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明細書 :水中吸音材音速測定器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3533445号 (P3533445)
公開番号 特開2003-240635 (P2003-240635A)
登録日 平成16年3月19日(2004.3.19)
発行日 平成16年5月31日(2004.5.31)
公開日 平成15年8月27日(2003.8.27)
発明の名称または考案の名称 水中吸音材音速測定器
国際特許分類 G01H  5/00      
FI G01H 5/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2002-040177 (P2002-040177)
出願日 平成14年2月18日(2002.2.18)
審査請求日 平成14年2月18日(2002.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】三上 宏幸
【氏名】嶋村 英樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】本郷 徹
参考文献・文献 特開 平4-291124(JP,A)
特開 平7-318413(JP,A)
特開 平5-336597(JP,A)
特開 平1-138427(JP,A)
特表 平5-505674(JP,A)
調査した分野 G01H 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
試料とする水中吸音材の両面に設けられた入力側及び出力側の圧電シートと、前記入力側の圧電シートに落下して衝撃波形を与える衝撃波形付与手段と、前記圧電シートが出力する信号を記憶する波形記憶器と、比率kが設定される第1の比率設定器と、入力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Aに対して入力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Aの値となる時刻Taを算出する第1の定比振幅時刻算出器と、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Bとなる時刻Tbを算出する第2の定比振幅時刻算出器と、比率cが設定される第2の比率設定器と、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の圧電シートが出力する信号がc*Bとなる時刻Toを算出する第3の定比振幅時刻算出器と、前記時刻Taと前記時刻Tbとの時間差Tmを算出する第1の時間差算出器と、前記時刻Toと前記時刻Tbとの時間差Trを算出する第2の時間差算出器と、比率pが設定される第3の比率設定器と、式V=L/(Tm-p*Tr)を算出する音速算出器とを備えた水中吸音材音速測定器。

【請求項2】
試料とする水中吸音材の両面に設けられた入力側及び出力側の圧電シートのうち少なくとも入力側の圧電シートの表面に衝撃波を伝搬する板材を設けたことを特徴とする請求項1記載の水中吸音材音速測定器。

【請求項3】
試料とする水中吸音材の両面に入力側の圧電シートと出力側の圧電シートを設け、前記入力側の圧電シートに衝撃波形を与えた場合に入力側と出力側の圧電シートがそれぞれ出力する信号を用いて前記水中吸音材の音速を算出するためにコンピュータを水中吸音材音速測定器として機能させるためのプログラムを格納した水中吸音材音速測定器において、
前記プログラムが、前記コンピュータを、
前記圧電シートが出力する信号を記憶する波形記憶器として機能させ、比率kが設定される第1の比率設定器として機能させ、入力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Aに対して入力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Aの値となる時刻Taを算出する第1の定比振幅時刻算出器として機能させ、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Bとなる時刻Tbを算出する第2の定比振幅時刻算出器として機能させ、比率cが設定される第2の比率設定器として機能させ、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の圧電シートが出力する信号がc*Bとなる時刻Toを算出する第3の定比振幅時刻算出器として機能させ、前記時刻Taと前記時刻Tbとの時間差Tmを算出する第1の時間差算出器として機能させ、前記時刻Toと前記時刻Tbとの時間差Trを算出する第2の時間差算出器として機能させ、比率pが設定される第3の比率設定器として機能させ、式V=L/(Tm-p*Tr)を算出する音速算出器として機能させることを特徴とする水中吸音材音速測定器。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の技術分野】本発明は、水中吸音材の音速を測定する音速測定器に関するものである。

【0002】

【従来の技術】従来、水中吸音材の音速を測定する手法としては、水を満たした水槽の水中に所定の間隔をおいて水中送波器と水中受波器を設置し、両者を水中音響測定装置に接続して計測を行なう方法が採られていた。即ち、水中送波器と水中受波器の間に試料となる水中吸音材を置いた場合と置かない場合とで異なる水中音響測定装置の計測結果から、当該水中吸音材の音速を計算することができた。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水槽施設を用いた従来の方法では、水槽の壁部等からの反射波を排除し、水中送波器から水中吸音材を経由して水中受波器に至る直接波のみを安定して検出する必要があることから、水槽には相当の規模が要求され、また水中送波器、水中吸音材、水中受波器の配置には厳密な条件が要求され、さらに水中に配置する水中吸音材の温度特性を考慮して水温をも制御・設定しなければならなかった。このように、従来の水槽施設を用いた水中吸音材の音速測定作業は、大掛かりな設備が必要であり、計測作業も煩雑であった。

