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明細書 :推力制御装置付ポンプジェット推進器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3171394号 (P3171394)
公開番号 特開2000-280981 (P2000-280981A)
登録日 平成13年3月23日(2001.3.23)
発行日 平成13年5月28日(2001.5.28)
公開日 平成12年10月10日(2000.10.10)
発明の名称または考案の名称 推力制御装置付ポンプジェット推進器
国際特許分類 B63C 11/48      
F42B 19/01      
FI B63C 11/48 D
F42B 19/01
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願平11-091994 (P1999-091994)
出願日 平成11年3月31日(1999.3.31)
審査請求日 平成11年6月23日(1999.6.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】高橋 敏明
【氏名】岩井 誠一
個別代理人の代理人 【識別番号】100069246、【弁理士】、【氏名又は名称】石川 新
審査官 【審査官】川村 健一
参考文献・文献 特開 平6-341852(JP,A)
実開 平5-61699(JP,U)
実開 昭54-6800(JP,U)
実開 昭63-32998(JP,U)
調査した分野 B63C 11/00
B63C 11/48
B63G 8/16 - 8/20
B42B 19/01
B42B 19/12
B42B 19/26
特許請求の範囲 【請求項1】
後端部に設置されたプロペラで外部流を加速して推力を発生させ航走するとともに、プロペラで加速させた外部流の流体力で航走方向および姿勢制御を行うようにした、水中航走体の推力制御装置付ポンプジェット推進器において、前記プロペラの配置位置より前方の前記水中航走体の外殻の周方向に等ピッチに配設して突出させた、複数の支持翼に先端部の内周面が固定され、前記プロペラの外周を包囲して前記プロペラの後方まで延設され、前記外殻と間隔を設けて同軸状に配置されたシュラウドと、前記プロペラが固着された駆動軸の後端と隙間を設けて前記プロペラの後方に配設された耐圧ケースに収納され、前記水中航走体の内部に設けた制御盤からの作動信号に対応した駆動力を発生する操舵装置と、前記シュラウドの後端部内周面と前記耐圧ケースの外周面との間に架設されたベーンの後縁側に沿って前縁側が配置され、前記操舵装置により前記プロペラで加速された外部流の方向から自在に操舵され、前記水中航走体の航走方向制御および姿勢制御を行うフラップとを設けたことを特徴とする推力制御装置付ポンプジェット推進器。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、水中航走体を航走させるためのポンプジェット推進器に係り、特に、プロペラによって加速され後方に噴射される噴流(外部流)の方向を、フラップの操舵により制御して、水中航走体の航走方向を水中航走体のミッション達成に必要な方向に誘導するとともに、特に、単軸のプロペラの回転で水中航走体に発生するアンバランストルクを、フラップに作用する噴流の流体力により逆方向のトルクを発生させて、打消すことができるようにした推力制御装置付ポンプジェット推進器に関する。

【0002】

【従来の技術】所定海域の海底等の状況を調査するために、水中を航走させるようにした水中航走体は、尾部に設けたプロペラで水中航走体の周辺の海水を後方へ押し出すことにより、推進力を発生させ、この推進力で水中を航走するとともに、水中航走体に作用する流体力により、調査を行う所定海域で所定の姿勢に保持して、あらかじめ定められた所定コースを航走させることができるようにした操舵装置を具えるようにしている。

【0003】
このような操舵装置としては、航走体外殻の後部等から水中へ十字状に突出させて設けた各操舵翼を、水中航走体の外側を流れる外部流の方向から変角させる操舵を行い、この操舵に伴い各操舵翼に発生する流体力により、水中航走体の3次元的な航走方向を制御するとともに、特に、単軸のプロペラの回転で生じることのあるアンバランストルクとは、逆方向のトルクを各操舵翼に作用する流体力で発生させて、水中航走体が機軸まわりに回転するのを防止する、トルクバランスをとり、水中航走体の機体軸まわりの姿勢を、所定の姿勢にして航走させることができるようにした操舵翼方式のものがある。

