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明細書 :回転翼航空機のロータ・ブレード

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3644497号 (P3644497)
公開番号 特開2002-308192 (P2002-308192A)
登録日 平成17年2月10日(2005.2.10)
発行日 平成17年4月27日(2005.4.27)
公開日 平成14年10月23日(2002.10.23)
発明の名称または考案の名称 回転翼航空機のロータ・ブレード
国際特許分類 B64C 27/467     
B64C 11/18      
B64C 27/04      
FI B64C 27/467
B64C 11/18
B64C 27/04
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2001-116627 (P2001-116627)
出願日 平成13年4月16日(2001.4.16)
審査請求日 平成13年4月16日(2001.4.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】杉田 親美
【氏名】森 重樹
【氏名】才上 隆
【氏名】永吉 力
【氏名】小生方 正裕
個別代理人の代理人 【識別番号】100100354、【弁理士】、【氏名又は名称】江藤 聡明
審査官 【審査官】小山 卓志
参考文献・文献 特開平11-139397(JP,A)
特開平10-264896(JP,A)
調査した分野 B64C 27/467
B64C 11/18
B64C 27/04
特許請求の範囲 【請求項1】
回転駆動部のロータヘッドに取り付けられて回転する回転翼航空機のロータ・ブレードにおいて、
上記ロータヘッドに基端部が取り付けられ、1/4翼弦線がフェザリング軸上に位置し該フェザリング軸に沿って互いに平行な直線状で延在する前縁及び後縁を有する内翼部と、
該内翼部の外端に内端が連続形成され、内翼部の前縁及び後縁の外端から各々前方に変移する互いに平行な直線状の前縁及び後縁を有する前進部と、
該前進部の外端に内端が連続形成され、前進部の前縁及び後縁の外端から各々後方に変移する互いに平行な直線状の前縁及び後縁を有する後退部と、を備え、
上記フェザリング軸より前方における該フェザリング軸と1/4翼弦線とに囲まれる上記前進部及び後退部の翼面積と、上記フェザリング軸より後方において該フェザリング軸と1/4翼弦線とに囲まれる上記後退部の翼面積とが略等しいことを特徴とする回転翼航空機のロータ・ブレード。
【請求項2】
ロータ・ブレードの回転中心から上記ロータ・ブレード全長の約80%近傍に上記前進部の内端が位置し、前進部の前縁及び後縁が上記フェザリング軸に対して10~25度の前進角で延在し、後端部の前縁及び後縁がフェザリング軸に対して20~50度の後退角で延在することを特徴とする請求項1に記載の回転翼航空機のロータ・ブレード。
【請求項3】
上記後退部の外端に連続形成され、後退部の前縁の外端に滑らかに連続して後退部の後退角より大なる後退角を有する翼端及び後退部の後縁に連続形成された後縁を有する翼端成形部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の回転翼航空機のロータ・ブレード。
【請求項4】
上記翼端成形部の翼端の後退角は、上記フェザリング軸に対して50~85度であることを特徴とする請求項3に記載の回転翼航空機のロータ・ブレード。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転翼航空機のロータ・ブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリコプター等の回転翼航空機のロータ・ブレードの平面形状は、回転翼航空機の空中停止飛行及び前進飛行中の空力作用に大きく影響する。
【0003】
図12は、回転翼航空機が高速前進飛行するときのロータ・ブレードの空力環境を示す図である。
【0004】
