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明細書 :冷凍カニの加工方法および加工装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4078428号 (P4078428)
公開番号 特開2005-278423 (P2005-278423A)
登録日 平成20年2月15日(2008.2.15)
発行日 平成20年4月23日(2008.4.23)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
発明の名称または考案の名称 冷凍カニの加工方法および加工装置
国際特許分類 A22C  29/00        (2006.01)
A23L   1/33        (2006.01)
FI A22C 29/00
A23L 1/33 A
請求項の数または発明の数 7
全頁数 28
出願番号 特願2004-093836 (P2004-093836)
出願日 平成16年3月26日(2004.3.26)
審査請求日 平成19年2月27日(2007.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】羽倉 義雄
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
審査官 【審査官】清水 康
参考文献・文献 特開平06-181678(JP,A)
実開平06-013762(JP,U)
特開平05-084038(JP,A)
実開平06-052469(JP,U)
特開2004-073061(JP,A)
特公昭59-048635(JP,B1)
特開昭63-287471(JP,A)
実開平06-003092(JP,U)
調査した分野 A22C 29/00
A23L 1/33
特許請求の範囲 【請求項1】
凍結したカニ脚を、カニ殻とカニ肉とに分離する加工方法であって、
上記カニ脚のカニ殻を圧壊する圧壊工程と、
上記カニ脚から上記カニ肉を分離する分離工程とを含み、
上記カニ殻を圧壊する時点での上記カニ殻及び上記カニ肉は、-18℃~-40℃であり、
上記圧壊工程では、
上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な面を仮定した場合に、同一面上に位置する2つの部分でカニ脚を挟んで圧縮し、且つ、
上記略垂直な面内の最長の径の両端付近にて該最長の径と交差する方向にカニ脚を圧縮することを特徴とする冷凍カニの加工方法。
【請求項2】
上記カニ殻を圧壊する時点での上記カニ殻及び上記カニ肉は、-20℃~-30℃であることを特徴とする請求項1に記載の冷凍カニの加工方法。
【請求項3】
上記圧壊工程中の上記カニ殻及び上記カニ肉は、液体窒素の蒸発により発生する潜熱を用いて、冷却されることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍カニの加工方法。
【請求項4】
凍結したカニ脚を、カニ殻とカニ肉とに分離する冷凍カニの加工装置であって、
上記カニ脚を支持するカニ脚支持手段と、
上記カニ脚支持手段に荷重をかけることにより上記カニ脚支持手段に支持されたカニ脚をその長さ方向に対して略垂直な方向に圧縮するカニ脚圧縮手段と、
上記カニ脚が上記略垂直な方向に圧縮される時点の上記カニ殻及び上記カニ肉の温度を、-18℃~-40℃にする冷却手段とを備えており、
上記カニ脚支持手段は、上記カニ脚圧縮手段によって荷重がかけられると、カニ脚が、上記略垂直な面内の最長の径の両端付近にて該最長の径と交差する方向に圧縮されるように、上記略垂直な面上に位置する4つの部分にて上記カニ脚と接触する形状であることを特徴とする冷凍カニの加工装置。
【請求項5】
上記冷却手段は、上記カニ脚が上記略垂直な方向に圧縮される時点の上記カニ殻及び上記カニ肉の温度を、-20℃~-30℃にすることを特徴とする請求項4に記載の冷凍カニの加工装置。
【請求項6】
上記冷却手段は、液体窒素の蒸発により発生する潜熱を用いて、上記カニ脚を冷却するように構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の冷凍カニの加工装置。
【請求項7】
上記カニ脚支持手段は、互いに対応する面を有する一対の構造体であり、
上記互いに対応する面には、合致する位置に凹溝が設けられており、
上記凹溝の幅は、上記カニ脚の上記楕円形の最長の径よりも短く構成されていることを特徴とする請求項4から6までの何れか1項に記載の冷凍カニの加工装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍カニの加工方法および加工装置に関し、より詳細には、冷凍カニのカニ脚を凍結したままの状態でカニ殻とカニ肉に分離する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国内におけるカニの漁獲量は年々減少している傾向にある。その一方で、世界の水産業におけるカニの生産量は、増加していることが報告されている。そのため、国内におけるカニの消費量のうち、海外からの輸入が占める割合は年々高くなる傾向にある。
【0003】
国内の水産物輸入実績において、カニ(活、生鮮、冷蔵、冷凍)の主な輸入先は、ロシア、カナダ、米国、中国、朝鮮民主主義人民共和国である。輸入しているカニのうち、ズワイガニを例に挙げると、その輸入量が一番多い国はロシア(輸入ズワイガニの約60%を占める)、次いでカナダ(約30%)である(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
輸入されるカニの多くは、輸入先でボイルおよび脱甲した後、2つに裁断したものを急速冷凍した状態(以下、これを半製品と呼ぶ)にしたものを流通させている。国内にて水揚げされるカニについても、その多くはボイルおよび脱甲を中心に加工した半製品が流通している。これらの半製品は、加工業者によって剥き身、つめ、棒状といった製品に仕上げられた後、市場に販売される。

【非特許文献1】農林水産省経済局統計情報部〔編〕:ポケット 水産統計,農林統計協会(2002)P.110,111,191,201
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冷凍した半製品のカニの加工は、その工程が煩雑であり、さらに、コスト面についても問題を抱えている。すなわち、一般的に行われている冷凍カニの加工は、多数の労働力を必要としており、機械化による加工はほとんど行われていない。これは、カニ自体が品質劣化し易い材料であるということが理由に挙げられる。特に剥き身する加工においては、冷凍状態で輸入されたカニであってもある程度解凍してからでなくては加工できなかった。そのため、加工に要する時間が長くなることや、解凍するためにカニの保存温度を上げなくてはならないこと等から、カニ自体の品質劣化および、菌の増殖を促進してしまう可能性が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍カニの剥き身加工を、冷凍カニを解凍することなく、かつ、効率的に行う冷凍カニの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、上記の問題点に鑑みて鋭意検討した結果、冷凍カニの殻付きのカニ脚およびカニ脚内部のカニ肉には、凍結温度依存性を有する破断ひずみおよび破断応力があるということを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る冷凍カニの低温加工方法は、凍結したカニ脚を、カニ殻とカニ肉とに分離する加工方法であって、上記カニ脚のカニ殻を圧壊する圧壊工程と、上記カニ脚から上記カニ肉を分離する分離工程とを含み、上記圧壊工程および上記分離工程における上記カニ脚は凍結していることを特徴としている。
