TOP > 国内特許検索 > 通過位置検出方法及び通過位置検出装置 > 明細書

明細書 :通過位置検出方法及び通過位置検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3032776号 (P3032776)
公開番号 特開平11-183109 (P1999-183109A)
登録日 平成12年2月18日(2000.2.18)
発行日 平成12年4月17日(2000.4.17)
公開日 平成11年7月9日(1999.7.9)
発明の名称または考案の名称 通過位置検出方法及び通過位置検出装置
国際特許分類 G01B  7/00      
G01C 15/00      
G01V  3/08      
G01V  3/10      
G01R 33/02      
FI G01B 7/00 P
G01B 7/00
G01C 15/00
G01V 3/08
G01V 3/10
G01R 33/02
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願平09-350592 (P1997-350592)
出願日 平成9年12月19日(1997.12.19)
審査請求日 平成9年12月19日(1997.12.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
発明者または考案者 【氏名】倉野 重光
【氏名】野本 好之
【氏名】吉見 邦彦
【氏名】森下 晴之
個別代理人の代理人 【識別番号】100081640、【弁理士】、【氏名又は名称】堀 靖男
審査官 【審査官】有家 秀郎
参考文献・文献 特開 平2-74892(JP,A)
特開 昭55-162078(JP,A)
特開 昭60-71910(JP,A)
調査した分野 G01B 7/00
G01C 15/00
G01V 3/08
G01V 3/10
G01R 33/02
G01C 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
Z軸を垂直軸とする直交座標系(X,Y,Z)の各軸上に指向性を有する磁気センサがそれぞれ配置されてなるその位置が固定の3軸磁気検出器を備え、当該3軸磁気検出器に対しZ軸方向が一定のXY平面を移動する磁性体目標物の予め定められた範囲内の通過を検出する通過位置検出方法において、
3軸磁気検出器のサンプリングされた各検出信号から磁性体目標物の合成磁気信号値を求めると共に、その最大値となるタイミングを求め、
サンプリング信号毎に、Z軸磁気センサの検出信号の絶対値|Hz|から、X軸磁気センサ及びY軸磁気センサの検出信号から得られる水平成分値√(Hx2+Hy2)を減じた値Hn2(i)=|Hz|-√(Hx2+Hy2)(i=1,2,……,n)を演算してその演算結果を記憶手段に記憶し、
磁性体目標物の合成磁気信号値が最大となったとき、記憶手段に最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り記憶手段に記憶されている予め定められた数の各値Hn2を合成磁気信号の最大値Ht0でそれぞれ割った値S(i)=Hn2/Ht0を求め、
この各値S(i)=Hn2/Ht0と、予め定められた重み付け値とを基にニューラルネットワーク演算処理を行って波形識別を行い、
波形識別の演算値から、磁性体目標物の予め定められた範囲内の通過を検出するようにしたことを特徴とする通過位置検出方法。

【請求項2】
Z軸を垂直軸とする直交座標系(X,Y,Z)の各軸上に指向性を有する磁気センサがそれぞれ配置されてなるその位置が固定の3軸磁気検出器を備え、当該3軸磁気検出器に対しZ軸方向が一定のXY平面を移動する磁性体目標物の予め定められた範囲内の通過を検出する通過位置検出装置において、
予め定められたレベル以上の磁気信号を検出したとき出力を発生する磁気レベル検出器と、
磁気レベル検出器の出力で3軸磁気検出器の各検出信号をサンプリングさせるサンプリング回路と、
サンプリング回路が出力するサンプリング信号毎に、3軸磁気検出器の各検出信号から磁性体目標物の合成磁気信号を求める磁気信号合成手段と、
磁気信号合成手段で求められた合成磁気信号を基に、当該合成磁気信号の最大値Ht0を検出する最大値検出手段と、
サンプリング回路が出力するサンプリング信号毎に、Z軸磁気センサの検出信号の絶対値|Hz|から、X軸磁気センサ及びY軸磁気センサの検出信号から得られる水平成分値√(Hx2+Hy2)を減じた値Hn2(i)=|Hz|-√(Hx2+Hy2)(i=1,2,……,n)を演算する演算手段と、
演算手段の演算結果を記憶する記憶手段と、
最大値検出手段が上記合成磁気信号の最大値Ht0を検出したとき、当該記憶手段に最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り記憶されている予め定められた数の各値Hn2を読み出し、この値Hn2を最大値検出手段で検出された合成磁気信号の最大値Ht0で割る計算Hn2/Ht0を実行する計算手段と、
計算手段で計算された各計算値S(i)=Hn2/Ht0と予め定められた重み付け値とを基にニューラルネットワーク演算処理を行い、波形識別を行う波形識別処理手段と、
波形識別処理手段が処理した演算値と予め定められた基準値とを比較する比較手段とを備えたことを特徴とする通過位置検出装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気的条件が未知の磁性体目標物が、その位置や状態が静止し定点である磁気検出器から一定範囲内を通過したかどうかをその磁性体の大小にかかわらず確実に検出できるようにした通過位置検出方法及び通過位置検出装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】地磁気中の磁性体は磁性体自身の磁化或いは地磁気によって磁化されている。従って磁性体からの磁気を検出して当該磁性体の存否を検出することはできるが、磁性体の磁化の程度が様々な場合には磁気検出器の側方、すなわち直横に対しどの程度の距離を通過したかを検出することは不可能であった。

