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明細書 :音源レベル測定方法および音源レベル測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3112158号 (P3112158)
公開番号 特開平10-197327 (P1998-197327A)
登録日 平成12年9月22日(2000.9.22)
発行日 平成12年11月27日(2000.11.27)
公開日 平成10年7月31日(1998.7.31)
発明の名称または考案の名称 音源レベル測定方法および音源レベル測定装置
国際特許分類 G01H  3/10      
G01H 17/00      
G01S  7/52      
FI G01H 3/10
G01H 17/00
G01S 7/52
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願平09-002286 (P1997-002286)
出願日 平成9年1月9日(1997.1.9)
審査請求日 平成10年1月27日(1998.1.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】390011095
【氏名又は名称】ジェイ・アール・シー特機株式会社
発明者または考案者 【氏名】武捨 貴昭
【氏名】菊池 達夫
【氏名】高嶋 睦男
【氏名】長谷 弘信
個別代理人の代理人 【識別番号】100094330、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 正紀 (外1名)
審査官 【審査官】本郷 徹
参考文献・文献 特開 平8-178739(JP,A)
実開 昭55-109834(JP,U)
調査した分野 G01H 3/10
G01H 17/00
G01S 7/52
特許請求の範囲 【請求項1】
音源から音波を送信したときの該音波の最大到達距離を指標する該音源の音源レベルを測定する音源レベル測定方法において、
音源からの音波の送信方向を横切って該音源の前面に広がる面内の複数の測定点の各音圧を測定し、
前記複数の測定点についての複数の音圧どうしのクロススペクトルと、該複数の測定点を含む面が該複数の測定点それぞれを含む複数の分割面に分割されてなる各分割面の位置、面積および向きとに基づいて所定の遠点での音圧を求め、
前記遠点での音圧と、前記音源と該遠点との間の距離とに基づいて該音源の音源レベルを求めることを特徴とする音源レベル測定方法。

【請求項2】
音源から音波を送信したときの該音波の最大到達距離を指標する該音源の音源レベルを測定する音源レベル測定装置において、
音源からの音波の送信方向を横切って該音源の前面に広がる面内の複数の測定点の各音圧を測定する近距離音圧測定手段と、
前記複数の測定点の位置情報を入力する測定位置情報入力手段と、
該測定位置情報入力手段により入力された前記複数の測定点の位置情報に基づいて、前記複数の測定点を含む面が該複数の測定点それぞれを含む複数の分割面に分割されてなる各分割面の位置、面積および向きを求める形状ファクター計算手段と、
前記近距離音圧測定手段により測定された前記複数の測定点の音圧どうしのクロススペクトルと、前記形状ファクター計算手段により求められた前記複数の分割面の位置、面積および向きとに基づいて、所定の遠点での音圧を求める遠点音圧演算手段と、
該遠点音圧演算手段により求められた前記所定の遠点での音圧と、前記音源と該所定の遠点との間の距離とに基づいて、該音源の音源レベルを求める音源レベル演算手段とを備えたことを特徴とする音源レベル測定装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、音源レベル測定方法および音源レベル測定装置に関する。

【0002】

【従来の技術】従来より、海底地質や海底地形の調査方法の1つとして、海洋調査船にソーナーを装備してソーナーから音波を海底に向かって送信し、海底から反射して戻ってきた反射波を受信して、この反射波を解析することによって調査する方法が用いられている。特に、深海の海底の調査をする場合には、音波が遠方にまで到達するように低周波の音波を送信するソーナーが用いられている。このソーナーを用いて海底地質や海底地形を調べる際には、あらかじめ、ソーナーがどの位の深さの海底まで調査できる性能があるのかを調べなければならない。この性能の示す最も重要な要素はソーナーの音源レベルであり、以下に、従来の音源レベルを測定する方法について述べる。