【0004】
しかしながら、このような操舵翼方式の操舵装置では、各操舵翼に大きな操舵力を発生させて行われる、上下、左右の姿勢を制御して航走方向を制御する制御と対向して設けられた操舵翼を互いに逆方向に操舵して、各操舵翼の操舵力によりトルクを発生させてトルクバランスをとる制御とが、航走体外殻の後部等から水中へ突出させて設けられ、航走体外殻内に設けた操舵機構で駆動されるようにした同一の操舵翼を使用して制御するようにしている。

【0005】
しかも、上下、左右の姿勢を制御して航走方向を制御する制御では、対称に配置されている操舵翼の舵角を同一にして制御する必要があり、さらに、アンバランストルクの発生するプロペラの回転数に対応して操舵を行いトルクバランスをとるための操舵翼の制御では、対称に配置されている操舵翼、もしくは4枚の操舵翼の舵角を同一にして、しかも、対称に配置された操舵翼の舵角を逆方向にして制御する必要があり、操舵機構が複雑になり、さらには、水中航走体の機軸まわりのトルクが小さいことから、微小な操舵を行う操舵翼の操舵に困難さが伴うことになる。

【0006】
また、構造上、モーメントの小さい水中航走体の機軸まわりの運動に対して、各操舵翼のミスアライメント等による影響が、非常に大きくなるために、精度の高いトルクバランスを保持させる制御を行いながら、航走させることが難しいという問題もある。

【0007】
さらに、上述した操舵装置では、プロペラの回転で外部流を加速させて発生する噴流の方向を、プロペラの後方に設けられ、噴流を後方に噴射させるようにしたプロペラダクトの方向を制御することによって、水中航走体の上下、および左右方向の姿勢制御を行い、水中航走体の航走方向を制御するとともに、プロペラダクト内に設けたステータに働く噴流力により、アンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させて、水中航走体を所定の姿勢に保持して航走させるようにした、推力制御(TVC:Thrust Vector Control、以下TVCという。)方式を採用するようにしたものもある。

【0008】
しかしながら、このような宇宙空間を航行するロケット等において採用されているTVC方式の操舵装置では、水中航走体の上下、左右方向の航走方向の制御においては、プロペラで加速された噴流全体の方向をプロペラダクトの偏向により制御するようにしているため、この上下、左右にプロペラダクトを偏向させるプロペラダクトの偏向機構が複雑になるとともに、重量的にも大きなものとなり、水中航走体の重量が増大して、水中航走体の運動性能が劣化するなどの不具合があるとともに、偏向機構の作動に大きな容量の動力源が必要となるという不具合がある。

【0009】
さらに、プロペラダクト内に配設されたステータが、水中航走体の定常航走時のプロペラの回転により発生するアンバランストルクを、その時のプロペラ回転数によって発生する噴流の流体力によって、逆方向のトルクを発生させてトルクバランスをとるようにした、いわゆる、ステータの噴流方向に対する迎角が固定されたものにされているために、プロペラの回転数によっては、トルクバランスの保持が困難になるという不具合がある。

【0010】
また、上述した操舵翼方式およびTVC方式の各操舵装置の不具合を解消する操舵装置として、水中航走体の航走方向の制御には、操舵翼方式の操舵装置と同様に、操舵翼に作用する流体力を利用するようにした操舵装置にするとともに、プロペラの回転で生じるアンバランストルクの解消には、各操舵翼に発生する流体力は利用せず、アンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させるために、TVC方式の操舵装置同様に、プロペラの後流側にステータを設け、このステータに作用するプロペラ噴流の流体力により、アンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させてトルクバランスを取り、水中航走体を所定の姿勢にして航走させるようにした操舵翼方式とTVC方式の各操舵装置の有する各利点を利用するようにした、操舵装置を採用するようにした水中航走体もある。

