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明細書 :電子走査型レーダ装置及び測角処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3443701号 (P3443701)
公開番号 特開2002-022819 (P2002-022819A)
登録日 平成15年6月27日(2003.6.27)
発行日 平成15年9月8日(2003.9.8)
公開日 平成14年1月23日(2002.1.23)
発明の名称または考案の名称 電子走査型レーダ装置及び測角処理方法
国際特許分類 G01S  7/02      
G01S 13/44      
FI G01S 7/02 F
G01S 13/44
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2000-210276 (P2000-210276)
出願日 平成12年7月11日(2000.7.11)
審査請求日 平成12年7月11日(2000.7.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
発明者または考案者 【氏名】戸梶 功
【氏名】森 健一
【氏名】上田 敏也
【氏名】中村 智
【氏名】蜂須 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
審査官 【審査官】宮川 哲伸
参考文献・文献 特開 平6-3444(JP,A)
特開 昭62-49278(JP,A)
実開 平3-127282(JP,U)
調査した分野 G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
特許請求の範囲 【請求項1】
一定の繰り返し周期で送信パルスを生成する送信パルス生成手段と、
前記送信パルスを放射する送信ビーム、前記送信パルスの反射パルスを受信する受信ビームをそれぞれ指定方向に形成する電子走査型アンテナと、
この電子走査型アンテナに対し、前記送信ビームを指定された計測中心方向に向けて複数回繰り返して形成する送信ビーム形成制御手段と、
前記送信パルスの繰り返し周期毎に、前記送信パルスの送信期間終了後、前記計測中心方向に対して点対称となるように、水平方向の左右に順次規定量のオフセットを持たせて切り替えて第1及び第2の受信ビームを形成する水平方向受信ビーム形成、高低方向の上下に順次規定量のオフセットを持たせて切り替えて第3及び第4の受信ビームを形成する高低方向受信ビーム形成を交互に行う受信ビーム形成制御手段と、
この手段で前記送信パルスの繰り返し周期毎に切り替えられる第1及び第2の受信ビーム、第3及び第4の受信ビームの組の受信信号を順次取り込んで、それぞれ周波数変換を施してビデオ検波する受信手段と、
この受信手段で得られた対称関係にある第1及び第2の受信ビームのビデオ検波信号、第3及び第4の受信ビームのビデオ検波信号の組から前記計測中心方向に対する目標方向の水平方向の角度誤差及び高低方向の角度誤差をそれぞれ求め、前記計測中心方向の角度に加算することで目標方向の水平方向角度及び高低方向角度を求め測角手段とを具備することを特徴とする電子走査型レーダ装置。

【請求項2】
一定の繰り返し周期で送信パルスを生成し、前記送信パルスを放射する送信ビームを指定された計測中心方向に向けて形成し、前記送信パルスの繰り返し周期毎に、前記送信パルスの送信期間終了後、計測中心方向に対して点対称となるように、水平方向の左右に順次規定量のオフセットを持たせて切り替えて第1及び第2の受信ビームを形成する水平方向受信ビーム形成、高低方向の上下に順次規定量のオフセットを持たせて切り替えて第3及び第4の受信ビームを形成する高低方向受信ビーム形成を交互に行い、それぞれの受信ビームの受信信号を周波数変換してビデオ検波し、対称関係にある第1及び第2の受信ビームのビデオ検波信号、第3及び第4の受信ビームのビデオ検波信号の組から前記計測中心方向に対する目標方向の水平方向の角度誤差及び高低方向の角度誤差をそれぞれ求め、前記計測中心方向の角度に加算することで目標方向の水平方向角度及び高低方向角度を求める測角処理方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子走査アンテナを使用して目標を検出するレーダ装置に係り、特に小型化、低価格化が要求される飛しょう体搭載用小型レーダ装置やエアボーン用レーダ装置などに適するものに関する。

【0002】

【従来の技術】周知のように、レーダ装置にあっては、自ら目標方向へ電波を照射し、目標によって反射された信号を処理することで目標情報(距離、角度等)を得る。これらのレーダ装置において、目標の角度誤差の算出方式として現在最も多く用いられているものがモノパルス方式である。

【0003】
図5にモノパルス方式を用いた電子走査アンテナを使用したレーダ装置の一例を示す。図5において、11は電子走査アンテナであり、移相量制御器12からの移相量に応じて方位方向、高低方向に送信ビーム及び受信ビームを振ることができる。このアンテナ11の励振電力はコンパレータ(分配合成器)13を通じて与えられる。

