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明細書 :目標信号検出方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3049260号 (P3049260)
公開番号 特開平11-052046 (P1999-052046A)
登録日 平成12年3月31日(2000.3.31)
発行日 平成12年6月5日(2000.6.5)
公開日 平成11年2月26日(1999.2.26)
発明の名称または考案の名称 目標信号検出方法及び装置
国際特許分類 G01S  7/526     
G01S 15/66      
FI G01S 7/52 J
G01S 15/66
請求項の数または発明の数 3
全頁数 13
出願番号 特願平09-208937 (P1997-208937)
出願日 平成9年8月4日(1997.8.4)
審査請求日 平成9年8月4日(1997.8.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
発明者または考案者 【氏名】高橋 智
【氏名】菊池 達夫
【氏名】金田 章
個別代理人の代理人 【識別番号】100077838、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 憲保
審査官 【審査官】宮川 哲伸
参考文献・文献 特開 平9-145834(JP,A)
特開 平5-87909(JP,A)
特開 平4-134284(JP,A)
特開 平4-1586(JP,A)
特開 平8-220226(JP,A)
特開 平6-102345(JP,A)
特開 平5-52940(JP,A)
調査した分野 G01S 3/80 - 3/86
G01S 5/18 - 5/30
G01S 7/52 - 7/64
G01S 15/00 - 15/96
特許請求の範囲 【請求項1】
水中に音波を発信し、目標からの反響音を受信して得られる受信信号を検出する目標信号検出方法において、前記受信信号を受け該受信信号から前記受信信号の振幅値及び方位を表す時系列信号と、前記受信信号の位相誤差分散値及び方位を表す時系列信号と、前記受信信号のスペクトル及び方位を表す時系列信号とを抽出して出力する時系列信号抽出ステップとを備え、さらに、前記受信信号の振幅値及び方位を表す時系列信号を入力して前記振幅値が予め設定された第1の閾値を越える信号を第1の目標らしき信号として検出する第1のステップと、前記第1の目標らしき信号の時系列的の連続性に応じて前記第1の目標らしき信号の信号長を第1の信号長として算出し該第1の信号長が予め定められた範囲内であると前記第1の目標らしき信号を第1の目標信号として検出する第2のステップと、前記第1の目標信号区間の時系列の振幅及び方位に基づいて前記第1の目標信号区間の振幅の時系列-方位座標の分布に対して任意の直線を当てはめ各振幅の座標点での振幅値を質点の質量と見なして前記直線に加わる各振幅のモーメント又は回転モーメントがゼロとなる直線の傾きを求めて該傾きを前記目標の相対的な向きを表す目標アスペクトとして算出する第3のステップと、前記第1の目標信号の方位及び距離で示される目標検出位置及び前記振幅値の最大値を算出する第4のステップとを備える振幅系信号検出ステップと、前記受信信号の位相誤差分散値及び方位を表す時系列信号を入力して前記位相誤差分散値が予め設定された第2の閾値を下回る信号を第2の目標らしき信号として検出する第5のステップと、前記第2の目標らしき信号の時系列的の連続性に応じて前記第2の目標らしき信号の信号長を第2の信号長として算出し該第2の信号長が予め定められた範囲内であると前記第2の目標らしき信号を第2の目標信号として検出する第6のステップと、該第2の目標信号の方位及び距離で示される目標検出位置及び前記位相誤差分散値の最小値を算出する第7のステップとを備える位相誤差分散系信号検出ステップと、前記受信信号のスペクトル及び受信信号の方位を表す時系列信号を入力して該受信信号のスペクトルから残響信号を除去する第8のステップと、前記受信信号のスペクトルにおける同時刻のスペクトル群の中で最大のスペクトル値を抽出する第9のステップと、前記最大のスペクトル値が予め設定された第3の閾値を越える信号を第3の目標らしき信号として検出する第10のステップと、前記第3の目標らしき信号の時系列的な連続性及び周波数的な連続性に基づいて前記第3の目標らしき信号の信号長を第3の信号長として算出し該第3の信号長が予め定められた範囲内であると前記第3の目標らしき信号を第3の目標信号として検出する第11のステップと、前記第3の目標信号の方位及び距離で示される目標検出位置及び前記スペクトルの最大値及び該最大値を示すスペクトルに対応した周波数を算出する第12のステップとを備えるドップラー分析系信号検出ステップと、前記第1乃至前記第3の目標信号を統合して目標の位置を算出して目標情報とする目標情報算出ステップと、前記目標情報に対して目標の相対的な向きに基づいて重み付けを行って重み付け目標情報として該目標情報に基づいて前記統合された目標信号の目標らしさの程度を示す確信度を算出する確信度算出ステップとを有することを特徴とする目標信号検出方法。

