TOP > 国内特許検索 > 非同相雑音の除去方法及び装置 > 明細書

明細書 :非同相雑音の除去方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3549836号 (P3549836)
公開番号 特開2002-181914 (P2002-181914A)
登録日 平成16年4月30日(2004.4.30)
発行日 平成16年8月4日(2004.8.4)
公開日 平成14年6月26日(2002.6.26)
発明の名称または考案の名称 非同相雑音の除去方法及び装置
国際特許分類 G01S  3/86      
G01S  7/526     
FI G01S 3/86
G01S 7/52 J
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2000-378337 (P2000-378337)
出願日 平成12年12月13日(2000.12.13)
審査請求日 平成12年12月13日(2000.12.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】390011095
【氏名又は名称】ジェイ・アール・シー特機株式会社
発明者または考案者 【氏名】武捨 貴昭
【氏名】菊池 達夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100075258、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 研二
【識別番号】100096976、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 純
審査官 【審査官】松下 公一
参考文献・文献 特開平5-52926(JP,A)
特開平10-20011(JP,A)
特開平5-52927(JP,A)
特開平5-52923(JP,A)
特開平1-142479(JP,A)
特開昭61-120076(JP,A)
調査した分野 G01S 1/72 ~ 1/82
G01S 3/80 ~ 3/86
G01S 5/18 ~ 5/30
G01S 7/52 ~ 7/64
G01S 15/00 ~15/96
特許請求の範囲 【請求項1】
水中及び空中において、複数の受波素子から得られる受波音波信号を合成し、特定の捜索方向から到来する受波音波信号を抽出する音響機器の非同相雑音除去方法であって、
前記複数の受波素子の受波音波信号を前記捜索方向から到来する音波の位相が整合するようにそれぞれ遅延させて、複数の遅延受波音波信号を得る受波音波信号遅延段階と、
前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれにシェーディング係数を乗じて加算し整相出力を得る整相段階と、
複数の遅延受波音波信号からそれぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相をもつ複数の位相成分信号を得る位相成分抽出段階と、
この複数の位相成分信号を加算して位相成分信号加算出力を算出する位相成分信号加算段階と、
この位相成分信号加算出力の包絡線高さを求め、前記複数の位相成分信号の位相が全て同一であったとした場合の位相成分信号加算出力の包絡線高さで除して正規化することにより正規化信号を得る正規化信号算出段階と、
実数wをべき乗係数の値とし、前記正規化信号の包絡線高さをべき乗した値を前記整相出力に乗ずることによって雑音除去信号を算出する雑音除去信号算出段階と、
を備えたことを特徴とする音響機器の非同相雑音除去方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記べき乗係数は1以上の実数wとし、予め設定される雑音許容レベルに従って、前記整相出力の包絡線高さと前記正規化信号の包絡線高さから、算出されることを特徴とする音響機器の非同相雑音除去方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記べき乗係数は、前記正規化信号の包絡線高さの対数変換値を入力とし、前記予め設定される雑音許容レベルの対数変換値と前記整相出力の包絡線高さの対数変換値との差を希望応答とする適合処理のLMS(least-mean-square)アルゴリズムによるタップ係数の適合値として算出されることを特徴とする音響機器の非同相雑音除去方法。
【請求項4】
水中及び空中において、複数の受波素子から得られる受波音波信号を合成し、特定の捜索方向から到来する受波音波信号を抽出する音響機器の非同相雑音除去装置であって、