【0003】
これを解決するものとして特開昭55-162078号が提案されている。すなわち3軸磁気検出器を用いたこの磁性体の検出方法は、Z軸を垂直軸とする直交座標系(X,Y,Z)の3軸磁気検出器に対しZ軸方向が一定のXY平面を移動する磁性体目標物のZ軸方向最大磁気成分(絶対値)Hv とその時のXY平面の磁気成分Hh との比C=Hv /Hh をとり、当該比Cをしきい値と比べることにより磁気検出器の側方に対しどの程度の距離を通過したかを検出するようにしている。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁性体のZ軸方向最大磁気成分(絶対値)Hv とその時のXY平面の磁気成分Hh との比C=Hv /Hh をとり、当該比Cをしきい値と比べる従来の磁性体の検出方法では、直上通過時の磁気測定、例えば事前の測定による基準値の決定を必要とすると共に、XY平面の磁気成分Hh が0のとき当該比C=Hv /Hh が無限大となる欠点があり、また磁気的条件、すなわち磁性体目標物の磁気能率の伏角や偏角が検出結果の精度に影響を及ぼす欠点があった。

【0005】
本発明は、上記の欠点を解決することを目的としており、事前の磁気測定を必要とせず、演算処理の過程で無限大が生じる処理がなく、かつ船体の大きさや地磁気などの磁性体の磁気的条件の影響を受けにくい磁性体目標物の通過位置検出方法及び通過位置検出装置を提供することを目的としている。

【0006】

【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するために、本発明の通過位置検出方法は、Z軸を垂直軸とする直交座標系(X,Y,Z)の各軸上に指向性を有する磁気センサがそれぞれ配置されてなるその位置が固定の3軸磁気検出器を備え、当該3軸磁気検出器に対しZ軸方向が一定のXY平面を移動する磁性体目標物の予め定められた範囲内の通過を検出する通過位置検出方法において、3軸磁気検出器のサンプリングされた各検出信号から磁性体目標物の合成磁気信号値を求めると共に、その最大値となるタイミングを求め、サンプリング信号毎に、Z軸磁気センサの検出信号の絶対値|Hz|から、X軸磁気センサ及びY軸磁気センサの検出信号から得られる水平成分値√(Hx2+Hy2)を減じた値Hn2(i)=|Hz|-√(Hx2+Hy2)(i=1,2,……,n)を演算してその演算結果を記憶手段に記憶し、磁性体目標物の合成磁気信号値が最大となったとき、記憶手段に最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り記憶手段に記憶されている予め定められた数の各値Hn2を合成磁気信号の最大値Ht0でそれぞれ割った値S(i)=Hn2/Ht0を求め、この各値S(i)=Hn2/Ht0と、予め定められた重み付け値とを基にニューラルネットワーク演算処理を行って波形識別を行い、波形識別の演算値から、磁性体目標物の予め定められた範囲内の通過を検出するようにしたことを特徴としている。

