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明細書 :飛行管理方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3557443号 (P3557443)
公開番号 特開2003-130674 (P2003-130674A)
登録日 平成16年5月28日(2004.5.28)
発行日 平成16年8月25日(2004.8.25)
公開日 平成15年5月8日(2003.5.8)
発明の名称または考案の名称 飛行管理方法および装置
国際特許分類 G01C 21/00      
B64D 45/04      
B64F  1/36      
G08G  5/00      
FI G01C 21/00 Z
B64D 45/04 A
B64F 1/36
G08G 5/00 A
請求項の数または発明の数 5
全頁数 16
出願番号 特願2001-328003 (P2001-328003)
出願日 平成13年10月25日(2001.10.25)
審査請求日 平成13年10月25日(2001.10.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】戸田 憲雄
【氏名】國頭 聖
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎
【識別番号】100072235、【弁理士】、【氏名又は名称】杉山 毅至
【識別番号】100101638、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
審査官 【審査官】高橋 学
参考文献・文献 特開平06-149376(JP,A)
特開平11-268696(JP,A)
調査した分野 G01C 21/00-21/36
G08G 5/00-5/06
B64D 45/04
特許請求の範囲 【請求項1】
地図データに基づいて、低高度で飛行するため旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路であって少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化する準備工程と、
この経路データベースを参照して、予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な各低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する計画作成工程と、
前記計画飛行経路と自機位置とを比較して、計画飛行経路に対する自機位置の相対位置情報を求め、この相対位置情報に基づいて、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を求める飛行ガイダンス工程と、
前記ガイダンス情報を表示する表示工程とを有し、
前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する機能を有し、前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する機能を有し、計画作成および飛行中の計画・変更においては演算処理負荷の大きい準備工程のほとんどを省いて低高度飛行を可能とすることを特徴とする飛行管理方法。
【請求項2】
前記経路データベースは、地上支援設備によって作成してデータ記憶媒体に記憶し、このデータ記憶媒体の記憶内容に基づいて、地上あるいは機上支援設備によって計画飛行経路を作成し、機上支援設備によって前記相対位置情報を求め、
この相対位置情報に基づくガイダンス情報を、機上のヘッドアップディスプレイおよびマルチファンクションディスプレイのうち少なくともいずれか一方によって表示することを特徴とする請求項1記載の飛行管理方法。
【請求項3】
前記予め定める経路決定要因は、地形、飛行環境、探知網および出発地点から目標地点までの飛行コストのうちの1または複数の組合せから成ることを特徴とする請求項1または2記載の飛行管理方法。
【請求項4】
前記計画飛行経路は、予め定める経路決定要因の変化に応じて更新されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の飛行管理方法。
【請求項5】
地図データに基づいて、低高度で飛行するため旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路であって少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化する飛行経路作成手段と、
経路データベースを参照して、予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な各低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する飛行計画作成手段と、
前記飛行計画作成手段によって作成された計画飛行経路と自機位置とを比較して、計画飛行経路に対する自機位置の相対情報を求め、相対位置情報に基づいて、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を作成する飛行計画管理手段と、
前記ガイダンス情報を表示する表示手段とを含み、
前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する機能を有し、前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する機能を有することを特徴とする飛行管理装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば輸送用の固定翼機および回転翼機(ヘリコプタ)などの各種の航空機をテラインマスキング航法によって航行支援するためなどに好適に実施することができる飛行管理方法および装置に関する。
【0002】
本発明において、用語「地上レーダ」は地上に設置されるレーダおよび車両等に積載され地上を移動するレーダを意味し、用語「空中レーダ」は航空機等に搭載されるレーダを意味する。
【0003】
【従来の技術】