【0009】
上記冷凍カニの低温加工方法は、上記カニ脚の温度が、-18℃~-40℃の温度範囲で行われることが好ましく、-20℃~-30℃の温度範囲で行われることがより好ましい。
【0010】
また、上記冷凍カニの低温加工方法は、上記圧壊工程が、上記カニ脚を挟み、上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な方向にカニ脚を圧縮することによって上記カニ殻を圧壊することが好ましい。
【0011】
さらに、上記冷凍カニの低温加工方法は、上記圧壊工程が、上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な面を仮定した場合に、同一面上に位置する2つの部分を挟んで圧縮することにより行われることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る冷凍カニの加工装置は、凍結したカニ脚を、カニ殻とカニ肉とに分離する冷凍カニの加工装置であって、上記カニ脚を支持するカニ脚支持手段と、上記カニ脚支持手段に荷重をかけることにより上記カニ脚支持手段に支持されたカニ脚をその長さ方向に対して略垂直な方向に圧縮するカニ脚圧縮手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
また上記冷凍カニの加工装置は、上記カニ脚支持手段が、上記カニ脚の長さ方向に対して略面を仮定した場合に、同一面上に位置する2つの部分に接触する形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る冷凍カニの加工方法は、凍結したカニ脚を、カニ殻とカニ肉とに分離する加工方法であって、上記カニ脚のカニ殻を圧壊する圧壊工程と、上記カニ脚から上記カニ肉を分離する分離工程とを含み、上記圧壊工程および上記分離工程における上記カニ脚は凍結していることを特徴としている。
【0015】
これにより、冷凍カニを解凍することなく、効率的に上記カニ脚から上記カニ肉を分離することが可能となる。
【0016】
すなわち、従来までの冷凍カニの加工方法では、冷凍カニを剥き身等の製品に加工する場合に、ある程度解凍してから加工する必要があった。そのため、解凍に伴って上述したような問題があった。
【0017】
そこで、本発明に係る冷凍カニの加工方法を用いることにより、冷凍カニは解凍することなく剥き身等の製品に加工することができる。すなわち、本発明における低温加工方法は、解凍に要する時間および解凍手段を必要としないことから、従来の方法によって加工される冷凍カニと比較して、コストの低減および加工効率の向上を実現することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係る加工方法では、冷凍カニを解凍することなく、カニ殻と上記カニ肉とを分離することができることから、解凍によるカニ肉の品質劣化を抑制することが可能となる。具体的には、カニ肉の温度上昇による菌の増殖を抑制することができるため、安全なカニ肉を提供することが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る冷凍カニの加工装置は、凍結したカニ脚を、カニ殻とカニ肉とに分離する冷凍カニの加工装置であって、上記カニ脚を支持するカニ脚支持手段と、上記カニ脚支持手段に荷重をかけることにより上記カニ脚支持手段に支持されたカニ脚をその長さ方向に対して略垂直な方向に圧縮するカニ脚圧縮手段とを備えていることを特徴としている。
【0020】
これにより、冷凍カニを解凍することなく、かつ、装置によって機械的に加工することが可能となる。したがって、多数の労働力を必要としていた従来の冷凍カニの加工と比較し、冷凍カニの加工を機械化することができることからコストの低減が実現できる。具体的に、カニ脚圧縮手段による凍結したカニ脚の殻の圧壊は、容易に、かつ、短時間で行うことができることから、総合的に換算しても本発明の加工方法による冷凍カニの加工処理時間は、従来の加工処理時間と比較して短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態について説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施の形態においては、冷凍カニとして冷凍ズワイガニを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、剥き身等の加工品として需要のある冷凍カニであればよい。
【0022】
<凍結カニ殻および凍結カニ肉の凍結水の融解開始温度>
本発明における冷凍したカニ脚のカニ殻およびカニ肉における凍結水の融解開始温度を測定する。
【0023】
本実施の形態では、試料の融解開始温度を特定するためにDSC(Differential Scanning Calorimeter:示唆走査熱量計)測定を行った。測定に用いる装置としては、例えばセイコー電子工業株式会社製のDSC120システムを用いることができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、これと同様の測定を達成することができる装置であればよい。DSC120システムは、熱流速(heat-flux)型DSC装置である。熱流速型DSCは、サンプルおよびリファレンス(reference)の温度を、調節されたプログラムに従って変化させながら、そのサンプルおよびリファレンスの温度差を、温度の関数として測定する方法である。図1にDSC120の検出部の基本的な構造を示した。図1のDSC120検出部1における電気炉14は、容器2aおよび2b、容器ホルダー3aおよび3b、熱抵抗体4aおよび4b、ヒートシンク(熱溜)5、金属ブロック6、蓋7が備えられている。上記DSC120検出部1には、さらに示差熱伝体8、温度差検出アンプ9、DSC信号回路10、レコーダー11、温度熱電対12aおよび12b、プログラム温度制御器13が備えられている。なお、上記容器2aおよび2b、上記容器ホルダー3aおよび3b、上記熱抵抗体4aおよび4bはそれぞれ、一方がサンプル用(ここでは、容器2a、容器ホルダー3a、上記熱抵抗体4aとする)であり、他方がリファレンス用(ここでは、容器2b、容器ホルダー3b、上記熱抵抗体4bとする)である。
【0024】
上記ヒートシンク5は、熱の良導体で構成されており、プログラム温度制御器13の温度プログラムに従い、温度熱電対12bを介して図示しないヒーターを用いて精密に温度コントロールされる。ヒートシンク5の熱は、容器ホルダー3aおよび3bそれぞれの熱抵抗体4aおよび4bを通じ、各容器ホルダー3aおよび3bに載せられた容器2aおよび2bに伝えられる。これにより、サンプル及びリファレンスが加熱(冷却)される。上記熱抵抗体4aおよび4bそれぞれを通る熱流束は、ヒートシンク5と熱抵抗体4aおよび4bとの接触面(以下、熱流入面と呼ぶ)と各容器ホルダー3aおよび3bの底面との温度差に比例する。ヒートシンク5は精密に温度コントロールされているため、上記熱流入面での温度は均一になっている。したがって、検体を入れた容器2aおよび2bに流入する熱流束は、ヒートシンク5と容器ホルダー3aおよび3bとの温度差に比例している。DSC120では、サンプル用の容器ホルダー3aとリファレンス用の容器ホルダー3bとの温度差を、上記温度差検出アンプ9にて検出し、上記DSC信号回路10からDSC信号として出力する。
