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明細書 :受信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3079252号 (P3079252)
公開番号 特開平10-271022 (P1998-271022A)
登録日 平成12年6月23日(2000.6.23)
発行日 平成12年8月21日(2000.8.21)
公開日 平成10年10月9日(1998.10.9)
発明の名称または考案の名称 受信装置
国際特許分類 H04B  1/10      
H04K  3/00      
FI H04B 1/10 V
H04K 3/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 5
出願番号 特願平09-090342 (P1997-090342)
出願日 平成9年3月24日(1997.3.24)
審査請求日 平成9年3月24日(1997.3.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】神力 正宣
【氏名】佐藤 玲司
【氏名】伊藤 敏晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】青木 重徳
参考文献・文献 特開 昭55-27766(JP,A)
特開 昭60-122(JP,A)
特開 平2-268023(JP,A)
神力正宣;“SN比改善のための非線形技術”電子情報通信学会技術研究報告,Vol.86,No.274(CAS86-164)(1986.12.17)p.7-12
神力正宣;“干渉波除去方式に関する研究(非線形回路による方法)”防衛庁技術研究本部技報,第6221号(ISSN 0916-2852),UDC:621,396(R)(1992.5.14:受入)p.1-8
神力正宣,阿部精順,島野不二郎;“非線形処理による同時送受信”電子情報通信学会論文誌 V-2,Vol.J81-B-2,No.9(1998.9.25)p.872-882
調査した分野 H04B 1/10
H04B 7/005
H04B 15/00
H04K 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
受信信号入力を第1の非線形回路に通過させた後、再び第2の非線形回路に通過させた出力と、前記第1の非線形回路の出力との差を、前記受信信号入力の検波信号で変調して雑音を除去することを特徴とする受信装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、受信信号に含まれる雑音又は干渉波(以後雑音という)を除去する受信装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】従来、固定周波数の雑音は、ノッチフィルタで除去でき、また周波数が変動する場合はアダプテブ・フィルタを用いて除去できるが、雑音の帯域幅が信号成分の帯域幅と比較して狭い場合にしか有効でない。

【0003】
雑音と信号成分の帯域幅が同程度の場合についても、雑音が除去できる方法が文献「M.Shinriki,"Nonlinear Techniques For The Improvement Of Signal-to-Noise-Ratio"IEEE,VOL.COM-34,No.9(1986)」に開示されたものがある。しかし、雑音の振幅変動が雑音の位相変動と比較して、比較的緩やかに変動する場合に限られるという欠点があった。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】従来の干渉波抑圧手段を備えた受信装置は、上記のように雑音の位相成分の変動と比較して、雑音の振幅成分の変動が緩やかに変動するような雑音に限定されるという課題があった。

【0005】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の受信装置は、受信信号入力を第1の非線形回路に通過させた後、再び第2の非線形回路に通過させた出力と、前記第1の非線形回路の出力との差を、前記受信信号入力の検波信号で変調して雑音を除去する干渉波抑圧手段を備えた構成となっている。

【0006】
本発明に基づく受信装置は、受信信号入力を非線形処理をして抽出すべき信号と較べて非常に強い雑音を除去する装置である。非線形系を具体的に述べれば2つのリミッタと2つのバンドパス・フィルタから成る。最初の第1のリミッタで小信号を抑圧した後、混変調の一部を第1のバンドパス・フィルタで除去する。混変調の一部を除去した後再び第2のリミッタと第2のバンドパス・フィルタに通過させる。このとき、小信号がさらに抑圧される。第1のバンドパス・フィルタの出力と第2のバンドパス・フィルタの出力との差を取ると、抽出すべき信号成分の一部がキャンセルされるだけで、強い雑音が除去できる。さらに、受信信号入力の振幅波形を復元するため、この出力を元の入力の包絡線で変調したものが受信機の出力となる。

【0007】
この構成により、受信装置は、入力雑音の振幅の帯域幅が、入力雑音の位相の帯域幅と較べて広くても、雑音を除去できるものである。

【0008】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る受信装置の実施の形態について、構成及び動作原理を説明する。

【0009】
本発明に係る受信装置の実施の形態の基本回路構成は図1に示すように、第1及び第2のリミッタ1,3と、第1及び第2のバンドパス<HAN>・</HAN>フィルタ2,4、包絡線検波器5、差回路6及び変調器(掛け算器)7から成る。

【0010】
そして、受信信号入力を第1のリミッタ1で抑圧した後、第1のバンドパス・フィルタ2で高調波と混変調の一部を除去し、さらに第2のリミッタ3で再び抑圧した後、第2のバンドパス・フィルタ4で高調波と不用な混変調を除去し、この出力と第1のバンドパス・フィルタ2の出力との差を差回路6で取り、さらに、前記受信信号入力の振幅波形を復元するため、差回路6の出力を元の受信信号入力の包絡線検波器5による包絡線検波出力で変調器7で変調して雑音の抑圧された出力を得る。

【0011】
次に、上記実施の形態の動作説明を詳述する。

【0012】
受信装置の入力として、理解を良くするため、角周波数ω1及びω2の2つの連続波を与える。
X(t)=A1{cosω1t+a<HAN>・</HAN>cosω2t}

【0013】
ここでA1はω1の振幅であり、A1<HAN>・</HAN>aはω2の振幅成分である。従って、aはω1とω2の2つの連続波の振幅比である。ここでは雑音が非常に強い場合を想定して、a<<1の場合を想定する。従って、(1)ではω1成分を雑音、ω2成分を信号とする。リミッタ1は理想リミッタを用いると、この入出力特性は
【数1】
JP0003079252B2_000002t.gifである。ここで、Y1(t)は理想リミッタの出力である。a<<1と仮定すると、Y1(t)は近似的に次のように表せる。

