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明細書 :感度補正方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3350706号 (P3350706)
公開番号 特開2000-350096 (P2000-350096A)
登録日 平成14年9月20日(2002.9.20)
発行日 平成14年11月25日(2002.11.25)
公開日 平成12年12月15日(2000.12.15)
発明の名称または考案の名称 感度補正方法
国際特許分類 H04N  5/33      
G01J  1/44      
G06T  1/00      
H04N  1/028     
H04N  5/335     
FI H04N 5/33
G01J 1/44
G06T 1/00
H04N 1/028
H04N 5/335
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願平11-157138 (P1999-157138)
出願日 平成11年6月3日(1999.6.3)
審査請求日 平成11年6月3日(1999.6.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】岡村 壽洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】井上 信一
参考文献・文献 特開 平4-170853(JP,A)
特開 平1-126081(JP,A)
特開 昭58-130679(JP,A)
特開 昭60-51377(JP,A)
特開 平8-5570(JP,A)
特開 平10-11564(JP,A)
調査した分野 H04N 5/33 - 5/335
H04N 1/028
G01J 1/44
G06T 1/00 460
特許請求の範囲 【請求項1】
リニアアレイセンサを用いた赤外線撮像装置により撮像したデジタル画像データの感度補正方法であって、
前記リニアアレイセンサの複数のセンサ素子中で、どの素子が感度補正の必要があるかを判定するための判定ステップと、
感度補正が必要な素子の素子感度を補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出ステップと、
前記補正パラメータ算出ステップで算出された前記補正パラメータを用いて感度補正が必要な各素子についての画素出力を補正して画像データを出力する補正画像データ出力ステップとを備え、
前記判定ステップでは前記リニアアレイセンサを走査して得た各素子の画素出力の平均及び標準偏差を算出し、隣接素子間の前記平均値及び標準偏差の差にもとずいて判定することを特徴とする感度補正方法。

【請求項2】
前記平均値及び標準偏差の差をそれぞれ小さい順に各素子を並べたときに、それぞれ小さい方から一定個数の素子のうち、いずれにも含まれる素子は補正の必要無しと判定し、それ以外の素子は補正の必要ありと判定する請求項1記載の感度補正方法。

【請求項3】
前記補正画像データ出力ステップでは、補正パラメータとしてゲインを補正する第1の補正パラメータaとオフセットを補正する第2の補正パラメータbとを用い、補正前の画素出力をYとしたとき、補正後の画素出力Y’を
Y’=aY+b
で算出する請求項1又は2記載の感度補正方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、航空機、船舶、地上車両等に搭載された赤外線撮像装置の感度補正をリアルタイムで行うことにより、常時、鮮明な赤外線画像を得ることが可能な感度補正方法に関する。また、リニアアレイセンサを用いたリモートセンシングにも適用可能である。

【0002】

【従来の技術】赤外線撮像装置は、赤外線センサとして高感度なものを用いるものほど遠距離での目標の探知・識別が可能になる。現在最も高感度な赤外線センサは、液体窒素温度で動作するMCT(水銀カドミウムテルル)素子であるが、この素子は多素子化が難しく、リニアアレイセンサ(一次元配列センサ)として用いることが多い。この素子の特徴は、感度は高いが、素子感度のばらつきが大きく、素子間の感度補正の必要がある。

【0003】
従来の技術では、温度が一様な高温及び低温の熱源を各素子が見ることにより、各素子出力の大きさを比較し、感度補正を行っている。しかしながら、補正後、時間経過とともに素子の感度が変化し、縞模様を特徴とするノイズが画面に現れてくる。また熱源と温度の異なる目標に対しても補正がうまくいかないことが多い。最近小型熱源を用いてリアルタイムで補正できる技術も出現し始めたが、光学系が大きくなり、小型化には不向きである。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に鑑み、従来の方法では成し得なかった、きめ細かな素子感度補正を、光学系の形状を変えることなく、ソフトウエア上で行うことが可能で、リアルタイム処理が可能な感度補正方法を提供することを目的とする。

