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明細書 :反射光学系

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3045483号 (P3045483)
公開番号 特開平10-274740 (P1998-274740A)
登録日 平成12年3月17日(2000.3.17)
発行日 平成12年5月29日(2000.5.29)
公開日 平成10年10月13日(1998.10.13)
発明の名称または考案の名称 反射光学系
国際特許分類 G02B 17/00      
FI G02B 17/00 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願平09-079279 (P1997-079279)
出願日 平成9年3月31日(1997.3.31)
審査請求日 平成10年3月5日(1998.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
発明者または考案者 【氏名】増谷 光正
【氏名】岡村 壽洋
【氏名】小笠原 俊広
【氏名】作田 博伸
個別代理人の代理人 【識別番号】100064447、【弁理士】、【氏名又は名称】岡部 正夫 (外4名)
審査官 【審査官】笹野 秀生
参考文献・文献 特開 平7-146442(JP,A)
特表 平1-502461(JP,A)
米国特許4240707(US,A)
調査した分野 G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
特許請求の範囲 【請求項1】
遠方物体の像を光軸外に形成する反射光学系であって、物体側から順に、第1の凹面鏡、凸面鏡、及び第2の凹面鏡を有するものにおいて、前記凸面鏡が球面で構成されており、且つ前記第1の凹面鏡は光軸に関し回転対称な2次曲面であり、非球面形状式を
z=C・ρ2/[1+{1-(1+κ1)・C2・ρ21/2
で表し、Cを曲率半径Rの逆数、ρを反射鏡面の光軸からの高さ、zをサグ(sag)量、及びκ1を前記第1の凹面鏡の円錐係数としたとき、
-9<κ1<-2
の条件を満たすことを特徴とする反射光学系。

【請求項2】
前記第2の凹面鏡は光軸に関し回転対称な2次曲面であり、非球面形状式を
z=C・ρ2/[1+{1-(1+κ2)・C2・ρ21/2
で表し、Cを曲率半径Rの逆数、ρを反射鏡面の光軸からの高さ、zをサグ(sag)量、及びκ2を前記第2の凹面鏡の円錐係数としたとき、
0<κ2<0.5
の条件を満たす請求項1に記載の反射光学系。

【請求項3】
前記凸面鏡の周囲に絞りが配設されており、且つ像側にテレセントリックである請求項1又は2に記載の反射光学系。

【請求項4】
前記反射光学系のFナンバーは3.5以上である請求項1~のいずれか一項に記載の反射光学系。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、反射光学系に関し、より詳細には、プッシュブルーム方式による走査により2次元画像を形成する反射望遠鏡光学系に関するものである。

【0002】

【従来の技術】反射光学系は、色収差がなく、温度変化による結像性能の劣化が少ないこと等を特徴としているため、特に長焦点の望遠鏡に広く用いられている。近年、リッチークレチアン、カセグレン、グレゴリアン等の2枚構成の反射望遠鏡に代わり、広フィールドを実現できる3枚構成の反射望遠鏡の例が多く開示されている。米国特許第4,240,707号は、図7に示すように、物体からの光束を、第1の凹面鏡71、その周囲に絞り74が配設されている凸面鏡72、及び第2の凹面鏡73の順に反射させ、光軸75外の像面に良像を形成する構成が示されている。この構成の場合、光軸75上の入射瞳に向けて光軸75からある角度傾いて光束が入射すると、光軸75から離れた円環状フィールド内に像として良好なエリアが存在する。従って、上記構成の反射光学系は、上記円環フィールドの像のみを取り込む場合、中心遮蔽のない構成をとることができると共に、プッシュブルーム方式による走査(円環状フィールド内に配置されている1次元センサに対し、それに直交する方向の走査)を行うことにより、2次元画像を形成することができる。しかしながら、上記米国特許は、各反射鏡の形状については、何ら開示していない。

【0003】
上記米国特許明細書に示されているものと同様の構成を有する反射光学系が、Reflective Optics(Academic Press,1991)にも示されており、この文献に示されている各反射鏡の反射面の形状は、それぞれ、第1の凹面鏡は双曲面、凸面鏡は楕円面、及び第2の凹面鏡は偏球面である。

