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明細書 :門扉開閉装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3340922号 (P3340922)
公開番号 特開平10-129576 (P1998-129576A)
登録日 平成14年8月16日(2002.8.16)
発行日 平成14年11月5日(2002.11.5)
公開日 平成10年5月19日(1998.5.19)
発明の名称または考案の名称 門扉開閉装置
国際特許分類 B63B 19/00      
FI B63B 19/00 B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願平08-293980 (P1996-293980)
出願日 平成8年11月6日(1996.11.6)
審査請求日 平成11年6月7日(1999.6.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】佐藤 幹夫
【氏名】伊藤 彰
【氏名】大谷 智彦
【氏名】佐藤 謙二
【氏名】鈴木 茂
【氏名】片山 秀則
【氏名】児玉 精一
個別代理人の代理人 【識別番号】100075513、【弁理士】、【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
審査官 【審査官】久島 弘太郎
参考文献・文献 実開 昭63-47994(JP,U)
実開 平2-16383(JP,U)
調査した分野 B63B 19/00
B63B 19/08
B63B 27/14
特許請求の範囲 【請求項1】
船体に備えられた門扉と、
この門扉をその一部が海面より下方にある展開位置へと油圧駆動する開閉用油圧シリンダと、
前記門扉と前記開閉用油圧シリンダとの間に介装され前記門扉に対する所定値以上の波力に対して伸縮作動する緩衝用油圧シリンダと、
を備えたことを特徴とする門扉開閉装置。

【請求項2】
前記門扉の開閉時には、前記緩衝用油圧シリンダを油圧ロック状態に保持しつつ、前記開閉用油圧シリンダを作動させることを特徴とする請求項1に記載の門扉開閉装置。

【請求項3】
前記緩衝用油圧シリンダの伸縮位置を検出する検出装置と、
この伸縮位置が設定値を超えたならば前記緩衝用油圧シリンダを中立位置に復帰させる修正手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の門扉開閉装置。

【請求項4】
前記開閉用油圧シリンダを所定の伸縮位置で船体に機械的に固定する固定手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の門扉開閉装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、艦船の艦尾等に備えられる門扉の開閉装置の改良に関する。

【0002】

【従来の技術】艦船等の艦尾に備えられる門扉は、通常、対岸と船との橋渡しをその主目的としている。

【0003】
この場合には、門扉が油圧シリンダ(開閉シリンダ)により開放された後に、その先端部を対岸に預けて門扉は歩板として使用されるが、通行車両等および門扉自身の荷重は総て対岸と船体で支持されるので、開閉シリンダはフリーにしておけばよい。

【0004】
また、門扉の開閉を開閉シリンダではなくワイヤとウインチにより駆動するときには、門扉開放後はワイヤをたるませておくか、軽いオートテンションでは張っておけばよい。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような門扉は対岸との橋渡しに用いられるのみではなく、海上で先方を海中に没した開放状態とされて、小型船等を船内に搬出入するように使われることがある。このような使用においては、門扉は上下方向から波浪による力を受けるので、これにより門扉が上下に揺動させられることがないように保持する必要がある。

【0006】
ところが、門扉を支持する開閉シリンダを軽いオートテンションで保持したのでは、依然として波浪により門扉が上下に振られてしまうので、搬出入される小型船等が門扉と衝突してしまい、門扉や小型船等にダメージを与えてしまう恐れがある。

【0007】
一方、波力に耐えるような強固な保持力で開閉シリンダを固定したならば、通常の海象条件では問題が生じないが、海象条件が急変して定格値を超える過大な波力が作用したときには、これに即座に対応することはできないため、門扉または開閉シリンダに衝撃がかかり、これらが破損してしまう恐れがあった。

【0008】
本発明はこのような問題点に着目して、通常の波力に対しては門扉の位置を保持するとともに、過大な波力が作用したときにはその衝撃を吸収し得る艦船用門扉開閉装置を提供することを目的とする。

