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明細書 :電波通信環境模擬装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3588619号 (P3588619)
公開番号 特開2003-060591 (P2003-060591A)
登録日 平成16年8月27日(2004.8.27)
発行日 平成16年11月17日(2004.11.17)
公開日 平成15年2月28日(2003.2.28)
発明の名称または考案の名称 電波通信環境模擬装置
国際特許分類 G09B  9/00      
H04B 17/00      
FI G09B 9/00 Z
H04B 17/00 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2001-246699 (P2001-246699)
出願日 平成13年8月15日(2001.8.15)
審査請求日 平成13年8月15日(2001.8.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000176730
【氏名又は名称】三菱プレシジョン株式会社
発明者または考案者 【氏名】横山 正文
【氏名】山本 和秀
【氏名】神埜 浩
【氏名】斎藤 邦彦
【氏名】島田 武男
個別代理人の代理人 【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100092624、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴田 準一
【識別番号】100082898、【弁理士】、【氏名又は名称】西山 雅也
【識別番号】100081330、【弁理士】、【氏名又は名称】樋口 外治
審査官 【審査官】甲斐 哲雄
参考文献・文献 特開昭62-138883(JP,A)
特開平07-013479(JP,A)
調査した分野 G09B 9/00
H04B 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
通信運用シナリオを設定・表示するための運用管制部と、
前記運用管制部で設定された通信運用シナリオを表示し、通信条件を入力するための通信諸元入出力装置と、実際の無線機とをそれぞれ具備する少なくとも2つの模擬通信所と、
前記運用管制部で設定された通信運用シナリオに基づいて電波雑音を発生する少なくとも1つの信号発生器と、
前記信号発生器から発生された電波雑音に対する電波伝搬損失であって、前記少なくとも2つの無線機のそれぞれに対応した電波伝搬損失、および前記少なくとも2つの無線機の間の電波伝搬損失を算出する模擬空界制御部と、
前記模擬空界制御部で算出された電波伝搬損失を用いて前記少なくとも2つの無線機における受信信号を模擬する模擬空界部と、
前記無線機の出力を監視するための信号分析器と、
前記運用管制部および前記模擬通信所内の通信諸元入出力装置と情報の交換、前記信号発生器からの通信運用シナリオに対応した電波雑音の発射、前記模擬空界制御部における電波伝搬損失の算出、前記模擬空界部における前記少なくとも2つの無線機の間の電波伝搬損失の模擬、ならびに前記信号分析器の動作を制御するシステム制御部と、を具備する電波通信環境模擬装置。
【請求項2】
前記信号発生器および前記信号分析器の動作を制御する計測制御部と、
各々がクライアント用コンピュータで構成された前記運用管制部、前記模擬通信所、前記模擬空界制御部、前記模擬空界部および前記計測制御部と、サーバ用コンピュータで構成された前記システム制御部とを接続するローカル・エリア・ネットワークと、をさらに具備する請求項1に記載の電波通信環境模擬装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は実際に電波を空中に放射することなく無線通信訓練、無線機運用試験等を実行するために空中の電波伝搬および通信障害を模擬する電波通信環境模擬装置に係わり、特に、2台以上の実際の無線機を使用しての同時通信のために空中の電波伝搬環境を模擬する電波通信環境模擬装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信の訓練あるいは無線機運用試験等において実際の無線機を使用して実際に電波を放射すると、第三者に使用周波数等の通信諸元が知られてしまい通信の秘密保持が困難となる。
【0003】
このため、電波を空中に放射することなく無線通信訓練をするための電波通信環境模擬装置が提案されている。
【0004】
図1は、特開平2-186848号公報に提案されている電波通信環境模擬装置の構成図であって、1組の訓練用端末11および11’、通信訓練用管制部12、ならびに模擬通信系制御部13から構成されている。なお、模擬通信系制御部13は、減衰量を外部から設定可能な高周波用広帯域可変減衰器、ならびに変調信号、変調種類および搬送波周波数を外部から設定可能な高周波信号発生器を具備している。
