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明細書 :面アレイマルチチャンネル適合整相方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3208424号 (P3208424)
公開番号 特開2000-230973 (P2000-230973A)
登録日 平成13年7月13日(2001.7.13)
発行日 平成13年9月10日(2001.9.10)
公開日 平成12年8月22日(2000.8.22)
発明の名称または考案の名称 面アレイマルチチャンネル適合整相方法及び装置
国際特許分類 G01S  7/526     
G01S  7/521     
FI G01S 7/52 J
G01S 7/52
請求項の数または発明の数 19
全頁数 8
出願番号 特願平11-032679 (P1999-032679)
出願日 平成11年2月10日(1999.2.10)
審査請求日 平成11年2月12日(1999.2.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】菊池 達夫
【氏名】武捨 貴昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】宮川 哲伸
参考文献・文献 特開 平6-18663(JP,A)
特開 平10-207490(JP,A)
特許2723865(JP,B2)
特許3005680(JP,B2)
特許2720845(JP,B2)
調査した分野 G01S 3/80 - 3/86
G01S 5/18 - 5/30
G01S 7/52 - 7/64
G01S 15/00 - 15/96
特許請求の範囲 【請求項1】
音波又は振動を発信し目標からの反響音又は振動を受信するか或いは目標からの放射音又は振動を受信する音波又は振動のセンサー出力の整相方法において、
直線上に等間隔に配置された3つのセンサーからなるセンサーの組を複数配置し、複数配置された前記センサーの組がすべて中央のセンサーを共有しており、各組における両端の2つのセンサーの加算出力と中央のセンサー出力の受信指向性の差並びに位相の差に適合処理計算を適用し、サイドローブ方向から到来する雑音を低減させることを特徴とする面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項2】
複数の前記センサーの組はM(1≦M)本の直線上に配置されている請求項1記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項3】
前記M本の直線は面状配置であり、各直線同士のなす角を等しい角度とした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項4】
前記M本の直線は面状配置であり、各直線同士のなす角の一部又は全部を異なる角度とした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項5】
i(1≦i≦M)本目の直線上に、前記センサーの組をN(1≦N)個配置した請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項6】
=N=…=N=…=Nとした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項7】
一部又は全部のNを異なる数にした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項8】
i本目の直線上の1組目の両端のセンサー間隔をdi1、2組目の両端のセンサー間隔をdi2、j組目の両端のセンサー間隔をdij、N組目の両端のセンサー間隔をdiNiとしたとき、di2=2×di1、di3=3×di1、…、dij=j×di1、…、diNi=N×di1のように1組目の両端のセンサー間隔の整数倍とした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項9】
i本目の直線上のj組目の両端のセンサー間隔をdij(1≦j≦N)としたとき、前記センサー間隔dijの一部又は全部を1組目の両端のセンサー間隔の整数倍とは異なる間隔にした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項10】
1本目の直線の両端のセンサー間隔をd11、2本目の直線の両端のセンサー間隔をd21、i本目の直線の両端のセンサー間隔をdi1、M本目の直線の両端のセンサー間隔をdM1としたとき、d11=d21=…=di1=…=dM1とした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項11】
i本目の直線の両端のセンサー間隔をdi1(1≦i≦M)としたとき、前記センサー間隔di1の一部又は全部を異なる間隔にした請求項記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項12】
前記センサーの組における両端の2つのセンサー出力の和の0.5倍の値と中央のセンサー出力との和が最小になるように、適合処理計算を行う請求項1から11のいずれかに記載の面アレイ3チャンネル適合整相方法。

【請求項13】
前記適合処理計算を、LMSアルゴリズムを用いて行う請求項12記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項14】
前記適合処理計算を、フロストの適合処理を用いて行う請求項13記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項15】
前記適合処理計算を、LMSアルゴリズムを用いて行う場合に、前記センサーの組における両端の2つのセンサーの加算出力に対するタップ重みと中央のセンサー出力に対するタップ重みの和を常に1に保つことによって、目標からの受信信号に対する利得を常に1に保つ請求項13記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項16】
前記センサーの組における両端の2つのセンサーの加算出力に対するタップ重みと中央のセンサー出力に対するタップ重みの和を常に1に保つために、適合処理計算毎にタップ重みの和を求め、それぞれのタップ重みをこの和で割り戻してタップ重みの合計を常に1に保つ請求項15記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項17】
前記LMSアルゴリズムのタップ重みの計算において、前記タップ重みとして正負いずれの数値も選択し、前記タップ重みが負になった場合に当該タップ重みの絶対値の上限値を定める請求項13,15又は16記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項18】
前記LMSアルゴリズムのタップ重みの計算において、前記タップ重みが負になったら、その絶対値を取り、正の数値のみを選択する請求項13,15又は16記載の面アレイマルチチャンネル適合整相方法。

