算処理等が行われる(ステップS2021)。
ここで係数αは、図3のステップS2021内に示すように、上記数33と「iα」とを用いた指数関数「α=a1(a2/a1)^(iα/Na)」として与えられる。「iα」は、本実施形態においては、「1~500」までの変数として与えられる。
【0078】
より具体的に説明すると、このステップS2021においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」ごとに、数25,数26を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)において以下の数35を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値を演算する。
【0079】
【数35】
JP0004302479B2_000042t.gif

【0080】
次いで、本実施形態においては、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」の値を検出する(ステップS2022)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」の値を得ることができる「iα」の値を検出する。このときの「iα」の値を「iαmin」と定義する。
【0081】
次いで、検出した最小の箇所(「iαmin」にて得られる「α」の箇所)の付近について、より小さいステップにて係数αを定義する(ステップS2023)。具体的には、以下の数36にて定義する。本実施形態においては、以下のようにより小さいステップにて定義された係数αによって、次工程以降の処理が行われる。
【0082】
【数36】
JP0004302479B2_000043t.gif

【0083】
本実施形態においては、上記数35の演算を終えて、このサブルーチン21の処理を終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0084】
サブルーチン21の処理(S202)が終了した後、メインルーチンにおいては、「iT=1」と定義されて(ステップS203)、サブルーチン22の処理(ステップS204)が開始される。図4は、サブルーチン22のフローチャートを示したものである。
このサブルーチン22においては、入力データおよびサブルーチン21にて得られた結果に基づいて、回路定数R,Lの解析を行う。ここでは、サブルーチン21にて検出した極小となるところの付近について、より小さいステップで係数α等を変化させて、極小点をさらに特定していく。
【0085】
図4によれば、まず、あらためてより狭い範囲に設定されたα(α5~α6)についてのステップ幅(da)を、以下の数37のように定める(ステップS2041)。
【0086】
【数37】
JP0004302479B2_000044t.gif

【0087】
次いで、ステップS2042においては、先に述べたRL関係式である数25,数26、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)、加えてΔR(ω,p)の演算処理等が行われる。「ΔR(ω,p)」は、図4中に記載の通り、導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との差の絶対値を示している。
ここで係数αは、図4のステップS2042内に示すように、上記数37と「iα」と係数α5とを用いた関数「α=α5+(iα×da)」として与えられる。「iα」は、ここでは、「1~500」までの変数として与えられる。
【0088】
より具体的に説明すると、このステップS2042においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」ごとに、数25,数26を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)についての数35等を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値、およびΔR(ω,p)を演算する。
【0089】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」の値を検出する(ステップS2043)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」の値を得ることができる「iα」の値を検出する。このときの「iα」の値を「iαmin」と定義する。
【0090】
次いで、検出した最小の箇所(「iαmin」にて得られる「α」の箇所)の付近について、より小さいステップにて係数αを再度定義する(ステップS2044)。具体的には、以下の数38にて定義する。ここで再定義されたより小さいステップ範囲の係数αは、後述の処理にて、必要とする精度の近似が得られなかった場合(後述するステップS2047にて「No」と判断された場合)に使用されることとなる。
【0091】
【数38】
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【0092】
次いで、Nf個の周波数の中で「ΔR(ω,p)」が最大となる周波数「fmax」の値を検出する(ステップS2045)。そして、この周波数「fmax」のときに得られるインピーダンスの差「ΔR(ω,p)max」と、導体表面インピーダンスの実部「Zs(ω)max」との比「r」を演算する(ステップS2046)。この「r」の値が小さければ小さい程、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))が導体表面インピーダンス(Zs(ω))に近似していることとなる。ここで、「ΔR(ω,p)が最大となる周波数」の箇所がピックアップされるのは、この箇所が最も近似状態が好ましくない部分であって、ここが後述する許容範囲内に存在することが確認されれば、他の箇所は当然の如く許容範囲内にあることは明らかだからである。
【0093】
次いで、演算された「r」と、先に入力された許容範囲「ΔR」との対比判断処理が行われる(ステップS2047)。
演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも小さい場合(S2047にて「Yes」)には、「ih=1」と定義されて(ステップS2048)、このサブルーチン22の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