【0004】
また、SPIE Vol.1113 Reflective OpticsII(1989)pp.126-133に示されている光学系は、その構成が図7に示されているものと同様であり、各反射鏡は、非球面形状式
z=C・ρ2/[1+{1-(1+κ)・C2・ρ21/2]+D・ρ6+E・ρ8
において、下記の表1に示す係数を必要とする形状を有している。

【0005】

【表1】
JP0003045483B2_000002t.gif【0006】ここで、上記表1に基づいて作成した光学データの一例を下記の表2に示す。Fナンバは4.5、焦点距離は1000mmである。また、表2に示されている光学データに基づいて計算した横収差及びスポットを図6に示す。

【0007】

【表2】
JP0003045483B2_000003t.gif【0008】ここで、図6中の横収差図に付されている符号について説明する。なお、以下の説明は、後述する図4及び図5についても適用される。先ず、図7中の光軸75をz軸、図7が図示されている紙面内にあり且つ光軸75即ちz軸に垂直な軸をy軸、及びyz平面に垂直な軸をx軸とする。図6における「y-z断面」は入射瞳面の光束のy-z断面の光線の横収差を、「x-z断面」は入射瞳面の光束のx-z断面の光線の横収差を表している。

【0009】
次に、「0.00°」、「1.50°」、「2.10°」及び「3.00°」について説明する。「0.00°」は、図7中の光束76の主光線77が、上記紙面内にあり且つ光軸75に対して8.7°の角度を成して反射光学系70に入射した場合を示す。

【0010】
「1.50°」、「2.10°」及び「3.00°」は、上記紙面に垂直な平面内において、主光線に対してそれぞれ1.50°、2.10°及び3.00°の角度を成し且つ上記紙面内の光軸75に対して8.7°の角度を成して反射光学系に入射した場合を示す。

【0011】

【発明が解決しようとする課題】従来この種の反射光学系に用いられている反射鏡は、上述したように、全て非球面形状であり、そのような非球面形状を有する反射鏡を加工する際には、コンピュータ制御による研磨を行い、且つ、高い研磨精度を得るためには、ナル(null)干渉計等の特別な検査装置を用いて鏡面の検査を行っている。この検査において、ナル・レンズと市販の干渉計との組合せで非球面の検査を行うことができるが、特に凸面の検査の場合においては、干渉計の口径と参照用レンズの焦点距離を考えると、検査する凸面鏡の口径が大きいときには複雑なナル干渉計を構成しなければならない。このため、測定系の信頼性が低下する一方、コストは増大する等の問題が生ずる。更に、ナル干渉計には、後述のように、中心遮蔽の問題もある。また、被検面が2次曲面の場合には、凸面であっても無収差となる2つの焦点の性質を利用したヒンドル・スフィア(Hindle Sphere)を用いた検査によって原理的には検査可能ではあるが、やはりヒンドル・スフィアによる中心遮蔽の問題は避けらない。このため、殆どの場合において全面測定が困難であり、従って、面形状がかなり制約される等の問題があるため、簡易な検査ができないという問題点があった。

【0012】
図3は、凸面鏡の非球面とナル・テストを行うためのナル干渉計を示している。図示のように、ナル干渉計30は、ナル・レンズ31、ミラー32、ナル・ミラー33及びフィゾー干渉計35を備えており、被検物34の面形状を測定する。このとき、観察面36は、フィゾー干渉計35の内部にある。この図3から分るように、被検物34即ち凸面鏡の中心部分はミラー33によって遮蔽されており、このため、凸面鏡全面の測定を行うことはできない。しかも、ナル干渉光学系は高精度に構成することが要求されるため、多大なコストが発生する。

【0013】
このように、非球面の凸面鏡を低コストで且つ高い信頼性で測定することのできる測定系は存在しない。そして、反射鏡の測定系の信頼性が低くなれば、光学系を構成したときに設計値に近い性能を達成することは困難になり、非球面を多用した反射光学系の優位性は消滅する。また、図7に示す構成の光学系を組み立てる場合、全ての反射鏡が非球面であると各反射鏡の軸を見つけることが非常に困難であり、組立て・調整が難しいという問題点もあった。

【0014】
従って、本発明の目的は、非球面の凸面鏡を使用しない反射光学系を提供することである。

【0015】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によれば、遠方物体の像を光軸外に形成する反射光学系であって、物体側から順に、第1の凹面鏡、凸面鏡、及び第2の凹面鏡を有するものが提供され、この反射光学系は、凸面鏡が球面で構成されていることを特徴としている。