【請求項2】
請求項1に記載された目標信号検出方法において、前記確信度算出ステップは、前記目標信号の目標情報に対して予め目標位置毎に目標のアスペクトに対応した重み付け係数が登録されている重み付けテーブルを参照して重み付けを行い重み付け目標情報とする第1のサブステップと、MYCIN OR演算を用いて前記重み付け目標情報から前記統合された目標信号の目標らしさの程度を示す確信度を算出する第2のサブステップとを有することを特徴とする目標信号検出方法。

【請求項3】
水中に音波を発信し、目標からの反響音を受信して得られる受信信号を検出する目標信号検出装置において、前記音波を発信するとともに前記受信信号を受信する送受波器と、前記受信信号に応じて振幅及び方位を示す振幅系信号、位相誤差分散値及び方位を示す位相誤差分散系信号、及び前記受信信号のスペクトルを示すドップラー分析系信号を出力する信号処理部と、前記振幅系信号、前記位相誤差分散系信号、及び前記ドップラー分析系信号に応じて系統毎に目標らしき信号を抽出してそれぞれ第1乃至第3の目標信号とし該第1乃至第3の目標信号の区間から特徴素の特徴量を算出し出力するとともに振幅系において検出された目標の区間に相当する振幅及び方位の時系列データを出力する信号検出部と、前記第1乃至前記第3の目標信号を各系統で算出された位置に基づいて統合して統合された位置を算出するとともに目標の区間に相当する振幅及び方位の時系列データから目標のアスペクトを算出して、各系統の位置、目標アスペクト、及び統合された各系統の目標信号の特徴素を出力する目標検出部と、前記統合された各系統の特徴素の特徴量の各々に対して前記目標アスペクトに基づいて予め定められた目標のアスペクト毎の重み付けテーブルを参照して重み付けを行い重み付けされた各特徴素から確信度を算出して該確信度に基づいて受信信号を目標からの信号か否かを判定して目標信号の位置を表示部に出力する目標類別部とを有し、前記目標検出部は、前記目標のアスペクトを算出する際、前記第1の目標信号区間の時系列の振幅及び方位に基づいて前記第1の目標信号区間の振幅の時系列-方位座標の分布に対して任意の直線を当てはめ各振幅の座標点での振幅値を質点の質量と見なして前記直線に加わる各振幅のモーメント又は回転モーメントがゼロとなる直線の傾きを求めて該傾きを前記目標の相対的な向きを表す目標アスペクトとして算出するようにしたことを特徴とする目標信号検出装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、水中に音波を発信し、その反響音を受信して目標からの反響音を自動的に探知類別する目標信号検出方法及び目標信号検出装置に関する。

【0002】

【従来の技術】一般に、この種の目標信号検出装置は、操作員の経験や勘により行っていた目標信号の検出作業を支援する際に用いられる。つまり、目標信号検出装置は、操作員が表示器の出力画像を目視により確認したり、反響音を直接耳で聞いて、目標信号の検出作業を行う際の支援として用いられる。

