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明細書 :リニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3520982号 (P3520982)
公開番号 特開2002-101050 (P2002-101050A)
登録日 平成16年2月13日(2004.2.13)
発行日 平成16年4月19日(2004.4.19)
公開日 平成14年4月5日(2002.4.5)
発明の名称または考案の名称 リニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造
国際特許分類 H04B 10/20      
B64C 13/38      
FI B64C 13/38
H04B 9/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願2000-288989 (P2000-288989)
出願日 平成12年9月22日(2000.9.22)
審査請求日 平成12年9月22日(2000.9.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】新井 裕
【氏名】伊奈 伸一郎
【氏名】中田 聡
【氏名】阿閉 裕
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外2名)
審査官 【審査官】丸山 高政
参考文献・文献 特開 昭59-214344(JP,A)
特開 昭63-171034(JP,A)
特開 平4-37344(JP,A)
特開 平2-151197(JP,A)
特開 平2-140025(JP,A)
調査した分野 H04B 10/00 - 10/28
H04J 14/00 - 14/08
B64C 13/38
特許請求の範囲 【請求項1】
航空機におけるフライバイライト方式の操縦系統を実現するための光データバス構造であって、
パイロットが航空機を操縦するために操作する複数の操縦入力用機器、および航空機の舵を駆動するための複数のアクチュエータを有する複数の端末機器と、
航空機の飛行状態を管理および制御する飛行制御コンピュータと、
一方向に光信号を導く、入力機器用第1バスラインおよびアクチュエータ用第1バスラインと、
各第1バスラインとそれぞれ対を成し、一方向とは異なる他方向に光信号を導く、入力機器用第2バスラインおよびアクチュエータ用第2バスラインとを含み、
各操縦入力用機器は、入力機器送信部および入力機器受信部をそれぞれ有し、入力機器用第1バスラインおよび入力機器用第2バスライン間に並列に設けられ、各入力機器送信部が入力機器用第1バスラインに接続され、各入力機器受信部が入力機器用第2バスラインに接続され、
各アクチュエータは、アクチュエータ送信部およびアクチュエータ受信部をそれぞれ有し、アクチュエータ用第1バスラインおよびアクチュエータ用第2バスライン間に並列に設けられ、各アクチュエータ送信部がアクチュエータ用第1バスラインに接続され、各アクチュエータ受信部がアクチュエータ用第2バスラインに接続され、
飛行制御コンピュータは、2対の制御器受信部および制御器送信部を有し、一方の制御器受信部は、入力機器用第1バスラインに、各操縦入力用機器よりも前記一方向下流側でそれぞれ接続され、一方の制御器受信部と対を成す一方の制御器送信部は、入力機器用第2バスラインに、各操縦入力用機器よりも前記他方向上流側でそれぞれ接続され、他方の制御器受信部は、アクチュエータ用第1バスラインに、各アクチュエータよりも前記一方向下流側でそれぞれ接続され、他方の制御器受信部と対を成す他方の制御器送信部は、アクチュエータ用第2バスラインに、各アクチュエータよりも前記他方向上流側でそれぞれ接続され、
さらに飛行制御コンピュータは、各端末機器からの信号を受信したとき、受信した信号を演算処理して各端末機器に送信可能であるとともに、受信した信号をそのまま各端末機器に送信可能であることを特徴とするリニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造。

【請求項2】
飛行制御コンピュータは、
各端末機器間および各端末機器と飛行制御コンピュータとの間の信号の転送を制御するとともに、各制御器受信部で受信される各端末機器からの信号が与えられてその信号を演算処理して各制御器送信部に与えるプロトコルコントローラと、
プロトコルコントローラと各制御器送信部との間にそれぞれ介在され、プロトコルコントローラから信号が与えられるとともに、各制御器受信部から信号が与えられ、プロトコルコントローラからの信号および各制御器受信部からの信号を選択的に各制御器送信部に与える複数の選択回路とを有することを特徴とする請求項1記載のリニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明が属する技術分野】本発明は、航空機の操縦系統などにおいて、操縦桿などから与えられる情報を舵を駆動するアクチュエータに伝達するためのリニア形の光伝送路を用いた多端末光データバス構造に関する。

【0002】
なお本発明において、「リニア形」とは、バスラインに直列に介在される光カプラによって機器が並列に接続される形式をいう。

【0003】

【従来の技術】航空機の操縦系統として、機体全体の重量の軽減、および飛行制御機能の改善を目的として、操縦桿と舵とを機械的に接続する方式の操縦系統に代えて、パイロットの操縦内容を電気信号に置換えて舵を駆動するアクチュエータへ転送する電気的な方式、すなわちフライバイワイヤ方式の操縦系統が多く採用されている。このフライバイワイヤ方式において操縦内容を伝達している電気信号は、電磁干渉およびノイズの影響を受けやすいので、これらの影響の少ない光信号を用いるフライバイライト方式の操縦系統が採用されつつある。

【0004】
図3は、従来のリニア形光伝送路を用いた光データバス構造を示す回路図である。フライバイライト方式の操縦系統を実現するために、従来の電気データバスの接続方法と同様に図3に示す光データバス構造の採用が考えられる。一方向A1に光信号を導く第1バスライン1と、他方向A2に光信号を導く第2バスライン2とを有し、第1および第2バスライン1,2間に、複数の機器3a,3b,3c,3d,3eが接続されている。各機器3(以下同様に、各機器3a~3eを総称するときには、添字a~eを省略して示す場合がある)は、航空機の制御のための機器であり、たとえば機器3aは操縦桿であり、機器3cはバスライン制御機器であり、飛行制御コンピュータ機能を含み(以下、飛行制御コンピュータという)、機器3eは舵を駆動するアクチュエータである。

【0005】
各機器3は、2対の送信部4a,4bおよび受信部5a,5bをそれぞれ有し、各機器3の一方の対を成す送信部4aおよび受信部5aは、第1バスライン1にカプラ6aを介してそれぞれ接続され、各機器3の他方の対を成す送信部4bおよび受信部5bは、第2バスライン2にカプラ6bを介してそれぞれ接続されている。各カプラ6a,6bは、2つの光を1つの光に結合させることができる部分と、1つの光を2つの光に分岐させることができる部分とを有している。