図12に示すように、ロータ半径Rのロータ・ブレードWが角速度Ωで回転する回転翼航空機が飛行速度Vで前進する場合には、前進側ブレードWaではロータ・ブレードの速度ΩRに対して飛行速度Vが加算された状態になる一方、後退側ブレードWbではロータ・ブレードの速度ΩRに対して飛行速度Vが減算された状態になり、前進側ブレードWaと後退側ブレードWbでは対気速度が大きく相違し、前進側ブレードWa側では高マッハ数、低迎角のため遷音速領域では抵抗が少ないことが要求される一方、後退側ブレードWbでは低マッハ数、高迎角のため亜音速領域では失速しにくいことが要求される。特に、低騒音化の要求からロータ回転速度が比較的低く抑えられるため、後退側ブレードWbでの失速の回避が重要な課題になってきている。加えて、操縦系統に及ぼす荷重を低減するため空力モーメントが少ないことも重要な課題となっている。
【0005】
例えば、図13(a)に示すような矩形翼端のロータ・ブレードWを備えた回転翼航空機が高速で飛行する場合、前進側ブレードの翼端では、対気速度が遷音速となり、強い衝撃波が発生する。この強い衝撃波によって大きな騒音が発生する。この対策として図13(b)に示すようにロータ・ブレードWの翼端部に後退角をつけることによって対気速度を低減させて衝撃波を弱めて衝撃騒音を低減する方策がある。
【0006】
しかし、図13(a)に示す矩形翼端の場合には、風圧合力中心、換言すると翼端部の揚力Lの中心がロータ・ブレードWのフェザリング軸Fと一致することから空力モーメントMの発生が極力抑えられるものの、図13(b)に示すように翼端部に単純な後退角をつけた場合には、翼端部に発生する揚力Lの中心とフェザリング軸Fとが寸法aだけずれることから、L×aの空力モーメントM即ち、フェザリング軸Fまわりに強い頭下げモーメントMが発生し、特に、対気速度が大きく低下する後退側ブレードにおいて、頭下げモーメントMの発生によりブレードの迎角が減少して揚力の低下が誘発される。
【0007】
更に、頭下げモーメントMの発生に伴い、操縦系統に作用する荷重が増大し、機体重量の増加を招くと共に、疲労により使用耐久時間、即ち廃棄時間が制限されることがある。
【0008】
この対策としてロータ・ブレード翼端の平面形状の高性能設計において種々の研究がなされている。
【0009】
例えば、特開昭56-167599号公報に開示されるロータ・ブレードWは、図14(a)にロータ・ブレードWの翼端部の平面図を示すように、後退角及びテーパを備え、かつ同図(b)にその側面図を示すように下反角δを設けることによって、空中停止飛行中の性能を改善すると共に、後退角を有する先端部分が翼前縁に対して垂直な方向のマッハ数を減じることにより前進飛行中の性能向上を図っている。
【0010】
また、特公平3-66198号公報に開示されるロータ・ブレードWは、図15にロータ・ブレードWの翼端部平面図を示すように、前縁の後退開始位置に対して後縁の後退開始位置をロータ・ブレードWの外方にずらして、前進飛行中の衝撃波を除去或いは減衰させることによって騒音の減少を可能にしている。
【0011】
更に、特開平2-60898号公報に開示されるロータ・ブレードWは、図16にロータ・ブレードWの翼端部の平面図を示すように、後退した翼端部の前縁に前方に湾曲して突出したブレード・ドループWaを設けることによって、空力モーメントを減じるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
回転翼航空機の飛行速度性能の向上には、後退側ブレードに沿う流れの剥離を抑えて失速を回避することが重要であり、特に失速回避のためには、飛行に伴い遭遇するピッチ角が刻一刻と変化する非定常状態におけるダイナミックリフト特性の確保が重要である。
【0013】
しかし、上記特開昭56-16759号公報や特公平3-66198号公報に開示されるロータ・ブレードWにあっては、後退角によりある程度ダイナミックリフト特性に寄与することが考えられるが、翼端部に発生する揚力の中心がフェザリング軸に対してずれることから、フェザリング軸まわりのモーメントMが発生し、十分なダイナミックリフト特性が得られないことが懸念される。また、特開平2-60898号公報にあっては、後退した翼端縁を有するロータ・ブレードにおいて、前方に突出したブレード・ドループを設けることによって、空力モーメントの低減が得られるスタティックな失速限界の増加は、ある程度、ダイナミックリフト特性に寄与することは考えられるが、その複雑な形状を有するロータ・ブレードの製造は極めて困難であり、空力モーメントの調整が難しい。