【0025】
図2は冷凍ズワイガニの脚部15を示している。上記脚部15は、肩肉(胴肉)部16、棒肉部17、先端部18の3部分に大別することができる。具体的に本実施の形態は、上記棒肉部17を用いて行う。すなわち本発明は、棒肉部17をカニ殻とカニ肉に分離することを目的とするものである。
【0026】
上記DSC120を用いて、カニ殻およびカニ肉の融点開始温度を測定する測定方法を説明すると以下の通りである。しかしながら、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0027】
カニ試料およびリファレンスを上記容器2aおよび2bそれぞれに入れ、分析用セミ・ミクロメーターを用いて秤量する。上記リファレンスには、例えばアルミナ(Al)を用いることができる。上記カニ試料は、上述したようにカニ殻およびカニ肉を用いる。具体的なカニ試料の調製は、冷凍ズワイガニのカニ脚の棒肉部17をカニ殻とカニ肉に分離し、カニ殻サンプルとしては、殻に付着した肉を流水で洗い流し、表面に付着した水を取り除く。その後、適宜粉砕手段を用いてカニ殻を粉砕し、粉状のカニ殻サンプルを調製する。粉砕手段としては、特に限定されるものではないが、例えば調理用のハサミ等を用いて上記カニ殻を細かく刻み、その後乳鉢に入れて粉々になるまで乳棒ですり潰す方法を用いることができる。カニ肉サンプルとしては、カニ殻と分離したカニ肉を上記容器2aに入る大きさに適宜調製したものを用いることが好ましい。
【0028】
なお、上記容器2aおよび2bとしては、例えば簡易密封型のアルミパン(容量15μL)を用いることが出来る。また、上記分析用セミ・ミクロメーターとしては、例えば分析用セミ・ミクロ電子天秤HA202M(株式会社エー・アンド・デイ製:精度 0.01mg)を用いることができる。
【0029】
次に、秤量したカニ試料およびリファレンスを、それぞれ上記容器2aおよび2bに載せ、サンプルシーラーで密封し、容器2aおよび2bを上記DSC120検出部1の上記電気炉14内の容器ホルダー3aおよび3bにそれぞれ設置した後、蓋7をする。
【0030】
ここで、融解開始温度を測定するために、液体窒素を用いて上記DSC120検出部1の外側から冷却する。具体的には、測定開始前にカニ試料の温度が-130℃以下になるまで冷却することが好ましい。これは、温度調節がされていないと、測定開始からしばらくは測定値が安定しないためである。
【0031】
次に、サンプルが十分に冷却されたのち、カニ試料およびリファレンスを昇温する。測定中の昇温速度および測定温度範囲などの諸設定は、付属のプログラムにより上記プログラム温度制御器13を用いて制御することが可能である。上記昇温速度は、0.01~999.9℃/minの範囲で適宜設定することが可能である。また、上記測定温度範囲も適宜設定することが好ましく、例えば測定開始温度-130℃から測定終了温度20℃に設定する。
【0032】
上述した方法によってDSC測定を開始する。設定した測定プログラムが終了した後、DSC曲線の解析を行う。上記DSC曲線から融点やガラス転移点を測定する際は、コンピューターに付属のソフトウェアを使用することが好ましい。また、ソフトウェアの転移温度の算出方法は、JISK71211987に基づいて行うことが好ましい。
【0033】
<凍結カニ脚および凍結カニ肉の最大破断応力および破断ひずみ>
次に、本発明における冷凍ズワイガニのカニ脚および、上記カニ脚内のカニ肉の最大破断応力および破断ひずみを測定し、カニ脚およびカニ肉の破断応力と破断ひずみの凍結温度依存性を調べる。本実施の形態では、3点曲げ試験法によりカニ脚およびカニ肉最大破断応力および破断ひずみを測定する。しかしながら、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0034】
3点曲げ試験法によりカニ脚およびカニ肉最大破断応力および破断ひずみを測定するために用いる装置について説明する。本実施の形態では、低温恒温槽を設けた試験装置を用いる。図3は、上記試験装置20の基本的な構造を示した構造図である。上記試験装置20は、本体21、温度およびモーター制御装置29、ロードセル用アンプ30、ペンレコーダー31が備えられている。上記本体21内部には、可変変圧調節器22、ジャッキ23、ジャッキ駆動用モーター24、ロードセル36、リボンヒーター25、低温恒温槽26が備えられており、さらに上記低温恒温槽26内には、上部ステージ27および下部ステージ28が備えられている。
【0035】
図4は、図3に示した上記試験装置20の上記低温恒温槽26の詳細な構造およびその周辺機器を示した図である。なお、図4において図3で説明した部材と同一の部材には同一の番号を付している。なお、図4の上記低温恒温槽26内には、上記上部ステージ27および上記下部ステージ28は図示していない。
【0036】
図4には、上記ロードセル36、上記可変変圧調節器22、上記温度およびモーター制御装置29、上記ロードセル用アンプ30、上記ペンレコーダー31以外に、ロート32、アジテーター33aおよび33b、ヒーター34、デュワービン35が備えられている。
【0037】
上記デュワービン35は、上記低温恒温槽26内に設置され、低温恒温槽内を冷却するために用いられる。具体的には、液体窒素の蒸発により発生する潜熱を利用して、実験中の低温恒温槽26内の冷却とカニ試料の冷却を行うことが好ましい。そのため、液体窒素容器として上記デュワービン35を用いることが好ましい。また、上記デュワービン35は2個使用し、このうち1個には、液体窒素蒸発用の上記ヒーター34を取り付け、これを加熱することにより、液体窒素を蒸発させ、低温恒温槽26内を冷却することが好ましい。上記ヒーター34は、液体窒素を蒸発させ、低温恒温槽26内を冷却するため、上記可変変圧器22を介してAC100Vの電圧と接続した上記ヒーター(100W)34を上記デュワービン35内部に設置する。上記可変変圧器22の出力は40Vとし、上記ヒーター34を温度およびモーター制御装置29と接続することで、液体窒素の蒸発を制御し、低温恒温槽内の温度を調節することができる。また、上記ヒーター34による空だきを防止するために、上記デュワービン35内の液体窒素の液面が蒸発によりある一定の高さまで下がったときに、自動的に上記ヒーター34の電源が切れる機能を持つ空だき防止装置を低温恒温槽26内に設置することが好ましい。これにより、例えば、上記デュワービン35内においてヒーターの高さから約5mm上部に熱電対を取り付け、デュワービン35内の温度を温度測定器において測定し、上記ヒーター34の主電源を上記温度測定器に接続し、熱電対による上記デュワービン35内温度の測定値が液体窒素の沸点(-196℃)以上に達したとき、上記ヒーター34の電源を自動的に切るように設定することが可能となる。上記温度測定器としては、ディジタル指示調節計など一般的に使用されている測定器を用いることができる。
【0038】
上記温度およびモーター制御装置29は、上記低温恒温槽26内の温度調節を行うため、ヒーター34出力と連動させることが好ましい。上記温度およびモーター制御装置29は、特に限定されるものではなく、例えば横河電機株式会社製のディジタル指示調節計UT14を組み込むことができる。冷却中は、試料表面に設置した後述する熱電対(図示しない)により温度を測定し、試料表面温度が、目的温度に冷却され、また目的温度と同じ温度に維持されるように、上記温度およびモーター制御装置29による自動温度制御(PID制御)を行うことが好ましい。
