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明細書 :空間給電フェーズドアレイアンテナ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3404717号 (P3404717)
公開番号 特開2002-022820 (P2002-022820A)
登録日 平成15年3月7日(2003.3.7)
発行日 平成15年5月12日(2003.5.12)
公開日 平成14年1月23日(2002.1.23)
発明の名称または考案の名称 空間給電フェーズドアレイアンテナ装置
国際特許分類 G01S 13/06      
G01S 17/02      
H01Q  3/24      
H01Q  3/26      
H01Q 21/06      
FI G01S 13/06
G01S 17/02
H01Q 3/24
H01Q 3/26
H01Q 21/06
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2000-210277 (P2000-210277)
出願日 平成12年7月11日(2000.7.11)
審査請求日 平成12年7月11日(2000.7.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
発明者または考案者 【氏名】戸梶 功
【氏名】森 健一
【氏名】田中 亨
【氏名】中村 智
【氏名】蜂須 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
審査官 【審査官】宮川 哲伸
参考文献・文献 特開 昭53-77444(JP,A)
特開 平11-145725(JP,A)
特開 平11-258329(JP,A)
特開 昭57-138202(JP,A)
特開 平6-291535(JP,A)
調査した分野 G01S 7/00 - 7/64
G01S 13/00 - 13/96
H01Q 3/24
H01Q 3/26
H01Q 21/06
特許請求の範囲 【請求項1】
繰り返し送信パルスを送出し、その反射信号を受信して目標情報を計測するパルスレーダに用いられ、
それぞれ反射型移相器が接続される複数のアンテナ素子をアレイ状に配列し、前記複数のアンテナ素子の励振信号をそれぞれ前記反射型移相器によりビーム形成方向に対応した位相制御を施しつつ反射して、前記複数のアンテナ素子から再放射する反射器と、
前記反射器のアンテナ素子配列面に対向配置され、前記反射器のアンテナ素子配列面への送信信号放射による空間給電及び前記アレイアンテナの再放射信号の受信を選択的に行う一次放射器と、
前記一次放射器の背面に配置され、前記目標方向に送信信号を放射する送信用アンテナと、
前記送信パルスを前記一次放射器に供給して前記空間給電により送出する第1の送信状態と、前記送信パルスを前記送信用アンテナに供給して直接放射により送出する第2の送信状態とを選択的に切り替える送信切替手段とを具備し、
前記第1及び第2の送信状態によって送出される前記送信パルスの反射信号を、いずれも前記反射器で受けてその再放射信号を前記一次放射器により受信することを特徴とする空間給電フェーズドアレイアンテナ装置。

【請求項2】
前記送信切替手段は、初期状態では前記1の送信状態とし、前記目標までの距離が一定値以下となったとき前記第2の送信状態に切り替えることを特徴とする請求項1記載の空間給電フェーズドアレイアンテナ装置。

【請求項3】
前記送信用アンテナは、複数のアンテナ素子をアレイ状に配列してなることを特徴とする請求項1記載の空間給電フェーズドアレイアンテナ装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、レーダ・通信等に使用される反射型の空間給電フェーズドアレイアンテナ装置に係り、送信パルス幅に比例して大きくなる送信ブラインド領域を有するパルス変調型レーダ装置において、目標信号の抽出が可能となるアンテナ技術に関する。

【0002】

【従来の技術】一般的なパルス変調型レーダ装置は、自ら電波を照射し、目標によって反射された電波の受信信号を処理して、目標情報(距離、角度等)を得るものである。これらのレーダ装置に用いられるアンテナ装置として、近時、小型軽量化された反射型の空間給電フェーズドアレイアンテナ装置が注目されている。

【0003】
ところで、上記のレーダ装置に用いられる従来のアンテナ装置では、自己の送信パルス幅に比例した送信ブラインド領域なるものが存在する。この送信ブラインド領域では、過大な送信電波が受信系へ漏れ込むことを防ぐため、受信系への入力を電気的に切断している。そのことにより、送信ブラインド領域に入るような近距離にある目標から反射された電波を受信することは困難であった。特に、極近距離まで目標検出機能が必要となる飛しょう体搭載用のアクティブレーダ装置においては、この送信ブラインド領域内での目標検出のために、レーダ装置とは別に近接目標検出専用の近接センサを用いる必要があった。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、特に極近距離まで目標検出機能が必要となるレーダ装置は、これとは別に近接センサを用いてその機能を補ってきた。しかし、近年の飛しょう体目標の小型化、高機動化に伴い、可能な限り送信ブラインド領域を少なくし、目標近傍までレーダ装置による目標検出機能を確保することが要求されるようになってきている。さらに、レーダ装置とは別に近接センサを別個に備えているため、飛しょう体に搭載される構成品の数が多くなり、装置構成の効率化を阻害する要因となっていた。

