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明細書 :排気ノズルアクチュエータ同期機構

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3092793号 (P3092793)
公開番号 特開平10-068354 (P1998-068354A)
登録日 平成12年7月28日(2000.7.28)
発行日 平成12年9月25日(2000.9.25)
公開日 平成10年3月10日(1998.3.10)
発明の名称または考案の名称 排気ノズルアクチュエータ同期機構
国際特許分類 F02K  1/15      
F02D 11/04      
F02D 11/06      
FI F02K 1/15
F02D 11/04
F02D 11/06
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願平08-226440 (P1996-226440)
出願日 平成8年8月28日(1996.8.28)
審査請求日 平成10年3月9日(1998.3.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】山根 秀公
【氏名】須貝 俊二
個別代理人の代理人 【識別番号】100097515、【弁理士】、【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
審査官 【審査官】田澤 英昭
参考文献・文献 特開 平2-275050(JP,A)
特開 昭55-57648(JP,A)
特開 昭59-5864(JP,A)
特開 昭59-3151(JP,A)
特開 平10-9055(JP,A)
調査した分野 F02K 1/15
F02D 11/04
F02D 11/06
特許請求の範囲 【請求項1】
前縁で揺動可能に支持され円形に配置された複数の平板状のフラップ(12)と、各フラップ(12)に同時に接しこれを内方に押付ける中空円筒形の同期リング(14)と、ロッド(21)の先端が同期リング(14)に周方向に間隔を隔てて連結され、ロッド(21)の伸縮によりこれを軸方向に移動させる複数の同期シリンダ(20)と、からなり、
同期シリンダ(20)は、ロッド(21)の末端に連結され液圧により軸方向に移動するピストン(22)と、該ピストン(22)の直線運動をロッド(21)の軸心を中心とする回転運動に変換する運動変換機構(24)と、該回転運動をロッド(21)の軸心に直交する回転に変換する方向変換機構(26)と、からなり、
前記運動変換機構(24)は、前記ピストン(22)に内蔵されたボールスクリュー(24a)と、これに螺合するボールネジ(24b)であり、
前記同期シリンダ(20)のロッド(21)は、中空部分(21a)を有し、該中空部分(21a)に前記ボールスクリュー(24a)を貫通したボールネジ(24b)が挿入されるようになり、
更に、前記ロッド(21)の軸心に直交する複数の回転軸(27)は、円形に配置され、かつ捩れ剛性が高く可撓性の同期ケーブル(16)により連結されている、ことを特徴とする排気ノズルアクチュエータ同期機構。

【請求項2】
前記方向変換機構(26)は、互いに螺合する一対のベベルギヤ(26a,26b)である、ことを特徴とする請求項1に記載の排気ノズルアクチュエータ同期機構。

【請求項3】
前記同期シリンダ(20)のロッド(21)の先端は同期リング(14)に回転不能に取り付けられ、かつ該ロッド(21)にピストン(22)が回転不能に連結されており、これにより、ピストン(22)の回転を防止する、ことを特徴とする請求項1に記載の排気ノズルアクチュエータ同期機構。

【請求項4】
前記同期シリンダ(20)は、燃料の圧力により駆動される、ことを特徴とする請求項1に記載の排気ノズルアクチュエータ同期機構。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、ジェットエンジンの排気ノズルに係わり、更に詳しくは、排気ノズルを駆動するアクチュエータの同期機構に関する。

【0002】

【従来の技術】航空用ジェットエンジンのノズルには、図4に示すような排気ノズルが、一般的に用いられている。この排気ノズル1は、ジェットエンジン2の後方に取り付けられたコーン状のダクトであり、ジェットエンジン2の排気を高速のジェット噴流に変換して後方に噴射し推力を得るようになっている。

【0003】
図5は、かかる排気ノズルの従来の駆動機構図であり、図6はその作動説明図である。図5及び図6に示すように、排気ノズル1は、前縁3aで揺動可能に支持され円形に配置された複数の内面が平板状のフラップ3からなる。フラップ3は、使用時にはジェット噴流により内圧pを受け開放方向に付勢されている。また、フラップ3の外面にはガイドローラ3bが取付けられ、同期リング4の軸方向移動によりガイドローラ3bを内方に押してフラップ3を位置決めし、フラップ3の後縁3cで構成されるノズル面積を変化させるようになっている。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】図5に示した従来の機構では、同期リング4を複数の液圧シリンダ5により軸方向に移動するため、複数のフラップ3を同期させるためには同期リング4の周方向各部分を常に軸方向同一位置に位置決めする必要がある。そのため、従来の機構では、同期リング4を十分に高い剛性のものにし、液圧シリンダ5の出力のアンバランスを同期リング自体の剛性で受けて、液圧シリンダ5を同期させていた。従って、同期リング4が剛性を高めるために重くなり、かつ同期リング4を軸方向に案内するガイド構造も複雑になる問題点があった。