物資の輸送などの任務計画を安全かつ確実に達成するために、毎回のフライト毎に飛行計画を立てる必要があるが、近年では、たとえば「AIR FORCE Magazine」(December 1994発行、発行社:Air Force Association、発行者:Robert T.shaughness)の「Basic Change in Mission Planning」にも記載されているように、飛行計画を作成するための時間を短縮し、任務の分析をより完全なものとするために、コンピュータおよびソフトウエアを用いて飛行計画を作成し、機上のディスプレイによって飛行経路およびその周辺のレーダ網情報を表示することができる飛行計画作戦支援システムが注目されている。
【0004】
典型的な従来の技術は、特許第2812639号公報に開示されている。この従来の技術では、有視界飛行をする航空機の飛行経路を作成するにあたって、入力装置によって航空機の出発地点と目標地点とを入力し、情報処理装置によって飛行環境データベースで保有している現在の飛行環境データを基にして、その環境に適した地上目標物を、目標物データベースに保有している目標物データの特性情報と比較して検出し、こうして検出した目標物データに基づいて、出発地点から目標地点までの間で隣接する目標物間をそれぞれ結んで、探索経路モデルを複数作成し、各経路モデルについて、レーダ網データベースに保有される避けるべき地上および空中のレーダ網に関するデータによって、各経路モデルを飛行するときのレーダ網に対する暴露値を、前記情報処理装置によって算出して割付けし、この暴露値が割付けられた各経路モデルを、探索アルゴリズムによって前記暴露値の総和が最も小さくなる最適な飛行経路を算出し、この最適な飛行経路を地図データ上に自機位置とともに表示し、飛行経路と自機位置とのずれ、レーダ網および飛行環境の変化に応じて飛行経路を修正し、常に最適な飛行経路を得ることができる経路探索システムおよび経路探索方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術では、最適な飛行経路を探索するにあたって、各目標物間を結んだ複数の経路モデルを作成して、目標地点と出発地点とを結ぶ一直線に対して所定の角度範囲内に存在する経路モデルを探索対象とし、燃料条件および高度条件を考慮して、評価関数を用いた所定のアルゴリズムに従って暴露値の総和が最も小さくなる経路を最適な飛行経路として出力して表示装置に表示し、この飛行経路と自機位置との間にずれが生じたとき、ならびに経路決定要因が変化すると、現在位置を出発地点として、初期の最適飛行経路の探索と同様な手順で再び、すなわち探索経路モデルの作成からやり直し、修正後の飛行経路を求めるように構成されるので、前記燃料条件および高度などを含む飛行環境、地形、レーダ網および飛行コストなどの経路決定要因が変化するたびに、また自機位置がずれるたびに、最適飛行経路を求めるための演算を繰返し行わなければならず、特に頻繁に経路決定要因が変化したときなど、最適飛行経路を求めるための演算量が膨大となってしまい、経路変更に対する応答性が悪いという問題がある。
【0006】
またこの従来の技術では、上述のように一定の条件下で決定された最適な飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報が得られるように構成されておらず飛行経路から自機位置がずれやすく、飛行経路の変更が不必要な場合にまで、飛行経路が変更されてしまうおそれがあり、情報処理上の無駄が多いという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、経路決定要因の変化に対して高い応答性で最適な計画飛行経路が得られるとともに、無駄な計算を可及的に少なくして、情報処理コストを低減することができるようにした飛行管理方法および装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、地図データに基づいて、低高度で飛行するため旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路であって少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化する準備工程と、
この経路データベースを参照して、予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な各低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する計画作成工程と、
前記計画飛行経路と自機位置とを比較して、計画飛行経路に対する自機位置の相対位置情報を求め、この相対位置情報に基づいて、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を求める飛行ガイダンス工程と、
前記ガイダンス情報を表示する表示工程とを有し、
前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する機能を有し、前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する機能を有し、計画作成および飛行中の計画・変更においては演算処理負荷の大きい準備工程のほとんどを省いて低高度飛行を可能とすることを特徴とする飛行管理方法である。
【0009】
本発明に従えば、経路データベースを参照して予め定める経路決定要因に対する最適な複数の低高度飛行経路であって旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路を選択する。この予め定める経路決定要因とは、たとえば出発地点から目標地点までの距離、地形、天候などの飛行環境、地上および空中のレーダ網などの探知網を含む飛行計画に必要な各種の情報をいう。このような経路決定要因に対して前記経路データベースの中から最適な複数の低高度飛行経路であって、少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な複数の低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する。この計画飛行経路は、前記経路決定要因が入力された時点における最適な計画飛行経路である。経路決定要因は、地上支援設備に備えられる入力装置によって入力されてもよく、さらに航行中の航空機に搭載されている機上支援設備の入力装置によって随時入力されてもよい。前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する。前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する。