【0006】
各機器3の送信部4aから送信される光信号は、各カプラ6aによって結合され、第1バスライン1に送出される。第1バスライン1によって導かれている光信号は、各カプラ6aによって分岐され、各機器3の受信部5aから受信することができる。また各機器3の送信部4bから送信される光信号は、各カプラ6bによって結合され、第2バスライン2に送出される。第2バスライン2によって導かれている光信号は、各カプラ6bによって分岐され、各機器3の受信部5bから受信することができる。

【0007】
このような光データバス構造によって接続される各機器3は、相互に信号を転送することができる。前述した航空機の操縦系統として採用される場合を例に挙げて、具体的に説明すると、パイロットによって操縦桿3aが操作されると、その操作量を表す信号が操縦桿3aの各送信部4a,4bから送信される。操縦桿3aの各送信部4a,4bから送信された信号は、第1および第2バスラインによって導かれ、残余の各機器3b~3eにおいて受信される。この信号には受信先が指定されており、飛行制御コンピュータ3cだけが、操縦桿3aからの信号に対して応答し、舵の駆動量を表す信号を、飛行制御コンピュータ3cの各送信部4a,4bから送信する。飛行制御コンピュータ3cの各送信部4a,4bから送信された信号は、第1および第2バスライン1,2によって導かれ、残余の各機器3a,3b,3d,3eにおいて受信される。この信号には受信先が指定されており、舵を駆動するアクチュエータ3eだけが、飛行制御コンピュータ3cからの信号に応答し、その信号の表す駆動量だけ舵を駆動する。

【0008】
またこのように舵が駆動されると、舵が周囲の大気から受ける抵抗力が変化する。アクチュエータ3eは、この抵抗力を検出することが可能であり、検出された抵抗力を表す信号がアクチュエータ3eの各送信部4a,4bから送信される。アクチュエータ3eの各送信部4a,4bから送信された信号は、第1および第2バスライン1,2によって導かれ、残余の各機器3a~3dにおいて受信される。この信号には受信先が指定されており、飛行制御コンピュータ3cだけが、アクチュエータ3eからの信号に対して応答し、操縦フィールを表す信号を、飛行制御コンピュータ3cの各送信部4a,4bから送信する。飛行制御コンピュータ3cの各送信部4a,4bから送信された信号は、第1および第2バスライン1,2によって導かれ、残余の各機器3a,3b,3d,3eにおいて受信される。この信号には受信先が指定されており、操縦桿3aだけが、飛行制御コンピュータ3cからの信号に応答し、その信号の表す操縦フィールに対応した反力を発生させる。

【0009】
このような従来技術では、各機器3と第1および第2バスライン1,2とを接続するカプラとして同一の構成を有する各カプラ6a,6bを用い、かつ各機器3間において相互に信号の転送を可能にするために、各機器3は2対の送信部4a,4bおよび受信部5a,5bを備える。これによって前述のように各機器3間での信号の転送が可能になっている。

【0010】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1および第2バスライン1,2には、各カプラ6a,6bが直列に設けられており、第1および第2バスライン1,2によって導かれている信号は、各カプラ6a,6bにおいて分岐されるので、信号の導かれる方向、すなわち第1バスライン1においては一方向、第2バスライン2においては他方向下流側になるにつれて、信号の強度が低下する。したがって各機器3間での信号の転送を可能にするためには、相互に最も離れた位置にある各機器3a,3e間における信号の転送を可能にしなければならず、第1および第2バスライン1,2によって接続することが可能な機器3の数が制限されてしまう。

【0011】
また第1および第2バスライン1,2は、信号を導くことが可能な方向を有するので、各機器3間で相互に信号の転送を可能にするために、各機器3は、第1および第2バスライン1,2に信号をそれぞれ送信する2つの送信部4a,4bをそれぞれ備える必要があるとともに、第1および第2バスライン1,2からの信号をそれぞれ受信する2つの受信部5a,5bをそれぞれ備える必要がある。しかしながら各機器3から送信される信号は、その受信先が残余の機器3のうちの1つの機器であり、その機器以外の機器に転送される信号は、無駄になる。

【0012】
特に第1バスライン1に一方向の最も上流側で、かつ第2バスライン2に他方向の最も下流側で接続される機器3aでは、送信部4bから第2バスライン2に送り出される信号は、この信号を受信する機器が存在しないので無駄な信号となり、また受信部5aで受信する信号は全く存在しない。また第1バスライン1に一方向の最も下流側で、かつ第2バスライン2に他方向の最も上流側で接続される機器3eでは、送信部4aから第1バスライン1に送り出される信号は、この信号を受信する機器が存在しないので無駄な信号となり、また受信部5bで受信する信号は全く存在しない。

【0013】
さらに各カプラ6a,6bは、光を透過させることによって、分岐および結合するいわゆるパッシブなカプラであり、各送信部4a,4bからの信号を結合して、第1および第2バスライン1,2に送り出すことができ、かつ第1および第2バスライン1,2の信号を分岐させて各受信部5a,5bから受信させることができる。このような各カプラ6a,6bは、その構成上、各機器3毎に、送信部4aと受信部5aとを接続し、また送信部4bと受信部5bとを接続して、各機器3においていわゆるループバックラインを形成してしまい、各送信部4a,4bから送出された信号は、第1および第2バスライン1,2に送出されると同時に分岐されて、その信号が送信した機器3自身に戻ってきてしまう。

【0014】
このように信号の無駄が多くなるので、機器3の接続数が制限されてしまう。これに対して、機器3の接続数を多くするために、各送信部4a,4bから出力する信号の強度を高くすることが考えられるけれども、近い位置にある2つ機器3間においては、逆に受信強度が高くなりすぎてしまい、信号の認識が困難になる。このため、各受信部5a,5bを保護するために、アテネータおよび保護回路などの受信部を保護する手段を設ける必要があり、また広いダイナミックレンジの信号を転送可能にする必要がある。さらに現状の各カプラ6a,6bなどを用いて、接続可能な機器の数を多くするためには、現状よりも低損失の光伝送路が必要、すなわち各バスライン1,2に用いられる光ファイバを低損失とする必要がある。