【0003】
従来の目標信号検出装置は、送受波器、信号処理部、信号検出部、目標検出部、目標類別部、重みづけテーブル、及び表示部を備えており、送受波器は、複数の電気音響変換素子を備えてこれら電気音響変換素子は所定の配列に配置されている。そして、送受波器は水中に音波を発信するとともに、目標からの反響音を受信する。

【0004】
信号処理部は、送受波器によって受信された受信信号を入力して、S/N比の向上を行うとともに受信信号が有する複数の特徴を強調して、振幅系信号(振幅、方位)、位相誤差分散系信号(位相誤差分散値、方位)、及びドップラー分析系信号(スペクトル)を出力する。

【0005】
信号検出部は、信号処理部から出力される3系統の時系列信号からそれぞれの系統ごとに目標らしき信号を抽出して目標信号とし、さらに、抽出した目標信号の区間からその信号が有する特徴素の特徴量を算出する。

【0006】
目標検出部は、信号検出部によって抽出された各3系統ごとの目標信号を各系統で算出された位置に基づいて統合して統合された位置を算出して、その位置および統合された各系統の目標信号の特徴素を出力する。

【0007】
目標類別部は、目標検出部から出力される統合された各系統の特徴素の特徴量の各々に対して、予め作成された重みづけテーブルを参照して重み付けを行い、さらに、重み付けされた各特徴素から確信度を算出して、この確信度に基づいて受信信号が目標からの信号か否かを判定し、目標信号の位置等を表示部に出力する。

【0008】
上述のようにして、目標信号の位置等を表示することによって、目標の検出率の向上を図っている。

【0009】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の目標信号検出装置で特徴素として使用する振幅系信号(振幅、方位)、位相誤差分散系信号(位相誤差分散値、方位)、及びドップラー分析系信号(スペクトル)は、目標のアスペクトに基づき変化することが一般的に知られている。このため、同一条件で目標を検出しても目標のアスペクトが異なっていれば、目標の確信度がアスペクトに応じて変化し、安定した検出ができないという問題点がある。

【0010】
本発明の目的は安定して目標の検出を行うことのできる目標信号検出方法および装置を提供することにある。

【0011】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、水中に音波を発信し、目標からの反響音を受信して得られる受信信号を検出する目標信号検出方法において、前記受信信号を受け該受信信号から前記受信信号の振幅値及び方位を表す時系列信号と、前記受信信号の位相誤差分散値及び方位を表す時系列信号と、前記受信信号のスペクトル及び方位を表す時系列信号とを抽出して出力する時系列信号抽出ステップとを備え、さらに、前記受信信号の振幅値及び方位を表す時系列信号を入力して前記振幅値が予め設定された第1の閾値を越える信号を第1の目標らしき信号として検出する第1のステップと、前記第1の目標らしき信号の時系列的の連続性に応じて前記第1の目標らしき信号の信号長を第1の信号長として算出し該第1の信号長が予め定められた範囲内であると前記第1の目標らしき信号を第1の目標信号として検出する第2のステップと、前記第1の目標信号区間の時系列の振幅及び方位に基づいて前記第1の目標信号区間の振幅の時系列-方位座標の分布に対して任意の直線を当てはめ各振幅の座標点での振幅値を質点の質量と見なして前記直線に加わる各振幅のモーメント又は回転モーメントがゼロとなる直線の傾きを求めて該傾きを前記目標の相対的な向きを表す目標アスペクトとして算出する第3のステップと、前記第1の目標信号の方位及び距離で示される目標検出位置及び前記振幅値の最大値を算出する第4のステップとを備える振幅系信号検出ステップと、前記受信信号の位相誤差分散値及び方位を表す時系列信号を入力して前記位相誤差分散値が予め設定された第2の閾値を下回る信号を第2の目標らしき信号として検出する第5のステップと、前記第2の目標らしき信号の時系列的の連続性に応じて前記第2の目標らしき信号の信号長を第2の信号長として算出し該第2の信号長が予め定められた範囲内であると前記第2の目標らしき信号を第2の目標信号として検出する第6のステップと、該第2の目標信号の方位及び距離で示される目標検出位置及び前記位相誤差分散値の最小値を算出する第7のステップとを備える位相誤差分散系信号検出ステップと、前記受信信号のスペクトル及び受信信号の方位を表す時系列信号を入力して該受信信号のスペクトルから残響信号を除去する第8のステップと、前記受信信号のスペクトルにおける同時刻のスペクトル群の中で最大のスペクトル値を抽出する第9のステップと、前記最大のスペクトル値が予め設定された第3の閾値を越える信号を第3の目標らしき信号として検出する第10のステップと、前記第3の目標らしき信号の時系列的な連続性及び周波数的な連続性に基づいて前記第3の目標らしき信号の信号長を第3の信号長として算出し該第3の信号長が予め定められた範囲内であると前記第3の目標らしき信号を第3の目標信号として検出する第11のステップと、前記第3の目標信号の方位及び距離で示される目標検出位置及び前記スペクトルの最大値及び該最大値を示すスペクトルに対応した周波数を算出する第12のステップとを備えるドップラー分析系信号検出ステップと、前記第1乃至前記第3の目標信号を統合して目標の位置を算出して目標情報とする目標情報算出ステップと、前記目標情報に対して目標の相対的な向きに基づいて重み付けを行って重み付け目標情報として該目標情報に基づいて前記統合された目標信号の目標らしさの程度を示す確信度を算出する確信度算出ステップとを有することを特徴とする目標信号検出方法が得られる。

