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明細書 :レーダ画像処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3665806号 (P3665806)
公開番号 特開2003-248046 (P2003-248046A)
登録日 平成17年4月15日(2005.4.15)
発行日 平成17年6月29日(2005.6.29)
公開日 平成15年9月5日(2003.9.5)
発明の名称または考案の名称 レーダ画像処理装置
国際特許分類 G01S  7/285     
FI G01S 7/285 B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 12
出願番号 特願2002-045980 (P2002-045980)
出願日 平成14年2月22日(2002.2.22)
審査請求日 平成14年2月22日(2002.2.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
発明者または考案者 【氏名】荒木 完
【氏名】橋村 隆行
【氏名】小野 勝弘
【氏名】流石 岳史
個別代理人の代理人 【識別番号】100077838、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 憲保
審査官 【審査官】中村 直行
参考文献・文献 特開平08-043525(JP,A)
特開2001-056374(JP,A)
調査した分野 G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
特許請求の範囲 【請求項1】
レーダで受信された2次元のディジタル画像信号に対して、最適なフィルタ・パラメータを選定された画像フィルタにより、フィルタ処理を行うレーダ画像処理装置において、
前記ディジタル画像信号の中の、信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータにおいて、前記特定の領域中の最大信号値受信機ノイズ値に対する比としてのS/Nを検出するS/N検出器と、
複数のS/Nに対応して複数のフィルタ・パラメータを格納しているフィルタ・パラメータ格納器と、
このフィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出器にて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定するフィルタ・パラメータ選択器とを有することを特徴とするレーダ画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ画像処理装置において、
アンテナパターン信号を格納するアンテナパターン格納器と、
前記ディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータについて操作員が指示を出す領域指示器と、
前記領域指示器からの指示に従い前記ディジタル画像信号中の特定の領域のデータを抽出すると共に、前記アンテナパターン信号中のメインローブを中心とする特定の領域のデータから前記操作員が指示した領域と同じ大きさに相当する領域を、抽出されたアンテナパターン信号として抽出する領域抽出器とを有し、
前記S/N検出器は、前記ディジタル画像信号から前記領域抽出器が抽出した領域のデータから前記S/Nを検出し、
前記フィルタ・パラメータ選択器は、前記フィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出器にて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定し、
前記領域抽出器は、前記抽出されたアンテナパターン信号を前記画像フィルタに入力信号として送出することを特徴とするレーダ画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーダ画像処理装置において、
前記特定の領域のデータの位相信号を検出する位相抽出器を、更に有し、
検出した前記特定の領域のデータの位相信号を、前記S/N検出器のS/N検出処理に導入したことを特徴とするレーダ画像処理装置。
【請求項4】
レーダで受信された2次元のディジタル画像信号に対して、最適なフィルタ・パラメータを選定された画像フィルタにより、フィルタ処理を行うレーダ画像処理装置にて、用いられる、前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータを選定するためのフィルタ・パラメータ選定装置において、
前記ディジタル画像信号の中の、信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータにおいて、前記特定の領域中の最大信号値受信機ノイズ値に対する比としてのS/Nを検出するS/N検出器と、
複数のS/Nに対応して複数のフィルタ・パラメータを格納しているフィルタ・パラメータ格納器と、
このフィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出器にて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定するフィルタ・パラメータ選択器とを有することを特徴とするフィルタ・パラメータ選定装置。
【請求項5】
レーダで受信された2次元のディジタル画像信号に対して、最適なフィルタ・パラメータを選定された画像フィルタにより、フィルタ処理を行うレーダ画像処理方法において、
前記ディジタル画像信号の中の、信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータにおいて、前記特定の領域中の最大信号値受信機ノイズ値に対する比としてのS/Nを検出するS/N検出ステップと、
複数のS/Nに対応して複数のフィルタ・パラメータをフィルタ・パラメータ格納器に予め格納しておくステップと、
このフィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出ステップにて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定するフィルタ・パラメータ選択ステップとを有することを特徴とするレーダ画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載のレーダ画像処理方法において、
前記特定の領域のデータの位相信号を検出するステップを、更に有し、
検出した前記特定の領域のデータの位相信号を、前記S/N検出ステップのS/N検出処理に導入したことを特徴とするレーダ画像処理方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーダ画像処理技術に関し、画像フィルタの最適なフィルタ・パラメータを選定するためのレーダ画像処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術について図6を用いて説明する。
【0003】
従来、レーダ画像に用いられるレーダ画像処理装置は、例えばIEICE TRANS. COMMUN., vol.E76-B, No.10, 1279(October 1993)に示されるように、ウィナー・フィルタ伝達関数を作成するために用意され角度方向の空中線放射特性形状を示したアンテナパターン信号のデータを格納しているアンテナパターン格納器1と、前記アンテナパターン格納器1にあるアンテナパターン信号とフィルタ・パラメータ指示器12で操作員が指定したフィルタ・パラメータによりウィナー・フィルタ伝達関数を作成するためのウィナー・フィルタ作成器7と、レーダで受信されるディジタル画像信号と前記ウィナー・フィルタ作成器7で作成されたウィナー・フィルタ伝達関数との乗算処理を行うウィナー・フィルタ処理器8と、前記ウィナー・フィルタ処理器8で処理されたディジタル画像信号の処理結果を判定する画像判定器13と、前記画像判定器13の結果を表示する表示器14と、前記表示器14で表示された処理結果について操作員が判定した結果を画像判定器13に送る、あるいはウィナー・フィルタ作成器7に指示を送るフィルタ・パラメータ指示器12と、ウィナー・フィルタ処理される前のディジタル画像信号と前記ウィナー・フィルタ処理器8で処理された処理結果とを表示する表示器9とで構成される。
【0004】
レーダで受信される2次元のディジタル画像信号(image(x,y)とする)はウィナー・フィルタ処理器8に入力後、ウィナー・フィルタ処理器8で2次元FFT(Fast Fourier Transform)処理が行われる。ディジタル画像信号の2次元FFT処理結果(Image(ωxy)とする)は以下のとおりである。
【0005】
Image(ωxy)=FFT[image(x,y)]
image(x,y):ディジタル画像信号
Image(ωxy):ディジタル画像信号の2次元FFT処理結果
一方、アンテナパターン信号はアンテナパターン格納器1からウィナー・フィルタ作成器7に入力後、ウィナー・フィルタ作成器7で2次元FFT処理を行われ、この処理結果とフィルタ・パラメータ指示器12により操作員が指定したフィルタ・パラメータとを用いて、以下に示すウィナー・フィルタ伝達関数H(ωxy)が作成される。
【0006】
H(ωxy)=Pxy)/[(1-α)|P(ωxy)|+α]
P(ωxy):アンテナパターンの2次元FFT処理結果
xy):P(ωxy)の複素共役値
α :フィルタ・パラメータ(0~1)
次に、ウィナー・フィルタ処理器8で、前記ウィナー・フィルタ作成器7で作成されたウィナー・フィルタ伝達関数H(ωxy)とディジタル画像信号の2次元FFT処理結果Image(ωxy)との乗算処理を行う。この乗算処理結果をIMAGE(ωxy)とすると、乗算処理結果IMAGE(ωxy)は以下のとおりである。
【0007】
IMAGE(ωxy)=H(ωxy)×Image(ωxy)
更に、ウィナー・フィルタ処理器8で、上記乗算処理結果IMAGE(ωxy)に2次元IFFT(逆FFT)処理を行った結果が入力ディジタル画像信号に対するウィナー・フィルタ処理結果RESULT(x,y)となる。