【0005】
訓練用端末11および11’は訓練を受ける訓練生が操作するものであって、訓練において想定する通信所の設置位置およびアンテナの特性等を含む通信諸元を設定するためのタッチパネル111および111’、ならびに模擬通信機112および112’から構成されている。なお、模擬通信機112および112’は訓練対象の実際の無線機と同様の操作パネルを有し、この操作パネルを使用して設定される通信周波数、送信電力等を外部に出力可能な構成となっている。
【0006】
通信訓練用管制部12は、訓練指導員が想定するゲーミングエリア、季節、時刻、電波雑音等の訓練条件を設定するための設定器121、ゲーミングエリアに対応した地図データを格納するための地図情報記憶器122、 設定器121で設定される訓練条件および訓練用端末11および11’で設定される通信諸元に基づいて訓練用端末11および11’間の電波伝搬損失を制御する制御器123、ならびに制御器123から出力されるデータを表示する表示器124を具備している。
【0007】
また、模擬通信系制御部13は、制御器123が算出する電波伝搬損失に基づいて訓練用端末11および11’間の通信信号を制御する。
【0008】
訓練に際しては、まず訓練指導員が設定器121から訓練条件、例えば、日付、時刻、ゲーミングエリア等を入力する。すると、制御器123は訓練地の地図情報を地図情報記憶装置122から読み込み、表示器124に表示するとともに、一対の訓練用端末11および11’に対して訓練情報として出力する。
【0009】
訓練指導員は表示器124に表示された訓練情報に基づいて電波雑音諸元(周波数帯等)を設定器121を介して入力する。また、訓練生は訓練情報に基づいて訓練用端末11および11’を使用して通信諸元(通信周波数等)を入力するとともに、タッチパネル111および111’を使用して模擬無線機112および112’では設定できない無線機の設置条件(無線機の設置位置等)を入力する。
【0010】
設定器121から設定された訓練諸元、ならびに訓練用端末11、11’から設定された通信諸元および無線機の設置条件に基づいて、制御器123は、電波伝搬減衰量を算出するとともに、模擬通信系制御部13が訓練用端末11および11’間の伝搬条件(伝搬減衰量等)が実際の伝搬条件を模擬するように模擬通信系制御部13を制御する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電波通信環境模擬装置にあっては、
1.訓練において訓練生が操作するのは模擬無線機であって、実際の無線機ではなく、無線機の形式を変更する度に模擬無線機を製作する必要があるため、実際の無線機を使用した訓練を行うことはできない。
2.訓練用端末は一対に限られるため、3つ以上の無線機を使用する通信訓練に対応できない。
等の課題があった。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、実際の無線機を使用しての訓練および新規に開発された無線機の動作試験が可能であるとともに、3つ以上の無線機を使用しての訓練および試験への対応を可能とする電波通信環境模擬装置を提供することを目的とする。
【0013】
なお本願において通信運用シナリオとは、電波通信環境模擬装置の運用目的(訓練等)および運用状態に関する情報を意味する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る電波通信環境模擬装置は、訓練条件を設定・表示するための運用管制部と、運用管制部で設定された通信運用シナリオを表示し通信条件を入力するための通信諸元入出力装置と実際の無線機とを具備する少なくとも2つの模擬通信所と、運用管制部で設定された通信運用シナリオに基づいて電波雑音を発生する少なくとも1つの信号発生器と、信号発生器から発生された電波雑音に対する無線機の受信電力レベルに対応した減衰量および無線機間の電波伝搬損失を算出する模擬空界制御部と、模擬空界制御部で算出された電波伝搬損失を用いて無線機間の電波伝搬損失を模擬する模擬空界部と、無線機の出力をモニタするための信号分析器と、運用管制部および模擬通信所内の通信諸元入出力装置と情報の交換、信号発生器からの通信運用シナリオに対応した電波雑音の発射、模擬空界制御部における電波伝搬損失の算出、模擬空界部における無線機間の電波伝搬損失の模擬、ならびに信号分析器の動作を制御するシステム制御部と、を具備する。
【0015】
本発明にあっては、信号分析器によって実際の無線機の送信諸元が順次計測され、この計測結果に基づいて信号発生器から発射される電波雑音が訓練条件を満足するように制御され、実際の無線機を使用して空中に電波を放射することなく無線通信の訓練等が実行される。
【0016】