【0012】
さらに、本発明によれば、水中に音波を発信し、目標からの反響音を受信して得られる受信信号を検出する目標信号検出装置において、前記音波を発信するとともに前記受信信号を受信する送受波器と、前記受信信号に応じて振幅及び方位を示す振幅系信号、位相誤差分散値及び方位を示す位相誤差分散系信号、及び前記受信信号のスペクトルを示すドップラー分析系信号を出力する信号処理部と、前記振幅系信号、前記位相誤差分散系信号、及び前記ドップラー分析系信号に応じて系統毎に目標らしき信号を抽出してそれぞれ第1乃至第3の目標信号とし該第1乃至第3の目標信号の区間から特徴素の特徴量を算出し出力するとともに振幅系において検出された目標の区間に相当する振幅及び方位の時系列データを出力する信号検出部と、前記第1乃至前記第3の目標信号を各系統で算出された位置に基づいて統合して統合された位置を算出するとともに目標の区間に相当する振幅及び方位の時系列データから目標のアスペクトを算出して、各系統の位置、目標アスペクト、及び統合された各系統の目標信号の特徴素を出力する目標検出部と、前記統合された各系統の特徴素の特徴量の各々に対して前記目標アスペクトに基づいて予め定められた目標のアスペクト毎の重み付けテーブルを参照して重み付けを行い重み付けされた各特徴素から確信度を算出して該確信度に基づいて受信信号を目標からの信号か否かを判定して目標信号の位置を表示部に出力する目標類別部とを有し、前記目標検出部は、前記目標のアスペクトを算出する際、前記第1の目標信号区間の時系列の振幅及び方位に基づいて前記第1の目標信号区間の振幅の時系列-方位座標の分布に対して任意の直線を当てはめ各振幅の座標点での振幅値を質点の質量と見なして前記直線に加わる各振幅のモーメント又は回転モーメントがゼロとなる直線の傾きを求めて該傾きを前記目標の相対的な向きを表す目標アスペクトとして算出するようにしたことを特徴とする目標信号検出装置が得られる。

【0013】

【発明の実施の形態】以下本発明について図面を参照して説明する。

【0014】
図1を参照して、図示の目標信号検出装置は、目標からの反響音に基づいて受信信号が有する複数の特徴素、例えば、振幅や位相誤差分散値を抽出・統合し、これらの特徴素から反響音の目標らしさ(以下確信度とする)を算出することによって目標からの信号か否かを判定するものである。