【0003】
図7は、ソーナーを装備した海洋調査船の模式図(a)と、ソーナーに装備された送波アレイを示す拡大図(b)であり、図8は、従来のソーナーの音源レベルの測定方法を示す図である。図7(a)に示す海洋調査船71にはソーナー72が装備されており、このソーナー72には図7(b)に示す送波アレイ74を備えている。この送波アレイ74には、複数の送波源が配列されており、この送波アレイ74から送信される音波によってビーム73が形成される。このソーナー72の音源レベルを測定するために、図8に示す音源レベル測定装置が使用されている。

【0004】
図8に示す音源レベル測定方法では、海洋調査船81の船底に装備された低周波の音波を送信するソーナー82からビーム83を形成し、このビーム83を海洋調査船81の外へさお84を用いてぶらさげられた単一のハイドロホン85で取り込んで電気信号に変換し、この電気信号をアンプ86で増幅してオシロスコープ87で観測し、音源レベルを測定している。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような方法では、ハイドロホンをソーナーの近くに配備した場合、ソーナーから形成されるビームが低周波であるので海面と干渉を起こし、この干渉を起こしたビームがハイドロホンに取り込まれ正確な音源レベルを測定できないという問題がある。

【0006】
したがって、正確な音源レベルを測定するためには、ハイドロホンをビームと海面との干渉領域外に配備しなければならない。ハイドロホンを干渉領域外に配備しようとすると、例えば送信アレイから送信される音波の周波数が10kHzで送波アレイの大きさが5mであれば、ハイドロホンをソーナーから70m以上離さなければならないこととなる。ところが、このようにハイドロホンをソーナーから離してしまうと、ハイドロホンの正確な位置を知ることが困難であり、また、ハイドロホンとソーナーとの間に存在する媒体(海)によりビームが吸収される機会が多くなり、やはり正確な音源レベルを測定できないという問題がある。

【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、正確な音源レベルを測定する音源レベル測定方法および音源レベル測定装置を提供することを目的とする。

【0008】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の等価音源レベル測定方法は、音源から音波を送信したときのこの音波の最大到達距離を指標するこの音源の音源レベルを測定する音源レベル測定方法において、音源からの音波の送信方向を横切ってこの音源の前面に広がる面内の複数の測定点の各音圧を測定し、上記複数の測定点についての複数の音圧どうしのクロススペクトルと、この複数の測定点を含む面がこの複数の測定点それぞれを含む複数の分割面に分割されてなる各分割面の位置、面積および向きとに基づいて所定の遠点での音圧を求め、上記遠点での音圧と、上記音源とこの遠点との間の距離とに基づいてこの音源の音源レベルを求めることを特徴とする。

【0009】
また、上記目的を達成する本発明の等価音源レベル測定装置は、音源から音波を送信したときのこの音波の最大到達距離を指標するこの音源の音源レベルを測定する音源レベル測定装置において、
(1)音源からの音波の送信方向を横切ってこの音源の前面に広がる面内の複数の測定点の各音圧を測定する近距離音圧測定手段
(2)上記複数の測定点の位置情報を入力する測定位置情報入力手段
(3)この測定位置情報入力手段により入力された上記複数の測定点の位置情報に基づいて、上記複数の測定点を含む面がこの複数の測定点それぞれを含む複数の分割面に分割されてなる各分割面の位置、面積および向きを求める形状ファクター計算手段
(4)上記近距離音圧測定手段により測定された上記複数の測定点の音圧どうしのクロススペクトルと、上記形状ファクター計算手段により求められた上記複数の分割面の位置、面積および向きとに基づいて、所定の遠点での音圧を求める遠点音圧演算手段
(5)この遠点音圧演算手段により求められた上記所定の遠点での音圧と、上記音源とこの所定の遠点との間の距離とに基づいて、この音源の音源レベルを求める音源レベル演算手段を備えたことを特徴とする。

【0010】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の音源レベル測定方法の一実施形態のアルゴリズムを示す図である。本実施形態の音源レベル測定方法では、先ず、図1に示す計測周波数入力ステップ11において、音源から送信される音波の周波数を音波発振装置に入力する。