第2の発明に係る電波通信環境模擬装置は、信号発生器および信号分析器の動作を制御する計測制御部と、各々がクライアント用コンピュータで構成された運用管制部、模擬通信所、模擬空界制御部、模擬空界部および計測制御部と、サーバ用コンピュータで構成されたシステム制御部とを接続するローカル・エリア・ネットワークと、をさらに具備する。
【0017】
本発明にあっては、システムがいわゆるクライアント・サーバシステムとして構築される。
【0018】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明に係る電波通信環境模擬装置の構成図であって、運用管制部21、システム制御部22、計測部23、模擬空界制御部24、模擬空界部25、および模擬通信所26 (1≦n≦N)から構成される。
【0019】
運用管制部21、システム制御部22、計測部23、模擬空界制御部24、および模擬通信所26 (1≦n≦N)はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)27によって相互に接続されている。
【0020】
運用管制部21は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)で構成され、電波通信環境模擬装置の運用のシナリオ(通信運用シナリオ)、例えば通信訓練を行う場合には、日時、ゲーミングエリア等の訓練条件を設定および表示する。
【0021】
システム制御部22は、本発明に係る電波通信環境模擬装置全体を制御するサーバとして機能する。
【0022】
計測部23は、信号発生器231、例えばスペクトラム・アナライザである信号分析器232、およびこれらを制御する計測制御部233から構成される。そして、信号発生器231は運用管制部21で設定された訓練条件に基づいてシステム制御部が設定する計測制御部233の設定に基づいて自然界に存在する電波雑音を模擬する高周波信号を発生する。また、信号分析器232は、計測制御部233の制御に基づいて各模擬通信所26 の無線機61 が出力する送信電波の強度および周波数の計測を実行する。
【0023】
模擬空界制御部24は、システム制御部22からLAN27を介して伝送されてくる各無線機61n の通信諸元、ならびに訓練条件に基づいて決定される電波雑音の諸元に基づいて送信側無線機61i と受信側無線機61j 間の電波伝搬損失Lijを算出して、模擬空界部25に出力する。なお、模擬空界制御部24は電波伝搬損失の算出に必要地図データを記憶する記憶部を有する。
【0024】
模擬空界部25は、模擬通信所26 内の実際の無線機61 の出力ならびに電波雑音を模擬するために信号発生器232から出力される高周波信号から各模擬通信所26 および信号分析器232が受信する受信電波を合成する。
【0025】
模擬通信所26 は、模擬空界部25に接続される実際の無線機61 と、LAN27に接続される通信諸元入出力装置62 とを具備する。なお、通信諸元入出力装置62 はPCで構成される。
【0026】
図3は模擬空界部25の詳細構成図であって、分岐部51i (iは1≦i≦Iであって、Iは無線機61n の台数Nと信号発生器231の台数の和)、電波合成部52j (jは1≦j≦Jであって、Jは無線機61n の台数Nと信号分析器232の台数の和)、および電波伝搬損失データ記憶部53から構成される。
【0027】
分岐部51i は、無線機および信号発生器の出力PTiを各無線機61n および信号分析器232に分岐するための高周波部品であって、同軸ケーブルによって各無線機61n ならびに信号発生器232と接続される。
【0028】
電波合成部52 は、分岐部51 の出力PTiを可変減衰器521ijを介して入力し、結合器522 によって無線機61 および信号分析器232が受信する模擬受信信号PRjとして出力する。
【0029】
可変減衰器521ijの設定値は、模擬空界制御部24で算出され、データ分配部531を介してデータ記憶部532に記憶されている電波伝搬損失Lijに基づいて決定される。即ち、模擬受信信号PRjは〔数1〕に基づいて算出される。
【0030】
【数1】
JP0003588619B2_000002t.gif
【0031】
模擬空界制御部24で算出された電波伝搬損失Lijは、シリアルデータとして制御信号ラインを介して模擬空界制御部24から模擬空界部25に伝送され、データ分配部531でi×jの記憶素子を有するデータ記憶部532に分配される。また、模擬受信信号PRjは同軸ケーブルによって電波合成部52n から無線機61n および信号分析器232に伝送される。
【0032】
なお、電波合成部52 の出力は信号分析器232に供給されるが、信号分析器232は各無線機61 の出力をモニタするために使用される。
【0033】
図4は本発明に係る電波通信環境模擬装置を使用して通信訓練を行う場合の手順を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ステップ41において訓練指導員は、運用管制部21を介して訓練条件、即ち、訓練生が操作する通信所の設置位置、通信を行う年月日および時刻等の訓練条件、ならびに、電波雑音の周波数等のノイズ諸元を設定する。