【0004】
そこで、かかる煩雑な作業を避け、簡単に測定を行なうため、水中吸音材の音速測定を空気中で行なうことが望まれるところである。従来、大気中で使用される材料の音速を測定する場合は、例えば、板状の試料の片面に超音波振動子を当てて超音波を入射し、他面に当てた超音波センサーで伝搬してくる超音波を捉えて、超音波の伝搬時間と試料の板厚とから音速を算出する方法が知られている。

【0005】
しかしながら、かかる方法を空気中での水中吸音材の音速の測定に用いるのは、試料とする水中吸音材の板厚が厚いことと吸音量が大きいことから、伝搬してくる音波が微弱で検出し難いという問題がある。また、水中吸音材の使用周波数が比較的低周波数であるため、計測に必要な直接波が間接波に埋もれて伝搬時間の計測が困難であるという問題もあった。

【0006】
本発明は、こうした問題に着目したものであり、水槽施設を不要とし、空中において水中吸音材の音速を容易・簡便に測定できる水中吸音材音速測定器を提供することを課題とする。

【0007】

【課題を解決するための手段】請求項1に記載された水中吸音材音速測定器は、試料とする水中吸音材の両面に設けられた入力側及び出力側の圧電シートと、前記入力側の圧電シートに落下して衝撃波形を与える衝撃波形付与手段と、前記圧電シートが出力する信号を記憶する波形記憶器と、比率kが設定される第1の比率設定器と、入力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Aに対して入力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Aの値となる時刻Taを算出する第1の定比振幅時刻算出器と、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Bとなる時刻Tbを算出する第2の定比振幅時刻算出器と、比率cが設定される第2の比率設定器と、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の圧電シートが出力する信号がc*Bとなる時刻Toを算出する第3の定比振幅時刻算出器と、前記時刻Taと前記時刻Tbとの時間差Tmを算出する第1の時間差算出器と、前記時刻Toと前記時刻Tbとの時間差Trを算出する第2の時間差算出器と、比率pが設定される第3の比率設定器と、式V=L/(Tm-p*Tr)を算出する音速算出器とを備えている。

【0008】
請求項2に記載された水中吸音材音速測定器は、請求項1記載の水中吸音材音速測定器において、試料とする水中吸音材の両面に設けられた入力側及び出力側の圧電シートのうち少なくとも入力側の圧電シートの表面に衝撃波を伝搬する板材を設けたことを特徴とする。

【0009】
請求項3に記載された水中吸音材音速測定器は、試料とする水中吸音材の両面に入力側の圧電シートと出力側の圧電シートを設け、前記入力側の圧電シートに衝撃波形を与えた場合に入力側と出力側の圧電シートがそれぞれ出力する信号を用いて前記水中吸音材の音速を算出するためにコンピュータを水中吸音材音速測定器として機能させるためのプログラムを格納した水中吸音材音速測定器において、前記プログラムが、前記コンピュータを次のように機能させることを特徴とするものである。即ち、前記圧電シートが出力する信号を記憶する波形記憶器として機能させ、比率kが設定される第1の比率設定器として機能させ、入力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Aに対して入力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Aの値となる時刻Taを算出する第1の定比振幅時刻算出器として機能させ、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の前記圧電シートが出力する信号がk*Bとなる時刻Tbを算出する第2の定比振幅時刻算出器として機能させ、比率cが設定される第2の比率設定器として機能させ、出力側の前記圧電シートが出力する信号のピーク値Bに対して出力側の圧電シートが出力する信号がc*Bとなる時刻Toを算出する第3の定比振幅時刻算出器として機能させ、前記時刻Taと前記時刻Tbとの時間差Tmを算出する第1の時間差算出器として機能させ、前記時刻Toと前記時刻Tbとの時間差Trを算出する第2の時間差算出器として機能させ、比率pが設定される第3の比率設定器として機能させ、式V=L/(Tm-p*Tr)を算出する音速算出器として機能させることを特徴とする。

