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明細書 :波形解析方式

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3170600号 (P3170600)
公開番号 特開平10-267972 (P1998-267972A)
登録日 平成13年3月23日(2001.3.23)
発行日 平成13年5月28日(2001.5.28)
公開日 平成10年10月9日(1998.10.9)
発明の名称または考案の名称 波形解析方式
国際特許分類 H04L 27/34      
G01R 23/16      
H04B  1/707     
H04B  1/713     
H04L 27/10      
H04L 27/18      
FI H04L 27/00 E
G01R 23/16
H04L 27/10
H04L 27/18
H04J 13/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願平09-091546 (P1997-091546)
出願日 平成9年3月26日(1997.3.26)
審査請求日 平成9年3月26日(1997.3.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】大久保 裕
【氏名】小林 雅志
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】高野 洋
参考文献・文献 特開 平3-214829(JP,A)
特開 平6-261082(JP,A)
特開 平2-268283(JP,A)
特開 平5-218914(JP,A)
特開 平7-177106(JP,A)
特開 平8-163187(JP,A)
特開 平9-200079(JP,A)
特開 平9-318682(JP,A)
“非線形処理によるπ/4シフトQPSKの波形特性の検討”,1997年電子情報通信学会総合大会講演論文集,通信1,p.189,B-2-3
“2乗処理を用いた直接拡散波の諸元検出の検討”,1994年電子情報通信学会秋季大会講演論文集,基礎・境界,p.150,A-150
調査した分野 H04L 27/00 - 27/38
H04J 13/00 - 13/06
特許請求の範囲 【請求項1】
ディジタル変調波の波形解析方式において、ディジタル変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の整数倍の信号から搬送周波数及び変調諸元に対応した線スペクトラムの周波数を測定する周波数分析器と、前記周波数分析器により制御されて前記線スペクトラムの周波数のみを抽出する帯域濾波器とを備え、
前記ディジタル変調波の占有周波数帯幅は、前記周波数分析器で前記ディジタル変調波の搬送波と変調波の線スペクトラムを観測しながら前記受信器の受信周波数を変化させ、これらの線スペクトラムが消滅する上下の周波数から測定することを特徴とする波形解析方式。

【請求項2】
スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の整数倍の信号から直接拡散波の搬送周波数及び変調諸元に対応した線スペクトラムの周波数を測定する周波数分析器とを備え、
整数倍の搬送波の線スペクトラムから直接拡散波の搬送周波数を測定するとともに、前記整数倍の搬送波の線スペクトラムの両側に得られる拡散符号速度に対応する線スペクトラム及び変調符号速度に対応する線スペクトラムから、拡散符号、変調符号の一方又は両方の測定を行ことを特徴とする波形解析方式。

【請求項3】
スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の整数倍の信号から直接拡散波の搬送周波数に対応した線スペクトラムの周波数を通す狭帯域濾波器と、該狭帯域濾波器の出力信号と前記分配増幅器の入力側の信号とから前記直接拡散波の搬送周波数を判定する判定器とを備え、前記スペクトラム拡散変調波における前記直接拡散波の搬送周波数を識別することを特徴とする波形解析方式。

【請求項4】
スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の2倍以上の周波数の信号を出力する高域濾波器と、該高域濾波器の出力を周波数弁別する周波数弁別器と、比較器と、各周波数に対応したレベルの換算値が記憶されている周波数対レベル基準器と、周波数合成器とを備え、
前記比較器は、前記周波数弁別器の信号の振幅レベルと周波数対レベル基準器の基準レベル値と比較して周波数に対応した制御信号を出力し、前記周波数合成器は前記制御信号により周波数を合成し、周波数ホッピング波の搬送周波数を出力することを特徴とする波形解析方式。

【請求項5】
スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の2倍以上の周波数の信号を出力する高域濾波器と、該高域濾波器の出力を周波数弁別する周波数弁別器と、該周波数弁別器の出力信号を微分する微分回路と、該微分回路のパルス状の波形出力によりパルス信号を発生するパルス発生器とを備え、前記スペクトラム拡散変調波における周波数ホッピング波の拡散符号に同期した信号を再生することを特徴とする波形解析方式。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波の受信も含めた波形解析に関し、特に理想となる変調諸元及びその基準信号が無い状態であっても波形解析できる非線形処理による波形解析方式に関するものである。