【請求項19】
音波又は振動を発信し目標からの反響音又は振動を受信するか或いは目標からの放射音又は振動を受信する音波又は振動のセンサー出力の整相装置において、
直線上に等間隔に配置された3つのセンサーからなるセンサーの組が複数配置されかつ複数の前記センサーの組がすべて中央のセンサーを共有しているとともに、
各センサー出力をそれぞれ遅延させる遅延器と、各センサーの組における両端の2つのセンサーの遅延出力をそれぞれ加算する加算器と、各加算器出力に0.5をそれぞれ乗じる乗算器と、各センサーの組における中央の受波器の遅延出力と各乗算器出力とを受けて適合処理計算を行う適合処理器とを備え、
該適合処理器の適合処理計算によりサイドローブの受信感度を下げて雑音を低減させることを特徴とする面アレイマルチチャンネル適合整相装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、水中又は空中において、音波又は振動を発信し目標からの反響音又は振動を受信するか或いは目標からの放射音又は振動を受信する音波又は振動のセンサー群を有するソーナー等の装置に適用してサイドビーム方向から到来する雑音を低減可能な面アレイマルチチャンネル適合整相方法及び装置に関する。

【0002】

【従来の技術】水中又は空中において、音波を発信し目標からの反響音を受信する受波器出力或いは目標からの放射音を受信する受波器出力は周囲に存在する雑音に覆われている。このため、目標からの受信信号を見つけるために、受波器出力を整相処理して雑音レベルを低減させる必要がある。

【0003】
水中又は空中において、音波を発信し目標からの反響音を受信する受波器出力或いは目標からの放射音を受信する受波器出力の従来の整相方法及び装置は、各受波器出力にシェーディング係数と呼ばれる固定の数値を掛けそれらを加算していた。

【0004】
一方、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムは以下の計算により出力を計算する。

【0005】
入力ベクトルをX、タップ重みをWとすると、出力y
=W (但し、k:サンプリング時期)
となる。瞬時誤差信号εは希望応答dと出力yの差を取り
ε=d-y=d-W
で表す。タップ重みは
k+1=W+2με
で計算する。μはステップパラメータである。

【0006】
しかし、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムは、信号出力と雑音出力との間に相関がある場合には信号出力も削減されるため、現在のところ我が国のソーナーの整相処理には用いられていない。

【0007】
また、フロストの適合処理{O. L. Frost,“An Algorithm for LinearyConstraind Adaptive Array Processing”, Proc. IEEE, vol 60, No8, August,926-935(1972)}においては、Xをk番目のサンプル、Wをk番目のサンプルに対するタップ重みとし、k+1番目のタップ重みを次式で求めて順次出力yを計算する。
=W
k+1/2=W+2μy
[e1 k+1/2…eL k+1/2]=[f-[1 1 … 1]Wk+1/2]/D
【数1】
JP0003208424B2_000002t.gifk+1=W+2μy+Ek+1/2
k+1=Wk+1k+1
ここで、μはステップパラメータ、Dは素子数、Lはタップ数、fはフィルターである。

【0008】

【発明が解決しようとする課題】ところで、シェーディング係数の選択の方法には、メインビーム幅を狭くする方法、サイドビームの感度を下げる方法等種々の方法があり、周囲の雑音を考慮して係数を選択している。しかし、これらの方法はいずれも雑音源は十分遠距離に存在することが前提になっていた。このため、近距離にある雑音源、及び存在方位や位置が時間とともに変動する雑音源に対しては最適なシェーディング係数になっていないため、最適な整相処理になっていなかった。

【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、中央の受波器と両端の2つの受波器からなる組を複数個配置することで、各組における中央の受波器と両端の受波器との指向性の差及び位相差を利用し、これに適合処理計算を適用して、雑音源がサイドビーム方向であれば、いずれの距離に存在しても、いずれの方向に存在しても、常に雑音レベルが最小になるような最適なシェーディング係数の選択が可能な面アレイマルチチャンネル適合整相方法及び装置を提供することを目的とする。