一方、演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも大きい場合(S2047にて「No」)には、「α5=α5m」、「α6=α6m」、「ih=0」と定義されて(ステップS2049)、このサブルーチン22の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0094】
サブルーチン22の処理(S204)が終了した後、メインルーチンにおいては、「ih=1」であるか否かが判断される(ステップS205)。つまり、サブルーチン22の処理において、許容範囲(ΔR)を満たす結果が得られたか否かが判断される。
【0095】
許容範囲を満たす結果が得られた場合(S205にて「Yes」)には、得られた結果としての回路定数R1,R2,L1,L2の値が、コンピュータのディスプレイ、あるいはコンピュータに接続された出力装置等に出力され(ステップS206)、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを用いた回路定数の解析処理が終了する。
【0096】
一方、許容範囲を満たす結果が得られなかった場合(S205にて「No」)には、図4のステップS2049にて新たに設定された係数α5,α6を用いて再びサブルーチン22の処理が行われることとなる。
なお、ここで、サブルーチン22が再び行われる場合には、その前に「iT≧3」であるか否かが判断される(ステップS207)。「iT」は、ステップS203において「iT=1」と定義されているから、サブルーチン22が一度行われた後には、「1」のままである。よって、ここではステップS207で「No」と判断されて、「iT」の値が「1」加算されてから(ステップS208)、2回目のサブルーチン22の処理が行われることとなる。
【0097】
すなわち、本実施形態においては、この2段接続の等価回路を用いた解析処理の結果が許容範囲内とならなかった場合であっても、サブルーチン22の処理が3回まで繰り返し行われることとなる。そして、サブルーチン22の処理を3回繰り返しても許容範囲内の結果を得られなければ(S207にて「Yes」)、次いで、3段接続の等価回路を用いた解析処理(S212~S218)が行われる。
このように構成されているのは、サブルーチン22の処理を4回以上繰り返して(すなわち、係数αの範囲をさらに細かく設定して)2段接続の等価回路を用いた処理を行うよりも、3段接続の等価回路を用いる方が、効率的で且つ高精度の解析結果を得ることができるからである。
【0098】
上述したように、サブルーチン22の処理を3回繰り返しても許容範囲(ΔR)内の結果が得られない場合(S207にて「Yes」)には、次いで、サブルーチン31の処理が行われる(ステップS212)。図5は、サブルーチン31のフローチャートを示したものである。
【0099】
図5によれば、3段接続の等価回路についての解析処理を行うべく、先に述べたRL関係式である数27,数28、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)の演算処理等が行われる(ステップS2121)。
ここで係数α,βは、図5のステップS2121内に示すように、上記数33と「iα」,「iβ」とを用いた指数関数「α=a1(a2/a1)^(iα/Na)」,「β=a1(a2/a1)^(iβ/Na)」として与えられる。「iα」,「iβ」は、本実施形態においては、「1~500」までの変数として与えられる。
【0100】
より具体的に説明すると、2段接続の場合と略同様に、このステップS2121においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」,「β」ごとに、数27,数28を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)において上記数35を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値を演算する。
【0101】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」の値を検出する(ステップS2122)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」の値を得ることができる「iα」,「iβ」の値を検出する。このときのそれぞれの値を「iαmin」,「iβmin」と定義する。
【0102】
次いで、検出した最小の箇所(「iαmin」,「iβmin」にて得られる「α」,「β」の箇所)の付近について、より小さいステップにてそれぞれの係数を定義する(ステップS2123)。具体的には、以下の数39,数40にて定義する。本実施形態においては、以下のようにより小さいステップにて定義された係数α,βによって、次工程以降の処理が行われる。
【0103】
【数39】
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【0104】
【数40】
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【0105】
本実施形態においては、上記数39,数40の演算を終えて、このサブルーチン31の処理を終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0106】
サブルーチン31の処理(S212)が終了した後、メインルーチンにおいては、「iT=1」と定義されて(ステップS213)、サブルーチン32の処理(ステップS214)が開始される。図6は、サブルーチン32のフローチャートを示したものである。
このサブルーチン32においては、入力データおよびサブルーチン31にて得られた結果に基づいて、回路定数R,Lの解析を行う。ここでは、サブルーチン31にて検出した極小となるところの付近について、より小さいステップで係数α,β等を変化させて、極小点をさらに特定していく。
【0107】
図6によれば、まず、あらためてより狭い範囲に設定されたα(α5~α6),β(β5~β6)についてのステップ幅da,dbを、以下の数41のように定める(ステップS2141)。
【0108】
【数41】