【0002】

【従来の技術】図16は、従来のディジタル変調波の波形解析を示すブロック回路構成図であり、図において、1は受信器、2は復調器、3は理想変調諸元、4は理想基準信号である。

【0003】
また図17は、従来のスペクトラム拡散変調波の波形解析を示すブロック回路構成図であり、図において、1は受信器、2は復調器、4は理想基準信号、5は逆拡散器、6は理想変調諸元、7は理想基準信号である。従って、ディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波の受信も含めた波形解析は、理想状態における変調諸元(変調型式、搬送周波数、変調速度、占有周波数帯幅波、同期信号、拡散符号、拡散符号速度)及びその基準信号との誤差を測定する方式である。

【0004】
これらのディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波の波形解析の説明をベクトル図及びスペクトラム波形の図により8相PSKを例に挙げて詳細に説明する。

【0005】
図2の入力波f0は、8相PSKのベクトル図を示したものである。図3の入力波f0は、8相PSKのスペクトラム図を示したものである。

【0006】
次に動作について説明する。ディジタル変調波は、情報符号「1」又は「0」を1ビットで又は多重化して搬送波を周波数偏移(FSK,MSK,GMSK---)及び位相偏移(2m相PSK(mは正整数)、π/4シフトQPSK,多値QAM---)させて変調するか、又はこれらを組み合わせて変調するスペクトラム拡散変調波がある。これらのディジタル変調波を説明できるベクトル図及びスペクトラム波形の図により8相PSKを例に挙げて詳細に説明する。8相PSKは、情報符号3ビットを「1,1,1」、「1,1,0」、「1,0,1」、「1,0,0」、「0,1,1」、「0,1,0」、「0,0,1」、「0,0,0」と多重化して、搬送波の位相をそれぞれ「0」、「π/4」、「π/2」、「3π/4」、「π」、「5π/4」、「3π/2」、「7π/4」とし、「π/4」毎に分割した位相でディジタル変調を行っている。図2の入力波f0は、この様子を示したもので、8相PSKのベクトル図を示したものである。図16の受信器1は、理想となる搬送周波数及び占有周波数帯幅によりディジタル変調波を受信し、一定の周波数となるような中間周波数に下げて出力する。理想変調諸元3は、受信器1で受信するディジタル変調波の変調型式、搬送周波数、変調速度、占有周波数帯幅の変調諸元を予め有し、受信器1、復調器2、理想基準信号4に変調諸元設定する。理想基準信号4は、変調諸元からディジタル変調波と同じタイミングで変調されていない理想となる搬送周波数、変調波を再生して復調器2に出力する。復調器2は、理想基準信号4及び理想変調諸元3から理想となる搬送周波数、変調型式、変調速度を基に中間周波数のディジタル変調波と比較し、その誤差から変調符号を出力する。このように従来、8相PSK変調波の波形解析は、理想状態の変調諸元と実測値との誤差を測定する方式である。

【0007】
スペクトラム拡散変調波は、ディジタル変調波をもう一回ディジタル変調するものである。このため図17においては、図16の構成に復調器2に相当する逆拡散器5をさらに挿入し、これに理想基準信号7を与えるようにしたもので、同様な動作を行うので詳細は省略する。

【0008】
上記8相PSK変調波を含む他のディジタル変調波、スペクトラム拡散変調波の波形解析方式の動作については、例えば、スペクトラム拡散通信システム(科学技術出版社)に詳しく論じられている。

【0009】

【発明が解決しようとする課題】従来のディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波の波形解析は、以上のように構成されているので、理想となる変調諸元及び基準信号が必要であるため、これらが無い状態では波形解析が不可能となる。この結果、広い周波数帯域では、多種多様の信号が有るため、受信も含めた波形解析ができなくなるという問題点があった。

【0010】
本発明は、上記のような問題を解消するためになされたもので、理想となる変調諸元及び基準信号を必要としないで、ディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波の波形解析が可能な波形解析方式を提供することを目的とする。

【0011】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0012】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本願第1発明は、ディジタル変調波の波形解析方式において、ディジタル変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の整数倍の信号から搬送周波数及び変調諸元に対応した線スペクトラムの周波数を測定する周波数分析器と、前記周波数分析器により制御されて前記線スペクトラムの周波数のみを抽出する帯域濾波器とを備え、前記ディジタル変調波の占有周波数帯幅は、前記周波数分析器で前記ディジタル変調波の搬送波と変調波の線スペクトラムを観測しながら前記受信器の受信周波数を変化させ、これらの線スペクトラムが消滅する上下の周波数から測定することを特徴としている。