【0039】
上記アジテーター33aおよび33bは、低温恒温槽26内の冷気を撹拌して、槽内の温度を均一にするために設けられる。上記アジテーターは、図に示すようにアジテーター33aおよび33bの2箇所に設けられることが好ましい。その一つは低温恒温槽26内の上部(アジテーター33a)に、もう一つは冷気が下に溜まることを考慮して、槽内の下部(アジテーター33b)に取り付けられることが好ましい。これにより、効率的に槽内の温度を均一にすることが可能となる。上記アジテーター33aは、例えば、低温恒温槽26の外側上部にAC100Vで作動するモーターを取り付け、その回転軸を、直径10mm、長さ150mmのステンレス棒に接続し、これを介して、低温恒温槽内の3枚羽のプロペラを駆動させることができる。また上記アジテーター33bは、例えば、低温恒温槽26の下部側面にモーターを取り付け、その回転軸に直径70mmのシロッコファンを取り付けて駆動させることができる。
【0040】
なお、上記低温恒温槽26の寸法としては、例えば、縦250mm、横250mm、高さ270mmの寸法のものを用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。さらに、上記低温恒温槽26内の容量をより小さくすることにより、庫内の冷却効率は増すため、可能なかぎり発泡スチロールを詰め、上記低温恒温槽26内の容量を小さくすることが好ましく、容量を小さくするために例えば発泡スチロールを詰めることも可能である。また、低温恒温槽26内の温度を測定するために用いられる図示しない熱電対には、銅‐コンスタンタン熱電対を用いることができる。上記低温恒温槽26内の温度が均一になっていることを確かめるために、熱電対の温度測定部分は、低温恒温槽内中心部、底面部、試料を設置する場所の両端に1箇所ずつ、少なくとも計4箇所に設けられることが好ましく、熱電対は上記ペンレコーダー31に接続される。また低温恒温槽内中心部に設けられた熱電対は、庫内温度を目的の温度にするため、温度およびモーター制御装置29に接続されることが好ましい。
【0041】
次に、実際に試料を3点曲げする部分である上記上部ステージ27および上記下部ステージ28について図5に基づいて詳細に説明する。図5には、上記上部ステージ27および上記下部ステージ28に加えて、支持棒27aおよび28a、曲げ試験治具40が備えられている。さらに、図5には模式的にカニ試料41を図示している。上記曲げ試験治具40を、上記上部ステージ27および上記下部ステージ28それぞれに備えられた上記支持棒27aおよび28aの先端に取り付けることで、カニ試料41を固定することができる。上記支持棒27aおよび28aの材質は、特に限定されるものではないが、例えばステンレスを用いることができる。上記下部ステージ28に備えられた2本の上記支持棒28aのスパンは、適宜設定することができる。
【0042】
次に、上記試験装置20を用いて、カニ脚およびカニ肉の最大破断応力および破断ひずみを測定する方法を説明する。
【0043】
カニ試料の調製は、冷凍ズワイガニの胴部分とカニ脚とに分離し、上述したように棒肉部17(図2)をカニ脚サンプルとして調製し、カニ肉は、上記棒肉部17からカニ殻を除いたものを調製する。なお、本測定においては、カニ肉の破断応力および破断ひずみを測定するため、カニ肉サンプルの調製は、カニ肉に傷を付けずに調製することが好ましい。
【0044】
まず、調製したカニ試料(カニ脚サンプルまたはカニ肉サンプル)を低温恒温装置で試験最適温度に達するまで冷却する。ここで、試料が試験最適温度に達したか否かを判断するために、同一の試料をもう1つ準備し、これを温度測定用試料として用い、その中心に上記熱電対を差し込み、試料の中心温度測定することが好ましい。
【0045】
試験最適温度に達したところで、下部ステージ28の上記曲げ試験治具40にカニ試料を載せ、破断試験を行った。具体的には、下部ステージ28の曲げ試験治具40の破断速度は7mm/minであることが好ましく、図5に示すように下部ステージ28を上方に移動させて、カニ脚サンプルまたはカニ肉サンプルを3点曲げする。これにより、カニ脚またはカニ肉の最大破断応力および破断ひずみを測定することが可能となる。破断に要した荷重をペンレコーダー31(図4)で記録し、破断が確認されたところで測定を終了する。最後に、各カニ試料の破断面の寸法および破断荷重の測定結果から破断応力および破断ひずみを算出することができる。
【0046】
本実施の形態で用いたカニ試料であるカニ脚サンプルまたはカニ肉サンプルは、断面が楕円形であった可能性が高い。そのため、破断応力(曲げ応力)を測定する場合は、断面2次モーメントが必要となる。カニ試料の断面2次モーメントを求めるために必要な破断カニ試料の寸法を図6に示す。図6に示すように、幅aはカニ試料の断面における最長の半径であり、幅bはカニ試料の断面における最短の半径である。数式(1)にカニ試料の断面2次モーメント(Iz)を算出する式を示す。
【0047】
【数1】
JP0004078428B2_000002t.gif

【0048】
次に、数式(2)に破断応力を算出する式を示す。
【0049】
【数2】
JP0004078428B2_000003t.gif

【0050】
破断ひずみは上記ペンレコーダー31で記録した最大荷重時の破断荷重(F)、その時の変位量(C)、カニ試料の断面2次モーメント(Iz)、スパンの長さ(λ)およびヤング率(E)によって求められる。なお、スパンの長さとは下部ステージ28の2本の支持棒28aに備えられた曲げ試験治具40の間隔の長さのことである。数式(3)に、変位量(C)を算出する式を示すと、
【0051】
【数3】
JP0004078428B2_000004t.gif

【0052】
となる。
【0053】
さらに、数式(3)を書き変えると、下記の数式(4)
【0054】
【数4】
JP0004078428B2_000005t.gif

【0055】
になる。
【0056】
破断ひずみの定義式は、b/r(試験片断面の短長の半径/曲率半径)であるが、カニ試料断面の最短の半径、すなわち幅bは個々によって異なるため、破断ひずみを求める実験式には次の数式(5)が成り立つ。
【0057】
【数5】
JP0004078428B2_000006t.gif

【0058】
上述した凍結カニ殻および凍結カニ肉の凍結水の融解開始温度および、凍結カニ脚および凍結カニ肉の最大破断応力および破断ひずみの測定に基づいて、冷凍カニ(冷凍ズワイガニ)のカニ脚およびカニ肉には、その破断応力および破断ひずみに凍結温度依存性があることが明らかとなった。上述したDSC120システム(図1)や試験装置20(図3)を用いて行った実際の実験結果は後述する。
【0059】
そこで以下に、上述した凍結カニ殻および凍結カニ肉の凍結水の融解開始温度および、凍結カニ脚および凍結カニ肉の最大破断応力および破断ひずみの測定に基づく、冷凍カニの加工方法および加工装置について説明する。
【0060】
(1)本発明に係る冷凍カニの加工方法
