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明細書 :パルスレーダ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3366615号 (P3366615)
公開番号 特開2001-272463 (P2001-272463A)
登録日 平成14年11月1日(2002.11.1)
発行日 平成15年1月14日(2003.1.14)
公開日 平成13年10月5日(2001.10.5)
発明の名称または考案の名称 パルスレーダ装置
国際特許分類 G01S 13/38      
G01S 17/282     
FI G01S 13/38
G01S 17/282
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2000-081983 (P2000-081983)
出願日 平成12年3月23日(2000.3.23)
審査請求日 平成12年4月5日(2000.4.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】原 照幸
【氏名】中根 正文
【氏名】戸梶 功
【氏名】田中 正之
個別代理人の代理人 【識別番号】100102439、【弁理士】、【氏名又は名称】宮田 金雄 (外1名)
審査官 【審査官】宮川 哲伸
参考文献・文献 特開 平10-197626(JP,A)
特開 平5-119148(JP,A)
特開 平10-39009(JP,A)
特開 平7-280923(JP,A)
特開 平4-52586(JP,A)
特開 平3-220482(JP,A)
特開 平2-24590(JP,A)
調査した分野 G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
特許請求の範囲 【請求項1】
あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎にあらかじめ定めた周波数、および初期位相の送信用局部発振信号を生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した前記送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報とパルス繰り返し周期から前記送信用局部発振信号と同じ初期位相となる位相を求める位相計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を前記位相計算器で求めた初期位相で生成する初期位相可変型周波数シンセサイザーと、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器を備えたことを特徴とするパルスレーダ装置。

【請求項2】
あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎にあらかじめ定めた周波数、および初期位相の送信用局部発振信号を生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した前記送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報とパルス繰り返し周期から前記送信用局部発振信号と同じ初期位相となる位相を求める位相計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号をあらかじめ定めた初期位相で生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記位相計算器で求めた初期位相を用いて前記ディジタルI、Qビデオ信号の位相の補正を行う位相補正器と、前記位相補正器によって位相補正された前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器を備えたことを特徴とするパルスレーダ装置。

【請求項3】
あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎にあらかじめ定めた周波数、および初期位相の送信用局部発振信号を生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した前記送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号をあらかじめ定めた初期位相で生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器と、前記合成帯域器の出力信号に対して、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて、距離の補正を行う距離補正器を備えたことを特徴とするパルスレーダ装置。

【請求項4】
あらかじめ定めた周波数、および初期位相の信号を生成する複数の安定化発振器と、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎に、あらかじめ定めた順序で、前記複数の安定化発振器で生成した信号の中から送信信号生成に用いる送信用局部発振信号を選択する送信用周波数選択器と、前記送信用周波数選択器で選択した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を前記複数の安定化発振器の出力信号の中から選択する受信用周波数選択器と、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器を備えたことを特徴とするパルスレーダ装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】この発明は、合成帯域処理によって、距離分解能を向上するパルスレーダ装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】合成帯域処理を利用したパルスレーダ装置では、送信時に、図9に示すように、N個のパルスに対して、パルス毎に送信周波数をf0からfN-1まで周波数ステップ間隔Δf毎に変化させて送信を行う。そのときの送信信号Sn(t)は数1で表される。ただし、ここでは、数式による表現を簡略化するために、各信号を複素信号で表現している。

【0003】

【数1】
JP0003366615B2_000002t.gif【0004】ただし、Aは送信信号の振幅、φnは各送信周波数の初期位相、Tpはパルス幅、Tpriはパルス繰り返し周期を表す。この送信信号がパルスレーダ装置から距離R離れたところにある目標に反射して、パルスレーダ装置に受信された場合、受信信号はUn(t)は、数2で表される。

【0005】

【数2】
JP0003366615B2_000003t.gif【0006】ただし、A’は受信信号の振幅、cは光速を表す。この受信信号に対して、数3で示すような各周波数の初期位相が送信信号と同じ参照信号Vn(t)を用いて周波数変換を行った場合、周波数変換後の信号Wn(t)は数4で表される。

【0007】

【数3】
JP0003366615B2_000004t.gif【0008】
【数4】
JP0003366615B2_000005t.gif【0009】数4で表されるWn(t)のパルス変調された部分の信号を用いて、逆フーリエ変換を行った場合、逆フーリエ変換後の信号P(k)は数5で表される。

【0010】

【数5】
JP0003366615B2_000006t.gif【0011】また、包絡線検波の方法として、直線検波を用いた場合、包絡線検波後の信号|P(k)|はP(k)の絶対値で数6で表される。

【0012】

【数6】
JP0003366615B2_000007t.gif【0013】数6より、kが2RNΔf/cと等しくなった時に|P(k)|がピーク値となることがわかる。|P(k)|がピーク値となるkをkpとすると、kpより数7に示すように、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rを求めることができる。