【0011】
次に、測定ポイント入力ステップ12において、音圧を測定する位置に関する情報を、音圧測定位置を制御する装置に入力する。次に、計算方向入力ステップ13において、音源から発振された音波によって形成されるビームの方向を、求める音源レベルの計算方向として音源レベル演算装置に入力する。

【0012】
次に、形状ファクター計算ステップ14において、上記音圧測定位置を含む面がこの音圧測定位置それぞれを含む複数の分割面に分割されてなる各分割面について、i番目の分割面の面積Si 、i番目の分割面の法線ベクトルni とビーム方向とのなす角βi から求められるcosβi 、j番目の分割面の重心を始点としi番目の分割面の重心を終点とするベクトルのビーム方向成分の大きさεijおよび、i番目の分割面におけるcosβi とj番目の分割面におけるcosβjを用いて求められるφij(ただし、φij=1+cosβi +cosβj +cosβi ・cosβj )を全ての分割面、すなわちi,j=1,2,3,……,Nについて計算する。

【0013】
また、測定ポイント入力ステップ12における演算を実行した後に、計算方向入力ステップ13における演算を実行する一方、音圧測定ステップ15において、測定ポイント入力ステップ12で入力された音圧測定位置情報に従って、ハイドロホンアレイを移動させ、上記音圧測定位置を含む面がこの音圧測定位置それぞれを含む複数の分割面に分割されてなる各分割面について、i番目の分割面の重心の音圧Pi を全ての分割面、すなわち、i=1,2,3,……,Nについて測定する。この測定を行なった後、クロススペクトル計算ステップ16において、i番目の分割面の重心の音圧Pi とj番目の分割面の重心の音圧Pj とのクロススペクトルCij=Pi ・Pj を全ての分割面、すなわちi,j=1,2,3……,Nについて計算する。ただしPj はPj の共役複素数である。

【0014】
次に、音圧レベル計算ステップ17において、形状ファクター計算ステップ14で求められた値と、クロススペクトル計算ステップ16とで求められた値とを用いて、音圧レベルPs のパワー|Ps2 を計算する。次に、音源レベル計算ステップ18において、音源レベルSLを計算する。SLはSL=10log10|Ps2 で求められる。

【0015】
このSL値により、音源の性能を評価することができる。尚、ここでは、クロススペクトル計算ステップ16で求められたクロススペクトルCijを求めて音源レベルSLを計算しているが、クロススペクトル計算ステップ16に代えて、i番目の分割面の重心の音圧の振幅|Pi |,j番目の分割面の重心の音圧の振幅|Pj |,Pi とPj との位相差φijを求めてるステップを置き、このステップで求めた|Pi |,|Pj |,φijを用いてSLを計算してもよい。ただし、クロススペクトルCijを用いてSLを求める式と、|Pi |,|Pj |,φijを用いてSLを求める式は異なる。

【0016】
以下に、クロススペクトルCijを用いたSLの式および|Pi |,|Pj |,φijを用いたSLの導出について説明する。音源の周りの任意の点Rにおける音圧P(R)は、以下に示すヘルムホルツの積分方程式で表わされる。

【0017】

【数1】
JP0003112158B2_000002t.gif【0018】ここで、Sは音源を囲む閉曲面、nは閉曲面Sの法線方向を示しており、Pは閉曲面S上の音圧、kは音源から送信される音波の波数、rは閉曲面S上の点と点Rとの間の距離である。(1)式において、点Rが音源から十分遠方にあれば点Rに到達する波は平面波と考えられるので、以下の近似式が成り立つ。

【0019】

【数2】
JP0003112158B2_000003t.gif【0020】ここで、βは、閉曲面S上の点と点Rとを結ぶ直線と、閉曲面Sの法線とのなす角である。十分遠方の点Rでの音圧をPf (R)と表わすと、Pf (R)は(2)式を(1)式に代入して求められる。