【0010】
計画飛行経路は、航行中に経路決定要因が変化したとき、低高度飛行経路から作成し直して変更されるものではなく、すなわち前記従来の技術のように、経路決定要因の変化、すなわち探知網および飛行環境が変化するたびに、または算出した計画飛行経路と自機位置とのずれが生じるたびに、低高度飛行経路を作成し直すのではなく、経路決定要因に対して経路データベースを参照して低高度飛行経路を選択し直し、この選択し直された最適な複数の低高度飛行経路を接続して作成される。さらに低高度飛行経路の選択は、経路決定要因の変化に影響される低高度飛行経路についてだけ選択し直せばよく、最小限の変更によって新たな最適な計画飛行経路が求められ、これによって最適な計画飛行経路の更新に伴う演算処理量の極端な増加をなくし、経路決定要因の変更に対して常に高い応答性で最適な計画飛行経路を決定することができる。
【0011】
また計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報が表示され、計画飛行経路に対して自機位置がずれを生じにくく、仮にずれを生じても、元の計画飛行経路に容易に復帰させることができるので、この自機位置のずれに起因した頻繁な計画飛行経路の更新を避け、これによって無駄な情報処理を少なくして、むやみに高い計算能力を必要とすることなく、機上支援装置を用いて容易に実施可能な飛行管理方法を実現することができる。
【0012】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の構成に加えて、前記経路データベースは、地上支援設備によって作成してデータ記憶媒体に記憶し、このデータ記憶媒体の記憶内容に基づいて、地上あるいは機上支援設備によって計画飛行経路を作成し、機上支援設備によって前記相対位置情報を求め、
この相対位置情報に基づくガイダンス情報を、機上のヘッドアップディスプレイおよびマルチファンクションディスプレイのうち少なくともいずれか一方によって表示することを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、地上支援設備によって前記経路データベースを作成し、たとえばミニディスク(略称MD)、フロッピー(R)ディスク(略称FD)およびコンパクトディスクリードオンリメモリ(略称CD-ROM)などの各種のデータ記憶媒体に記憶させ、この記憶内容に基づいて地上あるいは機上支援設備によって計画飛行経路を作成し、機上支援設備によって計画飛行経路と自機位置との相対位置情報を求め、この相対位置情報を機上のヘッドアップディスプレイ(略称HUD)またはマルチファンクションディスプレイ(略称MFD)のいずれか一方または双方によって表示するので、機上支援設備の計画飛行経路を作成するための演算処理上の負荷を低減し、航行中におけるパイロットのデータ入力作業を少なくして、航行中におけるパイロットの作業負担を軽減することができる。
【0014】
前記ヘッドアップディスプレイは、航空機の窓の手前に取付けられたハーフミラーに類似のコンバイナと呼ばれる表示パネルに自機の機体を示す情報を投影して表示し、前記窓を介する外界情報と同時に視認できるようにした表示装置である。このようなヘッドアップディスプレイによって前記相対位置情報を表示するので、パイロットが操縦中に前方視界(ヘッドアップ)と航空計器(ヘッドダウン)を交互に見る必要がなく、テラインマスキング航法と呼ばれる低高度飛行を行う場合に、操縦操作の遅れを防止するために可能な限りヘッドアップした状態で操縦することができ、好適である。このようにヘッドダウンの回数を可及的に少なくして、パイロットが相対位置情報をヘッドアップした状態で前方視界上に計画飛行経路と自機位置とを重ねて同時に認識することができ、したがってパイロットがガイダンス情報、たとえば計画飛行経路を回廊のように表示するコリドー表示または仮想リーダ機を表示する追尾表示などの各種のガイダンス表示に従って操縦すればよい。このようにパイロットへの計画飛行経路決定のための負荷を格段に少なくしたうえで、さらに計画飛行経路に沿って飛行するための負荷をも格段に少なくすることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2記載の構成において、前記予め定める経路決定要因は、地形、飛行環境、探知網および出発地点から目標地点までの飛行コストのうちの1または複数の組合せから成ることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、前記経路データベースから最適な複数の経路を選択するための要件となる経路決定要因は、上記のとおり、地形、飛行環境、探知網および出発地点から目標地点までの飛行距離のうちの1つまたは複数の組合せを採用することができるので、任務の種類および航空機の種類などに応じて経路決定要因を適宜選択することができ、これによって不要な情報処理を少なくして、地上支援装置および機上支援装置の一方または双方への計算の負担を軽減することができる。
【0017】
請求項4記載の本発明は、請求項1~3のいずれかに記載の構成において、前記計画飛行経路は、予め定める経路決定要因の変化に応じて更新されることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、前記予め定める経路決定要因が、地上からの通信システムによる情報の入力または機上の入力装置による情報の入力によって変化したとき、その変化に応じて計画飛行経路が更新されるので、航行中の航空機内においては常に自機位置に対応した経路決定要因に基づくガイダンス情報が表示され、常に現在飛行している場所および時間において最適な計画飛行経路に沿って、またはその最適な計画飛行経路を認識して前記ガイダンス情報に基づいて操縦し、航行することができる。
【0019】