【0014】

【数2】
JP0003079252B2_000003t.gifバンドパス・フィルタ2が高調波のすべてと混変調モードの一部を除去すると、
2(t)=cosω1t+(a/2)cosω2t-(a/2)<HAN>・</HAN>α<HAN>・</HAN>cos(2ω1-ω2)t
となる。ここでαはバンドパス・フィルタによる減衰率である。バンドパス・フィルタ2の出力を、再びリミッタ3に入力する。リミッタ3は理想リミッタを用い、バンドパス・フィルタ4でリミッタ3の出力の高調波のみを除去すると、バンドパス・フィルタ4の出力は次のように表せる。
3(t)=cosω1t+(a/4)(1+α)cosω2t-(a/4)<HAN>・</HAN>(1+α)cos(2ω1-ω2)t
バンドパス・フィルタ2の出力Y2(t)とバンドパス・フィルタ4の出力Y3(t)の差を取ると、
4(t)=-(a/4)(1-α)cosω2t-(a/4)<HAN>・</HAN>(1-α)<HAN>・</HAN>cos(2ω1-ω2)t
のように表せる。差回路6の出力を受信信号入力の包絡線検波器5の包絡線検波出力を用いて変調器7で変調すると、
Z(t)=A1{(a/4)(1-α)cosω2t-(a/4)<HAN>・</HAN>(1-α)<HAN>・</HAN>cos(2ω1-ω2)t}
のような受信機出力Z(t)を得ることができる。このとき、ω1成分は大きな雑音成分と仮定すると、出力Z(t)ではω1成分は除去できていることがわかる。つまり、ω1とω2の混変調成分の振幅成分が小振幅(a/4)の積で表されており、十分抑圧されていることを示している。

【0015】
次に、受信装置への入力として、角周波数ω0を中心(角周波数ω1とω2が等しい場合)とした信号成分と雑音成分を与えたとすると、
X(t)=S(t)cos{ω0t+θs(t)}+N(t)<HAN>・</HAN>cos{ω0+θn(t)}
但し、S(t)<<N(t)
と表せる。ここでS(t)とθs(t)は信号成分の振幅と位相であり、N(t)とθn(t)はそれぞれ雑音成分の振幅と位相である。

【0016】
入力X(t)をリミッタ1とバンドパス・フィルタ2を通過させる。このとき、バンドパス・フィルタ2の帯域幅が高調波のみを除去するなら
1(t)=cos{ω0t+θn(t)}+{S(t)/2N(t)}<HAN>・</HAN>cos{ω0t+θs(t)}-{S(t)/2N(t)}<HAN>・</HAN>cos{ω0t+2θn(t)-θs(t)}
となる。このときY1(t)の第1項及び第2項の帯域幅が第3項と較べて小さいなら、バンドパス・フィルタ2は第3項の混変調項の一部を除去することができる。通常、第3項は2θn(t)を有するためこの仮定は成立すると考えられる。

【0017】
1(t)はバンドパス・フィルタ2のインパルス応答をh(t)とすると、
【数3】
JP0003079252B2_000004t.gifのように近似的に表せる。さらに、Y2(t)がリミッタ3及びバンドパス・フィルタ4を通過すると
【数4】
JP0003079252B2_000005t.gifとなる。

【0018】
バンドパス・フィルタ2の出力Y2(t)とバンドパス・フィルタ4の出力Y3(t)の差を取ると、Y4(t)は、
【数5】
JP0003079252B2_000006t.gifで与えられる。

【0019】
差回路6の出力を受信信号入力の包絡線検波器5の包絡線検波出力を用いて変調器7で変調すると、
【数6】
JP0003079252B2_000007t.gifを得る。このとき、一般的に、出力の信号成分の定義は、入力の信号成分の振幅と位相を保持している成分である。従って、受信機出力の信号成分はY5(t)の第1項のみであり、他の項は雑音成分であると考えられる。しかし、雑音成分の大きさはSの大きさに比例する項であり、S<<Nであったから雑音はほとんど除去できていると考える。

【0020】
図2及び図3は図1の実施の形態に示す回路をコンピュータでシミュレーションした場合の結果であり、図2は入力スペクトルであり、図3は出力スペクトルである。入力雑音には、FM/AM変調波を用いた。すなわち、雑音の振幅N(t)は、1+0.5sin(8π)tで与えられる。また、雑音の周波数は1.011kHzを中心に±4.5HzのFM変調を行った。このとき混変調周波数は(2022π+0.5sin9πt)Hzで与えられるものである。また、信号成分は1kHzのサイン波とした。このときの入力スペクトルが図2で表わされるものである。また、入力の信号対雑音比は-20dBである。シミュレーションでは2つのリミッタは理想リミッタとし、第1及び第2のバンドパス・フィルタのバンド幅は40Hzとした。このとき出力のスペクトルが図3であり、図中の1kHzの大きさは約6dBであり、また、雑音の大きさを計算で求めると、入力の信号対雑音比に対して出力の信号対雑音比は14dB程度の改善を確認できた。

【0021】
なお、上記実施の形態では、リミッタとして理想リミッタを用いる場合で説明したが、実質的に理想リミッタとして動作可能な回路であれば使用可能であることは明らかである。

【0022】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の受信装置によれば、入力雑音の振幅の帯域幅が、入力雑音の位相の帯域幅と較べて広くても、雑音を除去でき、雑音に埋もれた信号の信号対雑音比を改善できるものである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2