【0014】

【数7】
JP0003366615B2_000008t.gif【0015】また、距離分解能ΔRは数8で表される。

【0016】

【数8】
JP0003366615B2_000009t.gif【0017】数8より、NΔfを大きくすることによって、距離分解能ΔRを向上することができることがわかる。

【0018】
図10は、例えば、D.R.Wehner著、“High-Resolution Radar”,Artech House,pp.197-237,1955、記載の合成帯域処理によって、距離分解能ΔRを向上し、目標寸法以下の距離分解能ΔRを得、図12に示すような目標のレンジプロフィールを得る従来のパルスレーダ装置である。図10において、1はタイミング発生器、2は固定初期位相周波数シンセサイザー、3a、3bは分配器、4は基準中間周波数信号発生器、5a、5bは周波数変換器、6はパルス変調器、7は電力増幅器、8は送受切替器、9はアンテナ、10は目標、11は中間周波数増幅器、12は90度ハイブリッド器、13a、13bは位相検波器、14a、14bはA/D変換器、15は合成帯域器、16は包絡線検波器、17は表示器である。

【0019】
上記の従来のパルスレーダ装置の動作について図10を参照して説明する。タイミング発生器1では、パルス繰り返し周期Tpriの間隔で、周波数切換信号を固定初期位相周波数シンセサイザー2へ、パルス変調信号をパルス変調器6へ、送受切換信号を送受切換器8へ出力する。固定初期位相周波数シンセサイザー2では、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、あらかじめ周波数と初期位相を定めたN種類の信号の中の一種類の信号をあらかじめ定めた順序、例えば、低い周波数から順番にパルス繰り返し周期Tpri毎に生成し、分配器3aに出力する。分配器3aでは、固定初期位相周波数シンセサイザー2からの入力信号を2分し、一方を送信信号生成用の周波数変換器5aの局部発振信号(送信用局部発振信号)として、周波数変換器5aに、もう一方を中間周波数信号生成用の周波数変換器5bの局部発振信号(受信用局部発振信号)として出力する。周波数変換器5aでは、分配器3aからの送信用局部発振信号の周波数と、基準中間周波数信号発生器4で生成した基準中間周波数信号の周波数との和の周波数の送信キャリア信号を生成し、パルス変調器6に出力する。パルス変調器6では、周波数変換器5aからの入力信号に対して、タイミング発生器1からのパルス変調信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めたパルス幅Tpのパルス変調を行う。パルス変調器6の出力信号は、電力増幅器7に入力され、電力の増幅が行われ、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔の電力増幅器7からの入力信号をアンテナ9に出力する。アンテナ9では、送受切替器8からの入力信号を、送信信号として空間へ放射する。送信信号は目標10、および背景に反射し、反射信号となってアンテナ9で受信され、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔のアンテナ9からの入力信号を周波数変換器5bに出力する。また、周波数変換器5bには、分配器3aから受信用局部発振信号も入力される。周波数変換器5bでは、受信信号の周波数と受信用局部発振信号の差の周波数の中間周波数信号を生成し、中間周波数増幅器11へ出力する。中間周波数増幅器11では、中間周波数信号の電力の増幅を行い、その結果を分配器3bに出力する。分配器3bでは、中間周波数増幅器11から入力信号を2分し、それぞれを位相検波器13a、13bに出力する。一方、基準中間周波数信号発生器4で発生した基準中間周波数信号は、90度ハイブリッド器12で90度の位相差を持った2つの信号に分離され、位相検波器13a、13bに出力される。位相検波器13a、および13bでは、分配器3bからの入力信号と90度ハイブリッド器12からの入力信号から、中間周波数信号の周波数と基準中間周波数信号の周波数の差の周波数を持ち、互いに90度の位相差を持つI成分、Q成分のビデオ信号を生成する。生成されたI、Qビデオ信号は、サンプリング周波数が1/TpのA/D変換器14a、14bに入力され、パルス幅Tpと同じ間隔のレンジビン毎のディジタルI、Qビデオ信号に変換され、合成帯域器15に出力する。合成帯域器15では、送信周波数の異なるN個の送信パルスに対する同じレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換することによって、パルス幅Tp以下の距離分解能ΔRを得る合成帯域処理を行い、その結果を包絡線検波器16に出力する。包絡線検波器16では、合成帯域器15から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を表示器17に出力する。表示器17では、包絡線検波器16からの入力信号を表示する。