【0009】

【課題を解決するための手段】第1の発明は、船体に備えられた門扉と、この門扉をその一部が海面より下方にある展開位置へと油圧駆動する開閉用油圧シリンダと、前記門扉と前記開閉用油圧シリンダとの間に介装され前記門扉に対する所定値以上の波力に対して伸縮作動する緩衝用油圧シリンダとを備えた。

【0010】
第2の発明は、前記門扉の開閉時には、前記緩衝用油圧シリンダを油圧ロック状態に保持しつつ、前記開閉用油圧シリンダを作動させる。

【0011】
第3の発明は、前記緩衝用油圧シリンダの伸縮位置を検出する検出装置と、この伸縮位置が設定値を超えたならば前記緩衝用油圧シリンダを中立位置に復帰させる修正手段とを備えた。

【0012】
第4の発明は、前記開閉用油圧シリンダを所定の伸縮位置で船体に固定する固定手段を備えた。

【0013】

【作用】第1の発明では、門扉の開閉は開閉用油圧シリンダによってなされるが、門扉の展開後は、門扉に加わる外力による過負荷に対して緩衝用油圧シリンダが作動し、緩衝作用を行う。したがって、展開して海中にその一部を没した門扉に過大な波力が作用したときなど、緩衝用油圧シリンダの働きで開閉用油圧シリンダや門扉の破損を防止し、また通常の波浪による門扉のバタツキを防止し、小型船等の搬入、搬出を円滑かつ完全に行える。

【0014】
第2の発明では、門扉の開閉中は、緩衝用油圧シリンダは油圧ロック状態にあり、門扉の挙動が不安定となるのを防止し、門扉の開閉動作を円滑化させる。

【0015】
第3の発明では、緩衝用油圧シリンダが伸縮して緩衝作用を行っているうちに大きく中立位置から変位した緩衝用油圧シリンダは修正手段により中立位置に戻されるので、常に緩衝用油圧シリンダが有効に機能し、また門扉は所定の展開位置に維持される。

【0016】
第4の発明では、門扉を展開した所定の位置で、開閉用油圧シリンダの伸縮が機械的に固定されるので、門扉に対する外力は開閉用油圧シリンダに伝わることはない。

【0017】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。

【0018】
図1、図2に示すように、艦船の艦尾等に設けられる門扉1を開閉する一対の開閉シリンダ2は、船体3の一部である構造部材4に固定される。この開閉シリンダ2のピストンロッド5の先端部は、リンク部6を介して、連結ロッド7の一端と回動可能に連結されている。

【0019】
連結ロッド7は、他端において緩衝シリンダ8のシリンダ本体に固定されており、この緩衝シリンダ8は連結ピン9を介して門扉1に連結される。この門扉1は、開閉シリンダ2のピストンロッド5が伸長し、リンク部6が実線の位置にまで伸び出すことで、図1に実線で示す展開位置を採る一方で、ピストンロッド5が収縮し、リンク部6が仮想線の位置まで引き込まれることで基端のヒンジピン10を中心にして回動し、図1に仮想線で示すように起立した閉鎖位置を採る。

【0020】
門扉1は、展開位置においては、その一部が海面11より下方にあり、小型船12が門扉1に設けられたガイド13に案内されて海上から船体3の内部に搬入され、また船体3の内部から海上に搬出される。

【0021】
図3には緩衝シリンダ8による門扉1の支持状態を詳細に示す。これに示すように、両ロッド型の緩衝シリンダ8の一方のピストンロッド18の先端が連結ピン9を介し門扉1のブラケット9aに連結される。このピストンロッド18の伸縮により、展開された門扉1が波浪から受ける衝撃力が緩衝される。

【0022】
また、緩衝シリンダ8に隣接してリミットスイッチ19が設けられており、緩衝シリンダ8の伸縮状態が検出される。これにより、後述するように緩衝シリンダ8が中立位置から所定量以上外れたことが検出されたならば、緩衝シリンダ8を中立位置へと強制的に修正するようになっている。

