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明細書 :有刺体が構成される帯状金属板並びにその製造方法及びその製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3483146号 (P3483146)
公開番号 特開2003-020822 (P2003-020822A)
登録日 平成15年10月17日(2003.10.17)
発行日 平成16年1月6日(2004.1.6)
公開日 平成15年1月24日(2003.1.24)
発明の名称または考案の名称 有刺体が構成される帯状金属板並びにその製造方法及びその製造装置
国際特許分類 E04H 17/04      
B21F 25/00      
FI E04H 17/04 Z
B21F 25/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2001-207738 (P2001-207738)
出願日 平成13年7月9日(2001.7.9)
審査請求日 平成13年7月9日(2001.7.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000147774
【氏名又は名称】株式会社石川製作所
発明者または考案者 【氏名】根本 守
【氏名】本多 啓介
【氏名】平瀬 義
【氏名】野村 弘明
【氏名】太田 成一
【氏名】中野 浩
審査官 【審査官】家田 政明
参考文献・文献 特開 平6-108704(JP,A)
特開 昭61-235031(JP,A)
特開 昭59-189024(JP,A)
実開 昭52-164000(JP,U)
実開 昭55-28021(JP,U)
調査した分野 E04H 17/04
B21F 25/00
B21D 28/10
特許請求の範囲 【請求項1】
突起状の有刺体が形成されて杭、塀、柵等に張り巡らされる有刺体が構成される帯状金属板であって、幅方向の一方端部に残存部分を残して斜めに延びる第1の長孔と、杭、塀、柵等への取り付けに使用される取付け穴とが順次設けられ、ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部を垂直方向に引き出すことにより帯状金属薄板に捩りを生起させて、幅方向の一方端部の残存部分を破断させて有刺体を突起させることを特徴とする有刺体が構成される帯状金属板。

【請求項2】
前記取付け穴を中心にして前記第1の長孔とは対称な位置に、幅方向の他方端部に残存部分を残して斜めに延びる第2の長孔が形成され、ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部を垂直方向に引き出すことにより帯状金属板に捩りを生起させて、幅方向の他方端部の残存部分を破断させて有刺体を突起させることを特徴とする請求項1記載の有刺体が構成される帯状金属板。

【請求項3】
前記請求項1又は請求項2記載の有刺体が構成される帯状金属板の製造方法であって、前記幅方向の残存部分を少なくとも焼き入れすることを特徴とする有刺体の製造方法。

【請求項4】
前記帯状金属板は、HRC30からHRC50の硬度を有するバネ材であって、焼き入れ加工後の幅方向の両端部は、HRC55以上の硬度を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有刺体が構成される帯状金属板。

【請求項5】
前記請求項1又は請求項2記載の有刺体が構成される帯状金属板から突起させた有刺体が構成される帯状金属板を製造する装置であって、前記請求項1又は請求項2記載の有刺体が構成される帯状金属板を、その巻き終わり端部を固着させてロール状に巻き回わして収納する中空状容器と、この中空状容器から引き出す開口部とを備え、巻き始め端部を引き出し方向に対して垂直になるように中空状容器が取り付けられることを特徴とする有刺体が構成される帯状金属板を製造する装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】本発明は、有刺体が構成される帯状金属板並びにその製造方法及びその製造装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】農作物を栽培する畑に有害な動物が侵入するのを防止したり、また、重要な施設に外来者が侵入することを防止する方法として、有刺鉄線や有針帯状体を杭等に張り巡らしたり、塀の上部や金網フェンス上部に設置したりしていた。

【0003】
これらの有刺鉄線や有針帯状体の設置の方法としては大別して3通りの方法がある。第1の方法としては既に刺状を有する有刺鉄線や帯状体を杭等に張り巡らす方法であり、第2の方法としては線材を張り巡らした後に刺状体を線材に配設する方法である。第3の方法としては張り巡らす作業過程で有刺形状に変形する材質からなる帯状体を敷設する方法である。