【0015】
送受波器1は、複数の電気音響変換素子を備えており、これら電気音響変換素子は所定の配列で配置されている。そして、送受波器1は水中に音波を発信するとともに目標からの反響音を受信信号として受信する。信号処理部2は、送受波器1によって受信された受信信号を入力して、S/N比の向上を行うとともに受信信号が有する複数の特徴を強調して、振幅系信号(振幅、方位)、位相誤差分散系信号(位相誤差分散値、方位)、及びドップラー分析系信号(スペクトル)を出力する。

【0016】
信号検出部3は、信号処理部2から出力される3系統の時系列信号からそれぞれの系統ごとに目標らしき信号を抽出して目標信号とし、さらに、抽出した目標信号の区間からその信号が有する特徴素の特徴量を算出し出力するとともに振幅系において検出された目標の区間に相当する振幅、方位の時系列データを出力する。

【0017】
目標検出部4は、信号検出部3によって抽出された各3系統ごとの目標信号を各系統で算出された位置に基づいて統合して、その統合された位置を算出するとともに目標の区間に相当する振幅、方位の時系列データから目標のアスペクトを算出して、その位置、目標アスペクト、及び統合された各系統の目標信号の特徴素を出力する。

【0018】
目標類別部5は、目標検出部4から出力される統合された各系統の特徴素の特徴量の各々に対して、算出されたアスペクトに基づいて予め作成された目標のアスペクト毎の重みづけテーブル6を参照して重み付けを行い、さらに重み付けされた各特徴素から確信度を算出して、この確信度に基づいて受信信号を目標からの信号か否かを判定し、目標信号の位置などを表示部7に出力する。

【0019】
次に、図2を参照して、信号処理部2について詳細に説明する。

【0020】
信号処理部2はスプリットビーム形成部201を備えており、スプリットビーム形成部201は、送受信器1から複数の電気音響変換素子の出力信号を整相し、任意の方向に対してそれぞれ等しい受波指向性を有する左右2つの受信ビーム(スプリットビーム)を複数個形成する。

【0021】
帯域阻止フィルタ202は、スプリットビーム形成部201により得られた左右2つの受信ビームから、使用条件等から予め特定できる周波数帯域の信号を取り出す。相関演算部203は、帯域素子フィルタ202により取り出された特定の周波数帯域の左右2つの受信ビーム信号間で相関演算を行う。

【0022】
位相差算出部204は、相関演算部203による相関演算結果を利用して左右2つの受信ビーム出力間で位相差を算出するとともに、この位相差を受信信号方位(位相)に変換する。出力検波部205は、位相差検出部204で算出された受信信号方位とともに出力される振幅を絶対振幅に変換し、受信信号方位及び絶対振幅(以下、単に振幅とする)を信号検出部3に出力する。以下、この受信信号の方位及び振幅を出力する系統を振幅系とする。

【0023】
位相誤差分散演算部206は、位相差検出部204からの受信信号方位に基づいて、使用条件等から予め特定できる時間区間内における位相のばらつき(分散値)を算出し、これを受信信号方位とともに信号検出部3に出力する。以下、受信信号の方位及び位相誤差分散値を出力する系統を位相誤差分散系とする。

【0024】
以上説明した振幅系及び位相誤差分散系の構成については、例えば、特開昭59-72073号公報に記載されている。

【0025】
一方、プリフォームドビード形成部207は、送受波器1の複数の電気音響変換素子の出力信号を整相して、任意の方向に対してそれぞれ等しい受波指向性を有する単一受信ビーム(プリフォームドビーム)を複数個形成する。帯域阻止フィルタ208は、プリフォームドビーム形成部207により得られた単一受信ビーム出力から、使用条件等によって予め特定できる周波数帯域の信号を取り出す。FFT209は、帯域素子フィルタ208から出力される受信信号を次々に入力して、これを使用条件等から予め特定できる時間区間でサンプリングしつつ時間区間ごとに高速フーリエ変換演算を行って、各時間毎のスペクトルを得る。そして、この結果を、受信ビームの方位とともに信号検出部3に出力する。以下、受信信号の方位及びそのスペクトルを出力する系統をドップラー分析系とする。