【0005】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0006】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、リニアアレイセンサを用いた赤外線撮像装置により撮像したデジタル画像データの感度補正方法であって、前記リニアアレイセンサの複数のセンサ素子中で、どの素子が感度補正の必要があるかを判定するための判定ステップと、感度補正が必要な素子の素子感度を補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出ステップと、前記補正パラメータ算出ステップで算出された前記補正パラメータを用いて感度補正が必要な各素子についての画素出力を補正して画像データを出力する補正画像データ出力ステップとを備え、前記判定ステップでは前記リニアアレイセンサを走査して得た各素子の画素出力の平均及び標準偏差を算出し、隣接素子間の前記平均値及び標準偏差の差にもとずいて判定することを特徴としている。

【0007】
これにより、リニアアレイセンサを用いた赤外線撮像装置により撮像したデジタル画像データから、感度補正を必要とするセンサ素子を判別し、その素子の感度を補正し、縞模様を特徴とするノイズの無い鮮明な画像を表示できる。

【0008】


【0009】
前記平均値及び標準偏差の差をそれぞれ小さい順に各素子を並べたときに、それぞれ小さい方から一定個数の素子のうち、いずれにも含まれる素子は補正の必要無しと判定し、それ以外の素子は補正の必要ありと判定するとよい。これにより、補正の必要なセンサ素子を適切に抽出できる。

【0010】
前記補正画像データ出力ステップでは、補正パラメータとしてゲインを補正する第1の補正パラメータaとオフセットを補正する第2の補正パラメータbとを用い、補正前の画素出力をYとしたとき、補正後の画素出力Y’を
Y’=aY+b
で算出するとよい。この場合、計算量が少なく、再計算が容易である。

【0011】
本発明に係る感度補正方法は、複数個の素子を一次元配列してなるリニアアレイセンサを用いた赤外線撮像装置により撮像したデジタル画像データから、感度補正を必要とする素子を判別し、その素子の感度を補正し、縞模様を特徴とするノイズの無い鮮明な画像をリアルタイムで表示することができる。

【0012】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る感度補正方法の実施の形態を図面に従って説明する。

【0013】
図1は本発明の実施の形態における処理の流れを示す説明図であり、図2は感度補正前と補正後の画像の説明図である。

【0014】
方法は、風景等を撮像した場合、上下の隣り合うラインの出力値(つまり隣接センサ素子同士の画素出力値)が互いに強い相関を持つことを利用したものである。

【0015】
図1の本発明の実施の形態での処理の流れを示す図から明らかなように、感度補正方法はリニアアレイセンサを用いた赤外線撮像装置から出力された縞模様を特徴とするノイズの乗った赤外線画像データに対して、複数個のセンサ素子を一列配置したリニアアレイセンサの中で、どの素子が感度補正の必要があるかを判定するための判定ステップ#1(それぞれの素子に対して感度補正の必要性の有無を決定する)と、感度補正が必要な素子の素子感度を補正するための補正パラメータa,bを算出する補正パラメータ算出ステップ#2(感度補正が必要な場合は、各素子毎にa,bを計算する)と、前記補正パラメータ算出ステップで算出された前記補正パラメータa,bを用いて感度補正が必要な各素子についての画素出力を補正して画像データを出力する補正画像データ出力ステップ#3(画像データの任意の位置の補正前の画素出力をYとすれば、補正後の値Y’は、Y’=aY+bと計算される)とを備えている。Y’は容易に計算可能なため、補正後の画像がリアルタイムで出力される。従って、補正パラメータa,bの値を一定時間間隔で更新していくことにより、常に感度補正された画像の出力が可能である。

【0016】
以下、それぞれのステップ#1,#2,#3について説明する。

【0017】
(I) 感度補正の必要な素子の判定(判定ステップ#1)
n個(n:3以上整数で、通常数十乃至数百の値をとる)のセンサ素子のうち感度補正の必要がある素子の判定は以下のように行う。図3(A)のn個のセンサ素子配列において、Y,Yi+1はそれぞれi番目、i+1番目の素子を示す。また、図3(B)は画素の座標(n個の素子からなるリニアアレイセンサを走査して得られた1フレーム当たりのn×p個の画素出力)で、Yi,jはYが走査したj番目の画素出力を示す。画素出力は1素子あたりp個とする。ここでAを、YとYi+1間の補正を行うかどうかの判定パラメータとする。つまり補正の必要が無い場合A=0、補正の必要が有る場合A=1とする。次にYの出力の平均m及び標準偏差σを次式で求める。