請求項5記載の本発明は、地図データに基づいて、低高度で飛行するため旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路であって少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化する飛行経路作成手段と、
経路データベースを参照して、予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な各低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する飛行計画作成手段と、
前記飛行計画作成手段によって作成された計画飛行経路と自機位置とを比較して、計画飛行経路に対する自機位置の相対情報を求め、相対位置情報に基づいて、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を作成する飛行計画管理手段と、
前記ガイダンス情報を表示する表示手段とを含み、
前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する機能を有し、前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する機能を有することを特徴とする飛行管理装置である。
【0020】
本発明に従えば、飛行経路作成手段は、地図データに基づいて、低高度で飛行するため旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路であって、少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化し、この経路データベースを参照して予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択する。前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する。前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する。この最適な各低高度飛行経路を相互に接続することによって、計画飛行経路が作成される。このようにして作成された計画飛行経路は、飛行計画管理手段によって自機位置と比較され、計画飛行経路に対する自機位置の相対位置情報を求めて計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報が作成される。このガイダンス情報は、表示手段によって表示され、この表示手段によって表示されたガイダンス情報をパイロットが視認して認識し、前記最適な計画飛行経路に沿って、あるいは速やかに計画飛行経路に復帰するように操縦操作を案内することができる。前記飛行経路作成手段において、計画飛行経路を作成するにあたって、予め定める経路決定要因に対して経路データベースの各低高度飛行経路毎に最適か否かが判断され、この判断において最適と判断された複数の経路を接続して構成されるので、計算途中において計画飛行経路を何度も変更する必要がなく、これによって計画飛行経路を求めるための演算処理量が少なくて済み、経路決定要因の変化に対する応答性を向上することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の飛行管理方法を実現するための飛行管理装置1の概略的構成を示すブロック図である。この飛行管理装置1は、地上支援設備2と、機体に搭載される機上支援設備3とを有し、テラインマスキング航法支援システムを意味し、実飛行可能なテラインマスキング飛行経路(以下、低高度飛行経路と記す)による飛行計画の作成およびその飛行計画に沿って任務を遂行するための情報提供ならびにガイダンスを行うための飛行管理方法を実現するためのシステムである。
【0022】
この飛行管理装置1は、地図データに基づいて、低高度で飛行するための複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化する飛行経路作成手段4と、経路データベースを参照して、予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な各低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する飛行計画作成手段5a,5b(以下、総称する場合には添え字a,bは省略する)と、前記飛行計画作成手段5によって作成された計画飛行経路と自機位置とを比較して、計画飛行経路に対する自機位置の相対位置情報を求め、相対位置情報に基づいて、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を作成する飛行計画管理手段6と、前記ガイダンス情報を表示する表示手段7とを含む。
【0023】
図2は、飛行管理装置1による飛行管理方法を示すフローチャートである。同図を参照して、まず飛行管理方法の概要について説明する。前記飛行管理装置1の前記飛行経路作成手段4は、障害物が追加されたときなどに、必要に応じて、地上で予め行われる作業のための手段であり、ステップa1で、地図データおよび航空機の運動能力に基づいて、低高度で飛行するための複数の低高度飛行経路を求め、ステップa2で各低高度飛行経路をデータベース化する。こうして経路データベース化された各低高度飛行経路は、テラインマスキング航法によって航行するための可能な限り稜線よりも低い航行経路である。
【0024】
飛行毎に行われる飛行計画のための飛行計画作成手段5は、ステップa3で前記経路データベースを参照して、予め定める経路決定要因、たとえば出発地点、目的地点およびレーダ網情報などを入力し、このような位置決定要因に対して最適な複数の経路を選択し、ステップa4で前記最適な各経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する。レーダ網は、自機を探知するための不所望な探知網で、かつ自機が探知を避けるべき探知網であって、地上に設置された地上レーダ網および航空機に搭載された空中レーダ網を含む。
【0025】