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【0109】
次いで、ステップS2142においては、先に述べたRL関係式である数27,数28、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)、加えてΔR(ω,p)の演算処理等が行われる。「ΔR(ω,p)」は、先にも述べた通り、導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との差の絶対値を示している。
ここで係数α,βは、図6のステップS2142内に示すように、上記数41と「iα」,「iβ」と係数α5,β5とを用いた関数「α=α5+(iα×da)」,「β=β5+(iβ×db)」として与えられる。「iα」,「iβ」は、ここでは、「1~500」までの変数として与えられる。
【0110】
より具体的に説明すると、このステップS2142においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」,「β」ごとに、数27,数28を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)についての数35等を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値、およびΔR(ω,p)を演算する。
【0111】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」の値を検出する(ステップS2143)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」の値を得ることができる「iα」,「iβ」の値を検出する。このときの「iα」,「iβ」の値を「iαmin」,「iβmin」と定義する。
【0112】
次いで、検出した最小の箇所(例えば、「iαmin」にて得られる「α」の箇所)の付近について、より小さいステップにて係数α,βを再度定義する(ステップS2144)。具体的には、以下の数42,数43にて定義する。ここで再定義されたより小さいステップ範囲の係数α,βは、後述の処理にて、必要とする精度の近似が得られなかった場合(後述するステップS2147にて「No」と判断された場合)に使用されることとなる。
【0113】
【数42】
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【0114】
【数43】
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【0115】
次いで、Nf個の周波数の中で「ΔR(ω,p)」が最大となる周波数「fmax」の値を検出する(ステップS2145)。そして、この周波数「fmax」のときに得られるインピーダンスの差「ΔR(ω,p)max」と、導体表面インピーダンスの実部「Zs(ω)max」との比「r」を演算する(ステップS2146)。この「r」の値が小さければ小さい程、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))が導体表面インピーダンス(Zs(ω))に近似していることとなる。ここで、「ΔR(ω,p)が最大となる周波数」の箇所がピックアップされるのは、この箇所が最も近似状態が好ましくない部分であって、ここが後述する許容範囲内に存在することが確認されれば、他の箇所は当然の如く許容範囲内にあることは明らかだからである。
【0116】
次いで、演算された「r」と、先に入力された許容範囲「ΔR」との対比判断処理が行われる(ステップS2147)。
演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも小さい場合(S2147にて「Yes」)には、「ih=1」と定義されて(ステップS2148)、このサブルーチン32の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
一方、演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも大きい場合(S2147にて「No」)には、「α5=α5m,α6=α6m」、「β5=β5m,β6=β6m」、「ih=0」と定義されて(ステップS2149)、このサブルーチン32の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0117】
サブルーチン32の処理(S214)が終了した後、メインルーチンにおいては、「ih=1」であるか否かが判断される(ステップS215)。つまり、サブルーチン32の処理において、許容範囲(ΔR)を満たす結果が得られたか否かが判断される。
【0118】
許容範囲を満たす結果が得られた場合(S215にて「Yes」)には、得られた結果としての回路定数R1,R2,R3,L1,L2,L3の値が、コンピュータのディスプレイ、あるいはコンピュータに接続された出力装置等に出力され(ステップS206)、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを用いた回路定数の解析処理が終了する。
【0119】
一方、許容範囲を満たす結果が得られなかった場合(S215にて「No」)には、図6のステップS2149にて新たに設定された係数α5,α6、β5,β6を用いて再びサブルーチン32の処理が行われることとなる。
なお、ここで、サブルーチン32が再び行われる場合には、2段接続の場合と同様に、その前に「iT≧3」であるか否かが判断される(ステップS217)。「iT」は、ステップS213において「iT=1」と定義されているから、サブルーチン32が一度行われた後には、「1」のままである。よって、ここではステップS217で「No」と判断されて、「iT」の値が「1」加算されてから(ステップS218)、2回目のサブルーチン22の処理が行われることとなる。
【0120】
つまり、本実施形態においては、2段接続の場合と同様に、この3段接続の等価回路を用いた解析処理の結果が許容範囲内とならなかった場合であっても、サブルーチン32の処理が3回まで繰り返し行われることとなる。そして、サブルーチン32の処理を3回繰り返しても許容範囲内の結果を得られなければ(S217にて「Yes」)、次いで、4段接続の等価回路を用いた解析処理(S222~S228)が行われる。