【0015】
しかしながらこれらの各カプラ6a,6b、および光ファイバなど、光信号を伝送するための手段の改良は、困難であり、現状においてパッシブの光カプラを用いた光データバスでは、一般のデータバスプロトコル規定の端末数を実現することが困難である。このような理由から、パッシブなカプラが用いられるリニア形の光データバスで、光信号を効率良く転送し、多数の機器を接続することができる光データバス構造が要求されている。

【0016】
したがって本発明の目的は、光信号を効率良く転送することができるリニア形の伝送路を用いた多端末光データバス構造を提供し、また多数の機器を接続することができるリニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造を提供することである。

【0017】

【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、航空機におけるフライバイライト方式の操縦系統を実現するための光データバス構造であって、パイロットが航空機を操縦するために操作する複数の操縦入力用機器、および航空機の舵を駆動するための複数のアクチュエータを有する複数の端末機器と、航空機の飛行状態を管理および制御する飛行制御コンピュータと、一方向に光信号を導く、入力機器用第1バスラインおよびアクチュエータ用第1バスラインと、各第1バスラインとそれぞれ対を成し、一方向とは異なる他方向に光信号を導く、入力機器用第2バスラインおよびアクチュエータ用第2バスラインとを含み、各操縦入力用機器は、入力機器送信部および入力機器受信部をそれぞれ有し、入力機器用第1バスラインおよび入力機器用第2バスライン間に並列に設けられ、各入力機器送信部が入力機器用第1バスラインに接続され、各入力機器受信部が入力機器用第2バスラインに接続され、各アクチュエータは、アクチュエータ送信部およびアクチュエータ受信部をそれぞれ有し、アクチュエータ用第1バスラインおよびアクチュエータ用第2バスライン間に並列に設けられ、各アクチュエータ送信部がアクチュエータ用第1バスラインに接続され、各アクチュエータ受信部がアクチュエータ用第2バスラインに接続され、飛行制御コンピュータは、2対の制御器受信部および制御器送信部を有し、一方の制御器受信部は、入力機器用第1バスラインに、各操縦入力用機器よりも前記一方向下流側でそれぞれ接続され、一方の制御器受信部と対を成す一方の制御器送信部は、入力機器用第2バスラインに、各操縦入力用機器よりも前記他方向上流側でそれぞれ接続され、他方の制御器受信部は、アクチュエータ用第1バスラインに、各アクチュエータよりも前記一方向下流側でそれぞれ接続され、他方の制御器受信部と対を成す他方の制御器送信部は、アクチュエータ用第2バスラインに、各アクチュエータよりも前記他方向上流側でそれぞれ接続され、さらに飛行制御コンピュータは、各端末機器からの信号を受信したとき、受信した信号を演算処理して各端末機器に送信可能であるとともに、受信した信号をそのまま各端末機器に送信可能であることを特徴とするリニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造である。

【0018】
本発明に従えば、複数の端末機器が、操縦入力用機器のグループと、アクチュエータのグループとに分けられ、各操縦入力用機器は、入力機器用第1バスラインおよび入力機器用第2バスラインに並列に接続され、各アクチュエータ機器は、アクチュエータ用第1バスラインおよびアクチュエータ用第2バスラインに並列に接続される。飛行制御コンピュータは、2対の制御器受信部および制御器送信部を有し、一方の対の制御器受信部および制御器送信部が、入力機器用第1バスラインおよび入力機器用第2バスラインに接続され、他方の対の制御器受信部および制御器送信部が、アクチュエータ用第1バスラインおよびアクチュエータ用第2バスラインに接続される。各操縦入力用機器は、入力機器送信部をそれぞれ有し、各アクチュエータは、アクチュエータ送信部をそれぞれ有している。これら各操縦入力用機器およびアクチュエータである各端末機器は、第1光信号を送信することができ、その第1光信号は、第1バスラインによって一方向に導かれる。飛行制御コンピュータは、各端末機器から送信されて各第1バスラインによって導かれる第1光信号を、制御器受信部から受信することができる。この飛行制御コンピュータは、第1光信号に応答して、制御器送信部から第2光信号を送信することができ、その第2光信号は各第2バスラインによって他方向に導かれる。各操縦入力用機器は、入力機器受信部をそれぞれ有し、各アクチュエータは、アクチュエータ受信部をそれぞれ有している。これら各操縦入力用機器およびアクチュエータである各端末機器は、飛行制御コンピュータから送信されて各第2バスラインによって導かれる第2光信号を、入力機器受信部およびアクチュエータ受信部から受信することができる。

【0019】
また前述のように各端末機器が2つのグループに分けられた状態で、各グループ毎に独立した第1および第2バスラインによって接続されている。このような構成によって、各端末機器と飛行制御コンピュータとは、各グループ毎に、独立した第1および第2バスラインを介して、相互に信号を転送することができる。さらに同一グループ内の各端末機器は、飛行制御コンピュータを介して相互に信号を転送することができるとともに、異なるグループ間でも、各端末機器は、飛行制御コンピュータを介して相互に信号を転送することができる。このように各端末機器に一対の送信部および受信部を備えるだけで、各端末機器間での信号の転送が可能になる。また各端末機器の信号の送信方向下流側に、各端末機器からの信号の受信先である飛行制御コンピュータが設けられるので、各端末機器から送信される信号は、その受信先である飛行制御コンピュータによって必ず受信され、無駄になることがない。さらに飛行制御コンピュータの信号の送信方向下流側に、各端末機器が設けられ、各端末機器のいずれか1つの機器が飛行制御コンピュータからの信号の受信先であるので、飛行制御コンピュータから送信される信号は、その受信先である各端末機器のうちのいずれか1つの機器によって必ず受信され、無駄になることがない。

