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明細書 :走査型赤外線検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3062590号 (P3062590)
公開番号 特開平10-267754 (P1998-267754A)
登録日 平成12年5月12日(2000.5.12)
発行日 平成12年7月10日(2000.7.10)
公開日 平成10年10月9日(1998.10.9)
発明の名称または考案の名称 走査型赤外線検出器
国際特許分類 G01J  1/04      
G01J  1/02      
FI G01J 1/04 D
G01J 1/02
請求項の数または発明の数 2
全頁数 4
出願番号 特願平09-090341 (P1997-090341)
出願日 平成9年3月24日(1997.3.24)
審査請求日 平成9年3月24日(1997.3.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】佐藤 祐司
【氏名】岡田 昌彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】北川 清伸
参考文献・文献 特開 平3-251728(JP,A)
特開 平8-219880(JP,A)
特開 平9-189610(JP,A)
調査した分野 G01J 1/02 - 1/04
G01J 1/42 - 1/44
G01J 5/02
G01J 5/62
G01V 9/04
G04N 5/33 - 5/335
特許請求の範囲 【請求項1】
赤外線検出素子を直線配列した赤外線検出素子アレイを走査方向に間隔をあけて複数平行に配置して構成され、それら複数の赤外線検出素子アレイが熱源に対して平行にかつ同時に走査されて熱源からの赤外線放射をレンズを介して検知する赤外線センサと、
互いに異なる赤外線検出素子アレイに属していて前記走査の方向の平行線上にある対をなす赤外線検出素子同士の赤外線検出信号を差分演算する演算回路とを備えることを特徴とする走査型赤外線検出器。

【請求項2】
前記赤外線検出素子アレイが、焦電型の赤外線検出素子を配列して構成されている請求項1記載の走査型赤外線検出器。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、背景の赤外線放射中に存在する熱源からの赤外線放射を、赤外線センサを走査することにより効果的に検出可能とした走査型赤外線検出器に関するものである。

【0002】

【従来の技術】従来、赤外線を検出する方法としては、単素子赤外線センサ、1次元赤外線検出素子アレイ、赤外線画像センサが用いられており、いずれも背景からの赤外線放射に熱源からの赤外線放射が重畳した赤外線放射を検出するものである。また、赤外線センサの出力信号から目的の赤外線放射のみを抽出するためには、複雑な信号処理回路が必要であった。さらに、赤外線検出素子の応答性能が焦電型のように比較的遅いものと量子型のように応答性能の比較的早いものでは用途別に検出素子を使い分ける必要があった。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した複雑な信号処理回路を必要とせず、赤外線センサ構成に工夫を加えることにより、これらの問題点を解決し、赤外線センサに用いる赤外線検出素子の応答性能に関係なく、簡単な演算回路で背景の赤外線放射から目的の赤外線放射のみを効果的に検出可能とした走査型赤外線検出器を提供することを目的とするものである。

【0004】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0005】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の走査型赤外線検出器は、赤外線検出素子を直線配列した赤外線検出素子アレイを走査方向に間隔をあけて複数平行に配置して構成され、それら複数の赤外線検出素子アレイが熱源に対して平行にかつ同時に走査されて熱源からの赤外線放射をレンズを介して検知する赤外線センサと、互いに異なる赤外線検出素子アレイに属していて前記走査の方向の平行線上にある対をなす赤外線検出素子同士の赤外線検出信号を差分演算する演算回路とを備えた構成としている。

【0006】


【0007】
また、前記赤外線検出素子アレイが、焦電の赤外線検出素子を配列して構成されていてもよい。

【0008】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る走査型赤外線検出器の実施の形態を図面に従って説明する。

【0009】
図1は本発明に係る走査型赤外線検出器の実施の形態であって、背景10の赤外線放射12中に含まれる熱源11(背景よりも低温のものも含む)の赤外線放射13を検出する模式図である。この図において、8は赤外線検知部であり、走査方向9(例えば横方向に等速)に走査されている。赤外線検知部8は、そのケース8a内に、レンズ1を支持するともに赤外線センサ2を内蔵したハウジング4を有し、さらに赤外線センサ2の出力信号を増幅するアンプ5及び該アンプ5の出力を演算する演算回路6を具備している。7は演算回路6の演算出力である。なお、ケース8aのレンズ1の前面に当たる部分には穴3が形成されている。

【0010】
図2は本発明を実現するための実験に用いた5素子2列配列の赤外線センサ2を用いた例である。この図に示すように、前記赤外線センサ2は赤外線検出素子18~22を1列に直線配列した第1の赤外線検出素子アレイ14と、これと平行に赤外線検出素子23~27を1列に直線配列した第2の赤外線検出素子アレイ15とからなっている。なお、各アレイ14,15の配列方向は走査方向9と直交する方向である。従って、赤外線センサ2を走査したとき、赤外線検出素子18と23の対は一定時間遅れて同じ検出出力を出す。赤外線検出素子19と24の対、…、赤外線検出素子22と27の対についても同様である。