【0013】


【0014】
また、本願第2発明は、スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の整数倍の信号から直接拡散波の搬送周波数及び変調諸元に対応した線スペクトラムの周波数を測定する周波数分析器とを備え、整数倍の搬送波の線スペクトラムから直接拡散波の搬送周波数を測定するとともに、前記整数倍の搬送波の線スペクトラムの両側に得られる拡散符号速度に対応する線スペクトラム及び変調符号速度に対応する線スペクトラムから、拡散符号、変調符号の一方又は両方の測定を行うことを特徴としている。

【0015】
本願第3の発明は、スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の整数倍の信号から直接拡散波の搬送周波数に対応した線スペクトラムの周波数を通す狭帯域濾波器と、該狭帯域濾波器の出力信号と前記分配増幅器の入力側の信号とから前記直接拡散波の搬送周波数を判定する判定器とを備え、前記スペクトラム拡散変調波における前記直接拡散波の搬送周波数を識別することを特徴としている。本願第4の発明は、スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の2倍以上の周波数の信号を出力する高域濾波器と、該高域濾波器の出力を周波数弁別する周波数弁別器と、比較器と、各周波数に対応したレベルの換算値が記憶されている周波数対レベル基準器と、周波数合成器とを備え、前記比較器は、前記周波数弁別器の信号の振幅レベルと周波数対レベル基準器の基準レベル値と比較して周波数に対応した制御信号を出力し、前記周波数合成器は前記制御信号により周波数を合成し、周波数ホッピング波の搬送周波数を出力することを特徴としている。本願第5の発明は、スペクトラム拡散変調波の波形解析方式において、スペクトラム拡散変調波の高周波信号を受信する受信器と、該受信器の出力を2信号に同相で分配する分配増幅器と、前記2信号を乗算して入力信号の整数倍の信号を発生する平衡変調器と、前記入力信号の2倍以上の周波数の信号を出力する高域濾波器と、該高域濾波器の出力を周波数弁別する周波数弁別器と、該周波数弁別器の出力信号を微分する微分回路と、該微分回路のパルス状の波形出力によりパルス信号を発生するパルス発生器とを備え、前記スペクトラム拡散変調波における周波数ホッピング波の拡散符号に同期した信号を再生することを特徴としている。

【0016】
本発明においては、平衡変調器等の非線形処理回路を用いて、入力波に対して非線形処理を行い、入力信号の2m倍(m:正整数)の信号及び基底帯域の信号を発生させ、その信号を波形解析している。従って、ディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波について、理想となる変調諸元及び基準信号を用いなくてもこれらについての波形解析ができる作用がある。

【0017】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る波形解析方式の実施の形態を図面に従って説明する。

【0018】
第1の実施の形態
図1は、本発明に係る波形解析方式のブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、10は周波数分析器、11は帯域濾波器である。ディジタル変調波は、情報符号「1」又は「0」を1ビットで、又は多重化して搬送波を周波数偏移(FSK,MSK,GMSK---)及び位相偏移(2m相PSK,π/4シフトQPSK,多値QAM---)で変調するか、又はこれらを組み合わせて変調するスペクトラム拡散変調波がある。このため従来技術の説明と同様これらのディジタル変調波を説明できるベクトル図及びスペクトラム波形の図により8相PSKを例に挙げて詳細に説明する。

【0019】
図2は、図1の端子番号,に対応したベクトルの説明図で、変調されていない基準搬送波に対する変調された搬送波のベクトル図で原点0点として横軸「0°」、縦軸「90°」としたものである。円上の・点は、8相PSK変調された搬送波のベクトル波形の先端で、一点鎖線は、各・点の対称軸を示している。図2の各ベクトル図は、入力波f0を2倍、4倍、8倍したときの波形である。図3のスペクトラム図は、入力波f0を2倍、4倍、8倍したときの波形で、図2のベクトル図に対応した周波数スペクトラムの波形である。

【0020】
次に動作について説明する。受信器1は、8相PSK変調された高周波の信号を中間周波数に下げ、後段の平衡変調器9で不要波が生じないよう雑音を除去し、信号処理しやすい中間周波数に下げて8相PSKを出力する。この出力波は、分配増幅器8により2信号に同相で分配し、平衡変調器9が非線形動作するよう適正レベルに増幅して出力する。