ステップa5では、飛行計画管理手段6において、前記計画飛行経路と自機位置とを比較して、計画飛行経路に対する自機位置の相対位置情報を求め、ステップa6で、この相対位置情報に基づいて、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を求める。こうして求めたガイダンス情報は、ステップa6で表示手段7によって表示される。このような飛行管理方法の手順について以下に詳しく説明する。
【0026】
図3は、飛行経路作成手段4の低高度飛行経路を作成する手順を説明するための系統図である。前述の図2のステップa1において、低高度飛行経路を作成するにあたって、前記飛行経路作成手段4は、実際に飛行可能な低高度飛行経路を個別に生成する低高度飛行経路生成機能と、生成された多数の低高度飛行経路の情報を統合してデータベース化する経路データベース生成機能との2つの機能を有する。前記低高度飛行経路作成機能は、図4に示すように、経路データベースの基準点となる複数のウエイポイントW1,W2,…(総称する場合にはウエイポイントWと記す)を多数設定し、低高度飛行経路としての各ウエイポイントW間の経路mおよび接続経路の個別データを生成し、設定したウエイポイントWおよび生成した経路データはデータファイルとして蓄積する。また経路データベース生成機能は、蓄積されたデータファイルを検索して経路データの有無などによってウエイポイントW間の接続情報を生成してデータベース化する。この接続情報は、後述する飛行計画作成手段5によって目的地点までのルートを検索する際に使用される。
【0027】
前記飛行経路作成機能は、主要機能として、ウエイポイント設定機能、ポイント間経路生成機能、接続経路生成機能およびリハーサル機能を有する。前記ウエイポイント設定機能は、地図に対応させて、すなわち地図上に入力した複数のウエイポイントWを、ジャンクションとして、いわば道路網状に作成される各ウエイポイント間経路mの基準として、散在させて設定することができる機能である。
【0028】
このウエイポイントWの設定操作を容易とするため、地図を表示した画面上で位置を指定してウエイポイントWの追加、変更および削除を可能とする。各ウエイポイントWの操作は、ウエイポイントデータを表示し、入力モードなどを制御するサブウインドによって行う。入力方法としては、キーボードによる名称および位置の文字入力およびマウスによる位置入力などを可能とする。
【0029】
ポイント間経路生成機能は、設定された複数のウエイポイントのうちの2つのウエイポイントWを接続する飛行経路、すなわちウエイポイント間経路mを生成するための機能であり、この機能はさらに分類すると、経路生成の条件パラメータの設定、経路生成の基準となる連続的な稜線および谷間の検出、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する機能を有する。このポイント間経路生成機能は、鉛直面内の経路と水平面内の経路とを合成して、ウエイポイント間経路mを生成する。ウエイポイント間経路mを生成すべき2つのウエイポイントWは、作業者が指定してもよいし、ウエイポイント間距離などの所定の条件に基づいて演算決定してもよい。
【0030】
前記接続経路生成機能は、上述のように生成された2本のウエイポイント間経路mを接続するための接続経路のデータを生成する機能である。この接続経路データは、後述の飛行計画作成手段5によって連続的にウエイポイントW間の経路が選択されると、該当する接続経路データが読出されて飛行経路を連続的に接続する。接続経路は、ウエイポイントW間の経路と同様に、水平および垂直方向の経路を有し、対地クリアランスおよび機体性能による拘束条件によって制限される旋回軌道および直線等によって決定される。
【0031】
前記リハーサル機能は、生成した各ウエイポイント間経路および各接続経路を自動的に模擬飛行させて、機動および対地クリアランスを確認するために用いられ、このリハーサル機能には画面制御機能と3次元表示機能とを有する。画面制御機能は、表示する画面を制御する機能であって、早送、巻戻および静止などの時間を制御する機能と、カメラ位置の変更による視点を制御する機能とを有する。また3次元表示機能は、地形、経路および自機を画面設定に従って3次元表示する機能であり、対地クリアランスを確認するためのクリアランススケールが同時に表示される。
【0032】
以上の主要機能を有する飛行経路生成機能には、補助機能として、地形表示機能、制御ウィンドゥ制御機能、マウス入力機能、キーボード入力機能、およびファイル管理機能を備える。前記地形表示機能は、表示位置を制御することができるとともに、選択した地形を拡大および縮小表示することができる。また前記ファイル管理機能は、図5に示されるように、各ウエイポイントW毎の経度および緯度をファイル化するとともに、各ウエイポイントW毎にウエイポイント間経路mによって接続される全てのウエイポイントWをファイル化して保持する。
【0033】
図6は、飛行経路作成手段4の経路データベースを生成する手順を説明するための系統図である。飛行経路作成手段4は、ウエイポイント間経路を生成し、それをデータファイル化する。各ウエイポイント間経路の有無を調べるためには、個別のファイルをアクセスする必要があると、ファイルアクセスを行う場合に、飛行計画作成手段5がレーダ網情報などに基づいて連続的にウエイポイントWを選択する際に、非常に計算負荷がかかることになる。また経路データベース作成作業上、接続経路を生成した後、ウエイポイント間経路mを変更したときなどにデータの不整合が起こり得る。そのため各ウエイポイント間経路同士の不整合を個別にチェックした上で、各経路接続情報をデジタルベース化し、飛行計画作成の効率化およびエラー防止のために、前記飛行経路作成手段4の飛行経路生成機能によって生成された各ウエイポイント間経路mをデータベース化しておくために経路データベース生成機能が設けられる。
【0034】
経路データベースを生成するためにはまず、経路チェック機能によって、各ウエイポイントWに関連するすべてのウエイポイント間経路mのデータファイルを検索し、ウエイポイント間経路mとウエイポイントWとの整合性をチェックする。次に接続チェック機能によって、各ウエイポイント間経路mに関連するすべての接続経路のデータファイルを検索して、ウエイポイントW間毎の接続経路、他の接合位置を計算して整合性をチェックする。その後、接続データ生成機能によって接続可能なウエイポイントWの組合せに加えて、左右いずれの稜線に沿う経路の使用が可能か否かという情報、および経路長などのデータを準備して、検索の効率化を図る。
