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明細書 :バッフル・遮音装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3079250号 (P3079250)
公開番号 特開平10-221431 (P1998-221431A)
登録日 平成12年6月23日(2000.6.23)
発行日 平成12年8月21日(2000.8.21)
公開日 平成10年8月21日(1998.8.21)
発明の名称または考案の名称 バッフル・遮音装置
国際特許分類 G01S  7/521     
G01S 15/88      
FI G01S 7/52 B
G01S 15/88
請求項の数または発明の数 3
全頁数 4
出願番号 特願平09-038561 (P1997-038561)
出願日 平成9年2月7日(1997.2.7)
審査請求日 平成9年2月7日(1997.2.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】小糸 武夫
【氏名】多田 進
【氏名】大道 嘉継
【氏名】菊地 達夫
【氏名】石村 広志
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】松下 公一
参考文献・文献 特開 昭62-284278(JP,A)
特開 昭62-284279(JP,A)
特開 平1-235710(JP,A)
特開 平1-235711(JP,A)
実開 昭60-15679(JP,U)
実開 昭62-53376(JP,U)
調査した分野 G01S 7/52 - 7/64
G01S 15/00 - 15/96
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の硬度を有しかつ内部に空気室を備える中空状体を有するバッフル・遮音装置において、属箔の両面をラミネート樹脂でラミネートしたシートで形成した空気袋が前記空気室内に収納されていることを特徴とするバッフル・遮音装置。

【請求項2】
請求項1に記載されたバッフル・遮音装置において、前記金属箔はアルミニウム箔であり、前記ラミネート樹脂はポリエチレンテレフタレートであることを特徴とするバッフル・遮音装置。

【請求項3】
請求項1又は2に記載されたバッフル・遮音装置において、前記中空状体はゴム系材料又は該ゴム系材料と同様の硬度を有する樹脂を用いて形成されていることを特徴とするバッフル・遮音装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】本発明はバッフル・遮音装置に関し、特に、水中で使用される音響バッフル・遮音装置に関する。

【0002】

【従来の技術】一般に、この種のバッフル・遮音装置は、例えば、水中ソーナー装置において、送受波器(音響センサー)に指向性を付与するとともに有害な雑音を低減するめたに用いられている。そして、このようなバッフル・遮音装置として種々のものが知られている(例えば、実開昭60-15679号公報)。

【0003】
このようなバッフル・遮音装置では、一般に、ゴム系材料又はゴム系材料と同程度の硬度を有する樹脂材料を用いて、この材料を用いて、中空の箱型を成形する。これによって、内部に空気室を有する構造体を形成して、バッフル・遮音装置としている。

【0004】
ここで、図4を参照して、従来のバッフル・遮音装置について概説する。

【0005】
ゴム系材料製の蓋部11及び箱部12を準備して、箱部12と蓋部11とを加硫接続によって接合し、箱部12を蓋部11で密封する。これによって、中空箱型構造体(バッフル・遮音装置)を形成する(つまり、この箱型構造体内には空気室12aが形成されている)。そして、蓋部11上には送受波器(音響センサー:図示せず)を取り付けるためのSUS等の金属板13が加硫接着される。

【0006】
上述のバッフル・遮音装置では、ゴム系材料(蓋部11及び箱部12)、空気室12a内の空気、及び金属板13からなる構造体の等価音響インピーダンス(ρc)が媒質である水又は海水の音響インピーダンスより十分に小さい。さらに、上記構造体の等価体積弾性率も十分に小さくなる。

【0007】
このような、バッフル・遮音装置では、音波が入射すると、音響反射が生じて、この結果、音波の透過を防ぐことが可能となる。一方、バッフル・遮音装置に送受波器を配置すると、所謂ソフトバッフルとして機能して、送受波器に指向性を付与することが可能となる。

【0008】

【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、バッフル・遮音装置は、水中ソーナー装置とともに用いられる関係上、長期間水中に位置することになる。上述のバッフル・遮音装置の場合、長期間水中で使用すると、水圧によって、空気室内空気が周囲のゴム層(又は樹脂層)を透過してしまう。このため、最終的には空気室内空気がぬけて、空気室が消滅し、バッフル・遮音機能が失われてしまう。つまり、従来のバッフル・遮音装置の場合、空気室内空気の漏出を考慮すると、寿命が短いという問題点がある。