【0008】
RESULT(x,y)=IFFT[IMAGE(ωxy)]
このウィナー・フィルタ処理結果RESULT(x,y)が画像判定器13に入力、及び表示器14に表示され、操作員が表示器14の処理結果を視覚的に判定し、更にフィルタ・パラメータの調整が必要であれば操作員がフィルタ・パラメータ指示器12から新たなパラメータをウィナー・フィルタ作成器7に入力し、表示器14の処理結果が操作員の所望の処理結果となるまで、同処理を繰り返す。
【0009】
ここで定義される所望の処理結果とは、例としてアンテナパターン信号のビーム幅の半分の大きさに相当する距離以上の間隔で複数の目標物が配置され、単一目標信号と誤認された入力ディジタル画像信号に対して、ウィナー・フィルタ処理を行った結果、処理後の画像に対して任意のしきい値を設定すると複数の目標信号を抽出できたと操作員が視認できることと定義する。
【0010】
最終的に、操作員の所望とする最終的な処理結果RESULT(x,y)およびレーダで受信されるディジタル画像信号image(x,y)が表示器9で表示される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、ディジタル画像信号中の目標信号の配置されている間隔や目標信号の形状により最適なフィルタ・パラメータが異なるため、処理結果を操作員が判定し、その判定結果に応じて操作員の所望とする処理結果となるまで同処理を繰り返す必要があり、処理時間の短縮化と一連の処理の自動化が困難であった。
【0012】
本発明の目的は、処理の自動化性能と処理時間とを向上させることができるレーダ画像処理方法及び装置を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、レーダ画像処理装置の自動化性能と処理時間とを向上させることができる、画像フィルタの最適なフィルタ・パラメータを選定するためのフィルタ・パラメータ選定装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様によれば、レーダで受信された2次元のディジタル画像信号に対して、最適なフィルタ・パラメータを選定された画像フィルタにより、フィルタ処理を行うレーダ画像処理装置において、
前記ディジタル画像信号の中の、信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータにおいて、前記特定の領域中の最大信号値受信機ノイズ値に対する比としてのS/Nを検出するS/N検出器と、
複数のS/Nに対応して複数のフィルタ・パラメータを格納しているフィルタ・パラメータ格納器と、
このフィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出器にて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定するフィルタ・パラメータ選択器とを有することを特徴とするレーダ画像処理装置が得られる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、前述の第1の態様によるレーダ画像処理装置において、
アンテナパターン信号を格納するアンテナパターン格納器と、
前記ディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータについて操作員が指示を出す領域指示器と、
前記領域指示器からの指示に従い前記ディジタル画像信号中の特定の領域のデータを抽出すると共に、前記アンテナパターン信号中のメインローブを中心とする特定の領域のデータから前記操作員が指示した領域と同じ大きさに相当する領域を、抽出されたアンテナパターン信号として抽出する領域抽出器とを有し、
前記S/N検出器は、前記ディジタル画像信号から前記領域抽出器が抽出した領域のデータから前記S/Nを検出し、
前記フィルタ・パラメータ選択器は、前記フィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出器にて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定し、
前記領域抽出器は、前記抽出されたアンテナパターン信号を前記画像フィルタに入力信号として送出することを特徴とするレーダ画像処理装置が得られる。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、レーダで受信された2次元のディジタル画像信号に対して、最適なフィルタ・パラメータを選定された画像フィルタにより、フィルタ処理を行うレーダ画像処理装置にて、用いられる、前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータを選定するためのフィルタ・パラメータ選定装置において、
前記ディジタル画像信号の中の、信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータにおいて、前記特定の領域中の最大信号値受信機ノイズ値に対する比としてのS/Nを検出するS/N検出器と、