【0026】
次に、図3を参照して信号検出部3について詳細に説明する。なお、ここでは、振幅系、位相誤差分散系、及びドップラー分析系の各系統ごとに説明することとする。

【0027】
まず、振幅系の信号検出処理において、振幅閾値処理部301は、図2に示す出力検波部205から出力された受信信号の方位及び振幅を入力して、次々入力される振幅に対してサンプリング毎に閾値処理を行う。

【0028】
信号長閾値処理部302は、振幅閾値処理部301で閾値処理された振幅を用いて、閾値を超えた目標らしき信号の長さを算出する。さらに、信号長閾値処理部302は、算出された信号長に対して、使用条件等によって予め任意に設定できる目標の長さの範囲の最小値及び最大値によって閾値処理を行う。信号長がこの範囲内であれば、その信号区間を目標の信号区間として、この区間内の受信信号の振幅、方位、サンプリング回数、及び信号長をアスペクト算出部303に出力する。ここでサンプリング回数とは、受信信号の基準点(距離0mに相当)から何回目のサンプリングかを示す値である。

【0029】
アスペクト算出部303は、信号長閾値処理部302から出力される目標信号区間における信号の振幅、方位、サンプリング回数、及び信号長に基づいて目標のアスペクトを算出し、目標信号区間における信号の振幅、方位、目標アスペクト、サンプリング回数、及び信号長を位置算出部304に出力する。

【0030】
ここで、図4乃至図8を参照してアスペクトの算出方法について具体的に説明する。

【0031】
いま、目標区間における信号の振幅の方位軸及びサンプリング回数軸における分布を考える(図4)。次に、この振幅の最大値を抽出してこれを原点として、この点を通る直線Y=AXを与えた時、振幅の振幅値を質量と見なして振幅の各点(各質点)がこの直線に対して与える回転モーメントを考える(図5)。そして、各振幅の質点毎に定義される回転モーメントの総和が最小となる直線の傾きAを目標アスペクトと見なす。

【0032】
つまり、目標アスペクトは、振幅の最大値を回転中心とし、この点を取る直線Y=AXに対して働く各振幅による回転モーメンの総和が、最小となる直線の傾きAに相当する。

【0033】
いま、各質点毎の回転モーメントをMi とし直線の傾きをAとすれば、目標アスペクトは、数1を満足するAを算出することになる。

【0034】

【数1】
JP0003049260B2_000002t.gifここで、Mi は、数2で算出される。

【0035】

【数2】
JP0003049260B2_000003t.gif数2において、Wi は、各振幅の振幅値、L1i,L2iは、図6で定義される距離を示す。なお、各回転モーメントMi の力の働く向きは、原点を振幅の最大値、Y軸を直線Y=AXとして各象限において図7で定義される向きとする。

【0036】
また、L2i及びL1i算出のため必要な点P1iの座標位置Xi 、Yi は、図8で定義される角度、辺、座標位置に基づいて数3を用いて算出する。

【0037】

【数3】
JP0003049260B2_000004t.gifここで、各振幅の位置座標となるxi ,yi には、数4を使用する。

【0038】

【数4】
JP0003049260B2_000005t.gif再び、図3を参照して、位置算出部304は、アスペクト算出部303から出力される目標信号区間における信号の振幅、方位、目標アスペクト、サンプリング回数、及び信号長に基づいて振幅の最大値を検出する。さらに、この振幅の最大値に対応するサンプリング数及び方位を抽出して、サンプリング数から距離を算出するとともに方位に関しては方位補正を行う。以上の処理の後、位置算出部304は、目標方位、距離、目標アスペクト、振幅の最大値(以下、信号S/Nとする)、及び信号長を目標検出部4に出力する。