【0020】

【発明が解決しようとする課題】合成帯域処理では、すべての送信信号の周波数において、目標との相対距離Rに対応する位相情報を得るために、数1から数4で示したように、各周波数の受信信号に対して、それぞれ対応する周波数の送信信号の初期位相と同じ初期位相の参照信号を用いる必要がある。しかし、実際には図10の従来の合成帯域処理を利用したパルスレーダ装置で示したように、送信信号は基準中間周波数信号と送信用局部発振信号を用いて生成し、参照信号には、受信用局部発振信号と基準中間周波数信号を用いている。基準中間周波数信号の周波数、および初期位相は常に変化しないのに対し、送信用局部発振信号はパルス繰り返し周期Tpri毎に周波数、および初期位相が変化する。よって、各周波数の受信信号に対して、それぞれ対応する周波数の送信信号を生成した時に用いた送信用局部発振信号の初期位相φLnと、同じ初期位相の受信用局部発振信号を用いることによって、合成帯域処理に必要な目標との相対距離Rに対応する位相情報を得ることができる。図11は、従来の合成帯域処理を利用したパルスレーダ装置の送信パルス、受信パルス、送信用局部発振信号、受信用局部発振信号の関係を示したものである。図において、Stは送信パルス、Srは受信パルス、Ltは送信用局部発振信号、Lrは受信用局部発振信号を示す。ただし、ここでは話を簡単にするために、合成帯域処理に用いるパルス数Nは3としている。図11で示したように、従来の合成帯域処理を利用したパルスレーダ装置では、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrに1つの周波数シンセサイザーで生成した信号を分配器で2分して用いているため、全ての周波数において両者の初期位相は常に同じとなり、合成帯域処理を実現することができる。しかし、一つの固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した信号を送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrに用いるため、ある送信パルスに対する目標からの反射信号が受信されるまで、次の送信周波数のパルスが送信できなくなる。すなわち、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数9の関係にある場合にしか用いることができない。

【0021】

【数9】
JP0003366615B2_000010t.gif【0022】そのため、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合、長い時間のパルス繰り返し周期Tpriが必要となる。先にも述べたように、合成帯域処理では、送信周波数の異なるN個の送信パルスに対する受信パルスから生成したディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換するため、N個のパルスの送信信号が必要である。そのため、1回の合成帯域処理の結果を得るのに、パルス繰り返し周期TpriのN倍の信号送信時間が必要である。よって、従来の合成帯域処理を利用したパルスレーダ装置では、パルス繰り返し周期Tpriが長いため、1回の結果を得るための、信号送信時間が長くなるという課題があった。

【0023】
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、合成帯域処理によって、距離分解能ΔRを向上するパルスレーダ装置において、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、1回の合成帯域処理に必要な信号送信時間の短いパルスレーダ装置を得ることを目的とする。

【0024】

【数10】
JP0003366615B2_000011t.gif【0025】
【課題を解決するための手段】第1の発明によるパルスレーダ装置は、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎にあらかじめ定めた周波数、および初期位相の送信用局部発振信号を生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した前記送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報とパルス繰り返し周期から前記送信用局部発振信号と同じ初期位相となる位相を求める位相計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を前記位相計算器で求めた初期位相で生成する初期位相可変型周波数シンセサイザーと、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器を備えたことを特徴とする。

【0026】
また、第2の発明によるパルスレーダ装置は、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎にあらかじめ定めた周波数、および初期位相の送信用局部発振信号を生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した前記送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報とパルス繰り返し周期から前記送信用局部発振信号と同じ初期位相となる位相を求める位相計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号をあらかじめ定めた初期位相で生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記位相計算器で求めた初期位相を用いて前記ディジタルI、Qビデオ信号の位相の補正を行う位相補正器と、前記位相補正器によって位相補正された前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器を備えたことを特徴とする。

【0027】
また、第3の発明によるパルスレーダ装置は、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎にあらかじめ定めた周波数、および初期位相の送信用局部発振信号を生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記固定初期位相周波数シンセサイザーで生成した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した前記送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号をあらかじめ定めた初期位相で生成する固定初期位相周波数シンセサイザーと、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器と、前記合成帯域器の出力信号に対して、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて、距離の補正を行う距離補正器を備えたことを特徴とする。

【0028】
また、第4の発明によるパルスレーダ装置は、あらかじめ定めた周波数、および初期位相の信号を生成する複数の安定化発振器と、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期毎に、あらかじめ定めた順序で、前記複数の安定化発振器で生成した信号の中から送信信号生成に用いる送信用局部発振信号を選択する送信用周波数選択器と、前記送信用周波数選択器で選択した前記送信用局部発振信号を用いて、あらかじめ定めたパルス繰り返し周期、およびパルス幅でパルス変調した送信信号を生成する送信機と、前記送信信号をパルス繰り返し周期のタイミングで送受信の信号を切り換える送受切換器を介して、背景を含む目標に送信波として放射し、目標、および背景で反射した送信波を受信波として受けるアンテナと、あらかじめ求めた目標との相対距離情報を用いて前記受信波の周波数情報を求める周波数計算器と、前記周波数計算器で求めた前記受信波の周波数情報を用いて前記受信波の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を前記複数の安定化発振器の出力信号の中から選択する受信用周波数選択器と、前記受信波から前記受信用局部発振信号を用いてディジタルI、Qビデオ信号を生成する受信機と、前記ディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換する合成帯域器を備えたことを特徴とする。