【0020】
さらに各第1バスラインによって導かれる第1光信号は、他の端末機器に分岐されて受信されずに飛行制御コンピュータだけによって受信される。これによって各端末機器から飛行制御コンピュータに信号を転送するにあたって、各端末機器から送信する第1光信号の強度は、第1バスラインにおける光信号の減衰だけを考慮して選択すればよく、従来と比較して低い強度の信号であっても、受信先である飛行制御コンピュータで受信することが可能である。さらに飛行制御コンピュータに、1組の対を成す第1および第2バスラインによって相互に信号の転送が可能な端末機器数は、第1および第2バスラインにおける光信号の減衰などの理由から制限されるけれども、飛行制御コンピュータに2対の第1および第2バスラインを接続し、各端末機器を2つのグループに分けて飛行制御コンピュータに接続することによって、飛行制御コンピュータに、多数の端末機器を接続することができる。したがって、従来と比べて多くの端末機器を接続し、これら各端末機器間で相互に信号を転送することが可能になる。

【0021】
しかも飛行制御コンピュータは、各端末機器からの信号を、そのまま端末機器に転送することもできるし、演算処理をして端末機器に送信することもできる。このように飛行制御コンピュータは、各端末機器からの信号に対して、演算処理が必要な場合には演算処理をし、演算処理が不要である場合にはそのまま転送して迅速に転送することができる。このような信号転送が可能な光データバス構造によって、航空機におけるフライバイライト方式の操縦系統が実現される。前述のような光データバス構造は、各端末機器における送信部および受信部の数を少なくできることによって、各端末機器を小型化することができ、かつ必要電力を小さくすることができ、設置スペースを小さくし、かつ軽量化が望まれる航空機の操縦系統として有用である。さらにまた信号の迅速な転送が可能であるので、高速で飛行する航空機の操縦系統として、迅速な応答性の高い操縦系統を実現し、より安全性の高い飛行を達成できる操縦系統を実現することができる。

【0022】
請求項2記載の本発明は、飛行制御コンピュータは、各端末機器間および各端末機器と飛行制御コンピュータとの間の信号の転送を制御するとともに、各制御器受信部で受信される各端末機器からの信号が与えられてその信号を演算処理して各制御器送信部に与えるプロトコルコントローラと、プロトコルコントローラと各制御器送信部との間にそれぞれ介在され、プロトコルコントローラから信号が与えられるとともに、各制御器受信部から信号が与えられ、プロトコルコントローラからの信号および各制御器受信部からの信号を選択的に各制御器送信部に与える複数の選択回路とを有することを特徴とする。

【0023】
本発明に従えば、飛行制御コンピュータは、各端末機器から与えられる信号を、プロトコルコントローラに与えて演算処理し、演算処理した信号を端末機器に送信することができる。また飛行制御コンピュータは、各端末機器から与えられる信号を、選択回路に与えてそのまま端末機器に送信することができる。このようにして、各端末機器からの信号を、そのまま端末機器に転送することもできるし、演算処理をして端末機器に送信することもできる飛行制御コンピュータを実現することができる。

【0024】

【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態のリニア形光伝送路を用いた多端末光データバス構造を示す回路図である。多端末光データバス構造は、たとえば、航空機においてフライバイライト方式の操縦系統を実現するために、操縦桿、飛行制御コンピュータおよび舵駆動用アクチュエータなどの機器間で相互に光信号の転送を可能にする手段として採用されるデータバス構造である。多端末光データバス構造は、複数の機器間で光信号を用いて相互に情報の伝達をするにあたり、多数の機器間での光信号の転送を可能にするためのデータバス構造であって、2つの第1バスライン10,11と、2つの第2バスライン12,13と、各第1および第2バスライン10,11;12,13に接続されるリモートターミナルとなる複数の端末機器14a,14b,14c,14d;15a,15b,15c,15dと、各第1および第2バスライン10,11;12,13間に接続されるバスライン制御機器であるバスコントローラ機器16とを含む。

【0025】
各第1バスライン10,11は、たとえば光ファイバによって実現され、一方向B1,C1に光信号を導くことができる。各第2バスライン12,13は、各第1バスライン10,11と同様にたとえば光ファイバによって実現され、各一方向B1,C1とは異なる他方向B2,C2に光信号を導くことができる。第1および第2バスライン10,12は、対を成し、また第1および第2バスライン11,13は、対を成している。このように2組の対を成す第1および第2バスライン10,11;12,13が設けられている。

【0026】
複数の端末機器14a~14d;15a~15dのうち、各端末機器14a~14dは、操縦入力用機器であり、一方の対を成す第1および第2バスライン10,12間に並列に接続される。操縦入力用機器である各端末機器14a~14dが接続される第1バスライン10は、入力機器用第1バスラインであり、操縦入力用機器である各端末機器14a~14dが接続される第2バスライン12は、入力機器用第2バスラインである。各端末機器14a~14dは、第1バスライン10に接続される送信部17a,17b,17c,17dと、第2バスライン12に接続される受信部18a,18b,18c,18dとをそれぞれ有する。残余の各端末機器15a~15dは、アクチュエータであり、他方の対を成す第1および第2バスライン11,13間に並列に接続される。アクチュエータである各端末機器15a~15dが接続される第1バスライン11は、アクチュエータ用第1バスラインであり、アクチュエータである各端末機器15a~15dが接続される第2バスライン13は、アクチュエータ用第2バスラインである。各端末機器15a~15dは、第1バスライン11に接続される送信部19a,19b,19c,19dと、第2バスライン13に接続される受信部20a,20b,20c,20dとをそれぞれ有する。操縦入力用機器である各端末機器14a~14dの各送信部17a~17dは、入力機器送信部であり、これら各端末機器14a~14dの各受信部18a~18dは、入力機器受信部である。アクチュエータである各端末機器15a~15dの各送信部19a~19dは、アクチュエータ送信部であり、これら各端末機器15a~15dの各受信部20a~20dは、アクチュエータ受信部である。以下、各端末機器14a~14d;15a~15d、各送信部17a~17d;19a~19d、および各受信部18a~18d;20a~20dをそれぞれ総称するときには、添字a~dを省略して示す場合がある。