【0007】
そして本発明の通過位置検出装置は、Z軸を垂直軸とする直交座標系(X,Y,Z)の各軸上に指向性を有する磁気センサがそれぞれ配置されてなるその位置が固定の3軸磁気検出器を備え、当該3軸磁気検出器に対しZ軸方向が一定のXY平面を移動する磁性体目標物の予め定められた範囲内の通過を検出する通過位置検出装置において、予め定められたレベル以上の磁気信号を検出したとき出力を発生する磁気レベル検出器と、磁気レベル検出器の出力で3軸磁気検出器の各検出信号をサンプリングさせるサンプリング回路と、サンプリング回路が出力するサンプリング信号毎に、3軸磁気検出器の各検出信号から磁性体目標物の合成磁気信号を求める磁気信号合成手段と、磁気信号合成手段で求められた合成磁気信号を基に、当該合成磁気信号の最大値Ht0を検出する最大値検出手段と、サンプリング回路が出力するサンプリング信号毎に、Z軸磁気センサの検出信号の絶対値|Hz|から、X軸磁気センサ及びY軸磁気センサの検出信号から得られる水平成分値√(Hx2+Hy2)を減じた値Hn2(i)=|Hz|-√(Hx2+Hy2)(i=1,2,……,n)を演算する演算手段と、演算手段の演算結果を記憶する記憶手段と、最大値検出手段が上記合成磁気信号の最大値Ht0を検出したとき、当該記憶手段に最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り記憶されている予め定められた数の各値Hn2を読み出し、この値Hn2を最大値検出手段で検出された合成磁気信号の最大値Ht0で割る計算Hn2/Ht0を実行する計算手段と、計算手段で計算された各計算値S(i)=Hn2/Ht0と予め定められた重み付け値とを基にニューラルネットワーク演算処理を行い、波形識別を行う波形識別処理手段と、波形識別処理手段が処理した演算値と予め定められた基準値とを比較する比較手段とを備えたことを特徴としている。

【0008】
ここで図17を用いて、磁性体目標物15をその例として船体としたときの進行方向とその船体磁気との関係について説明すると、図17(I)は磁性体目標物15の針路が北の方向、(II)は磁性体目標物15の針路が南の方向に向かっている場合をそれぞれ示しており、(I),(II)の各上側の図は磁性体目標物15を上らか見たときのもの、その各下側の図は磁性体目標物15を横から見たときのものをそれぞれ表している。

【0009】
磁性体目標物15の船体磁気の永久成分HP (図17(I)の(イ))、地磁気の方向およびその大きさを点線で表したときの当該磁性体目標物15に誘導されるその誘導成分をHI (図17(I)の(ロ))としたとき、磁性体目標物15の船体磁気はこれらの合成成分として求められ、図17(I)の(ハ)のHP+HI (HP ,HI はいずれもベクトル)で表わすことができる。

【0010】
一方、磁性体目標物15の針路が図17(I)と逆方向の南の方向に向かっている場合、磁性体目標物15の船体磁気の永久成分HP (図17(II)の(イ))、その位置での地磁気の方向およびその大きさは点線図示の如く変わらないので、このときの磁性体目標物15の船体磁気は、上記船体磁気の永久成分HP(図17(II)の(イ))と当該磁性体目標物15に誘導されるその誘導成分HI (図17(II)の(ロ))との合成成分となり、図17(II)の(ハ)HP +HI となる。

【0011】
一般に磁性体目標物15の船体磁気の大きさは、磁性体目標物15の大きさ、つまり船体の大きさに比例する。しかしながら、上述の図17の(I),(II)から明らかなようにその進行方向がどちらを向いていてもZ方向成分の大きさは同一となり、Z成分になおしてしまえば磁性体目標物15の進行方向については変わりはなくなり、Hn2=|Hz|-√(Hx2+Hy2)は磁性体目標物15の針路方向に関係がなくなる。

【0012】
そこで、本発明では、船体磁気を磁気双極子モーメント(磁気能率)で表示すると共に、3軸磁気検出器で検出された各検出信号を演算処理する際、船体の大きさに無関係とすべく値Hn2(i)=|Hz|-√(Hx2+Hy2)(i=1,2,……,n)を合成磁気信号の最大値Ht0で割って無次元化を行い、その上でニューラルネットワーク演算を用いた波形識別処理により波形識別を行い、3軸磁気検出器から一定範囲内であるとする基準値と比較するようにしているので、磁気的条件が未知の磁性体目標物が3軸磁気検出器から一定範囲内を通過したかどうかをその磁性体の大小にかかわらず、また磁気的条件が未知の場合でも確実に検出できる。

【0013】

【発明の実施の形態】図1は本発明に係る通過位置検出装置の一実施例構成を示している。同図において、3軸磁気検出器1はZ軸を垂直軸とする直交座標系(X,Y,Z)の各軸上に指向性を有するX軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3,Z軸磁気センサ4を備えている。これらの磁気センサは、例えばフラックスゲート型やリングコア型のものが用いられる。