【0029】

【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1を示すパルスレーダ装置の構成図であり、図1において1から17は、先に図10で説明した通りである。また、18は周波数計算器、19は位相計算器、20は可変初期位相周波数シンセサイザーである。この動作を、従来のパルスレーダ装置と動作の異なる中間周波数増幅器11以前まで、図1を用いて説明する。タイミング発生器1では、パルス繰り返し周期Tpriの間隔で、周波数切換信号を固定初期位相周波数シンセサイザー2と、可変初期位相周波数シンセサイザー20へ、パルス変調信号をパルス変調器6へ、送受切換信号を送受切換器8へ出力する。固定初期位相周波数シンセサイザー2では、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、あらかじめ周波数と初期位相を定めたN種類の信号の中の一種類の信号をあらかじめ定めた順序、例えば、低い周波数から順番にパルス繰り返し周期Tpri毎に生成し、送信用局部発振信号として、周波数変換器5aに出力する。周波数変換器5aでは、固定初期位相周波数シンセサイザー2で生成した送信用局部発振信号の周波数と、基準中間周波数信号発生器4で生成した基準中間周波数信号の周波数との和の周波数の送信キャリア信号を生成し、パルス変調器6に出力する。パルス変調器6では、周波数変換器5aからの入力信号に対して、タイミング発生器1からのパルス変調信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めたパルス幅Tpのパルス変調を行う。パルス変調器6の出力信号は、電力増幅器7に入力され、電力の増幅が行われ、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔の電力増幅器7からの入力信号をアンテナ9に出力する。アンテナ9では、送受切替器8からの入力信号を、送信信号として空間へ放射する。送信信号は目標10、および背景に反射し、反射信号となってアンテナ9で受信され、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔のアンテナ9からの入力信号を周波数変換器5bに出力する。一方、周波数計算器18では、あらかじめ距離測定処理や距離追尾処理によって得られた目標10との相対距離情報R’を用いて、数11により、受信信号が、いくつ前のパルス繰り返し周期の送信パルスに対する目標10からの反射信号であるか、すなわち、送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mを求め、mとその時の送信周波数から受信信号の周波数を求める。ただし、目標10との相対距離情報R’と目標10との真の相対距離Rとの差は、数11により求まるmと、数11において、R’をRとした時に求まるmが異ならない程度としている。求めたmと受信信号の周波数の情報は位相計算器19に、受信信号の周波数の情報を可変初期位相周波数シンセサイザー20に出力される。

【0030】

【数11】
JP0003366615B2_000012t.gif【0031】ただし、intは少数点以下の切り捨てを意味する。位相計算器19では、受信信号の周波数の情報から、その周波数に対応する受信用局部発振信号の周波数fLnと、その信号を送信した時に用いた送信用局部発振信号の初期位相φLnを求め、周波数計算器18で求めたmとパルス繰り返し周期Tpriとを用いて、数12により、初期位相が、その周波数の受信信号を送信した時に用いた周波数の送信用局部発振信号と同じになる位相θnを求め、その結果を可変初期位相周波数シンセサイザー20に出力する。

【0032】

【数12】
JP0003366615B2_000013t.gif【0033】可変初期位相周波数シンセサイザー20では、周波数計算器18から入力された受信信号の周波数の情報から、その周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を、位相計算器19で求めた位相θnを初期位相として生成し、周波数変換器5bに出力する。周波数変換器5bでは、受信信号の周波数と可変初期位相周波数シンセサイザー20で発生した受信用局部発振信号の周波数の差の周波数の中間周波数信号を生成し、中間周波数増幅器11へ出力する。中間周波数増幅器11以降の処理は、従来のパルスレーダ装置の動作と同じである。

【0034】
図2は、この発明の実施の形態1を示すパルスレーダ装置において、送信パルス、受信パルス、送信用局部発振信号、受信用局部発振信号の関係を示したものである。図において、St、Sr、Lt、Lrは先に図11で説明した通りである。また、図11と同様に、話を簡単にするために、合成帯域処理に用いるパルス数Nは3とし、数11で求まる送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mは1としている。また、固定初期位相周波数シンセサイザー2で生成される送信用局部発振信号Ltの初期位相は全ての周波数において0度としている。さらに、図中点線で示した信号は、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrの初期位相が同じであることを示すためのものであり、実際には生成されない信号を示している。

【0035】
図2からもわかるように、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを生成する周波数シンセサイザーを別々に設けることによって、周波数の異なる送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを同じパルス繰り返し周期Tpri内で生成することができるため、ある送信パルスに対する目標からの反射信号が受信されるまで、次の周波数のパルスの送信をまつ必要がなくなり、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、短いパルス繰り返し周期Tpriを用いることができる。また、あらかじめ求めた相対距離情報を用いて、受信用局部発振信号Lrの初期位相が、各周波数の受信信号に対応する周波数の送信信号を生成した時に用いた送信用局部発振信号Ltの初期位相と同じとなる位相θnを求め、求めた位相θnを初期位相として受信用局部発振信号Lrを生成することによって、各周波数の受信信号に対して、それぞれ対応する周波数の送信信号を生成した時に用いた送信用局部発振信号の初期位相φLnと、同じ初期位相の受信用局部発振信号を用いることができ、合成帯域処理に必要な目標との相対距離Rに対応する位相情報を得ることができる。そのため、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。