【0027】
バスコントローラ機器16は、各第1バスライン10,11に各端末機器14,15よりも各一方向B1,C1下流側で接続される受信部21,22と、各第2バスライン12,13に各端末機器14,15よりも他方向B2,C2上流側で接続される送信部23,24とを有している。このバスコントローラ機器16は、各端末機器14,15から受信部21,22を介して入力される第1光信号に応答して、送信部23,24を介して第2光信号を各端末機器14,15に向けて出力する。各受信部21,22は制御器受信部であり、各送信部23,24は、制御器送信部23,24である。

【0028】
換言すれば、バスコントローラ機器16は、複数対(本形態において2対)の受信部21,22と送信部23,24とを有し、バスコントローラ機器16の各受信部21,22には、個別の第1バスライン10,11がそれぞれ接続され、バスコントローラ機器16の各送信部23,24には、個別の第2バスライン12,13がそれぞれ接続される。さらにバスライン制御機器16の各対を成す受信部21,22および送信部23,24にそれぞれ接続されて、個別に対を成す第1および第2バスライン10,11;12,13間に、複数の端末機器14,15がそれぞれ接続される。このように、バスライン制御機器16と複数の端末機器14,15とは、各端末機器14,15が複数(本形態では2)のグループ、すなわち各端末機器14のグループと各端末機器15のグループに分けられた状態で、各グループ毎に個別の第1および第2バスライン10,12、または第1および第2バスライン11,13によって接続されている。

【0029】
第1バスライン10には、複数の結合用光カプラ30a,30b,30c,30dが直列に介在されるとともに、各結合用光カプラ30a~30dの一方向B1下流側に分岐用光カプラ31が介在され、第2バスライン12には、複数の分岐用光カプラ33a,33b,33c,33dが直列に介在されるとともに、各分岐用光カプラ33a~33dの他方向B2上流側に結合用光カプラ34が介在されている。また第1バスライン11には、複数の結合用光カプラ35a,35b,35c,35dが直列に介在されるとともに、各結合用光カプラ35a~35dの一方向C1下流側に分岐用光カプラ36が介在され、第2バスライン13には、複数の分岐用光カプラ37a,37b,37c,37dが直列に介在されるとともに、各分岐用光カプラ37a~37dの他方向C2上流側に結合用光カプラ38が介在されている。以下、各結合用カプラ30a~30d;35a~35d、および各分岐用光カプラ33a~33d;37a~37dをそれぞれ総称するときには、添字a~dを省略して示す場合があり、また各結合用光カプラ34,38および各分岐用光カプラ31,36をも併せて、単に「カプラ」と略称する場合がある。

【0030】
各カプラ30,31;33,34;35,36;37,38は、同様の構成を有する分岐結合器によって実現され、配置方向を選択して、光信号を結合する結合用光カプラまたは光信号を分岐する分岐用光カプラとして、選択的に用いることができる。各カプラ30,31;33,34;35,36;37,38には、たとえばビーム集合形、ハーフミラー形、導波路結合形、分布結合形および部分反射形の分岐結合器、すなわち光信号を透過させることによって光信号を分岐および結合する、いわゆるパッシブな光カプラが用いられる。

【0031】
第1バスライン10に介在される各カプラ30と、各端末機器14の各送信部17とは、たとえば光ファイバによって実現される第1端末用ライン40a,40b,40c,40dを用いてそれぞれ接続される。これによって各端末機器14の各送信部17は、各カプラ30を介して第1バスライン10に接続される。各端末機器14は、各送信部17から第1光信号を送信することができ、送信された第1光信号は、各カプラ30によって結合され、第1バスライン10によって一方向B1に導かれる。第1バスライン10に介在されるカプラ31と、バスコントローラ機器16の受信部21とは、たとえば光ファイバによって実現される第1制御機器用ライン41を用いてそれぞれ接続される。これによってバスコントローラ機器16の受信部21は、カプラ31を介して第1バスライン10に接続される。バスコントローラ機器16は、第1バスライン10によって導かれ、カプラ31によって分岐される第1光信号を、受信部21から受信することができる。

【0032】
第2バスライン12に介在される各カプラ33と、各端末機器14の各受信部18とは、たとえば光ファイバによって実現される第2端末用ライン42a,42b,42c,42dを用いてそれぞれ接続される。これによって各端末機器14の各受信部18は、各カプラ33を介して第2バスライン12に接続される。各端末機器14は、第2バスライン12によって導かれ、各カプラ33によって分岐される第2光信号を、受信部18から受信することができる。第2バスライン12に介在されるカプラ34と、バスコントローラ機器16の送信部23とは、たとえば光ファイバによって実現される第2制御機器用ライン43を用いてそれぞれ接続される。これによってバスコントローラ機器16の送信部23は、カプラ34を介して第2バスライン12に接続される。バスコントローラ機器16は、送信部23から第2光信号を送信することができ、送信された第2光信号は、カプラ34によって結合され、第2バスライン12によって他方向B2に導かれる。

【0033】
また第1バスライン11に介在される各カプラ35と、各端末機器15の各送信部19とは、たとえば光ファイバによって実現される第1端末用ライン45a,45b,45c,45dを用いてそれぞれ接続される。これによって各端末機器15の各送信部19は、各カプラ35を介して第1バスライン11に接続される。各端末機器15は、各送信部19から第1光信号を送信することができ、送信された第1光信号は、各カプラ35によって結合され、第1バスライン11によって一方向C1に導かれる。第1バスライン11に介在されるカプラ36と、バスコントローラ機器16の受信部22とは、たとえば光ファイバによって実現される第1制御機器用ライン46を用いてそれぞれ接続される。これによってバスコントローラ機器16の受信部22は、カプラ36を介して第1バスライン11に接続される。バスコントローラ機器16は、第1バスライン11によって導かれ、カプラ36によって分岐される第1光信号を、受信部22から受信することができる。