【0039】
次に、位相誤差分散系の信号検出処理において、位相誤差分散閾値処理部305は、図2に示す位相誤差演算部206から出力された受信信号の方位及び位相誤差分散値を入力して、次々入力される位相誤差分散値に対してサンプリング毎に閾値処理を行う。

【0040】
信号長閾値処理部306は、位相誤差分散値閾値処理部305で閾値処理された位相誤差分散値を用いて、閾値を下回る目標らしき信号の長さを算出する。さらに、信号閾値処理部306は、算出された信号長に対して、使用条件等によって予め任意に設定できる目標の長さの範囲の最小値及び最大値で閾値処理を行う。信号長がこの範囲内であれば、その信号区間を目標の信号区間として、この区間内の受信信号の位相誤差分散値、方位、サンプリング回数、及び信号長を位置算出部307に出力する。

【0041】
位置算出部307は、信号長閾値処理部306から出力される目標信号区間における信号の位相誤差分散値、方位、サンプリング回数、及び信号長に基づいて位相誤差分散値の最小値を検出する。さらに、この位相誤差分散値の最小値に対応するサンプリング数及び方位を抽出して、サンプリング数から距離を算出するとともに方位に関しては方位補正を行う。以上の処理の後、位置算出部307は、目標方位、距離、及び位相誤差分散値の最小値を目標検出部4に出力する。

【0042】
次に、ドップラー分析系の信号検出処理において、残響処理部308は、図2に示すFFT209から出力される各時間毎の受信信号スペクトル及び受信信号ビーム方位を次々入力して、送信周波数を中心に時間の経過とともに帯域が変化する特性を有する帯域阻止フィルタにより残響帯域のスペクトルを除去する。

【0043】
ピーク検出部309は、残響処理部308から次々出力される各サンプリング時間毎の受信信号のスペクトルから、そのスペクトルの最大値を検出する。ドップラー閾値処理部310は、ピーク検出部309から次々出力される各サンプリング時間毎の受信信号のスペクトルに基づいて、そのスペクトルレベルに対して閾値処理を行う。

【0044】
信号長閾値処理部311は、ドップラー閾値処理部310において閾値処理され次々出力される各サンプリング時間毎の受信信号のスペクトルを用いて、閾値を超えた目標らしき信号の長さを算出する。さらに、信号閾値処理部311は、算出された信号長に対して、使用条件等によって予め任意に設定できる目標の長さの範囲の最小値及び最大値で閾値処理を行う。信号長がこの範囲内であれば、その信号区間を目標の信号区間として、この区間内の受信信号のスペクトル(周波数、スペクトルレベル)、ビーム方位、及びサンプリング回数を周波数変動量閾値処理部312に出力する。

【0045】
周波数変動量閾値処理部312は、信号長閾値処理部311から出力される目標信号のスペクトル(周波数、スペクトルレベル)、ビーム方位、及びサンプリング回数に基づいて、そのスペクトルの最大周波数及び最小周波数を抽出し、この2つの周波数の差の絶対値に対して閾値処理を行い、閾値以下の場合には、目標信号のスペクトル(周波数、スペクトルレベル)、ビーム方位、及びサンプリング回数を位置算出部313へ出力する。

【0046】
位置算出部313は目標信号のスペクトル(周波数、スペクトルレベル)、ビーム方位、及びサンプリング回数に基づいてスペクトルの最大値を検出する。さらにこのスペクトルの最大値に対応する周波数、サンプリング数、及びビーム方位を抽出して、周波数からドップラー偏位を算出し、サンプリング数から距離を算出するとともにビーム方位に関しては方位補正を行う。以上の処理の後、位置算出部313は、目標方位、距離、スペクトルの最大値(以下、ドップラーS/Nとする)、及びドップラー偏位を目標検出部4に出力する。

【0047】
次に、図9を参照して目標検出部4について詳細に説明する。

【0048】
目標検出部4は、前述の通り、信号検出部3により抽出された各3系統毎の目標信号を、各系統で検出された目標信号の位置に基づいて統合して、その統合された位置を算出するとともに、その位置及び統合された各系統の目標信号の特徴素を出力するものである。

