TOP > 国内特許検索 > 水中平行板遮音構造 > 明細書

明細書 :水中平行板遮音構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3107367号 (P3107367)
公開番号 特開平10-221204 (P1998-221204A)
登録日 平成12年9月8日(2000.9.8)
発行日 平成12年11月6日(2000.11.6)
公開日 平成10年8月21日(1998.8.21)
発明の名称または考案の名称 水中平行板遮音構造
国際特許分類 G01M 10/00      
FI G01M 10/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 4
出願番号 特願平09-038636 (P1997-038636)
出願日 平成9年2月7日(1997.2.7)
審判番号 不服 1999-016421(P1999-016421/J1)
審査請求日 平成9年2月7日(1997.2.7)
審判請求日 平成11年10月14日(1999.10.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】390011095
【氏名又は名称】ジェイ・アール・シー特機株式会社
発明者または考案者 【氏名】佐藤 隆一
【氏名】長沼 健治
【氏名】中村 薫
【氏名】高嶋 睦男
個別代理人の代理人 【識別番号】100078617、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 修一
参考文献・文献 特開 平10-10000(JP,A)
特許請求の範囲 【請求項1】
水路を流れる流水中に設けられこの流水中を伝搬する騒音を遮音する水中遮音構造において、
遮音したい騒音の水中での波長の上限をλ,中心波長をλ1 とした場合、その表面に水より音響的に軟らかい吸音性弾性部材を設けた、長さL≧λ1 とする平行板を、間隔w≦λ/2で流水方向に平行に複数配置した構成を特徴とする水中平行板遮音構造。

【請求項2】
上記請求項第1項記載の水中平行板遮音構造を備えたことを特徴とする船舶のプロペラなどの計測に使用する回流水槽。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は水中を伝搬する騒音を遮断する水中平行板遮音構造、例えば船舶のプロペラなどの計測に使用する回流水槽等への設置が好適な水中平行板遮音構造に関する。

【0002】

【従来の技術】図3は、従来のこの種の回流水槽の一例の概略を示す図であり、図において、1は回流管で、通常、その大きさが高さ7m,横幅13.5m程度あり、相当の水圧に耐えられるように厚みを有する鉄管等で構成されている。2は1階部に設けられている送水装置、3は2階部に設けられている計測部である。送水装置2は、吸水部13から絶えず水を吸水して水圧を加え、送水部10から所定圧で送水しており、回流管1の中を水が回流している。

【0003】
送水装置2から送水された水は、送水部10を経てその径が拡張された整流部11に入り、この整流部11で水の流れが整えられ、エルボ部12を通って計測部3に至る。この計測部3には、各種の計測機器(例えばプロペラ動力計,伴流計測装置,雑音計測装置)が設置されており、被計測対象であるプロペラをこの計測部3の水流中に設置して、動力計測,流体計測,雑音計測等が行われる。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の回流水槽では、水中を伝搬する騒音を遮断する積極的な手段を持たないので、雑音計測において比較的大きなキャビテーションノイズは計測できるが、例えばプロペラ静止時に発生するような小さな流体雑音の計測が行えないという問題点があった。すなわち従来の回流水槽では、送水装置を構成するポンプから発生する騒音が回流を伝搬して計測部まで伝達されてしまうため、計測部3の騒音が大きく、流体雑音のような小さな雑音の計測が困難になる。なお従来の回流水槽では、送水装置に低振動ポンプを用いたり、ポンプを防振台に置いたり、ポンプと水路との間に弾性部材を介在させる等の措置が取られているものもあるが、これらは防振効果は期待できても遮音効果は特に期待できない。

【0005】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、回流水槽等への設置が好適な水中平行板遮音構造を提供することを目的とし、回流水槽へ設置した場合、回流を伝搬する騒音を低減して被計測対象が発生する小さな雑音の計測が可能な水中平行板遮音構造を提供することを目的としている。