【0004】
送信機14は一定の繰り返し周期で送信パルスを発生する。この送信パルスはサーキュレータ15を介してコンパレータ13に送られてアンテナ11から指定方向へ放射される。この方向に目標物体があると、送信パルスが目標で反射され、その反射パルスが電子走査アンテナ11に返ってくる。

【0005】
ここで、モノパルス方式とは、一部が重なり合った2個のアンテナビームを一組として用い、角度誤差を検出する方式である。方位、高低の両方について角度誤差を検出するときは、図5中に示すように例えばアンテナ11の放射素子を方位方向、高低方向に4分割して4個のアンテナビーム(図5ではA、B、C、D)を形成する。

【0006】
これら4個のアンテナビームを形成する放射素子の出力A~Dはコンパレータ13に供給される。このコンパレータ13は各領域A~Dの放射素子出力を合成して和信号(Σ)と差信号(Δ)を得る。差信号(Δ)としては、方位角差信号(ΔAz)及び高低角差信号(ΔEl)が生成される。和信号(Σ)はサーキュレータ15を介して3チャネル受信機16に供給され、方位角差信号(ΔAz)及び高低角差信号(ΔEl)は直接3チャネル受信機16に供給されてそれぞれビデオ検波され、測角演算処理装置17に供給される。

【0007】
具体的な測角演算処理を図6に示す。方位方向及び高低方向の角度-利得特性を表すビームパターンは、それぞれ図6(a)に示すようなΣパターン(実線)、Δパターン(点線)となる。測角演算処理では、この特性を利用し、差信号(Δ)を和信号(Σ)で除す、すなわち正規化するという方法を用いている。このとき、角度誤差電圧をεv とすると、
εv =Δ/Σ
となり、図6(b)に示すようなモノパルスS字カーブ特性に当てはめることで、角度誤差ε0 が得られる。そこで、計測中心方向をθa 、モノパルス方式で得られた角度誤差をε0とすると、目標方向θ0は
θ0 =θa +ε0
で表される。

【0008】
以上のモノパルス方式は、1回の受信パルスの和及び差信号を同時に処理する必要があるため、図5に示すように、通常3系統の受信系統が必要である(方位方向と高低方向を時分割で処理するシステムでは、受信系統が2系統の場合もある)。

【0009】
また、モノパルス方式以外にも比較的古いタイプのレーダにおいては、アンテナビームを目標近傍へ連続的に走査し、その受信信号強度を平均化することにより測角を行う方式がある。代表的な例としてはコニカルスキャン方式などがある。

【0010】
しかしながら、これらの従来方式では、必要となる受信系統が1系統(和信号系統)であり、ハードウェアが簡素となる利点がある反面、受信信号の時間的変動の影響を受けやすい欠点がある。これは送受信ビームが目標近傍を連続的に走査するため、送信ビームの中心方向が時間的に刻々と変化し、常に異なる方向を向いていることになるからである。

【0011】
この場合、目標の近傍に複雑なクラッタが存在すると、そのクラッタから反射する電波と目標から反射する電波とが合成されて入射される。このため、ビーム走査方向によりクラッタから反射する電波が著しく変化した場合には、これに伴って受信信号も変動してしまうことになる。

【0012】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、現在のレーダ装置における角度誤差の算出には、受信信号強度の変動要素の影響を受けにくいモノパルス方式が一般的であり、良好な角度誤差精度が得られる反面、受信系が3系統必要であり、ハードウェア規模が大きく、それに伴い製品価格も高くなる欠点がある。

【0013】
また、従来のコニカルスキャン方式などのビーム走査方式による測角は、ハードウェアが簡素化できる反面、送信ビームが常にその放射方向を変更するために目標から反射された電波の受信信号強度が時間的に変動する。そのため、測角精度が悪化するという欠点があった。

【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、モノパルス方式と同等の機能を有し、ハードウェア規模の縮小及びそれに伴う低価格化をも可能とする電子走査型レーダ装置及び測角処理方法を提供することを目的とする。