【0014】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、飛行速度性能向上のための失速回避としてのダイナミックリフト特性に優れた回転翼航空機のロータ・ブレードを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載の回転翼航空機のロータ・ブレードの発明は、回転駆動部のロータヘッドに取り付けられて回転する回転翼航空機のロータ・ブレードにおいて、上記ロータヘッドに基端部が取り付けられ、1/4翼弦線がフェザリング軸上に位置し該フェザリング軸に沿って互いに平行な直線状で延在する前縁及び後縁を有する内翼部と、該内翼部の外端に内端が連続形成され、内翼部の前縁及び後縁の外端から各々前方に変移する互いに平行な直線状の前縁及び後縁を有する前進部と、該前進部の外端に内端が連続形成され、前進部の前縁及び後縁の外端から各々後方に変移する互いに平行な直線状の前縁及び後縁を有する後退部と、を備え、上記フェザリング軸より前方における該フェザリング軸と1/4翼弦線とに囲まれる上記前進部及び後退部の翼面積と、上記フェザリング軸より後方において該フェザリング軸と1/4翼弦線とに囲まれる上記後退部の翼面積とが略等しいことを特徴とする。
【0016】
請求項1の発明によると、前進部と後退部の各前縁の連続部分が前方に突出し、かつこの突出部から後退部の前縁が後退せしめられ、この後退角によって後退側ブレードの衝撃波が弱められて騒音の低減が得られ、かつ剥離による失速が回避されると共に、後退角を設けることによって発生する頭下げ方向のモーメントは、前進部と後退部の連続部分付近が前進方向に突出することによって発生する頭上げ方向のモーメントによって相殺され、或いは極めて抑制される。
【0017】
特に、1/4翼弦線がフェザリング軸上に位置し、フェザリング軸より前方におけるフェザリング軸と1/4翼弦線とに囲まれる前進部及び後体部の翼面積と、フェザリング軸より後方において該フェザリング軸と1/4翼弦線とに囲まれる後退部の翼面積とを略等しく設定することから、対気速度が大きく低下する後退側ブレードにおいても、頭下げモーメントの発生が回避乃至極めて抑制されてブレードの迎角が減少することなく前進側ブレードに釣り合う揚力が確保できる
【0018】
また、頭下げモーメントの発生回避乃至極めて発生が抑制されることから、ロータ強度の向上及び振動の低減がもたらされ、操縦系統に作用する荷重が減少して安定した使用が可能になり、使用耐久性が確保される。更に、ロータ・ブレードを形成する内翼部、前進部、後退部の各前縁及び後縁が互いに平行で略直線状に形成されることから、ロータ・ブレード全体の形状が比較的単純な形状であり、製造の簡素化及び製造コストの低減がもたらされる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1の回転翼航空機のロータ・ブレードにおいて、ロータ・ブレードの回転中心から上記ロータ・ブレード全長の約80%近傍に上記前進部の内端が位置し、前進部の前縁及び後縁が上記フェザリング軸に対して10~25度の前進角で延在し、後退部の前縁及び後縁がフェザリング軸に対して20~50度の後退角で延在することを特徴とする。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1のロータ・ブレードにおいて、ロータ・ブレードの回転中心からロータ・ブレード全長の約80%近傍に前進部の内端を位置せしめ、前進部をフェザリング軸に対して10~25度の前進角で、また後退部をフェザリング軸に対して20~50度の後退角に設定することによって、ダイナミックリフト効果が効率的にもたらされ、請求項1の効果がより効果的に達成できる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の回転翼航空機のロータ・ブレードにおいて、上記後退部の外端に連続形成され、後退部の前縁の外端に滑らかに連続して後退部の後退角より大なる後退角を有する翼端及び後退部の後縁に連続形成された後縁を有する翼端成形部を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明によると、翼端成形部を備えることによって、定常状態及び非定常状態においてより効率的に最大揚力係数の増大が得られる