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明細書 :蓄熱式熱交換器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3677551号 (P3677551)
公開番号 特開2004-198020 (P2004-198020A)
登録日 平成17年5月20日(2005.5.20)
発行日 平成17年8月3日(2005.8.3)
公開日 平成16年7月15日(2004.7.15)
発明の名称または考案の名称 蓄熱式熱交換器
国際特許分類 F28D 17/02      
F02G  1/057     
F25B  9/00      
F28D 20/00      
FI F28D 17/02
F02G 1/057 A
F25B 9/00 D
F28D 20/00 A
請求項の数または発明の数 7
全頁数 8
出願番号 特願2002-366362 (P2002-366362)
出願日 平成14年12月18日(2002.12.18)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2002年7月29日~31日 開催の「第37回国際エネルギー変換工業界」において文書をもって発表
審査請求日 平成14年12月18日(2002.12.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】香川 澄
【氏名】瀧澤 英一
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】清水 富夫
参考文献・文献 実開平06-040772(JP,U)
特開平11-281273(JP,A)
実公平05-043257(JP,Y2)
特開平05-223374(JP,A)
特開平09-273821(JP,A)
調査した分野 F28D 17/02
F28D 20/00
F25B 9/00
F02G 1/057
特許請求の範囲 【請求項1】
金属薄板に多数の細孔を開け、この金属薄板を積層し、該金属薄板の外周部の厚さを、その内側よりも外周方向に連続して薄く形成したことを特徴とする蓄熱式熱交換器。
【請求項2】
前記金属薄板の片面若しくは両面上に、前記面方向に隣り合う各細孔の間を結ぶように溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱式熱交換器。
【請求項3】
前記金属薄板に開けた前記細孔の形状、寸法を、金属薄板上の場所によって異ならせたことを特徴とした請求項1又は2に記載の蓄熱式熱交換器。
【請求項4】
前記金属薄板に設けた前記溝の形状、寸法を、金属薄板上の場所によって異ならせたことを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄熱式熱交換器。
【請求項5】
前記金属薄板の加工精度を向上させる目的で、前記金属薄板の外周部に、細孔および溝を有しない平滑面を外周方向に連続して設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄熱式熱交換器。
【請求項6】
前記金属薄板の外周縁の一部に金属薄板の厚さ方向に貫通する窪みを設けたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の蓄熱式熱交換器。
【請求項7】
前記金属薄板を異なる材質を複合させて構成したことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の蓄熱式熱交換器。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スターリングエンジンやスターリング冷凍機、ビィルミエサイクル機器、パルスチューブ冷凍機、熱音響機器を始めとする熱再生機構を有する機関、並びに再生式ガスタービンの蓄熱式熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9乃至図11は従来の蓄熱式熱交換器を概略的に示した図であって、金網、発泡金属、マット状金属繊維、スプリングメッシュによる積層形(図10参照)、細管、ハニカム、ヘリパック、ねじり線による配列形(図11参照)、綿状金属繊維、ペブル(粒子)によるパック形(図12参照)がある。積層形は比表面積が大きく、作動ガスとの間の熱伝達率も高く、かつ、流動損失もそれほど大きくなく、配列形は流動損失をかなり低減できるが、比表面積が小さく、熱伝達率も低く、パック形は比表面積が大きく流動損失の調整も可能であるが、2つの性能を両立させる事は難しく、取扱い性が悪い。したがって、性能的には積層形が優れており、スターリングエンジンおよびスターリング冷凍機の実機試験において積層金網の優位性が実証され、多くの機関に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような積層金網を蓄熱式熱交換器に利用する場合に、金網を成形する際に生じる金網の歪み、端部のほつれ、低い加工精度により、積層する際の取扱い性は非常に悪く、価格が高くなる欠点があり、金網の歪み、端部のほつれ、低い加工精度により、機関性能を低下させる。また、価格を考慮すると金網は既製品を利用する事になり、線径や線のピッチ、線の素材が決まってしまう。