【0004】
第1の方法は、従来から行われている有刺鉄線を杭等や塀の上部や金網フェンスの上部に人手により張り巡らす方法である。また、特開平7-91111号公報や実公平7-30838号公報などに記載されている有針帯状体や金属有刺板を設置する方法も提案されている。第2の方法は実公平7-9629号に記載されており、第3の方法は特開平6-108704号に記載されている。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の方法では、所望の形状に加工するのに専用の有刺鉄線製造装置が必要であったり、一旦機械加工されたものを再度人手によって曲げ起す工程が必要であったりして作業能率面に問題があった。また、既に鋭利な刺状を有する線材や有針帯状体や金属有刺板を、杭等や塀の上部や金網フェンスの上部に人手により張り巡らすために取扱いが煩雑であったり、敷設中に作業者が誤って接触して負傷するなど危険を伴っており、作業能率も低いものであった。

【0006】
第2の方法では、刺状体の線材への取り付けに危険が伴い、数を多く扱うため、作業者に煩雑な作業を長時間強いることとなり、注意を要するものであった。

【0007】
第3の方法では、切り込み線を加工した帯状薄板をロール状に予め巻いておき、巻き終わり端から順次巻き戻して引き延ばし、各細長部分のつなぎ部分を支点として拡開しながら有刺体を形成し、帯状薄板の幅方向のみに有刺体が形成されるものである。これは垂直に配設された杭や支柱等に敷設した場合には上下方向にのみ有刺体が存在するものであって、ブロック塀の上部や地面への直取り付け等平面へ敷設すると有刺体が突出しなくなって使用することができず、侵入阻止用として配設するには設置場所が限定されるものであった。

【0008】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記不具合点を解決しようとするものであり、請求項1記載の帯状金属板は、突起状の有刺体が形成されて杭、塀、柵等に張り巡らされる有刺体が構成される帯状金属板であって、幅方向の一方端部に残存部分を残して斜めに延びる第1の長孔と、杭、塀、柵等への取り付けに使用される取付け穴とが順次設けられ、ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部を垂直方向に引き出すことにより帯状金属薄板に捩りを生起させて、幅方向の一方端部の残存部分を破断させて有刺体を突起させることを特徴とする。

【0009】
本発明によれば、幅方向の一方端部に残存部分を残して斜めに延びる第1の長孔と、杭、塀、柵等への取り付けに使用される取付け穴とを機械加工する工程や、ロール状に巻き回す工程において、未だ有刺体が突起していない形状のために製造過程における加工作業者や製品検査作業者に危険を及ぼすことなく能率良く作業ができる。敷設作業時は、ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部をロール状端面に対して垂直方向に引き出す。これにより帯状金属薄板の1巻きにつき1回の捩りを生起させる。この捩り力が幅方向の一方端部の残存部分に応力集中し、幅方向の一方端部の残存部分を破断させて有刺体を突起させる。これによって有刺体が、引き出された帯状金属板の長さ方向の中心線を中心として、360°の全周にわたって連続的に突起する。

【0010】
本発明の請求項2記載の帯状金属板は、前記杭、塀、柵等への取り付けに使用される取付け穴を中心にして前記第1の長孔とは対称な位置に、幅方向の他方端部に残存部分を残して斜めに延びる第2の長孔が形成され、ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部を垂直方向に引き出すことにより帯状金属板に捩りを生起させて、幅方向の両端部の残存部分を破断させて有刺体を突起させることを特徴とする。

【0011】
本発明によれば、有刺体を帯状金属板の両面に突起させることができる。

【0012】
本発明の請求項3記載の有刺体の製造方法は、有刺体が構成される帯状金属板の製造方法であって、前記幅方向の残存部分を少なくとも焼き入れすることを特徴とする有刺体の製造方法である。

【0013】
本発明によれば、帯状金属板の幅方向の残存部分を少なくとも焼き入れすることにより硬度は高められて靭性が低くなる。これによりロール状に巻き回された状態から巻き始め端部をロール状端面に対して垂直方向に引き出された時、帯状金属薄板の1巻きにつき1回の捩りが生起され、この捩り力による幅方向の端部の残存部分の応力集中により、幅方向の端部の残存部分を破断させる際に、脆性破壊の起き易い状態となる。また、有刺体先端部の強度が高められる。

【0014】
本発明の請求項4記載の帯状金属板は、HRC30からHRC50の硬度を有するバネ材であって、焼き入れ加工後の幅方向の両端部は、HRC55以上の硬度を有することを特徴とする。