【0021】
平衡変調器9は、非線形素子で2信号を乗算する機能を有し信号の周波数をアップ又はダウンさせたり、抑圧搬送波の信号を得るためリング変調回路として用いられている。通常用いられている平衡変調器9の回路図を図4に示す。図4のダイオードD1~D4は、cd端子の制御によりスイッチ機能を行う。例えばc端子の入力が+(d:-)の時、D1及びD2が導通され出力はab端子の入力波形がそのまま出力される、c端子の入力が-(d:+)の時、D3及びD4が導通となり入力波形は反転されて出力される。ここで2端子入力に同一信号を入力すると負側のみが反転されるため全波整流された信号が出力される。さらに、平衡変調器9は、直流成分が除去されるため、交流成分に対して乗算する。このため入力信号の平均が「0」となるレベルを対称として負側の信号が反転するので絶対値化(整流)された信号が得られ、ダイオードの非線形特性により入力信号の正整数倍の信号が得られる。

【0022】
このようなことから、平衡変調器9の2m倍(m:正整数)の8相PSKの搬送波ベクトルは、それぞれ次のようになる。2倍のf0時のベクトル図は、入力信号の平均「0」となるレベルが対称軸となりこの軸で片側のベクトルが「π」だけシフトされる。また、4倍のf0時のベクトル図は、2倍のf0信号の平均「0」となるレベルが対称軸となりこの軸で片側のベクトルが「π/2」だけシフトされる。8倍のf0時のベクトル図は、4倍のf0信号の平均「0」となるレベルが対称軸となりこの軸で片側のベクトルが「π/4」だけシフトされる。図2は、これらのことを考慮した平衡変調器9の出力で8相PSK変調された搬送周波数のf0、2倍のf0、4倍のf0、8倍のf0のベクトル図を示したものである。この図からf0、2倍のf0、4倍のf0及び8倍のf0のベクトルは、それぞれ8点、4点、2点、1点と変調符号が位相偏移する。これらのうち、f0、2倍のf0及び4倍のf0のベクトル先端・点は、変調符号に依存して位相偏移するが、8倍のf0ベクトル先端・点は、1点となる。この8倍のf0ベクトルは、変調符号に左右されず一定の位置を占めるため、受信器1の中間周波数出力の中心周波数の8倍に搬送周波数の線スペクトラムが観測される。更に、このベクトルは、情報符号の変調速度で位相偏移を受けたf0ベクトルが8乗されて生じたベクトルである。このため位相偏移毎に平衡変調器9の波形応答が歪む現象が生じるので変調速度の低周波の周波数成分が生じる。従って、搬送周波数の線スペクトラムから変調符号が変化する変調速度に対応した周波数だけ離れた所に線スペクトラムが観測される。また、平衡変調器9の非線形機能により8倍の周波数帯に変調速度に対応した線スペクトラムが正整数倍毎に観測される。

【0023】
図3は、周波数分析器10によるスペクトラム波形を示したものである。周波数分析器10は、搬送周波数及び変調速度に対応した線スペクトラムの周波数を正確に測定し、その測定値を帯域濾波器11の中心周波数となるよう制御する。帯域濾波器11は、周波数分析器10の制御により8倍の線スペクトラムの周波数のみを抽出することにより送信側と同期している搬送周波数及び変調波が得られる。占有周波数帯幅は、周波数分析器10で搬送波と変調波の線スペクトラムを観測しながら受信器1の受信周波数を変化させ、これらの線スペクトラムが消滅する上下の周波数から測定を行うことにより得られる。

【0024】
このように8相PSKを例にして説明してきた。これを一般化した2mPSK(mは正整数)の場合、2m倍のf0時のベクトル図は、「2π/2m」シフトすることによりf0ベクトルが1点となるので搬送周波数及び変調波に対応した線スペクトラムが観測される。また他の位相偏移変調(π/4シフトQPSK,多値QAM---)は、2m相PSK変調を応用した変調方式であるため同様に搬送周波数、変調速度及び変調波が線スペクトラムとして観測できる。周波数偏移変調(FSK,MSK,GMSK---)は、2m相PSKの構成を基本として変調波を得ているため同様に搬送周波数、変調速度及び変調波が線スペクトラムとして観測できる。占有周波数帯幅は、周波数分析器10で搬送波と変調波の線スペクトラムを観測しながら受信器1の受信周波数を変化させ、これらの線スペクトラムが消滅する上下の周波数から測定を行うことにより得られる。また変調型式は、線スペクトラムの生じる現象が逓倍数により異なるので周波数分析器10を観測し判断することにより可能となる。更に、その測定値を用い帯域濾波器11の中心周波数を制御することにより、線スペクトラムを抽出することができるのでディジタル変調波と同期している搬送周波数及び変調波が得られる。