前記複数の受波素子の受波音波信号を前記捜索方向から到来する音波の位相が整合するようにそれぞれ遅延させて、複数の遅延受波音波信号を得る遅延器と、
前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれにシェーディング係数を乗じて加算し整相出力を得る整相器と、
複数の遅延受波音波信号からそれぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相をもつ複数の位相成分信号を得る位相成分抽出器と、
この複数の位相成分信号を加算して位相成分信号加算出力を算出する位相成分信号加算器と、
この位相成分信号加算出力の包絡線高さを求め、前記複数の位相成分信号の位相が全て同一であったとした場合の位相成分信号加算出力の包絡線高さで除して正規化することにより正規化信号を得る正規化信号算出器と、
実数wをべき乗係数の値とし、前記正規化信号の包絡線高さをべき乗した値を前記整相出力に乗ずることによって雑音除去信号を算出する雑音除去信号算出器と、
を備えたことを特徴とする音響機器の非同相雑音除去装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中及び空中において、特定の捜索方向からの反射音や放射音を受信し分析する受信機等の音響機器において、受信音波信号に含まれる捜索方向以外から到来する雑音の除去方法および除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特定の捜索方向からの反射音や放射音を受信し分析する受信機等の音響機器において、水中または空中に設置される受波素子から得られる受波音波信号には通常各種の雑音が含まれており、捜索目標からの受信信号を検出するためには、これらの雑音を除去する必要がある。
【0003】
図1は、従来のこの種の音響機器の概念図で、線上、面上もしくは立体的に適宜分散配置された多数(m組)の受波素子1、2、…、3の受波音波信号のそれぞれに、特定の捜索方向からの受波音波信号について位相が揃うようm組の遅延器4、5、…、6で所要の遅延をかけ、整相器7で加算し、信号処理器8で所望の信号処理を行う。
この時、捜索方向から到来する、位相が同じ信号成分の加算値は受波素子の数に比例するのに対し、位相が無相関である雑音成分の加算値は受波素子の数の平方根に比例する。従ってm組の受波素子を適宜配置することにより、雑音の除去率は√mだけ向上する。
【0004】
また、受波素子から遠距離に存在する雑音源から到来する雑音の場合には、整相器7で、m組の遅延器4、5、…、6の出力である遅延音波信号のそれぞれにこの周辺雑音特性に対応するシェーディング係数を乗じて重み付け加算することにより、さらに雑音の除去率の向上を図ることも行われてきた。
【0005】
しかしながら、このような従来の方法によれば特定の捜索方向以外の方向にあり、受波素子近傍に存在する雑音源から到来する雑音の除去ができなかった。
また、従来の方法によれば雑音の除去率は、基本的には受波素子の個数及びその周辺雑音特性の如何によって定まり、従って雑音の除去率を向上するためには受波素子数を増加させる必要があり、また、屋外の様々な環境下で使用される音響機器においては、例えば受信機の設置される船舶の航行環境や速度によって受波素子の周辺雑音特性が大きく変化するため、希望する雑音の除去率を自由に、また安定して得ることができない問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、受波素子数を増加させることなく任意のレベルまで雑音を除去することができ、また使用環境の雑音特性が時間的に変化する環境においても、雑音を設定したレベルまで自動的かつ安定的に除去できる雑音除去方法および雑音除去装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明に係る雑音除去方法および雑音除去装置においては、m組の遅延器4、5、…、6の出力である遅延受波音波信号のそれぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相を持つm組の位相成分信号を生成し、このm組の位相成分信号を加算し、位相成分信号加算出力の包絡線を求め、この包絡線高さをm組の位相成分信号の位相が全て同一であったとした場合の位相成分信号加算出力の包絡線高さで除して正規化することにより正規化信号を得て、この正規化信号の包絡線高さを任意のべき乗係数wでべき乗した値を遅延受波音波信号を加算する整相器7の出力に乗ずることにより、雑音を除去することとした。