【0036】
実施の形態2.図3はこの発明の実施の形態2を示すパルスレーダ装置の構成図であり、図3において1から19は、先に図1、および図10で説明した通りである。また、21は位相補正器である。この動作を、従来のパルスレーダ装置と動作の異なる包絡線検波器16以前まで、図3を用いて説明する。タイミング発生器1では、パルス繰り返し周期Tpriの間隔で、周波数切換信号を固定初期位相周波数シンセサイザー2a、2bへ、パルス変調信号をパルス変調器6へ、送受切換信号を送受切換器8へ出力する。固定初期位相周波数シンセサイザー2aでは、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、あらかじめ周波数と初期位相を定めたN種類の信号の中の一種類の信号をあらかじめ定めた順序、例えば、低い周波数から順番にパルス繰り返し周期Tpri毎に生成し、送信用局部発振信号として、周波数変換器5aに出力する。周波数変換器5aでは、固定初期位相周波数シンセサイザー2aで生成した送信用局部発振信号の周波数と、基準中間周波数信号発生器4で生成した基準中間周波数信号の周波数との和の周波数の送信キャリア信号を生成し、パルス変調器6に出力する。パルス変調器6では、周波数変換器5aからの入力信号に対して、タイミング発生器1からのパルス変調信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めたパルス幅Tpのパルス変調を行う。パルス変調器6の出力信号は、電力増幅器7に入力され、電力の増幅が行われ、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔の電力増幅器7からの入力信号をアンテナ9に出力する。アンテナ9では、送受切替器8からの入力信号を、送信信号として空間へ放射する。送信信号は目標10、および背景に反射し、反射信号となってアンテナ9で受信され、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔のアンテナ9からの入力信号を周波数変換器5bに出力する。一方、周波数計算器18では、あらかじめ距離測定処理や距離追尾処理によって得られた目標10との相対距離情報R’を用いて、数11により、受信信号が、いくつ前のパルス繰り返し周期の送信パルスに対する目標10からの反射信号であるか、すなわち、送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mを求め、mとその時の送信周波数から受信信号の周波数を求める。ただし、目標10との相対距離情報R’と目標10との真の相対距離Rとの差は、数11により求まるmと、数11において、R’をRとした時に求まるmが異ならない程度としている。求めたmと受信信号の周波数の情報を位相計算器19に、受信信号の周波数の情報を固定初期位相周波数シンセサイザー2bに出力する。位相計算器19では、受信信号の周波数の情報から、その周波数に対応する受信用局部発振信号の周波数fLnと、その信号を送信した時に用いた送信用局部発振信号の初期位相φLnを求め、周波数計算器18で求めたmとパルス繰り返し周期Tpriとを用いて、数12により、初期位相が、その周波数の受信信号を送信した時に用いた周波数の送信用局部発振器と同じになる位相θnを求め、その結果を位相補正器21に出力する。固定初期位相周波数シンセサイザー2bでは、周波数計算器18から入力された受信信号の周波数の情報から、その周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を、あらかじめ定めた初期位相で生成し、周波数変換器5bに出力する。周波数変換器5bでは、受信信号の周波数と固定初期位相周波数シンセサイザー2bで発生した受信用局部発振信号の周波数の差の周波数の中間周波数信号を生成し、中間周波数増幅器11へ出力する。中間周波数増幅器11では、中間周波数信号の電力の増幅を行い、その結果を分配器3に出力する。分配器3では、中間周波数増幅器11から入力信号を2分し、それぞれを位相検波器13a、13bに出力する。一方、基準中間周波数信号発生器4で発生した基準中間周波数信号は、90度ハイブリッド器12で90度の位相差を持った2つの信号に分離され、位相検波器13a、13bに出力される。位相検波器13a、および13bでは、分配器3からの入力信号と90度ハイブリッド器12からの入力信号から、中間周波数信号の周波数と基準中間周波数信号の周波数の差の周波数を持ち、互いに90度の位相差を持つI成分、Q成分のビデオ信号を生成する。生成されたI、Qビデオ信号は、サンプリング周波数が1/TpのA/D変換器14a、14bに入力され、パルス幅Tpと同じ間隔のレンジビン毎のディジタルI、Qビデオ信号に変換され、位相補正器21に出力する。位相補正器21では、位相計算機19で求めた位相θnを用いて、ディジタルI、Qビデオ信号の位相の補正を行い、その結果を合成帯域器15に出力する。合成帯域器15では、送信周波数の異なるN個の送信パルスに対する同じレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換することによって、パルス幅Tp以下の距離分解能ΔRを得る合成帯域処理を行い、その結果を包絡線検波器16に出力する。包絡線検波器16以降の処理は、従来のパルスレーダ装置の動作と同じである。