【0021】

【数3】
JP0003112158B2_000004t.gif【0022】離散的な場合を考えると、(3)式は次式で表わされる。

【0023】

【数4】
JP0003112158B2_000005t.gif【0024】ここでSi は閉曲面Sを有限分割したときのi番目の分割面であり、βi は分割面Si 上の所定の点と点Rとを結ぶ直線と分割面Si の法線とのなす角、riは分割面Si 上の所定の点から点Rまでの距離、Pi は分割面Si 上の所定の点の音圧である。したがってPf (R)の2乗振幅値|Pf (R)|2 は次式で表わされる。

【0025】

【数5】
JP0003112158B2_000006t.gif【0026】ここで、ψij、εijは以下の式
ψij=1+cosβi +cosβj +cosβi ・cosβj
εij=ri +rj ……(6)
で定義される値である。(5)式の[]の中の項を整理すると次式となる。

【0027】

【数6】
JP0003112158B2_000007t.gif【0028】またPi とPj のクロススペクトラム

【0029】

【数7】
JP0003112158B2_000008t.gif【0030】を用いると(7)式のcos成分の係数とsin成分の係数はそれぞれ次式となる。

【0031】

【数8】
JP0003112158B2_000009t.gif【0032】ここで、Re[Cij]はCijの実部であり、Im[Cij]はCijの虚部である。(7)式と(8)式とを用いると(5)式は次式のように変形される。

【0033】

【数9】
JP0003112158B2_000010t.gif【0034】(9)式を導出する際にはクロススペクトラムを用いたが、このクロススペクトラムを用いる代りに、Pi の振幅,Pj の振幅,Pi とPj との位相差を用いて(9)式と同様の式を求めることができる。振幅と位相差を用いたときの(9)式と同様の式の導出は以下の通りである。(7)式のcos成分の係数とsin成分の係数はそれぞれ次式となる。

【0035】

【数10】
JP0003112158B2_000011t.gif【0036】ここで|Pi |,|Pj |はそれぞれPi ,Pj の振幅であり、φijはPi とPj との位相差である<HAN>。</HAN> (7)式と(10)式とを用いると(5)式は次式のように変形される。

【0037】

【数11】
JP0003112158B2_000012t.gif【0038】この(11)式がクロススペクトラムを用いたときの(9)式に代わる、振幅と位相差を用いたときの式である。音圧レベルPs はPs =ro ・Pf (R)(ro :音源から十分遠方にある点Rから音源の音響中心までの距離)であり、また、点Rは音源から十分遠方にある点であるから、ro ≒ri ≒rj となる。したがって|Ps2 は、クロススペクトラムを用いたときの(9)式を用いると次式のようになる。

【0039】

【数12】
JP0003112158B2_000013t.gif【0040】また|Ps2 を振幅と位相差を用いたときの(11)式を用いて求めると

【0041】

【数13】
JP0003112158B2_000014t.gif【0042】となる。|Ps2 は(12)式あるいは(13)式を用いて計算することができる。このようにして求められた|Ps2 を用いると音源レベルSLは次式で求められる。
SL=10log|Ps2 ……(14)
このようにして、音源レベルSLが求められる。

【0043】
次に、(14)式を導出する際に用いられるSi ,cosβi ,εijの計算方法について述べる。図2は、音源の音響中心を原点とし、その音源を囲む、有限分割された閉曲面を示す図であり、図3は、その有限分割された閉曲面の一部を構成する分割面である三角形の面積ベクトルを示す図である。

【0044】
図2は音響中心である点Oを原点としてx軸,y軸,z軸を有し、点Rは点Oから十分遠方にある点であり、矢印Wは点Oから点Rに向かうビームを示した矢印である。θ,φはそれぞれ、矢印Wとz軸とのなす角,矢印Wのxy平面成分の矢印W’とX軸とのなす角であり、