【0008】
従って、整相器7の入力が全て同位相であった場合、すなわち捜索方向からの受信信号のみで雑音が含まれない場合には補正信号の包絡線高さは1であり、整相器7の出力がそのまま出力される。雑音信号が含まれる場合には、正規化信号の包絡線高さが1以下となるため整相器7の出力は減衰される。さらにこのべき乗係数wの値を加減することにより任意の減衰度を得ることができる。
【0009】
前記べき乗係数wは予め設定される雑音許容レベルに従って、前記整相出力の包絡線高さと前記正規化信号の包絡線高さとから、算出されることを特徴とする。
【0010】
すなわち、前記べき乗係数wは、前記正規化信号の包絡線高さの対数変換値を入力とし、前記予め設定される雑音許容レベルの対数変換値と前記整相出力の包絡線高さの対数変換値との差を希望応答とする適合処理のLMS(least-mean-square)アルゴリズムによるタップ係数の適合値として算出されることを特徴とする。
【0011】
更に具体的には、本発明に係る受波音波信号に含まれる雑音除去方法は、
前記複数の受波素子の受波音波信号を前記捜索方向から到来する音波の位相が整合するようにそれぞれ遅延させて、複数の遅延受波音波信号を得る受波音波信号遅延段階と、
この複数の遅延受波音波信号のそれぞれにシェーディング係数を乗じて加算し、整相出力を得る整相段階と、
前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相を持つ複数の位相成分信号を得る位相成分抽出段階と、
この複数の位相成分信号を加算し、位相成分信号加算出力を算出する位相成分信号加算段階と、
この位相成分信号加算出力の包絡線高さを求め、この位相成分信号の位相が全て同一であったとした場合の加算信号の包絡線高さで除して正規化することにより正規化信号を得る正規化信号算出段階と、
1以上の実数wをべき乗係数の値とするとき、前記正規化信号の包絡線高さをw乗した値を前記整相出力に乗ずることにより雑音を減衰する雑音除去段階とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また更に、本発明に係る雑音除去方法および除去装置の他の実施形態においては、前記m組の遅延器4、5、…、6の出力である遅延受波音波信号のそれぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相を持つm組の位相成分信号を生成し、このm組の位相成分信号を加算した後、前記整相出力に施した第1の信号処理と同様な第2の信号処理を施した後、第2の信号処理出力の包絡線高さを求め、前記m組の位相成分信号の位相が全て同一であったとした場合の第2の信号処理出力の包絡線高さで除して正規化した正規化信号を得て、この正規化信号の包絡線高さを任意のべき乗係数wでべき乗した値を前記の第1の信号処理出力に乗ずることにより、雑音を除去することとした。
【0013】
従って、整相器7の入力が全て同位相であった場合、すなわち捜索方向からの受信信号のみで雑音信号が含まれない場合には正規化信号の包絡線高さは1であり、前記の第1の信号処理出力がそのまま出力される。雑音信号が含まれる場合には、正規化信号の包絡線高さが1以下となるため第1の信号処理出力は減衰される。またさらにこのべき乗係数wの値を加減することにより任意の減衰度を得ることができる。
【0014】
また、この場合においても、前述したように、前記べき乗係数wは予め設定される雑音許容レベルに従って、前記第1の信号処理出力の包絡線高さと前記正規化信号の包絡線高さとから、算出されることを特徴とする。
【0015】
すなわち、前記べき乗係数wは、前記正規化信号の包絡線高さの対数変換値を入力とし、前記予め設定される雑音許容レベルの対数変換値と前記第1の信号処理出力の包絡線高さの対数変換値との差を希望応答とする適合処理のLMS(least-mean-square)アルゴリズムによるタップ係数の適合値として算出されることを特徴とする。
【0016】
更に具体的には、本発明に係る受波音波信号に含まれる雑音除去方法は、
前記複数の受波素子の受波音波信号を前記捜索方向から到来する音波の位相が整合するようにそれぞれ遅延させて、複数の遅延音波信号を得る受波音波信号遅延段階と、
この複数の遅延受波音波信号のそれぞれにシェーディング係数を乗じて加算し、整相出力を得る整相段階と、
この整相出力から特定の信号成分を抽出して第1の信号処理を得る第1の信号処理段階と、
前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相を持つ複数の位相成分信号を得る位相成分抽出段階と、