【0011】
アンプ5は、第1の赤外線検出素子アレイ14の各赤外線検出素子18~22の検出出力をそれぞれ増幅するアンプ部16-1~16-5と、第2の赤外線検出素子アレイ15の各赤外線検出素子23~27の検出出力をそれぞれ増幅するアンプ部17-1~17-5とからなっている。

【0012】
演算回路6は、対をなす赤外線検出素子18,23のアンプ部16-1,17-1で増幅された出力を受ける演算部6-1と、対をなす赤外線検出素子19,24のアンプ部16-2,17-2で増幅された出力を受ける演算部6-2と、対をなす赤外線検出素子20,25のアンプ部16-3,17-3で増幅された出力を受ける演算部6-3と、対をなす赤外線検出素子21,26のアンプ部16-4,17-4で増幅された出力を受ける演算部6-4と、対をなす赤外線検出素子22,27のアンプ部16-5,17-5で増幅された出力を受ける演算部6-5とを内蔵しており、各演算部6-1~6-5からそれぞれ演算出力7-1~7-5が得られるようになっている。

【0013】
この実施の形態において、赤外線検知部8を、背景10及び熱源11に対向させて走査方向9に直線的に走査することにより、熱源11から放射される赤外線放射13が該赤外線検知部8のレンズ1を通して赤外線センサ2に入射し、これをアンプ5で一定レベルに増幅し、演算回路6で演算した結果を演算出力7として出力する。ここで、前述した如く赤外線センサ2は2列の赤外線検出素子アレイ14,15を有するものであって、アンプ5は赤外線検出素子アレイ14,15の個々の赤外線検出素子18~22,23~27の出力をアンプ部16-1~16-5,17-1~17-5でそれぞれ一定レベルに増幅する機能を持ち、演算回路6は赤外線検出素子14,15の対をなす赤外線検出素子の増幅後の出力同士をそれぞれ演算部6-1~6-5で演算(具体的には差分を取る)した演算出力7-1~7-5、つまり熱源11に対応した目的の赤外線検出信号を出力する機能を持つ。

【0014】
この場合、2つの赤外線検出素子アレイ14,15は、熱源11に対して平行にかつ同時に走査されることにより、検出時間に差が生じ、すなわち両アレイの間隔により定まる走査時間の位相遅れが生じ、検出信号波形に位相のずれが生じることを利用し、演算回路において2つの出力の差分をとるようにして目的の熱源11を検出する。

【0015】
図3は、前記赤外線センサ2を構成する平行配置の赤外線検出素子アレイ14,15において、走査方向9の平行線上にある対をなす赤外線検出素子20と赤外線検出素子25の赤外線検出信号及び演算結果の模式図であり、同図(A)は対をなす赤外線検出素子20と赤外線検出素子25の赤外線検出信号を個別に示し、同図(B)は両赤外線検出信号の差分を演算回路6(演算部6-3)で演算した後の演算出力である。同図(A)の如く、背景に対して温度差のある目標となる熱源があると、第1の赤外線検出素子アレイ14と第2の赤外線検出素子アレイ15の間隔分の時間差が生じて検出され、同図(B)の如く、それらの検出信号の差分をとることにより0レベルとクロスする点で目標となる熱源を検出することになる。

【0016】
図4は、実際に本発明を実証する実験結果であり、熱源から50m離した位置において背景中に含まれている該熱源を走査した時に得られる互いに対をなす2個の赤外線検出素子の検出出力と両者の差分を取った演算出力である。このように対をなす赤外線検出素子の出力の差分をとるだけの単純な演算回路構成で所望の演算出力の結果を得ることができる。

【0017】
なお、図2の回路では、演算出力として7-1~7-5の5個が得られるが、例えば演算出力7-1~7-5のいずれか1つが図4の如き目標検出を示せば、目標有りとすることができる。

【0018】
この実施の形態によれば、実証実験の結果からも明らかなように、平行に並べられた2列の赤外線検出素子アレイ14,15を同時に走査することにより、検出時間差を利用して背景中に含まれる熱源の赤外線放射のみを信号強調して検出するのに極めて有効である。

【0019】
また、検出素子の応答性能に無関係な赤外線検出器の実現が可能であり、例えば赤外線検出素子として応答特性が比較的遅い焦電型の赤外線センサにおいても、2列の赤外線検出素子アレイ14,15の出力を演算回路6において差分演算を施すことにより、高速応答の赤外線検出素子と同等の検出が可能である。

【0020】
さらに、検出後の演算回路が簡単な構成で実現できる。

【0021】
なお、図2では赤外線センサ2の各赤外線検出素子アレイとして実験的に5素子の場合を例示したが、各赤外線検出素子アレイの素子個数は任意である。

【0022】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0023】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る走査型赤外線検出器によれば、複雑な信号処理回路を必要とせず、赤外線センサに用いる赤外線検出素子の応答性能に関係なく、簡単な演算回路で背景の赤外線放射から目的の赤外線放射のみを効果的に検出可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3