【0025】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずにこれらの波形解析ができる方式である。

【0026】
第2の実施の形態
上記第1の実施の形態では、ディジタル変調波の変調諸元による波形解析を行う場合を例にとって説明したが、上記ディジタル変調波の変調符号と同期した信号を再生するために用いてもよく、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。

【0027】
以下、このような本発明の第2の実施の形態を図5について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態によるディジタル変調波の変調符号と同期した信号を再生するためのブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、12は低域濾波器、13はレベル検出器である。

【0028】
次に動作について説明する。上記第1の実施の形態と同様に8相PSK変調波について図5、図2、図3を用いて説明する。図5の受信器1から平衡変調器9までは上記第1の実施の形態と同様の動作を行うので省略する。図5の平衡変調器9の出力信号は、情報符号の変調速度で位相偏移を受けたf0ベクトルが8乗されて生じたベクトルである。このため位相偏移毎に平衡変調器9の波形応答が歪む現象が生じるので変調速度の低周波の周波数成分が生じる。低域濾波器12は、平衡変調器9の出力信号の低周波成分を出力する。この場合、低域濾波器12を通過し、高周波成分が取り除かれるため変調符号に応じたレベル変動が生じる。レベル検出器13は、低域濾波器12の出力信号のレベルを検出し、波形整形することにより、変調符号が再生できる。

【0029】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずにディジタル変調波の変調符号と同期した信号を再生する波形解析が実現できる方式である。

【0030】
第3の実施の形態
上記第1,2の実施の形態では、ディジタル変調波の変調諸元を解析したり変調符号と同期した信号を再生する場合を例にとって説明したが、スペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の搬送周波数及び拡散符号の波形解析に用いてもよく、上記第1,2の実施の形態と同様の効果を奏する。

【0031】
以下、このような第3の実施の形態を図6について説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態によるスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の搬送周波数及び拡散符号の波形解析のブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、10は周波数分析器である。図7は、図6の端子番号,に対応した動作波形の説明図で、搬送周波数、変調符号及び拡散符号の例であり、これに対応した直接拡散波及び非線形処理のうち2乗した処理の時系列波形とスペクトラム波形を示す。また、搬送波が拡散符号「1」から「0」の変化に対応して不連続となる箇所の拡大波形を示す。

【0032】
次に動作について説明する。図6の受信器1から平衡変調器9までは上記第1の実施の形態と同様の動作を行うので省略する。図7の直接拡散波は、拡散符号「1」から「0」又はその逆のとき搬送波の位相が反転し、不連続点が生じる。この不連続点では、高速で極性が変化するため図4の平衡変調器9の波形応答が遅れ波形が歪むことにより図7右側の拡大スペクトラム波形のようになる。この現象は、拡散符号「1」から「0」又はその逆に変化する毎に現れ、「1」から「1」又は「0」から「0」と連続している時には生じない。すなわち拡散符号「1」から「0」に対応した不連続点τ,2τ,3τ,4τ,…,nτ(sec)毎で生じるため1/τ(Hz)の正整数倍を基本とした拡散符号速度の線スペクトラムや変調符号速度(情報伝送符号速度)(1/σ)の線スペクトラムが倍の搬送波2fcの線スペクトラムの両側に得られる。

【0033】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずにスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の搬送周波数及び拡散符号の波形解析が実現できる方式である。

【0034】
第4の実施の形態
上記第3の実施の形態では、広帯域に拡散されているスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の搬送周波数及び拡散符号の波形解析を行う場合を例にとって説明したが、上記スペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の変調符号の波形解析に用いてもよく、上記実施の形態と同様の効果を奏する。

【0035】
以下、このような第4の実施の形態を図6について説明する。図6は、本発明の第4の実施の形態によるスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の変調符号の波形解析のブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、10は周波数分析器である。