【0015】
本発明によれば、帯状金属板の両端部はHRC55以上の硬度を有することから、金切り鋏等の工具では容易に切断されることがない。

【0016】
本発明の請求項5記載の有刺体が構成される帯状金属板を製造する装置は、前記有刺体が構成される帯状金属板から突起させた有刺体が構成される帯状金属板を製造する装置であって、帯状金属板を、その巻き終わり端部を固着させてロール状に巻き回わして収納する中空状容器と、この中空状容器から引き出す開口部とを備え、巻き始め端部を引き出し方向に対して垂直になるように中空状容器が取り付けられることを特徴とする。

【0017】
本発明によれば、帯状金属板が中空収納器にロール状に巻き回されて充填されていることから、迅速かつ安全に有刺体を突起させた帯状金属板を製造することができる。

【0018】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図にもとづいて説明する。

【0019】
(第1の実施の形態)本発明の実施の形態は、図1乃至図4に示すように、帯状金属板1には、幅方向の一方端部に残存部分5を残して斜めに延びる第1の長孔3Aと、杭、塀、柵等への取り付けに使用される取付け穴2とが順次設けられ、ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部をロール状端面に対して垂直方向に引き出すことにより帯状金属板1に捩りを生起させて、幅方向の一方端部の残存部分5を破断させて有刺体18を突起させるものである。

【0020】
製造過程から説明すると、図1は帯状金属板1に第1の長穴3Aと取付け穴2が加工された状態を示す平面図であり、帯状金属板1の長さ方向の中心線4に沿って、幅方向の一方端部に残存部分5を残して斜めに延びる第1の長穴3Aと取付け穴2が順次に配設されている。図2は帯状金属板1の部分拡大図である。なお、本実施の形態の帯状金属板1の材質は炭素工具鋼SK5Mであり厚さ0.1mm、幅40mmである。残存部分5の寸法は1mmであるが、1mm以下の方が望ましい。また材質はバネ鋼やステンレス鋼、リン青銅であってもよいものである。次の工程では図3に示すように、帯状金属板1がロール状に巻き回される。

【0021】
ロール状に巻き回された帯状金属板1を図4に示すように、巻き始め端部をロール状端面に対して垂直方向に引き出すことにより、1巻きにつき1回の捩りを生起させる。この捩り力による幅方向の一方端部の残存部分5の応力集中によって破断させて、有刺体18を突起させる。これによって有刺体18が全長、且つ長さ方向中心線30を中心として360°の全周にわたって連続的に突起する。

【0022】
次に、本実施の形態の応用例を説明すると、この応用例は図5乃至図8に示すように、取付け穴2を中心にして第1の長孔3Aとは対称な位置に、幅方向の他方端部に残存部分を残して斜めに延びる第2の長孔3Bが配設され、ロール状に巻き回された状態から、巻き始め端部をロール状端面に対して垂直方向に引き出すことにより、帯状金属板1に捩りを生起させ、幅方向の両端部の残存部分5を破断させて有刺体18を突起させるものである。これによれば有刺体18を帯状金属板1の両面に突起させることができ、全長、且つ長さ方向中心線30を中心として360°の全周にわたって連続的に突起させることができる。

【0023】
(第2の実施の形態)本発明の実施の形態は、図9及び図10に示すように、有刺体18が構成される帯状金属板1の製造方法であって、前記幅方向の残存部分5を少なくとも焼き入れするものである。ロール状に巻き回された帯状金属板1は図9に示すように焼き入れ装置6によって幅方向の両端部7が熱せられる。次いで図10に示すように、冷却液8が充填された浴槽9に浸漬されて両端部7は焼き入れされる。この焼き入れによって両端部7の硬度は高められて靭性が低くなる。ロール状に巻き回された状態から巻き始め端部をロール状端面に対して垂直方向に引き出すことにより、帯状金属板の1巻きにつき1回の捩りを生起させる。この捩り力が幅方向の端部の残存部分5に応力集中し、脆性破壊の起き易い状態となる。これにより、有刺体18の強度が高められるとともに、敷設後には金切り鋏等の工具では帯状金属板が容易に切断され除去されることがなくなる。