【0010】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0011】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、音波又は振動を発信し目標からの反響音又は振動を受信するか或いは目標からの放射音又は振動を受信する音波又は振動のセンサー出力の整相方法において、直線上に等間隔に配置された3つのセンサーからなるセンサーの組を複数配置し、複数配置された前記センサーの組がすべて中央のセンサーを共有しており、各組における両端の2つのセンサーの加算出力と中央のセンサー出力の受信指向性の差並びに位相の差に適合処理計算を適用し、サイドローブ方向から到来する雑音を低減させることを特徴とする。

【0012】


【0013】
本願請求項の発明は、前記請求項1において、複数の前記センサーの組がM(1≦M)本の直線上に配置されているものである。

【0014】
本願請求項の発明は、前記請求項において、前記M本の直線が面状配置であり、各直線同士のなす角を等しい角度としたものである。

【0015】
本願請求項の発明は、前記請求項において、前記M本の直線が面状配置であり、各直線同士のなす角の一部又は全部を異なる角度としたものである。

【0016】
本願請求項の発明は、前記請求項において、i(1≦i≦M)本目の直線上に、前記センサーの組をN(1≦N)個配置したものである。

【0017】
本願請求項の発明は、前記請求項において、N=N=…=N=…=Nとしたものである。

【0018】
本願請求項の発明は、前記請求項において、一部又は全部のNを異なる数にしたものである。

【0019】
本願請求項の発明は、前記請求項において、i本目の直線上の1組目の両端のセンサー間隔をdi1、2組目の両端のセンサー間隔をdi2、j組目の両端のセンサー間隔をdij、N組目の両端のセンサー間隔をdiNiとしたとき、di2=2×di1、di3=3×di1、…、dij=j×di1、…、diNi=N×di1のように1組目の両端のセンサー間隔の整数倍としたものである。

【0020】
本願請求項の発明は、前記請求項において、i本目の直線上のj組目の両端のセンサー間隔をdij(1≦j≦N)としたとき、前記センサー間隔dijの一部又は全部を1組目の両端のセンサー間隔の整数倍とは異なる間隔にしたものである。

【0021】
本願請求項10の発明は、前記請求項において、1本目の直線の両端のセンサー間隔をd11、2本目の直線の両端のセンサー間隔をd21、i本目の直線の両端のセンサー間隔をdi1、M本目の直線の両端のセンサー間隔をdM1としたとき、d11=d21=…=di1=…=dM1としたものである。

【0022】
本願請求項11の発明は、前記請求項において、i本目の直線の両端のセンサー間隔をdi1(1≦i≦M)としたとき、前記センサー間隔di1の一部又は全部を異なる間隔にしたものである。

【0023】
本願請求項12の発明は、前記請求項1から11のいずれかにおいて、前記センサーの組における両端の2つのセンサー出力の和の0.5倍の値と中央のセンサー出力との和が最小になるように、適合処理計算を行うものである。

【0024】
本願請求項13の発明は、前記請求項12において、前記適合処理計算を、LMSアルゴリズムを用いて行うものである。

【0025】
本願請求項14の発明は、前記請求項13において、前記適合処理計算を、フロストの適合処理を用いて行うものである。

【0026】
本願請求項15の発明は、前記請求項13において、前記適合処理計算を、LMSアルゴリズムを用いて行う場合に、前記センサーの組における両端の2つのセンサーの加算出力に対するタップ重みと中央のセンサー出力に対するタップ重みの和を常に1に保つことによって、目標からの受信信号に対する利得を常に1に保つものである。

【0027】
本願請求項16の発明は、前記請求項15において、前記センサーの組における両端の2つのセンサーの加算出力に対するタップ重みと中央のセンサー出力に対するタップ重みの和を常に1に保つために、適合処理計算毎にタップ重みの和を求め、それぞれのタップ重みをこの和で割り戻してタップ重みの合計を常に1に保つものである。

【0028】
本願請求項17の発明は、前記請求項3,15又は16において、前記LMSアルゴリズムのタップ重みの計算における前記タップ重みとして正負いずれの数値も選択し、前記タップ重みが負になった場合に当該タップ重みの絶対値の上限値を定めるものである。