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3の回転翼航空機のロータ・ブレードにおいて、上記翼端成形部の翼端の後退角は、上記フェザリング軸に対して50~85度であることを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明は、請求項3のロータ・ブレードにおいて、翼端成形部の翼端の後退角を50~85度に設定することで、より効率的に最大揚力係数の増大が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による回転翼航空機のロータ・ブレードの実施の形態を図によって説明する。
【0030】
(第1実施の形態)
本発明による回転翼航空機のロータ・ブレードの第1実施の形態を図1乃至図9によって説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態によるロータ・ブレード10の概要を示す平面図であり、ロータ・ブレード10は、基端部11と内翼部12と翼端部13を備え、基端部11はロータ・ブレード10を回転駆動するロータヘッド(図示せず)に取り付ける部材であり、内翼部12は基端部11から直線状に延在し、かつ互いに平行な前縁12a及び後縁12bを有する。内翼部12の翼弦長C1は前縁12aと後縁12bとの距離によって定義され、翼弦長C1の前縁11aから1/4、即ち1/4翼弦線12cの位置にフェザリング軸Fが設定されている。
【0032】
翼端部13は、内翼部12に順次連続形成された前進部14、後退部15、翼端整形部16を有し、ロータ・ブレード10の回転中心0から後退部15の外端までの距離の約80~100%の間に前進部14及び後退部15が形成される。
【0033】
翼端部13は、図2に図1のA部拡大図を示すようにロータ・ブレード10の回転中心0から後退部15の外端までの距離の約80%付近において内翼部12の外端に内端が連続形成されると共に、フェザリング軸Fに対して約10~25度の前進角θで前方に向かうように設けられた前進部14と、前進部14の外端に内端が連続形成され、かつフェザリング軸Fに対して20~50度の後退角φで後方に向かうように延設された後退部15及び翼端整形部16によって平面視略中間部が前方に突出する略L字状に形成されている。
【0034】
換言すると、前進部14の前縁14a及び後縁14bは、回転中心0から翼長の約80%の位置において内翼部12の前縁12a、後縁12bの端部から各々10~25度の前進角θで互いに平行に直線状に延在され、翼弦長C2は内翼部12の翼弦長C1と略等しく設定されている。
【0035】
後退部15の前縁15a及び後縁15bは、フェザリング軸Fに対して20~50度の後退角φで後方に向くように前進部14の前縁14a及び後縁14bの外端に連続して平行に延在され、翼弦長C3は前進部14の翼弦長C2と略等しく設定されている。
【0036】
翼端部13の1/4翼弦線13aは、回転中心0から翼長の80%の位置から前進部14の前縁14aと平行にフェザリング軸Fに対して10~25度の前進角θで前方に延在し、かつ後退部15の前縁15aと平行にフェザリング軸Fに対して20~50度の後退角φで後方に向くように折曲して延在すると共に、フェザリング軸Fより前側におけるフェザリング軸Fと1/4翼弦線13aによって囲まれた前方領域の翼面積Sfと、フェザリング軸Fより後側におけるフェザリング軸Fと1/4翼弦線13aによって囲まれた後退部15の翼面積Srとは、略同一面積に設定されている。
【0037】
翼端整形部16は、後退部15の前縁15aに滑らかに連続すると共にフェザリング軸Fに対して50~85度の後退角ψで後方に向かうように延設される翼端16aを有する一方、後縁16bは後退部15の後縁15bに連続してフェザリング軸Fと平行配置されて上記翼弦長C1の10~50%の翼弦長を有している。
【0038】
翼端整形部16の断面形状は、図2のI-I線断面及びII-II線断面を各々図3(a)及び(b)に示すように、後退部15の外端と、翼端16aを結んだ円錐曲線で形成され、後縁16bの近傍は翼弦方向において後退部15と同様の断面形状に設定されている。
【0039】