【0034】
第2バスライン13に介在される各カプラ37と、各端末機器15の各受信部20とは、たとえば光ファイバによって実現される第2端末用ライン47a,47b,47c,47dを用いてそれぞれ接続される。これによって各端末機器15の各受信部20は、各カプラ37を介して第2バスライン13に接続される。各端末機器15は、第2バスライン13によって導かれ、各カプラ37によって分岐される第2光信号を、受信部20から受信することができる。第2バスライン13に介在されるカプラ38と、バスコントローラ機器16の送信部24とは、たとえば光ファイバによって実現される第2制御機器用ライン48を用いてそれぞれ接続される。これによってバスコントローラ機器16の送信部24は、カプラ38を介して第2バスライン13に接続される。バスコントローラ機器16は、送信部24から第2光信号を送信することができ、送信された第2光信号は、カプラ38によって結合され、第2バスライン13によって他方向C2に導かれる。

【0035】
図2は、バスコントローラ機器16の構成を具体化して示す多端末光データバス構造の回路図である。バスコントローラ機器16は、EOトランシーバ(Electrical Optical Transceiver)50と、プロトコルコントローラ51とを備えている。EOトランシーバ50は、光信号を電気信号に変換し、また逆に電気信号を光信号に変換するための手段である。プロトコルコントローラ51は、予め設定されているプロトコル、すなわち各機器14,15,16間で、相互に信号を転送するにあたって、信号を円滑に転送するために各種の制御情報および信号の転送の手順を規定する規約に従って、各機器14,15,16間での信号の転送を制御する。本形態では、バスコントローラ機器16からのコマンド(命令)に対して、各端末機器14,15がレスポンス(応答)を返す、いわゆるコマンドレスポンス方式(たとえば、MIL-STD-1553など)のプロトコルが採用される。またプロトコルコントローラ51は、各機器14,15,16間での信号の転送を制御することに加えて、各端末機器14,15から送られて来る信号を演算処理することができる。

【0036】
EOトランシーバ50は、各受信部21,22および各送信部23,24を有するとともに、加えて受信側バッファ53および送信側バッファ52を有している。各受信部21,22は、フォトダイオード(PD:photodiode)、およびアバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)などから成る受光素子によってそれぞれ実現され、光信号を電気信号に変換する。各送信部23,24は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、およびレーザダイオード(LD:laser diode)などから成る発光素子によってそれぞれ実現され、電気信号を光信号に変換する。

【0037】
送信側バッファ52は、バスコントローラ機器16から各端末機器14,15に光信号を発信するにあたって、プロトコルコントローラ51から指示される送信内容を一時的に記憶し、プロトコルコントローラ51からの出力速度と、各送信部23,24からの光信号の送信速度との差異を吸収している。また受信側バッファ53は、バスコントローラ機器16も各端末機器14,15からの光信号を入力するにあたって、各受信部21,22によって受信された信号を一時的に記憶し、プロトコルコントローラ51による入力された信号の処理速度と、各端末機器14,15からの光信号を各受信部21,22によって受信する受信速度との差異を吸収している。

【0038】
各受信部21,22と、受信側バッファ53との間には、選択回路55が介在されており、各受信部21,22において各端末機器14,15からの信号が受信されると、その信号は選択回路55に入力され、各受信部21,22で受信される信号が選択的に受信側バッファ53に与えられる。また各送信部23,24と、送信側バッファ52との間には、選択回路56,57がそれぞれ介在されている。選択回路56,57には、送信側バッファ52から信号がそれぞれ与えられるとともに、各送信部23,24と対を成す各受信部21,22とは反対側の受信部で受信した信号が与えられる。送信部23と送信側バッファ52との間に介在される選択回路56には、送信側バッファ52から信号が与えられるとともに、受信部22において受信された信号が与えられ、この選択回路56は、送信側バッファ52および受信部22から与えられる信号を選択的に送信部23に与える。送信部24と送信側バッファ52との間に介在される選択回路57には、送信側バッファ52から信号が与えられるとともに、受信部21において受信された信号が与えられ、この選択回路57は、送信側バッファ52および受信部21から与えられる信号を選択的に送信部24に与える。

【0039】
各端末機器14,15は、前述のように各送信部17,19および各受信部18,20を有しており、これら各送信部17,19および各受信部18,20は、バスコントローラ機器16の各送信部23,24および各受信部21,22とそれぞれ同様の構成を有している。また各送信部17,19および各受信部18,20は、EOトランシーバにそれぞれ備えられており、各トランシーバは、図示しない送信側バッファおよび受信側バッファを有している。これらの各端末機器14,15のEOトランシーバが有する送信側バッファおよび受信側バッファは、バスコントローラ機器16のEOトランシーバ50が有する送信側バッファ52および受信側バッファ53と同様の構成を有している。

【0040】
また各端末機器14,15は、各端末機器14,15を制御するコントローラをそれぞれ備えており、このコントローラからの信号は、EOトランシーバの送信側バッファに与えられ、送信部17,19によって光信号に変換されてバスコントローラ機器16に送信される。また各端末機器14,15の受信部18,20において受信される信号は、この受信部18,20において電気信号に変換されて受信側バッファからコントローラに与えられる。

【0041】
このような光データバス構造によって接続される各機器14,15,16は、そのうちの1つであるバスコントローラ機器16に、各機器14,15,16間での通信を制御する機能を保有させて、各端末機器14,15とバスコントローラ機器16との間で信号を転送することができるとともに、各端末機器14,15間においても、バスコントローラ機器16を介して信号を転送することができる。すなわち各機器14,15,16間において、相互に信号を転送することができる。詳しく述べると、バスコントローラ機器16から各端末機器14,15に、各端末機器14,15がたとえば操作者によって操作されたらその情報を表す信号を送信するように命令が与えられ、これに応答して、各端末機器14,15は、たとえば操作者が操作したときにその操作の内容を表す第1光信号を送信し、さらにバスコントローラ機器16は、この第1光信号に応答して、その第1光信号を処理し、または処理しないで、その第1光信号に対応した第2光信号、たとえば各端末機器の動作を指令する信号を、各機器14,15に向けて送信する。