【0011】
図3は、上述した水中航走体の操舵装置のうち、各操舵翼に発生する流体力により、水中航走体の上下、左右方向の航走方向を制御するとともに、プロペラの後流側にステータを設け、このステータに作用するプロペラ噴流の流体力により、プロペラの回転で生じるアンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させて、トルクバランスを取り、水中航走体を所定の姿勢にして航走させるようにした操舵装置を設けるようにした、水中航走体のポンプジェット推進器を示す縦断面図である。

【0012】
図に示すように、従来のこのようなポンプジェット推進器1では、水中航走体10の外周を形成する外殻2内に設けた制御盤3から発信された、水中航走体10を所定の速度で航走させるための動力信号により、動力源4からは、この入力された動力信号に基づく駆動力が主動機5に伝達される。動力源4から駆動力が伝達された主動機5は、減速機構6及び駆動軸7を介して、駆動軸7の後端部に、外殻2の外周面より外方に翼部が突出するようにして、翼根部が固着されたプロペラ8を回転させるようにしている。

【0013】
また、プロペラ8の外周には、プロペラ8の外周縁と間隔を設けて、プロペラ8の前縁前方から後縁後方まで、プロペラ8の外周全体を包囲するようにして、水中航走体10の尾部と同軸状に設けられ、水中航走体10の外殻2に沿って流れる外部流を内部に流入させるようにした筒状のシュラウド9が設けられている。

【0014】
このために、プロペラ8の外周に固定されたシュラウド9の内部に流入した外部流は、プロペラ8の回転によって加速され、水中航走体10を制御盤3から発信された動力信号に対応する航走速度にする、推進力を水中航走体10に発生させて航走させることができる。

【0015】
また、プロペラ8の外周を包囲するようにして、基端が外殻2の外周に機軸方向と平行に配置されて固定され、後述するひれ12で支持されて設けられた、シュラウド9の出口側であるプロペラ8の後流側には、周方向に等ピッチで配設された複数個の、通常は4個以上の翼形状のステータ11が設けられ、プロペラ8で加速された外部流を、このステータ11に作用させることにより、プロペラ8の回転でプロペラ8の回転方向と逆方向に生じるアンバランストルクとは、逆方向のトルクをステータ11に発生させ、トルクバランスを取ることによって、水中航走体10を機軸まわりに所定の姿勢にして航走させる推力を得るようにしている。

【0016】
また、周方向に等ピッチに配設されたステータ11を、出口側に固着するようにした筒状のシュラウド9を支持するため、プロペラ8配置位置より前方の外殻2の後端部には、周方向に等ピッチに配設された翼型形状の前述のひれ12が、外殻2の外周面から突出させて設けられ、水中航走体10の航走時における直進性を良好に保持するようにしている。

【0017】
さらに、ひれ12の翼端側には、外殻2に固着されたひれ12の配置方向とは自在に変角できるようにして、水中航走体10の上下、左右方向の航走方向を制御する、いわゆる、操舵を行うようにしたフィン14を設けるようにしている。また、外殻2の内部には、制御盤3からの操舵信号によって、ひれ12内に遊嵌して設けた回転軸16を回動させて、このフィン14の変角を行い、操舵を行う操舵装置15が設けられている。

【0018】
このように、ひれ12の外側に配置されたフィン14を操舵装置15によって操舵し、水中航走体10の上下、左右方向の航走運動を制御する操舵翼方式の操舵装置と、プロペラ8の後流側に設けたステータ11に作用する加速された外部流13の流体力によりトルクバランスをとるようにして、水中航走体10の機軸まわりのトルクを制御するTVC方式の操舵装置とを採用し、双方の不具合を解消するようにした、上述した、いわゆるコンバインド操舵装置では、操舵翼方式およびTVC方式の操舵装置の上述した不具合が解消されて、秀れた運動性能の水中航走体とすることができ、調査を行う所定海域を定められたコースに沿って、正確な姿勢を保持させて、水中航走体を航走させることができるようになる。