【0037】
図4は、この発明の実施の形態2を示すパルスレーダ装置において、送信パルス、受信パルス、送信用局部発振信号、受信用局部発振信号の関係を示したものである。図において、St、Sr、Lt、Lrは先に図11で説明した通りである。また、図11と同様に、話を簡単にするために、合成帯域処理に用いるパルス数Nは3とし、数11で求まる送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mは1としている。また、固定初期位相周波数シンセサイザー2aで生成される送信用局部発振信号Ltと固定初期位相周波数シンセサイザー2bで生成される受信用局部発振信号Lrの初期位相は全ての周波数において0度としている。

【0038】
図4からもわかるように、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを生成する周波数シンセサイザーを別々に設けることによって、周波数の異なる送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを同じパルス繰り返し周期Tpri内で生成することができるため、ある送信パルスに対する目標からの反射信号が受信されるまで、次の周波数のパルスが送信をまつ必要がなくなり、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、短いパルス繰り返し周期Tpriを用いることができる。また、固定初期位相の周波数シンセサイザーを用いて生成した受信用局部発振信号Lrを用いた場合にでも、あらかじめ求めた相対距離情報を用いて、受信用局部発振信号Lrの初期位相が、各周波数の受信信号に対応する周波数の送信信号を生成した時に用いた送信用局部発振信号Ltの初期位相と同じとなる位相θnを求め、その位相θnを用いて、合成帯域処理前のディジタルI、Qビデオ信号の位相の補正を行うことによって、合成帯域処理に必要な目標との相対距離Rに対応する位相情報を得ることができ、結果として、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。また、実施の形態1では、合成帯域処理に必要な目標との相対距離Rに対応する位相情報を得るために、周波数シンセサイザーにおいて、生成する受信用局部発振信号Lrの初期位相を制御するというアナログ信号に対する補正であったのに対し、実施の形態2によれば、ディジタルI、Qビデオ信号の位相補正をするというディジタル信号に対する補正であるため、レーダ装置内の温度等の環境条件の変化や機器のばらつきの影響を受けにくくすることができる。

【0039】
実施の形態3.図5はこの発明の実施の形態3を示すパルスレーダ装置の構成図であり、図5において1から18は、先に図1、および図10で説明した通りである。また、22は距離補正器である。この動作を、実施の形態2の動作と異なる周波数計算器18以降について、図5を用いて説明する。周波数計算器18では、あらかじめ距離測定処理や距離追尾処理によって得られた目標10との相対距離情報R’を用いて、数11により、受信信号が、いくつ前のパルス繰り返し周期の送信パルスに対する目標10からの反射信号であるか、すなわち、送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mを求め、mとその時の送信周波数から受信信号の周波数を求める。ただし、目標10との相対距離情報R’と目標10との真の相対距離Rとの差は、数11により求まるmと、数11において、R’をRとした時に求まるmが異ならない程度としている。求めた受信信号の周波数の情報を固定初期位相周波数シンセサイザー2bに、mを距離補正器22に出力する。固定初期位相周波数シンセサイザー2bでは、周波数計算器18から入力された受信信号の周波数の情報から、その周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を、あらかじめ定めた初期位相で生成し、周波数変換器5bに出力する。周波数変換器5bでは、受信信号の周波数と固定初期位相周波数シンセサイザー2bで発生した受信用局部発振信号の周波数の差の周波数の中間周波数信号を生成し、中間周波数増幅器11へ出力する。中間周波数増幅器11では、中間周波数信号の電力の増幅を行い、その結果を分配器3に出力する。分配器3では、中間周波数増幅器11から入力信号を2分し、それぞれを位相検波器13a、13bに出力する。一方、基準中間周波数信号発生器4で発生した基準中間周波数信号は、90度ハイブリッド器12で90度の位相差を持った2つの信号に分離され、位相検波器13a、13bに出力される。位相検波器13a、および13bでは、分配器3からの入力信号と90度ハイブリッド器12からの入力信号から、中間周波数信号の周波数と基準中間周波数信号の周波数の差の周波数を持ち、互いに90度の位相差を持つI成分、Q成分のビデオ信号を生成する。生成されたI、Qビデオ信号は、サンプリング周波数が1/TpのA/D変換器14a、14bに入力され、パルス幅Tpと同じ間隔のレンジビン毎のディジタルI、Qビデオ信号に変換され、合成帯域器15に出力する。合成帯域器15では、送信周波数の異なるN個の送信パルスに対する同じレンジビンのディジタルI、Qビデオ信号を逆フーリエ変換することによって、パルス幅Tp以下の距離分解能ΔRを得る合成帯域処理を行い、その結果を包絡線検波器16に出力する。包絡線検波器16では、合成帯域器15から入力されるすべて複素信号の振幅値を求め、その結果を距離補正器22に出力する。距離補正器22では、周波数計算器18から入力されたmとパルス繰り返し周期Tpriを用いて、数13により、補正距離rhを求め、補正距離rhの距離を補正した後の包絡線検波器出力信号を表示器17に出力する。