【0005】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、重量のかさむ同期リングを用いることなく、複数のアクチュエータを正確に同期させることができ、かつ構造のシンプルな排気ノズルアクチュエータ同期機構を提供することにある。

【0006】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、前縁で揺動可能に支持され円形に配置された複数の平板状のフラップ(12)と、各フラップ(12)に同時に接しこれを内方に押付ける中空円筒形の同期リング(14)と、ロッド(21)の先端が同期リング(14)に周方向に間隔を隔てて連結され、ロッド(21)の伸縮によりこれを軸方向に移動させる複数の同期シリンダ(20)と、からなり、同期シリンダ(20)は、ロッド(21)の末端に連結され液圧により軸方向に移動するピストン(22)と、該ピストン(22)の直線運動をロッド(21)の軸心を中心とする回転運動に変換する運動変換機構(24)と、該回転運動をロッド(21)の軸心に直交する回転に変換する方向変換機構(26)と、からなり、前記運動変換機構(24)は、前記ピストン(22)に内蔵されたボールスクリュー(24a)と、これに螺合するボールネジ(24b)であり、前記同期シリンダ(20)のロッド(21)は、中空部分(21a)を有し、該中空部分(21a)に前記ボールスクリュー(24a)を貫通したボールネジ(24b)が挿入されるようになり、更に、前記ロッド(21)の軸心に直交する複数の回転軸(27)は、円形に配置され、かつ捩れ剛性が高く可撓性の同期ケーブル(16)により連結されている、ことを特徴とする排気ノズルアクチュエータ同期機構が提供される。

【0007】
本発明の好ましい実施例によれば、前記方向変換機構(26)は、互いに螺合する一対のベベルギヤ(26a,26b)である。また、前記同期シリンダ(20)のロッド(21)の先端は同期リング(14)に回転不能に取り付けられ、かつ該ロッド(21)にピストン(22)が回転不能に連結されており、これにより、ピストン(22)の回転を防止している。更に、前記同期シリンダ(20)は、燃料の圧力により駆動される、ことが望ましい。

【0008】
上記本発明の構成によれば、運動変換機構(24)と方向変換機構(26)により、同期シリンダ(20)のピストン(22)の直線運動をロッド(21)の軸心に直交する回転軸(27)に変換するようになっており、かつこの回転軸(27)は同期ケーブル(16)の回転により各アクチュエータ(同期シリンダ(20))を同期させることができる。

【0009】
すなわち、アクチュエータのピストン(22)の内側にボールスクリュー(24a)を設け、ピストン(22)の直線運動を回転運動に変換し、ピストン(22)の移動量とボールスクリュー(24a)の回転量が1対1に対応するような構造とし、ボールスクリュー(24a)の回転をベベルギヤ(26a,26b)とフレキシブルな同期ケーブル(16)を介して他のアクチュエータに伝達することにより、各々のアクチュエータを同期させる。更に、ピストン(22)に内蔵されたボールスクリュー(24a)と螺合するボールネジ(24b)が、その先端からロッド(21)に形成された中空部分(21a)内に挿入される。

【0010】
従って、従来のような剛性を高めるために大きく重量のある同期リングを必要とすることなく、各同期シリンダ(20)のピストン(22)の軸方向移動を同期させることができ、フラップ(12)に接してこれを内方に押付ける同期リング(14)の剛性を下げて軽量化でき、かつこの同期リング(14)自体のガイドが不要となり構造を簡素化することができる。

【0011】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付して使用する。図1は、本発明による排気ノズルアクチュエータ同期機構の全体構成図である。この図に示すように、本発明の排気ノズルアクチュエータ同期機構10は、複数のフラップ12と、各フラップ12に同時に接しこれを内方に押付ける中空円筒形の同期リング14と、ロッド21の先端が同期リング14に周方向に間隔を隔てて連結され、ロッド21の伸縮によりこれを軸方向に移動させる複数の同期シリンダ20と、同期シリンダ20を同期させる同期ケーブル16とからなる。この図において、同期シリンダ20は周方向に等間隔に4本(図では2本のみ示し)設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば3本でも、5本以上でもよい。