このように構成されているのは、2段接続のところで述べたのと同様の理由からである。
【0121】
上述したように、サブルーチン32の処理を3回繰り返しても許容範囲(ΔR)内の結果が得られない場合(S217にて「Yes」)には、次いで、サブルーチン41の処理が行われる(ステップS222)。図7は、サブルーチン41のフローチャートを示したものである。
【0122】
図7によれば、4段接続の等価回路についての解析処理を行うべく、先に述べたRL関係式である数29,数30、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)の演算処理等が行われる(ステップS2221)。
ここで係数α,β,γは、図7のステップS2221内に示すように、上記数33と「iα」,「iβ」,「iγ」とを用いた指数関数「α=a1(a2/a1)^(iα/Na)」,「β=a1(a2/a1)^(iβ/Na)」,「γ=a1(a2/a1)^(iγ/Na)」として与えられる。「iα」,「iβ」,「iγ」は、本実施形態においては、「1~500」までの変数として与えられる。
【0123】
より具体的に説明すると、2段接続等の場合と略同様に、このステップS2221においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」,「β」,「γ」ごとに、数29,数30を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)において上記数35を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値を演算する。
【0124】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」の値を検出する(ステップS2222)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」の値を得ることができる「iα」,「iβ」,「iγ」の値を検出する。このときのそれぞれの値を「iαmin」,「iβmin」,「iγmin」と定義する。
【0125】
次いで、検出した最小の箇所(「iαmin」,「iβmin」,「iγmin」にて得られる「α」,「β」,「γ」の箇所)の付近について、より小さいステップにてそれぞれの係数を定義する(ステップS2223)。具体的には、以下の数44,数45,数46にて定義する。本実施形態においては、以下のようにより小さいステップにて定義された係数α,β,γによって、次工程以降の処理が行われる。
【0126】
【数44】
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【0127】
【数45】
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【0128】
【数46】
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【0129】
本実施形態においては、上記数44~数46の演算を終えて、このサブルーチン41の処理を終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0130】
サブルーチン41の処理(S222)が終了した後、メインルーチンにおいては、「iT=1」と定義されて(ステップS223)、サブルーチン42の処理(ステップS224)が開始される。図8は、サブルーチン42のフローチャートを示したものである。
このサブルーチン42においては、入力データおよびサブルーチン41にて得られた結果に基づいて、回路定数R,Lの解析を行う。ここでは、サブルーチン41にて検出した極小となるところの付近について、より小さいステップで係数α,β,γ等を変化させて、極小点をさらに特定していく。
【0131】
図8によれば、まず、あらためてより狭い範囲に設定されたα(α5~α6),β(β5~β6),γ(γ5~γ6)についてのステップ幅da,db,dgを、以下の数47のように定める(ステップS2241)。
【0132】
【数47】
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【0133】
次いで、ステップS2242においては、先に述べたRL関係式である数29,数30、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)、加えてΔR(ω,p)の演算処理等が行われる。「ΔR(ω,p)」は、先にも述べた通り、導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との差の絶対値を示している。
ここで係数α,β,γは、図8のステップS2242内に示すように、上記数47と「iα」,「iβ」,「iγ」と係数α5,β5,γ5とを用いた関数「α=α5+(iα×da)」,「β=β5+(iβ×db)」,「γ=γ5+(iγ×dg)」として与えられる。「iα」,「iβ」,「iγ」は、ここでは、「1~500」までの変数として与えられる。
【0134】
より具体的に説明すると、このステップS2242においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」,「β」,「γ」ごとに、数29,数30を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)についての数35等を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値、およびΔR(ω,p)を演算する。
【0135】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」の値を検出する(ステップS2243)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」の値を得ることができる「iα」,「iβ」,「iγ」の値を検出する。このときの「iα」,「iβ」,「iγ」の値を「iαmin」,「iβmin」,「iγmin」と定義する。
【0136】
次いで、検出した最小の箇所(例えば、「iαmin」にて得られる「α」の箇所)の付近について、より小さいステップにて係数α,β,γを再度定義する(ステップS2244)。具体的には、以下の数48~数50にて定義する。ここで再定義されたより小さいステップ範囲の係数α,β,γは、後述の処理にて、必要とする精度の近似が得られなかった場合(後述するステップS2247にて「No」と判断された場合)に使用されることとなる。
