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明細書 :平面アンテナ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3284971号 (P3284971)
公開番号 特開平11-340730 (P1999-340730A)
登録日 平成14年3月8日(2002.3.8)
発行日 平成14年5月27日(2002.5.27)
公開日 平成11年12月10日(1999.12.10)
発明の名称または考案の名称 平面アンテナ
国際特許分類 H01Q 15/08      
H01Q 21/08      
FI H01Q 15/08
H01Q 21/08
請求項の数または発明の数 1
全頁数 4
出願番号 特願平10-148024 (P1998-148024)
出願日 平成10年5月28日(1998.5.28)
審判番号 不服 2000-010805(P2000-010805/J1)
審査請求日 平成10年5月28日(1998.5.28)
審判請求日 平成12年7月13日(2000.7.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000232357
【氏名又は名称】横河電子機器株式会社
発明者または考案者 【氏名】岡田 昌彦
【氏名】松崎 友美
【氏名】平田 長久
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
参考文献・文献 特開 平3-10407(JP,A)
特開 昭61-169003(JP,A)
特許請求の範囲 【請求項1】
誘電体によって形成されたアンテナ基板と、
前記アンテナ基板表面に形成され、高周波電流を供給されることにより電磁波を放射する単体のアンテナエレメントと、
前記アンテナ基板に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材により支持され、前記アンテナ基板の上面を覆う誘電体とを具備し、
前記アンテナ基板の上面を覆う前記誘電体は、板厚一定の形状であって前記アンテナ基板に対して平行に、かつ、該アンテナ基板から3/4λ(λ:アンテナから放射される電磁波の実効波長)の位置に配置され、かつ、前記板厚は、前記アンテナエレメントに供給される前記高周波電流の実行波長の3倍以内であり、かつ、前記アンテナエレメントにより放射された前記電磁波を屈折させて集束させることを特徴とする平面アンテナ。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】この発明は、利得の向上を図った平面アンテナに関する。

【0002】

【従来の技術】従来の平面アンテナの一種にパッチアンテナというものがある。図2は従来のパッチアンテナの一例を示す図である。この図において、符号1はテフロン等の誘電体で形成されたアンテナ基板であり、その裏面は銅箔等の導体材料で形成されたグランド面2となっている。アンテナ基板1の表面にはアンテナエレメント3、給電点4が設けられ、これらは共に銅箔等の導体材料で形成されている。このアンテナエレメント3には高周波電流が供給され、これにより、図2に示されている座標軸のX方向に磁界成分を持ち、Y方向に電界成分を持つ電磁波ビームがZ方向へ放射される。また、アンテナエレメント3の形状については長方形や円形のものが使用される。

【0003】
また、複数のアンテナエレメント3を同一平面上に整然と配列し、高周波電流を並列に供給して使用するパッチアレーアンテナも知られている。これは、アンテナエレメント3の数を増やして並列に給電することで、より高い利得と指向性を得るためである。図3はXY平面上に4つのアンテナエレメント3を、均等かつ互いが同一の方向を向くように配置している平面アンテナの例である。この図において、アンテナ基板7の表面では、複数のアンテナエレメント3と給電点4が給電線8によって接続されている。給電線8については、給電点4から各アンテナエレメント3までの実効長が全て等しくなるようにレイアウトされる必要がある。これにより、各アンテナエレメント3に同位相の高周波電流が供給されて、各アンテナエレメント3で発生する電界は同一方向で強めあう。従って、アンテナエレメント3が単体の場合に比べ、大きな利得と強い指向性が期待できる。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】しかし、図3においては、アンテナから放射される電磁波の周波数とアンテナ基板7の誘電体の誘電率からアンテナエレメント3の大きさが決定されてしまうので、アンテナ基板7のスペースが限られている場合や周波数に問題がある場合には、アンテナエレメント3の数を増やすことができない。また、限られたスペースでのアレー化は、複数のアンテナエレメント3の間で相互干渉が起きてしまう恐れがある。また、放射される電磁波の周波数を一定とした場合、アンテナ基板7の誘電体の誘電率を高くすることによりアンテナエレメント3のサイズを小さくすることはできるが、同時にtanδ(コンデンサ損失)の増大やVSWR(電圧定在波比)の狭帯域化を招く。

【0005】
この発明はこのような点を考慮してなされたもので、アンテナエレメント間の相互干渉を避けるためにこれを単体で用いて、なおかつアンテナ基板の誘電率を高めずに、tanδ(コンデンサ損失)の増大、VSWR(電圧定在波比)の狭帯域化を防ぎながら電磁波ビームパターンの狭帯域化を行い、平面アンテナの利得を向上させることを目的とする。