【0012】
図2(A)は図1のA-A線における矢視図、図2(B)はフラップの作動説明図である。図2(A)(B)に示すように、フラップ12は、前縁で揺動可能に支持され円形(この例ではほぼ矩形)に配置された複数の平板状のマスターフラップ12aと、マスターフラップ12aの内側に円形に配置され、同様に前縁で揺動可能に支持されたシールフラップ12bとからなる。マスターフラップ12aの外面には円弧状に形成されたガイド板13が取付けられ、同期リング14の軸方向移動によりガイド板13を内方に押してマスターフラップ13を位置決めするようになっている。また、シールフラップ12bには、マスターフラップ12aの上面に張り出した挟持部材12cが取り付けられており、シールフラップ12bと挟持部材12cとの間にマスターフラップ12aを摺動可能に挟持することにより、マスターフラップ12aの揺動に連動してシールフラップ12bも揺動し、それらの後縁で構成されるノズル面積を変化させるようになっている。フラップ12は、使用時にはジェット噴流により内圧pを受け開放方向に付勢されている。

【0013】
図3は、本発明の排気ノズルアクチュエータ同期機構を示す図である。この図に示すように、同期シリンダ20は、ロッド21の末端に連結され液圧により軸方向に移動するピストン22と、ピストン22の直線運動をロッド21の軸心を中心とする回転運動に変換する運動変換機構24と、この回転運動をロッド21の軸心に直交する回転に変換する方向変換機構26と、からなる。

【0014】
この図において、運動変換機構24は、ピストン22に内蔵されたボールスクリュー24aと、これと螺合するボールネジ24bであり、方向変換機構26は、互いに螺合する一対のベベルギヤ26a,26bであるが、本発明はかかる実施形態に限定されず、他の周知の機構であってもよい。また、同期シリンダのロッド21の先端は同期リング14に軸心を中心に回転しないように取付けられており、このロッド21にピストン22が一体に連結されている。この構成により、ピストン22の軸心を中心とした回転を阻止し、ピストン22の移動量とボールネジ24bの回転量が1対1に対応する構造になっている。

【0015】
また、シリンダのロッド21は、ボールスクリュー側に中空部分21aを有し、この中空部分21aにボールスクリュー24aを貫通したボールネジ24bが挿入されるようになっている。更に、同期シリンダ20にはピストン22の前後に燃料を供給する燃料供給口20aを有しており、この燃料供給口20aを通して加圧された燃料を供給することによりピストン22を軸方向に駆動するようになっている。この燃料は、他の燃料系統と共通であり、ポンプ、タンク、等を共用している。この構成により、独立した液圧システムを設ける場合と比較して無駄な設備をなくし、重量の増加を防止している。

【0016】
上述した構成により、ピストン22の軸方向移動によりボールネジ24bの回転を介してベベルギヤ26bの回転軸27をロッド21の軸心に直交する回転に変換することができ、逆にベベルギヤ26bの回転軸27の回転によりボールネジ24bを介してピストン22を軸方向に移動させることができる。

【0017】
また、図2及び図3に示すように、ベベルギヤ26bの回転軸27は、可撓性のある同期ケーブル16により互いに連結されており、この同期ケーブル16は、図2に示すように全体として排気ノズルを囲むように円形に配置されている。なお、同期ケーブル16は、円周状すべてに装着してある必要はなく、図2のようにアクチュエータが4本の場合には3ケ所に同期ケーブル16があれば、4本のアクチュエータを同期させることができる。

【0018】
また、同期ケーブル16を円弧状に曲げた金属管28内に収容するのがよい。更に、同期ケーブル16は、各同期シリンダ20のロッド出力の差に相当するトルクをケーブル自体の捩じりモーメントで伝達するようになっており、この捩じりモーメントによる捩じれが所望の同期精度を保持するように、高い捩り剛性を有している。かかる構成により、同期ケーブル16を介して複数の同期シリンダ20を機械的に連結することができる。

【0019】
すなわち、アクチュエータ(同期シリンダ20)のピストン22の内側にボールスクリュー24aを設け、ピストン22の直線運動を回転運動に変換し、ピストン22の移動量とボールスクリュー24bの回転量が1対1に対応するような構造とし、ボールスクリュー24bの回転をベベルギヤ26a,26bと可撓性のある同期ケーブル16を介して他のアクチュエータに伝達することにより、各々のアクチュエータを同期させる構造となっている。

【0020】
従って、重量のかさむ同期リングなしで、各同期シリンダ20のピストン22の軸方向移動を同期させることができ、フラップ12に接してこれを内方に押付ける同期リング14の剛性を大幅に下げて軽量化でき、かつ同期リング14自体のガイドは不要となり構造を簡素化することができる。なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。

【0021】

【発明の効果】上述したように、本発明の排気ノズルアクチュエータ同期機構は、重量のかさむ同期リングを用いることなく、複数のアクチュエータを正確に同期させることができ、かつ構造を簡素化することができる、等の優れた効果を有する。
図面
【図4】
0
【図5】
1
【図1】
2
【図2】
3
【図6】
4
【図3】
5