【0023】
一方、図1、図2に示すように、リンク部6にはスライド部材15が固定され、このスライド部材15はピストンロッド5の収縮にしたがって、船体3に固定されたレール16内を摺動するようになっている。このスライド部材15を、レール16上の所定の位置に設置された2つのシリンダヘッド固定装置17a、17bによりロックすることで、ピストンロッド5の伸縮位置が機械的に2段階に固定される。

【0024】
図4、図5にはこのシリンダヘッド固定装置17a、17bを詳細に示す。これに示すように、レール16上方に固定されたロックピン案内部21に、ロックピン22が摺動自在に挿通支持され、このロックピン22の先端部がスライド部材15の嵌合穴23に嵌合することで、スライド部材15の位置が固定されるようになっている。

【0025】
このロックピン22の先端部の嵌合穴23への嵌脱は、ロックピン22と平行に配置した油圧シリンダ25により、ロックピン22の基端部に結合されたピストンロッド24の伸縮にしたがって、ロックピン22が図4中の実線位置から仮想線位置にかけて動くことでなされる。開閉シリンダ2は、ピストンロッド5の最伸状態では固定装置17aにより、またピストンロッド5の最伸状態よりもやや収縮した状態では固定装置17bによりロックされるので、門扉1の展開角度を調整できる。

【0026】
さて、開閉シリンダ2および緩衝シリンダ8は、図6に示すような油圧回路に接続される。また、図7にはこの油圧回路の一部を含む全体構成を模型化して示してある。

【0027】
これらに示すように、開閉シリンダ2の油室2a、2bは、切換弁47(ただし図6には図示せず)に、オペレートチェック弁45、46を介して、油圧ロック可能に接続されているとともに、リリーフ弁41、42およびチェック弁43、44を介して相互に接続している。

【0028】
一方、両ロッド型の緩衝シリンダ8は油室8a、8bを備えており、これらは切換弁37に、オペレートチェック弁35、36を介して、油圧ロック可能に接続されているとともに、リリーフ弁31、32およびチェック弁33、34を介して相互に接続している。

【0029】
なお、ここで、開閉シリンダ2の油室2aの受圧面積A1、油室2bの受圧面積A2、および緩衝シリンダ8の油室8aの受圧面積A3、油室8bの受圧面積A4の関係は、
1=A3=A4<A2 …(1)
と設定しておく。さらに、リリーフ弁41のリリーフセット圧力(例えば240kgf/cm2程度)はリリーフ弁31のリリーフセット圧力(例えば200kgf/cm2程度)より大きく、また、リリーフ弁42のリリーフセット圧力(例えば190kgf/cm2程度)はリリーフ弁32のリリーフセット圧力(例えば160kgf/cm2程度)より大きく設定しておく。

【0030】
つぎに作用を説明する。

【0031】
門扉1の開閉時には切換弁47を介して開閉シリンダ2が作動し、門扉1は展開位置と閉鎖位置の間を移行する。この間、緩衝シリンダ8はオペレートチェック弁35、36によって油圧ロック状態にあり伸縮することはない。

【0032】
さて展開位置においては、門扉1には図7に示すように波浪による上向き波力と下向き波力が作用する。この波力が所定値以下の小さなものであるときには、門扉1および開閉シリンダ2に対する波力による負担は小さいので、緩衝シリンダ8は作動せず門扉1は定位値を保っている。

【0033】
一方、この波力が所定値を超えるような大きなものであるときには、緩衝シリンダ8が伸縮作動してこの波力を緩衝し、門扉1および開閉シリンダ2を保護する。

【0034】
すなわち、リリーフ弁31のリリーフセット圧力を超える圧力を緩衝シリンダ8に与えるような下向き波力が作用した場合には、図7に示すように、緩衝シリンダ8にかかる力Fnは開閉シリンダ2にかかる力Fmよりも大きく、また、油室2aの受圧面積A1と油室8aの受圧面積A3は等しいため、開閉シリンダ2はリリーフ弁41を押し開いて作動することはない一方、緩衝シリンダ8はピストンロッド18が伸長する方向に作動し、作動油は図中実線の矢印で示すように、油室8aからリリーフ弁31、チェック弁34を介して油室8bへと流れ、リリーフ弁31の圧力を保ちながら緩衝作用を行う。