【0019】
上述した操舵方式にしたコンバインド操舵装置においては、舵としてのフィン14の操舵による効きが、航走速度の2乗に比例するため、水中航走体10が高速で航走する場合には有効であり、水中航走体10の上下、左右方向の航走運動を自在に制御でき、水中航走体10を調査等を行う海域の所定の位置へ航走させることができる。しかしながら、例えば、海域の特定位置を詳細に調査する等の理由で、低速で航走する必要がある場合には、フィン14に作用する流体力が極端に小さくなり、いわゆる、舵が効かなくなり、潮流などの外乱に対処できず、効率的に運用できないことが生じうる。

【0020】
また、上述したように駆動軸7が一本で、1個のプロペラ8だけで、航走させるようにした水中航走体10の場合、プロペラ8が回転することによって、水中航走体10自体はその反作用として、プロペラ8の回転方向とは重心位置まわりに反対方向に回されるアンバランストルクが発生し、このため、上述したコンバインド操舵装置を設けるようにした水中航走体10のポンプジェット推進器1では、ステータ11をプロペラ8後流に設け、プロペラ8で加速された外部流の方向に対して迎角をとるように取り付け、シュラウド9の出口側に周方向に等ピッチに設けた各ステータ11に揚力を発生させ、全体としてアンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させることで、トルクバランスをとるようにしている。

【0021】
しかしながら、このようにしてトルクバランスをとるようにしたものでは、プロペラ8の回転数が変化すれば、プロペラ8によって加速される外部流の速度が変化するため、各ステータ11に発生するトルクも変化し、しかも、プロペラ8の回転で発生するアンバランストルクとプロペラ8の回転で加速された外部流により各ステータ11に発生する推力により発生する逆方向のトルクとは、プロペラ8の回転数によっては一致せず、常に、プロペラ8の回転によって水中航走体10に発生するアンバランストルクとは、同量の逆方向のトルクを発生させることはできず、アンバランストルクを完全に解消した、最適なトルクバランスをとることができなくなるという不具合もある。

【0022】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した操舵翼方式若しくはTVC方式の操舵装置が改良された、コンバインド操舵装置のポンプジェット推進器の不具合を解消するため、水中航走体が低速で航走する場合においても、操舵力を高速航走時と同様に発生させることができ、潮流、外乱等によっても、航走方向が乱されることがなく、所定のコースを航走させることができ、水中航走体の効率的な運用ができるとともに、プロペラの回転数が変化するようなことがあっても、プロペラの回転によって発生するアンバランストルクをアンバランストルクと略同量の逆方向のトルクを重心位置まわりに、正確に発生させることで、トルクバランスをとることができ、水中航走体を定められた所定の姿勢、特に、機軸まわりの姿勢を正確に保持して航走させることができるようにした推力制御装置付ポンプジェット推進器を提供することを課題とする。

【0023】

【課題を解決するための手段】このため、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器は、次の手段とした。

【0024】
(1)水中航走体の後端部に設置され、推力を発生させて水中航走体を航走させるとともに、水中航走体の航走方向および姿勢制御を行う流体力を発生させるための外部流を加速するようにした、プロペラより前方位置の水中航走体の外殻の周方向に、等ピッチに配置されて、突出させた複数の支持翼に、先端部の内周面が固定され、プロペラの先端部前方から後端部後方までの外周を包囲して、水中航走体の後端部の外殻との間に間隔を設けて、外殻と同軸状に配置されたシュラウドを設けた。

【0025】
なお、水中航走体の後端部の外殻との間に間隔を設けてシュラウドを配置する支持翼は、水中航走体の正規位置に対して十字状もしくはX字状になるように、外殻表面から突出させて設けることが好ましい。さらに、支持翼の先端部に固着され外殻の外方に配置されるシュラウドは、断面形状が逆キャンバを有する翼型形状にされるとともに、前縁部ほど外殻との間の間隔が大きくなるようにして設けることが好ましい。

【0026】
(2)プロペラが固着された駆動軸の後端と隙間を設けて、プロペラの後方に配置された耐圧ケースの内部に収納され、水中航走体の内部に設けられて水中航走体の航走を制御する制御盤から発信される作動信号に対応する駆動力を発生させる操舵装置を設けた。