【0137】
【数48】
JP0004302479B2_000055t.gif

【0138】
【数49】
JP0004302479B2_000056t.gif

【0139】
【数50】
JP0004302479B2_000057t.gif

【0140】
次いで、Nf個の周波数の中で「ΔR(ω,p)」が最大となる周波数「fmax」の値を検出する(ステップS2245)。そして、この周波数「fmax」のときに得られるインピーダンスの差「ΔR(ω,p)max」と、導体表面インピーダンスの実部「Zs(ω)max」との比「r」を演算する(ステップS2246)。この「r」の値が小さければ小さい程、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))が導体表面インピーダンス(Zs(ω))に近似していることとなる。ここで、「ΔR(ω,p)が最大となる周波数」の箇所がピックアップされるのは、この箇所が最も近似状態が好ましくない部分であって、ここが後述する許容範囲内に存在することが確認されれば、他の箇所は当然の如く許容範囲内にあることは明らかだからである。
【0141】
次いで、演算された「r」と、先に入力された許容範囲「ΔR」との対比判断処理が行われる(ステップS2247)。
演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも小さい場合(S2247にて「Yes」)には、「ih=1」と定義されて(ステップS2248)、このサブルーチン42の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
一方、演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも大きい場合(S2247にて「No」)には、「α5=α5m,α6=α6m」、「β5=β5m,β6=β6m」、「γ5=γ5m,γ6=γ6m」、「ih=0」と定義されて(ステップS2249)、このサブルーチン42の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0142】
サブルーチン42の処理(S224)が終了した後、メインルーチンにおいては、「ih=1」であるか否かが判断される(ステップS225)。つまり、サブルーチン42の処理において、許容範囲(ΔR)を満たす結果が得られたか否かが判断される。
【0143】
許容範囲を満たす結果が得られた場合(S225にて「Yes」)には、得られた結果としての回路定数R1~R4,L1~L4の値が、コンピュータのディスプレイ、あるいはコンピュータに接続された出力装置等に出力され(ステップS206)、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを用いた回路定数の解析処理が終了する。
【0144】
一方、許容範囲を満たす結果が得られなかった場合(S225にて「No」)には、図8のステップS2249にて新たに設定された係数α5,α6、β5,β6、γ5,γ6を用いて再びサブルーチン42の処理が行われることとなる。
なお、ここで、サブルーチン42が再び行われる場合には、2段接続等の場合と同様に、その前に「iT≧3」であるか否かが判断される(ステップS227)。「iT」は、ステップS223において「iT=1」と定義されているから、サブルーチン42が一度行われた後には、「1」のままである。よって、ここではステップS227で「No」と判断されて、「iT」の値が「1」加算されてから(ステップS228)、2回目のサブルーチン22の処理が行われることとなる。
【0145】
つまり、本実施形態においては、2段接続等の場合と同様に、この4段接続の等価回路を用いた解析処理の結果が許容範囲内とならなかった場合であっても、サブルーチン42の処理が3回まで繰り返し行われることとなる。そして、サブルーチン42の処理を3回繰り返しても許容範囲内の結果を得られなければ(S227にて「Yes」)、次いで、5段接続の等価回路を用いた解析処理(S232~S239)が行われる。
このように構成されているのは、2段接続のところで述べたのと同様の理由からである。
【0146】
上述したように、サブルーチン42の処理を3回繰り返しても許容範囲(ΔR)内の結果が得られない場合(S227にて「Yes」)には、次いで、サブルーチン51の処理が行われる(ステップS232)。図9は、サブルーチン51のフローチャートを示したものである。
【0147】
図9によれば、5段接続の等価回路についての解析処理を行うべく、先に述べたRL関係式である数23,数24、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)の演算処理等が行われる(ステップS2321)。
ここで係数α,β,γ,δは、図9のステップS2321内に示すように、上記数33と「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」とを用いた指数関数「α=a1(a2/a1)^(iα/Na)」,「β=a1(a2/a1)^(iβ/Na)」,「γ=a1(a2/a1)^(iγ/Na)」,「δ=a1(a2/a1)^(iδ/Na)」として与えられる。「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」は、本実施形態においては、「1~500」までの変数として与えられる。
【0148】
より具体的に説明すると、2段接続等の場合と略同様に、このステップS2321においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」,「β」,「γ」,「δ」ごとに、数23,数24を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)において上記数35を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値を演算する。