【0049】
目標統合部401は、図3に示す位置算出部304から出力される目標方位、距離、目標アスペクト、及び特徴素(信号S/N、信号長)と、位置算出部307から出力される目標方位、距離、及び特徴素(位相誤差分散値)と、位置算出部313から出力される目標方位、距離、及び特徴素(ドップラーS/N、ドップラー偏位)とを受ける。一方、使用条件等から予め特定できる各系統毎の検出位置の誤差(距離誤差、方位誤差)を用いて、各系統毎に検出された目標の位置(距離、方位)に対して目標統合ゲートを距離±距離誤差、方位±方位誤差の形で設定する。

【0050】
次に、目標統合部401では、各系統個々に設定された目標統合ゲートの重なり合いの有無を検索し、複数の目標統合ゲート(振幅系、位相誤差分散系、ドップラー分析系)が少しでも重なった場合、重なった系統により検出された目標を同一目標であると判定しそれらを統合し、目標検出部4からの出力情報のうち、統合された検出系等からの情報のみを目標の特徴素として出力する。

【0051】
位置検出部402は、目標統合部401により統合された少なくとも2系統以上により検出され、さらにこのうちの1系統が振幅系である統合後の目標の振幅系目標検出位置、目標アスペクトおよび統合された目標の特徴素を出力する。

【0052】
次に、図10を参照して目標類別部5について詳細に説明する。

【0053】
目標類別部5は、前述した通り、目標検出部4から出力される統合された各系統の特徴素の特徴量個々に対して、算出された目標アスペクトに基づいて、予め作成された重み付けテーブル6を参照して重み付けを行い、さらに、重み付けされた各特徴素から確信度を算出し、この確信度に基づいて受信信号を目標からの信号か否かを判定し、目標信号の位置などを表示部に出力するものである。

【0054】
重み付け処理部501は、目標検出部4から出力される目標ごとの位置(方位、距離)、目標アスペクト、及び特徴素(例えば、信号S/N、信号長、位相誤差分散値、ドップラーS/Nおよびドップラー偏位)を入力し、各特徴素に対して特徴素毎、アスペクト毎の重み付けを行い、特徴素毎の重み及び目標位置を確信度算出部502に出力する。この特徴素毎の重み付けは、予め目標の代表アスペクト毎に各特徴素の入力特徴量と重み係数の関係(入力:特徴量Xi 、出力:重み係数(0~1))が登録された重み付けテーブル6を参照して行われる。なお、重み付けテーブルには目標の代表アスペクトのみが登録されているため、重み付けテーブルの参照時には、算出された目標アスペクトに最も近い重み付けテーブルを選択し参照する。また、目標検出部4から出力されなかった特徴素に関しては、この特徴素の重みを0として出力する。

【0055】
確信度算出部502は、重み付け処理部501から出力される目標位置及び各特徴素毎の重みに基づいて目標の確信度を算出し、この確信度と目標位置とを確信度閾値処理部503に出力する。目標の確信度算出には、簡易的エキスパートシステムの1つである2入力のMYCIN OR演算が使用される。

【0056】
この例においては、図10に示すように、5つの入力特徴素に対して順次4回のMYCIN OR演算を行い、目標の確信度を算出している。

【0057】
確信度閾値処理部503は、確信度算出部502から出力される目標位置及び目標の確信度を入力して、目標の確信度に対して、予め統計的処理等によって決定された閾値を用いて閾値処理を行い、確信度がこの閾値を超える目標を目標としてその位置等を表示部に出力する。

【0058】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、各目標が統合された検出位置で目標のアスペクトを算出して、統合された各系統の特徴素の特徴量の各々に対して、予め作成されたアスペクト毎の重みづけテーブルを参照して重み付けを行い、さらに、重み付けされた各特徴素から確信度を算出するようにしたから、常に、安定した目標類別精度を実現することができるという効果がある。
図面
【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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