【0027】
なお、操舵装置を収納する耐圧ケースは、先端部が駆動軸に固着されるプロペラのボスと略同径にされるとともに、後流側に向けて縮小する截頭円錐形状のものにすることが好ましい。また、操舵装置に制御盤から発信される作動信号を伝達する配線は、外殻との固着部から支持翼の内部を通し、支持翼の翼端部からシュラウドの内部を通過させて、後述するシュラウドの後方に固着されたベーンの内部を通して、制御盤と操舵装置とを連結するようにすることが好ましい。さらに、操舵装置は、電動モータもしくは油圧モータによって駆動力を発生させるようにしたものでよい。

【0028】
(3)プロペラの後端より後方に位置するシュラウドの後端部内周面と耐圧ケースの外周面との間に架設され、耐圧ケースの前端と駆動軸の後端との間に隙間を設けて、プロペラの後方に耐圧ケースを支持するようにした、ベーンの後縁側に沿って前縁側が配置され、操舵装置の駆動力により作動して、シュラウドの前縁から流入し、プロペラで加速された外部流の流れの方向から自在に変角させて、操舵力を発生させ、水中航走体の航走方向およびトルクバランスの取れた姿勢を含む水中航走体の姿勢の制御を行うことのできる流体力を発生させるフラップを設けた。

【0029】
なお、フラップは、キャンバを設けない対称翼型形状にされ、ベーンの後縁と隙間を小さくして前縁が配置されて、流体圧中心より前方に、操舵装置により駆動される回転軸を設けるようにしたものにすることが好ましい。

【0030】
これにより、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器では、シュラウドの前縁から内部に流入してプロペラで加速された外部流の中で、操舵装置により駆動されるフラップの操舵をすることにより、水中航走体の航走方向および姿勢の制御を行うことができる。また、フラップによる操舵が難しい水中航走体の低速航走時においても、フラップの外部流の方向からの変角を大きくすることにより、水中航走体の航走方向および姿勢の良好な制御を行うことができるようになる。

【0031】
また、プロペラの回転により発生するアンバランストルクは、プロペラの回転数が変化するとき、特に、プロペラの回転数が小さいときでも、同様に、操舵装置により駆動されるフラップの操舵により、プロペラの回転で発生するアンバランストルクと逆方向の等量のトルクをフラップにより発生させて、トルクバランスをとることができるようになる。

【0032】
このように、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器では、プロペラの後方に設けたフラップの操舵だけで、水中航走体の航走方向および姿勢の良好な制御およびトルクバランスをとることができ、しかも、水中航走体の航走速度およびプロペラの回転数に関係なく、操舵力が劣化することなく航走方向および姿勢の良好な制御ができ、さらには正確なトルクバランスがとれるようになる。これにより、水中航走体は、潮流などの外乱をうけることなく、所定海域の所定のコースを、海底調査等の水中航走体のミッション達成に好適な姿勢にして航走させることができ、水中航走体の効率的な運用が可能になる。

【0033】

【発明の実施の形態】以下、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器の実施の一形態を図面にもとづき説明する。図1は、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器の実施の第1形態を示す断面図である。なお、図3に示す部材と同一部材もしくは類似の部材は、同一符号を付して、説明は極力省略する。

【0034】
図に示すように、円筒形から直径が漸減する形状にされた、水中航走体20の尾部の外殻2の外周面には、基端部が外殻2に固着されて、外殻2表面から放射状に外方に突出された支持翼21が突設されている。支持翼21は横断面形状が対称翼型にされるとともに、水中航走体20が正規の姿勢にされているとき、十字状若しくはX字状をなした4枚の翼からなり、内部に制御信号用配線22を挿通する貫通孔23が翼幅方向に穿設されている。

【0035】
また、支持翼21の翼端部には、シュラウド24の先端部内周面が固着されている。このシュラウド24は、縦断面の内周面形状が外殻2の縦断面形状と略同形状にされた、逆キャンバーが設けられた翼型形状の縦断面形状にされた中空円錐台で形成され、その前縁は支持翼21の前縁よりも、さらに前方に配置されるとともに、後縁は後述する耐圧ケース26の後端と略同じ位置に配置されるようにして、プロペラ8の外周縁を包囲するようにして、設けられている。