【0015】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明に係る電子走査レーダ装置は、一定の繰り返し周期で送信パルスを生成する送信パルス生成手段と、前記送信パルスを放射する送信ビーム、前記送信パルスの反射パルスを受信する受信ビームをそれぞれ指定方向に形成する電子走査型アンテナと、この電子走査型アンテナに対し、前記送信ビームを指定された計測中心方向に向けて複数回繰り返して形成する送信ビーム形成制御手段と、前記送信パルスの繰り返し周期毎に、前記送信パルスの送信期間終了後、前記計測中心方向に対して点対称となるように、水平方向の左右に順次規定量のオフセットを持たせて切り替えて第1及び第2の受信ビームを形成する水平方向受信ビーム形成、高低方向の上下に順次規定量のオフセットを持たせて切り替えて第3及び第4の受信ビームを形成する高低方向受信ビーム形成交互に行う受信ビーム形成制御手段と、この手段で前記送信パルスの繰り返し周期毎に切り替えられる第1及び第2の受信ビーム、第3及び第4の受信ビームの組の受信信号を順次取り込んで、それぞれ周波数変換を施してビデオ検波する受信手段と、この受信手段で得られた対称関係にある第1及び第2の受信ビームのビデオ検波信号、第3及び第4の受信ビームのビデオ検波信号の組から前記計測中心方向に対する目標方向の水平方向の角度誤差及び高低方向の角度誤差をそれぞれ求め、前記計測中心方向の角度に加算することで目標方向の水平方向角度及び高低方向角度を求める測角手段とを具備して構成される。

【0016】
特に、本発明に係る測角処理方法は、前記送信ビームを指定された計測方向に向けて形成し、受信ビームを送信パルスの繰り返し周期ごとに少なくとも水平方向、高低方向のいずれか一方について、計測中心点を対称にオフセットを持たせて切り替えて形成し、対称関係にある受信ビームの受信信号を用いて計測中心点に対する目標方向の角度誤差を求めることを特徴とする。

【0017】
すなわち、本発明は、送信ビーム及び受信ビームの電波放射方向を切り替えることにより、送信ビームを常に一定方向に放射し、受信信号の時間的変動を極力低減させ、その受信信号を包括的に処理し、角度誤差を算出する測角処理手段を具備したことを特徴とする。

【0018】
特に旧タイプのビーム走査方式による測角方式との違いは、上述のように目標から反射する電波の時間的変動を極力低減するために、送信ビーム方向は常に計測中心方向に照射し、受信ビームのみ送信ビームからある規定値だけオフセットした角度にて受信するところである。

【0019】
上記手段を具備した測角処理方法にあっては、単一受信系(和信号系)のみを使用して、角度誤差を算出することが可能となり、レーダ装置のハードウェア規模の縮小に伴う小型化及び低価格化が実現できる。

【0020】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。

【0021】
図1は本発明の実施形態とする電子走査型レーダ装置の構成を示すものである。図1において、1はビームの方向を送信/受信にて高速に切替が可能な電子走査アンテナであり、そのビーム形成方向は移相量制御器2から与えられる移相量によって決定される。移相量制御器2は、計測方向情報が与えられると、その方向に対応した移相量をアンテナ1に送出する。

【0022】
送信機3は一定周期で送信パルスを生成出力しており、この送信パルスはサーキュレータ4を介してアンテナ1に送られ、移相量制御器2からの移相量に応じた方向へ送出される。アンテナ1は、移相量制御器2からの移相量に対応した受信ビームを形成し、送信パルスの反射波を受信すると、全ての放射素子出力を合成して和信号(Σ)を生成する。この和信号はサーキュレータ4を介して1チャネル受信機5に送られ、ビデオ検波される。この受信機5の出力はマルチパルス測角処理装置6に供給される。

【0023】
このマルチパルス測角処理装置6は、図2に示すように、移相量制御器4に対して、送信ビームを指定方向に形成するように指示し、さらに送信ビームの計測中心Tに対して点対称となるように水平方向、高低方向にオフセットを持った受信ビームA、B、C、Dを、図3に示すように送信繰り返し周期(PRI)で切り替えて形成するように指示する。そして、それぞれの受信ビームA~Dによって得られるビデオ信号を順次取り込んで保存しておき、水平方向にオフセットを持つ受信ビームAとBのビデオ信号から水平方向の目標角度を求め、高低方向にオフセットを持つ受信ビームCとDのビデオ信号から高低方向の目標角度を求める。