【0029】
本願請求項18の発明は、前記請求項3,15又は16において、前記LMSアルゴリズムのタップ重みの計算における前記タップ重みが負になったら、その絶対値を取り、正の数値のみを選択するものである。

【0030】
本願請求項19の発明は、音波又は振動を発信し目標からの反響音又は振動を受信するか或いは目標からの放射音又は振動を受信する音波又は振動のセンサー出力の整相装置において、直線上に等間隔に配置された3つのセンサーからなるセンサーの組が複数配置されかつ複数の前記センサーの組がすべて中央のセンサーを共有しているとともに、各センサー出力をそれぞれ遅延させる遅延器と、各センサーの組における両端の2つのセンサーの遅延出力をそれぞれ加算する加算器と、各加算器出力に0.5をそれぞれ乗じる乗算器と、各センサーの組における中央の受波器の遅延出力と各乗算器出力とを受けて適合処理計算を行う適合処理器とを備え、該適合処理器の適合処理計算によりサイドローブの受信感度を下げて雑音を低減させることを特徴とするものである。

【0031】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る面アレイマルチチャンネル適合整相方法及び装置の実施の形態を図面に従って説明する。

【0032】
図1は本発明の実施の形態の全体構成図、図2は実施の形態における受波器配置を示す斜視図、図3は音源の配置例を示す斜視図、図4は実施の形態での適合処理計算による受信感度の計算結果の特性図である。

【0033】
図1及び図2において、水中又は空中にて音波を発信し目標からの反響音を受信するか或いは目標からの放射音を受信する音波センサーとしての受波器1から13はすべてXY平面上にあり(つまり面状配置であり)、図2のように受波器2、1、3は第1組目、受波器4、1、5は第2組目、受波器6、1、7は第3組目、受波器8、1、9は第4組目、受波器10、1、11は第5組目、受波器12、1、13は第6組目の受波器の組(3つの受波器からなる3チャンネル適合整相を行う受波器の組)をそれぞれ示す。受波器1は各組共通の受波器であり、各組の両端の受波器の中央に位置する。

【0034】
図2は、説明を簡単にするため第1組と第4組、第2組と第5組、第3組と第6組の受波器がそれぞれ3本の直線上にある場合について例示したが、一般的にはM(1≦M)本の直線があり、i(1≦i≦M)本目の直線上にN(1≦N)個の受波器がある場合を考える。

【0035】
線14は受波器2と受波器3の間隔、線15は受波器4と受波器5の間隔、線16は受波器6と受波器7の間隔、線17は受波器8と受波器9の間隔、線18は受波器10と受波器11の間隔、線19は受波器12と受波器13の間隔を示す。

【0036】
通常は直線同士のなす角21は全て等しくするが、例えば、縦と横の間隔が異なる格子状に配置されたアレイのように、等しくできない場合及び特に目的があって等しくしない場合でも支障はない。M本の直線同士のなす角を全て等しくする場合に直線同士のなす角はπ/Mとなる。

【0037】
i本目の直線上に前記受波器の組がN個のある場合、i本目の直線上の1組目の両端の受波器間隔をdi1、2組目の両端の受波器間隔をdi2、j組目の両端の受波器間隔をdij、N組目の両端の受波器間隔をdiNiとすれば、di2=2×di1、di3=3×di1、…、dij=j×di1、…、dNi=N×di1のように1組目の受波器間隔の整数倍とするが、整数倍にできない場合及び特に目的があって整数倍にしない場合でも支障はない。

【0038】
M本の直線上の前記受波器の組において、1本目の直線の両端の受波器間隔をd11、2本目の直線の両端の受波器間隔をd21、i本目の直線の両端の受波器間隔をdi1、M本目の直線の両端の受波器間隔をdM1としたとき、通常はd11=d21=…=di1=…=dM1とするが、等しくできない場合及び特に目的があって等しくしない場合でも支障はない。

【0039】
M本の直線上の前記受波器の組の個数Nは、通常はN=N=…=N=…=Nとするが、等しくできない場合及び特に目的があって等しくしない場合でも支障はない。