この複数の位相成分信号を加算し、位相成分信号加算出力を算出する位相成分信号加算段階と
この位相成分信号加算出力から特定の信号成分を抽出して第2の信号処理出力を得る第2の信号処理段階と、
この第2の信号処理出力の包絡線高さを求め、前記複数の遅延受波音波信号の位相が全て同一であったとした場合の第2の信号処理出力の包絡線高さで除して正規化することにより正規化信号を得る正規化信号算出段階と、
1以上の実数wをべき乗係数の値とするとき、前記正規化信号の包絡線高さをw乗した値を前記第1の信号処理出力に乗ずることにより雑音を減衰する雑音除去段階とを備えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図2は本発明の一実施形態に係る雑音除去装置の構成例を示すブロック図で、
図1に示す従来の受信装置の構成の他に、
遅延器4、5、…、6から出力される各遅延信号及び整相器7から出力される整相出力から、雑音除去用信号を生成する雑音除去信号生成器11と、
この雑音除去用信号を整相器7の整相出力に乗ずるための乗算器12とを備えている。
【0018】
図3に示すように、雑音除去信号生成器11は遅延器4、5、…、6から出力される各遅延信号から、それぞれの位相成分のみを抽出し、一定の振幅を有し、それぞれ前記複数の遅延受波音波信号のそれぞれと同じ位相を持つ複数の位相成分を得る、位相成分抽出器21、22、…、23と、
この複数の位相成分信号を加算し位相成分信号加算出力を算出する加算器24と、
前記位相成分信号加算出力と整相器7の整相出力を用いて雑音除去用信号を算出する雑音除去信号算出器13とを備えている。
【0019】
図4に示すように、雑音除去信号算出器13は加算器24からの位相成分信号加算出力の包絡線を抽出する包絡線抽出器25と、
前記位相成分信号加算出力の包絡線高さを遅延器4、5、…、6から出力される各遅延信号の位相成分信号の位相が全て同一であったとした場合の位相成分信号加算出力の包絡線高さで除して正規化する正規化信号算出器26と、
この正規化信号を適合処理器34で算出されるべき乗係数を用いてべき乗するべき乗器27とを備えている。
【0020】
図7は本発明の雑音除去量のシミュレート結果を示すグラフ図であり、横軸はそれぞれの受波素子の受波音波信号のSN比(dB)を示し、縦軸は雑音除去量を示す。51に示す従来例の雑音除去量は受波素子の数等によって定まる一定量であるが、52に示す本発明の雑音除去量によれば、例えばべき乗数を3とした場合、受波素子のSN比が0dBでは約40dB、また受波素子のSN比が-20dBでも約23dBの雑音除去が図れる。
また、本発明の雑音除去装置によれば、受波素子1、2、…、3の数、また環境等が一定であっても、べき乗器27のべき乗係数を増加させることにより雑音レベルを任意の値まで減少することができる。
【0021】
また、図8は本実施形態の雑音除去装置を受信器に応用した場合の入射角度別受信感度の計算例を示すグラフ図で音波の入射角度が受波素子列に直角方向、すなわち0度の場合は、従来例53、本実施例54とも受信感度は0dBであるが、入射方向40度では本実施例の方が約40dB、入射方向90度では約20dB本実施例の方が低減している。
【0022】
しかし、元々の混入雑音が少ない場合は出来るだけ雑音除去量を少なくする方が波形の忠実度等の点で優れている。従って雑音の混入度に応じて、例えば、道路に近接して設置された受波素子におけるように通過車両の雑音環境に応じて前記べき乗係数を制御することが望ましい。
【0023】
図4のボックス28~35は所要の雑音除去レベルに応じて前記べき乗係数を適宜制御するための構成で、
正規化信号算出器26で算出された正規化信号を対数変換する対数変換器28と、
予め設定される雑音許容レベルを入力するレベル設定器29と、
レベル設定器29で設定したレベルを対数変換する対数変換器30と、
整相器7の整相出力の包絡線を抽出する包絡線検出器31と、
包絡線検出器31で抽出した包絡線高さを対数変換する対数変換器32と、
対数変換器30の出力と対数変換器32の出力の差を算出する減算器33と
対数変換器28の出力を入力信号、減算器33の出力を希望応答とする適合処理器34及び加算器35とを備えている。
【0024】
適合処理器34及び加算器35においては、μをステップパラメータとし、対数変換器28の出力をx (kはk番目のサンプルを示す。)、減算器33の出力をdとすれば、適合処理器34の出力yをy=wで、瞬時誤差εをε=d-yで算出し、LMS(least-mean-square)アルゴリズムによって、タップ係数wk+1