【0014】
3軸磁気検出器1が予め定められたレベル以上の磁気信号を検出したとき、出力を発生する磁気レベル検出器5が設けられており、当該磁気レベル検出器5の出力発生でサンプリング回路6が駆動され、サンプリング回路6からサンプリング信号が出力するようになっている。

【0015】
X軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3及びZ軸磁気センサ4には、検出されたそれぞれの信号をそれぞれディジタル化するA/D変換器7が対応して設けられている。A/D変換器7でディジタル化されたX軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3及びZ軸磁気センサ4の検出信号は、磁気信号合成手段8と演算手段9とに入力されるようになっている。

【0016】
いま、図3に示されている様に、磁性体目標物15の磁気能率をM、磁気能率Mの伏角,偏角をそれぞれβ,γとし、図4図示の如く、3軸磁気検出器1に対しZ軸方向が一定のXY平面を定速度Vで移動する磁性体目標物15について、X軸磁気センサ2で検出された検出信号をHx、Y軸磁気センサ3で検出された検出信号をHy、Z軸磁気センサ4で検出された検出信号をHzとしたとき、磁気信号合成手段8は各磁気センサの検出信号を基に、当該磁性体目標物15の合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)を演算するようになっている。

【0017】
磁気レベル検出器5の出力信号をサンプリング回路6が受けると、当該サンプリング回路6は磁気信号合成手段8と演算手段9とにサンプリング信号を送出し、磁気信号合成手段8及び演算手段9に上記A/D変換器7でディジタル化された各検出信号Hx、Hy、Hzを取り込ませる。

【0018】
磁気信号合成手段8は、サンプリング回路6が出力するサンプリング信号毎に、取り込まれる各検出信号Hx、Hy、Hzから上記の合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)を演算し、次段に設けられた最大値検出手段10に当該合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)を送出する。

【0019】
演算手段9は、サンプリング回路6が出力するサンプリング信号毎に、取り込まれる各検出信号Hx、Hy、Hzを基に、Z軸磁気センサ4の検出信号の絶対値|Hz|から、X軸磁気センサ2及びY軸磁気センサ3の検出信号から得られる水平成分値√(Hx2+Hy2)を減じた値Hn2、すなわちHn2(i)=|Hz|-√(Hx2+Hy2)(i=1,2,……,n)の演算を行い、その演算結果Hn2(i)をメモリ11に順に記憶させる。

【0020】
最大値検出手段10は、磁気信号合成手段8から送られてくる合成磁気信号値Ht(k)=√(Hx2+Hy2+Hz2)と一つ前に取り込まれた合成磁気信号値Ht(k-1)=√(Hx2+Hy2+Hz2)とを順次比較し、合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)の最大値Ht0を求めるようになっている。

【0021】
そして最大値検出手段10が合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)の最大値Ht0を求めたとき、すなわち最大値検出手段10が上記合成磁気信号の最大値Ht0を検出したとき、最大値検出手段10は上記合成磁気信号の最大値Ht0を検出した旨の信号とその合成磁気信号の最大値Ht0とを計算手段12に送出する。

【0022】
計算手段12は、メモリ11に記憶された上記演算手段9による演算結果の各値Hn2を、最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り予め定められた数Nだけメモリ11から順に読み出すと共に、この各値Hn2を最大値検出手段10で検出された合成磁気信号の最大値Ht0で割る計算のHn2/Ht0を順に行い、その各計算値S(i)=Hn2/Ht0(i=1,2,……,N)を波形識別処理手段13に入力させるようになっている。

【0023】
この各値Hn2を合成磁気信号の最大値Ht0で割ることにより、無次元化された磁性体モデルとすることができ、磁性体目標物15の磁気能率Mの大きさに関係なく取り扱えるようになる。

【0024】
波形識別処理手段13では、計算手段12から入力された所定数N個の値Hn2と予め定められた重み付け値とを基にニューラルネットワーク演算処理を行い、積と和からなる演算の波形識別のための波形識別処理を行う。波形識別処理手段13で処理された演算結果値は比較手段14に出力される。この波形識別処理手段13については次の図2で詳しく説明する。