【0016】
この場合において、第1の凹面鏡が光軸に関し回転対称な2次曲面であり、非球面形状式を
z=C・ρ2/[1+{1-(κ+1)・C2・ρ21/2
(式中、Cは曲率半径Rの逆数、ρは反射鏡面の光軸からの高さ、zはサグ(sag)量、及びκは円錐係数をそれぞれ表す)としたとき、第1の凹面鏡の円錐係数κ1が、
-9<κ1<-2
の条件を満たすのが好ましい。円錐係数κ1が-9以下又は-2以上になると、反射光学系の小型化が困難になる。

【0017】
更に、第2の凹面鏡が光軸に関し回転対称な2次曲面であり、その円錐係数κ2が、
0<κ2<0.5
の条件を満たすのが好ましい。円錐係数κ2が0以下又は0.5以上になると、反射光学系の小型化が困難になる。なお、より好ましくは、0.15<κ2<0.2である。

【0018】
また、好適に、凸面鏡の周囲には絞りが配設されており、且つ、反射光学系は像側にテレセントリックである。

【0019】
更に、反射光学系のFナンバーは3.5以上であるのが好ましい。Fナンバーが3.5未満であると、入射角が大きくなり、これにより、非点隔差が大きくなり、もって広フィールドの実現が困難になる。また、口径が大きくなるので、球面収差やコマ収差も大きくなる。

【0020】

【発明の実施の形態】図1を参照するに、本発明に係る反射光学系10は、非球面形状の第1の凹面鏡11、球面形状の凸面鏡12、及び非球面形状の第2の凹面鏡13を備えており、凸面鏡12の周囲には絞り14が配設されている。各反射鏡の曲率中心は光学系の光軸15上にあり、反射光学系10は、共軸系を成している。光軸15から所定角度傾いて第1の反射鏡11の後方にある虚の入射瞳に向けて、主光線17を含む、遠方の物体からの光束16が入射し、第1の凹面鏡11、凸面鏡12、及び第2の凹面鏡13の順に反射して光軸15外の像面18に良像を形成する。ここで、良像を形成する範囲は、光軸15から離れた円環状のフィールド内であり、この部分に達する光束は、光学系を構成する反射鏡によって遮蔽されることはない。また、凸面鏡12と第2の凹面鏡13との位置関係は、実質的に第2の凹面鏡13の中心曲率半径の2分の1の位置に凸面鏡12が配置されており、もって、反射光学系10は、実質的にテレセントリックな光学系を成している。

【0021】
ここで、本発明においては、凸面鏡12の面形状は、非球面ではなく、球面である。このため、図2に示すフィゾー干渉計20による面形状の検査が可能となり、もって検査が容易となり、且つ、球面は、非球面に比べると加工も容易であり、加工誤差も生じ難い。なお、フィゾー干渉計20は、参照面21aを有する参照レンズ21とハーフミラー22とを備えており、面形状の検査は、被検物23を観察面24で観察することにより行う。また、凸面鏡が球面であるため凸面鏡の軸が容易に設定でき、これを基準に組み立てることができるため、組立て・調整が容易になる。

【0022】

【実施例】
[実施例1]本発明の第1実施例の光学データを下記の表3に示す。Fナンバは4.5、焦点距離は1000である。

【0023】

【表3】
JP0003045483B2_000004t.gif【0024】表3に示されている光学データに基づいて計算した横収差及びスポットを図4に示す。図4と図6との比較から、本発明の第1実施例は、性能において従来例に遜色がないということが理解されよう。

【0025】
[実施例2]本発明の第2実施例の光学データを下記の表4に示す。Fナンバは6.7、焦点距離は1000である。

【0026】

【表4】
JP0003045483B2_000005t.gif【0027】表4に示されている光学データに基づいて計算した横収差及びスポットを図5に示す。図5から、本発明の第2実施例は、十分実用に耐え得る性能を有しているということが理解されよう。

【0028】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、中心遮蔽のない軸外し反射光学系の凸面鏡を球面化することにより、凸面鏡の加工信頼性を向上させることが可能になると共に、検査・加工にかかるコストを大幅に削減することが可能になる。また、凸面鏡を基準に組み立てることができ、組立て・調整の容易化が可能となる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6