本発明に係る冷凍カニの低温加工方法は、カニ脚から、カニ脚内部のカニ肉を分離する加工方法であって、上記カニ脚のカニ殻を圧壊する圧壊工程と、上記カニ殻と上記カニ肉とを分離する分離工程とを含んでいる。上記圧壊工程とは、冷凍されたカニ脚からカニ肉を分離するためにカニ殻に圧力(荷重)をかけることによってカニ殻を壊す工程であり。また、上記分離工程とは、上記圧壊工程において圧壊したカニ殻を有するカニ脚からカニ肉を分離する工程である。さらに本発明に加工方法は、上記圧壊工程および上記分離工程におけるカニ脚が凍結していることを特徴としている。具体的には、本発明に係る冷凍カニの加工は、上述したように冷凍カニのカニ脚およびカニ肉に、凍結温度依存性を有する破断応力および破断ひずみがあるということに基づいている。なお、上述したように、本実施の形態においては、冷凍カニとして冷凍ズワイガニを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、剥き身等の加工品として需要のある冷凍カニであれば上記に限定されるものではない。
【0061】
従来の冷凍カニの加工、すなわちカニ殻とカニ肉との分離は、冷凍カニをある程度解凍してカニ肉を分離していた。これは、カニ脚が凍結している状態では、カニ殻およびカニ肉は非常に硬く、手作業による加工は困難であるためである。したがって、従来の加工方法は、上述したように、解凍工程を含む必要があり、生産効率が上がらない。さらに、冷凍カニを加工するためだけに解凍しなくてはならない。すなわちカニ肉は分離した後で再度冷凍される。そのため、カニ肉自体の品質劣化の可能性があり、また、解凍による温度上昇によってカニ肉に菌が増殖する可能性があり、カニ肉の安全性にも問題が生じる可能性があった。
【0062】
そこで、本願発明者はこれらの問題を解消すべく、まず上述したように、冷凍カニのカニ脚と、そのカニ脚内部にあるカニ肉との凍結特性の比較を行った。上記凍結特性とは、上述した凍結水の融解開始温度および、3点曲げ試験によるカニ殻とカニ肉の破断応力および破断ひずみである。これらの特性をカニ脚とカニ肉について測定した。その結果、具体的には、破断応力および破断ひずみに関して、凍結したカニ脚およびカニ肉には凍結温度依存性に差があり、カニ脚の凍結温度依存性はカニ肉と比較して大きいことがわかった。本願発明者は、これらカニ脚とカニ肉の凍結特性の差を利用して、本発明に至った。すなわち、凍結温度を調節することにより、カニ脚内部のカニ肉を傷つけることなく、カニ殻のみが圧壊する条件を特定することができた。これにより、従来解凍を必要としていたカニ肉の分離を、凍結した状態のままで分離する加工方法を実現することができる。すなわち、従来にはない凍結したままの状態のカニ肉を、カニ脚から分離することができる。本発明に係る加工方法について、以下により詳細に説明する。
【0063】
また、後述するように、冷凍ズワイガニの凍結したカニ脚およびカニ肉の凍結水の融点開始温度はともに約-17℃であることから、上記圧壊工程および上記分離工程における上記カニ脚の温度は、-18℃~-40℃であることが好ましく、-20℃~-30℃であることがより好ましい。すなわち、本発明に係る加工方法は、カニ肉を凍結させたままの状態でカニ脚から分離することを目的としており、上記カニ脚の温度を-17℃以上にすると、カニ脚内部のカニ肉に含まれる水分(凍結水)がカニ肉から出てしまう。また、上記カニ脚の温度を-40℃以下にすると、圧壊工程においてカニ殻を圧壊させるときに、カニ肉にまで圧壊(破壊)が起こる。したがって、本発明では、カニ肉は完全な形(保形状態)でカニ脚から分離することを目的としているため、上述した状態を考慮し、上記カニ脚の温度は、上記の範囲であることが好ましい。
【0064】
上記カニ脚の温度が上記の範囲内であれば、カニ脚の中のカニ肉は、ある程度の衝撃を外部から受けても形を維持または復元できる。そこで、本発明に係る冷凍カニの加工方法として、上記圧壊工程は、上記カニ脚を挟み、上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な方向にカニ脚を圧縮することによって上記カニ殻を圧壊することができる。すなわち、凍結したカニ脚からカニ肉を凍結したまま分離できるという従来までには存在しなかった知見に基づいて可能となった工程である。具体的な圧縮方向について以下に説明する。
【0065】
図7は、本発明に係る冷凍カニの加工方法における圧壊工程圧縮方向を示す模式図であり、カニ脚71は、カニ脚の長さ方向に対して略垂直に切断した断面である。上記圧壊工程では、上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な面、すなわちカニ脚71として示した断面を仮定した場合に、同一面上に位置する2つの部分を挟んで圧縮することにより行われることが好ましい。またその圧縮箇所は図中の矢印AおよびBで示すように、上記カニ脚71の断面に対して2箇所であることがより好ましい。なお、上記同一面上に位置する2つの部分を挟んで圧縮する場合に、上記2つの部分は略同時に圧縮することが好ましい。上述した箇所における圧縮により、上記カニ脚71のカニ殻は、上記カニ脚71の断面の略最長の直径に相当する位置付近において圧壊する。
【0066】
なお、本実施の形態における圧壊工程における加圧重量(荷重重量)は、カニ脚71の太さや、カニの種類によりカニ殻の強度が異なるため、適宜設定することが好ましい。
【0067】
さらに、上記では、図7の矢印に示すようにカニ脚71の両側から対称的な荷重を与える方法を説明したが、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、例えば、上記カニ脚71の長さに対して、両端領域を一方向に荷重し、中央領域を上記方向に抗して荷重することにより荷重しカニ殻を破断(圧壊)する方法であってもよい。すなわち、上述した3点曲げのようにカニ脚を「く」の字型になるように荷重する方法であってもよい。
【0068】
(2)本発明に係る冷凍カニの加工装置
本発明に係る冷凍カニの加工装置の一実施の形態について説明すれば以下の通りである。
【0069】
図8は、本発明に係る冷凍カニの加工装置50の基本構造を示す図である。上記加工装置50は、本体51、ロードセル用アンプ59、温度およびモーター制御装置60が備えられている。上記本体51内部には、低温恒温槽52、可変変圧調節器53、カニ脚圧縮手段(ロードセル)54aおよび54b、カニ脚圧縮制御手段55、リボンヒーター56が備えられており、さらに上記低温恒温槽52内には、冷却手段64、上部ステージ57および下部ステージ58、カニ脚支持手段70aおよび70bが備えられている。さらに、上記低温恒温槽52には、槽内攪拌手段66が設けられている。
【0070】
しかしながら、本発明の加工装置はこれに限定されるものではなく、本発明に係る冷凍カニの加工装置として、少なくとも上記カニ脚圧縮手段54aおよび54b並びに上記カニ脚支持手段70aおよび70bを備えていればよい。以下に図8に示す上記加工装置50について説明する。
【0071】
上記冷却手段64は、上記低温恒温槽52内に設置され、低温恒温槽52内を冷却するために用いられる。具体的には、液体窒素の蒸発により発生する潜熱を利用して、低温恒温槽52内の冷却とカニ脚の冷却を行うことが好ましい。なお、図4に示す低温恒温槽26にあるように、液体窒素を入れたデュワービンに液体窒素蒸発用のヒーターを取り付け、これを加熱することにより、液体窒素を蒸発させ、低温恒温槽52内を冷却することも可能である。さらに、ヒーターを設けた場合に空だきを防止するための空だき防止装置75を低温恒温槽52内に設置することも可能である。
【0072】
上記温度およびモーター制御装置60は、上記低温恒温槽52内の温度調節を行うために設けられることが好ましい。上記温度およびモーター制御装置60は、特に限定されるものではなく、例えば横河電機株式会社製のディジタル指示調節計UT14を用いることができる。冷却中は、カニ脚表面に設置した後述する熱電対(図示しない)により温度を測定し、カニ脚表面の温度を目的温度にまで冷却し、また目的温度で維持されるように、上記温度およびモーター制御装置60による自動温度制御(PID制御)を行うことが好ましい。