この様に形成されたロータ・ブレード10によると、翼端部13において前進部14と後退部15の各前縁14aと15aの連続部分13bが前方に突出して、その突出部aから後退部15の前縁15aが20~50度の後退角φで後退せしめられ、この傾斜角によって後退側ブレードの衝撃波が弱められて騒音の低減が得られると共に、剥離による失速が回避され、更に後退角ψが50~85度の急角度で形成された翼端整形部16で衝撃波に起因する後退側ブレードの剥離による失速が回避される。
【0040】
しかし、後退角を設けることによって、例えば図2のIII-III線断面を図4(a)に示すように、翼端部13の端部付近に発生する揚力L1の中心がフェザリング軸Fの後方にずれることから、空力モーメントM1即ち、フェザリング軸Fまわりに頭下げ方向のモーメントM1が発生する。
【0041】
一方、10~25度の前進角θで前方に前進部14が突出することによって、前進部14と後退部15の連続部分付近が前進方向に突出することによって、図2のIV-IV線断面を図4(b)に示すように、この連続部分13bの付近に発生する揚力L2の中心とフェザリング軸Fの前方にずれることから、空力モーメントM2即ち、フェザリング軸Fまわりに頭上げ方向のモーメントM2が発生する。
【0042】
ここで、フェザリング軸Fより前側におけるフェザリング軸Fと1/4翼弦線13aによって囲まれた翼面積Sfと、フェザリング軸Fより後側におけるフェザリング軸Fと1/4翼弦線13aによって囲まれた後退部の翼面積Srが略同一面積に設定されることから、フェザリング軸Fまわりの頭下げ方向のモーメントM1と頭上げ方向のモーメントM2とが互いに相殺されてフェザリング軸Fまわりのモーメントの発生が回避乃至頭下げ方向のモーメントM1の発生が極めて抑制される。
【0043】
この結果、特に、対気速度が大きく低下する後退側ブレードにおいても、頭下げ方向のモーメントM1の発生が回避乃至極めて抑制されてブレードの迎角が減少することなく、前進側ブレードと同等或いは略同等の揚力が確保できる。
【0044】
また、頭下げ方向のモーメントM1の発生回避乃至極めて発生が抑制されることから、ロータ荷重の低減及び振動の低減がもたらされて安定した使用が可能になり、かつ操縦系統に作用する荷重が減少し、機体重量の増加を回避することが可能になると共に、使用耐久時間、即ち廃棄時間の長期化が得られる。
【0045】
更に、ロータ・ブレード10を形成する内翼部12の前縁12a、後縁12b、翼端部13を形成する前進部14の前縁14a、14b、後退部15の前縁15a、後縁15bが略直線状に形成され、かつ急激な形状変化がなくロータ・ブレード10全体の形状が比較的単純形状であり、製造の簡素化及び製造コストの低減がもたらされる。
【0046】
次に、図5乃至図9によって、従来のロータ・ブレードと本実施の形態によるロータ・ブレードとを、風洞試験結果によるダイナミックリフト特性によって比較する。
【0047】
図5は、風洞試験に使用されたロータ・ブレードの概要を示す平面図であり、(a)は矩形翼端を有するロータ・ブレード21の平面図、(b)は、内翼部22aに30度の後退角φの翼端部22bを有するロータ・ブレード22の平面図、(c)は、本実施の形態のロータ・ブレード10において、翼端整形部16を省略したロータ・ブレード23の平面図であって、前進部14の前進角θが15度、後退部15の後退角φが30度である。同図(d)は本実施の形態のロータ・ブレード10の平面図であって、前進部14の前進角θが15度、後退部15の後退角φが30度、翼端整形部16の後退角ψが60度である。
【0048】
図6は、図5(a)に示すような矩形の翼端を有するロータ・ブレード21の翼端におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す「迎角αー揚力係数C 関係図(C =L/(q・s)、L:揚力、q:動圧、s:基準面積)」であり、図7は図5(b)に示す30度の後退角を有するロータ・ブレード22の翼端におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す「迎角αー揚力係数C 関係図」であり、各々点線が風速40m/s下の定常状態におかれた場合の特性、実線が風速40m/sでかつ、1/4翼弦長位置でフェザリング軸回りに加振振動数1H で加振している非定常状態におかれた場合の特性を示している。
【0049】