【0040】

【数13】
JP0003366615B2_000014t.gif【0041】表示器17では、距離補正器16からの入力信号を表示する。

【0042】
数13で表される補正距離rhは以下の様にして導くことができる。この発明の実施の形態3で示している固定初期位相周波数シンセサイザー2bで発生した受信用局部発振信号と基準中間周波数信号発生器4で発生した基準中間周波数信号を用いて生成される参照信号V’n(t)は、従来例で示した数3に対して、数14で表される。

【0043】

【数14】
JP0003366615B2_000015t.gif【0044】よって、数2で表される受信信号Un(t)に対して、数14で示す参照信号V’n(t)を用いて周波数変換を行った場合、周波数変換後の信号W’n(t)は数15で表される。

【0045】

【数15】
JP0003366615B2_000016t.gif【0046】数15で表されるW’n(t)のパルス変調された部分の信号を用いて、逆フーリエ変換を行った場合、逆フーリエ変換後の信号P’(k)は数16で表される。

【0047】

【数16】
JP0003366615B2_000017t.gif【0048】また、包絡線検波の方法として、直線検波を用いた場合、包絡線検波後の信号|P’(k)|はP’(k)の絶対値で数17で表される。

【0049】

【数17】
JP0003366615B2_000018t.gif【0050】数17より、kがNΔf(2R/c-mTpri)と等しくなった時に|P’(k)|がピーク値となることがわかる。|P’(k)|がピーク値となるkをk’pとすると、k’pより求まる距離は、数18に示すように、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rから距離mTpric/2を引いた距離、すなわち数13で示した距離rhを引いた距離となる。

【0051】

【数18】
JP0003366615B2_000019t.gif【0052】図6は、この発明の実施の形態3を示すパルスレーダ装置において、距離補正前の目標レンジプロフィールSrp’と距離補正後の目標レンジプロフィールSrpを示したものである。数18で示したように、各周波数の受信信号における、それぞれに対応する送信用局部発振信号と受信用局部発振信号の初期位相のずれは、目標レンジプロフィールには、数13で求まるrhの距離のずれとなって現れるため、距離rhの距離を補正することによって、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rを求めることができ、正しい目標レンジプロフィールを得ることができる。

【0053】
また、この発明の実施の形態3を示すパルスレーダ装置において、送信パルス、受信パルス、送信用局部発振信号、受信用局部発振信号の関係は、実施の形態2同様に、図4で表される。図4からもわかるように、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを生成する周波数シンセサイザーを別々に設けることによって、周波数の異なる送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを同じパルス繰り返し周期Tpri内で生成することができるため、ある送信パルスに対する目標からの反射信号が受信されるまで、次の周波数のパルスが送信をまつ必要がなくなり、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、短いパルス繰り返し周期Tpriを用いることができる。また、固定初期位相の周波数シンセサイザーを用いて生成した受信用局部発振信号Lrを用いた場合にでも、あらかじめ求めた相対距離情報を用いて、合成帯域処理後に距離補正を行うことによって、距離間違いのない合成帯域処理を行うことができ、結果として、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。また、実施の形態2では、合成帯域処理の前のディジタルI、Qビデオ信号に対して、位相補正を行うために、全てのサンプル点のディジタルI、Qビデオ信号に対して、位相補正を行うため、処理時間がかかるのに対し、実施の形態3では、合成帯域処理を行い、時間軸上の信号、すなわち距離に変換した後に補正を行うために、少ない処理時間で補正を行うことができる。