【0006】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる水中平行板遮音構造は、水路を流れる流水中に設けられこの流水中を伝搬する騒音を遮音する水中遮音構造において、遮音したい騒音の水中での波長の上限をλ,中心波長をλ1 とした場合、その表面に水より音響的に軟らかい吸音性弾性部材を設けた、長さL≧λ1 とする平行板を、間隔w≦λ/2で流水方向に平行に複数配置した構成を特徴とする。なお、水より音響的に軟らかいとは、水のρc(固有音響インピーダンス:密度ρと音速cとの積)より小さいρcを持っていることを言い、従って水中を伝播する騒音や乱流で発生したノイズを流水中で、入射端面での反射および機構内部での吸音によって、遮音することができるようになる。

【0007】
また上記水中平行板遮音構造を備えた、船舶のプロペラなどの計測に使用する回流水槽を特徴とする。従って本発明の回流水槽は、上述の流体雑音のような被計測対象が発生する小さな雑音の計測が可能となる。

【0008】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1,図2は本発明の平行板を用いた水中平行板遮音構造を説明するための図であり、例えば図3に示す回流水槽においては、整流部11のような流水中で、整流板(図示せず)に替えて使用される。図1,図2に示すように本発明の平行板遮音構造200は、流水中に設置してこの流水を伝搬する騒音を遮音するものであり、所定間隔wで配設された複数の平行板201で構成され、各平行板201は鉄板などの芯板211の表裏面にゴム等の水より音響的に軟らかい吸音性弾性部材212を設けてなる。

【0009】
この平行板遮音構造200を整流部11に設ける場合、整流部11の壁面から伝達される振動は吸音性弾性部材212の制振作用により抑制されるが、壁面振動が異常に大きい場合には既知の適当な防振構造を介在させる必要がある。また、各平行板201は図2に示すように通常横板202を用いて所定間隔wに保持され、すなわち横板202を平行板201と直角で且つ流水方向に平行になるように取付け、この横板202で各平行板201を固定,補強している。横板202の取付け間隔は特に制限はないが、平行板201と同じ構造とすることにより吸音効果をより高めることができるようになる。また、図2に示すように平行板201および横板202の端部は、流水の乱れを発生させないように流線形状としている。

【0010】
周知のようにその表面が音響的に軟らかい、吸音効果を有する弾性部材212で覆われた平行板201の間を水が流れている場合、水中での音の波長をλとすると、その平行板201の間隔wが、λ>2w ならば流水を伝播する音波は吸音性弾性部材212に吸音されてしまう。すなわち間隔w=25cmとした場合、遮断周波数3kHz以下の音波は吸音性弾性部材212に吸音され、この平行板遮音機構200を伝搬しなくなる。また平行板201の長さLは、長ければその吸音効果が大きく、特に騒音の中心波長λ1 以上の長さ(L≧λ1 )にするとその効果は大きい。従ってw=25cm,L=1.5mとすれば、吸音周波数範囲は1~3kHzとなる。

【0011】
現在、一般に使用されている他の方法(例えば吸音くさびを取り付ける方法)を用いた水中吸音材の吸音周波数範囲は約5kHz以上であり、低周波ノイズを遮音する必要があるこの種の回流水槽の遮音には十分でなかったが、この平行板遮音構造200を用いることにより効果的な遮音効果が得られるようになった。また、この平行板遮音構造200に入射する騒音は、図1の213の入射部端面において水と遮音機構のρc不整合によってその一部が反射され、平行板遮音構造200内には入射しないので、ここでも遮音効果が得られると共に、水が平行板遮音構造200を流れることにより整流されるため、この平行板遮音構造200で遮音と整流との両方の効果が得られることになる。

【0012】
なお上記実施形態では、回流水槽に設置する場合について説明しているが、水中(他の液体中を含む)を伝搬する騒音を水中で遮音する必要がある場合の全てに実施できることは言うまでもない。

【0013】

【発明の効果】以上説明したように本発明の水中平行板遮音構造は、従来困難であった低周波ノイズの遮音が容易に行える。また、水が平行板を流れることにより整流されるため、遮音と整流との両方の効果が同時に得られることになる。従って船舶のプロペラなどの計測に使用する回流水槽に用いれば、従来の整流板に替えて使用することができ、例えばプロペラ静止時に発生するような小さな流体雑音の計測が可能になる等の効果がある。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2