【0018】

【数1】
JP0003350706B2_000002t.gif(1)式及び(2)式を用いてn個の素子全てについて計算し、A(i=0~n-2)の決定を次のように行う。i=0~n-2に関して
【数2】
JP0003350706B2_000003t.gifを計算し、iに関してそれぞれM、Sの大きさを比べ、それぞれが小さい順にiを並べる。それぞれ小さい順から定められた個数を選び出し、M、Sに関して両者とも選び出された場合にA=0(補正の必要無し)とし、1つでも選び出されなかった場合にA=1(補正の必要有り)とする。

【0019】
(II) 素子感度の補正(補正パラメータ算出ステップ#2)
i番目とi+1番目の素子の間でA=1となり、2つの素子間で補正の必要有りと判定された場合、次の手順で補正を行う。まずiに最も近いA=0となるkを見つける。仮にk<iとすれば、このk番目の素子を基準としてk+1番目、k+2番目、・・・、i番目、i+1番目と順番に補正を行っていく。なお、i<kの場合には、k-1番目、k-2番目、・・・、i+1番目、i番目という順番で補正していく。Yまで補正ができたとして、Yを用いてYi+1を補正するのは次のように行う。補正パラメータa、b及び補正残差Δを次の式で計算する。

【0020】

【数3】
JP0003350706B2_000004t.gifなお、a、bの物理的な意味を図4に示す。この図4のセンサ素子Y、素子Yi+1による信号において、素子出力0レベルと絶対零度の信号レベルとの差b,bi+1が素子のオフセットを意味し、常温部分の信号と高温部分の信号のレベル差a,ai+1が素子のゲインを意味する。Yの信号を用いてY+1の信号を補正するためにa=a/ai+1,b=b-bi+1 を意味する補正パラメータa,bを求める。つまり、隣り合う2つのラインの出力値に関して、aはゲインの比、bはオフセットの差を意味する。次にΔの大きさを比べて、Δが小さい順にjを並べ、小さい順から定められた個数を選び出す。その個数をq個とする。選び出されたq個のY及びYi+1に関して以下の(8)式~(11)式を用いてm,mi+1i+1を計算し、(5)式、(6)式から再びa,bを求める。この処理は、スポット的な信号があるときに、異常にΔが大きくなることがあるが、このようなスポット的な異常値を除外して補正パラメータa,bを算出するために行っている。

【0021】

【数4】
JP0003350706B2_000005t.gifi+1,jの補正後の値をYi+1,j'とすれば、全てのjに対してYi+1,j'は同一のa、bを用いて、
i+1,j'=aYi+1,j+b …(12)
と計算される。

【0022】
(III) 補正された画像の出力(補正画像データ出力ステップ#3)
(12)式を用いてYi+1が補正されたならば、Ai+1=1の場合、Yi+2も同様にしてYi+1を用いて補正される。このような操作を全画素について行い、補正された画像が得られる。

【0023】
素子出力は、各素子ごとにa、bさえ求まれば、(12)式を用いて補正されるので、計算量が少なく、容易にリアルタイムの補正が可能である。また、ある時間間隔で上記手法でa、bの値を更新していけば、常に補正された画像の出力が可能である。

【0024】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0025】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る感度補正方法によれば、従来の方法では成し得なかった、きめ細かな素子感度補正を、光学系の形状を変えることなく、ソフトウエア上で行うことが可能であり、リニアアレイセンサを用いた赤外線撮像装置により撮像したデジタル画像データにおいて、感度補正用熱源を用いても補正しきれないリニアアレイセンサの素子感度ばらつきにより起因する縞模様を特徴とするノイズを除去できる。また、感度補正についての計算量が少なく、リアルタイム処理が可能となる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図4】
2
【図3】
3