【0042】
このような多端末光データバス構造を、前述の航空機のフライバイライト方式の操縦系統に採用する場合において、一例を挙げると、各端末機器14は、パイロットが航空機を操縦するために操作する操縦入力用機器であり、操縦桿、ペダル、アクティブサイドスティック、およびコレクティブピッチレバーなどに相当する機器である。また各端末機器15は、航空機の舵を駆動するためのアクチュエータであり、翼全体を角変位させるアクチュエータ、および翼に設けられるフラップを変位させるためのアクチュエータなどに相当する機器である。さらにバスコントローラ機器16は、航空機の飛行状態を管理および制御する機器であり、たとえば飛行制御コンピュータに相当する。

【0043】
この航空機の操縦系統として用いられる場合を例に挙げて、具体的に説明すると、パイロットによって操縦桿14aが操作されると、その操作量を表す信号が操縦桿14aの送信部17aから第1バスライン10に送出される。操縦桿14aの送信部17aから送出される信号は、飛行制御コンピュータ16において、第1バスライン10から取り込まれ、受信部21から受信される。飛行制御コンピュータ16は、操縦桿14aからの信号に対して応答し、プロトコルコントローラ51によって舵の駆動量を表す信号が生成され、この信号が飛行制御コンピュータ16の各送信部23,24から各第2バスライン12,13にそれぞれ送出される。飛行制御コンピュータ16の各送信部23,24から送出される信号は、各端末機器14,15において受信されるけれども、その信号の受信先が指定されており、舵を駆動するアクチュエータ15aだけが、飛行制御コンピュータ16からの信号に応答し、その信号の表す駆動量だけ舵を駆動する。

【0044】
またこのように舵が駆動されると、舵が周囲の大気から受ける抵抗力が変化する。この抵抗力は、アクチュエータ15aによって検出することが可能であり、アクチュエータ15aは、検出された抵抗力を表す信号がアクチュエータ15aの送信部19aから第1バスライン11に送出される。アクチュエータ15aの送信部19aから送出される信号は、飛行制御コンピュータ16において受信され、アクチュエータ15aからの信号に対して応答し、プロトコルコントローラ51によって操縦フィールを表す信号が生成され、この信号が飛行制御コンピュータ16の各送信部23,24から各第2バスライン12,13にそれぞれ送出される。飛行制御コンピュータ16の各送信部23,24から送出される信号は、各端末機器14,15において受信されるけれども、その信号の受信先が指定されており、操縦桿14aだけが、飛行制御コンピュータ16からの信号に応答し、その信号の表す操縦フィールに対応した反力を発生させる。

【0045】
このように、各端末機器14,15とバスコントローラ機器16とは、各端末機器14,15が2つのグループに分けられた状態で接続されており、各グループ毎に、個別の第1および第2バスラインを介して、相互に信号を転送することができる。また同一グループ内の各端末機器、すなわち各端末機器14または各端末機器15は、バスコントローラ機器16を介して相互に信号を転送することができるとともに、異なるグループ間、すなわち各端末機器14と各端末機器15とにおいても、バスコントローラ機器16を介して相互に信号を転送することができる。このように複数の端末機器14,15を複数のグループに分けて、バスコントローラ機器16に接続することによって、バスコントローラ機器16が各信号の転送の中継手段として機能するので、各機器14,15,16のEOトランシーバのダイナミックレンジ、すなわち最大受信可能レベルに過度の要求をすることなく、従来と比べて多く(約2倍)の機器14,15,16を接続し、これら各機器14,15,16間で相互に信号を転送することが可能になる。しかも従来と同様のプロトコルを採用することがきる。

【0046】
また各グループ毎に見た場合に、各端末機器14(または各端末機器15)とバスコントローラ機器16とは、一対の送信部17,23および受信部18,21(または送信部19,24および受信部20,22)をそれぞれ備えるだけで、各機器14,16間(または各機器15,16間)での相互の信号の転送が可能になる。さらにバスコントローラ機器16にだけ、複数対送信部23,24および受信部21,22を備えることによって、前述のように多数の端末機器14,15を接続することができる。したがって従来と比較して送信部および受信部の個数を削減され、これによってこれらの送信部および受信部と第1および第2バスラインとの接続のためのラインも削減され、各端末機器を小型化し、かつ必要電力を少なくすることができるとともに、費用を低減することができ、設置スペースも小さく、軽量化が望まれる航空機には有用である。

【0047】
また各機器14,15,16から送信される信号は、その送信方向(各一方向B1,B2および他方向C1,C2)下流側に設けられる機器14,15,16によって必ず受信されるので、各機器14,15,16の送信部17,19,23,24から送信される信号が無駄になることがない。さらに第1バスライン10,11によって導かれる第1光信号は、他の機器に分岐されて受信されずにバスコントローラ機器16だけによって受信されるので、各端末機器14,15から送信される第1光信号は、第1バスライン10,11における減衰だけを考慮すればよく、従来と比較して低い強度の信号であっても、受信先であるバスコントローラ機器16で受信することが可能である。

【0048】
このように多くの機器14,15,16を接続して相互の信号の転送が可能な光データバス構造は、たとえば前述した航空機のように多数の機器を備え、これらの各機器間で相互に信号を転送する必要がある機械および装置などに有用な情報伝達機構である。また従来のようにループバックラインが形成されないので、従来必要とした受信部を保護するためのアテネータなどの保護手段が不要になる。これによって各機器のEOトランシーバの構成が簡略化され、各機器を小型化し、かつ必要電力を少なくすることができるとともに、費用を低減することができる。

【0049】
上述の形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明はこの形態に限定されるものではなく、各構成の変更は勿論可能である。たとえば、光データバス構造が航空機の操縦系統に採用される場合を例に挙げ、操縦桿14aと舵を駆動するアクチュエータ15aとの間で信号を転送するにあたって、飛行制御コンピュータ16において信号を変換、すなわち与えられる信号に基づいて新たに信号を生成し、信号の転送をするように説明したけれども、各選択回路56,57を有するので、プロトコルコントローラ51を介することなく、各受信部21,22で受信される信号を各送信部23,24に直接与えることができ、バスコントローラ機器16で演算などの処理をする必要がない場合には、信号の転送時間を短くすることができる。このような迅速な信号の転送は、高速で飛行する航空機において、迅速な操縦を実現し、より安全性の高い飛行を実現することができる。さらに選択回路56に受信部21で受信した信号が直接与えられるようにし、選択回路56に受信部22で受信した信号が直接与えられるようにし、前述と同様に信号を迅速に転送することができるようにしてもよい。