【0025】
比較手段14には、3軸磁気検出器1の側方に対しどの程度の距離までの通過を、磁性体目標物15の予め定められた範囲内の通過とするかを意味する値が予め基準値として設定されており、当該基準値と波形識別処理手段13で処理された演算値とが比較手段14で比較される。波形識別処理手段13で処理された演算値が基準値より大きいとき、磁性体目標物15が予め定められた範囲内の通過を意味する「1」が比較手段14から出力され、波形識別処理手段13で処理された演算値が基準値より小さいとき、磁性体目標物15が予め定められた範囲外の通過を意味する「0」が比較手段14から出力されるようになっている。

【0026】
図2は波形識別処理手段の一実施例概念説明図を示しており、波形識別処理手段13としてニューラルネットワークが用いられたものである。同図において、波形識別処理手段13のニューラルネットワークは、N個の入力ユニット21-1ないし21-N、N個の隠れユニット22-1ないし22-N及び1個の出力ユニット23で構成されている。そして入力ユニット21-1ないし21-Nには、図1で説明した様に最大値検出手段10が合成磁気信号の最大値Ht0を検出したとき、メモリ11に格納されている最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り、予め定められた数N個の各値Hn2を合成磁気信号の最大値Ht0で割った値S(i)=Hn2/Ht0(i=1,2,……,N)が、それぞれ入力される。

【0027】
最大値検出手段10が合成磁気信号の最大値Ht0を検出したとき、メモリ11の中で最も新しく記憶された演算結果の値をHn2(t1 )とすると、計算手段12によって求められた計算結果の値S(t1 )=Hn2(t1 )/Ht0が入力ユニット21-1に入力され、メモリ11の中で次に新しい演算結果の値S(t2 )=Hn2(t2 )/Ht0が入力ユニット21-2に入力され、メモリ11の中でその次に新しい演算結果の値S(t3 )=Hn2(t3 )/Ht0が入力ユニット21-3に入力され、以下同様にして演算結果の値S(tN )=Hn2(tN )/Ht0が入力ユニット21-Nに入力される。

【0028】
入力ユニット21-1ないし21-Nと隠れユニット22-1ないし22-Nとの間は、図示の如くA1 ,A2 ,A3 ……,B1 ,B2 ,B3 ……,C1 ,C2 ,C3 ……等の重み付け値で重み付けされてそれぞれリンクされており、また隠れユニット22-1ないし22-Nと出力ユニット23との間も、図示の如くM1 ,M2 ,M3 ……の重み付け値で重み付けされてリンクされている。

【0029】
このような値S(t1 )ないし値S(tN )を入力とするニューラルネットワークで重み付け処理、すなわち積と和とからなるニューラルネットワーク演算を行うことにより、出力ユニット23から或る値の演算値が出力される。

【0030】
ニューラルネットワークで用いられる上記の各重みA1 ,A2 ,A3 ……,B1 ,B2 ,B3 ……,C1 ,C2 ,C3 ……等とM1 ,M2 ,M3 ……は、図5ないし図14に示された如き代表的な磁気モデルでのHn2/Ht0波形パターンから求められたものである。

【0031】
図5ないし図14は条件を変え計算によってシミュレートしたHn2/Ht0波形図をそれぞれ示しいる。図5ないし図14において、横軸は磁性体目標物の合成磁気信号値Ht=√(Hx2+Hy2+Hz2)が最大となる位置からの距離、すなわち図16の最近点Pの位置から磁性体目標物15の進行方向と逆に向う距離(-L)を表し、縦軸はHn2のHt0に対する割合を表している。そして図5ないし図9は、磁性体目標物15の磁気能率の伏角(β)、偏角(γ)の磁気的条件及び深度が同一で進入角α=0°のときの横距離Wを0、10、20、30、40mに変えたものであり、図10ないし図14は、磁性体目標物15の磁気能率の伏角(β)、偏角(γ)の磁気的条件及び深度が同一で進入角α=0°(αは図15参照)のときの横距離Wを0、10、20、30、40mに変えたものである。図5ないし図9のそれぞれは、伏角(β)を変えた状態で図10ないし図14のそれぞれに対応している。

【0032】
その内の図5は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)0mのときのもの、つまり磁性体目標物15が3軸磁気検出器1の真上を通過するときのもので、図6は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)10mのときのもの、図7は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)20mのときのもの、図8は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)30mのときのもの、図9は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)40mのときのものである。