【0004】
それは、金網が細い金属線で織込まれているので、既製の広い金網のシートから小さな径(通常5~9cm)にプレス加工等で打ち抜いて成型すると、金網が平にならず歪んでしまう。これをケーシングに収まるように積層(通常300~500枚程度)する際に非常に手間がかかり、さらには金網間に隙間が生じて、無効容積が増加して圧縮比が低下して機関性能を低下させる。また、加工された端部はほつれやすく、ほつれた金属線は組み立て性を著しく低下させるばかりではなく、ほつれの部分でケーシングと積層金網の間に隙間が生じて、その隙間を作動ガスの一部が漏れ通って熱交換器を通過しない事で、機関効率を低下させる。また、プレス加工等で打ち抜き成型する場合は、細い金属線を種々の方向から切断する事になり、加工精度が悪くなって、組み立て性が悪く、かつ、ケーシングと積層金網の間に隙間が生じて、その隙間を作動ガスの一部が漏れ通って積層金網内を通過しない事で、機関効率を低下させる。また、実際に使用される金網は既製品が多く、その線径、ピッチ、素材が決まっており、機関に最適な熱伝達、摩擦損失特性を得るように最適設計値の適用や調整ができない。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、積層部材の歪み、端部のほつれを無くし、高い加工精度をもって、積層する際の取扱い性を良くし、価格を安くする事を可能とし、数値計算等による結果に基づいた最適設計にしたがって形状を決定する事で機関性能を向上させることが可能な蓄熱式熱交換器を提供する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために本発明は、厚さ0.1 ~0.2 mm程度の金属薄板にエッチング(腐食液による侵食作用により金属を加工する方法)あるいは電鋳方式(電極により金属をベースパターン上に析出する方法)により多数の細孔を開け、この薄板の片面あるいは両面に細孔を結ぶ溝を設け、薄板の外周部には細孔をなくして高い寸法精度を得るようにした事を特徴とする。
また、機器に合わせて径方向あるいは長手方向の作動ガスの流れや熱交換量を調節できるように、細孔の径は場所によって異なるものとし、溝の位置、形状を変える事を特徴とする。
さらに、薄板の表面の材質を熱伝導率の低いものとして、蓄熱式再生器の高温側から低温側へ熱伝導による損失を低減する事を特徴とする。また金属薄板の外周部の厚さを、その内側よりも外周方向に連続して薄く形成して、金属薄板を積層した場合の接触による積層方向への熱伝導損失を低減したことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、発明の一実施例を図1及至図8に従い具体的に説明する。
蓄熱式熱交換器を構成する1枚の金属薄板は、図1に示すように、薄板1に細孔2を密に多く設けた構造となっている。なお、図2に示す細孔2は方形、千鳥配列(60度)になっているが、その他の円形など細孔の形、およびその他の細孔の配列(碁盤目配列)でも可能である。
細孔2の径およびピッチ等の寸法は、その蓄熱式熱交換器を適用する機器によって最適値を決めるが、3kW級スターリングエンジンの場合には穴の寸法は0.24×0.24mmから0.30×0.30mm、ピッチ0.44mm程度、板厚み0.1mm のもの500 枚程度積層したものを採用して、従来のメッシュシートを採用した構造に比較し、軸出力が約7~15%、熱効率が約10~20%向上(図9参照)した。
【0008】
さらに、作動ガスが流れる際の流動損失を低減する目的で、図3に示すように、細孔2と細孔2を溝3で結ぶ事も可能である。この溝3は薄板1の両側に設ける事ができる。なお、溝3の配置、数、寸法は、その熱再生式熱交換器を適用する機器によって特有の最適値を有するが、上述の3kW級スターリングエンジンの場合には図のような配置として溝幅約0.12mm、深さ約0.06mmとした。
【0009】
図4に示したように、蓄熱式熱交換器4内の流れ(スターリング機器の場合は往復流、ガスタービンの場合には一方向流あるいは対向流)がその構造上不均一の場合にはその流れを均一にする目的で、薄板5、6における細孔の大きさ及び配置は、薄板上の場所によって自由に設計、設置する事ができる。また、その細孔の大きさ及び配置が異なる薄板をそれぞれ積層することが可能である。
【0010】
また、図5に示したように、蓄熱式熱交換器4内の流れがその構造上不均一の場合にはその流れを均一にする目的で、薄板7、8における細孔を結ぶ溝の寸法、配置は薄板上の場所によって変える事ができる。また、その溝の寸法、配置が異なる薄板をそれぞれ積層することが可能である。