【0035】
ステップ42で運用管制部21ならびに模擬通信所26 内の通信諸元入出力装置62 に訓練条件を表示する。
【0036】
ステップ43で各模擬通信所26 の訓練生は、通信諸元入出力装置62 の表示をみて、無線機61 を操作して通信諸元、即ち、使用周波数等を設定する。
【0037】
ステップ44において模擬空界制御部24において通信諸元ならびにノイズ諸元に基づいて電波伝搬損失を算出して、ステップ45で模擬空界部25に伝送して訓練が開始される。そしてステップ46では訓練中各無線機61 の出力を監視する。
【0038】
図5はステップ46で実行される無線機出力計測ルーチンのフローチャートであって、ステップ461で送信側の番号を示すインデックスmが監視すべき無線機61 を示す番号iに等しいかを判定し、肯定判定されたときはステップ462で電波伝搬損失LiJを予め定められた較正用損失L に設定してステップ464に進む。逆にステップ461で否定判定されたときはステップ463で電波伝搬損失LiJを無限大(=∞)に設定してステップ464に進む。
【0039】
ステップ464ではインデックスmが最大値Iに到達したかを判定し、否定判定されたときはステップ465でインデックスmをインクリメントしてステップ461に戻る。
【0040】
ステップ464で肯定判定されたとき、即ちインデックスmが最大値Iに到達したときはステップ466で電波合成部52 の出力を読み取ってステップ467に進む。上述したように、電波伝搬損失LmJはm=iではL に、他の場合は無限大に設定されるため、電波合成部52 の出力は無線機61 の出力そのものとなるので、信号分析器232で無線機61 の出力を計測することが可能となる。
【0041】
ステップ467ではインデックスiが最大値Iに到達したかを判定し、肯定判定されたときはステップ468でインデックスiを ”1” にリセットしてこのルーチンを終了する。逆にステップ467で否定判定されたときはインデックスiをインクリメントしてこのルーチンを終了する。
【0042】
上記実施例においては、電波合成部52 は直接無線機61 に接続されているが、電波合成部52 の出力を2つに分岐し、一方を無線機61 に、他方をモニタ用受信機に接続すれば、訓練指導員は訓練生の訓練内容をモニタすることも可能である。
【0043】
なお、上記実施例においては本発明に係る電波通信環境模擬装置を通信訓練に使用する場合について説明したが、本発明に係る電波通信環境模擬装置は不使用状態の無線機61 から通信諸元を設定した場合にはシステム制御部22で通信条件を逆算することも可能であるので、本発明に係る電波通信環境模擬装置は通信運用シナリオを適当に変更することにより通信系の設計、あるいは、通信諸元の適切な決定に関する教育にも使用することが可能である。
【0044】
上記に説明したように、本発明に係る電波通信環境模擬装置はマトリックス構造の可変減衰器を用いて無線機間の電波伝搬損失を模擬するように構成されているので、任意に通信系を高精度に模擬することが可能となる。
【0045】
さらに、本発明に係る電波通信環境模擬装置によれば、実際の無線機を動作させ、かつ、空中に電波を放射することなく、無線機の通信訓練、運用試験等を実施することができるので、実際の無線機の通信諸元(使用周波数等)を第3者に知られることを防止することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
第1の発明に係る電波通信環境模擬装置によれば、任意の通信系を高精度に模擬することが可能となるだけでなく、実際の無線機を使用して空中に電波を放射することなく訓練を行うことが可能となる。
【0047】
第2の発明に係る電波通信環境模擬装置によれば、システムをいわゆるクライアント・サーバシステムとして構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電波通信環境模擬装置の構成図である。
【図2】本発明に係る電波通信環境模擬装置の構成図である。
【図3】模擬空界部の詳細構成図である。
【図4】通信訓練を行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図5】無線機出力計測ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
21…運用管制部
22…システム制御部
23…計測部
231…信号発生器
232…信号分析器
233…計測制御部
24…模擬空界制御部
25…模擬空界部
26 …模擬通信所
61 …無線機
62 …通信諸元入出力装置
27…ローカル・エリア・ネットワーク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4