図5(a)に示す矩形翼端のロータ・ブレード21及び図5(b)に示す後退角を有するロータ・ブレード22において、各々ダイナミックリフト効果により定常状態に比べ非定常状態の方が失速が遅れ、かつ矩形翼端のロータ・ブレード21に比べ後退角を有するロータ・ブレード22がより大なる最大揚力係数を得ていることがわかる。
【0050】
図8は、図5(c)に示すロータ・ブレード10において翼端整形部16を省略した形状のロータ・ブレード23の翼端におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す「迎角αー揚力係数C 関係図」であり、図9は図5(d)に示す翼端整形部を備えた回転翼10におけるダイナミック効果の風洞試験結果を示す「迎角αー揚力係数C 関係図」であり、各々点線が風速40m/s下の定常状態におかれた場合の特性、実線が風速40m/sでかつ、1/4翼弦長位置でフェザリング軸まわりに加振振動数1H で加振している非定常状態におかれた場合の特性を示している。
【0051】
図5(c)に示すロータ・ブレード23及び図5(d)に示すロータ・ブレード10において、各々ダイナミックリフト効果により定常状態に比べ非定常状態の方が失速が遅れ、図5(b)に示すロータ・ブレード22と同様に、図5(a)に示すロータ・ブレード21に比べ図5(c)に示すロータ・ブレード23がより大なる最大揚力係数を得ると共に、図5(c)に示すロータ・ブレード23に比べ図5(d)に示すロータ・ブレード10がより大なる最大揚力係数を得ている。
【0052】
ここで、図5(c)に示すロータ・ブレード23と図5(d)に示すロータ・ブレード10の基準面積は、内翼部12、前進部14、後退部15により形成される同一の基準面積を有しているため、翼端整形部16を備えた図5(d)に示すロータ・ブレード10の翼面積が約6%大きくその分揚力係数が大きくなるが、図8及び図9に示すように翼端整形部16を備えた図5(d)に示すロータ・ブレード10が図5(c)に示すロータ・ブレード23に対し、定常状態及び非定常状態において各々12%以上の更なる大きな最大揚力係数が得られ、翼端整形部16を備えることによりより効率的に最大揚力係数の増大が得られることがわかる。
【0053】
(第2実施の形態)
本発明による回転翼航空機のロータ・ブレードの第2実施の形態を図10及び図11によって説明する。なお、図10及び図11に上記図1乃至図3と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細を省略して異なる部分を主に説明する。
【0054】
図10は、上記第1実施の形態の図2に対応するロータ・ブレード10の翼端部13を示す平面図であり、図11は図10のB矢視図である。
【0055】
このロータ・ブレード10は、内翼部12と翼端部12を有し、翼端部13はフェザリング軸Fに対して約10~25度の前進角θをもって延在する前進部14と、前進部14の外端からフェザリング軸Fに対して20~50度の後退角φで延設された後退部15及び翼端整形部16をによって形成されて、第1実施の形態と同様な平面形状を有している。
【0056】
翼端整形部16は、図11に示すように約20度の下反角δをもって後退部15の外端に連続形成されている。
【0057】
従って、本実施の形態によるロータ・ブレード10は、第1実施の形態に加え、翼端整形部16が下反角δを有することから、空中停止飛行中において、ロータ・ブレードにより発生する翼端渦が翼端成形部16によって積極的に下方に放出され、先行するロータ・ブレードによって発生した翼端渦と後続のロータ・ブレードとの干渉が回避されてBVI騒音の発生が減少すると共に、空中停止飛行の安定性が向上する。
【0058】
【発明の効果】
以上説明した本発明の回転翼航空機のロータ・ブレードによると、前進部と後退部の各前縁の連続部分が前方に突出し、後退部の前縁が後退せしめられ、この後退角によって後退側ブレードの衝撃波が弱められて騒音の低減が得られ、剥離による失速が回避されると共に、後退角を設けることによって発生する頭下げ方向のモーメントが、前進方向に突出する前進部と後退部の連続部分付近によって発生する頭上げ方向のモーメントによって相殺され、或いは極めて抑制される。従って対気速度が大きく低下する後退側ブレードにおいても、頭下げモーメントの発生が回避乃至極めて抑制されてブレードの迎角が減少することなく前進側ブレードと釣り合う揚力が確保できる。
【0059】