【0024】
(第3の実施の形態)本発明の実施の形態は、図11乃至図16に示すように、有刺体18が構成される帯状金属板1から突起させた有刺体18が構成される帯状金属板1を製造する装置であって、帯状金属板1の巻き終わり端部17を固着させてロール状に巻き回して収納する中空状容器10と、この中空状容器10から引き出す開口部16とを備え、巻き始め端部を引き出し方向に対して垂直になるように中空状容器10が取り付けられることを特徴とする有刺体18が構成される帯状金属板1を製造する装置である。

【0025】
中空状容器10には、図11に示すように蓋11がヒンジ13を支点として開閉可能となって配設されており、蓋11の中心部には開口部16が穿設されている。ロール状に巻き回された帯状金属板1は図12乃至図14に示すように、円筒形に形設された巻き終わり端部17が、スリット15に係合し、中空状容器10内に固着されて収納される。蓋11が閉じられた後、ボルト14により固着され、ハンドル12によって持ち運ばれる。

【0026】
図15と図16は中空状容器10に穿設された開口部16から、巻き始め端部を引き出し方向に対して垂直になるように帯状金属板1が引き出された状態を示している。これにより1巻きにつき1回の捩りを生起させる。この捩り力が幅方向端部の残存部分5に応力集中し、破断させて有刺体を突起させ、これによって有刺体が全長、且つ長さ方向中心線30を中心として360°の全周にわたって連続的に突起する。これによれば有刺体18が構成される帯状金属板1を安全かつ迅速に製造することができる。

【0027】
次に、本実施の形態の第1の応用例を説明する。図17及び図18に示すように、中空状容器10に収められた帯状金属板1を敷設車19の端面に図示省略のボルトにより上下方向に4個配置する。地面に打設された第1の杭20に、取付け穴2にピン22を貫通して帯状金属板1を上下方向に4個固着する。敷設車19を図17の図中左方向に移動することにより、帯状金属板1はさらに引き出されて捩りが生起され、有刺体18が形成される。ついで地面に第2の杭21を打設し、ピン22によって帯状金属板1を固着する。これを順次繰返すことにより有刺体18を有する帯状金属板1を架設した柵が短時間に張り巡らされることとなる。

【0028】
第2の応用例は図19に示すように、有刺体18が構成された帯状金属板1が製造されて、金網フェンス24の上部フレーム25上にタッピングネジ23によって配設された例である。これにより金網フェンス24を乗り越えて侵入しようとする者を阻止する効果がある。

【0029】
さらに、第3の応用例を図20に示す。地面に3列の有刺体18を有する帯状金属板1がペッグ28によって固定されている。さらにブロック塀26の上面29にはタッピングネジ27によって固着されている。これによってブロック塀26の内側へ侵入しようとする者を、ブロック塀26近辺の地面と上面29に敷設された有刺体18を有する帯状金属板によって阻止することができる。

【0030】

【発明の効果】本発明の有刺体が構成される帯状金属板は、幅方向の端部に残存部分を残し斜めに延びる長孔と、杭、塀、柵等への取り付けに使用される取付け穴とを機械加工する工程や、ロール状に巻き回す工程、焼き入れ工程、中空状容器に収納する作業時において、未だ有刺体が突出していない形状のために、加工作業者や製品検査作業者に危険を及ぼすことなく安全に能率良く作業ができる。また、運搬過程や敷設作業時においても取扱い易く安全である。敷設すると有刺体が全長、且つ長さ方向中心線を中心として360°の全周にわたって連続的に突起する特徴により使用できる範囲が広く、例えば敷設車の端面に複数個を配置し杭と併用することにより、迅速且つ安全に、有刺体が突出した帯状金属板を配設した柵を張り巡らすことができる。また、金網フェンスの上面や地面への直取り付け、ブロック塀の上面などの平面へ敷設することができ、障害物としての侵入者を阻止する効果がある。さらに、帯状金属板の幅方向に焼き入れ加工を施すことにより硬度が高くなり、金切り鋏等の工具では容易に切断されて除去されることがない。撤収する際には帯状金属板を固着しているペッグやタッピングネジを取り外し、全長に渡る捩りを戻すことにより、捩りによって突出していた有刺体は消滅し、ロール状に容易且つ安全に巻き戻すことができ、再使用も可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図15】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
11
【図12】
12
【図13】
13
【図14】
14
【図16】
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【図17】
16
【図18】
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【図19】
18
【図20】
19