【0035】
これに対して、リリーフ弁32のリリーフセット圧力を超える圧力を緩衝シリンダ8に与えるような上向き波力が作用したときには、緩衝シリンダ8にかかる力は開閉シリンダ2にかかる力よりも大きく、また、油室2bの受圧面積A2は油室8bの受圧面積A4よりも大きいため、開閉シリンダ2はリリーフ弁42を押し開いて作動することはない一方、緩衝シリンダ8はピストンロッド18が収縮する方向に作動し、作動油は図中破線の矢印で示すように、油室8bからリリーフ弁32、チェック弁33を介して油室8aへと流れ、リリーフ弁32の圧力を保ちながら緩衝作用を行う。

【0036】
一方、このような作動により、緩衝シリンダ8の伸縮位置は中立位置より外れるが、この変位はリミットスイッチ19により監視されており、これにより緩衝シリンダ8が所定の位置まで動いたことが検出されたならば、図示しない制御回路により切換弁37が作動し、緩衝シリンダ8は再び中立位置へと戻される。つまり、オペレートチェック弁35、36をキャンセルするとともに、収縮後の油室8a又は8bに作動油を送り込み、他方の油室8b又は8aから作動油を排出し、緩衝シリンダ8を中立位置へと復帰させる。

【0037】
したがって、門扉1が波力による衝撃を受けたときに、緩衝シリンダ8の伸長または収縮が一定量に達すると、緩衝シリンダ8は再び元の位置に戻され、門扉1は定位値となるとともに、緩衝シリンダ8は新たな波浪による衝撃に備えておくことができる。

【0038】
なお、門扉1が展開位置を採ったときには、開閉シリンダ2をロックするとともに、油圧シリンダ25を伸縮させてシリンダヘッド固定装置17aまたは17bを作動させることにより、ピストンロッド5の伸縮を機械的に固定することも可能である。この場合には、門扉1への波力による荷重は開閉シリンダ2に伝達されることはなく、開閉シリンダ2の保護を完全に行いながら、緩衝シリンダ8による緩衝作用を行い得る。

【0039】

【発明の効果】第1の発明によれば、門扉の開閉は開閉用油圧シリンダによってなされるが、門扉の展開後は、門扉に加わる外力による過負荷に対して緩衝用油圧シリンダが作動するので、展開して海中にその一部を没した門扉に過大な波力が作用したときなど、緩衝用油圧シリンダの働きで開閉用油圧シリンダや門扉の破損を防止し、また通常の波浪による門扉の上下方向への揺動を防止し、小型船等の搬入、搬出を円滑かつ完全に行える。

【0040】
第2の発明では、門扉の開閉中は、緩衝用油圧シリンダは油圧ロック状態にあり、門扉の挙動が不安定となるのを防止し、門扉の開閉動作を円滑化させる。

【0041】
第3の発明によれば、緩衝用油圧シリンダが伸縮して緩衝作用を行っているうちに大きく中立位置から変位した緩衝用油圧シリンダは修正手段により中立位置に戻されるので、常に緩衝用油圧シリンダが有効に機能し門扉および開閉シリンダが保護されるとともに、門扉は所定の展開位置に維持され、船体への搬入または搬出作業が妨げられることはない。

【0042】
第4の発明によれば、門扉を展開した所定の位置で、開閉用油圧シリンダの伸縮が機械的に固定されるので、門扉に対する外力は開閉用シリンダへと伝わることはなく、開閉用油圧シリンダの保護は完全になされる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図5】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図6】
5
【図7】
6