【0036】
すなわち、シュラウド24は、先端部内周面が、支持翼21の翼幅と同じ長さの間隔を設けて外殻2の外周を包囲するとともに、プロペラ8の外周縁との干渉を起さないように、プロペラ8の外周縁とは隙間を設けて内周面が配置され、外殻2の後部に外殻2と同軸状に配設されるようにした中空円錐台で形成されるようにしている。

【0037】
また、シュラウド24の内部にも長手方向に、支持翼21に穿設した貫通孔23を挿通させた制御信号用配線22を挿通させる貫通孔25が設けられている。

【0038】
プロペラ8を固着し、回転させるようにした駆動軸7の後端には、隙間を設けてその前端を配置するようにした、前述した耐圧ケース26を配設するようにしている。

【0039】
耐圧ケース26は、その前端の直径がプロペラ8のボスと略同径にされ、後流側に向けて縮径する円錐台状の形状にされて、プロペラ8で加速される外部流13の抵抗が小さくなるようにして、内部に操舵装置27を収容するようにしている。

【0040】
この耐圧ケース26は、プロペラ8の回転部より離隔した後方のシュラウド24後部内周面に先端が固着され、プロペラ8と干渉することのないように配置された、4本の翼型形状のベーン28の基端に固着されて位置決めされ、駆動軸7の後端とは隙間を設けて、回動する駆動軸7と干渉することなく、プロペラ8の後方に配置されるようにしている。また、ベーン28の内部にも、シュラウド24の長手方向に穿設された貫通孔25と連通させた、制御信号用配線を挿通する貫通孔29が設けられている。

【0041】
耐圧ケース26外周面とシュラウド9後部内周面との間に架設され、耐圧ケース26を所定位置に保持するようにしたベーン28の後方には、ベーン28の後縁と小さな隙間を設けて前縁を配置するようにしたフラップ30が設けられている。このフラップ30は、貫通孔23,25,29に挿通された制御信号用配線22を介して、制御盤3から発信される作動信号により駆動される操舵装置27により回動する回動軸31により変角(操舵)されて、プロペラ8で加速された外部流13の作用により、水中航走体20の航走方向を制御するとともに、プロペラ8の回転により発生するアンバランストルクと逆方向のトルクを発生させ、水中航走体のトルクバランスを取ることができるようにしている。

【0042】
さらに、このフラップ30は、駆動装置27によって駆動されないときには、図1(c)に示すように、その前縁がベーン28後縁の凹部に収納されて、ベーン28と共に対称翼型を形成するようにしている。

【0043】
本実施の形態の推力制御装置付ポンプジェット推進器32では、上述の構成にされているので、シュラウド24の前縁から流入してプロペラ8で加速された外部流13の中で、航走体20が所定の運動を行うように制御盤3でフラップ30の操舵量を計算し、制御盤3から制御信号用配線22を介して操舵装置27に伝達される作動信号により、操舵装置27で駆動されるフラップ30を操舵することにより、フラップ30に揚力を発生させ、水中航走体20に横力及び回頭モーメントを発生させ、フラップ30により水中航走体20の航走方向および姿勢の制御を行うことができる。

【0044】
このため、水中航走体20が低速航走している場合でも、フラップ30は、プロペラ8で加速されたプロペラ8後流の比較的高速の水流中で操舵されることになり、また、フラップの外部流の方向からの変角を大きくすることにより、上述した、従来のフィン方式の操舵装置15に比べて、高い操舵性能を得ることができる水中航走体の航走方向および姿勢の良好な制御を行うことができるようになる。

【0045】
また、フラップ30は、四枚とも同方向に操舵すると、従来のポンプジェット推進器1のステータ11と同様の働きをするため、制御盤3でプロペラ8の回転数をモニタし、プロペラ8の回転数に応じて、アンバランストルクを打ち消すように最適に設定したフラップ30の舵角を、航走体運動のための舵角に加えた舵角量を制御盤3から指示することにより、プロペラ8の回転数に応じたアンバランストルクとは、逆方向のトルクを発生させてトルクバランスをとることができ、水中航走体運動のための制御と、トルクバランスの制御とを同時に行うことができる。