【0045】

【外1】
JP0003112158B2_000015t.gif【0046】は、矢印Wの方向を有する方向単位ベクトルであって、次式で表わされる。

【0047】

【数14】
JP0003112158B2_000016t.gif【0048】さらに、図2に示す各点e,m,nを頂点とする三角形22は閉曲面21を有限分割して得られる三角形の1つである。図3に示す点e,m,nを頂点とする三角形は、図2に示す三角形22を拡大して示したものであり、点Oは図2に示す音響中心点である。また(ベクトルre ),(ベクトルrm ),(ベクトルrn )はそれぞれ、点Oから点eに向かうベクトル,点Oから点mに向かうベクトル、点Oから点nに向かうベクトルであり、(ベクトルSi )は三角形の面積ベクトルである。

【0049】
面積ベクトル(ベクトルSi )は(ベクトルre ),(ベクトルrm ),(ベクトルrn )を用いて次式で表わされる。

【0050】

【数15】
JP0003112158B2_000017t.gif【0051】分割面が四角形の場合は、その四角形の頂点をa,b,c,dとし、点Oからa,b,c,dに向かうベクトルをそれぞれ、(ベクトルra ),(ベクトルrb ),(ベクトルrc ),(ベクトルrd )とすると、このときの四角形の面積ベクトル(ベクトルSk )は、

【0052】

【数16】
JP0003112158B2_000018t.gif【0053】となる。以上から、Si

【0054】

【数17】
JP0003112158B2_000019t.gif【0055】で決定される。また、cosβi は以下のようにして計算される。βi はi番目の分割面の法線単位ベクトル(ベクトルni )と、i番目の分割面内の所定の点から点Rに向かう直線とのなす角であるが、ここでは、点Rは音源から十分遠方にあるとしているので、i番目の分割面内の所定の点から点Rに向かう直線の代わりに、図2に示す音源の音響中心Oから点Rに向かう直線を用いる。すなわち、βi をi番目の分割面の法線ベクトル(ベクトルni )と音響中心Oから点Rに向かう直線(矢印W)とのなす角で近似する。

【0056】
このように近似すると、図3に示す三角形22の法線単位ベクトル(ベクトルni )は(ベクトルni )=(ベクトルSi )/|(ベクトルSi )|であるので、cosβi は次式で表わされる。

【0057】

【数18】
JP0003112158B2_000020t.gif【0058】また、εijは以下のようにして計算される。εijはi番目の分割面内の所定の点から点Rまでの距離と、j番目の分割面内の所定の点から点Rまでの距離との差であるが、ここでは、点Rは音源から十分遠方にあるとしているので、εijをj番目の分割面内の所定の点を始点とし、i番目の分割面内の所定の点を終点とするベクトルの矢印W方向の大きさで近似する。

【0059】
このように近似すると、εijは次式で表わされる。

【0060】

【数19】
JP0003112158B2_000021t.gif【0061】また、ここで(19)式の値を求めるためには(ベクトルri )-(ベクトルrj )を求める必要がある。ベクトルri はi番目の分割面内の所定の点を始点とし、点Rを終点とするベクトルであり、ベクトルrj はj番目の分割面内の所定の点を始点とし、点Rを終点とするベクトルであるので、(ベクトルri )-(ベクトルrj )は、j番目の分割面内の所定の点を始点とし、i番目の分割面内の所定の点を終点とするベクトルである。したがって、これら所定の点を各分割面の重心とし、さらに、(ベクトルri )を音響中心Oを始点としi番目の分割面の重心を終点とする重心ベクトルとし、(ベクトルrj )を音響中心Oを始点としj番目の分割面の重心を終点とする重心ベクトルとしたとき、これら重心ベクトルの差が(ベクトルri )-(ベクトルrj )と等しくなっている。このように定義された重心ベクトル(ベクトルri ),(ベクトルrj )を用いてεijを求めることができる。従って、i番目の分割面が三角形のときは図3より(ベクトルri )は次式で表わされる。

【0062】

【数20】
JP0003112158B2_000022t.gif【0063】ここでi番目の分割面が四角形の場合は、(16)式を求める際に使用した(ベクトルra ),(ベクトルrb ),(ベクトルrc ),(ベクトルrd )を用いて次式で表わされる。