【0073】
上記槽内攪拌手段66は、上記低温恒温槽52内の冷気を撹拌して、槽内の温度を均一にするために設けられることが好ましい。上記槽内攪拌手段66の構造としては特に限定されるものではないが、図4の上記アジテーター33aおよび33bのように2箇所に設け、その一つは低温恒温槽52内の上部に、もう一つは冷気が下に溜まることを考慮して、低温恒温槽52内の下部に取り付けられることが好ましい。これにより、効率的に槽内の温度を均一にすることが可能となる。
【0074】
上記低温恒温槽52の寸法は、例えば、縦250mm、横250mm、高さ270mmの寸法のものを用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。さらに、上記低温恒温槽52内の容量をより小さくすることにより、庫内の冷却効率は増すため、可能なかぎり発泡スチロールを詰め、上記低温恒温槽26内の容量を小さくすることも可能である。容量を小さくするためには、例えば発泡スチロールを詰めることができる。
【0075】
また、低温恒温槽52内の温度を測定するために用いられる図示しない上記熱電対には、例えば、銅‐コンスタンタン熱電対を用いることができる。上記低温恒温槽52内の温度が均一になっていることを確かめるために、熱電対の温度測定部分は、上記低温恒温槽52内の中心部、底面部、試料を設置する場所の両端に1箇所ずつ、少なくとも計4箇所に設けられることが好ましい。また恒温槽内中心部に設けられた熱電対は、庫内温度を目的の温度にするため、温度およびモーター制御装置60に接続されることが好ましい。
【0076】
なお、上述したように本発明に係る加工装置は、上記カニ脚圧縮手段54aおよび54b並びに上記カニ脚支持手段70aおよび70bを備えていればよい。そのため、本実施の形態では加工装置50内に設けられている上記低温恒温槽52、上記冷却手段64、槽内攪拌手段66等のカニ脚の温度制御に関する部材および装置は、必ずしも加工装置内に設けられなくてもよい。すなわち、加工装置に導入される前にカニ脚を上記した範囲の温度に冷却し、その後加工装置に搬入し、カニ脚を圧縮して圧壊を行ってもよい。
【0077】
上記カニ脚圧縮手段54aおよび54bは、図7に示したように、上記カニ脚支持手段に支持されたカニ脚をその長さ方向に対して略垂直な方向に圧縮することが好ましい。この圧縮により、上記カニ脚支持手段70aおよび70bに支持されるカニ脚は圧壊する。なお、上記カニ脚支持手段70aおよび70bそれぞれとカニ脚との当接箇所は、上述したように、上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な面、すなわち図7の上記カニ脚71の断面を仮定した場合に、同一面上に位置する2つの部分を挟んで圧縮することが好ましいため、上記カニ脚支持手段70aおよび70bそれぞれ2箇所である当接していることが好ましい。
【0078】
上記カニ脚圧縮制御手段55は、上記カニ脚圧縮手段54の加圧重量(荷量重量)を調節するために設けられている。加圧重量は、カニ脚71の太さや、カニの種類によりカニ殻の強度が異なるため、適宜設定することが好ましい。
【0079】
なお、上記カニ脚支持手段70aおよび70bは、カニ脚の長さ方向に対して複数設けられていてもよい。
【0080】
なお、本実施の形態においては、上記カニ脚圧縮制御手段55および上記カニ脚圧縮手段54aおよび54bは、上記上部ステージ57および上記下部ステージ58を介して上記カニ脚支持手段70aおよび70bのそれぞれに設けられた構成としている。すなわち、上記カニ脚圧縮手段54aおよび54bによって上記カニ脚支持手段70aおよび70bが共にカニ脚を圧縮する方向に移動している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記上部ステージ57または上記下部ステージ58の一方、すなわち上記カニ脚支持手段70aまたは70bの一方が固定されており、他方が上記カニ脚圧縮手段54aまたは54bによりカニ脚を圧縮するために移動する構成であってもよい。さらに、上記カニ脚支持手段70aまたは70bの一方に、がベルトコンベアのような移動式の部材を備えた構成であってもよく、ベルトの上に置かれたカニ脚が上記カニ脚支持手段によって支持可能な位置まで到達すると、上記カニ脚圧縮手段によってカニ脚を圧縮する構成であってもよい。
【0081】
上記カニ脚支持手段70aおよび70bについて図9に基づいて詳細に説明する。図9(a)は、図8における上記上部ステージ57および上記下部ステージ58に設置されるカニ脚支持手段70aおよび70bを、模式的に示したカニ脚71の断面方向から示した概略図である。上記カニ脚支持手段70aおよび70bを、上記上部ステージ57および上記下部ステージ58に取り付けることで、カニ脚71を固定することができる。図9(b)は、上記カニ脚支持手段70aおよび70bの一例を示している。図9(b)に示すカニ脚支持手段は、例えばステンレス製の直径100mm、厚さ30mmの円形鉄板を用いることができる。上記カニ脚支持手段には、その表面に溝が設けてあってもよく、例えば深さ3mm、幅15mmの溝を設けることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、カニ脚支持手段70aおよび70bによって、上記カニ脚の長さ方向に対して略垂直な面を仮定した場合に、同一面上に位置する2つの部分を挟んで圧縮することができる構成であればよく、上記溝の大きさは上記に限定されるものではなく、加工するカニ脚の大きさ等によっても適宜設定することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、カニ脚支持手段70aおよび70bは上下対称に対となった形として説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明のカニ脚支持手段は、上述した3点曲げのように荷重することによって、カニ脚を「く」の字型に曲げることによってカニ殻を圧壊する形態であってもよく、またカニ脚を曲げることによってカニ殻を圧壊する手法を用いる場合に関しても、その荷重箇所はカニ脚の長さ方向に対して3箇所に限定されるものではない。
【0083】
なお、カニ脚荷重手段54、上部ステージ57および下部ステージ58、カニ脚支持手段70aおよび70bの構造は上記に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る冷凍カニの加工装置50の変形例として、例えば、上部ステージ57およびカニ脚支持手段70aが一体型となった構造であり、かつ、上部ステージ58およびカニ脚支持手段70bが一体型となった構造であってもよい。さらなる変形例として、例えば、カニ脚圧縮手段54a、上部ステージ57、カニ脚支持手段70aに相当する機能が一体型となった構造と、カニ脚圧縮手段54b、上部ステージ58、カニ脚支持手段70bに相当する機能が一体型となった構造とがそれぞれローラー形状になっていて、ローラーをローラーの間にカニ脚が搬入されることにより圧縮され、カニ殻が圧壊する構成であってもよい。
【0084】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0085】
以下の説明は、冷凍ズワイガニのカニ殻およびカニ肉の凍結水の融解開始温度についての具体例を〔参考例1〕に記載し、冷凍ズワイガニのカニ脚およびカニ肉の最大破断応力および破断ひずみの測定についての具体例を〔参考例2〕に記載し、本発明に係る加工装置を用いた冷凍ズワイガニの加工方法の具体例を〔実施例〕として記載した。