k+1=w+2με
で計算する。
【0025】
従って、ステップパラメータμを適当に定めて、雑音の性質、混入度等の音響機器の使用環境に応じて適合処理の学習を行うことにより、そのタップ係数として得られるべき乗係数をその使用環境に応じた最適の値に適宜の時定数で収束させることができる。
図9は、ステップパラメータμ=0.0001とした場合の、この適合処理によるべき乗値の収束の様子を表すグラフ図であり、(a)に雑音を含む整相器7の出力波形、(b)に乗算器12の出力波形を示し、サンプル数500程度の学習でタップ係数が適宜のべき乗係数の値に適合され、所望の雑音除去が達成されている。
【0026】
以上述べたように、本発明の雑音除去装置は、多数の受波素子で受波した音波信号に含まれる雑音の位相成分が相互に無関係である事を利用して受信信号の振幅制御を行い、遠距離に存在する雑音源から到来する雑音を除去しつつ、受波素子近傍に存在する雑音源から到来する雑音を除去するものであるが、レベル設定器29を用いてオペレータが所望の雑音レベルを設定する場合、受信信号を使用目的に応じて加工する信号処理器8の出力を参照してこの出力に対する雑音レベルを設定できるようにする事が望ましい。
【0027】
図5,6は、本発明の他の実施形態に係る雑音除去装置の構成例を示すブロック図で、整相出力から特定の信号成分を抽出して所望の第1の信号処理を行う信号処理器8の出力を参照してこの出力に対する雑音レベルを設定できるようにする実施形態である。この実施形態は、図2の実施形態に比べて、
雑音除去信号生成器11の入力が信号処理器8の出力から取り入れられていること、
乗算器12が信号処理器8の出力に設けられていること、
加算器24と雑音除去信号算出器13の間に、信号処理器8と同等の信号処理を行う第2の信号処理器36を備えている点にある。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の音響機器の雑音除去方法及び除去装置によれば、受信信号中の雑音の位相成分の合成値の同相成分の合成値に対する比を任意のべき乗係数でべき乗した値に従って振幅成分を制御することとしたので、受波素子の数を増加させることなく、遠距離に存在する雑音源から到来する雑音を除去しつつ、受波素子近傍に存在する雑音源から到来する雑音を任意のレベルまで雑音を除去することができる。
【0029】
また、上記べき乗値を、この雑音の位相成分の合成値の同相成分の合成値に対する比の対数変換値を入力信号とし、雑音許容レベルの対数変換値と出力信号の対数変換値との差を希望応答とする適合処理器のタップ係数として算出することとしたので、使用環境の雑音特性が時間的に変化する環境においても、雑音を設定したレベルまで、自動的、安定的に除去できる雑音除去方法及び除去装置を提供することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の音響機器の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る雑音除去装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の雑音除去装置の構成中雑音除去信号生成器を示すブロック図である。
【図4】図3の雑音除去信号生成器に設けられている雑音除去信号算出器を示すブロック図である。
【図5】信号処理器の出力を用いる本発明の他の実施形態における雑音除去装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5における信号処理器の出力を用いる雑音除去信号生成器を示すブロック図である。
【図7】本発明の雑音除去量のシミュレート結果を示すグラフ図である。
【図8】本実施形態の雑音除去装置を受信機に応用した場合の受信指向性の計算例を示すグラフ図である。
【図9】適合処理によるべき乗値の収束の様子を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1、2、・・・、3 受波素子
4、5、・・・、6 遅延器
7 整相器
8、36 信号処理器
11 雑音除去信号生成器
12 乗算器
13 雑音除去信号算出器
21、22、・・・、23 位相成分抽出器
24 加算器
25、31 包絡線検出器
26 正規化信号算出器
27 べき乗器
28、30、32 対数変換器
29 レベル設定器
33 減算器
34 適合処理器
35 加算器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8