【0006】

【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、誘電体によって形成されたアンテナ基板と、前記アンテナ基板表面に形成され、高周波電流を供給されることにより電磁波を放射する単体のアンテナエレメントと、前記アンテナ基板に取り付けられた支持部材と、前記支持部材により支持され、前記アンテナ基板の上面を覆う誘電体とを具備し、前記アンテナ基板の上面を覆う前記誘電体が、板厚一定の形状であって前記アンテナ基板に対して平行に、かつ、該アンテナ基板から3/4λ(λ:アンテナから放射される電磁波の実効波長)の位置に配置され、かつ、前記板厚は、前記アンテナエレメントに供給される前記高周波電流の実行波長の3倍以内であり、かつ、前記アンテナエレメントにより放射された前記電磁波を屈折させて集束させることを特徴とする平面アンテナである。

【0007】


【0008】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態による平面アンテナについて、図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施形態による平面アンテナの構成を示す側面図である。この図において、底面のアンテナ基板の構成は前述の図2で述べた内容と同一である。すなわち、符号1はテフロン等の誘電体で形成されたアンテナ基板であり、その裏面はグランド面2となっており、表面にはアンテナエレメント3、給電点4が設けられている。符号5は金属製の支持部材であり、底面のアンテナ基板1に取り付けられている。符号6はテフロン等で形成された誘電体であり、支持部材5によって支えられながらアンテナ基板1の上面を覆う形で設置されている。この誘電体6の位置については、アンテナ基板1の上方3/4λ(λ:アンテナエレメント3に供給される高周波電流の実効波長)の高さの場合が、実験の結果最も高いアンテナ利得が得られたのでその位置に設置されている。

【0009】
このような構成において、底面のアンテナエレメント3から上方へ発射された電磁波ビームは誘電体6まで到達して、その内部へ進入する際に屈折する。電磁波ビームはその後誘電体6を通過して再び大気中へ飛び出す際に再度屈折し、結果として元の伝搬方向から平行移動した形で進行する。電磁波ビームの進行方向ベクトルは誘電体の有無により変わることはないが、誘電体6を通過する際の屈折により平行移動した分だけ誘電体6がない従来の場合に比べ、電磁波ビームの放射範囲は実質的に狭められる。この結果、アンテナエレメントが単体であっても利得の向上が得られることになる。

【0010】
図4は上述したこの発明の一実施形態による平面アンテナの電磁波ビームの水平面における指向特性を示す図である。この平面アンテナでは、水平面内における電磁波ビームの半値角θ1が、図5に示す従来の平面アンテナの電磁波ビームの水平面内における半角値θ2と比べると狭帯域化しており、指向特性を向上させる効果があることが示されている。

【0011】
また、ここでは、給電点4とアンテナエレメント3が接続されているが、この場合、受端側(アンテナエレメント3)の負荷インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスが等しくないと、入射波の一部がアンテナエレメント3で反射されて反射波を形成する。この入射波と反射波が干渉して電圧および電流に定在波が発生する。この電圧定在波の最大値と最小値の比をVSWR(電圧定在波比)という。VSWR(電圧定在波比)については、ここではアンテナの伝送線路におけるインピーダンスの整合状態の尺度として用いられ、
JP0003284971B2_000002t.gifという式で与えられる。ただし、γは電圧反射係数であり、ここではアンテナエレメント3における入射波と反射波との比である。VSWR(電圧定在波比)の値については、γ=1(解放端)の場合、無限大となり、γ=0(完全整合)の場合、1となる。従って、VSWR(電圧定在波比)の値が1に近いほど整合状態の良い伝送線路であるといえる。

【0012】
図6はこの発明の一実施形態による平面アンテナのVSWR(電圧定在波比)特性である。この図において、横軸は周波数を、縦軸はVSWR(電圧定在波比)を示している。この平面アンテナのVSWR(電圧定在波比)特性では、図7に示す従来の平面アンテナのVSWR(電圧定在波比)特性に比べると、広い周波数帯域でVSWR(電圧定在波比)値が1に近づいており、インピーダンスの整合性を向上させる効果があることが示されている。

【0013】
一方、誘電体6の厚みdを増すことによっても電磁波ビームの進行方向を大きく平行移動させて、更に電磁波ビームを狭帯域化させることが可能になる。しかし、コンデンサ損失等を考慮に入れると、厚みdの値はアンテナエレメント3に供給される高周波電流の実効波長の3倍以内としておくべきである。

【0014】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、誘電体を、板厚一定の形状で、前記アンテナ基板に対して平行に、かつ、該アンテナ基板から3/4波長の位置に付加することにより、電磁波ビームの反射が最小限に抑えられ、電磁波ビームの狭帯域化が可能となり、これにより、アンテナ利得の向上を図ることができる。
図面
【図6】
0
【図7】
1
【図3】
2
【図1】
3
【図2】
4
【図4】
5
【図5】
6