【0024】
上記構成において、以下にその処理動作を説明する。

【0025】
まず、初期設定として、マルチパルス測角処理装置6から移相量制御器2に計測方向(目標の存在がわかっている場合には、その方向)情報を与え、さらに、計測中心Tの方向に対する受信ビームA~Dの水平、高低方向のオフセット量を設定する。これにより、アンテナ1は、送信時に計測中心Tの方向に対応する移相量が設定され、受信時に計測中心Tの方向に対して水平方向、高低方向にオフセットする移相量が1PRI毎に順次切り替えられて設定される。

【0026】
最初の1PRI内での処理は次の通りである。まず、電子走査アンテナ1へ計測中心Tの方向にビーム形成が可能な移相量を設定し、送信機3から電子走査アンテナ1へ給電することにより、計測中心Tに向けて空間に送信波を放射する。次に受信時であるが、送信期間終了直後に計測中心Tから水平左方向に所定角度だけずれたA方向にビーム形成が可能な移相量を電子走査アンテナ1に設定し、目標からの反射波を受信する。その受信波は受信機5にて周波数変換を行ってビデオ検波した後、マルチパルス測角処理装置6に入力され、受信信号Sa として一時保管される。

【0027】
次のPRI内処理では、送信ビームは前PRIと同じ計測中心Tに向けて電波を放射する。受信時には前PRIと点対称(この時の基準点は計測中心Tとなる)の方向である計測中心Tから水平右方向に所定角度だけずれたB方向にビーム形成が可能な移相量を電子走査アンテナ1に設定し、目標から反射する電波を受信し、その受信波を受信機5にて周波数変換を行ってビデオ検波した後、受信信号Sb としてマルチパルス測角処理装置6にて保存する。

【0028】
次のPRI内処理では、送信ビームは前PRIと同じ計測中心Tに向けて電波を放射する。受信時には計測中心Tから高低上方向に所定角度だけずれたC方向にビーム形成が可能な移相量を電子走査アンテナ1に設定し、目標から反射する電波を受信し、その受信波を受信機5にて周波数変換を行ってビデオ検波した後、受信信号Sc としてマルチパルス測角処理装置6にて保存する。

【0029】
次のPRI内処理では、送信ビームは前PRIと同じ計測中心Tに向けて電波を放射する。受信時には前PRIと点対称(この時の基準点は計測中心Tとなる)の方向である計測中心Tから高低下方向に所定角度だけずれたD方向にビーム形成が可能なように移相量を電子走査アンテナ1に設定し、目標から反射する電波を受信し、その受信波を受信機5にて周波数変換を行ってビデオ検波した後、受信信号Sd としてマルチパルス測角処理装置6にて保存する。

【0030】
マルチパルス測角処理装置6では、上記4個のビーム受信信号Sa ~Sd から以下の手法によって目標方向Mを測角する。まず、方位方向の受信ビームA、Bのパターンは、図4(a)に示すように、計測中心Tに向けられた送信ビームのパターン(実線)に対して左右対称になる。このため、受信ビームA、Bの受信信号出力電圧をSa 、Sb とすると、目標方向の角度誤差電圧εhvは、
εhv=(Sa -Sb )/(Sa +Sb )
のように表現できる。角度誤差と角度誤差電圧との間には図4(b)に示すようなS字カーブ特性が得られる。この特性に角度誤差電圧εhvを当てはめて角度誤差ε0 を求め、次式のように角度誤差εh0を計測中心Tの方向θhaに加算することで、目標水平方向角度θh0を求めることができる。

【0031】
θh0=θha+εh0
同様の測角処理を受信ビームC、Dの受信信号出力電圧Sc 、Sd を用いて行うことで、目標高低方向角度θv0を求めることができる。よって、両角度の値を合成すれば、目標方向Mを求めることができる。

【0032】
したがって、上記構成によれば、全PRIともある一定の方向である計測中心T方向に電波を放射することにより、従来からのコニカルスキャン方式などのビーム走査方式と比較して受信信号Sの時間的変動が低減できる。また、この一連の送受信動作を繰り返し、その一連の動作から得られる受信信号Sを包括的に処理することにより、計測中心Tの点と目標方向Mの角度誤差εを計測することができる。

【0033】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、モノパルス方式と同等の機能を有し、ハードウェア規模の縮小及びそれに伴う低価格化をも可能とする電子走査型レーダ装置及び測角処理方法を提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5