【0086】
なお、本実施例および参考例において使用したカニは、市販のカナダ産の冷凍ズワイガニ(販売者:株式会社 マリネット NFS)である。この冷凍ズワイガニは、現地でボイル脱甲した後、半分に裁断され-60℃で急速凍結された冷凍切りガニ形態の製品である。また、長期保存(保存期間約1年)できるように製品の表面は厚い氷で覆われた状態になっていた。これは製品の乾燥防止の役割を果たしている。
【0087】
〔参考例1〕
冷凍ズワイガニのカニ殻およびカニ肉の凍結水の融解開始温度についての具体例を以下に説明する。測定には上述したDSC120システムを用いる。また一般的に融解には、融解開始温度、ピークトップ、融解終了温度の3点が存在する。そこで、これらについても測定を行った。
【0088】
カニ試料の調製としては、上述した方法に基づいて行った。すなわち、冷凍ズワイガニの表面についた氷を流水で流したあと、胴体部分とカニ脚に選別し、カニ脚の棒肉部を用いて、カニ殻およびカニ肉に分けた。カニ殻の調製としては、カニ殻に付着したカニ肉を流水で洗い流したあと、表面に付着した水を取り除き、調理用のハサミで細かく刻み、これを乳鉢に入れて粉々になるまで乳棒ですり潰した。これをカニ殻サンプルとし、DSC測定に用いた。一方、カニ肉の調製としては、カニ脚の部分のカニ肉を開き、筋状のカニ肉をピンセットでつまみ取り、DSC測定で用いるアルミパン(容器2a、図1)に入る大きさにちぎった。これを、カニ肉サンプルとした。測定方法についても、上述した通りであり、昇温速度を0.1℃/min、測定開始温度-130℃、測定終了温度は20℃に設定し、DSC測定を開始した。
【0089】
カニ殻のDSC測定結果を図10(a)に示す。図10(a)によると、-130℃から20℃付近までのDSC昇温曲線で吸熱の反応が見られたのは、図に示すように一部分であった。吸熱開始温度は約-17.37℃、ピークトップ温度は約-3.69℃、吸熱終了温度は約-1.25℃であった。
【0090】
カニ肉の昇温曲線においても吸熱が見られたのは、一箇所であった。その部分を拡大したものを図10(b)に示した。吸熱開始温度はおよそ-17.39℃、ピークトップ温度は約-2.34℃、吸熱終了温度は約-1.53℃であった。
【0091】
カニ殻サンプルおよびカニ肉サンプルのDSC昇温曲線に、大きな吸熱の反応がともに一箇所確認できた。この大きな吸熱反応は、吸熱の開始温度から推測して、サンプル中の水分の融解によるものと判断できる。
【0092】
これらDSC測定の結果より、カニ殻とカニ肉の凍結水の融解開始温度を特定することができた。すなわち、カニ殻の凍結水の融解開始温度は約-17.4℃、カニ肉の凍結水の融解開始温度は約-17.9℃であることが明らかとなった。また、吸熱のピークトップ温度では、サンプル中のほとんどの凍結水が融解したことを表している。吸熱終了温度は、サンプル中の凍結水が完全に融解したことを表している。
【0093】
〔参考例2〕
次に、冷凍ズワイガニのカニ脚およびカニ肉の最大破断応力および破断ひずみの測定についての具体例を以下に説明する。試料の調製としては、冷凍ズワイガニの表面を覆っている氷を流水で溶かし、カニ脚と胴体部に分けた。カニ脚は、同寸法(約80mm)のカニ脚を収集した。カニ肉は、この選別したカニ脚から、調理用のハサミを用いて、カニ肉を傷つけないように注意して取り出しカニ肉サンプルした。
【0094】
測定手順としては、上述したように調製したカニ試料を、低温恒温槽内に入れ、目的の温度になるまで冷却した。このとき、カニ試料となるカニ脚またはカニ肉と同一寸法の温度測定用試料に熱電対を差し込み、中心温度を測定してカニ試料の中心温度が目的の温度に達しているか否かを確認した。温度測定用のカニ試料の中心温度が目的の温度に達したことを確認した後、低温恒温槽内の下部ステージにカニ試料を載せ、上記下部ステージを破断速度7mm/minで上方に移動させ、カニ試料を破断した。すべての破断試験において、破断速度を7mm/minに統一した。破断終了後は、上記下部ステージを下げて測定を終了した。なお、本測定における目的温度は、試験結果と共に表1および表2に示した。
【0095】
各凍結温度におけるカニ殻およびカニ肉の破断応力の測定結果を図11に示す。表1および表2に、使用したカニ殻およびカニ肉の破断断面の寸法、破断応力値の詳細を示した。表1はカニ脚の寸法および破断応力の測定結果であり、表2はカニ肉の寸法および破断応力の測定結果である。各試験温度に用いたカニ脚およびカニ肉のサンプル数は、最低5個である。
【0096】
【表1】
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【0097】
【表2】
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【0098】
また、カニ脚の各試験温度における破断応力値の平均値および標準偏差を表3に示し、カニ肉の各試験温度における破断応力値の平均値および標準偏差を表4に示した。
【0099】
【表3】
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【0100】
【表4】
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【0101】
以上のカニ脚とカニ肉の破断応力の測定結果から、カニ脚の破断応力は、凍結温度が低くなるとともに大きくなり、-50℃付近で最大になった。それ以降、-60℃付近まで徐々に小さくなり、-60℃以下の温度で一定の値となった。この結果から、カニ殻の破断試験において温度依存性が存在することが明らかとなった。
カニ肉の破断応力も、凍結温度を低くするとともに大きくなり、-40℃付近で最大応力を示し、-40℃以下では徐々に小さくなった。カニ肉においても破断応力に温度依存性が認められた。
【0102】
次に、各凍結温度におけるカニ殻およびカニ肉の破断ひずみの結果を、図12に示した。表5および表6に各試験温度におけるカニ脚およびカニ肉の破断ひずみの測定結果の詳細を示した。
【0103】
【表5】
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【0104】
【表6】
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【0105】
また、カニ脚およびカニ肉の破断ひずみの平均値および標準偏差を表7、表8に示した。表7にカニ脚の破断ひずみの平均値および標準偏差を示し、表8にカニ肉の破断ひずみの平均値および標準偏差を示した。
【0106】
【表7】
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【0107】
【表8】
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【0108】
これらの結果から、破断ひずみは、カニ脚およびカニ肉ともに、凍結温度が低くなるに従って小さくなることが明らかとなった。カニ肉では、約-60℃以下の試料温度では破断ひずみが一定となることが明らかとなった。
【0109】
カニ脚とカニ肉の各凍結温度における破断応力および破断ひずみの測定結果より、いずれの測定値も殻付きのカニ脚のほうが、大きい値が得られたことから、カニ脚の破断では、殻部分の強度を表した測定結果であると考えられる。
【0110】