【0011】
また、図6に示したように薄板1の外周部9に、外周縁方向に連続して、細孔を有しない平滑面領域を設けて、薄板の加工精度を向上させ、作動ガスの漏れ損失を低減させる。一般に、金網の場合には7cmの外径に対して+・- 0.1mmの寸法公差となるが、この発明の方式ではさらに精度をあげる事ができ、+・- 0.029~+・-0.010 mmとすることができる。なお、図7の横断面図のように外周部9の厚みを外周縁方向に連続して一段薄くすることで、積層した場合の接触による積層方向への熱伝導損失を低減している。さらに、外周部9の縁に窪み10をつける事により、積層した時の薄板の回転方向が外観からの目視により容易に判断でき、位置合わせをすることができる。
【0012】
なお、図8に示したように、薄板の表面を異なる性質を有する金属で形成して、熱伝導損失を低下したり、腐食を防ぐ事を可能とする。例えば、熱伝導率のよく、熱容量が大きい銅やニッケルなどの母材12の表面に、熱伝導率の悪く耐食性の強いステンレス等の材料からなる表面材13を複合させる事が可能である。また、薄板表面の荒さを数ミクロンから数百ミクロン程度に荒くしたり、溝のついていない面に数ミクロンから数百ミクロンの深さのスクラッチ(平行溝)加工やヘアライン(細い溝)加工を設けることで、薄板間の熱接触抵抗を増加させ、熱伝導損失を低下させることもできる。図8中のメッキ方法は母材のみで作成した薄板をメッキ処理したものである。
【0013】
また、図6に示した薄板1の中央にある穴11は積層する際に通し棒を通す穴であり、組み立て性を考慮したものである。この部分に穴をあけずに、圧着や接合用のつけしろとして使用する事ができる。また、この部分にも細孔を設けて、外周部を圧着や接合用のつけしろとして使用する事ができる。
【0014】
薄板の片面のみに細孔を結ぶ溝を設けた場合には、その溝のある面を低温の作動ガスが流れる方向(または、一方向のみ作動ガスが流れる場合にはその方向)に向ける事で、作動ガスが流れる際に発生する摩擦を低減する事が可能である。3kW級スターリングエンジンでは低温側に溝付き面を向けて積層することで、作動ガスがこの熱交換器を流れる際に発生する摩擦による損失を50W 低下する事ができた。また、積層する際に発生する熱伝導損失を低減する目的で、溝の付いた面を交互に(裏表に)組み合わせる事が可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明の蓄熱式熱交換器によれば、積層部材の歪み、端部のほつれを無くし、高い加工精度をもって、積層する際の取扱い性を良くし、価格を安くする事を可能とし、数値計算等の結果により得られた最適設計値にしたがって細孔、溝の形状寸法を決定する事で機関性能を向上させることが達成される。
試作した本発明の蓄熱式熱交換器においては、従来品の積層金網と比較して伝熱特性を表すヌッセルト数が約2倍になり、伝熱特性が向上することを確認した。因に、本発明の蓄熱式熱交換器を用いる事で、3kW級スターリングエンジンの場合にはその軸出力が約7~15%、熱効率が10~20%向上(図9参照)したことを確認している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による蓄熱式熱交換器の金属薄板を示した概略平面図である。
【図2】同金属薄板の細孔を示した概略拡大図である。
【図3】同金属薄板の細孔と細孔を結ぶ溝を示した概略拡大図である。
【図4】同金属薄板の細孔が部分的に異なる寸法、形状をもつ薄板を示した蓄熱式熱交換器の概略図である。
【図5】同金属薄板の細孔を結ぶ溝が部分的に異なる寸法、形状をもつ薄板を示した蓄熱式熱交換器の概略図である。
【図6】本発明の他の実施例による蓄熱式熱交換器の金属薄板を示した概略平面図である。
【図7】同一部の拡大断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例による蓄熱式熱交換器の金属薄板を示した横断面図である。
【図9】本発明の一実施例による蓄熱式熱交換器の性能試験のデータを示すグラフ図である。
【図10】従来の蓄熱式熱交換器の構成材料を示す要部の拡大図である。
【図11】従来の蓄熱式熱交換器の他の構成材料を示す要部の拡大図である。
【図12】従来の蓄熱式熱交換器の他の構成材料を示す要部の拡大図である。
【符号の説明】
1…薄板、2…細孔、3…薄板上の溝、4…蓄熱式熱交換器(ケース)、5…部分的に細孔の寸法、配置を変えた薄板、6…全体に細孔の寸法、配置を揃えた薄板、7…部分的に細孔を結ぶ溝の寸法、配置を変えた薄板、8…全体に細孔を結ぶ溝の寸法、配置を揃えた薄板、9…外周部、10…外周部の窪み、11…穴、12…母材、13…表面材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11