【0040】
各受波器は曲面上に配置することもあるが、この場合には遅延器で遅延を行い各受波器を平面上の配置に置き換える。

【0041】
図1の全体構成図において、受波器1から13で受波した音波を遅延器31から43で遅延を行い所要の方向にメインローブ(メインビーム)を向けるが、ここでは説明を簡単にするため各受波器は全て平面上にあり、各遅延器の遅延量は零とすれば、本実施の形態の装置は図2のZ軸方向にメインローブを持ち、その他の方向はサイドローブ(サイドビーム)を持つ。第1組目の受波器の組における両端の受波器2、3に対応した遅延器32、33の出力を加算器44で、第2組目の受波器の組における両端の受波器4、5に対応した遅延器34、35の出力を加算器45で、第3組目の受波器の組における両端の受波器6、7に対応した遅延器36、37の出力を加算器46で、第4組目の受波器の組における両端の受波器8、9に対応した遅延器38、39の出力を加算器47で、第5組目の受波器の組における両端の受波器10、11に対応した遅延器40、41の出力を加算器48で、第6組目の受波器の組における両端の受波器12、13に対応した遅延器42、43の出力を加算器49でそれぞれ加算した後、それぞれ乗算器50、51、52、53、54、55で0.5を乗ずる。そして、各受波器の組の中央の受波器1に対応した遅延器31の出力と、乗算器50、51、52、53、54、55の出力を適合処理器56に入力し、適合処理計算を行う(3チャンネルの受波器を持つ各組における両端の2つの受波器の加算出力と中央の受波器出力の受信指向性の差並びに位相の差に適合処理計算を適用する)。

【0042】
図3において、球61、62、63はXY平面上、YZ平面上、ZX平面上にある音源である。角67、68、69は入射角度である。

【0043】
図4は、Mが2で直線のなす角21がπ/2、Nが1、音源と受波器1の距離22が両端の受波器間隔dの約1.3倍、周波数が[音速/(2×d)]及び[音速/d]の場合の本実施の形態の装置の入射角度別の受信感度の計算結果である。グラフ71、72は音源が61にある場合、グラフ73、74は音源が62にある場合、グラフ75、76は音源が63にある場合である。本実施の形態の装置はサイドローブ方向の受信感度を低下させることが分かる。

【0044】
なお、Mが2、Nが1で受波器1、2、3、4及び5で構成する装置における遅延器31、32、33、34及び35の出力x1k,x2k,x3k,x4k,x5kは、下記の式(1)から式(5)で示される。
1k = a1k cos(ωt+ψ1k) …(1)
2k = a2k cos(ωt+ψ2k) …(2)
3k = a3k cos(ωt+ψ3k) …(3)
4k = a4k cos(ωt+ψ4k) …(4)
5k = a5k cos(ωt+ψ5k) …(5)
(但し、k:k番目のサンプリング値、a1k~ a5k:振幅成分、ω:音波の角周波数、ψ1k~ψ5k:位相成分)遅延器32と33の出力を加算器44で加算し、乗算器50で0.5を乗じた値は式(6)で表される。
23k = 0.5×(x2k+x3k) …(6)
遅延器34と35の出力を加算器45で加算し、乗算器51で0.5を乗じた値は式(7)で表される。
45k = 0.5×(x4k+x5k) …(7)
そして、遅延器31、乗算器50、51の出力値を適合処理器56に入力し適合処理計算を行って上記の図4のような結果を得ることができる。

【0045】
前記適合処理計算は、請求項16,17及び18又は19による計算方法やフロストの適合処理計算を用いて行うことができる。

【0046】
前記適合処理計算を、請求項16,17及び18又は19による計算方法を用いて行う場合について、以下に述べる。3チャンネルの受波器からなる前記受波器の組における両端の2つの受波器の加算出力に0.5を乗算した結果をyとし、中央の受波器出力をyとする。適合処理器における各々の受波器の組についての適合処理出力zは
z = W+W …(8)
ここで、WとWは適合処理アルゴリズム(LMSアルゴリズムを用いる)におけるタップ重みであり、WとWの和が1となるように選択する。つまり、両端の2つの受波器の加算出力に0.5を乗算した結果(=y)に対するタップ重みWと中央の受波器出力(=y)に対するタップ重みWの和を常に1に保つことによって、目標からの受信信号に対する利得を常に1に保つようにする。