【0149】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」,「δ」の値を検出する(ステップS2322)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」,「δ」の値を得ることができる「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」の値を検出する。このときのそれぞれの値を「iαmin」,「iβmin」,「iγmin」,「iδmin」と定義する。
【0150】
次いで、検出した最小の箇所(「iαmin」,「iβmin」,「iγmin」,「iδmin」にて得られる「α」,「β」,「γ」,「δ」の箇所)の付近について、より小さいステップにてそれぞれの係数を定義する(ステップS2323)。具体的には、以下の数51~数54にて定義する。本実施形態においては、以下のようにより小さいステップにて定義された係数α,β,γ,δによって、次工程以降の処理が行われる。
【0151】
【数51】
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【0152】
【数52】
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【0153】
【数53】
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【0154】
【数54】
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【0155】
本実施形態においては、上記数51~数54の演算を終えて、このサブルーチン51の処理を終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0156】
サブルーチン51の処理(S232)が終了した後、メインルーチンにおいては、「iT=1」と定義されて(ステップS233)、サブルーチン52の処理(ステップS234)が開始される。図10は、サブルーチン52のフローチャートを示したものである。
このサブルーチン52においては、入力データおよびサブルーチン51にて得られた結果に基づいて、回路定数R,Lの解析を行う。ここでは、サブルーチン51にて検出した極小となるところの付近について、より小さいステップで係数α,β,γ,δ等を変化させて、極小点をさらに特定していく。
【0157】
図10によれば、まず、あらためてより狭い範囲に設定されたα(α5~α6),β(β5~β6),γ(γ5~γ6),δ(δ5~δ6)についてのステップ幅da,db,dg,ddを、以下の数55のように定める(ステップS2341)。
【0158】
【数55】
JP0004302479B2_000062t.gif

【0159】
次いで、ステップS2342においては、先に述べたRL関係式である数23,数24、および数2,数3に基づく微係数(数31,数32)、加えてΔR(ω,p)の演算処理等が行われる。「ΔR(ω,p)」は、先にも述べた通り、導体表面インピーダンス(Zs(ω))の実部と、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))の実部との差の絶対値を示している。
ここで係数α,β,γ,δは、図10のステップS2342内に示すように、上記数55と「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」と係数α5,β5,γ5,δ5とを用いた関数「α=α5+(iα×da)」,「β=β5+(iβ×db)」,「γ=γ5+(iγ×dg)」,「δ=δ5+(iδ×dd)」として与えられる。「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」は、ここでは、「1~500」までの変数として与えられる。
【0160】
より具体的に説明すると、このステップS2342においては、ある範囲内にてあるステップで与えられる「α」,「β」,「γ」,「δ」ごとに、数23,数24を演算すると共に、各角周波数(Nf個の周波数)についての数35等を演算する。つまり、等価回路インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Sin(ω,p)」と、導体表面インピーダンスの実部の角周波数に対する微係数「Ss(ω)」との差の絶対値、およびΔR(ω,p)を演算する。
【0161】
次いで、Nf個の周波数に対する「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」,「δ」の値を検出する(ステップS2343)。つまり、「ΔS(ω,p)」の総和が最小となる「α」,「β」,「γ」,「δ」の値を得ることができる「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」の値を検出する。このときの「iα」,「iβ」,「iγ」,「iδ」の値を「iαmin」,「iβmin」,「iγmin」,「iδmin」と定義する。
【0162】
次いで、検出した最小の箇所(例えば、「iαmin」にて得られる「α」の箇所)の付近について、より小さいステップにて係数α,β,γ,δを再度定義する(ステップS2344)。具体的には、以下の数56~数59にて定義する。ここで再定義されたより小さいステップ範囲の係数α,β,γ,δは、後述の処理にて、必要とする精度の近似が得られなかった場合(後述するステップS2347にて「No」と判断された場合)に使用されることとなる。
【0163】
【数56】
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【0164】
【数57】
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【0165】
【数58】
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【0166】
【数59】
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【0167】