【0033】
またその内の図10は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)0mのときのもの、つまり磁性体目標物15が3軸磁気検出器1の真上を通過するときのもので、図11は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)10mのときのもの、図12は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)20mのときのもの、図13は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)30mのときのもの、図14は3軸磁気検出器1の側方(横距離W)40mのときのものである。

【0034】
図16は本発明の一実施例フローチャートを示しており、当該図16を参照しながら図1の動作を次に説明する。波形識別処理手段13には、上記説明の代表的な磁気モデルでのHn2/Ht0波形パターンから求めた各重みA1 ,A2 ,A3 ……,B1 ,B2 ,B3 ……,C1 ,C2 ,C3 ……等とM1 ,M2 ,M3 ……が予め設定されている。比較手段14には、3軸磁気検出器1の側方に対しどの程度の距離までの通過を、磁性体目標物15の予め定められた範囲内の通過とするか定める基準値が予め設定されている。

【0035】
このような状態の下で、3軸磁気検出器1に対しZ軸方向が一定のXY平面を定速度で移動する磁性体目標物15が3軸磁気検出器1に接近し(ステップ1)、磁気レベル検出器5が3軸磁気検出器1のX軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3,Z軸磁気センサ4のいずれかの検出信号の中で、予め定められたレベル以上の磁気信号を検出したとき(ステップ2)、磁気レベル検出器5は出力を発生する。磁気レベル検出器5の出力発生でサンプリング回路6が駆動され、サンプリング回路6からサンプリング信号が出力する。

【0036】
X軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3及びZ軸磁気センサ4で検出されたそれぞれの検出信号は、対応して設けられているA/D変換器7でそれぞれディジタル化され、このX軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3及びZ軸磁気センサ4の検出信号は、サンプリング回路6からのサンプリング信号発生毎に、磁気信号合成手段8と演算手段9とに取り込まれる(ステップ3)。

【0037】
磁気信号合成手段8では、各磁気センサの検出信号Hx、Hy、Hzを基に当該磁性体目標物15の合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)が演算され、演算手段9では、取り込まれた各検出信号Hx、Hy、Hzを基に、Z軸磁気センサ4の検出信号の絶対値|Hz|から、X軸磁気センサ2及びY軸磁気センサ3の検出信号から得られる水平成分値√(Hx2+Hy2)を減じた値Hn2、すなわち、Hn2=|Hz|-√(Hx2+Hy2)の演算を行い、その演算結果の値Hn2をメモリ11に記憶させる(ステップ4)。

【0038】
最大値検出手段10は、磁気信号合成手段8から送られてくる合成磁気信号値Ht(k)=√(Hx2+Hy2+Hz2)と一つ前に取り込まれた合成磁気信号値Ht(k-1)=√(Hx2+Hy2+Hz2)とを比較し、合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)の最大値Ht0を求める処理を行う。最大値検出手段10が上記合成磁気信号の最大値Ht0を検出したとき(ステップ5)、最大値検出手段10は合成磁気信号の最大値Ht0を検出した旨の信号とその合成磁気信号の最大値Ht0とを計算手段12に送出する。計算手段12はメモリ11に記憶された上記演算手段9による演算結果の値Hn2を、最も新しく記憶されたものから順に前に逆上り予め定められた数Nだけメモリ11から順に読み出し(ステップ6)、そのN個の値Hn2(t1 )ないしHn2(tN )を合成磁気信号の最大値Ht0で割ってS(i)=Hn2/Ht0(i=1,2,……,N)の値を求め(ステップ7)、そのN個の計算値S(i)を波形識別処理手段13に入力させる。

【0039】
波形識別処理手段13では、計算手段12で計算された上記N個の値S(t1)ないしS(tN )と予め設定されている上記重み付け値A1 ,A2 ,A3 ……,B1 ,B2 ,B3 ……,C1 ,C2 ,C3 ……等とM1 ,M2 ,M3 ……とを基に、積と和とからなるニューラルネットワーク演算の波形識別処理を行う(ステップ8)。

【0040】
ここで、計算手段12から波形識別処理手段13に入力される計測値S(t1)ないし値S(tN )を基に、波形識別処理手段13がニューラルネットワーク演算の波形識別処理を行うとき、3軸磁気検出器1が海底の所定の位置に配置される前に予め学習させた学習練度に基づいた学習により、どの様な波形を形成するかの予測認識が行われ、その結果としての3軸磁気検出器1の側方の横距離Wが無次元化された形で出力される。