【0050】
また各端末機器14,15の例として、操縦桿およびアクチュエータを挙げたけれども、各端末機器14,15は、計器類および警報機器などであってもよい。また航空機の操縦系統に限定されることはなく、工場に備えられる複数の工作機械、これら各工作機械を制御するコンピュータなどの機器間で、相互に情報を伝達するために用いるようにしてもよい。さらにバスコントローラ機器は3対以上の送信部および受信部を有し、これに対応して各端末機器を3つ以上のグループに分けるようにしてもよい。

【0051】

【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、複数の端末機器が、操縦入力用機器のグループと、アクチュエータのグループとに分けられ、各操縦入力用機器は、入力機器用第1バスラインおよび入力機器用第2バスラインに並列に接続され、各アクチュエータ機器は、アクチュエータ用第1バスラインおよびアクチュエータ用第2バスラインに並列に接続される。飛行制御コンピュータは、2対の制御器受信部および制御器送信部を有し、一方の対の制御器受信部および制御器送信部が、入力機器用第1バスラインおよび入力機器用第2バスラインに接続され、他方の対の制御器受信部および制御器送信部が、アクチュエータ用第1バスラインおよびアクチュエータ用第2バスラインに接続される。各操縦入力用機器は、入力機器送信部をそれぞれ有し、各アクチュエータは、アクチュエータ送信器をそれぞれ有している。これら各操縦入力用機器およびアクチュエータである各端末機器は、第1光信号を送信することができ、その第1光信号は、第1バスラインによって一方向に導かれる。飛行制御コンピュータは、各端末機器から送信されて各第1バスラインによって導かれる第1光信号を、制御器受信部から受信することができる。この飛行制御コンピュータは、第1光信号に応答して、制御器送信部から第2光信号を送信することができ、その第2光信号は各第2バスラインによって他方向に導かれる。各操縦入力用機器は、入力機器受信部をそれぞれ有し、各アクチュエータは、アクチュエータ受信器をそれぞれ有している。これら各操縦入力用機器およびアクチュエータである各端末機器は、飛行制御コンピュータから送信されて各第2バスラインによって導かれる第2光信号を、入力機器受信部およびアクチュエータ受信部から受信することができる。

【0052】
また前述のように各端末機器が2つのグループに分けられた状態で、各グループ毎に独立した第1および第2バスラインによって接続されている。このような構成によって、各端末機器と飛行制御コンピュータとは、各グループ毎に、独立した第1および第2バスラインを介して、相互に信号を転送することができる。さらに同一グループ内の各端末機器は、飛行制御コンピュータを介して相互に信号を転送することができるとともに、異なるグループ間でも、各端末機器は、飛行制御コンピュータを介して相互に信号を転送することができる。このように各端末機器に一対の送信部および受信部を備えるだけで、各端末機器間での信号の転送が可能になる。また各端末機器の信号の送信方向下流側に、各端末機器からの信号の受信先である飛行制御コンピュータが設けられるので、各端末機器から送信される信号は、その受信先である飛行制御コンピュータによって必ず受信され、無駄になることがない。さらに飛行制御コンピュータの信号の送信方向下流側に、各端末機器が設けられ、各端末機器のいずれか1つの機器が飛行制御コンピュータからの信号の受信先であるので、飛行制御コンピュータから送信される信号は、その受信先である各端末機器のうちのいずれか1つの機器によって必ず受信され、無駄になることがない。

【0053】
さらに各第1バスラインによって導かれる第1光信号は、他の端末機器に分岐されて受信されずに飛行制御コンピュータだけによって受信される。これによって各端末機器から飛行制御コンピュータに信号を転送するにあたって、各端末機器から送信する第1光信号の強度は、第1バスラインにおける光信号の減衰だけを考慮して選択すればよく、従来と比較して低い強度の信号であっても、受信先である飛行制御コンピュータで受信することが可能である。さらに飛行制御コンピュータに、1組の対を成す第1および第2バスラインによって相互に信号の転送が可能な端末機器数は、第1および第2バスラインにおける光信号の減衰などの理由から制限されるけれども、飛行制御コンピュータに2対の第1および第2バスラインを接続し、各端末機器を2つのグループに分けて飛行制御コンピュータに接続することによって、飛行制御コンピュータに、多数の端末機器を接続することができる。したがって、従来と比べて多くの端末機器を接続し、これら各端末機器間で相互に信号を転送することが可能になる。

【0054】
しかも飛行制御コンピュータは、各端末機器からの信号を、そのまま端末機器に転送することもできるし、演算処理をして端末機器に送信することもできる。このように飛行制御コンピュータは、各端末機器からの信号に対して、演算処理が必要な場合には演算処理をし、演算処理が不要である場合にはそのまま転送して迅速に転送することができる。このような信号転送が可能な光データバス構造によって、航空機におけるフライバイライト方式の操縦系統が実現される。前述のような光データバス構造は、各端末機器における送信部および受信部の数を少なくできることによって、各端末機器を小型化することができ、かつ必要電力を小さくすることができ、設置スペースを小さくし、かつ軽量化が望まれる航空機の操縦系統として有用である。さらにまた信号の迅速な転送が可能であるので、高速で飛行する航空機の操縦系統として、迅速な応答性の高い操縦系統を実現し、より安全性の高い飛行を達成できる操縦系統を実現することができる。

【0055】
請求項2記載の本発明によれば、飛行制御コンピュータは、各端末機器から与えられる信号を、プロトコルコントローラに与えて演算処理し、演算処理した信号を端末機器に送信することができる。また飛行制御コンピュータは、各端末機器から与えられる信号を、選択回路に与えてそのまま端末機器に送信することができる。このようにして、各端末機器からの信号を、そのまま端末機器に転送することもできるし、演算処理をして端末機器に送信することもできる飛行制御コンピュータを実現することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2