次いで、Nf個の周波数の中で「ΔR(ω,p)」が最大となる周波数「fmax」の値を検出する(ステップS2345)。そして、この周波数「fmax」のときに得られるインピーダンスの差「ΔR(ω,p)max」と、導体表面インピーダンスの実部「Zs(ω)max」との比「r」を演算する(ステップS2346)。この「r」の値が小さければ小さい程、等価回路インピーダンス(Zin(ω,p))が導体表面インピーダンス(Zs(ω))に近似していることとなる。ここで、「ΔR(ω,p)が最大となる周波数」の箇所がピックアップされるのは、この箇所が最も近似状態が好ましくない部分であって、ここが後述する許容範囲内に存在することが確認されれば、他の箇所は当然の如く許容範囲内にあることは明らかだからである。
【0168】
次いで、演算された「r」と、先に入力された許容範囲「ΔR」との対比判断処理が行われる(ステップS2347)。
演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも小さい場合(S2347にて「Yes」)には、「ih=1」と定義されて(ステップS2348)、このサブルーチン52の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
一方、演算された「r」が許容範囲「ΔR」よりも大きい場合(S2347にて「No」)には、「α5=α5m,α6=α6m」、「β5=β5m,β6=β6m」、「γ5=γ5m,γ6=γ6m」、「δ5=δ5m,δ6=δ6m」、「ih=0」と定義されて(ステップS2349)、このサブルーチン52の処理が終了して、図2のメインルーチンにリターンする。
【0169】
サブルーチン52の処理(S234)が終了した後、メインルーチンにおいては、「ih=1」であるか否かが判断される(ステップS235)。つまり、サブルーチン52の処理において、許容範囲(ΔR)を満たす結果が得られたか否かが判断される。
【0170】
許容範囲を満たす結果が得られた場合(S235にて「Yes」)には、得られた結果としての回路定数R1~R5,L1~L5の値が、コンピュータのディスプレイ、あるいはコンピュータに接続された出力装置等に出力され(ステップS206)、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを用いた回路定数の解析処理が終了する。
【0171】
一方、許容範囲を満たす結果が得られなかった場合(S235にて「No」)には、図10のステップS2349にて新たに設定された係数α5,α6、β5,β6、γ5,γ6、δ5,δ6を用いて再びサブルーチン52の処理が行われることとなる。
なお、ここで、サブルーチン52が再び行われる場合には、2段接続等の場合と同様に、その前に「iT≧3」であるか否かが判断される(ステップS237)。「iT」は、ステップS233において「iT=1」と定義されているから、サブルーチン52が一度行われた後には、「1」のままである。よって、ここではステップS237で「No」と判断されて、「iT」の値が「1」加算されてから(ステップS238)、2回目のサブルーチン22の処理が行われることとなる。
【0172】
つまり、本実施形態においては、2段接続等の場合と同様に、この5段接続の等価回路を用いた解析処理の結果が許容範囲内とならなかった場合であっても、サブルーチン52の処理が3回まで繰り返し行われることとなる。そして、サブルーチン52の処理を3回繰り返しても許容範囲内の結果を得られなければ(S237にて「Yes」)、「最大5段では許容範囲を満たす解析結果を得ることができませんでした。条件を変更して下さい。」等のメッセージを表示して(ステップS239)、一連の処理を終了すべく構成されている。
【0173】
本実施形態にかかる回路定数解析プログラムは、5段接続の等価回路を用いた解析を3回繰り返しても、許容範囲(ΔR)内の結果が得られない場合には、上述したように、「メッセージ」を表示して、入力条件の変更を促すが、実用的な範囲においては、ほとんどの場合は、この回路定数解析プログラムの範囲内(すなわち5段接続までの範囲内)で、高精度近似を実現することが可能である。
【0174】
本実施形態にかかる回路定数解析プログラムは、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムによれば、単位等価回路の接続段数に応じて、それぞれ、未知数R,Lを数23~数30のように定義しているため、それぞれの係数α,β,γ,δを調整することで、解析の対象として考えている周波数帯域内の導体表面インピーダンスを高精度に近似可能である。
また、単位等価回路の接続段数pを増加させることで、さらに精度よく広帯域近似が可能である。
さらに、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムによれば、単位等価回路の接続段数が少ないものから順番に演算を行い、要求された許容範囲を満足した段階で解析を終了すべく構成されているため、効率よく短時間で解析を行うことができる。
【0175】
以下に、本発明の実施例を示す。なお、以下に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例1】
【0176】
ここでは、単位等価回路の接続段数pを5段とし、導体が「銅」である場合について例示する。つまり、銅の導体表面インピーダンスを近似する。
なお、上記実施形態における回路定数解析プログラムにおいては、単位等価回路の接続段数pが2段から順番に増える(許容範囲に適合するか否かに応じて増える)場合について説明したが、この実施例では、単にデータを入力してその結果を確認する場合を示す。
【0177】
入力データは、銅の導電率(σ)として「5.8×107S/m」、透磁率(μ)として「4π×10-7H/m」、中心周波数(f0=ω0/2π)として「5GHz」、等価近似したい周波数帯域の下限周波数(fL)として「3GHz」、等価近似したい周波数帯域の上限周波数(fH)として「7GHz」とした。
【0178】
単位等価回路の接続段数pが5段であって、入力データを上記の値とした場合、本発明にかかる回路定数解析プログラムによれば、各係数が、「α=3.46536」,「β=1.42676」,「γ=1.08953」,「δ=31.90416」のように求められ、これらの係数に基づいて、数23および数24における各回路定数が定まる。
【0179】
そして、これらの係数を用いて導体表面インピーダンスを近似したときの結果を図11に示す。ここでは、図11(a)がレジスタンス成分の近似状態を示し、図11(b)がリアクタンス成分の近似状態を示している。この図11によれば、レジスタンス成分とリアクタンス成分が共に近似誤差1%未満である周波数帯域は、1.2GHz~20.8GHzである。