【0046】
すなわち、フラップ30取付部を後方から見た模式図である図2に示すように、四枚のフラップ30を四枚とも同一方向に、同一角度だけ回動させると水中航走体20の機体軸心回りには、次の大きさのモーメントMを発生させることができる。

【0047】
M=4fL 但し、f=fy +fz
ここで、f:フラップ一枚に発生する揚力
L:機体軸心からフラップの流力中心までの距離
y :fのy方向成分
z :fのz方向成分
従って、操舵装置27によって回動軸を回動させることにより、フラップ30のプロペラ8の後流に対する角度を調整することによって、プロペラ8の回動によって発生する水中航走体20の外殻2をプロペラ8の回動方向とは逆方向に回動させるモーメントと同じ大きさ、逆方向のモーメントMを発生させることができ、プロペラ8の回動に対応して回動する外殻2の回動を止めることできる、いわゆる、トルクバランスをとることができる。このように、本実施の形態の推力制御装置付ポンプジェット推進器32では、プロペラ8の後方に設けたフラップ30の操舵だけで、水中航走体20の航走方向および姿勢の良好な制御、およびトルクバランスをとることができ、しかも、水中航走体20の航走速度およびプロペラ8の回転数に関係なく、操舵力が劣化することなく、また、潮流などの外乱をうけることもなく、水中航走体20を所定海域の所定コースを、海底調査等の水中航走体20のミッション達成に好適な姿勢にして航走させることができ、水中航走体20の効率的な運用が可能になる。

【0048】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器によれば、プロペラより前方位置の水中航走体の外殻の周方向に、等ピッチに配置されて突出させた複数の支持翼に先端部の内周面が固定され、プロペラの先端部前方から後端部後方までの外周を包囲して、水中航走体の後端部の外殻との間に間隔を設けて、外殻と同軸状に配置されたシュラウド、プロペラが固着された駆動軸の後端との隙間を設けてプロペラの後方に配置された耐圧ケースに収納され、水中航走体の内部に設けられて水中航走体の航走を制御する制御盤から発信される作動信号に対応する駆動力を発生させる操舵装置、プロペラの後端より後方のシュラウドの後端部内周面と耐圧ケースの外周面との間に架設され、耐圧ケースをプロペラの後方に支持するようにしたベーンの後縁側に沿って前縁側が配置され、操舵装置の駆動力により作動して、シュラウドの前縁から流入してプロペラで加速された外部流の方向から自在に変角させて操舵し、水中航走体の航走方向および姿勢の制御を行う流体力を発生させるフラップを設けるものとした。

【0049】
これにより、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器では、シュラウドの内に流入してプロペラで加速された外部流の中で、操舵装置によるフラップの操舵により、水中航走体の航走方向および姿勢の制御を行うことができる。また、水中航走体の低速航走時においても、フラップの操舵量を大きくすることにより、水中航走体の航走方向および姿勢の良好な制御を行うことができるようになる。

【0050】
また、プロペラの回転により発生するアンバランストルクは、プロペラの回転数が変化するとき、同様に、操舵装置によるフラップの同方向の操舵により、アンバランストルクと逆方向の等量のトルクを発生させて、トルクバランスをとることができるようになる。

【0051】
このように、本発明の推力制御装置付ポンプジェット推進器では、プロペラの後方に設けたフラップの操舵だけで、水中航走体の航走方向および姿勢の良好な制御およびトルクバランスをとることができ、しかも、水中航走体の航走速度およびプロペラの回転数に関係なく、操舵力が劣化することなく、また、潮流などの外乱をうけることなく、水中航走体を所定海域の所定コースを、海底調査等の水中航走体のミッション達成に好適な姿勢にして航走させることができ、水中航走体の効率的な運用が可能になる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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