【0064】

【数21】
JP0003112158B2_000023t.gif【0065】以上のようにして求められたSi ,cosβi ,εijを用いて、(14)式を求めることができる。本実施形態の音源レベル測定方法では、近距離音場で測定された音圧を用いて遠距離音場の音圧を求め、この遠距離音場での音圧から音源レベルを求めているので、媒体(海)による測定誤差を受けずに音源レベルを測定することができる。

【0066】
図4は、本発明の音源レベル測定装置の一実施形態の計測ブロック図である。図4に示す発信装置41から発信される信号が音源42に送信され、この音源42から送波ビーム43が形成される。この送波ビーム43の音響信号はハイドロホン44に取り込まれる。このハイドロホン44は、装着装置45によって船底に固定されている測定用治具46に装着されている。この測定用治具46には移動装置47が装着されており、この移動装置47はハイドロホンの移動を制御する移動コントローラ49によって制御される。移動コントローラ49はコンピュータ48から送信されるコントロール信号を受信して移動装置47を制御し、この移動装置47によって、ハイドロホン44は測定用治具46上を移動する。ハイドロホン44を移動させている間に取り込まれた音響信号は電気信号に変換されてシグナルコンデショナー50で調整され、さらにA/Dコンバータ51で交流から直流に変換され、発信装置41からコンピュータ48に発信される周期用トリガーパルスに同期してコンピュータ48に取り込まれる。このコンピュータ48に取り込まれた信号から、(12)式あるいは(13)式を用いて音圧レベルのパワーを計算し、(14)式を用いて音源レベルを計算する。(14)式を用いて計算された音源レベルは、ディスプレイ52に出力される。

【0067】
上述した音源レベル測定装置40を用いて音源レベルを測定する。本実施形態の音源レベル測定装置では、船底に固定されている測定用治具にハイドロホンが装着されているので、ハイドロホンの正確な位置を知ることができるとともに音源から送信されるビームが海面と干渉を起こす前にハイドロホンに取り込まれるので、正確な音源レベルを求めることができる。

【0068】

【実施例】以下、本発明の音源レベル測定方法の一実施例について説明する。図5は、音源レベルの測定に使用される送波器とハイドロホンとを示した図である。送波器61は高さが0.5mの円柱形状である。

【0069】
送波素子62から発信される信号は、図5に示す矢印の先にある、送波器61を構成する各送波源に送信され、この送波器61から周波数10kHzの音波が送信され、送波ビームが63が形成される。そして、この送波ビームが63の中心軸63aと垂直になるとともに図5が描かれている紙面に対して平行にハイドロホン64を移動させて送波ビーム63の音響信号を取り込み電気信号に変換して、この電気信号を解析し、送波器61の音源レベルを計算した。

【0070】
尚、音源レベルを求める際に使用する方向単位ベクトル(ベクトルt)は送波ビームの中心軸と同一方向に設定し、|Ps2 は(13)式を用いて算出した。図6は、図5に示す送波器の音源レベルを測定したときの、送波ビームの中心軸からの角度に対する音源レベルを示したグラフである。

【0071】
図6に示す実線は計算値であり、プロットは実測値である。図6に示す計算値曲線は、送波ビームの中心軸からの角度が0度のとき音源レベルが最大値を示す。そして、送波ビームの中心軸からの角度が-40°から40°位の間では、角度が0度のときの音源レベルを頂点とし上に凸の放物線となるが、送波ビームの中心軸からの角度の絶対値が40度より大きくなってくると音源レベルは急に大きくなり、送波ビームの中心軸からの角度の絶対値が60度を越えると音源レベルはほぼ一定の値をとった。

【0072】
図に示す実測値はほぼ計算値と一致しており、特に、送波ビームの中心軸からの角度が-40度から40度位までの間ではよく一致した。このように、本発明の音源レベル測定方法、ないしその方法の実施を内包した音源レベル測定装置を使用することにより、音源レベルを正確に測定することができた。

【0073】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の音源レベル測定方法ないし音源レベル測定装置によれば、音源レベルを正確に測定することができる。
図面
【図3】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図8】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7