【0035】
前記経路チェック機能においては、ウエイポイント間経路mが、ウエイポイントWの識別番号などを記号化したファイル名を有し、経路生成時に経路両端の緯度および経度が保存されている。各ウエイポイントWの識別番号によって表示された経路データファイル内の緯度および経度が、各ウエイポイントWの緯度および経度と一致していれば整合性があるものと判断する。一致しない場合は、エラー出力機能によってエラーメッセージをディスプレイに出力するとともに、エラーファイルにエラーとなった経路のすべての情報を記録する。このエラーファイルを参考にして、経路データを修正する。
【0036】
また接続チェック機能においては、接続経路が、ウエイポイントWの識別番号などを記号化したファイル名を有し、生成時に使用した2つのウエイポイントW間経路名が保存される。また経路接続のために、経路の接点の情報も含まれている。この接点の位置が各ウエイポイント間経路上にある場合は、整合性があると判断する。また整合性がない場合には、エラー出力機能によってエラーメッセージをディスプレイに出力するとともに、エラーファイルにエラーとなった接続経路のすべての情報を記録する。このエラーファイルを参考にして、接続経路データを修正する。
【0037】
接続情報データ生成機能は、各ウエイポイントW毎にウエイポイントWに接続されているウエイポイントの数、およびウエイポイントWに接続されている各ウエイポイントの識別番号および一方のウエイポイントWiと他方のウエイポイントWjとの間の経路の左右ルートの有無および経路長などの情報を検索して記号データ化する。
【0038】
図7は、飛行計画作成手段5の飛行計画を作成する手順を説明するための系統図である。飛行計画作成手段5は、前述の飛行経路作成手段4によって作成された経路データベースに基づき、入力されたレーダ網に対して地形による隠し効果の高い複数のウエイポイント間経路を選択して接続することによって、飛行計画、したがって計画飛行経路を作成する。この飛行計画作成手段5には、地上の飛行計画立案段階での使用を想定した地上支援設備2用のものと、機上搭載を想定した機上支援設備3用のものとの2つの飛行計画作成手段5a,5bがある。各飛行計画作成手段5a,5bの基本的な機能は同様であるが、地上用の飛行計画作成手段5aは、画像処理計算機によってマルチファンクションディスプレイ(略称MFD)の表示およびコントロールディスプレイユニット(略称CDU)の表示・操作の模擬を実行することができるように構成される。
【0039】
また地上用の飛行計画作成手段5aは、作成した飛行計画を模擬飛行によって確認可能なリハーサル機能、および機上搭載用機能への飛行計画の導入のためのファイル化機能を有する。各飛行計画作成手段5a,5bが具備する機能としては、飛行計画作成制御機能、低高度飛行区間設定機能、レーダ網情報入力機能、経由点入力機能、飛行計画検索機能、飛行経路確認機能、ならびにその他の機能を実行することができるように構成され、前記その他の機能としてはMFD表示機能、計画ファイル入出力機能が組込まれている。
【0040】
飛行計画作成制御機能は、低高度飛行区間の入力、レーダ網情報の入力、経由点の入力、飛行計画ファイルの読込み、および飛行計画検索機能の実行などを制御する主制御機能であり、前述の低高度飛行区間設定機能、レーダ網情報入力機能、経由点入力機能、飛行計画検索機能、飛行経路確認機能およびその他の機能は、CDUのレベルスイッチおよびキーボードなどを用いて外部から主要の情報を入力し、各種の飛行関連情報を出力するための制御ルーチンを実行するように構成されている。
【0041】
低高度飛行区間設定機能は、離着陸を含む全体の飛行計画の一部であり、戦術飛行固有の特殊な飛行区間として位置づけられる低高度飛行計画が実行される飛行区間を設定することができるように構成される。この低高度飛行計画では、テラインマスキング飛行を実行する区間を定義する必要があるため、低高度飛行区間の始点と終点とを入力することによって、低高度飛行区間を設定することができるように構成される。始点および終点は、緯度および経度で与えられる任意の位置に設定可能であり、データベースに存在する各ウエイポイントWも始点および終点として選択可能であり、さらに低高度飛行中の計画変更による現在位置も、始点として設定可能である。入力方法としては、CDUのキーボードによる緯度および経度などの数値入力および地形表示MFD上のカーソルを使用して各種の情報を入力することができる。
【0042】
レーダ網情報入力機能は、地上レーダ網および空中レーダ網などのレーダ網のタイプおよび位置などを入力するための機能である。入力されたレーダ網情報は、低高度飛行計画を作成する際、評価パラメータとなるレーダ網に対する隠し効果を計算し、隠し効果の高いルートを検索するために用いられる。レーダ網の位置などの入力方法としては、CDUによるそのレーダ網を作り出すレーダ装置の所在地の緯度および経度ならびに探知可能距離の数値入力および地形表示MFD上のカーソルを使用してあるいはデータ通信等によって入力することができる。
【0043】
経由点入力機能は、計画飛行経路が設定した経由点を通るように飛行ルートを設定するためのものであり、経由点は飛行ルートを検索する際の拘束点となるウエイポイントWの中から指定される。この経由点の入力方法としては、地形表示MFD上のカーソルを用いてウエイポイントWを指定することによって設定可能である。
【0044】
飛行計画検索機能は、低高度飛行区間などの入力後、飛行計画検索機能を実行することによって、レーダ網情報などに基づき、経路データベースから経由する連続的なウエイポイントWを選択して、対応するウエイポイント間経路mを接続することによって計画飛行経路を作成する。この検索時に各ウエイポイント間経路が、飛行可能な3次元経路として計算され、レーダ網を作り出すレーダ装置の位置から隠し効果を計算して評価し、選択することができる。検索結果として出力される計画飛行経路として複数の候補がある場合には、経路長、所要時間および暴露値としてのレーダ網に暴露される確率などのデータを各航法経路毎に表示して選択可能とされる。検索結果から候補経路を選択すると、飛行経路確認機能に切換わり、経路の詳細データがMFDおよびCDUなどの各表示画面によって表示され、確認できるように設定されている。