【0036】
次に動作について説明する。図7は、図6の端子番号,に対応した動作波形の説明図で、拡散符号を含んだ変調符号の例であり、これに対応した直接拡散波及び2乗した出力の時系列波形とスペクトラム波形を示す。また、搬送波が変調符号「1」から「0」に変化に対応して不連続となる箇所の拡大波形を示す。図7の直接拡散波の変調符号の帯域幅は、拡散符号より遅いため狭くなる。上記第3の実施の形態において、搬送周波数及び拡散符号の波形解析を行ったが、本実施の形態においても同様に動作する。このため、図6の周波数分析器10の帯域幅を小さくすることで、直接拡散の変調波の変調符号を同様に波形解析できる。このため上記第3の実施の形態と同様であるため説明は省略する。

【0037】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずにスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の変調符号の波形解析が実現できる方式である。

【0038】
第5の実施の形態
また上記第4の実施の形態では、広帯域に拡散されているスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の変調符号の波形解析を行う場合を例にとって説明したが、上記スペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の識別の波形解析に用いてもよく、上記実施の形態と同様の効果を奏する。

【0039】
以下、このような第5の実施の形態を図8について説明する。図8は、本発明の第5の実施の形態によるスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の識別の波形解析のブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、14は狭帯域濾波器、15は判定器である。

【0040】
次に動作について説明する。図7は、図8の端子番号,に対応した動作波形の説明図で、拡散符号、直接拡散波、非線形処理のうち2乗した出力の時系列波形とこの波形に対応したスペクトラム波形を示す。図8の受信器1から平衡変調器9までは上記第4の実施の形態と同様の動作を行うので省略する。2乗した出力の信号は、直接拡散波を全波整流した波形が出力され、搬送波の倍の周波数2fcを基本波とした線スペクトラムが得られる。この信号を狭帯域濾波器14により雑音を抑圧し、出力波と入力波とのレベルを図9の条件で動作する判定器15により判定する。この場合、受信器1の狭帯域である狭帯域濾波器14により雑音が抑圧されるため直接拡散波の搬送波は、判定3の時となる。

【0041】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずにスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散変調波の搬送周波数の識別の波形解析が実現できる方式である。

【0042】
第6の実施の形態
また上記第5の実施の形態では、広帯域に拡散されているスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の識別の波形解析を行う場合を例にとって説明したが、上記スペクトラム拡散変調波のうち周波数ホッピング波の波形解析に用いてもよく、上記実施の形態と同様の効果を奏する。

【0043】
以下、このような第6の実施の形態を図10について説明する。図10は、本発明の第6の実施の形態によるスペクトラム拡散変調波のうち周波数ホッピング変調波の波形解析のブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、16は高域濾波器、17は周波数弁別器、18は比較器、19は周波数合成器、20は周波数対レベル基準器である。図11は、図10の端子番号~に対応した動作波形の説明図で、周波数ホッピング波の時系列波形等を示す。

【0044】
次に動作について説明する。図10の受信器1から平衡変調器9までは上記第5の実施の形態と同様の動作を行うので省略する。この平衡変調器9で非線形処理した信号は、全波整流されることから入力波の2倍の周波数以上の信号が出力される。高域濾波器16は、平衡変調器9で非線形処理した信号のうち2倍以上の搬送周波数の信号’を出力する。周波数弁別器17は、高域濾波器16の出力信号’を周波数弁別(検波)し、搬送周波数に対応した振幅レベルの信号を出力する。従って、図11の周波数ホッピング波は非線形処理されることにより、周波数偏移する搬送周波数F1とF2の差△Fが、2倍の△Fに拡大される。この信号’を周波数弁別すると、拡散符号により周波数偏移する搬送周波数が2倍の周波数で偏移するため、乗算しない場合と比べて周波数に対応するF1とF2の振幅レベルの差が広がり、結果として高分解能の搬送周波数に対応した振幅レベルが得られる。周波数対レベル基準器20は、各周波数に対応したレベルの換算値が記憶されている記憶器である。比較器18は、信号の振幅レベルと基準レベル値と比較し、周波数に対応した制御信号を出力する。周波数合成器19は、比較器18の制御信号により周波数を合成し、周波数ホッピング波の搬送周波数を出力する。なお、本方式を拡張させ3乗、4乗、5乗、6乗---の処理を行うことにより周波数ホッピング波の搬送周波数偏移が増加するため分解能も向上する。

【0045】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずに、周波数ホッピング波の搬送周波数を高分解能で、振幅レベル変動として瞬時に抽出して波形解析が実現できる方式である。