【0041】
波形識別処理手段13で処理された演算値は、無次元化されたものであるので元の大きさに戻す演算が実行される。すなわち波形識別処理手段13で処理された演算値を基に、分散率η=演算値/センサの計測レンジからHn2=η×Ht0を演算して元の大きさに戻される。

【0042】
一方、別の測定手段で得られる磁性体目標物15の速度をV、計測時間をtとしたとき、図15に示されているP点からの距離Lは、L=V×tで表されるので、当該計測時間tから、磁性体目標物15が3軸磁気検出器1の側方を通過する時点(タイミイング)が得られ、その時点での3軸磁気検出器1の側方の横距離Wが求められる。

【0043】
そして比較手段14で上記3軸磁気検出器1の側方に対しどの程度の距離までの通過を、磁性体目標物15の予め定められた範囲内の通過とするかを定める基準値と比較される(ステップ9)。波形識別処理手段13で処理された上記の演算値が基準値より大きいとき、磁性体目標物15が予め定められた範囲内の通過を意味する「1」が比較手段14から出力され(ステップ10)、波形識別処理手段13で処理された演算値が基準値より小さいとき、磁性体目標物15が予め定められた範囲外の通過を意味する「0」が比較手段14から出力される(ステップ11)。

【0044】
なおステップ5で合成磁気信号値√(Hx2+Hy2+Hz2)が最大値Ht0でないときには、当該合成磁気信号の最大値Ht0が検出されるまでステップ3ないしステップ5が繰り返される。

【0045】
また磁気レベル検出器5が3軸磁気検出器1のX軸磁気センサ2,Y軸磁気センサ3,Z軸磁気センサ4のいずれかの検出信号でも、予め定められたレベル以上の磁気信号を検出できないときには(ステップ2)、磁性体目標物が15定点である3軸磁気検出器1から一定範囲内を通過しないものとして処理され、終了となる。

【0046】
上記説明では、波形識別処理手段13で処理される上記計算値S(t1 )ないし値S(tN )の各値が、無次元化されたものであるので元の大きさに戻す演算を実行しているが、無次元化されたままの無次元の下で次のようにして処理することもできる。

【0047】
すなわち、計算手段12から波形識別処理手段13に入力される計測値S(t1 )ないし値S(tN )を基に、波形識別処理手段13がニューラルネットワーク演算の波形識別処理を行うとき、3軸磁気検出器1が海底の所定の位置に配置される前に予め学習させた学習練度に基づいた学習により、どの様な波形を形成するかの予測認識が行われ、その結果としての3軸磁気検出器1の側方の横距離Wが無次元化された形で出力される。

【0048】
この出力と、上記無次元化された比率での、上記3軸磁気検出器1の側方に対しどの程度の距離までの通過を磁性体目標物15の予め定められた範囲内の通過とするかを定める無次元化対応の基準値(このときの当該無次元化対応の基準値は無次元化された比率の基準値を最大値Ht0で割った値)とが、比較手段14で比較される(ステップ9)。以下同様にして、波形識別処理手段13で処理された上記の演算値が無次元化対応の基準値より大きいとき、磁性体目標物15が予め定められた範囲内の通過を意味する「1」が比較手段14から出力され(ステップ10)、波形識別処理手段13で処理された演算値が基準値より小さいとき、磁性体目標物15が予め定められた範囲外の通過を意味する「0」が比較手段14から出力される(ステップ11)。

【0049】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、磁性体目標物を磁気双極子モーメントで表示した上で、検出された磁気信号を演算処理するに当たり、無次元化を行い、磁性体目標物の大きさに無関係となし、かつ磁性体目標物の磁気センサへの接近方向の違いの通過位置検出への影響を消去したHn2/Ht0波形を波形識別のための要素となし、様々な磁性体の磁気的条件(磁気能率の伏角及び偏角)及び深度を想定した磁気モデルでパターン、すなわちHn2/Ht0波形を作成し、これから求めた重みを用い、積と和とからなるニューラルネットワーク演算によって演算値を求め、そして基準値と比較するようにしたので、磁気的条件が未知の磁性体目標物が、定点である磁気検出器から一定範囲内を通過したかどうかをその磁気双極子モーメントの大小にかかわらず、また磁気的条件が未知の場合でも確実に検出できる。そして事前の磁気測定を必要とせず、かつ磁性体目標物の磁気的条件の影響を受けにくい通過位置検出が可能となる。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図10】
8
【図12】
9
【図9】
10
【図11】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16