【実施例2】
【0180】
次に、実施例2であるが、この実施例も基本的には実施例1と同様であり、その入力データ(周波数帯域)のみが異なる。
【0181】
実施例2における入力データは、銅の導電率(σ)として「5.8×107S/m」、透磁率(μ)として「4π×10-7H/m」、中心周波数(f0=ω0/2π)として「50GHz」、等価近似したい周波数帯域の下限周波数(fL)として「10GHz」、等価近似したい周波数帯域の上限周波数(fH)として「100GHz」とした。
【0182】
単位等価回路の接続段数pが5段であって、入力データを上記の値とした場合、本発明にかかる回路定数解析プログラムによれば、各係数が、「α=28.32169」,「β=1.60669」,「γ=0.85991」,「δ=3.76752」のように求められ、これらの係数に基づいて、数23および数24における各回路定数が定まる。
【0183】
そして、これらの係数を用いて導体表面インピーダンスを近似したときの結果を図12に示す。ここでは、図12(a)がレジスタンス成分の近似状態を示し、図12(b)がリアクタンス成分の近似状態を示している。この図12によれば、レジスタンス成分とリアクタンス成分が共に近似誤差1%未満である周波数帯域は、6.1GHz~413.6GHzである。
つまり、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを用いれば、広帯域にわたって近似精度を高く維持可能であることが分かる。
【実施例3】
【0184】
次に、上記実施形態にかかる回路定数解析プログラムをFDTD法に適用する場合の実施例を示す。
【0185】
導体表面については、磁界Hn+1/2と磁界Enとから次の新しい電界En+1を演算することが可能である。具体的には、以下の数式を用いて演算することができる。なお、下記数式におけるA,V,H,Eの右肩の添字は時間ステップを表している。
【0186】
【数60】
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【0187】
【数61】
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【0188】
【数62】
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【0189】
すなわち、上記数60~数62に対して、等価回路定数Ri,Li(i=1,2,…,p)、電界の過去の値En、磁界の値Hn+1/2、回路電圧の過去の値Vn-3/2,Vn-1/2、変数Aの過去の値An-1を入力することによって、電界の新しい値En+1を演算することができる。そして、この入力の際に、先に説明した本実施形態にかかる回路定数解析プログラムにて得られた等価回路定数Ri,Li(i=1,2,…,p)を用いることによって、効率的且つ高精度に電界値を得ることができる。
このように、本実施形態にかかる回路定数解析プログラムをFDTD法に適用する場合には、回路定数解析プログラム自身を一つのサブルーチンとして、FDTD法に組み込めばよい。
【0190】
なお、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0191】
上記実施形態においては、等価回路が2段接続された状態から、5段接続された状態までの計算を順番に行い、適切な値が得られた段階で演算が終了する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、この段数については様々な設定が可能である。例えば、データ入力時に、予め何段の等価回路について演算を行うのかを入力すべく構成してもよい。また、例えば、5段のみの設定を行い、全てについて5段接続された等価回路についての演算を行うように構成してもよい。
【0192】
また、上記実施例3においては、FDTD法に適用する場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、導体の表面インピーダンスを広帯域に計算することが必要な色々な方法についても適用可能である。例えば、有限要素法、TLM法等の方法について適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の実施形態にて導体表面インピーダンス(Zs(ω))を近似するRL等価回路の概略図である。
【図2】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムのメインルーチンのフローチャートである。
【図3】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン21のフローチャートである。
【図4】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン22のフローチャートである。
【図5】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン31のフローチャートである。
【図6】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン32のフローチャートである。
【図7】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン41のフローチャートである。
【図8】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン42のフローチャートである。
【図9】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン51のフローチャートである。
【図10】本実施形態にかかる回路定数解析プログラムを構成するサブルーチン52のフローチャートである。
【図11】本発明の実施例1についての近似結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例2についての近似結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0194】
1 等価回路
10 単位等価回路
11 抵抗
12 コイル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11