【0045】
飛行経路確認機能は、選択されたウエイポイント間経路を接続して作成された計画飛行経路について、経由する各ウエイポイントWまでの距離および所要時間などがCDUの表示画面に表示されるように設定されており、これによって飛行中にパイロットは、前もって、将来通過する予定とされる各ウエイポイントまでの距離および所要時間などの情報を認識することができる。
【0046】
さらに地形表示機能によって、MFDに地形および作成した飛行計画が表示され、計画ファイル入出力機能によってファイル化された飛行計画の入力および出力を行うことができ、リハーサル機能によって、飛行計画をMFDに表示して模擬することができる。本実施の形態では、前記計画ファイル入出力機能およびリハーサル機能は、地上支援設備にだけに具備されるが、実施の他の形態として、地上および機上の各支援設備の両方に具備されてもよく、実施のさらに他の形態として、機上支援設備3だけに具備されてもよい。
【0047】
図8は、飛行計画管理手段6による飛行計画管理機能の具体的構成を示す系統図である。飛行計画管理手段6は、飛行中に飛行計画作成手段5によって作成されかつ適用された飛行計画に関する情報を提供するために設けられ、この飛行計画管理手段6によって実現される飛行計画管理機能は、計画飛行経路と自機位置とを比較することによって、計画飛行経路に対する現在位置を特定し、位置偏差および時間偏差などの計算および残りの計画飛行経路に関する各種の情報などの提供を行う。この提供される情報は、自機位置を基準としたMFDの地形表示に計画経路および経由するウエイポイントWなどの必要な情報を重畳表示し、CDUに残りの経路長および到達予想時刻などを表示し、計画飛行経路に対する現在位置および位置偏差などのガイダンス表示の生成に必要な情報などによって構成される。このような飛行計画管理手段6による飛行計画管理機能は、自機位置および進路を基準として、飛行計画ファイルに含まれる3次元経路データを検索し、計画飛行経路に対する現在位置を特定する。この特定された計画飛行経路上の位置、進路および通過予定時刻などの情報と現在の飛行状態に関する情報とを比較することによって、位置偏差、進路偏差および時間偏差などの相対位置情報を計算して求める。
【0048】
地形表示機能は、自機位置を基準として表示部分が自動的に更新されるMFDの地形表示、計画経路および経由するウエイポイントWなどの情報を重畳表示する。地形表示は、低高度飛行時の対地衝突に対する危険予知を支援するため、自機よりも高い部分を色分けして表示する。このような地形表示は、飛行中に拡大し、または縮小することが可能である。
【0049】
情報表示機能は、現在位置から経由するウエイポイントWおよび目的地点までの距離および到達予想時刻などの情報をCDUに表示する。
【0050】
誘導表示機能は、上記のHUD、MFDおよびCDUを含む表示手段7を選択的に用い、飛行計画管理手段6によって管理されている計画飛行経路および位置偏差などに関する情報に基づき、計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報を生成する。位置偏差などを表示するには、数値表示、スケール表示などによって実現される。また、経路予測のためのガイダンス表示は、計画飛行経路を回廊のように表示するコリドー表示、計画飛行経路に関する情報を道路のセンターラインのように表示するガイドライン表示、仮想リーダ機を表示する追尾表示等によって実現される。
【0051】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、経路データベースを参照して予め定める経路決定要因に対する最適な複数の低高度飛行経路であって、少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を選択する。この予め定める経路決定要因とは、たとえば出発地点から目標地点までの距離、地形、天候などの飛行環境、地上および空中のレーダ網などの探知網を含む飛行計画に必要な各種の情報をいう。このような経路決定要因に対して前記経路データベースの中から最適な複数の低高度飛行経路を選択し、この最適な複数の低高度飛行経路を相互に接続して計画飛行経路を作成する。この計画飛行経路は、前記経路決定要因が入力された時点における最適な計画飛行経路である。経路決定要因は、地上支援設備に備えられる入力装置によって入力されてもよく、さらに航行中の航空機に搭載されている機上支援設備の入力装置によって随時入力されてもよい。前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する。前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する。計画作成および飛行中の計画・変更においては演算処理負荷の大きい準備工程のほとんどを省いて低高度飛行を可能とする。
【0052】
計画飛行経路は、航行中に経路決定要因が変化したとき、低高度飛行経路から作成し直して変更されるものではなく、すなわち前記従来の技術のように、経路決定要因の変化、すなわち探知網および飛行環境が変化するたびに、または算出した計画飛行経路と自機位置とのずれが生じるたびに、低高度飛行経路を作成し直すのではなく、経路決定要因に対して経路データベースを参照して低高度飛行経路を選択し直し、この選択し直された最適な複数の低高度飛行経路を接続して作成される。さらに低高度飛行経路の選択は、経路決定要因の変化に影響される低高度飛行経路についてだけ選択し直せばよく、最小限の変更によって新たな最適な計画飛行経路が求められ、これによって最適な計画飛行経路の更新に伴う演算処理量の極端な増加をなくし、経路決定要因の変更に対して常に高い応答性で最適な計画飛行経路を決定することができる。
【0053】
また計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報が表示され、計画飛行経路に対して自機位置がずれを生じにくく、仮にずれを生じても、元の計画飛行経路に容易に復帰させることができるので、この自機位置のずれに起因した頻繁な計画飛行経路の更新を避け、これによって無駄な情報処理を少なくして、むやみに高い計算能力を必要とすることなく、機上支援装置を用いて容易に実施可能な飛行管理方法を実現することができる。