【0054】
実施の形態4.図7はこの発明の実施の形態4を示すパルスレーダ装置の構成図であり、図7において1、3から18は、先に図1、および図10で説明した通りである。また、23は安定化発振器群、24は送信用周波数選択器、25は受信用周波数選択器である。この動作を、従来のパルスレーダ装置と動作の異なる中間周波数増幅器11以前まで、図7を用いて説明する。タイミング発生器1では、パルス繰り返し周期Tpriの間隔で、周波数切換信号を送信用周波数選択器24と受信用周波数選択器25へ、パルス変調信号をパルス変調器6へ、送受切換信号を送受切換器8へ出力する。安定化発振器群23では、あらかじめ周波数と初期位相を定めたN種類の信号を、安定化発振器群23中の各安定化局部発振器で生成し、生成したN種類の全ての信号を送信用周波数選択器24と受信用周波数選択器25に出力する。送信用周波数選択器24では、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎にN種類の安定化発振器群23からの入力信号の中から1つの信号をあらかじめ定めた順序、例えば、低い周波数から順番に選択し、送信用局部発振信号として、周波数変換器5aに出力する。周波数変換器5aでは、送信用周波数選択器24からの送信用局部発振信号の周波数と、基準中間周波数信号発生器4で生成した基準中間周波数信号の周波数との和の周波数の送信キャリア信号を生成し、パルス変調器6に出力する。パルス変調器6では、周波数変換器5aからの入力信号に対して、タイミング発生器1からのパルス変調信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めたパルス幅Tpのパルス変調を行う。パルス変調器6の出力信号は、電力増幅器7に入力され、電力の増幅が行われ、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔の電力増幅器7からの入力信号をアンテナ9に出力する。アンテナ9では、送受切替器8からの入力信号を、送信信号として空間へ放射する。送信信号は目標10、および背景に反射し、反射信号となってアンテナ9で受信され、送受切替器8に出力される。送受切替器8では、タイミング発生器1からの送受切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎に、あらかじめ定めた時間間隔のアンテナ9からの入力信号を周波数変換器5bに出力する。一方、周波数計算器18では、あらかじめ距離測定処理や距離追尾処理によって得られた目標10との相対距離情報R’を用いて、数11により、受信信号が、いくつ前のパルス繰り返し周期の送信パルスに対する目標10からの反射信号であるか、すなわち、送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mを求め、mとその時の送信周波数から受信信号の周波数を求める。ただし、目標10との相対距離情報R’と目標10との真の相対距離Rとの差は、数11により求まるmと、数11において、R’をRとした時に求まるmが異ならない程度としている。求めた受信信号の周波数の情報は受信用周波数選択器25に出力される。受信用周波数選択器25では、周波数計算器18から入力された受信信号の周波数の情報を用いて、タイミング発生器1からの周波数切換信号によって、パルス繰り返し周期Tpri毎にN種類の安定化発振器群23からの入力信号の中から、受信信号の周波数に対応する周波数の受信用局部発振信号を選択し、周波数変換器5bに出力する。周波数変換器5bでは、受信信号の周波数と受信用周波数選択器25で選択した受信用局部発振信号の周波数の差の周波数の中間周波数信号を生成し、中間周波数増幅器11へ出力する。中間周波数増幅器11以降の処理は、従来のパルスレーダ装置の動作と同じである。

【0055】
図8は、この発明の実施の形態4を示すパルスレーダ装置において、送信パルス、受信パルス、送信用局部発振信号、受信用局部発振信号の関係を示したものである。図において、St、Sr、Lt、Lrは先に図11で説明した通りである。また、図11と同様に、話を簡単にするために、合成帯域処理に用いるパルス数Nは3とし、数11で求まる送信パルスが目標10に反射して受信されるまでに要する時間内のパルス繰り返し周期Tpriの数mは1としている。また、安定化発振器群23で生成される信号の初期位相はすべて、0度としている。図8からもわかるように、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrは、常に合成帯域処理に用いる全ての信号を生成している安定化発振器群23の中から必要な信号を選択して用いているため、周波数の異なる送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを同じパルス繰り返し周期Tpri内で生成することができる。また、送信用局部発振信号Ltと受信用局部発振信号Lrを同じ安定化発振器を用いて生成しているため、各周波数の受信信号に対して、それぞれ対応する周波数の送信信号を生成した時に用いた送信用局部発振信号の初期位相φLnと、同じ初期位相の受信用局部発振信号を用いることができ、合成帯域処理に必要な目標との相対距離Rに対応する位相情報を得ることができる。そのため、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。また、実施の形態1、2、3では、送信、および受信用局部発振信号Lrの周波数の切換を周波数シンセサイザーで行っているため、周波数切換時に周波数が安定するまでの時間がかかるのに対し、実施の形態4では、常に合成帯域処理に用いる全ての信号を安定化発振器群23で生成し、その中から必要な信号を送信用周波数選択器24、および受信用周波数選択器25で選択して用いているため、高速に周波数を切り替えることができる。また、実施の形態1、2、3で合成帯域法を実現するために行っていた位相制御、位相補正、距離補正も必要でなくなる。

【0056】

【発明の効果】第1の発明によれば、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。

【0057】
また、第2の発明によれば、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。さらに、第1の発明に比べ、レーダ装置内の温度等の環境条件の変化や機器のばらつきの影響を受けにくくなる。

【0058】
また、第3の発明によれば、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。さらに、第1の発明に比べ、レーダ装置内の温度等の環境条件の変化や機器のばらつきの影響を受けにくく、第2の発明に比べ、処理時間が短くなる。

【0059】
また、第4の発明によれば、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rとパルス繰り返し周期Tpriが数10の関係にある場合にでも合成帯域処理を行うことができ、パルスレーダ装置と目標との相対距離Rが長い場合にでも、一回の合成帯域処理に要する信号送信時間の短くすることができる。さらに、第1、第2、第3の発明に比べ、送信、および受信用局部発振信号の切換を高速に行うことができ、第1、第2、第3の発明で行っていた位相制御、位相補正、距離補正は必要でなくなる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図4】
2
【図6】
3
【図8】
4
【図12】
5
【図3】
6
【図5】
7
【図9】
8
【図7】
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【図10】
10
【図11】
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