また、ロータ荷重の低減及び振動の低減がもたらされ、操縦系統に作用する荷重が減少して安定した使用が可能になり、使用耐久性が確保されると共に、ロータ・ブレードを形成する内翼部、前進部、後退部の各前縁、後縁が略直線状に形成されることから、ロータ・ブレード全体の形状が比較的単純形状で構成され製造の簡素化及び製造コストの低減がもたらされる。
【0060】
特に、フェザリング軸上に上記内翼部の1/4翼弦線が位置し、かつ内翼部の1/4翼弦線の延長線より前方において該内翼部の1/4翼弦線の延長線と前進部の1/4翼弦線と後退部の1/4翼弦線に囲まれた翼面積と、内翼部の1/4翼弦線の延長線より後方において該内翼部の1/4翼弦線の延長線と後退部の1/4翼弦線に囲まれた後退部の翼面積とが略等しく設定することによって、頭下げ方向のモーメントの発生が効率的に回避乃至極めて抑制されて、より揚力が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転翼航空機のロータ・ブレードの第1実施の形態の概要を示す回転翼羽根の平面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】翼端整形部の断面形状を示す説明図であり、(a)は、図2のIーI線断面図、(b)は図2のIIーII線断面図である。
【図4】ロータ・ブレードに作用する空力モーメントの説明図であり、(a)は図2のIIIーIII線断面部に作用する空力モーメントの説明図、(b)は、図2のIVーIV線断面部に作用する空力モーメントの説明図である。
【図5】風洞試験に使用されたロータ・ブレードの概要を示す平面図であり、(a)は、矩形翼端を有するロータ・ブレードの平面図、(b)は、後退角を有するロータ・ブレードの平面図、(c)は、本実施の形態のロータ・ブレードにおいて、翼端整形部を省略したロータ・ブレードの平面図で、(d)は本実施の形態の翼端整形部を有するロータ・ブレードの平面図である。
【図6】図5(a)に示すロータ・ブレードの翼端部におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す迎角ー揚力係数関係図である。
【図7】図5(b)に示すロータ・ブレードの翼端部におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す迎角ー揚力係数関係図である。
【図8】図5(c)に示すロータ・ブレードの翼端部におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す迎角ー揚力係数関係図である。
【図9】図5(d)に示すロータ・ブレードの翼端部におけるダイナミックリフト効果の風洞試験結果を示す迎角ー揚力係数関係図である。
【図10】本発明による回転翼航空機のロータ・ブレードの第2実施の形態を示す翼端部の平面図である。
【図11】図10のB矢視図である。
【図12】回転翼航空機の高速前進飛行するときのロータ・ブレードの空力環境を示す図である。
【図13】従来のロータ・ブレードの説明図であり、(a)は矩形翼端のロータ・ブレードの平面図、(b)は後退角を有するロータ・ブレードの平面図である。
【図14】従来のロータ・ブレードの説明図であり、(a)は翼端部の平面図、(b)はその側面図である。
【図15】従来のロータ・ブレードの平面図である。
【図16】従来のロータ・ブレードの平面図である。
【符号の説明】
10 ロータ・ブレード
11 基端部
12 内翼部
12a 前縁
12b 後縁
12c 1/4翼弦線
13 翼端部
13a 1/4翼弦線
14 前進部
14a 前縁
14b 後縁
15 後退部
15a 前縁
15b 後縁
16 翼端整形部
16a 翼端
16b 後縁
F フェザリング軸
0 回転中心
θ 前進角
φ 後退角
ψ 後退角
δ 下反角
Sf フェザリング軸と翼端部の1/4翼弦線とによって囲まれた翼面積
Sr フェザリング軸と翼端部の1/4翼弦線とによって囲まれた翼面積
L1 翼端部の端部付近に発生する揚力
M1 空力モーメント
L2 連続部分の付近に発生する揚力
M2 空力モーメント
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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