【0054】
請求項2記載の本発明によれば、地上支援設備によって前記経路データベースを作成し、たとえばミニディスク(略称MD)、フロッピー(R)ディスク(略称FD)およびコンパクトディスクリードオンリメモリ(略称CD-ROM)などの各種のデータ記憶媒体に記憶させ、この記憶内容に基づいて地上あるいは機上支援設備によって計画飛行経路を作成し、機上支援設備によって計画飛行経路と自機位置との相対位置情報を求め、この相対位置情報を機上のヘッドアップディスプレイ(略称HUD)またはマルチファンクションディスプレイ(略称MFD)のいずれか一方または双方によって表示するので、機上支援設備の計画飛行経路を作成するための演算処理上の負荷を低減し、航行中におけるパイロットのデータ入力作業を少なくして、航行中におけるパイロットの作業負担を軽減することができる。
【0055】
前記ヘッドアップディスプレイは、航空機の窓の手前に取付けられたハーフミラーに類似のコンバイナと呼ばれる表示パネルに自機の機体を示す情報を投影して表示し、前記窓を介する外界情報と同時に視認できるようにした表示装置である。このようなヘッドアップディスプレイによって前記相対位置情報を表示するので、パイロットが操縦中に前方視界(ヘッドアップ)と航空計器(ヘッドダウン)を交互に見る必要がなく、テラインマスキング航法と呼ばれる低高度飛行を行う場合に、操縦操作の遅れを防止するために可能な限りヘッドアップした状態で操縦することができ、好適である。このようにヘッドダウンの回数を可及的に少なくして、パイロットが相対位置情報をヘッドアップした状態で前方視界上に計画飛行経路と自機位置とを重ねて同時に認識することができ、したがってパイロットがガイダンス情報、たとえば計画飛行経路を回廊のように表示するコリドー表示または仮想リーダ機を表示する追尾表示などの各種のガイダンス表示に従って操縦すればよい。このようにパイロットへの計画飛行経路決定のための負荷を格段に少なくしたうえで、さらに計画飛行経路に沿って飛行するための負荷をも格段に少なくすることができる。
【0056】
請求項3記載の本発明によれば、前記経路データベースから最適な複数の経路を選択するための要件となる経路決定要因は、上記のとおり、地形、飛行環境、探知網および出発地点から目標地点までの飛行距離のうちの1つまたは複数の組合せを採用することができるので、任務の種類および航空機の種類などに応じて経路決定要因を適宜選択することができ、これによって不要な情報処理を少なくして、地上支援装置および機上支援装置の一方または双方への計算の負担を軽減することができる。
【0057】
請求項4記載の本発明によれば、前記予め定める経路決定要因が、地上からの通信システムによる情報の入力または機上の入力装置による情報の入力によって変化したとき、その変化に応じて計画飛行経路が更新されるので、航行中の航空機内においては常に自機位置に対応した経路決定要因に基づくガイダンス情報が表示され、常に現在飛行している場所および時間において最適な計画飛行経路に沿って、またはその最適な計画飛行経路を認識して前記ガイダンス情報に基づいて操縦し、航行することができる。
【0058】
請求項5記載の本発明によれば、飛行経路作成手段は、地図データに基づいて、低高度で飛行するため旋回、上昇及び下降の空間的位置と軌道を定義した複数の低高度飛行経路であって、少なくともポイント間経路生成機能および接続経路生成機能によって生成される複数の低高度飛行経路を求めて経路データベース化する。前記ポイント間経路生成機能は、稜線と谷間の間の高度帯域を通る鉛直面内の経路を生成する機能、および前記高度帯で左右方向の飛行可能領域を計算して、対地クリアランスおよび運動能力を考慮して水平面内の経路を生成する。前記接続経路生成機能は、ポイント間経路生成機能によって生成される経路を接続するための接続経路のデータを生成する。この経路データベースを参照して予め定める経路決定要因に対して最適な複数の低高度飛行経路を選択する。この最適な各低高度飛行経路を相互に接続することによって、計画飛行経路が作成される。このようにして作成された計画飛行経路は、飛行計画管理手段によって自機位置と比較され、計画飛行経路に対する自機位置の相対位置情報を求めて計画飛行経路に沿って飛行するためのガイダンス情報が作成される。このガイダンス情報は、表示手段によって表示され、この表示手段によって表示されたガイダンス情報をパイロットが視認して認識し、前記最適な計画飛行経路に沿って、あるいは速やかに計画飛行経路に復帰するように操縦操作を案内することができる。前記飛行経路作成手段において、計画飛行経路を作成するにあたって、予め定める経路決定要因に対して経路データベースの各低高度飛行経路毎に最適か否かが判断され、この判断において最適と判断された複数の経路を接続して構成されるので、計算途中において計画飛行経路を何度も変更する必要がなく、これによって計画飛行経路を求めるための演算処理量が少なくて済み、経路決定要因の変化に対する応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の飛行管理方法を実現するための飛行管理装置1の概略的構成を示すブロック図である。
【図2】飛行管理装置1による飛行管理方法を示すフローチャートである。
【図3】飛行経路作成手段4の飛行経路を作成する手順を説明するための系統図である。
【図4】飛行経路作成手段4によって設定される複数のウエイポイントW間を経路mによって結んだ状態を示す図である。
【図5】ウエイポイントファイルおよび接続情報ファイルを示す図である。
【図6】飛行経路作成手段4の経路データベース生成機能の具体的構成を示す系統図である。
【図7】飛行計画作成手段5による飛行計画作成機能の具体的構成を示す系統図である。
【図8】飛行計画管理手段6による飛行計画管理機能の具体的構成を示す系統図である。
【符号の説明】
1 飛行管理装置
2 地上支援設備
3 機上支援設備
4 飛行経路作成手段
5 飛行計画作成手段
6 飛行計画管理手段
7 表示手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7