【0009】
本発明の目的は音響性能が良好でしかも寿命の長いバッフル・遮音装置を提供することにある。

【0010】

【課題を解決するための手段】本発明は、所定の硬度を有しかつ内部に空気室を備える中空状体を有するバッフル・遮音装置において、金属箔の両面をラミネート樹脂でラミネートしたシートで形成した空気袋が前記空気室内に収納されていることを特徴としている。前記バッフル・遮音装置において、前記金属箔がアルミニウム箔で、前記ラミネート樹脂はポリエチレンテレフタレートであるとよい。前記バッフル・遮音装置において、前記中空状体はゴム系材料又は該ゴム系材料と同様の硬度を有する樹脂を用いて形成されているとよい。なお、前記空気袋の容積は前記空気室の容積とほぼ等しくするとよい。あるいは、複数の空気袋を空気室に収納するようにしてもよく、この場合には、空気袋一個の容積は空気室の容積よりも小さいことは言うまでもない。

【0011】

【実施例】以下、本発明について実施例によって説明する。

【0012】
図1(a)及び(b)を参照して、ゴムモールドによって作成された箱部21を準備する。この箱部21はその一面(図1(a)において上側面)が開口され、空胴(空気室)21aが形成されている。つまり、箱部21は断面凹形状となっている。箱部21の空胴21a内にはこの空胴21aとほぼ同一寸法(同一容積)の空気袋22が収納される。そして、箱部21にはゴム製の蓋部23が被せられ、箱部21と蓋部23とが加硫接着されて、箱部21の開口部が閉塞される。また、蓋部23の外表面には、送受波器(図示せず)取り付けのためのSUS板24が加硫接着されている。このようにして、中空状のバッフル・遮音装置が作成されることになる。

【0013】
ここで、図2(a)及び(b)を参照して、上述の空気袋22を作成する際には、例えば、アルミニウム箔22aを準備して、その両面にポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂22bをコーティングして、シートを作成する。その後、このシートを箱型又は袋型の密封体に加工される。これによって、空気袋22が作成される。図2(a)に示す例では、密封体を形成する際、各接着部22cは、シート端を折り曲げて所謂ヒートシール等を用いて接着して一体化させている。一般、図2(c)及び(d)に示す例では、密封体を形成する際、各接着部22cは、シート端を外方向に突出させ、ヒートシールを用いて接着して一体化させている。このようにして、ヒートシールを用いて一体化接着することによって、空気袋22から外部への空気の漏出を防止することができる。

【0014】
上述のようにして、作成されたバッフル・遮音装置(以下実施例装置と呼ぶ)と従来のバッフル・遮音装置(以下従来例装置と呼ぶ)とについて、その酸素透過率を比較した。この際、ゴム系材料として、厚さ5mmのクロロプレンゴムを用い、シートの厚さを70μmとした。

【0015】
前述のように、従来例装置は、クロロプレンゴムのみであり、その酸素透過率は約44cc/m2 /24時間/atmであった。一方、実施例装置の場合、酸素透過率はシート部分で1cc/m2 /24時間/atm以下、接合部22cにおいて3cc/m2 /24時間/atm程度であった。そして、窒素及び二酸化炭素においてもほぼ同様の透過率であることがわかった。

【0016】
このように、実施例装置においては、空気透過率が極めて低く、従来装置に比べて空気透過率は1/10以下となる。従って、実施例装置ではその寿命が大幅に改善されることになる。

【0017】
次に、図3(a)及び(b)を参照して、本発明の他の実施例について説明する。

【0018】
図示の実施例では、空気室に収納される空気袋の構造が異なるだけで他の構成要素については図1に示す実施例と同様である。

【0019】
図3に示すバッフル・遮音装置では空気室21aに複数の空気袋25(空気袋25の材質等は図1に示す空気袋22と同様である)が配置される。つまり、各空気袋25を小さなモジュールとして作成して、これら空気袋25を空気室21a内に敷き詰める。このようにしても、図1に示すバッフル・遮音装置と同様に寿命を大幅に改善することができる。なお、複数の空気袋25を空気室21aに収納する際には、空気室21aが円柱状であることが望ましい。

【0020】
ところで、上述のように、複数の空気袋25を空気室21aに収納する際には、従来のバッフル・遮音装置と同様な音響性能をもたせるため、空気袋一個の大きさ(容積)は、バッフル・遮音装置全体の等価音響インピーダンス及び等価体積弾性率が空気袋が存在しない場合(つまり、従来のバッフル・遮音装置)と比べて変化しない程度に制限される。例えば、空気袋25の最小寸法を空気室21aの高さ(図3において縦方向の長さ)寸法と同程度に制限すると、従来のバッフル・遮音装置と同等な音響性能を維持することができることがわかった。

【0021】
なお、空気袋の形状は製造上の観点から、直方体又は立方体とすることが望ましいが、球形又は円柱形等の他の形状であっても差支えない。また、上述の実施例では、シートとしてアルミニウム箔を用いたが、他の金属箔を用いても同様の効果が得られる。つまり、空気透過率の低い材料で空気袋を作成すればよい。

【0022】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では空気室に空気透過率の低い空気袋を収納するようにしたので、音響性能を維持しつつしかも寿命を大幅に延ばすことができるという効果がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3