【0005】
特に近年は、システムとしての効率化等の要請から、飛しょう体の構成品の簡易化、簡略化等が要望されており、レーダ装置と近接センサの共用化要求が高まっている。

【0006】
本発明は、上記のような諸事情を鑑みてなされたもので、簡単な構成で送信ブラインド領域を低減することができ、特にレーダ装置に用いて好適な空間給電フェーズドアレイアンテナ装置を提供することを目的とする。

【0007】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために本発明に係る空間給電フェーズドアレイアンテナ装置は、繰り返し送信パルスを送出し、その反射信号を受信して目標情報を計測するパルスレーダに用いられ、それぞれ反射型移相器が接続される複数のアンテナ素子をアレイ状に配列し、前記複数のアンテナ素子の励振信号をそれぞれ前記反射型移相器によりビーム形成方向に対応した位相制御を施しつつ反射して、前記複数のアンテナ素子から再放射する反射器と、前記反射器のアンテナ素子配列面に対向配置され、前記反射器のアンテナ素子配列面への送信信号放射による空間給電及び前記アレイアンテナの再放射信号の受信を選択的に行う一次放射器と、前記一次放射器の背面に配置され、前記目標方向に送信信号を放射する送信用アンテナと、前記送信パルスを前記一次放射器に供給して前記空間給電により送出する第1の送信状態と、前記送信パルスを前記送信用アンテナに供給して直接放射により送出する第2の送信状態とを選択的に切り替える送信切替手段とを具備し、前記第1及び第2の送信状態によって送出される前記送信パルスの反射信号を、いずれも前記反射器で受けてその再放射信号を前記一次放射器により受信することを特徴とする

【0008】
この構成によるアンテナ装置では、一次放射器からアレイアンテナに向けて空間給電することにより送受信する第1の系と、送信には送信用アンテナを用いて一次放射器とは逆の方向に送信波を放射し、受信にはアレイアンテナで捉えた電波を一次放射器に集めて受信する第2の系とを備える。第2の系の場合は、送信用アンテナから放射される電波の受信系への回り込みが少ないため、送信ブラインド領域を低減することが可能となる。

【0009】
特に、上記構成において、繰り返し送信パルスを送出し、その反射パルスを受信して目標までの距離を計測するパルスレーダに用いられるとき、前記送信切替手段は、初期状態では前記空間給電による送信状態とし、前記目標までの距離が一定値以下となったとき前記送信用アンテナによる送信状態に切り替えることを特徴とする。

【0010】
この構成によれば、レーダ装置に用いた場合、目標が極近距離まで近づいたときの送信ブラインド領域をほぼなくすことができるため、近接センサを用いることなく最後まで目標の検出が可能となる。

【0011】
また、前記送信用アンテナは、複数のアンテナ素子をアレイ状に配列してなることを特徴とする。これにより、送信用アンテナのビーム指向方向を容易に制御可能となる。

【0012】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。

【0013】
図1は本発明に係る空間給電フェーズドアレイアンテナ装置11の構成を示すものである。このアンテナ装置11は一次放射器111、多数のアンテナ素子を基板表面上にアレイ状に配列し、その裏面において各アンテナ素子の入出力端に反射型移相器を接続した反射器112を備える。一次放射器111はその放射面が反射器112の素子配列面(反射面)に対向するように配置される。

【0014】
一次放射器111の放射面と反対側には、送信専用の送信用アンテナ113が配置される。この送信用アンテナ113は、ホーン型でもアレイアンテナでもよく、一次放射器111とは反対方向に指向性を有するものとする。一次放射器111及び送信用アンテナ113は基台114に固定され、この基台114は支柱115により反射器112の反射面前方に配置される。尚、一次放射器111及び送信用アンテナ113の給電は、反射器112、支柱115、基台114を通じて行われる。

【0015】
図2は上記空間給電フェーズドアレイアンテナ装置11をレーダ装置に適用した場合の構成を示すものである。

【0016】
上記アンテナ装置11は、さらに図2に示すように、切換スイッチ116、サーキュレータ117及びコンパレータ118を備える。切換スイッチ116は送信機21からの繰り返し送信パルスをサーキュレータ117及びコンパレータ118を介して一次放射器111に送出するか、直接、送信用アンテナ113に送出するかを切換設定するものである。サーキュレータ117は、切換スイッチ116からの送信パルスをコンパレータ118を介して一次放射器111へ導き、この一次放射器111からの受信信号をコンパレータ118を介して取り込んで、Σ(和ビーム)系受信信号として受信機22へ出力するものである。コンパレータ118は受信信号の位相比較処理を行うもので、その出力はΔ(差ビーム)系受信信号として受信機22へ出力される。