複数のS/Nに対応して複数のフィルタ・パラメータを格納しているフィルタ・パラメータ格納器と、
このフィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出器にて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定するフィルタ・パラメータ選択器とを有することを特徴とするフィルタ・パラメータ選定装置が得られる。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、レーダで受信された2次元のディジタル画像信号に対して、最適なフィルタ・パラメータを選定された画像フィルタにより、フィルタ処理を行うレーダ画像処理方法において、
前記ディジタル画像信号の中の、信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータにおいて、前記特定の領域中の最大信号値受信機ノイズ値に対する比としてのS/Nを検出するS/N検出ステップと、
複数のS/Nに対応して複数のフィルタ・パラメータをフィルタ・パラメータ格納器に予め格納しておくステップと、
このフィルタ・パラメータ格納器の格納内容を参照して前記S/N検出ステップにて検出されたS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択し、選択されたフィルタ・パラメータを前記画像フィルタの前記最適なフィルタ・パラメータとして選定するフィルタ・パラメータ選択ステップとを有することを特徴とするレーダ画像処理方法が得られる。
【0018】
このように、本発明は、外部より入力されたディジタル画像信号中の高分解能化処理を行おうとする信号の中でも信号レベルが大きく周囲の信号に比べ目標となりうる目標信号を中心とする特定の領域のデータに対して、同領域中の目標信号(S)と背景雑音(N)との比(S/N、すなわち、SN比)を検出するS/N検出器と、検出されたS/Nに対してフィルタ・パラメータを選択するフィルタ・パラメータ選択器と、S/Nに対するフィルタ・パラメータ値の一覧データを格納したフィルタ・パラメータ格納器を設け、パラメータの選定条件をディジタル画像信号中の情報から抽出することにより、レーダ画像処理装置の自動化性能と処理時間とを向上させたものである。
【0019】
すなわち、本発明は、外部より入力されるディジタル画像信号と、アンテナパターン格納器(図1の1)より入力されるアンテナパターン信号に対して、まずディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータについて操作員が指示を出す領域指示器(図1の3)と、前記領域指示器からの指示に従い画像中のデータを抽出し、次にアンテナパターン信号中のメインローブを中心とする特定の領域のデータから前記操作員が指示した領域と同じ大きさに相当する領域を抽出する領域抽出器(図1の2)と、抽出されたディジタル画像信号に対して画像中のS/Nの値を検出するS/N検出器(図1の4)と、検出されたS/Nからフィルタ・パラメータを選択するフィルタ・パラメータ選択器(図1の5)と、パラメータのデータベースを記録したフィルタ・パラメータ格納器(図1の6)を設け、S/N検出器(図1の4)で得た特定のS/Nに対して一意にパラメータを選択できることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0021】
図1を参照すると、本発明の第1の実施例によるレーダ画像処理装置は、画像フィルタ(具体的には、ウィナー・フィルタである)の最適なフィルタ・パラメータを選定するためのフィルタ・パラメータ選定装置を有する。このフィルタ・パラメータ選定装置は、外部より入力されるディジタル画像信号に対して、操作員がディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータを指示する領域指示器3と、この領域指示器3からの指示に従いディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータを抽出し、アンテナパターン格納器1より入力されるアンテナパターン信号に対して、アンテナパターン信号中のメインローブの中心から前記操作員が指示した領域と同じ大きさに相当する領域を抽出する領域抽出器2と、レーダ装置の受信機のノイズ信号データを記録した受信機ノイズ格納器15と、前記領域抽出器2で作成された特定の領域のディジタル画像信号と前記受信機ノイズ格納器15から入力された受信機ノイズデータから画像信号のS/Nを検出するS/N検出器4と、前記S/N検出器4で得たS/Nからフィルタ・パラメータを選択するフィルタ・パラメータ選択器5と、フィルタ・パラメータを記録したフィルタ・パラメータ格納器6とを有する。
【0022】
本レーダ画像処理装置は、更に、前記領域抽出器2で取り出されたアンテナパターン信号と前記フィルタ・パラメータ選択器5で得たフィルタ・パラメータからウィナー・フィルタ伝達関数を作成するウィナー・フィルタ作成器7と、前記領域抽出器2で取り出された画像信号と前記ウィナー・フィルタ作成器7で作成されたウィナー・フィルタ伝達関数とを乗算処理するウィナー・フィルタ処理器8と、処理前後の結果を表示する表示器9とを有する。