【0046】
第7の実施の形態
また上記第6の実施の形態では、広帯域に拡散されているスペクトラム拡散変調波のうち周波数ホッピング波の波形解析を行う場合を例にとって説明したが、上記スペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の拡散符号及び変調符号と同期した信号を再生するために用いてもよく、上記実施の形態と同様の効果を奏する。

【0047】
以下、このような第7の実施の形態を図12について説明する。図12は、本発明の第7の実施の形態によるスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の拡散符号及び変調符号と同期した信号を再生する波形解析のブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、21は低域濾波器、22はレベル検出器、23はパルス発生器である。

【0048】
次に動作について説明する。図12の受信器1から平衡変調器9までは上記第6の実施の形態と同様の動作を行うので省略する。図13は、図12の構成図の端子番号~に対応した動作波形の説明図で、直接拡散波の時系列波形等を示す。直接拡散変調波のベクトル変化点は、平衡変調器9で波形応答が遅れるため高周波成分が取り除かれるのでのように変化する。低域濾波器21は、平衡変調器9で処理した搬送周波数未満の反転した信号を出力する。この場合、の信号の拡散符号の切り替わりの時点の平均レベルは、低域濾波器21を通過し、高周波成分が取り除かれるため、拡散符号切り替わり時点以外の時点より高いレベルとなる。レベル検出器22は、信号の一定レベル以上の信号を検出する。パルス発生器23は、レベル検出器22による信号によりパルス信号を発生する。これらのことから、図13の直接拡散波は全波整流することにより入力波の拡散符号「1」、「0」と切り替わる毎にパルスが得られる。尚、拡散符号より遅い変調符号においても同様の動作が得られる。

【0049】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずに、スペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の拡散符号及び変調符号と同期した信号を再生する波形解析が実現できる方式である。

【0050】
第8の実施の形態
また上記第7の実施の形態では、広帯域に拡散されているスペクトラム拡散変調波のうち直接拡散波の拡散符号及び変調符号と同期した信号を再生する場合を例にとって説明したが、上記スペクトラム拡散変調波のうち周波数ホッピング波の拡散符号と同期した信号を再生するために用いてもよく、上記実施の形態と同様の効果を奏する。

【0051】
以下、このような第8の実施の形態を図14について説明する。図14は本発明の第8の実施の形態によるスペクトラム拡散変調波のうち周波数ホッピング波の拡散符号と同期した信号を再生するためのブロック回路構成図である。図において、1は受信器、8は分配増幅器、9は平衡変調器、16は高域濾波器、17は周波数弁別器、24は高域濾波器(微分回路)、25及び26はパルス発生器である。図15は、図14の構成図の端子番号~に対応した動作波形の説明図で、周波数ホッピング波の時系列波形等を示す。

【0052】
次に動作について説明する。図14の受信器1から周波数弁別器17までは上記第6の実施の形態と同様の動作を行うので省略する。周波数弁別器17の出力信号は、周波数偏移する周波数ホッピング波の搬送周波数F1とF2の差△fが2倍の△fとなるため2△fに対応した振幅レベルとなる。高域濾波器24は、微分回路であるため信号の振幅レベルが変化する毎にパルス状の波形が出力される。パルス発生器25は、の片側のパルスを使用し、一定レベルに達するとパルスを発生する。この機能により信号が下がる時にパルス信号を発生する。同様にパルス発生器26を使用し、もう一方のパルスを使用することにより信号が上がる時にパルス信号が得られる。更に、これらのパルス発生器25、26の出力を極性をそろえて加えることにより信号を得る。このように、図14の構成図は、周波数ホッピング波を全波整流することにより搬送周波数の切り替わる毎にパルスを出力する。

【0053】
このように本実施の形態は、理想となる変調諸元及び基準信号を必要とせずに、広帯域に拡散されている周波数ホッピング波の拡散符号と同期した信号を再生して波形解析ができる方式である。

【0054】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0055】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る波形解析方式によれば、理想となる変調諸元及び参照信号を必要としないため、どのようなディジタル変調波及びスペクトラム拡散変調波の波形であっても変調型式、搬送周波数、変調速度、拡散符号速度、占有周波数帯幅等の各変調諸元をリアルタイムに解析でき、しかも測定対象信号と同期した搬送周波数、変調符号、拡散符号等が得られる。
図面
【図4】
0
【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図12】
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【図7】
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【図11】
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【図10】
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【図13】
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【図16】
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【図15】
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【図14】
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【図17】
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