【0010】

【発明の実施の形態】本発明に係わる水中吸音材音速測定器、水中吸音材音速測定方法、及び水中吸音材音速測定用プログラムの実施の形態の一例を、図1乃至図3に示す。この測定器は、水中吸音材の特性の評価に使われるものであり、圧電シート10及び20を水中吸音材の両面に当てて、立ち上がりの鋭い衝撃波形を発生させる衝撃波形付与手段としての衝撃用球300を上面の中央に落下させ、そのときに発生した圧力波が水中吸音材を伝搬する音速を測定する。ここで、圧電シートは、ゴム材にチタンジルコン酸鉛の粉末を混ぜてシート状に成形した部材であり、与えられた機械エネルギーを電気信号として出力する。この圧電シートは可撓性を有し、試料である水中吸音材の表面に隙間なく密着して効果的に音波を伝搬する機能を備えている。なお、圧電シートと水中吸音材の間には音波を効率的に伝達するために接触媒質を介在させても良い。

【0011】
前記衝撃波形は一過性であるので、波形記憶器に保存する。圧電シート10及び20の信号は相似であるので、両信号が立ち上がってから雑音より明確に分離できるだけの振幅に達するような共通の比率kを比率設定器40により設定する。kの値は、予備的な計測を行い、なるべく1に近い値で適当な値で設定しておく。そして、圧電シート10及び20の信号の振幅がそれぞれk*A及びk*Bに達する時刻Ta及びTbをそれぞれ定比振幅算出器50及び60により算出し、両者の時間差Tmを時間差算出器90により算出する。

【0012】
衝撃点Oから放射状に拡散する圧力波が水中吸音材の厚さ方向に平行な経路OQを伝搬して点Qに達したときから圧電シート20の信号は立ち上がり、それよりも遅れて斜めの経路OSを伝搬して点Sにも達するときに、圧電シート20の信号は振幅k*Bとなるので、圧電シート20の信号が雑音よりは大きくなるようなできる限り小さい比率cを比率設定器80により設定して、圧電シート20の信号の振幅がc*Bとなる立ち上がり時刻Toを定比振幅時刻算出器70により算出し、圧電シートの信号の振幅が立ち上がりから振幅k*Bに達するまでの時間差Trを時間差算出器100により算出する。

【0013】
圧力波の伝搬経路は最短の経路OQと最長の経路OSとを含む集まりであるから、それらの平均を選ぶための比率pを比率設定器120により設定し、音速算出器110により式V=L/(Tm-p*Tr)を計算して、音速を算出する。

【0014】
以上説明した一例では、水中吸音材の両面に圧電シートを設け、一方の圧電シート10に直接衝撃波形を与えていたが、両面に圧電シートをそれぞれ設け、さらに少なくとも一方の圧電シート10にアルミニウム等の板材を密着させ、この板材に前記衝撃球を落下させて圧電シート10に衝撃波を伝搬させてもよい。かかる構成によれば、可撓性のある圧電シートに衝撃球を落下する場合比べて得られる衝撃波の立ち上がりがより鋭くなり十分な検出信号のS/Nが得られて、両圧電ゴムシート10,20からの検出信号の時間差の計測がより容易に行える効果がある。

【0015】
以上説明した一例では、図3に図示した波形記憶器30から音速算出器110に至る各手段を、コンピュータの演算部における機能として実現しても良い。即ち、圧電シート10,20から得られる波形信号を被処理情報とし、これを所定のプログラムによってコンピュータを上述したような所定の手段として機能させることにより、当該コンピュータが当該プログラムと協働して音速測定器として機能し、最終的に必要な情報処理が行なわれて音速が算出されるようにしてもよい。

【0016】

【発明の効果】本発明は以上のように構成されるため、水中吸音材を伝搬する圧力波の両面における時間差を、両波形が相似であることに基づき対応する時刻で求めることができ、また、それらを得るときの振幅は雑音に対して明確に大きく選ぶことができ、さらに、伝搬経路が厚さ方向に斜めのものも含むことに対して平均的な経路長を選ぶことができる。従って、精度が良く、極めて有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2