【0017】
受信機22は、Σ系、Δ系の両受信信号をビデオ検波するもので、その検波出力は信号処理器23に送られる。この信号処理器23は、MTI(移動目標検出)処理、モノパルス測角演算等の処理によって目標までの距離、目標角度を求めるもので、距離情報は送受信制御器24に送られる。上記送受信制御器24は、距離情報から送信機21に対する繰り返しパルスの周期制御、受信機22に対する受信期間の設定、切換スイッチ116に対するスイッチング制御を行うものである。

【0018】
上記構成において、以下にその動作を説明する。

【0019】
まず、初期状態では、図3に示すように、切換スイッチ116がサーキュレータ117側に設定される。このため、送信機21から出力される送信パルスは、切換スイッチ116、サーキュレータ117、コンパレータ118を介して一次放射器111に送られ、この一次放射器111から反射器112の各アンテナ素子へ向けて放射される。これにより、各アンテナ素子は空間給電により励振される。各アンテナ素子で得られた励振信号は反射型移相器によってビーム方向に対応した位相制御が施されて反射される。これにより、アンテナ素子からビーム指向方向に向けて送信波が放射される。

【0020】
空間へ放射された電波が目標により反射されると、その反射波は反射器112の各アンテナ素子で受信され、反射型移相器の位相制御により一次放射器111に集められる。一次放射器111に集められた受信波は、受信信号としてコンパレータ118、サーキュレータ117に供給され、ここでΔ系受信信号、Σ系受信信号として受信機22に送られる。以後、送信機21、受信機22、信号処理器23、送受信制御器24において従来のレーダ装置と同様に処理される。

【0021】
この場合の送受信のアイソレーションは、サーキュレータ117の送信入力端をΣ受信信号出力端とのアイソレーションで決まり、一般的には送信入力端に入力される送信電力のある程度がΣ受信信号出力端に漏れ込み、受信機22へ供給される。このため、送信時の送信電力の漏れ込みが生じ、受信機22が飽和状態となってしまう。

【0022】
そこで、一般的には受信機22の入力を電気的に切断し、その漏れ込みを防いでいる。このため、送信時は目標からの反射波が受信できない状態(送信ブラインド状態)となっており、目標が近づくと、その目標反射波の受信タイミンクが送信ブラインド領域に入ってくるため、受信不能となる。そこで、送受信制御器24により、信号処理器23で得られる目標距離情報に基づいて、目標からの距離がブラインド領域に入る前に、図4に示すように切換スイッチ116を送信用アンテナ113側に切換制御させる。

【0023】
この場合、送信機21から出力される送信パルスは、切換スイッチ116から直接、送信用アンテナ113へ導かれ、この送信用アンテナ113から目標方向(一次放射器111とは反対の方向)に放射される。これにより、送信信号のサーキュレータ117を介して受信機22への漏れ込みをなくすことができる。空間へ放射された電波が目標により反射されると、その反射波は反射器112の各アンテナ素子で受信され、反射型移相器の位相制御により一次放射器111に集められる。以後、空間給電の場合と同様に受信処理される。

【0024】
このときの送受信のアイソレーションは、送信用アンテナ113と一次放射器111との位置関係で決まるが、両者が互いに背面で結合されており、漏れ込みには空間放射しなければならないこと等から、一般的には一次放射器111の空間給電による場合よりも良好なアイソレーションが確保できるようになる。このため、送信時の送信電力の漏れ込みが低下し、受信機22が飽和状態とならず、受信機22の入力を電気的に切断する必要がなくなり、送信時でも目標からの反射波を受信可能な状態が確保される。

【0025】
したがって、上記構成によるアンテナ装置を用いれば、送信ブラインド状態をほぼなくすことができるので、目標検出のために、レーダ装置とは別に目標近接時における目標検出のための近接センサを別個に備える必要がなくなり、小型軽量化及び構成品の簡易化が実現できる。また、システムとしての運用や装置の効率化を図ることができる。さらに、レーダ装置単独で極近距離まで目標検出機能が確保される。

【0026】
尚、上記実施形態ではレーダ装置に適用した場合について説明したが、本発明のアンテナ装置はこれに限定されるものではなく、近接位置まで目標検出機能が要求されるレーダ装置に適用可能であることはいうまでもない。

【0027】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、簡単な構成で送信ブラインド領域を低減することができ、特にレーダ装置に用いて好適な空間給電フェーズドアレイアンテナ装置を提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3