【0023】
まず、レーダで受信され、本レーダ画像処理装置に入力される2次元のディジタル画像信号と、アンテナパターン格納器1に記録されているアンテナパターン信号が領域抽出器2に入力され、領域指示器3にて操作員がディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータを指示した結果、特定の領域のディジタル画像信号と、アンテナパターン信号中のメインローブの中心から前記操作員が指示した領域と同じ大きさに相当する領域とを抽出する。領域抽出器2に入力されるディジタル画像信号、アンテナパターン信号のデータの大きさは、ともにレーダ装置の収集角度範囲で決定され、特にディジタル画像信号では収集角度範囲内に目標信号以外のクラッタ信号を含んでいることが多く、目標信号と同等の信号レベルを持つクラッタを含むような環境下でウィナー・フィルタ処理を行うと、想定した目標信号とは全く異なった偽像が発生しやすいため、本処理においては目標信号を中心とする特定の領域を抽出する。ここでディジタル画像信号及びアンテナパターン信号から抽出する特定の領域の大きさは、一般にレーダから受信される目標信号がアンテナパターン信号の分布を反映している特徴を利用し、アンテナパターン信号のビーム幅の大きさに基づいた値と定義する。
【0024】
前記領域抽出器2で抽出された特定の領域のディジタル画像信号と受信機ノイズ格納器15に記録された受信機ノイズデータはS/N検出器4に入力され、ディジタル画像信号中の同領域内のS/Nに対応したフィルタ・パラメータを選択するために、S/N検出器4では同領域内のS/Nを自動検出する。なおS/Nの定義は、同領域中の最大信号値をSとし、受信機ノイズ格納器15から入力された受信機ノイズデータをNと定義するが、同領域中の最大信号値は同領域中の目標信号の中でも最も大きな信号となり得るため、本定義によるS/Nは最大目標信号値と受信機ノイズ値との比に相当する。
【0025】
次に、前記S/N検出器4で検出されたS/Nの結果からフィルタ・パラメータを得るために、検出されたS/Nはフィルタ・パラメータ選択器5に入力され、フィルタ・パラメータ格納器6に記録されたS/Nに対するフィルタ・パラメータ値の一覧データから前記S/Nに応じたフィルタ・パラメータ値を検索し選択する。フィルタ・パラメータはS/Nを考慮した計算機シミュレーション結果とし、本結果はフィルタ・パラメータ格納器6に蓄えられ、図2に示すように前記S/Nの値に対して一意にフィルタ・パラメータを得ることができる。
【0026】
上記処理に加えて、領域抽出器2で得たアンテナパターン信号と前記フィルタ・パラメータ選択器5で選択されたフィルタ・パラメータから、ウィナー・フィルタ作成器7で、以下に示すウィナー・フィルタ伝達関数H(ωxy)を作成する。
【0027】
H(ωxy)=Pxy)/[(1-α)|P(ωxy)|+α]
P(ωxy):アンテナパターンの2次元FFT処理結果
xy):P(ωxy)の複素共役値
α :フィルタ・パラメータ(0~1)
前記領域抽出器2で抽出されたディジタル画像信号(image(x,y)とする)はウィナー・フィルタ処理器8に入力後、ウィナー・フィルタ処理器8で2次元FFT(Fast Fourier Transform)処理が行われる。ディジタル画像信号の2次元FFT処理結果(Image(ωxy)とする)は以下のとおりである。
【0028】
Image(ωxy)=FFT[image(x,y)]
image(x,y):ディジタル画像信号
Image(ωxy):ディジタル画像信号の2次元FFT処理結果
次に、ウィナー・フィルタ処理器8で、前記ウィナー・フィルタ作成器7で作成されたウィナー・フィルタ伝達関数H(ωxy)とディジタル画像信号の2次元FFT処理結果Image(ωxy)との乗算処理を行う。この乗算処理結果をIMAGE(ωxy)とすると、乗算処理結果IMAGE(ωxy)は以下のとおりである。
【0029】
IMAGE(ωxy)=H(ωxy)×Image(ωxy)
更に、ウィナー・フィルタ処理器8で、上記乗算処理結果IMAGE(ωxy)に2次元IFFT(逆FFT)処理を行った結果が前記領域抽出器2から出力されたディジタル画像信号に対するウィナー・フィルタ処理結果RESULT(x,y)となる。
【0030】
RESULT(x,y)=IFFT[IMAGE(ωxy)]
この処理結果RESULT(x,y)と前記領域抽出器2から出力されたディジタル画像信号image(x,y)とが表示器9に入力され、表示される。
【0031】
処理結果の具体例は、図3の処理後の結果のように表示される。
【0032】
図4を参照すると、本発明の第2の実施例によるレーダ画像処理装置は、その基本的構成は図1と同じであるが、ディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータのS/N検出処理をより高精度に行うため、同領域中の位相情報をS/N検出処理に導入したことを特徴としている。
【0033】