【0047】
適合処理アルゴリズムにおける誤差信号εを適合処理計算の出力zが最小になるように設定して式(9)とすれば、
ε = -z …(9)
タップ重みW,Wは次式(10a)又は式(10b)で計算することができる。
k+1 j =|Wk j+2μεk j| …(10a)
k+1 j = Wk j+2μεk j …(10b)
但し、式(10a)はタップ重みを全て正の数を採用するようにした場合、式(10b)はタップ重みを正負いずれの場合でも採用する場合で、タップ重みWを求めるときj=1、タップ重みWを求めるときj=2である。なお、式(10b)のタップ重みを正負いずれの場合でも採用する場合で、当該タップ重みが負になったときは当該タップ重みの絶対値の上限値を定め、タップ重みが発散しないように設定するとよい。

【0048】
このように計算したタップ重みW,W(LMSアルゴリズムにより求められたそれぞれの収束値)に対して、音波入射方向がメインローブ方向となって到来した目標からの受波信号が低減されないように、WとWの和を常に1にするための拘束条件として次式(11)を用いて再度タップ重みを計算し直す。つまり、適合処理計算毎にタップ重みの和を求め、それぞれのタップ重みをこの和で割り戻してタップ重みの合計を常に1に保つ計算を式(11)によって行う。
W'k+1 j = Wk+1 j/(Wk+1 1+ Wk+1 2
…(11)
ここで、W'k+1 jは割り戻し後の値、 Wk+1 jは割り戻し前のである(但し、j=1,2)。

【0049】
このように、サイドローブ方向の雑音を低減するように最適値に設定したタップ重みW,Wを用いて適合処理器56で各受波器の組を適合整相することで、従来の加算整相に比べて、サイドローブを低減できる。

【0050】
なお、サイドローブ方向からの音波が定常的なものであれば、タップ重みは最適値に設定後一定となるが、定常的でなければタップ重みは最適値を求めて変化する。

【0051】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。

【0052】
(1) 水中又は空中において、音波を発信し目標からの反響音を受信するか或いは目標からの放射音を受信する受波器出力を整相する場合において、等間隔に配置された両端及び中央の合計3個の受波器からなる組を複数設け、各受波器の組における両端の2つの受波器の加算出力と中央の受波器の出力の受信指向性の差並びに位相の差に適合処理計算を適用し、サイドローブ方向から到来する雑音を低減可能である。

【0053】
(2) 前記受波器の組を複数本の直線上に面状配置することで、多様な方向のサイドローブに対して抑圧機能を持たせることができる。

【0054】
(3) 前記受波器の組における両端の2つの受波器出力の和の0.5倍の値と中央の受波器出力との和が最小になるように、適合処理計算を行えばよく、構成が複雑化することがない。

【0055】
(4) 前記適合処理計算は、請求項16,17及び18又は19による計算方法やフロストの適合処理を用いて行うことができる。

【0056】
(5) 前記適合処理計算を、請求項16,17及び18又は19による計算方法を用いて行う場合に、前記受波器の組における両端の2つの受波器の加算出力に対するタップ重みと中央の受波器出力に対するタップ重みの和を常に1に保つことによって、目標からの受信信号に対する利得を常に1に保つことができる。具体的には、前記受波器の組における両端の2つの受波器の加算出力に対するタップ重みと中央の受波器出力に対するタップ重みの和を常に1に保つために、適合処理計算毎にタップ重みの和を求め、それぞれのタップ重みをこの和で割り戻してタップ重みの合計を常に1に保つ。

【0057】
なお、本発明は音波の反射又は放射を受波するソーナー装置等の整相処理に有用であり、魚群探知機にも適用可能である。

【0058】
また、受波器の一部又は全部を振動センサーに置き換え、伝達関数(振動を音響に変換するためのもの)による処理を行い、適合処理計算を行う構成とすることも可能である。

【0059】
また、受波器の全部を振動センサーに置き換え、振動に対して適合処理計算を行う構成とすることも可能である。

【0060】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0061】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る面アレイマルチチャンネル適合整相方法及び装置によれば、中央の受波器と両端の2つの受波器からなる受波器の組を複数配置し、複数配置された前記センサーの組がすべて中央のセンサーを共有するようにし、前記受波器の組における中央の受波器と両端の受波器との指向性の差及び位相差を利用し、これに適合処理計算を適用することにより、雑音源がサイドビーム方向であれば、いずれの距離に存在しても、いずれの方向に存在しても、常に雑音レベルが最小になるような最適なシェーディング係数の選択を行うことができる。この結果、雑音源の抑圧効果を向上させることが可能となる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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