すなわち、本参考例における3点曲げ試験では、カニ脚およびカニ肉ともに温度依存性が認められ、カニ脚では、-50℃付近、カニ肉は-40℃付近が脆化点温度であることが明らかとなった。
【0111】
〔実施例〕
次に、本発明に係る冷凍ズワイガニの低温加工方法についてその具体例を以下に説明する。加工を行うために使用する加工装置としては、図8に示した加工装置50を用いた。具体的には、上記加工装置50に設けられているカニ脚支持手段70aおよび70bとしては、直径100mm、厚さ30mmの円形鉄板のステンレス製の円板を用い、その表面に深さ3mm、幅15mmの溝を設け、これを上下に合わせる構成とした。
【0112】
冷凍ズワイガニのカニ脚としては、上述したようにカニ脚の中央部、すなわち棒肉部17(図2)であり、本実施例においては、上記カニ脚の棒肉部として、カニ脚の厚みが10~12mm、カニ脚の幅が17mm以上のカニ脚を選別し、寸法を45mmに統一した。
【0113】
本実施例における実験手順としては、目的の温度に達するまで、調製した冷凍ズワイガニのカニ脚を加工装置50の低温恒温槽52に入れ、冷却した。次に、カニ脚をカニ脚支持手段70bの溝に載せた。速度7mm/minでカニ脚を圧縮した。カニ脚支持手段同士のクリアランスが、5mmになったところで圧縮を止めた。最後に、カニ脚支持手段70bを下げ、カニ脚を取り出し評価を行った。上記評価は、凍結温度によるカニ殻の割れ方、カニ殻の剥きやすさ、カニ肉の状態等を目視により評価した。また、本実施例においては、上記圧壊工程および上記分離工程を行うカニ脚の温度は、3.5℃、-20℃、-30℃、-50℃、-80℃とした。これら各温度のカニ脚のサンプルを10個ずつ使用し、評価した。
【0114】
冷凍ズワイガニのカニ脚の圧壊結果を図13に示した。なお、図13において、成功率とは、カニ殻からカニ肉が取り出しやすいように割れており、かつ、そのカニ肉が完全な保形状態、すなわちカニ肉の形が崩れていない状態で取り出せたものを成功したカニ脚サンプルとして評価し、全カニ脚サンプルに対する成功サンプルの割合をパーセンテージで表し、成功率〔%〕とした。
【0115】
図13に基づいて、本実施例における評価結果を説明すると、以下の通りである。カニ脚の温度を-80℃とした場合の圧壊試験では、圧縮によりカニ殻の破片量が多く、カニ脚が上下2つに割れたものが半分で、残りのカニ脚サンプルについてもカニ殻が不連続に圧壊していた。完全に半分に割れなかった。また、圧壊されたカニ殻を取り除いたところ、カニ肉に亀裂が入っていることが確認できた。以上の結果より、保形状態のカニ肉は得られなかったため、-80℃におけるカニ脚の圧壊試験の成功率は0%であった。
【0116】
次に、カニ脚の温度を-50℃とした場合の圧壊試験では、カニ脚の温度を-80℃とした場合と同様に、圧縮によるカニ殻の破片量が多かった。また、カニ肉についても-80℃の試験と同様にほぼ中心部分に亀裂が入っており、成功率は10%であった。
【0117】
次に、カニ脚の温度を-30℃および-20℃とした場合の圧壊試験では、カニ殻の破片量は、カニ脚の温度を-80℃および-50℃とした圧壊試験の結果よりは少なかった。さらに、すべてのカニ脚サンプルが、カニ殻を剥きやすいように圧壊されており、カニ肉も保形状態のものが得られた。結果的に、カニ脚の温度を-30℃および-20℃とした場合の圧壊の成功率はいずれも100%であった。
【0118】
なお、カニ脚の温度を3.5℃とした場合の圧壊試験の成功率は20%であった。この場合、カニ殻の破片の発生はなく、殻剥きには不十分なヒビが片方にのみ入った状態であった。また、圧縮中にカニ脚サンプルから多量の水分が出てしまい、結果的にも良質なカニ肉は得られなかった。
【0119】
したがって、本実施例で行ったカニ殻とカニ肉の圧壊(分離)試験において、-20℃~-30℃付近の温度範囲内で有効であることが明らかとなった。これは、3点曲げ試験の結果に反映されるものであった。カニ肉の破断応力の測定結果から、凍結カニ肉の脆化温度は-40℃付近であることを明らかにした。従って、-40℃よりも低い温度(-80℃および-50℃)のカニ肉は延性破断が起こり、保形状態のカニ肉が得られなかった。一方、3.5℃における測定結果は、分離に適していないものであった。3.5℃での実験においては、分離ができるかどうかということ以前に、圧壊試験の圧縮中に試料内水分が外に出てしまい、良質のカニ肉が得られなかった。上記参考例1にて、カニ肉の凍結点が-17℃付近であることを明らかにした。すなわち、-17℃以上の温度での圧壊試験は、水分が完全に凍結していないため適切ではないことがわかった。
【0120】
以上の実施例より、冷凍ズワイガニのカニ脚を凍結温度下にてカニ殻とカニ肉に分離する加工方法では、カニ脚の温度が-18℃~-40℃であることが好ましく、-20℃~-30℃の温度範囲において実施されることがより好ましいことが明らかとなった。
【0121】
さらに、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明によれば、冷凍カニを解凍することなく加工することができる。すなわち、冷凍カニのカニ脚から冷凍状態のままでカニ肉を分離することが可能となる。これにより、加工工程を簡略化できることにより生産効率の向上が期待でき、加工時間が短縮できることにより加工品の品質劣化を低減することができる。それゆえ、本発明では、他の冷凍食品の加工産業に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】DSC120システムの検出部の基本的な構造を示した図である。
【図2】本発明に係る冷凍ズワイガニ(冷凍カニ)の脚部を示した図である。
【図3】本発明に係る3点曲げ試験法に用いる試験装置の基本的な構造を示した構造図である。
【図4】本発明に係る3点曲げ試験法に用いる試験装置の低温恒温槽およびその周辺機器の構造を示した図である。
【図5】本発明に係る3点曲げ試験法に用いる試験装置の主要部の構造を示す図である。
【図6】本発明に係るカニ試料の断面を示す模式図である。
【図7】本発明に係る冷凍カニの加工方法の圧壊工程における圧縮方向を示す模式図である。
【図8】本発明に係る一実施形態における冷凍カニの加工装置の基本構造を示す図である。
【図9】(a)は本発明に係る一実施形態における冷凍カニの加工装置の主要部の構造を示す断面図であり、(b)は(a)に示した冷凍カニの加工装置の主要部に用いるカニ脚支持手段の構造の一例を示す図である。
【図10】(a)は本発明に係る凍結カニ殻のDSC測定の結果を示すグラフであり、(b)は凍結カニ肉のDSC測定の結果を示すグラフである。
【図11】本発明に係る各凍結温度におけるカニ殻およびカニ肉の破断応力の測定結果を示すグラフである。
【図12】本発明に係る各凍結温度におけるカニ殻およびカニ肉の破断ひずみの測定結果を示すグラフである。
【図13】本発明に係る冷凍カニの加工方法による冷凍ズワイガニのカニ脚の圧壊結果を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
15 脚部
16 肩肉(胴肉)部
17 棒肉部
18 先端部
50 加工装置
51 本体
52 低温恒温槽
54a,b カニ脚圧縮手段
55 カニ脚圧縮制御手段
57 上部ステージ
58 下部ステージ
64 冷却手段
66 槽内攪拌手段
70a,b カニ脚支持手段
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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