領域抽出器2で得たディジタル画像信号中の目標信号を中心とする特定の領域のデータの位相信号を位相抽出器10にて検出し、その変化を調べると、アンテナの方位角・仰角方向の回転によってアンテナと目標物との距離が変化し受信信号の位相が変化する系においては、トラックや建物のような3次元立体的な形状を視認できる目標物からの反射信号の位相はアンテナの回転に応じて規則的な変化をする特徴を持つが、森や林など3次元立体的な形状を視認できない自然目標物からのクラッタの位相はアンテナの回転に依存しない不規則でランダムな変化をする特徴があるため、規則的な変化をする位相の特徴を持つ位置周辺で目標信号を同定することで、目標信号と同等の信号レベルを持つクラッタと目標信号とを容易に区別することができ、目標信号と背景雑音との比であるS/N検出処理をより高精度に行うことができる。
【0034】
図5を参照すると、本発明の第3の実施例によるレーダ画像処理装置は、その基本的構成は図1と同じであるが、全ての処理の自動化をはかるために、操作員が目標信号を指示せずに、一定のしきい値を超えたものを目標と認識させる目標検出処理を加えたことを特徴としている。
【0035】
外部より目標検出器11に入力されたディジタル画像信号中の目標信号を目標検出器11にて一定のしきい値を設け検出し、目標信号の中心位置を導出した後、その結果を領域抽出器2に入力し、ディジタル画像信号、及びアンテナパターン信号中の特定の領域のデータの抽出処理を行うため、操作員が目標信号を指示せずに特定の領域の抽出ができ、一連の処理を自動化とすることができる。
【0036】
上述したように本発明においては次のような効果を奏する。
【0037】
本発明による効果は、ディジタル画像中の目標信号を中心とする特定の領域のデータに対して、最適なフィルタ・パラメータを同領域中のS/Nから一意に選択するため、一連の処理の自動化に貢献できることにある。
【0038】
その理由は、操作員が処理結果を視覚的に判定し、更にフィルタ・パラメータの調整が必要であれば操作員が新たなパラメータを設定し、処理結果が操作員の所望の処理結果となるまで同処理を繰り返す必要がなく、目的とする処理結果を自動的に得ることができるためである。
【0039】
次に、第2の実施例に示したように、ディジタル画像信号中の位相情報を用いることにより、等しい信号レベルにある目標信号とクラッタによる背景雑音とを区別できるため、S/N検出処理時に特定の領域のデータの中の目標信号を検出する処理をより高精度なS/N検出処理とできることにある。
【0040】
その理由は、人工的な目標物からの反射信号の位相はアンテナの回転に応じて規則的な変化をする特徴を持つが、森や林などの自然目標物からの反射信号の位相はアンテナの回転に依存しない不規則でランダムな変化をする特徴があるため、規則的な変化をする位相の特徴を持つ位置周辺で目標信号を同定することで、目標信号と同等の信号レベルを持つクラッタと目標信号とを容易に区別することができ、目標信号と背景雑音のS/N検出処理をより高精度に行うことができるためである。
【0041】
また、第3の実施例に示したように、目標検出処理を自動的に行うことで、一連の処理の自動化を実現できるためである。
【0042】
その理由は、操作員が目標信号を指定することなく、目標検出処理を自動的に行うことにより一連の処理の自動化と処理時間の短縮化を実現することができるためである。
【0043】
なお、本発明が上記各実施例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、処理の自動化性能と処理時間とを向上させることができるレーダ画像処理方法及び装置を得ることができる。
【0045】
更に、本発明によれば、レーダ画像処理装置の自動化性能と処理時間とを向上させることができる、画像フィルタの最適なフィルタ・パラメータを選定するためのフィルタ・パラメータ選定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるレーダ画像処理装置のブロック図である。
【図2】図1のレーダ画像処理装置の動作を説明するための図である。
【図3】図1のレーダ画像処理装置の処理結果の具体例を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるレーダ画像処理装置のブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施例によるレーダ画像処理装置のブロック図である。
【図6】従来のレーダ画像処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 アンテナパターン格納器
2 領域抽出器
3 領域指示器
4 S/N検出器
5 フィルタ・パラメータ選択器
6 フィルタ・パラメータ格納器
7 ウィナー・フィルタ作成器
8 ウィナー・フィルタ処理器
9 表示器
10 位相抽出器
11 目標検出器
12 フィルタ・パラメータ指示器
13 画像判定器
14 表示器
15 受信機ノイズ格納器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5